九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
サウナ ニヨル セイリ シンリ ハンノウ ト カンゴ ヘノ オウヨウ
宮園, 真美
九州大学大学院保健学部門 臨床看護学講座
https://doi.org/10.15017/19720
出版情報:Kyushu University, 2010, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
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第4章
フットサウナ使用時の入院患者の生理・心理反応
~睡眠導入へ焦点を当てて~
54 4.1. はじめに
第 2章 において、頸 部 下 ドーム型 サウナ(以 下 ドーム型 サウナ)を健 常 若 年 者 へ実 施 し、生 理 および心 理 的 反 応 を把 握 した。ドーム型 サウナにおいては静 水 圧 や体 動 によ る循 環 動 態 の変 化 を伴 うことなく温 熱 効 果 が得 られ、若 年 者 の温 熱 刺 激 に対 する生 理 的 な反 応 を基 礎 データとして得 ることができた。発 汗 と脱 水 に関 しても、今 後 の指 標 となる示 唆 を得 ることができた。
第 3章 では、健 常 高 齢 者 を対 象 に、第 2章 と同 様 のドーム型 サウナを実 施 して、深 部 体 温 上 昇 や循 環 動 態 の変 化 を把 握 し、高 齢 者 の循 環 器 機 能 低 下 に伴 う温 熱 刺 激 に 対 する反 応 を若 年 者 の反 応 と比 較 しながら考 察 した。臥 床 タイプのドーム型 サウナを 効 果 的 に使 用 することで循 環 血 液 量 の確 保 および深 部 体 温 上 昇 が得 られやすいこと が示 唆 された。血 圧 に関 しては、収 縮 期 、拡 張 期 ともに低 下 する傾 向 が認 められ、高 齢 者 の循 環 血 液 量 低 下 とそれに伴 う代 償 機 能 の低 下 について考 察 することができた。
体 重 減 少 量 および脱 水 に関 しては、若 年 者 に比 べて発 汗 量 は約 半 分 と少 ないものの 脱 水 の危 険 性 は若 年 者 より高 いため十 分 な考 慮 が必 要 であることが示 された。
第 2章 、第 3章 における研 究 結 果 では、ドーム型 サウナの温 度 を総 出 力 100%および 50%の場 合 の2条 件 で設 定 し基 礎 的 なデータを得 ることにより、サウナ実 施 の限 界 を はじめとする数 々の示 唆 を得 ることができた。主 な実 験 結 果 として、体 温 上 昇 の程 度 と その傾 向 、循 環 動 態 の変 化 、および脱 水 の程 度 と危 険 性 などの資 料 を得 ることができ た。そこで本 章 ではこれまでの実 験 結 果 を参 考 にした上 で、入 院 中 の患 者 を対 象 にサ ウナの実 施 を行 い、その結 果 から看 護 場 面 でのサウナの活 用 を検 討 した。
ドーム型 サウナを使 用 しての実 験 では、健 常 若 年 者 は諸 々の生 理 的 な反 応 を示 し たが容 易 に回 復 し恒 常 性 が維 持 できていた。健 常 高 齢 者 も加 齢 による循 環 機 能 低 下 のある範 囲 内 でドーム型 サウナによる温 熱 刺 激 に対 応 でき、体 調 に著 明 な変 調 は認 めなかった。しかし対 象 を入 院 患 者 とする場 合 は、基 礎 疾 患 による重 篤 な機 能 低 下 が あるため最 も安 全 性 を重 視 した方 法 を選 択 する必 要 があった。そのため本 章 では、より
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侵 襲 が少 ないと思 われる足 部 のみ部 分 的 に曝 露 されるサウナ(以 下 フットサウナ)を使 用 した。フットサウナによる生 理 ・心 理 反 応 を測 定 し安 全 を確 認 した上 で、今 回 は入 院 患 者 の苦 痛 の中 でも多 いとされる不 眠 に着 目 し(久 保 1999)、睡 眠 に焦 点 を当 てて実 験 を行 いその効 果 を検 討 した。
眠 気 を決 める要 素 には、「睡 眠 負 荷 」、「概 日 周 期 体 内 時 計 からの覚 醒 信 号 」、「内 的 要 因 」、「外 的 要 因 」、および「病 的 要 因 」があると言 われる(粂 2005)。特 に、循 環 器 疾 患 患 者 は不 眠 と自 律 神 経 系 の強 い関 連 性 の中 で、深 刻 な睡 眠 障 害 を持 ってい る患 者 が多 い(井 上 2008)。非 疼 痛 性 疾 患 の中 では心 不 全 患 者 の不 眠 頻 度 は最 も 高 いという報 告 もある(井 上 2008、Katz 1998)。また、寝 不 足 や不 眠 のために血 圧 の セットポイントは10mmHg上 昇 すると言 われ(井 上 2008)、高 血 圧 などの悪 循 環 にもつ ながる。不 眠 による訴 えは、大 きく分 けて「入 眠 の障 害 」、「中 途 覚 醒 」、「早 期 覚 醒 」、
「昼 夜 逆 転 」などである(内 山 2006)。
足 浴 は、一 般 的 に病 院 内 で清 潔 の援 助 の一 部 として実 施 され、臨 床 的 研 究 による エビデンスが構 築 され(西 田 2002)、睡 眠 の促 進 などにおいて効 果 が認 められている (Sung & Tochihara 2003)。一 方 、今 回 使 用 するフットサウナに関 しては実 施 する医 療 施 設 が少 なく関 連 する研 究 はほとんどないが、下 腿 全 体 を加 温 することができ、遠 赤 外 線 による輻 射 熱 で温 めるため通 常 の足 浴 以 上 に全 身 的 な効 果 が期 待 できると考 え た。また、足 浴 のように温 湯 を準 備 する必 要 もなく、患 者 への負 担 も少 ないと考 えた。
使 用 したフットサウナ(商 品 名 :レッグホット モデルLH-2(図 4.1.))は、第 2章 、第 3章 で使 用 したドーム型 サウナと同 様 に、遠 赤 外 線 による輻 射 熱 を応 用 した温 浴 器 であり、
有 機 炭 素 を材 料 とする発 熱 体 が壁 面 全 体 に装 着 され、対 象 (下 腿 全 体 )に向 かって遠 赤 外 線 が照 射 されるメカニズムである。フットサウナは、壁 面 および足 底 面 全 体 にヒー ターが装 備 されており、それぞれの面 から遠 赤 外 線 が照 射 される。図 4.2.にフットサウ ナを仰 臥 位 で使 用 した様 子 と、その時 のフットサウナ温 度 設 定 を出 力 50%にした場 合 の壁 面 の温 度 と庫 内 (底 面 から10-20cmの)温 度 を示 す。フットサウナ内 の下 腿 は、子 枕 で足 関 節 部 分 を支 えられ宙 に浮 いた状 態 である。足 底 は底 面 に接 することなく足 底
56 部 にも遠 赤 外 線 が照 射 される。
対 象 患 者 は、末 梢 循 環 改 善 にともなう心 負 荷 の軽 減 や心 不 全 症 状 の改 善 を目 的 に、既 に治 療 の一 環 としてサウナによる温 熱 療 法 を実 施 する予 定 のある重 症 心 不 全 患 者 の中 から選 択 した。
本 章 の目 的 を次 の3つとした。
①不 眠 傾 向 にある重 症 心 不 全 患 者 にフットサウナを実 施 し、その生 理 ・心 理 反 応 を知 る。
②フットサウナを3日 間 連 夜 施 行 した際 の睡 眠 状 態 を主 観 的 および客 観 的 指 標 で検 討 する。
③フットサウナの温 熱 効 果 が看 護 の場 面 でどのように応 用 できるか考 察 する。
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図 4.1. フットサウナ使 用 例
膝 下 全 体 をフットサウナ内 に入 れて使 用 する(左 :坐 位 、右 :仰 臥 位 )
図 4.2. フットサウナを仰 臥 位 で使 用 した様 子 と出 力 50%時 の壁 面 温 度 および庫 内 温 度 ((株 )フジカ提 供 資 料 の一 部 を改 変 )
58 4. 2. 実 験 方 法
1)被 験 者
重 症 心 不 全 により循 環 器 内 科 へ入 院 中 で、不 眠 傾 向 のある11名 (男 性 7名 、女 性 4 名 、年 齢 59.5±11.5歳 (表 4.1.))とした。そのうち5名 は入 眠 剤 や精 神 安 定 剤 を使 用 す ることで、睡 眠 障 害 の解 決 を図 っていた。対 象 者 は、主 治 医 が身 体 的 、心 理 的 に実 験 に適 していると判 断 した入 院 患 者 のみである。主 治 医 から研 究 目 的 と内 容 について十 分 な説 明 を行 い、希 望 があった患 者 に対 して、次 の内 容 について資 料 を用 いて説 明 した。①予 測 される問 題 点 :脱 水 の危 険 性 および実 験 に伴 う各 検 査 の煩 わしさや採 血 による疼 痛 。②危 険 が予 測 される場 合 は即 時 実 験 を中 止 し対 処 する。③医 学 的 判 断 と対 処 は循 環 器 専 門 内 科 医 が行 う。④実 験 への協 力 は任 意 で撤 回 可 能 であり、撤 回 による不 利 益 はない。⑤得 られた情 報 は厳 重 に管 理 しプライバシーを守 る。個 人 の特 定 はされない。説 明 した後 、同 意 書 に署 名 を得 た。なお、本 研 究 は九 州 大 学 医 系 地 区 部 局 倫 理 審 査 委 員 会 の承 認 を受 けた。
対 象 者 はいずれもNYHA(New York Heart Association)分 類 でⅢ-Ⅳ度 の重 症 心 不 全 患 者 であり、治 療 抵 抗 性 患 者 である。そのため、薬 物 治 療 の限 界 に近 い状 態 で あり、治 療 薬 の用 法 と容 量 の厳 密 な精 選 が必 要 であるが、患 者 本 人 の心 臓 のポンプ 機 能 が温 熱 的 効 果 により少 しでも改 善 されれば、それは大 きな治 療 的 効 果 となる。こ のような治 療 抵 抗 性 患 者 にとって、温 熱 療 法 による循 環 動 態 改 善 は治 療 効 果 そのも のとして期 待 される。
59 表 4.1. 患 者 背 景
・M…男 性 、F…女 性
・マイスリー…催 眠 鎮 静 剤 、ロヒプノール…睡 眠 薬 、レンドルミン…睡 眠 導 入 剤
No. 年 齢 性 別 通 常 の睡 眠 状 態 (訴 え) 不 眠 に対 する使 用 薬 物 1 76 M 眠 りが浅 い 悪 夢 を見 る 毎 晩
マイスリー
2 77 M やや不 眠 なし
3 54 F 眠 りが浅 い 悪 夢 を見 る 毎 晩 マイスリー
4 65 F 時 々眠 れない なし
5 40 M ぐっすり寝 たことがない 毎 晩
ロヒプノール
6 67 M 時 々寝 つきが悪 い なし
7 50 M 寝 つきが悪 い 悪 夢 を見 る 毎 晩 レンドルミン
8 56 M 眠 りが浅 い 悪 夢 を見 る 毎 晩 マイスリー
9 65 F やや不 眠 なし
10 54 M やや不 眠 なし
11 50 F やや不 眠 なし
60 2)実 験 期 間 、場 所
2009年 8月 から2010年 10月 の間 に、九 州 大 学 病 院 特 殊 生 理 機 能 検 査 室 および循 環 器 内 科 病 棟 において実 施 した。
3)実 験 条 件
足 浴 時 の至 適 温 度 とされる42℃前 後 (西 田 2002)を目 安 に、フットサウナの温 度 出 力 50%レベルで実 施 した。出 力 50%レベルでの庫 内 温 度 は、42~45℃(サウナ内 壁 面 温 度 は60-69℃)であった。室 温 は24±2℃、相 対 湿 度 は55±6%であった。被 験 者 の 着 衣 は患 者 自 身 の下 着 1枚 (男 :パンツ、女 :ショーツ)の上 に、決 められた規 格 の貸 し 出 し用 病 衣 を着 用 した。
4)実 験 方 法
(1)実 験 スケジュール
日 程 は1クール5日 間 とした(図 4.3.)。うち3日 間 は連 日 、睡 眠 1時 間 前 にフットサウナ を使 用 した(Foot sauna 1, Foot sauna 2, Foot sauna 3)。フットサウナを実 施 中 の生 理 ・ 心 理 反 応 を 把 握 す る た め に 、 3 日 間 の サ ウ ナ 実 施 前 に サ ウ ナ 実 験 を 行 っ た ( 図 4.4.)。なお、この実 験 は対 象 がフットサウナを施 行 して病 状 に著 変 をもたらさないか確 認 する目 的 を含 んでおり、対 象 の入 院 中 最 も実 施 に適 した午 前 中 に統 一 して施 行 し た。
① 睡 眠 前 のフットサウナ(Foot sauna 1, Foot sauna 2, Foot sauna 3):
睡 眠 前 のフットサウナは、実 験 の2-4日 目 の夜 、睡 眠 1時 間 前 にa、bの手 順 で実 施 した。
a:図 4.1.のように坐 位 または臥 位 になり、毛 布 一 枚 を(全 身 を覆 うように)貼 用 して、あら かじめ電 源 をONにして保 温 しておいたフットサウナに入 り、15分 間 電 源 をONにしたま ま加 温 する。b:電 源 をOFFして足 を入 れたまま30分 間 保 温 する。
② 睡 眠 調 査 (Pre、sauna 1、sauna 2、sauna 3):
OSA 睡 眠 調 査 表 ( 小 栗 ら 1985)( 以 下 OSA) と セ ン ト マ リ ー 病 院 睡 眠 質 問 表 (Ellis et.al. 1981)(以 下 SMH)を実 験 の2-5日 目 の朝 起 床 時 に自 記 式 で記 載 した。OSAにお ける26~75歳 男 女 670名 の平 均 点 は、5因 子 とも50点 である。OSAの各 因 子 は点 数 が
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高 いほど睡 眠 状 態 が良 いとされる。第 1因 子 (起 床 時 眠 気 )は点 数 が高 いほど眠 気 が 少 ない。第 2因 子 (入 眠 と睡 眠 維 持 )は点 数 が高 いほど入 眠 がスムーズで寝 つきがよく 眠 りが深 い。第 3因 子 (夢 見 )は、点 数 が高 いほど夢 をあまりみない。第 4因 子 (疲 労 回 復 )は点 数 が高 いほど疲 労 回 復 している。第 5因 子 (睡 眠 時 間 )は点 数 が高 いほど睡 眠 時 間 が長 い(小 栗 ら 1985)。
SMHにおける定 数 化 できる質 問 (Q5,6,8,10~14)の点 数 は「セントマリー病 院 睡 眠 調 査 票 の信 頼 性 についての研 究 (Ells et al. 1981)」によると、点 数 平 均 約 9.9点 である。
SMHの点 数 評 価 は低 値 なほど睡 眠 状 態 が良 いとされる。
③ Motionlogger : 実 験 1 日 目 か ら 5 日 目 ま で 連 用 で Motionlogger(Actigraph 米 国 A.M.I社 (図 4.5.) 以 下 、アクチィグラフ)を装 着 し、体 動 (0.01G/rad/sec 以 上 )をカウン トし自 動 記 録 した。得 られた1分 毎 の活 動 量 時 系 列 データを睡 眠 解 析 ソフトAW2によ って分 析 した。本 研 究 では「睡 眠 時 間 (smin.)」、「睡 眠 効 率 (pslp.)」、「一 連 の覚 醒 区 間 の 数 (wep.) 」 、 「 中 途 覚 醒 分 数 (waso.) 」 の 4 つ の 項 目 を 分 析 し た 。 「 睡 眠 時 間 (smin.)」は睡 眠 時 間 (睡 眠 +浅 睡 眠 )を分 数 で示 したものであり全 体 の睡 眠 時 間 を把 握 で き ると 考 え た。 「 睡 眠 効 率 (pslp.)」 は 睡 眠 時 間 の 百 分 率 で あ り 、 100 *( 睡 眠 + 浅 睡 眠 )/測 定 時 間 帯 の長 さで示 される。効 果 的 な睡 眠 が得 られているか把 握 することがで きると考 えた。「一 連 の覚 醒 区 間 の数 (wep.)」は覚 醒 したエピソードが5分 以 上 ある場 合 のブロック数 の数 を示 している。入 眠 中 の覚 醒 回 数 を把 握 するために必 要 であると考 えた。「中 途 覚 醒 分 数 (waso.)」は睡 眠 途 中 で覚 醒 した総 時 間 を分 数 で示 したものであ る。熟 睡 中 には少 ないとされる覚 醒 時 間 を把 握 できると考 えた。
(2)実 験 各 測 定 、実 験 手 順 と測 定 項 目 (図 4.4.)
睡 眠 前 のフットサウナを開 始 する前 日 、もしくは当 日 の午 前 中 に、図 4.4.のようにフ ットサウナ使 用 時 の生 理 ・心 理 反 応 を測 定 する実 験 を行 った。被 験 者 は、排 尿 後 、病 衣 のまま体 重 測 定 をして検 査 室 へ入 室 し、10分 間 の安 静 臥 床 とした。その後 、事 前 に 電 源 をONにして温 度 設 定 していたフットサウナを臥 床 中 の患 者 の両 足 に設 置 した。
設 置 は、実 験 者 が数 人 でフットサウナ内 に患 者 の両 足 を支 えながら膝 部 まで入 れ、大
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腿 部 に枕 を当 てて下 肢 全 体 を安 定 させた。患 者 自 身 がフットサウナ内 で足 関 節 部 分 を固 定 する子 枕 を安 楽 な位 置 に調 整 し、両 下 腿 全 体 が宙 に浮 くような状 態 で照 射 さ れるようにした。頸 部 から毛 布 を一 枚 フットサウナごと覆 うように貼 用 した。
測 定 は安 静 の10分 間 、電 源 ONの加 温 状 態 で15分 間 、電 源 OFFの保 温 状 態 で30 分 間 とし、2分 間 毎 に血 圧 、心 拍 数 (オムロンデジタル自 動 血 圧 計 HEM-9000AI)、熱 流 補 償 法 (テルモ社 製 コアテンプCM-210型 )による深 部 体 温 (額 )および皮 膚 温 (前 腕 部 )の測 定 を行 った。主 観 的 温 冷 感 (「熱 い」「温 かい」「やや温 かい」「どちらでもない」
「やや涼 しい」「涼 しい」「寒 い」の7項 目 )、温 熱 的 快 適 感 (「とても快 適 」「快 適 」「やや快 適 」「どちらでもない」「やや不 快 」「不 快 」「とても不 快 」の7項 目 )の調 査 とSpO2測 定 を 安 静 時 、フットサウナ内 10分 経 過 時 点 、フットサウナ内 30分 経 過 時 点 で行 った。実 験 の前 後 には、体 重 測 定 とJUMACLによる気 分 調 査 を実 施 した。
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図 4.3. 実 験 スケジュール
図 4.5. アクチィグラフ 図 4.4. 実 験 手 順 と測 定 項 目
64 5)統 計 解 析
測 定 結 果 は全 て平 均 値 (標 準 偏 差 )で示 した。深 部 体 温 、血 圧 、心 拍 数 の経 時 変 化 の検 定 には、30回 反 復 する測 定 値 の時 系 列 変 化 に対 して、睡 眠 調 査 データの検 定 には、フットサウナ開 始 前 日 の夜 、フットサウナ初 日 の夜 、フットサウナ2日 目 の夜 、 サウナ3日 目 の夜 の4回 反 復 する測 定 値 の時 系 列 変 化 に対 して、反 復 測 定 分 散 分 析 (repeated-measure Analysis of Variance)を行 った。なお、睡 眠 調 査 データは3名 の被 験 者 が、実 験 中 早 期 退 院 となったため8名 の統 計 結 果 である(症 例 3、4、5、7、8、9、
10、11)。体 重 減 少 、温 冷 感 ・温 熱 的 快 適 感 、気 分 調 査 チェックリスト点 数 のサウナ実 施 前 後 の比 較 には、対 応 のあるt検 定 (paired-t test)を用 いた。統 計 解 析 ソフトには P A S W S t a t i s t i c s 1 8 お よ び P A S W A d v a n c e d S t a t i s t i c s 1 8 を使 用 した。 統 計 処 理 において危 険 率 5%未 満 を有 意 水 準 とした。
65 4.3. 結 果
4.3.1. フットサウナ使 用 時 の生 理 ・心 理 反 応
1) 熱 流 補 償 法 による深 部 体 温 (額 )変 化
熱 流 補 償 法 による深 部 体 温 (額 )変 化 の経 時 的 変 化 を図 4.6.に示 す。フットサウナを 開 始 すると徐 々に体 温 が上 昇 し、電 源 を切 った保 温 の間 も体 温 上 昇 は続 いた。安 静 時 平 均 値 から最 高 値 までの体 温 上 昇 は0.4℃であった。分 散 分 析 の結 果 、時 間 経 過 による主 効 果 は有 意 であった(F(28,168)=4.92, p<0.01)。フットサウナ内 10分 以 降 の 値 は、フットサウナ浴 前 値 平 均 36.2(0.6)℃との間 に有 意 な差 があった(p<0.05)。
2)前 腕 部 皮 膚 温
前 腕 皮 膚 温 の経 時 的 変 化 を図 4.7.に示 す。フットサウナを開 始 すると徐 々に皮 膚 温 が上 昇 し、電 源 を切 った保 温 の間 も皮 膚 温 上 昇 は続 いた。最 低 値 から最 高 値 まで の皮 膚 体 温 上 昇 は0.6℃であった(p<0.05)。分 散 分 析 の結 果 、 時 間 経 過 による主 効 果 は有 意 であった(F(28,224)=22.6,p<0.01)。フットサウナ浴 前 値 平 均 と電 源 OFF以 降 のデータ間 に有 意 差 が見 られた(p<0.05)。
3)心 拍 数
心 拍 数 の経 時 的 変 化 を図 4.8.に示 す。フットサウナに入 った後 も変 化 なく60-70拍 / 分 で経 過 した。分 散 分 析 の結 果 、時 間 経 過 による主 効 果 は認 めなかった。
4)収 縮 期 血 圧
収 縮 期 血 圧 の 経 時 的 変 化 を 図 4.9. に 示 す 。 フ ッ ト サ ウ ナ に 入 っ た 後 も 変 化 な く 、 100-110mmHgで 経 過 し た。 分 散 分 析 の 結 果 、 時 間 経 過 によ る主 効 果 は 認 め な かっ た。
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図 4.6.フ ッ ト サ ウ ナ 実 施 中 の 熱 補 償 法 に よ る 深 部 体 温 変 化 ( 額 )
図 4.7.フ ッ ト サ ウ ナ 実 施 中 の 前 腕 部 皮 膚 温
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図 4.8.フ ッ ト サ ウ ナ 実 施 中 の 心 拍 数 変 化
図 4.10. フ ッ ト サ ウ ナ 実 施 中 の 拡 張 期 血 圧 変 化 図 4.9.フ ッ ト サ ウ ナ 実 施 中 の 収 縮 期 血 圧 変 化
68 5)拡 張 期 血 圧
拡 張 期 血 圧 の経 時 的 変 化 を図 4.10.に示 す。フットサウナに入 った後 も変 化 はなく、
60-70 mmHgで経 過 した。分 散 分 析 の結 果 、時 間 経 過 による主 効 果 は認 めなかった。
6)体 重 変 化
フットサウナ実 施 前 と 実 施 後 の 体 重 は前 値 が 54.8(1.1)kg、後 値 は54.7(1.2)kgで、
前 後 の体 重 間 に有 意 差 は認 めなかった。病 衣 の重 量 は実 施 前 が0.42(0.4)kg、実 施 後 は0.43(0.2)kgで前 後 の重 量 に有 意 差 は認 めなかった。
7) SpO2
酸 素 飽 和 度 はフットサウナに入 った後 も変 化 はなく、96.6-96.7%で経 過 した。分 散 分 析 の結 果 、時 間 経 過 による主 効 果 は認 めなかった。
69 8)温 冷 感 と温 熱 的 快 適 感
温 冷 感 と温 熱 的 快 適 感 の経 時 的 変 化 を図 4.11.に示 す。温 冷 感 については、フット サウナに入 って10分 後 に「やや温 かい」から「温 かい」と感 じており実 施 前 との間 に有 意 差 を認 めた(p<0.05)。「やや温 かい」から「温 かい」感 覚 は30分 後 も継 続 していた。温 熱 的 快 適 感 はサウナ開 始 30分 後 に実 施 前 に比 べ「快 適 である」と感 じており安 静 時 と 30分 後 の値 に有 意 差 を認 めた(p<0.05)。
図 4.11. サ ウ ナ 実 施 中 の 温 冷 感 変 化 お よ び 温 熱 的 快 適 感 変 化
70 9)気 分 形 容 詞 チェックリスト
サ ウ ナ 前 後 の 気 分 形 容 詞 チ ェ ッ ク リ ス ト JUMACL の 変 化 を 図 4.12.に示 す。実 施 前 に 比 べ 、 サ ウ ナ 実 施 後 は TA( 緊 張 覚 醒 (tense arousal)) 点 数 が 、 16.4(0.8) 点 か ら 13.8(0.8)点 に有 意 に低 下 していた(p<0.05) (図 4.12.(A))。EA点 数 (エネルギー覚 醒 (energetic arousal)) 点 数 には、前 後 の有 意 差 はなかった(図 4.12.(B))。実 施 後 の感 想 では「気 持 がよかった」「久 しぶりに汗 ばんだ」「夜 眠 れるようになった」「手 足 が暖 かく なった」「便 通 が良 くなった」などが聞 かれた。
図 4.12. 気 分 形 容 詞 チェックリストJUMACLのフットサウ ナ前 後 比 較 (A)緊 張 覚 醒 (tense arousal)点 数
(B)エネルギー覚 醒 (energetic arousal)の点 数
* p<0.05
71 4.3.2. 睡 眠 調 査
1)質 問 紙 による主 観 的 な睡 眠 評 価 の結 果 (1)OSA
実 験 2-5日 目 の朝 起 床 時 に自 記 式 で記 載 したOSAによる睡 眠 評 価 点 数 結 果 を図 4.13.に示 す。
① OSA:第 1因 子 (起 床 時 眠 気 )
第 1因 子 (起 床 時 眠 気 )点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.13.(A)に示 す。第 1因 子 (起 床 時 眠 気 )はフットサウナ開 始 前 日 の夜 が38.1(3.1)点 で、フットサウナ初 日 の夜 が43.7(6.2) 点 、2日 目 の夜 が43.3(5.5)点 、および3日 目 の夜 は45.0(9.6)点 とやや上 昇 しているが、
フットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
② OSA:第 2因 子 (入 眠 と睡 眠 維 持 )
第 2因 子 (入 眠 と睡 眠 維 持 )点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.13.(B)に示 す。第 2因 子 (入 眠 と 睡 眠 維 持 ) は 、 フ ッ ト サ ウ ナ 開 始 前 日 の 夜 が 39.9(3.9) 点 、 フ ッ ト サ ウ ナ 初 日 の 夜 は 44.2(6.6)点 、2日 目 の夜 は42.9(6.3)点 、および3日 目 の夜 は41.1(12.3)と、大 きな上 昇 は見 られず、フットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
③ OSA:第 3因 子 (夢 見 )
第 3因 子 (夢 見 )点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.13.(C)に示 す。第 3因 子 (夢 見 )は、フット サウナ開 始 前 日 の夜 が40.3(8.6)点 、フットサウナ初 日 の夜 が45.6(8.0)点 、2日 目 の夜 が48.9(7.4)点 、および3日 目 の夜 が49.8(10.7)点 と上 昇 を認 めた。分 散 分 析 の結 果 、 時 間 経 過 による主 効 果 が見 られた(F(1,7)=4.60,p<0.05)。その後 の検 定 で、フットサ ウナ開 始 前 日 の夜 とサウナ初 日 の夜 の点 数 間 に有 意 差 が認 められ(p<0.05)、フットサ ウナ開 始 前 日 の夜 とサウナ3日 目 の夜 の点 数 間 にも有 意 差 が認 められた(p<0.05)。夢 見 の改 善 傾 向 がみられた。
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④ OSA:第 4因 子 (疲 労 回 復 )
第 4因 子 (疲 労 回 復 )点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.13.(D)に示 す。第 4因 子 (疲 労 回 復 ) は、フットサウナ開 始 前 日 の夜 が40.3(6.3)点 、フットサウナ初 日 の夜 が44.8(7.5)点 、2 日 目 の夜 が43.9(6.9)点 、および3日 目 の夜 が42.8(5.4)点 で大 きな上 昇 は見 られず、フ ットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に 有 意 な差 は認 めなかった。
⑤ OSA:第 5因 子 (睡 眠 時 間 )
第 5因 子 (睡 眠 時 間 )点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.13.(E)に示 す。第 5因 子 (睡 眠 時 間 ) は、フットサウナ開 始 前 日 の夜 が42.5(4.8)点 、フットサウナ初 日 の夜 が46.6(8.4)点 、2 日 目 の夜 が43.9(9.5)点 、および3日 目 の夜 が43.8(9.9)点 で大 きな上 昇 は見 られず、フ ットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に 有 意 な差 は認 めなかった。
73
図 4.13. OSA に よ る 睡 眠 評 価 点 数 の 変 化 (A)第 1 因 子 起 床 時 眠 気
(B)第 2 因 子 入 眠 と 入 眠 維 持 (C)第 3 因 子 夢 見
(D)第 4 因 子 疲 労 回 復 (E)第 5 因 子 睡 眠 時 間
74 (2)SMH
SMHのフットサウナ開 始 前 日 の 夜 の 合 計 点 数 は16.3(4.0)、サウ ナ3日 目 の 夜 の 点 数 は12.8(5.2)と低 下 したが有 意 な点 数 低 下 は認 めなかった。SMHの下 位 評 価 「良 く 眠 れたか」「頭 はすっきりしていたか」「満 足 のいく眠 りだったか」の各 点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.14.に示 す。
① 良 く眠 れたか
「良 く眠 れたか」の項 目 に関 する点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.14.(A)に示 す。「良 く眠 れたか」の項 目 点 数 は、フットサウナ開 始 前 日 の夜 が2.2(0.5)点 、フットサウナ初 日 の 夜 が1.8(1.0)点 、2日 目 の夜 が2.0(0.9)点 、および3日 目 の夜 が1.6(0.9)点 で大 きな下 降 は見 られず、フットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの 点 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
② 頭 がすっきりしていたか
「頭 がすっきりしていたか」の項 目 に関 する点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.14.(B)に示 す。
「頭 がすっきりしていたか」の項 目 点 数 は、フットサウナ開 始 前 日 の夜 が2.8(1.0)点 、フ ッ ト サ ウ ナ 初 日 の 夜 が 2.8(1.3) 点 、 2 日 目 の 夜 が 2.6(0.9) 点 、 お よ び 3 日 目 の 夜 が 2.3(0.9)点 で大 きな下 降 は見 られず、フットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
③ 満 足 のいく眠 りだったか
「満 足 のいく眠 りだったか」の項 目 に関 する点 数 の経 日 的 変 化 を図 4.14.(C)に示 す。
「満 足 のいく眠 りだったか」の項 目 点 数 は、フットサウナ開 始 前 日 の夜 が2.8(0.7)点 、フ ッ ト サ ウ ナ 初 日 の 夜 が 2.6(1.0) 点 、 2 日 目 の 夜 が 2.5(1.5) 点 、 お よ び 3 日 目 の 夜 が 2.0(1.4)点 で大 きな下 降 は見 られず、フットサウナ開 始 前 日 の点 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの点 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
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図 4.14. セ ン ト マ リ ー 病 院 睡 眠 調 査 結 果 (A)良 く 眠 れ た か
(B)頭 は す っ き り し て い た か (C)満 足 の い く 眠 り だ っ た か
76 2)アクティグラフによる客 観 的 睡 眠 状 態 の結 果
入 眠 開 始 から覚 醒 までの時 間 内 における睡 眠 時 間 (smin.)、睡 眠 効 率 (pslp.)、一 連 の覚 醒 区 間 の数 (wep.)、中 途 覚 醒 分 数 (waso.)の結 果 を図 4.15.に示 す。
① 睡 眠 時 間 (以 下 smin.)
smin.に関 する分 数 の経 日 的 変 化 を図 4.15(A)に示 す。smin.はフットサウナ開 始 前 日 の 夜 が 平 均 430.3(147.3) 分 、 初 日 の 夜 が 平 均 412.0(139.0) 分 、 2 日 目 の 夜 が 447.1(123.8)分 、3日 目 の夜 が448.6(77.6)分 で、フットサウナ2日 目 の夜 と3日 目 の夜 にそれぞれ約 17分 、約 18分 増 加 した。フットサウナ開 始 前 日 の分 数 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの分 数 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
② 睡 眠 効 率 (以 下 pslp.)
pslp.に 関 する百 分 率 の 経 日 的 変 化 を 図 4.15(B) に示 す。 pslp.はフットサウナ開 始 前 日 の 夜 が 平 均 93.9(8.6)% で 、 フ ッ ト サ ウ ナ 初 日 の 夜 が 94.4(5.3)% 、 2 日 目 の 夜 が 97.0(3.8)%、および3日 目 の夜 が96.0(4.2)%とわずかに上 昇 したが、フットサウナ開 始 前 日 の値 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの値 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
③ 一 連 の覚 醒 区 間 の数 (以 下 wep.)
wep.に関 する回 数 の経 日 的 変 化 を図 4.15(C)に示 す。wep.はフットサウナ開 始 前 日 の夜 が平 均 2.8(4.7)回 、フットサウナ初 日 の夜 は平 均 5.3(4.7)に増 加 し、2日 目 の夜 が 平 均 3.4(2.9)回 、および3日 目 の夜 は平 均 4.3(3.0)分 へ減 少 した。フットサウナ開 始 前 日 の値 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの値 との間 に有 意 な差 は認 めなかった。
④ 中 途 覚 醒 分 数 (以 下 waso.)
waso.に関 する分 数 の経 日 的 変 化 を図 4.15(D)に示 す。waso.はフットサウナ開 始 前 日 の 夜 が 平 均 23.0(40.5) 分 、 フ ッ ト サ ウ ナ 初 日 の 夜 が 19.0(25.8) 、 2 日 目 の 夜 が 10.9(13.4)分 、およびサウナ3日 目 の夜 が10.9(12.3)分 とそれぞれ減 少 が認 められたが、
フットサウナ開 始 前 日 の値 とフットサウナ実 施 中 3日 間 のそれぞれの値 との間 に有 意 な 差 は認 めなかった。
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図 4.15. ア ク テ ィ グ ラ フ に よ る 睡 眠 状 況 結 果 (A) 睡 眠 時 間 (smin.)
(B) 睡 眠 効 率 (pslp.)
(C) 一 連 の 覚 醒 区 間 の 数 (wep.) (D)中 途 覚 醒 分 数 (waso.)
78 4. 4. 考 察
1)フットサウナ使 用 時 の生 理 ・心 理 反 応
①体 温 変 化 、心 拍 数 、血 圧 変 化
体 温 の評 価 は第 3章 の高 齢 者 を対 象 にした実 験 時 同 様 に被 験 者 の侵 襲 を考 慮 し て、熱 補 償 法 による深 部 体 温 測 定 機 器 を用 いて行 った。本 実 験 は頸 部 下 に実 施 した ドーム型 サウナとは違 い上 半 身 がサウナ内 に入 っていないため、同 測 定 器 によって皮 膚 温 測 定 も実 施 した。熱 補 償 法 による深 部 体 温 はフットサウナ使 用 により安 静 時 から 約 0.4℃上 昇 した(図 4.6.)。約 40℃の温 湯 に10分 入 浴 すると0.5℃程 度 深 部 体 温 が上 昇 すると言 われており(樗 木 2002)、それと同 等 以 上 の 深 部 体 温 変 化 であった。また 前 腕 部 皮 膚 温 度 も同 様 に上 昇 を認 め、深 部 および表 面 双 方 の体 温 上 昇 が望 めると 考 える。 一 方 、心 拍 数 および血 圧 には有 意 な変 化 は認 められず、循 環 動 態 への著 明 な変 化 を伴 わず深 部 体 温 上 昇 を見 込 むことができるということが示 された。心 不 全 患 者 に活 用 されている温 熱 療 法 では、深 部 体 温 上 昇 が1.0℃で心 拍 数 が約 10-15%上 昇 し た 場 合 で も 収 縮 期 血 圧 の 有 意 な 変 化 が な い 場 合 で は 、 酸 素 消 費 量 変 化 は 約 1.5METs以 下 で(鄭 ら 2004)サウナを使 用 することによる運 動 強 度 の少 なさを報 告 し ている。今 回 のフットサウナ実 験 では、深 部 体 温 上 昇 が0.4℃で心 拍 数 上 昇 も収 縮 期 血 圧 上 昇 もほとんど認 めなかったことから、心 疾 患 患 者 においても安 全 で有 効 な温 熱 療 法 の一 つとなることが示 唆 された。今 後 、フットサウナのように部 分 的 な曝 露 であって も温 熱 効 果 が十 分 にもたらされることが明 らかになれば、大 掛 かりな全 身 曝 露 をするサ ウナから簡 易 な部 分 サウナへの移 行 の可 能 性 も広 がると考 える。
国 立 循 環 器 病 センターでは、さらに重 症 な患 者 に対 して足 熱 療 法 を実 施 している (駒 村 2008)。これは42℃のスチーム浴 15分 後 保 温 30分 を一 クールで2週 間 継 続 する プロトコルになっている。この方 法 は15分 間 の加 温 に30分 間 の保 温 を組 み合 わせてい る点 で本 実 験 の方 法 と同 様 であり温 度 も同 レベルである。この方 法 を実 施 した4例 全 てが心 機 能 の改 善 と(心 不 全 の病 態 を評 価 する、脳 性 ナトリウム利 尿 ペプチド)BNPの
79
低 下 を示 している(駒 村 2008)。入 院 患 者 を対 象 に本 研 究 を今 後 も進 めるにあたって は、このように既 に実 践 されている治 療 プロトコルを学 んだ上 での比 較 検 討 が不 可 欠 であると考 える。この場 合 、足 熱 方 法 としてスチーム浴 とフットサウナにはどのような相 違 点 があるか、また実 施 継 続 期 間 は2週 間 と3日 間 ではどのように効 果 が変 化 するかな どである。
フットサウナに関 する研 究 はまだ始 まったばかりであり、ドーム型 サウナとの比 較 検 討 および評 価 の必 要 性 は残 されているが、これまで得 られた結 果 により深 部 体 温 の上 昇 と心 拍 数 および血 圧 の変 化 がほとんど認 めないという点 で、よりフットサウナ適 用 の可 能 性 は広 がったと考 える。
②体 重 減 少 と尿 量
重 症 心 不 全 の治 療 としての和 温 療 法 では、サウナ浴 後 の発 汗 量 に見 合 った飲 水 を 行 うのが原 則 である(池 田 ら 2005)が、今 回 の実 験 では「久 しぶりに汗 ばんだ」などの 訴 えはあったものの発 汗 による体 重 の有 意 な減 少 は見 られなかった。特 に被 験 者 が重 症 心 不 全 患 者 であったため、水 分 出 納 は厳 重 に行 われなくてはならず主 治 医 とコンタ クトを取 りながら慎 重 に実 施 したが、補 給 するほどの発 汗 を認 めなかった。本 実 験 では 精 密 な体 重 測 定 は困 難 であったが、測 定 精 度 1gの体 重 計 であれば発 汗 量 が把 握 で きた可 能 性 があると考 える。また、今 回 は尿 量 測 定 を行 っていないが心 不 全 患 者 の場 合 水 分 排 泄 機 能 が低 下 しているため、腎 臓 へのうっ血 や全 身 へのうっ血 傾 向 がありこ れらの改 善 があった場 合 はサウナの翌 日 などに多 く排 尿 をしている可 能 性 がある。今 後 の サ ウ ナ 実 施 の 際 に は 尿 量 の 経 時 的 な 把 握 を す る こ と が 今 後 の 検 討 課 題 と な っ た。
今 回 の急 性 期 実 験 では発 汗 量 は少 なかったが、今 後 自 宅 で継 続 してフットサウナ を実 施 する場 合 などは心 臓 への負 荷 の軽 減 およびポンプ機 能 の改 善 に伴 い発 汗 量 が増 加 することも予 測 される。そのため、フットサウナを実 施 、継 続 する際 には水 分 摂 取 に関 する指 導 を十 分 に行 う必 要 があると考 える。
④温 冷 感 と温 熱 的 快 適 感
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温 冷 感 はフットサウナに入 って10分 後 に「やや温 かい」から「温 かい」と感 じる傾 向 が 認 められ、その感 覚 は30分 後 も継 続 していた。また、温 熱 的 快 適 感 はサウナ開 始 30分 後 に実 施 前 に比 べ有 意 に「快 適 である」と感 じていた。
心 不 全 患 者 は血 液 の循 環 不 全 によって皮 膚 血 流 量 が減 少 するために手 足 の冷 え を持 っている患 者 が多 い。更 に筋 肉 、腎 臓 、および消 化 管 へ血 流 量 が減 少 するため 倦 怠 感 、夜 間 尿 、便 秘 などの様 々な症 状 を持 っている。体 を温 めることは、心 不 全 患 者 にとってこのような症 状 改 善 にも役 立 っていると考 える。温 熱 療 法 が心 不 全 の治 療 でありながら同 時 に抑 うつや不 眠 、QOL向 上 への効 果 を持 っている(池 田 2005)のは、
温 熱 効 果 が全 身 に影 響 し現 れている様 々な症 状 が改 善 されるためであると考 える。
入 浴 や運 動 の制 限 がある患 者 が温 かく心 地 良 い体 験 をすることは患 者 の心 身 の改 善 につながる看 護 援 助 になると考 える。今 回 の実 験 対 象 者 は、全 員 皮 膚 温 の上 昇 と ともに手 足 の冷 えも改 善 していたため、今 後 は手 足 やその他 の部 位 の冷 感 に関 する 客 観 的 、主 観 的 評 価 と症 状 改 善 の関 係 性 を評 価 ・検 討 する必 要 がある。
⑤気 分 調 査
気 分 調 査 のTA(緊 張 覚 醒 (tense arousal))点 数 は、交 感 神 経 系 の緊 張 程 度 を示 す 指 標 でありリラクゼーションに関 連 が深 い。今 回 の気 分 調 査 結 果 においても、高 齢 者 ド ーム型 サウナ実 験 の結 果 と同 様 にTAの点 数 が有 意 に低 下 しており、フットサウナ実 施 後 は副 交 感 神 経 亢 進 によるリラックス傾 向 にあると考 えられる。現 在 、心 不 全 の病 態 は 神 経 体 液 系 の疾 患 であると捉 えられるようになってきており、交 感 神 経 活 性 の亢 進 や レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系 の亢 進 が心 不 全 の増 悪 因 子 であるというこ とが明 らかにされ治 療 の中 心 となっている。交 感 神 経 活 性 の亢 進 は、心 筋 を傷 害 する 一 因 となるため副 交 感 神 経 活 動 を促 すことは心 不 全 の治 療 的 効 果 にも関 連 するもの である(池 田 2005)。フットサウナによる温 熱 刺 激 は自 律 神 経 バランスを改 善 させる効 果 を示 唆 するものであると考 える。
2)睡 眠 評 価
①OSA、SMH評 価
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フットサウナによる温 熱 刺 激 を3日 間 連 用 してデータを収 集 した結 果 、OSAにおいて
「夢 見 」のみにサウナ後 の有 意 な改 善 が見 られた(図 4.12.)。
重 症 心 不 全 患 者 は、高 圧 作 用 のあるACE阻 害 剤 や心 臓 の負 荷 を減 少 させるβ遮 断 薬 な ど の 薬 物 療 法 を 行 っ て お り 、 そ の 薬 物 の 副 作 用 の 一 つ で あ る「 悪 夢 」 ( 内 山 2006)に関 連 のある項 目 に効 果 があったことは、心 不 全 患 者 の苦 痛 の軽 減 につながる ものであると考 える。高 血 圧 治 療 薬 で悪 夢 を起 こす薬 剤 の機 序 は明 らかではない。そ のため、今 回 の結 果 から温 熱 刺 激 によって悪 夢 が改 善 されるという結 論 は出 せないも のの、睡 眠 状 態 の改 善 には効 果 がもたらされたと言 える。
対 象 となった被 験 者 9名 中 5名 は、マイスリーやレンドルミンといった睡 眠 鎮 静 剤 ある いは睡 眠 導 入 剤 を常 用 していたにもかかわらず、フットサウナ実 施 前 のOSA評 価 点 数 は平 均 点 よ り低 値 であり、SMH評 価 点 数 は平 均 値 より高 値 であっ た。入 院 患 者 の 睡 眠 状 態 が通 常 平 均 値 に満 たないことが改 めて示 された。入 院 患 者 は、自 己 の持 つ疾 患 や症 状 以 外 にも何 らかの身 体 的 、心 理 的 苦 痛 を持 っており、全 体 の5割 は不 眠 をは じめとする症 状 を伴 っていると言 われている(神 原 2008)。そのために、入 院 前 には服 用 していなかった睡 眠 薬 を必 要 とすると考 える。先 行 研 究 によると、入 院 中 に睡 眠 のた めの薬 物 療 法 をしている患 者 は全 体 の約 3割 おり、そのうち入 院 前 は、睡 眠 薬 を内 服 していなかった患 者 が全 体 の約 6割 いると言 われる(石 田 2008)。以 上 の様 な患 者 の 睡 眠 問 題 に対 して、薬 物 使 用 を否 定 するものではなく、適 応 のある患 者 には使 用 をた めらってはいけないが、看 護 師 は諸 々の要 因 を持 った睡 眠 障 害 に向 き合 い、どの援 助 が必 要 なのか正 確 にアセスメントする必 要 がある。現 状 として看 護 師 が行 っている最 も 多 い睡 眠 への援 助 は薬 物 投 与 であるが、睡 眠 に関 する看 護 援 助 に対 して、患 者 が望 んでいる援 助 は足 浴 やマッサージなどの薬 物 療 法 以 外 の援 助 である(石 田 2008)と言 われる。温 熱 効 果 を活 用 して患 者 を睡 眠 へ導 入 することは、看 護 師 として意 義 のある 援 助 であると考 える。OSAにおいては、有 意 差 のあった夢 見 以 外 にも「起 床 時 の眠 気 」、
「疲 労 回 復 」に関 して僅 かな点 数 の上 昇 があり、SMHにおいては「良 く眠 れた」、「頭 は すっきりしていた」、「満 足 のいく眠 りだった」を始 めとる点 数 の僅 かな低 下 を示 していた
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が、今 後 は実 験 対 象 の数 、実 験 条 件 、測 定 項 目 などを増 やし、フットサウナを使 用 し ての睡 眠 に対 する看 護 援 助 を確 立 していきたい。
②アクチィグラフを使 っての評 価
今 回 、睡 眠 の評 価 に関 しては、質 問 票 以 外 に、アクティグラフによる睡 眠 状 態 のモ ニターを行 った。今 回 のアクチィグラフの結 果 では、循 環 器 疾 患 患 者 の不 眠 の特 徴 を 踏 まえて、「睡 眠 時 間 」 、「睡 眠 効 率 」、「 一 連 の覚 醒 区 間 の 数 」および「 中 途 覚 醒 分 数 」に着 目 した。その結 果 「睡 眠 時 間 」はフットサウナ実 施 前 も実 施 後 も約 7時 間 、「睡 眠 効 率 」も90%以 上 認 められ、「睡 眠 時 間 」および「睡 眠 効 率 」ともに数 値 としては十 分 であった。しかし、OSAやSMHによる自 己 申 告 においては平 均 値 に至 っておらず十 分 な睡 眠 が取 れているとは言 えなかった。睡 眠 に対 する主 観 的 な充 実 感 とそれを客 観 的 な指 標 として捉 える事 は困 難 であり今 後 の課 題 となった。
また、今 回 の対 象 は日 中 の生 活 も安 静 に経 過 している心 不 全 患 者 であるため、アク ティグラフの特 性 上 体 動 の少 なさが睡 眠 と判 断 される場 合 もあり(中 山 2006)今 後 の 使 用 時 にはその特 性 を十 分 に把 握 した上 でより精 度 の高 い分 析 に努 めたいと考 える。
今 回 は、データ数 の不 足 により統 計 的 な差 異 を認 めるまでに至 らなかったが、今 後 は 症 例 数 を増 やして結 果 を検 討 していきたい。
3)入 院 患 者 へのフットサウナの適 用 に関 する評 価 と課 題
日 中 の温 浴 や運 動 による体 温 上 昇 は徐 波 睡 眠 を増 加 させるという報 告 があるが、
体 温 上 昇 を し た 後 に 一 旦 体 温 を 低 下 さ せ る と 徐 波 睡 眠 は 増 加 し な い と も 言 わ れ る (Horne et al. 1981)。睡 眠 を目 的 に受 動 的 過 熱 をする場 合 は、睡 眠 までの時 間 が重 要 である。 一 般 的 に 入 浴 においては、就 寝 一 時 間 半 前 に 深 部 体 温 が0.5~1.0℃上 昇 する程 度 の入 浴 をする方 が、2時 間 前 よりも、就 寝 から入 眠 するまでの時 間 (入 眠 潜 時 ) や 中 途 覚 醒 、 睡 眠 前 半 の 深 い 睡 眠 の 点 で 改 善 が み ら れ る と の 報 告 も あ る ( 粂 2005)。
本 研 究 では、フットサウナ実 施 により睡 眠 状 態 を評 価 するため、フットサウナの実 施 時 間 が重 要 なポイントであった。そこで、先 行 研 究 にあるように体 温 が低 下 しない時 間
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帯 であり、先 行 研 究 でも勧 められている睡 眠 1時 間 前 に実 施 することを統 一 した。今 回 、 睡 眠 に関 する評 価 においては「夢 見 」に有 意 な睡 眠 状 態 の改 善 傾 向 が見 られており、
フットサウナの使 用 は睡 眠 への援 助 としては侵 襲 も少 なく実 施 できる有 用 な方 法 であ ると考 え、今 後 は症 例 数 や実 施 日 数 を増 やしつつ、エビデンスを構 築 していくことが必 要 であると考 える。
今 回 の実 験 は、温 熱 療 法 のメリットを掲 げた上 で、患 者 から希 望 がある場 合 に実 施 した。多 くの患 者 は薬 物 療 法 の限 界 にあり、温 熱 療 法 にすがるように熱 心 に実 施 して いた。睡 眠 に関 してOSAの「夢 見 」に有 意 な効 果 が認 められたが、その他 の感 想 として 得 られた訴 えとしても「手 足 が暖 かくなった」「便 通 が良 くなった」などの反 応 とともに、
皮 膚 色 の改 善 が認 められた。これらは今 回 の評 価 項 目 に含 まれていないため今 後 の 研 究 の際 にはそれらの評 価 項 目 を検 討 したいと考 えた。
前 述 したように、重 症 心 不 全 患 者 はその循 環 障 害 のために多 くの患 者 が冷 え症 や 便 秘 といった訴 えを持 っているが、フットサウナ実 験 を通 して足 を温 めただけでこれほ ど体 が温 まるのかとほとんどの患 者 が驚 きと喜 びの反 応 を示 した。また、3日 間 のフット サウナの実 施 中 に「夢 見 」に関 する睡 眠 評 価 が得 られたことをはじめとする「良 く眠 れ た」という訴 えを反 映 できるような評 価 方 法 を検 討 し、今 後 の入 院 患 者 の睡 眠 援 助 へ の看 護 を追 及 していきたい。
現 代 の重 症 心 不 全 治 療 は、薬 物 療 法 、左 右 両 心 のペーシング(電 気 刺 激 により人 為 的 に心 筋 細 胞 の興 奮 を作 り出 し心 収 縮 を引 き起 こす事 象 )をする両 心 同 期 療 法 、 運 動 能 力 が改 善 される心 臓 リハビリテーション療 法 などが中 心 であるが、治 療 が最 終 的 に困 難 である治 療 抵 抗 性 事 例 は多 く存 在 している。本 研 究 ではこのような治 療 抵 抗 性 がある患 者 を対 象 にフットサウナの様 々な効 果 を確 認 することができた。フットサウナ の実 施 によって患 者 自 身 が機 能 回 復 を実 感 し、ほぼ全 員 の患 者 が自 宅 でもフットサウ ナを続 けている。今 後 はフットサウナの長 期 的 効 果 についても含 めて研 究 を継 続 して いきたい。
84 4. 5. まとめ
フットサウナによる温 熱 刺 激 が入 院 患 者 へ与 える生 理 ・心 理 反 応 について、基 礎 的 データを得 た。熱 補 償 法 による深 部 体 温 測 定 によって安 静 時 の体 温 から0.4℃の上 昇 を認 めた。また、前 腕 部 皮 膚 温 の上 昇 も0.6℃あり、フットサウナによる深 部 および表 面 温 度 の上 昇 を確 認 することができた。一 方 、心 拍 数 および血 圧 の変 動 はほとんど認 め ずフットサウナが心 不 全 患 者 にとっても安 全 に実 施 できるものであることが示 された。
フットサウナによる発 汗 および体 重 減 少 はほとんど認 めなかったが、心 不 全 患 者 の 特 徴 として全 身 に 貯 留 している水 分 がその後 の全 身 状 態 の 改 善 によって排 尿 として 排 泄 されている可 能 性 があり、今 後 の研 究 においては尿 量 の確 認 が正 確 に行 うことが 課 題 となった。
患 者 は、フットサウナの実 施 によって「温 かい」体 験 をしており、この温 かい体 験 は全 身 の血 液 循 環 を改 善 し各 臓 器 の機 能 回 復 に寄 与 する可 能 性 があること、気 分 調 査 に おいても緊 張 覚 醒 点 数 が低 下 して自 律 神 経 系 のバランス改 善 に関 連 する可 能 性 があ ることが考 察 された。
睡 眠 に関 しては、OSA、SMH、アクティグラフによる評 価 の中 で、OSAの「夢 見 」のみ に有 意 な睡 眠 改 善 の効 果 が認 められた。循 環 器 疾 患 患 者 の使 用 する薬 物 には悪 夢 を副 作 用 とするものも多 く、フットサウナ3日 間 の連 用 において睡 眠 状 態 の改 善 に役 立 ったと考 える。他 の有 意 差 を認 めなかった項 目 に関 しても、今 後 対 象 数 や実 験 日 数 を 増 やすなどして睡 眠 状 態 の改 善 に向 けて追 求 していきたい。