フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐ る最近の動向
著者 荻野 奈緒
雑誌名 同志社法學
巻 59
号 3
ページ 227‑278
発行年 2007‑09‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011321
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二二七同志社法学 五九巻三号
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる 最近の動向
荻 野 奈 緒
目次Ⅰ はじめにⅡ 破毀院全部会二〇〇六年四月一四日判決前夜の状況
括小⑶ 二⑵ 破毀院第部民事 の判決 決破 の部事民一第院毀判⑴ 1況状の例判
析分⑶ るもの と法不契任責約責為の任と⑵相違として整理す 行 ⑴ 破毀院内部の見の解相違として整理するのも 2 応反の界学 破年決判日四一月四六毀〇〇Ⅲ 会部全院二
1破年決判日四一月四六毀 〇二会部全院〇 事 ⑵ 法検院による意見書 に書告報るよ官裁告報⑴ 判 2よ報告書お び意見書内容の
てえかにびすむⅣ 析分⑶ といするもの 判件を要求したで決性は必ずしもな要能見予 ⑵ 不 求性を件要予能不見⑴ 要判した 決だとするもの 3応反の界学
(一六一七)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二二八同志社法学 五九巻三号
Ⅰ はじめに
我が国における伝統的通説は、契約責任にも過失責任原則が妥当すると考えて、その要件である「債務者の責めに帰
すべき事由﹂(帰責事由)を「債務者の故意過失および信義則上これと同視し得る事由﹂と解し、契約責任の要件として債務者の過失を要求してきた (
責が、契約の不履行あ伴れば原則として帰いに時開れに対し、近の。帰責事由論の展こ 1)
事由も認められるとする見解が有力化し、債務者の過失は独自の要件としての地位を滑り落ちようとしている。そして、このような見解は、債務者の非帰責事由として、民法四一九条三項にいう「不可抗力﹂を想定する (
。 2)
しかしながら、我が国においては、これまで、不可抗力に関する議論に乏しく、その意義や要件は必ずしも明らかにされてきたとはいえない (
は一件に関する理解は致やをみているわけで要義説意た、近時の有力内。でも、不可抗力のま 3)
ない。すなわち、潮見佳男教授は、不可抗力について、「およそ債務者の行為可能性(したがって合理人の注意義務)を前提としない結果実現保証を前提とし、結果不実現を理由とする損害賠償責任からの解放事由としての意義を有する
ものであるから、履行過程において債務者としてどこまで合理的な注意を尽くして行動すべきであったかという観点から問題となる事象の支配・回避(克服)可能性を吟味するのは適当でない。むしろ、不可抗力の本来の意義に立ち返り、
個人による支配という観念を容れる余地がある事象かどうかで判断すべき﹂だと主張する (
程概情﹂であるとし、「不可抗力の念いは、結果債務における債務の射事難可「は、不し抗力とは何人も予見も回避も 、これに対し。森田宏樹教授 4)
ないし厳格さの限界を画するものとして理解することができる﹂としている (
でと為による責任の免責事由しのて機能してきたフランス所物くや外に目を転じると、古か ら不可抗力が契約責任国 。 5)
は、二〇〇六年四月一四日に、不可抗力の要件に関し、二つの破毀院全部会判決が出された。これら判決は、不可抗力 (一六一八)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二二九同志社法学 五九巻三号 の要件に関する議論の中で、大きな意義を有するものと考えられる。 また、これらの判決が出される以前には、破毀院各部において、不可抗力の要件に関し、一見相互に矛盾するように
みえる判決が出されていた。これらの諸判決に対しては、学界から多くの批評が加えられており、その中には、不可抗力の要件の変遷と「契約責任﹂の基礎に関する議論とを接続して理解しようとするものが散見される。このような見解
の存在は、契約責任の帰責根拠をどのように理解するのかによって、不可抗力の意義や要件が異なり得ることを示すものであり、非常に興味深いものであるといえよう。
そこで、本稿では、フランスにおける不可抗力の要件に関する近時の判例の展開状況とこれに対する批評を紹介し、これらについて検討を加えることを試みる。フランスでは、不可抗力の伝統的要件とされる外部性、予見不能性、抵抗
不能性の三要件うち、前二者の要否が議論されているが、それぞれの要件ごとに、議論の展開状況が異なる。そこで、本稿では、予見不能性要件に関する議論のみを取り上げることとし、外部性要件に関する議論の紹介および検討は別稿
に譲ることとさせていただきたい。 検討の順序は、次のとおりである。まず、破毀院全部会二〇〇六年四月一四日判決前夜の状況について、判例および
それらに対する批評を中心に検討し、議論の対立点を明らかにする(Ⅱ)。次に、破毀院全部会が二〇〇六年四月一四
日に出した二つの判決を紹介し、学界がこれらの判決をどのように受け止めているのかを俯瞰する(Ⅲ)。最後に、以上の検討によって得られた若干の示唆に言及して、本稿を閉じることとしたい(Ⅳ)。
(一六一九)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三〇同志社法学 五九巻三号
Ⅱ 破毀院全部会二〇〇六年四月一四日判決前夜の状況
、けけると不法行為の分野におるにとにかかわらず、不可抗力はお野る的ランスにおけ分伝統判 例・通説は、契約のフ
1
況状の例判 外部性、予見不能性、抵抗不能性の三つの要件によって性質づけられる事象であるとしてきた。 しかしながら、一九九四年以降、上記のような判例の立場に揺らぎがみられはじめる (。その端緒となったのは破毀院 6)
第一民事部一九九四年三月九日判決であり、爾後、同部は、予見不能性要件を必ずしも要求しない判決を出している。そして、破毀院各部のうち、商事部は第一民事部に追随している (
別ははと件要性能不抗抵、部事民二第、し対にれこ。 7)
に予見不能性要件を要求し続けており、第三民事部は第二民事部に同調している (
の毀るまでの間に出された破院に各部による判決は多数に至決部判九九四年以降破毀院全会 二〇〇六年四月一四日一 。 8)
ぼる。そのため、ここでは、民事判例集に登載された破毀院第一民事部および同第二民事部の判決の一部を、評釈等で紹介されたものを中心に、紹介することとしたい。
1
破毀院第一民事部の判決︻
₁
九決判日九月三年四九︼一部事民一第院毀破 (9)
︿事案﹀ 一九八五年七月二七日午前五時頃、四人の犯人が、
Y
、開を庫金てし脅で器凶し社入侵にルテホるす営経のけさせ、金品を強奪した。同ホテルの宿泊客である
X
は、審。返還を求め、提訴した原院訴(エクサンプロヴァンの一控上はで能不見予は盗強記、九は)決判日九月四年一九ス
Y
社対および同社の保険会社にし員、上記金庫に預けていた金 (一六二〇)フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三一同志社法学 五九巻三号 なかったから民法典一九五四条一項にいう不可抗力を構成しないとして、
X
の請求を認容した。い構能性がそれだけで不可抗力を成抗し得るか否かを検討していな不抵、抵、原審がつ強盗が抗社不能だったとしつは
Y
会険保のそびよお社点等において不当であると主張して、破毀申立をした。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。「事象の予見がその効果を妨げることを可能とし得ないときに、当該事象の抵抗不能性がそれ
だけで不可抗力を構成し得るとしても、債務者がその事象の発生を回避するために必要とされるあらゆる手段を講じたのでなければならない﹂と判示した。そして、
Y
な客泊宿のルテホ、ずせを備警格ま厳ので口入、は者用被のそはたと会う約束があると言った犯人の一人に対して夜警が自ら入口の扉を開けていることから、
。じとり得る手段を講たゆとはいえないとしたるらるれさと要必てっあ
Y
予は強盗の社見可能性よに︻
₂
九決判日六二月五年四九︼一部事民一第院毀破 (10)
︿事案﹀
X
。導水網を設置したこ水の銅製パイプは、の温社不は、A夫婦所有の動に産の銅製パイプ内Y造されY
1
社により製2
、一九八五年以降水し漏れが発生した、食社たにより販売されも腐のであったが、。A
夫婦がX
社に対して損害賠償を求め提訴したところ、大審裁判所は一九八七年六月二六日に、
X
置うよるす置設を装社の策対水てし対に命じる判決をした。X社はこれを履行した上で、A夫婦に代位して、一方ではコンカルノー市に対して、同市があまりに「攻撃的な﹂水を供給したことを理由に、他方では、Y
1
社およびY2
しめ求を還償の用費た要社に置設置装、てし対に、提訴した。原審(レンヌ控訴院一九九二年九月二四日判決)は、パイプの品質に問題はなく、設置方法も当時の建築準則に適合的なものであって、その腐食はその化学成分が銅に作用する水の「攻撃性﹂のみによるものだと認定した上で、
一方でY
1
社およびY2
る適した水を供給すべ法き義務に違反したに用社他は無関係だとし、方はでコンカルノー市と(一六二一)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三二同志社法学 五九巻三号
して、
X
のがパイプの選択も水加同温条件も制御していな市、社認の同市に対する請求を容はした。コンカルノー市かったにもかかわらず、原審が問題となった水の成分が偶然事の結果ではないかという点を検討しなかった点等を批判して、破毀申立をした。
︿判旨﹀ 破毀申立棄却。偶然事は、必ず、債務者の活動に外部の事象を前提とするが、本件はこれにあたらないとした。
︻
₃
九決判日四二月一年五九︼一部事民一第院毀破 (11)
︿事案﹀ 一九八二年一一月一八日、
X
契圧電力の供給約、を締結した。と高で社電は、フランス力間(EDF)とのころが、一九八七年一月および一九八八年に、電力の供給停止が生じた。
てた、はFDE。し記訴提、め求を上供賠員っよに部一の業給従のそ、は止停償の害っンラフ〇三、二四八七()損た
X
は、、EDFに対し社上記供給停止にり被よなされたストライキの結果であって、これは不可抗力の性質を有すると反論した。また、EDFは、反対に、
五審ランの支払を求めた。原(九ドゥエ控訴院一九九二年フ四分の、一九八七年一月・代し金として五六七、〇八四て
X
対に社月一四日判決)は、一九八七年一月に起こったストライキは不可抗力にあたるが、一九八八年の供給停止については不可抗力の証明がないとして、差し引き計算の上、
X
に、七二九、一六九四、はていつ求社請のFDE、し却棄は求請の七フランおよびこれに対する一九九〇年六月七日以降の遅延損害金の限度で認容した。
、一公共および国有企業体における般に的な大規模ストライキは、通常、上そにいれ自体、企業外は部の事象ではな、
X
キイラトスるよに員業従、は社予見不能でもないから、不可抗力を構成しない等と主張して、破毀申立をした。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。一九八七年一月のストライキは、労働組合連合によって、公共および国有企業体における労働
政策に反対するべく行われたものであり、EDF自身は、その従業員にストライキへの参加を禁じることも、労働再開 (一六二二)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三三同志社法学 五九巻三号 命令(
ré qu isi tio n
)をとることも、十分な資格を備えた臨時職員をストライキ参加者の替わりに配置することも不可能だったというのであるから、このような公共および国有企業体全体の大規模なストライキは、EDFの外部に存し、EDFはこれを予見することはできなかったとした。また、賃金に関する政府による統制があることから、EDFとしては従業員の要求を満足させてこれを妨げることはできず、技術的な理由からこれを克服することもできなかったとし、
原審の判断は正当だと判示した。
︻
₄
九決判日一一月六年六九︼一部事民一第院毀破 (12)
︿事案﹀ マルセイユ自治港は、港湾運荷役業を行うために、クレーン管理業者と契約し、提供されたクレーンを自らの
従業員に操作させていた。ところが、一九九〇年一月二〇日の一〇時から一二時までおよび一七時から二〇時までの間、クレーン操作員らは、予告なく、業務を行わなかった。海運業者や積み替え業者である
X
らは、その期間に雇い入れていた港湾労働者に無駄に報酬を支給しなければならなかったとして、自治港に対し、その損害の賠償を求め、提訴した。自治港は、これらの違法なストライキは不可抗力を構成するから、同港は責任を免れると反論した。原審(エクサンプ
ロヴァンス控訴院一九九四年二月二二日判決)は、クレーン操作員らによる違法な業務停止は、その結果を解消する有
効な手段が全くない状況において生じたものであるから、予見不能かつ抵抗不能の性質を有し、自治港をして、外在的事由の結果として、その債務の履行を全く不能にさせるものであるとして、
X
らの請求を棄却した。X
らはこれを不服 として、破毀申立をした。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。クレーン操作員が、労働法典L.五二一⊖
三条に違反して、突然に短時間業務を停止したことを指摘した上、自治港は、その結果を解消する措置は全くとり得なかったとした。また、自治港は、労働法典の規定順守
(一六二三)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三四同志社法学 五九巻三号
を心がけ、従業員や労働組合に対して、法定の予告を行うよう、多数回にわたり警告をしていたというのであるから、
原審の判断は正当だと判示した。
︻
₅
九決判日〇一月二年八九︼一部事民一第院毀破 (13)
︿事案﹀
X
は、一九九二年に、Y P A C
の年間の調髪適職業、性証書(二で学二校との間で、三、〇金〇〇フランの代)取得準備のための受講契約を締結したが、健康上の理由から、予定されていた養成講座を受講できなくなった。
、停らかとこたし止をい払支の金代講
X
が受Y
学校は、X
、院訴控リパ(審原。たし訴提てにめ求をい払支の金代残、し対一九九五年一二月一四日判決)は
Y
学校の請求を棄却したため、Y
学校は、X
の疾病はX
に外部のものではなく、また、X
張を構成しない等と主し抗て、破毀申立をした力可に妨よる代金の支払いをげ不るものではないから、。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。
X
は、疾病のために、示なもてしとたっかで可のもの部外てっと不抗女審判とるあで当正は原力たしとるす成構をに同抵こ病疾の能不抗はの
Y
受を座れ講るよさ供提りでに校講学きなくなっというのであるから、たした。
︻
₆
九決判日八月二一年八九︼一部事民一第院毀破 (14)
︿事案﹀ 一九九〇年五月二九日に、
X
社は、旅行会社であるY
業一九九一、のめたの員従社の名〇〇五のそ、し対に年一月二一日から同月二四日の間の、マラケシへの交通と宿泊について、代金二、八四八、〇〇〇フランで、委託した。
X
社は、一九九〇年一二月二一日に、中東およびアラブ諸国における情勢不安により旅行を取りやめるか否かを検討した
ものの、取りやめないことを明言した。一九九一年一月一四日の湾岸戦争前夜になって、
X
社は、ペルシャ湾岸におけ (一六二四)フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三五同志社法学 五九巻三号 る情勢の危機を理由として、旅行をキャンセルした。
、てし張主とるれさ化当正
X
消っは、旅行契約の一方的解よはに力抗可不る社に争戦岸湾よY
審、提訴した。原(めパリ控訴院一九九て求社旅に対して、既払行を代金の全額の返還六年四月一二日判決)は、当該状況は、予見不能でも回避不能でもなかったとして、
X
社の請求を棄却した。当い月の段階でしか判断してな年いが、契約締結日にX社が一一案に湾岸戦争が当該事九及審ぼす影響について一九は
X
原、は社該事象を合理的に予見し得たか否かが検討されるべきである等と主張して、破毀申立をした。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。原審は、不可抗力を構成するとした当該状況について克服不能ではなかったとしており、この
理由のみによって、その判断を正当化することができるとした。また、マラケシおよびモロッコ王国は、一九九一年一月当時、テロの危険性の高い場所ではなく、外務大臣による一九九一年一月一七日付け通達は渡航について注意を喚起
するものにすぎなかったとして、原審の判断は正当であると判示した。
︻
₇
九決判日七一月一一年九︼九一部事民一第院毀破 (15)
︿事案﹀ 農業従事者によるデモのときに、
Y
社施設が放火され、同社がX
たたれさ壊破が品商い社てし管保にめたの。X
社はY
社に対して損害賠償を求めたが、Y
はムーニ(審原。たし絶拒を償補社社主は不可抗力を張会し、その保険控訴院一九九七年六月一九日判決)は、商品が保管されていた場所への暴徒の侵入は不可抗力を構成するとして、
請求を棄却した。
X
社のX
お対デモが多発してり入、彼らがどのような反輸社業は、上記当時、農従の事者による外国製品精神状態であったかは知られていたのであるから、暴虐行為は予見可能であり、
。たゆる措置を講じるべきだっ等あと主張して、破毀申立をしたらな商い有にめたる守を品用る
Y
はそよの施設お社びそこに保管れてさ︿判旨﹀ 破毀申立棄却。
Y
、デモが暴徒化し農は業従事者が放火し、壊社保施設内の冷蔵室に管破されていた商品のた(一六二五)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三六同志社法学 五九巻三号
ことによるもので、暴徒は治安部隊による統制を逃れてきたというのであり、当該状況は抵抗不能だったというのであ
るから、その理由のみによって、原審は不可抗力を性質づけると正当に判断したと判示した。
︻
₈
〇決判日二一月二一年〇︼〇二部事民一第院毀破 (16)
︿事案﹀
X
さ別の旅客に暴行れ中、傷害を負った、車はパ、マルセイユ・リ乗間を結ぶ電車に。X
は、フランス国有鉄道(SNCF)に対し、損害賠償を求めて、提訴した。原審(リオーム控訴院一九九八年六月二五日判決)は、SNCFによる不可抗力の主張を退けて、
X
す他の旅客に対る客突然で粗暴な暴の旅のた請求を認容し。るSNCFは、あ行は、あらゆる旅客運送業者にとって抵抗不能であり、第三者の所為の抵抗不能性は、その予見可能性がその効果を妨げることを可能としないときは、それだけで不可抗力を構成する等と主張して、破毀申立をした。
︿判旨﹀ 破毀申立棄却。本件暴行は、切符を持っておらず、酩酊状態にあった旅客によってなされたものであり、SNCFは、旅客の安全確保のための車掌による巡回がなされていることや、事件当時、加害者が検査されていたことを立
証しないというのであるから、原審が、本件暴行は回避可能であり不可抗力を構成しないとしたのは正当であると判示した。
︻
₉
〇決判日三月七年二〇︼二部事民一第院毀破 (17)
︿事案﹀ 一九九三年一一月二六日、
的ス九九九一院訴控ン六エクサンプロヴァ(審原。たれら年月をC体身、し対にFN三S、は)決判日〇盗石、上た宝
X
ー電ぶ結を間ス・ニにヴーネュジ、車は乗さしを我怪、れ脅車で丁包に盗強、中損害の賠償を命じた。SNCFは、電車内での暴行は、警察権限を有さないSNCFにとって全く抵抗不能だった等と (一六二六)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三七同志社法学 五九巻三号 主張し、破毀申立をした。︿判旨﹀ 破毀申立棄却。「鉄道旅客運送業者は、旅客に対して、結果債務としての安全債務を負うから、不可抗力事象
の証明によってしか、その責任から解放されない﹂と判示した。その上で、暴行は予見不能ではなく、SNCFが車両に乗る者について検問を行う手段を有さないとしても、少なくとも、十分な人数の車掌が車両内を定期的に巡回すれば
抑止効果があったというのであり、SNCFはいかなる防止措置をも主張立証しない以上、原審が暴行には抵抗不能性がないとして不可抗力の存在を否定したことは正当であるとした。
︻
₁₀
〇決判日六月一一年二〇︼二部事民一第院毀破 (18)
︿事案﹀ 旅行会社である
。旅たし売販画企を行
Y
あト日催行のエジプで一者学トプジエ、は五月る九Aが同行する一九同七年三月社日から三X
がャキが行旅に由理を疾病および手術のA、たはいてしへの参加を予定行旅トプジエのこ、ンセルされたために、
、予高齢であるAの疾病は見は不能ではないとして、
Y
一求原。たし訴提、めを(償賠害損、し対に審パリ五九区小審裁判所一社八第年一二月一七日)九X
の請求を認容した。︿判旨﹀ 原審破毀。「事象の抵抗不能性はそれだけで、不可抗力を性質づける﹂と判示し、原審には民法典一一四八条
への違反があるとした。
︻
2
破毀院第二民事部の判決₁₁
九決判日九二月五年六九︼一部事民二第院毀破 (19)
︿事案﹀
X
転エレーベーター内で倒物した。ルーアン初級疾の建は公ルーアン市整備建設社る(OPAC)の所有す病(一六二七)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三八同志社法学 五九巻三号
保険金庫が、OPACおよびXに対し提訴したところ、第一審は、民法典一三八四条一項に基づき、
X
が被害に遭った事故の結果につきOPACが責任を負うとした。これに対し、原審(ルーアン控訴院一九九四年六月一五日判決)は、上記エレベーターが損害の原因であるとした上で、エレベーターがその階にいないときに、踊り場の扉がボタンを押し
ただけで開くことは考えられないことであって、六階の踊り場の扉が開いたことは、OPACに帰責できない装置の異常操作によるものとしか考えられないとした。そして、エレベーターは純粋に消極的役割しか果たしていないから、O
PACは、責任推定から免責されるとした。︿判旨﹀ 原審破毀。「事故状況は不明確であって、この異常な開扉の原因がOPACにとって予見不能かつ抵抗不能の
性質を有する外在的事由にあるとは判断していない﹂以上、原審には一三八四条一項への違反があると判示した。
︻
₁₂
九決判日八一月三年八九︼一部事民二第院毀破 (20)
︿事案﹀ サイクロンがレユニオン島を通過した際に、建設工事会社である
X
が産動不、し壊倒ン社ーレクるす有所の会社である
Y
社所有の建物を損壊した。X
用がたし出支を費社償賠の害被、は、。一・レユニオン控訴院一九九五年〇・月六日判決)は請求を棄却したラゥ原訴・ニゥド=ンサ(審ド。たし
Y
費に対し、その社用の償還を求め、提︿判旨﹀ 破毀申立棄却。サイクロンが気象情報と異なる仕方で発達した事実はなく、
しでの一部を解体することが不可能あ、ったことを証明しないことからそにレ倒ーンの全部が壊クするのを防ぐため
X
、に間のでま階段二第の報警が社て、「
X
た手段をとっていなかっ﹂得とし、当該サイクロンはるり社っは当該事象の予見によてと必要とされるあらゆる、X
かに課せられる責任推定ら同の免責を導く不可抗力を社る社なにとって抵抗不能ではいたから、クレーンの保管者構成しないと判示した。 (一六二八)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二三九同志社法学 五九巻三号 ︻
₁₃
九決判日一月四年九九︼一部事民二第院毀破 (21)
︿事案﹀
X
人たっ遭に害水、がたっあで借社賃の分部階地の産動不るあは。X
償該当、てめ求を賠社の害損のそ、は不動産の区分所有者組合およびその保険会社を提訴した。原審(エクサンプロヴァンス控訴院一九九七年四月一〇日判決)は、その水害は市の下水が詰まったことによって引き起こされたものであって、当該不動産には防水栓の設置が強制さ
れてはおらず、どの警報も例外的局面において発生したこの種の氾濫を予防する必要性について、事前に注意を促すことはできなかったとして、請求を棄却した。
︿判旨﹀ 原審破毀。「事象が外部の、予見不能かつ抵抗不能のものでなければ、不可抗力を構成し得ない﹂。組合にとって任意のものであったとしても、防水栓の設置を予定する規約の存在は、市の下水の詰まりによる水害を予見可能とす
るものであるとし、それにもかかわらず、前記のとおり判示した原審には民法典一三八四条一項への違反があると判示した。
︻
₁₄
〇決判日三一月七年〇〇︼二部事民二第院毀破 (22)
︿事案﹀
Y
に、Zが駐車禁止区域止中めていた車両の警報装に最社さ団によって企画準備れのた音と光のスペクタル置が、花火と消防車のサイレンと同時に作動した。スペクタクルに参加するはずだった二頭の馬が動転し、ギャロップで路上に逃げ出した。これらの馬は一旦連れ戻されたものの、クラクションを鳴らした消防車に追い越された際に再度に
ギャロップで駆け出して
X
の車両に衝突したため、X
死たっ至にるす傷はお者乗同のそびよ。X
らは、エての被った損害の賠償を求め、、提訴した。原審(ポワティそして保険会社に対し及馬の管の者としての責任を追保
Y
そびよお団社控訴院一九九八年九月八日)が、時ならぬ車両警報装置の作動は予見可能だった等として
Y
社団の責任を認めたのに対(一六二九)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四〇同志社法学 五九巻三号
して、
Y
象いとき、被告がその事のし発生を回避するためになと社そ団は、事象の予見がの能効果を妨げることを可必要なあらゆる措置を講じた場合には、当該事象の抵抗不能性はそれだけで不可抗力を構成する等と主張して、破毀申立をした。
︿判旨﹀ 原審一部破毀。ただし、
れ示本、てしそ。たし判スとるあで当正は点た件ペと街さ催開に季夏で地市クい多のり通人はルタしだ要成構の力抗素
Y
す方御防撃攻る抗関に力は可不の団法社容予可不は性能不見のれ象事、が審、ず原たものであり、時ならぬ車両警報装置の作動や救護サービスの出動は頻繁にあったのであるから、上記の状況は
。、たしといなし成構を力抗可不ずえいはと能不見予てっとに
Y
社団︻
₁₅
〇決判日一一月一年一〇︼二部事民二第院毀破 (23)
︿事案﹀ 視覚障害者である
。のたっ負を害傷、し落転に間
X
たにと線路いてっ立端ーのムーホの駅、ムホがる、電車が通過す際てにはランスを崩しバX
損険金庫に対し、害病賠償を求め、提保疾はび、SNCFおよヴ級ァルドワーズ初訴した。原審(パリ控訴院一九九八年一〇月二一日判決)は、SNCFに帰責されるフォートの証明がないとし、次のような理由から
X
の請求を棄却した。すなわち、X
かとこたいてし用利ら頃は日を駅たっあの故事、X
が軽率にホームの端に立ったこと、SNCFの係員が一度目に口頭で警告したにもかかわらず、
、度クラクションを鳴らして二目士に警告したにもかかわらずが転た続車電にらさ、とこ運け
X
これさに耳を貸はず危険な位置立ちにX
はホームの端から離れず、その非常に危険な立ち位置のせいで、バランスを崩して線路に転落したことからすれば、このような被害者のフォートは、SNCFにとって予見不能かつ抵抗不能である。そして、鉄道車両はその重量や体積からして、すぐに停止で
きないのであるから、SNCFは本件損害を防止することはできなかった。したがって、SNCFは、民法典一三八二 (一六三〇)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四一同志社法学 五九巻三号 条一項により課される責任推定から免責されるとした。︿判旨﹀ 原審破毀。「被害者のフォートは、不可抗力を構成するときにしか、保管者の責任の全部を免責しない﹂とし
た上で、本件における被害者の行為態様は不可抗力の性質を有さないと判示した。
︻
₁₆
〇決判日五一月三年一〇︼二部事民二第院毀破 (24)
︿事案﹀
X
行たし傷負てし落転らか車電の中走医従療センターの業、員であるAは。X
センターは、SNCFに対して、休職中のAに対して支払った給与の返還を求め、提訴した。原審(パリ控訴院一九九八年一二月二日判決)は、Aが切符を持たずに乗車していたことからSNCFのAに対する契約責任を否定した。また、民法典一三八四条一項に基づく
責任については、Aよりも前にホームに飛び降りた別の旅客によって電車の扉が開いていたこと、Aが降車しようとした際に第三者がAを押したことを認定した上で、第三者が停車前に車両の扉を開けた行為も、第三者が
A
を押した行為も、SNCFにとって通常予見不能で抵抗不能の外在的事由を構成するとし、SNCFに各旅客の行為態様を継続的に監視するよう強いることはできず、それは本件事故が日曜日の午後一時五分という混雑時に生じたことからはなおのこ
とである等として、
X
の請求を棄却した。X
は破毀申立をした。︿判旨﹀ 原審破毀。「不特定の第三者の所為は、それが不可抗力の性質を有するときにしか、損害の原因となった物の保管者を、その者が負うと推定される責任から、免れさせない﹂と判示した。そして、損害の原因となった第三者の所
為は、予見不能でも抵抗不能でもないにもかかわらず前記のとおり判示した原審は一三八四条一項に違反しているとした。
(一六三一)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四二同志社法学 五九巻三号
︻
₁₇
〇決判日九二月三年一〇︼二部事民二第院毀破 (25)
︿事案﹀ Yデパートの買物客が店内のエスカレーターで転倒し、別の客である
X
に当たったため、たし。
X
は転倒し、怪我をX
リ請求した。原審(パ控償訴院一九九八年一〇月を賠は八Yに対し、民法典一三四害条一項に基づいて、損二八日判決)は、被害者の転倒は第三者の所為によって起きたものであり、エスカレーターの不具合は指摘されていないから、Yは、同店が負うと推定される責任から免れるとして、請求を棄却した。
︿判旨﹀ 原審破毀。作動中のエスカレーターは、少なくとも部分的には損害発生原因となっているのであるから、他の客の転倒という第三者の所為は、予見不能かつ抵抗不能でなければ、保管者の責任の全部を免責するものではないとし、
本件ではこれらの要件が充たされていることの証明がないとした。
︻
₁₈
二決判日二一月二一年〇︼〇二部事民二第院毀破 (26)
︿事案﹀
Y
夫婦の所有する土地がX
の所有する土地に流出した。X
は、土地の保管者であるY
らに対して、これにより被った損害の賠償を求め、提訴した。原審(リオーム控訴院一九九八年五月二八日判決)は、
、危による調査の結果、土地の険門性について認識していたこと家専か地た当時るら、土の得不安定さを指摘すし
Y
取を地有所のそ、はらY
は建物の専門家であったこと等を認定した。そして、これらの事実に鑑みれば、急な大雨による地すべりによってその地域は被災地に指定されたものの、そのような状況は予見不能性要件を欠くから、
Y
のいなはでのも質ら性るす責免をとし、
X
の請求を認容した。、がな外部事情を構成する、外前記の事情に鑑みれば的例本は旨﹀ 破毀申立棄却。件︿における多量の降雨判
Y
らはこれを不服として、破毀申立をした。X
らが予見できず妨げることもできない不可抗力事象を構成するものではないと判示した。 (一六三二)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四三同志社法学 五九巻三号 ︻
₁₉ 7 59 . 15 - 00 n
︼(決判日三二月一年三〇〇二部事民二第院毀破o (、七日四一月七年八九一﹀ 案事︿ ) 27)
X
う車から降りよと、して滑り、両足電ずはし、電車が走り出てらいるにもかかわを切断した。
は〇リ控訴院二〇〇年(二月二八日判決)パ
X
をのその夫は、民法典一三八四条一項に基づき、SNCFに対してそ損求害の賠償審原。たしと提、め訴X
非者害被な険危に常非はたま識常、らはFCNS。たし容認を求請のの行為態様は、予見可能であったとしても、
X
りうよのそ、上以た降はを車電で思意のら自な。と責事由を構成する等主部張し、破毀申立をした免全で因者管保の物、らかるあの
X
原の一唯の害損は為行の︿判旨﹀ 一部破毀。ただし、SNCFの責任を認めた部分については、次のように判示して、破毀しなかった。すなわち、電車の扉の開閉システムは、発車後五~六秒、電車が時速七㎞に達する時まで、旅客の降車を可能とするものであ
り、このような事情に鑑みれば、旅客の降車は危険であるけれども、SNCFにとって予見不能な事象ではない。したがって、原審がSNCFは全部免責されることはないと判示したのは正当であるとした。
︻
₂₀ 0 98 . 14 - 00 n
︼(決判日三二月一年三〇〇二部事民二第院毀破o () 28)
︿事案﹀ 一九九四年七月二九日に、
X
横機も作動し、断警の危険性に関す報、はを、電車の接近示しす赤色燈が点滅る警告文もあったにもかかわらず、遮断機の下がった踏み切りを渡った。
X
かたし亡死、れ轢はに車ルゼーィデ。院し損害の賠償を求め、提訴たそ。原審(リモージュ控訴のて四条らは、民法典一三八しに続基づき、SNCFに対人
X
相の一九九九年一一月一八日判決)は、SNCFに対し、
等不物、ばれあで能抗保抵もてっあで能の管見的るす成構を因原他者排るす責免部全を可予、のは、被者害フォートは
X
的半の害損の神精たっ被を分ら賠償するようじた。SNCF命と主張して、破毀申立をした。
(一六三三)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四四同志社法学 五九巻三号
︿判旨﹀ 破毀申立棄却。この歩行者が踏切内にいることはSNCFにとって予見可能であったこと、また、SNCFは、
この場所に歩行者がいるかもしれないことから必要とされるあらゆる措置を講じていたことの証明をしないこと等を理由として、SNCFがその責任の全部を免れることはないとした原審は正当であると判示した。
︻
₂₁
〇決判日七二月二年三〇︼二部事民二第院毀破 (29)
︿事案﹀ 一九九七年七月一一日、
X
ういてっ残にムーホ。たしとよはり降らか車電ため始り走、た、だの係員が叫んにCもかかわらずFNどS、い言うよるま
X
とに内車電が夫のX
とだんこり滑に間の車電ムはーホ、し落転てけ開を扉ために、傷害を負った。
、ー〇〇二院訴控ズル年ーゥト(審原。〇一し次し示判にうよの、〇は)決判日一三月た
X
は一S、きづ基に項条C四八三一典法民、NF訴損、め求を償賠の害たにっ被のそ、てし対提X
のフォートはSNCFの保管者としての責任を免責するとして、
反車つし識認を発出の電、、てっ怠を意注なつ扉歩て違に項事止禁るいれのさ載記に紙り張の上的初最、が人婦るすも
X
すま、ちわな棄。たし却、を求請ずの熟知有を識良と性の年常通、で康がだ健して、扉が閉まるのを妨げ、その夫とSNCF係員の飛び降りないよう説得する叫び声に耳を貸さずに、電車から飛び降りたという行為態様は、予見不能かつ抵抗不能であるといわねばらならない。また、SNCFは各扉の前に係員を配
置することはできず、乗客が注意深く規則を守ることを信頼するほかないから、かかる行為は抵抗不能である。さらに、扉の完全な閉鎖システムは法規により要求されていない以上、SNCFが発車時の開扉を防止するような開閉システム
を設置していれば事故を回避することができたであろうと判断することはできないとした。︿判旨﹀ 原審破毀。「被害者のフォートは、不可抗力を構成するときにしか、保管者の責任を全部免責しない﹂と判示し、
原審の示した事情は、免責事由たる不可抗力を性質付けるものではないとした。 (一六三四)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四五同志社法学 五九巻三号 ︻
₂₂
〇決判日二二月五年三〇︼二部事民二第院毀破 (30)
︿事案﹀
Y
行いてし加参に旅にたれさ画企りよたX
おてれ離らか団集、しよはもを意便、に間夜、、Y
の敷地に侵入し、洗浄用の窪みに落ちて怪我をした。
X
は、一は)決判日七月一
Y
め院対して損害賠償を求年〇〇〇二訴、審提訴した。原(控トにールーズゥY
いしても、灯りがな運た送業者の敷地内にときの、敷地に囲いがなく公で道から入ることが侵入することは、それ自体、フォートを構成するものであり、バスのガレージに洗浄用の窪みがあることは異常なこととはいえないこと等から、事故は
X
よりあでのもたじ生てっにのみの様態為行な意注不、Y
はこれを予見することができず、それに抗うこともできなかったとして、
、責成するときにしか、保管者の任をを全部免責しない﹂と判示し構力破害旨﹀ 原審抗毀。「被者︿のフォートは、不可判
X
。たし却棄を求請の本件においては、照明のない土地に公道から入ることができたのであるから、被害者の不注意な行為態様は予見不能でも抵抗不能でもなかったとして、
Y
こたしといなきではとるはれ免を部全の任責のそ。︻
₂₃
〇決判日八一月三年四〇︼二部事民二第院毀破 (31)
︿事案﹀ 一二歳の
X
クじこめられ、ボッスに内の扉を開けて踊り閉内は産、その両親の不動へーと通じるエレベータ場の扉を開けようとして転落し、死亡した。
ク、一をーターベレエが階X、は)決判日六三と三、ッボーターベレエせ一さ止停で間の階四月年〇〇二院訴控ムー一
X
有対に合組者は所分区、、人続相しの損しニ(審原。た訴害提、め求償賠をス内の扉を開け、押しボタンを押して踊り場の扉の安全装置を外し、ボックスから抜けだそうとして転落したこと、エレベーターには異常な点はなかったこと等から、事故はエレベーターの機能に外部の原因によって生じたもので、その
原因は予見不能かつ抵抗不能の性質を有するとして、
X
の相続人の請求を棄却した。(一六三五)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四六同志社法学 五九巻三号
︿判旨﹀ 原審破毀。「被害者のフォートは、不可抗力を構成するときにしか、保管者の責任を全部免責しない﹂と判示し、
本件において、被害者の行為態様は、エレベーターの保管者である区分所有者組合にとって予見不能かつ抵抗不能の性質を有さないとした。
︻
₂₄
〇決判日三二月九年四〇︼二部事民二第院毀破 (32)
︿事案﹀ 養魚用貯水槽を所有管理する
X
は、貯水槽が、農業団体、て
Y
作い耕しとたれさ染汚でせすの水廃のらか画区るのY
求。たし訴提、めをに償賠害損、し対この貯水槽は、Y
遊濁にめたの泥るいてし浮のに流小る出れ流らか画区っており、特に雨の時には、このような砂、泥、微粒子が浮遊することで、
、(きない状態となっていた。原審ブザンソンが一は)日〇三月年控三〇〇二院訴で施酸しの魚養、し下低が量素実、て
X
貯が水槽に詰まりの生じたり、明度が少減、増でのもるいてし悪
Y
者よ方の土質の不安定性にっのて保管の泥や地土の画区地そで自あるとしても、小流は然は現象であり、がの流出泥Y
流た理由から、小はい外在的事由であって、通っとに常よる耕作は非正ない使用とはいえな常克服不能の所為であるから不可抗力にあたるとした。︿判旨﹀ 原審破毀。「保管者の客観的責任は、どのような仕方によるものであれ、部分的にであれ、その物が損害の発
生原因になったことが証明された以上は認められる。ただし、保管者が予見することも妨げることもできない外在的事由の作用を被っただけだということが証明された場合はその限りではない﹂と判示した。そして、
Y
が保管者である土地等は損害の発生原因であり、小流の自然的性質も、その地方の土質の不安定性も、保管者にとって、不可抗力を性質付ける予見不能かつ抵抗不能の事象とはいえないとした。 (一六三六)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四七同志社法学 五九巻三号 ︻
₂₅
五決判日五一月二一年〇︼〇二部事民二第院毀破 (33)
︿事案﹀
X
電たっ負を害傷、れさ突衝に車、はがたいに内路線うか向とへ庫車。X
しっ被のそ、て対はにFCNS、た損害の賠償を求め提訴した。原審(ベルサイユ控訴院二〇〇三年五月九日)は、電車を間違え、眠り込み、そして線路内に降り、ついには入りにくく暗い場所で線路のバラス上に膝をつくという
X
、のもるよに酒飲はの様態為行な常異だとし、電車の運転士には全くフォートはなく、SNCFに組織上の瑕疵もないのであって、事故の原因は、被害者の予見不能で克服不能な行為態様のみに存するとして、SNCFの全部免責を認め、
X
の請求を棄却した。︿判旨﹀ 原審破毀。「被害者のフォートは、不可抗力を構成するときにしか、保管者の責任を全部免責しない﹂とした上で、次のように判示した。すなわち、SNCFは電車を車庫へ入庫させる前に線路内に人がいないことを確認しなけ
ればならないから、被害者の行為態様は予見不能かつ抵抗不能と性質づけられるものではない。したがって、これは、損害を生じさせた物の保管者の責任を全部免責するものではなく、原審には民法典一三八四条一項への違反があるとし
た。
⑶
小括 前記各判決の予見不能性要件に関する判示部分について、予見不能性が抵抗不能性とは別個の要件として必要とされているか否かという視点 (から整理しておこう。 34)
このような視点から上記各判決を整理すると、①予見不能性要件が必要だと判示しているもの、②予見不能性要件は不要だと判示しているもの、③いずれとも判示していないもの、の三種類に整理できる。
①に属する判決としては、予見不能性が不可抗力の要件であることが明確に示されているもの(︻
11
︼、︻13
︼、︻14
︼、(一六三七)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四八同志社法学 五九巻三号
︻
17
︼、︻18
︼、︻23
︼、︻24
︼および︻25
こ見不能でないとがを指摘して不可予象︼ほの各判決)のか事、問題となった抗力を否定するもの(︻
15
︼および︻19
︼の各判決。︻当要こるす及言に否のな件要性能不見予にとく、た、がるあでのもっ不かなめ認を力抗可特しを可に審原ため認対力抗
15
事たっとな判題問、は決が象︼予見不能かつ抗不能だとして不抵 該事案において抵抗不能性を否定することは困難であろうから (もら問、たま。るれげと挙が。)るれさ解題なの能で能不抗抵もで不っ見予「が象事たとも理し定否を力抗可不に由た 題っなと能問、は決判事たで象が予見不、ないことを同 35)
ない﹂として不可抗力を否定するもの(︻
16
︼および︻。とるれさ解
22
も趣の各判決)のもた出に旨る、す求︼を件要性能不見予要 ②に属する判決は、問題となった事象が予見可能であっても不可抗力は認められ得るとするものであるが、その中には、抵抗不能性または克服不能性 ((︻構のもるすとる得し成を力抗可不でみの件要の 36)
6
︼、︻7
︼および︻10
︼の各判決)と、問題となった事象の予見が可能である場合には債務者が当該事象の発生を回避するためのあらゆる措置を講じたことが必要であるとするもの(︻
1
に能だったか否かつ見いて判断するこ不予︼)、とがある。また問が題となった事象となく、それが抵抗不能であるから不可抗力を構成するとしたもの(︻
。なうよえいとのもい
5
性能判決)も、予見不し要求要もし︼必を件ずこれらに対して、被告が問題となった事象を予見することも妨げることも克服することもできなかったとして不可抗力を認めた︻
3
︼判決 (持可ることを理由に不抗で力を認めた原審を支あ能象不問題となった事がや予見不能かつ抵抗、 37)
した︻
もるけ欠に性能不抗抵はいあこ性能不避回、ていつにると事力たしといなれらめ認は抗の可不、てしと由理をみ象たっ
4
れずい、ていつに否要件の要性能不見予、は決判と︼もあなと題問、たま。うろで示きべういといないてし判の(︻
8
︼および︻12
被こととならんで、告︼が必要な措置を講じるあで題の各判決)や、問と能なった事象が予見可 (一六三八)フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二四九同志社法学 五九巻三号 ていないことを理由に不可抗力を否定したもの(︻
9
︼および︻︻外欠が件要性部、てかほのこ。い難けい言抗たし定否を力可る不に由理をとこいはてとるいてし断判に確明
20
︼の各判決)も予また、要見不能性件の要否につい 38)(2
︼判決や、具体的事情を挙げてそれが不可抗力を性質づけるものではないとだけ判示した︻
。件るあものもいなし及言に
21
︼性能不見予、にうよの決判要なお、不可抗力の予見不能性要件をめぐっては、問題となった事象がいつの時点で予見不能でなければならないのかという予見不能性の基準時の問題も存する。このような問題は、特に契約の分野で生じる。なぜならば、不法行為の分
野では予見不能性の基準時は不法行為の時以外に想定し難いのに対して、契約の分野においては、契約不履行の時に予見不能でなければならないのか、契約締結の時に予見不能でなければならないのか、あるいはその双方なのかという問
題が生じ得るからである。判例は、契約の分野においては、予見不能性の基準時は契約締結時だとしてきた (
たし判決のうち、︻ 。既に紹介 39)
6
文いたものの、判決中れではこの点についてさ︼立判決では、破毀申理摘由中でこの問題が指ての明確な回答は与えられておらず、その余の判決の中にも、この点について明確に判示しているものは見あたらない。
2
学界の反応
部いの例判なうよのこ。たて況れか分にとのもるすと状に要す内院毀破をれこ、とる別対大、はに応反の界学るすだ不
1
以不、は決判院毀破の降年抗四九九一、にうよたみ可でとこのもるすとだ要必をれ、のていつに件要性能不見予力の見解の相違として整理するものと、契約責任と不法行為責任との相違として整理するものとがある。以下、順次紹介する。
(一六三九)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二五〇同志社法学 五九巻三号
1
破毀院内部の見解の相違として整理するもの前述のような判例の状況を、破毀院内部の見解の相違として整理する主な論者としては、パトリス・ジュルダンがいる。まず、ジュルダンによる評釈をみてみよう。
ジュルダンは、︻
1
︼判決についての評釈 (賛た置措るゆらあのめる講す避回を生発の象をじ該同に的面全「に決判るたすとだ要必がとこ事当者務債は合場るあが 題要と要不を件予性能不見つ、でしとつ、問のなった事象が予見可能で中 40)
成﹂だとして、自身の立場を明らかにしている (
すとそが象事たっな題発問、てっあで切の生は発止防を果結や生の時そ、で能不抗抵に適点要不た件は抵抗能性だとし ダ同、ばンによれ力ジュル、ちわな決判のが、不可抗。唯一かつ真のす 41)
ることが不可能であるならば、不可抗力が肯定されなければならない。そして、ジュルダンは、︻
18
︼、︻19
︼、︻ よび︻20
︼お10
︼の各判決についての評釈 (︻しるす求要を性能不見予てと件要の力抗可不、ていおに 42)
18
︼、︻19
︼および︻20
︼の各判決と、抵抗不能性要件のみで不可抗力を構成し得るとする︻
みなを解見の身自う持よの述上、はン支すルとかしに部事商部る事民一第が流潮ダュの部。ういとだ﹂種のい争「ジと
10
判決を力前に、不可抗︼は第一民事部と二民事第られず(第一民事部の判例として︻
1
︼および︻︻のているとし(こよ求うな判例としてし
7
で事の各判決を挙げる)、第二民部予はあくま要を件要性︼不見能14
︼、︻16
︼および︻17
よ続継おなは立対なうの︼こ)、るげ挙を決判各のしているとしている。 ジュルダン同様、上述のような判例の状況を破毀院内部の対立を示すものだとする論者として、ジュヌヴィエーヴ・
ヴィネーがいる。ヴィネーは、︻
9
︼、︻10
︼、︻18
︼および︻決判 (
19
判〇の各日八二月一一年二〇決二︼事民二第院毀破と部 についての評釈 43)(置に、不可抗力の定義お間ける予見不能性の位での一といて、破毀院の第民に事部と第二民事部お 44)
づけの問題について対立があることは明らかであるとし、このことは、第一民事部が契約の分野について判断している (一六四〇)
フランスにおける不可抗力の予見不能性要件をめぐる最近の動向二五一同志社法学 五九巻三号 のに対し、第二民事部が不法行為責任に関して判断していることからは説明不可能であるという。ヴィネーは、その理由として、契約と不法行為とで不可抗力の定義が異なるべきであるとは考えられないことと、同一の文言で異なる二つ
の観念を表すことは重大な混乱を引き起こしかねないことを挙げる。そして、不可抗力について、被告の責任領域の外部にあって、当該事案において、被害者が被った損害の発生を回避不能とした事象という形で統一化が図られることが
望ましいとする。
の単部に見解の相違はなく、に院、契約の分野と不法行為内毀ようれに対して、前述の破な 判例の状況について、こ
2
契約責任と不法行為責任との相違として整理するもの分野とで不可抗力の要件のとらえ方が異なるだけだと主張する論者が存在する。その主唱者としては、フィリップ・レミィやフィリップ・ストフェル=ムンクが挙げられる。ストフェル=ムンクは、レミィの評釈を引いてこれに賛同しつ
つ論を展開しているので、まずは、レミィの評釈を確認しておこう。 レミィは、上記︻
7
︼判決についての評釈 (不け抗力を性質づ得不るとし、予見可でがのの性能不抗抵み決判同、で中 45)
能性要件を不要としていることは、契約の分野における不可抗力の特殊性から説明可能だと主張する。レミィによれば、
不法行為の分野で、伝統的三要件が維持されていることは、この分野における不可抗力の機能から説明可能である。すなわち、不法行為の分野における不可抗力の機能は責任発生事由を排除することにあるのであって、不可抗力は被告の
行為態様または物の所為と損害との間の因果関係を完全に断つがゆえにフォートを排斥する。そして、問題となった事象によって因果関係が完全に断たれるためには、被告がこれについて予見も抵抗もできなかったことが必要であること
から、不可抗力の要件として予見不能性が必要なのである。これに対して、契約の分野では、不可抗力は、契約から生
(一六四一)