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人文科学研究科心理学専攻

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Academic year: 2021

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(1)

  修士学位論文

題名青略べ学青に灯する

    イ〆」グについて

頁1〜ヲ0頁

麟教景ム下刈え次夜

平成25年 1月 」ψ目提出

人文科学研究科心理学専攻

学修番号⊂0参 ω千      レ ずω妙

ポ毒新奇愛

(2)

音階の単音に対するイメージについて

   指導教員 山下利之教授     首都大学東京大学院

人文科学研究科人間科学専攻心理学教室        新南愛

(3)

目 次

1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・…  .・ p.

  1.1音楽の定義・・・・・・・・・・・…  。・ p.

  1.2音楽認知・・・・・・・・・・・・・・…  P.

  1.3音楽による心理的作用・・・・・・・・…  p.

  1.4楽音・・・・・・・・・・・・・・・・…  P.

  1.5単音に関する研究・・・・・・・・・・…  p.

  1.6共感覚・・・・・・・・・・・・・・・…  p.

  1.7本研究の目的と仮説・・・・・・・・・…  p.

1〜9 3 3〜4 4ん5 5〜6 6〜7

7〜9

9

2.実験1H H。。。

  2. 1 目白勺・ 。 面 。 ・

  2.2方法・・…

  2.3結果及び考察・

o 。 由 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 P・

。 。 由 . 。 。 。 。 。 。 。 由 。 。 P・

.... .. @P・

 . . . . . . . . . . . . . P・

10〜13 10 10〜11 11〜13

3.実験2・・・・…

  3.1目的・…  .   3.2方法・・…

  3.3結果及び考察・

■    ●

■    ●

 ■

●   ■

 .   . . .   . P・

 .     . . .     . . P・

 ・∵ ・ …   .,・ …    P.

... ....

@lP・

14〜16 14 14

15〜16

4.実験3・・・・・・…

  4. 1目高句・・・・…

  4.2方法・・・・…

  4.3結果及び考察…

   . .   .   . .   P・

 . . . . .   . . P・

 .   .    .   . .   . P・

. . . .   . .   .   P・

17〜25 17 17〜18 18〜25

5.全体的考察・・・・・・・・・・・・・・・・…  p. 26〜28

参考文献

資料(実験1質問紙,実験2質問項目,実験3質問項目)

(4)

1. はじめに

 現在音楽は,短調の曲を聴くと悲しく,長調の曲を聴くと明るい気分ヒなるなど様々な 研究を通し人の心理との関係が明らかにされている.また,リラクゼーションのためのツ ールとして音楽が使用されているように,音楽と心理の関係性は社会でも広く認知されて いるgではないだろうか.

 音楽は確かに人の心理に影響を与えているのであるが,このように音楽を聴いて何らか の感情を喚起する現象は,ゲシュタルト心理学において音楽におけるゲシュタルト性のた めだと言われている.ゲシュタルト心理学では,知覚は単に対象となる物事に由来する個 別的な感覚刺激によって形成されるのではなく,それら個別的な刺激には還元出来ない全 体的な枠組みによって大きく規定されるとしている.ここで,全体的な枠組みにあたるも のがゲシュタルトである、この全体性を持ったまとまりのある全体とは,部分の単純な総 和以上のものであると考えられている、このゲシュタルトは特にメロディにみられる.メ ロディは複数の音により構成されているが,メロディは個々の音を単に寄せ集めたもので はない.つまり,音自体に直接的な要因はなく,音の構成により意味をなすということで

ある.

 音楽は音の構成こそに意味があると考えられているわけだが,果たして本当に青白体に 意味はないのだろうか.例えば色において,赤は興奮,青は沈静というように単色ごとに 心理的なイメージや作用があることが明らかになっている.それら色を使用してできるも のが画であるが,暖色を使用されたものは温かい,寒色では冷たいなどという印象が持た れる.このように単色,それらで作られた画で似たような印象を持たれていると考えられ

る.同様なことは音楽においても見られないのだろうか.

 現在日常の中で音楽を耳にすることは多く,音楽を使って互いにコミュニケ」ションを 行うこともある.文化背景の著しく異なり,互いの言語を全 く理解し合えない場合でも,

音楽はコミュニケーションの手段となりうる(Hargreaves&North,1953磯部他訳2004).

そういった理由からも音楽がもつ社会的役割は大きい.またRaaocy&Boy1e(1979徳丸他 訳1985)によれば,すべての音楽は,非常に刺激的で活性づけるような音楽と,心をやわ

らげる鎮静的な音楽とを両端とする連続体上のどこかに位置しており,音楽による心理へ の影響も多く,様々な研究がなされている.また,木下・竹川(1999)によると,人間の 気分の高揚していることを表現する際には,音のリズムを早め,大きさを強くし,音の高 さを上げる、悲しい感情を表現する際,音のリズムを遅くし,大きさを弱くし,高さを下

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げる.このように音楽による心理的な作用は,リズム,音の大きさ,音の高さの三つが関 係しているようだ.関(1967)によると,音楽には特にメロディにゲシュタルト的性格が 見られ,メロディは個々の音の総和ではなく,総和以上のもの,総和とは別のものである

とされている.確かに音楽はゲシュタルト質をもち,1一つ一つの要素では説明できない部 分もあるだろう.しかし,木下・竹川(1999)の研究のように,リズムや音の高さなど一 つずつの項目において心理的な効果を計っても,メロディを一つの集合体としてみていた 場合とは違う,新たな発見ができるのではないだろうか,

 音の高さから考えると,音楽は,メロディや伴奏によってできており,須藤・杵鞭(2005)

によれば,現在普及しているピアノは88錠で周波数が約30H zから4000H zの範囲にあ ることから,私たちが耳にするクラシックやポピュラー音楽は,この周波数帯域内で作品 が作られており,それらは12音の単音が一組となる音階によって構成されている.関

(1967)によると,音楽には同一のメロディがほかの調に移行する移調,他の調性へ移行 する転調,リズムやハーモニーその他を変える変奏があり,これらは心理学でいうゲシュ タルトの移調に入る.こうした広い意味での移調を可能にしたのは,平均率ピアノの発明 である.平均率ピアノでは,どんな音楽作品でも12の異なった調を使うことができる.そ のためにこそ,平均率が発明されたのである.

 また重野(2003)によると,そもそもピタゴラスによって作られたピタゴラス音律から 始まり,純正律,平均律というように音階は発展してきた.現在広く普及している平均律 は1オクターブを12音の均等な音程に分割して,それを半音として音階を構成するもので,

どの楽器で句調を演奏しても均質な響きが得られ,移調や転調をしても不都合が生じない などの利点を持つ.これらの12音は,和音をつくりあげる際に上手く共鳴できるように作 られている.確かに上手く共鳴できるため,周波数は良いバランスで構成されているよう だが,音楽をつくりあげている音がこの12音になったのは何か心理的な要因もあるのでは ないかと思う.伊藤・伊藤(2007)によるとインド音楽に使われるインド音階は,西洋音 階とは違ってはいるが,それぞれの音が動物の鳴き声に結び付けられていたり,人間の年 齢に応じた声や,色にもたとえられている.このインド音階のように,12音においてもそ れぞれの音において,色でいう赤,黄色,青のようなそれぞれの心理的役割があるのでは

ないだろうか.

(6)

1.1 音楽の定義

 Radocy&Boy1e(1979徳丸他訳1985)によると音楽において固定された音高を使うこ とは,事実上,、全世界に共通している.Beament(1977)は,音楽というものは,それな しでは旋律的および和声的音楽が存在しえないような,一定に保たれた周波数による音響

(固定された音高として聞こえる)からなるのだと言っている.そして固定された音高は r事実上,人間による人工物である」と主張している.Revesz(1953)は,音響が音楽に なるためにはさらに(1)固定された音程,(2)それらをさまざまな音高へ移行させるこ と,(3)さまざまなリズムに分節された音結合においてそういった音程を使うことの3つ の要素が必要であるとしている.またRoederer(1975高野・安藤訳1981)は,固定され た音高は,音楽の知覚作用にとって本質的なものだと主張している.ある一つの音は,脳 によって処理されるためには,最小限の時間,続かねばならない.周波数においてつねに 変化しているような音響は,十分な処理時間を与えてはくれない.もっとわかりやすく言 えば,すばやく軍りすぎてしまう音響の音高よりも,ある程度持続する音響の音高を識別 する方が容易い.

1;2 音楽認知

 重野(2003)によると,音波が私たちの耳に届いてから,それを知覚するまでの過程を 聴覚説(theoryofhearing)という.視覚の場合に比べると,聴覚の生理学的メカニズムに っいてはごくわずかにしかわかっていない.音を聞く過程で神経系が関係しているのは内 耳の有毛細胞からであるが,神経機構については内耳の部分に関しては若干の知識が得ら れてはいるものの,中枢神経系に関してはほとんど解明されていない.現在まで聴覚説は そのほとんどが聴器と内耳神経系のレベルにおける仮説であり,音がどのように認識され るのか,特に音の高さがどのように知覚されるのかを説明するものであった.したがって,

歴史的な意義は認められるものの,科学的な裏づけを伴うものではなかった.聴覚説は場 所説と頻度説の2つの考え方に大別することが出来るが,どちらが正しいのかについては,

現在でも完全な結論は出ていない.内耳の蝸牛のある基底膜は音波の振動が伝わるとそれ に反応して振動する.どの部位が反応するかは,与えられた音波の振動数によって異なる.

その場所の違いが音の高さの違いにつながる,とする考え方を基本とする説が場所説であ る.頻度説は音の高さに対応している内耳神経の興奮頻度に基づいて周波数分析が行われ,

音の高さが知覚される,とする考え方である.聴神経によって運ばれた情報は,神経の複

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雑な経路を通って大脳皮質の知覚中枢へと伝えられる.蝸牛神経(聴神経)は,上オリー ブ複合体,下丘,内側膝状体,大脳皮質聴覚領へと上行する.國安(2005)によると,音 や音楽を受容する脳は,側頭葉の聴覚野である.・しかしここは一次聴覚野であり,入力し た音の情報を,ピアノの音かサイレンの音がなどと特定するのは二次聴覚野(聴覚連合野)

である.そこでは記億や過去に経験した情動,価値判断などと準合されて情動処理が行わ れる.また,音の要素のうち,音の高さは側頭葉で処理されるが,右半球優位であり,周 波数(音の高さ)によって活動部位が異牟る.音色には右側頭葉と右前頭葉とが関与する.

そして旋律の弁別にも右半球が優位であるが,旋律の想起には右前頭葉がかかわり,知っ ている旋律を思い出すときには右前頭葉と側頭葉とが相互作用する.大脳両半球の機能差 が具体的な音楽知覚にどんな影響を及ぼすかということについては,これまであまり明確 になっていないし,現在でも漠然と右半球の方が音楽情報の処理に優れているというだけ でそのメカニズムは分かっていない(梅本,1978).

 また,音の高さの認知についてKessen,Levine,&Wendrich(1979)の乳児における声 の模倣の研究がある.この実験では,一歳以前の乳児が,ある条件のもとでは聞いた音の 高さを模倣して同じ高さの声を発声できるということが確かめられた.このことから,条 件付きではあるが,乳児期から音の高さを認識できるということが明らかになっている.

1.3 音楽による心理的作用.

 音楽による気分への影響に関しては,多くの研究がなされている.まず,Moog(1976)

の幼児期の音楽発達についての研究があげられる.Moog(1976)は,歌,言葉とリズム,」

純粋のリズム(タンバリンや拍手など),器楽,不協和音を乳児に聞かせ,反応を見た.そ の結果,歌と器楽がもっとも乳児の注意をひき,リズムだけでは注意をひかなかった.

 次に松本(2002) の研究によると,やや悲しい場合に悲しい音楽を聴くと,悲し李は低 下しないが,非常に悲しい場合に悲しい音楽を聴くと,低下することが示唆された.また,

悲しみが生じていない場合に悲しい音楽を聞くと,悲しい気分が生じることが確認された.

この研究における悲しい音楽は,より暗く,ゆっくりとした単純な音楽として印象評定さ れる音楽であった.山岡・山時・三崎・澤田(2000)は,楽曲聴取に伴う生理変化および 聴取時の感情状態を測定するとともに,刺激楽曲に対する選好,聴取時の関心,音楽との

日常的親近性などの質問項目からなる評定を行い,それらの相関を調べる研究を行った.

その結果楽曲には特定の感情を誘導しやすい傾向があり,同時に交感神経系作用の変化に

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も一定の傾向が認やられた.しかし感情の質と交感神経系作用の間には直接的な対応関数 を認めるにはいたらなかった.さらに「楽曲への好み」による要素として,親しみの強さ と交感神経抑制の,また関心の強さと肯定的感情喚起および否定的感情抑制との強い結び つきが示された.

 調に関する研究もなされており,一般に長調は明るく,陽気で,明快でよろこばしく,

自然であり,これに対して,短調は暗く,陰気で,優美で,悲しく,技巧的であるといわ れている(関,1967).また,尾崎・豊日ヨ(2005)は音楽と感情との関係に関する研究で,

調性による感情状態の違いを調べた.その結果,調性によらず,音楽を聴取することによ り抑欝,不安感情は低減するが,その効果は長調の方が大きい.長調と短調の違いは気分 に異なる影響を与えるが,同じ調性であれば調号によらず一定の影響を気分に与えていた.

また,長調の曲は非活動的快状態や活動的快を得ることができるが,短調の曲は逆にその ような状態から遠ざかっていた.調号の効果はほとんど認められず,調号は曲が使用して いる音階を表現しているため,音階の違いは気分に影響を与えないと解釈された.調性は 構造的認知のための最も基本的な枠組みを与えるものである.ハ短調交響曲などと言う場 合,曲全体(楽章等)が一つの調に支配されていることを指す(平賀,1994).

1.4 楽音

 音は大きく分けて純音と複合音に分けられる.純音は波形が正弦波で,物理的にもっと も単純な音である.それに対し,複合音は純音以外の音で周波数的振動(同じ波形が繰り 返される)をするものと非周期的振動をするものの総称である.一定の周期をもつ複合音 はす午て純音の集合として記述できる.複合音には,楽音,音声,物音,騒音などがあり,

楽音は複合音の中で,振動が周期的で,部分音の振動数がほぼ整数比をなす音である.音 声は,声帯が振動してできた音が,声道の固有振動数に応じて共鳴してできた音である.

物音は自然音,人工音,機械音などの音である.騒音(雑音)は一定の波形がなく,振幅 が非常に不規則に変わる音で,周期性がなく,物座的定義で部分音に分解できない音であ る.心理的定義では人間が聞いて,好ましくないと感じる音である(重野,2003).また,

kaa㏄y&Boy1e(1979徳丸他訳1985)によると,純音は,ただ一つの振動数をもつ音で ある.電子的手段により産み出される音響のいくつかを除いて,音楽における純音はない.

しかし,フルートとオルガンが産み出すある種の音は,純音に近い.

 相原(2000)によると,音楽に主に用いられる楽音には,音高,強さ,音色,長さの4

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つの性質がある.音高は振動数の多少によって決まり,振動数が多い音は高く,少ない音 は低い.われわれが音として感知できるのは,1秒間で20000ないし24000振動以内のも のであって,音楽に用いられるのは大体27振動から4200振動に至る7オクターブ前後の ものと考えてよい.

 また重野(2003)によると音楽にかかわる音の高さにはトーン・バイトとトーン・クロ マの2つの性質がある.トーン・バイトは周波数に応じて連続的に変化する音の高さであ る.音楽的高さトーン・クロマは,オクターブ関係にある2つの音を聞くと,同じような感

じがし,オクターブごとに同じ音名に繰り返し戻るように感じられる音の高さである.

 小方(2007)によると,現在の音階の基礎はピタゴラスによって作られ,ピタゴラスは 弦を弾いて出る音を観察し,弦の長さを半分にするとオクターブ上のドの音が出て元gド

と最も協和し,弦を3分の2に分割して弾いた時の音と開放弦の音が心地良くひびくこと を発見した.これは現在でいう五度の音程であるが,ピタゴラスは五度を積み重ねド,ソ,

レ,ラ,ミ,シ,ファ#,ド#,ラレ,シし,ファという手順で音を作った.

 人間は音の高さに関して詳細な弁別が可能であるが,その弁別した音を記憶する能力は 時間経過に依存するので,各音をドの#,レ,ミのレなどと命名することにより,カテゴ

リー化しながら音の記憶を容易にしている(須藤・杵鞭,2005).そしてわれわれは,日常 的に主に平均率によるド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7音,またその間にある半音5音 の計12音によって音楽のメロディを構成している.また同時に,楽音における音の高さを 認識する際にも12音の音の高さと音名を基準にレて知覚している,

 松永・阿部(2009)は,異なる文化における音階でも,音階の基幹となる音程として完牟 4度あるいは完全5度が含まれていることに着目し,これらの音程を含むことが人間にと って習得しやすい条件であるかを検討した.結果,完全5度と完全4度のどちらも含まな い音階はその両方の音程を含む音階よりも学習し難く,これは既習得の音階スキーマ(西 洋全音階スキーマ)との心理的な類似性から生じた可能性は低かった.完全5度と完全4 度のどちらも含まない音階は,環境的な要因よりも生得的な要因から,人間にとって学習 が困難であるということが考えられた.

1,5 単音に関する研究

 まず,音の高さについて國安(2005)によると,高音では,幸せ・優雅さ・晴朗さ・夢 見る感じ,また興奮・驚き・怒り・恐怖・活動的などの表現と結びつき,低音は,悲しさ・

(10)

威厳・精力的・興奮・退屈さ,また時に快さと連合している.こうした中で矛盾する対応 がみられるのは,他の音楽的因子との関係によると考えられる.そして音という単位にお いては,音階をもつ単音に関する研究は久米。佐藤(1996)がある.この研究では音叉(13 音)を用いランダムに音を提示し,脳波(特にα波)及び快適性を測定した結果,各音叉 間のα波含有率に有意差は認められなかった.音叉の音が高いもの,つまり,音階でいう と,a(ラ),a#,b(シ),c(ド,523.3Hz)である他の音叉の音と比べて比較的周波数の 高い音を次に与えると,前の音叉の音(周波数)がそれらの音よりも低ければ低いほど快 適感情価とα波含有率は上がり,また,音叉の音が低いもの,つまり,c(ド,261,6Hz),

C#,d(レ),d#という他の音叉の音と比べて比較的周波数の低い音を次に与えると,前 の音叉の音(周波数)がそれらの(周波数)よりも高ければ高いほど快適感情価とα波含 有率は下がるということがわかった.これらから,単音のみによる快適性は見られなかっ たが,2音以上聞かせる場合,2音目が1音目よりも高い音であるほど快適性が高くなると いうことが示唆された.

 また新甫(2011)では,デジタノレ音源のピアノ音,ド(261.63Hz)〜シ(493.88Hz)の 7音を提示し,音の印象についての形容詞対(S D法,7件法40項目)を使用し,実験参 加者に音の評定をさせた.形容詞対を構成していた4因子の因÷得点について一元配置分 散分析を行った結果,4因子中3因子でファとソの境から因子得点に大きな差が見られた.

音の高低で音に関する心理的感覚が変化していくという結果が見られ,音のある基準から 感じ方が変わり,単音に対し言語的イメージを持つことが示唆された.

1.6 共感覚

 川野逢・亀田(2006)によると,PCの音楽再生ソフトにおいてPCの音楽再生ソフトの 視覚エフェクトを使用しない理由に,音楽のイメージと表示される映像のイメージが合わ ず不快感を覚えるためという意見がある.それ程人にとって音と色に対する結びつけば強

し、.

 音には図1のように,ドから半音すっ音を上げていき,1オクターブ上のド音に到達した ときに最初のドと共通するような性質が知覚されるというような音の高さの循環的な要素,

ト∵ンクロマがある.また色は図2の色立体σように,色相パターンが明度や彩度によっ て螺旋状に表される.このように,高さや明度・彩度が違っても同様の音名や色名で表さ れる点で音と色は共通している点がある.

(11)

   敏G南F

^冒  舳㎝。E

 図1音の高さの螺旋モデル

(J.D.Wa皿en,2003.10039,Fig.1)

邑帽

マンセル亀環

■◆真

明度と彩蟹

       図2 マンセル色相環

東洋インキSCホールディンクス株式会社 マンセル色環に準拠した配列 COLORFINDER  <htt:〃wwwtoo・cfcom/rodllcts/co1or趾der/manse11.htm1〉(2012年12月29日)

 こういった共通点を持っ音と色の研究では共感覚を取り上げた研究がある.共感覚とは,

ある感覚を引き起こす物理的なエネルギーが感覚器官に与えられることによって,通常そ の感覚器官に属する反応のみが生じるが,同時に,他の感覚器官に属する反応も生じる現 象である.中でも,聴覚器官に与えられたエネルギーに対して,聴覚だけでなく視覚も同 時に生じるものを色聴という(井原・増田,2003).色調では音によって色を感じる.共感 覚の研究の視点から,音と色の関連性によって単音ごとの心理的作用を探れないだろうか.

(12)

 そこで,長田・岩井・津田・和氣・井口(2003)の研究があげられる.この研究では,

音と色の物理的パラメータの間にどのような感性的マッピングが存在するのかを,色調保 持群と一般群のそれぞれを対象に調べた.その結果,調について色相と極めて強い相関を もつ.ただし個人の申では強い再現性があるが,他の色調保持者との間に色相のばらつき がある.音色については,高波長成分が増えると選択する彩度が上がり明度が下がる傾向 がある.また音の優先順位は,調>音高>音色であるという点が明らかとなった.

 これらの先行研究から,ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ各音についての心理的作用に関 する仮説は立て難いが,音に関しては高音・低音によって心理的作用に違いが見られるの ではないかと考えられる.

1−7 本研究の目的と仮説

 本研究では,音階の単音ごとに異なったイメージが持たれることを明らかにすることを 目的とする.オクターブや音色が異なっていても,ドならド,レならレで共通したイメー ジが持たれるのではないかと考え,単音にイメージカラーをつける実験を通し,色を介し て単音ごとのイメージがあるのかを検討する.

 単音の心理的作用を明らかにすることによって,例えば日常的なリラクゼーションから 心理的疾病の治療まで単音や複数音を組み合わせ,幅広く利用できるようになることを期 待している.少々抽象的な表現になってしまうが,1音ごとの持つ作用や役割を明らかにす ることで,今後の心理と音楽,音における可能性を広げたいと考えている.

(13)

2. 実験1 2.1 目的

 音階の単音(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)を1音ずつ音名と音階を意識させた状態 で提示し,各単音にイメージカラーを付けることで,色を介し単音の特徴を明らかにする ことを目的とした.なお実験1では馴染みのあるドレミファソラシという音列を音階で提 示することで,音階の中の位置づけや音名によるイメージを含め検討した.

2.2 方法

(1)実験参加者と実験期間

実験参加者は私立大学の大学生114名(女性79名,男性32名,不明3名,平均年齢19.68

(SD=1.72)歳)であった.実験は2011年7月28目に学内講義室にて集団で実施した.

(2)質問紙の構成

 質問紙は音階の各音(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)のイメージカラーを問うもの,

音感チェック項目,音楽経験,好きな音,好きな色,音楽を聴く頻度,年齢,性別を問う ものを用いた.イメージカラーの選択用のカラースケールは20色からなるマンセル色相環

(図3)より10色(5P,5PB,5B,5BG,5G,5GY,5Y,5YR,5R,5RP)を

ランダマイズし,各色に番号を付けたものを用いた.イメージカラーを回答する項目には ド,レなど音名を記載した(資料).

      図3 マンセル色相環

太中トシヤ 表色系・マンセルシステム 止OuSe色彩とイメージの情報サイト

くhttp:〃wwwge㏄itiesjp!neしt3!co1or!what02_3.htm1>(2012年12月29日)

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(3)刺激

 音色は純音とピアノ音の2種類使用した.音高は,純音はド(261.63Hz),レ(293.66Hz),

ミ(329.63Hz),ファ(349.23Hz),ソ(392.00Hz),ラ(440.00Hz),シ(493.88Hz)の 基準オクターブ,基準オクターブの上下1オクターブの7音3オクターブ,21音を用いた.

ピアノ音は基準オクターブの7音のみを用いた.純音の音源はe血作成のWave Gene<

http:〃www.vect0Lcojp/so丑/d1/win95/art/se097634.htm1>(2012年12月20目)を使用

し,ピアノ音の音源はハハハのマイケル作成のペンちゃんの不思議な鍵盤<

h批p:/舳ahaha.mints.nejp/desktop.htm1>(2012年12月20目)を使用した.音源は全て 1音10秒で作成した.

(4)手続き

 はじめに音源の聞こえを確認するためドレミファソラシという音列7秒の音源を提示し た.次に,ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シの順で1音すっ音源を提示した.実験参加者に は各音が流れている間(10秒)にその音のイメージカラーを選択させた.この手順を純音 基準オクターブ,純音高オクターブ,純音低オクターブ,ピアノ音基準オクターブ,計4 回行った.イメージカラーの選択については,一つの回の中で同じ色(数字)を選ばない よう教示した.なお,音源を提示する際は音名(ド・レ・ミ∴ファ・ソ・ラ・シ)を伝え 提示した.その後音感チェックを行った.先の実験にて使用した1音10秒の純音(ド・レ・

ミ・ファ・ソ・ラ・シ)の高中低オクターブ21音をランダマイズし,提示した音の音名を 質問紙に記入させた.

2.3 結果及び考察

 中音域ドに対しイメージカラーを6(マンセル色相5P)と選択した人数が18名で全体 の16%という手順で,まず各音における色の選択割合を算出した.図4に,例としてファ に対する色の選択割合を示す.算出した色の選択割合について,統計処理パッケージPASW にでWard法による、階層クラスタ分析を行い,デンドログラムを作成した(図5).

 クラスタ分析の結果,大きく7つのグループに分かれ,音高や音色に関わらず音階が同 じものでクラスタが結合されていた.特に類似性が高かった音階ミ・ファ・ソ・ラ・シに注 目すると,音高,音色関わらず一貫して同程度の割合で各色がイメージカラーとして選択 されていた.高さや音色が違っていても音階ごとに選ばれる色の割合が同じ,つまり含ま

(15)

れている色の割合が同じであることが示唆された.

 次に同じく音ごとの色の選択率を用い,同じ単音同士(高オクターブのドと低オクター ブのドなど)におけるピアソンの積率相関係数を算出した.単音ごとに固定のイメージが 持たれているのであれば,オクターブが異なっても同じ音階の位置にある単音は,同様な 色が選択されるはずである.色の選択は個人差があるので,選択される色は異なるかもし れないが,実験参加者全体でみれば,選択される色の比率はオクターブが異なっても,同 様であるだろう.

 一つの単音について3オクターブとピアノ音の4つが使われているため,その組み合わ せは一つの単音について6通り,そしてド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7音あるため,

全部で42通りとなる.

 相関行列を見たところ,42の組み合わせの中で25の組み合わせで有意な正の相関を示し ていた(1個は負の相関).割合で言うと全体の60%に有意な正の相関が見られた.例とし て,表1にファ音に関する相関行列を示す.6つの組み合わせの中5つで正の有意な相関を 示す.つまり完全とはいえないが,相関行列からも同一の単音は同様の色が選択される傾 向が高いことが示唆された.

 このような結果になった要因としで,個人ごとで音(音階)自体の一貫したイメージが 持たれている可能性がある.しかし今回はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シといった音階に よる提示であり,また実験参加者は提示されている音がどの者なのか分かっていた.その ため,音階の中の位置づけによりイメージ付けが行われている可能性,音名によりイメー ジ付けが行われている可能性も考えられる.そこで実験2では,音階での提示でもなく,

且つ音名を伝えない状態で提示することにより,純粋に音自体にイメージが持たれている

のかを検討する.

      ファ        ■6

       ■g         11%   15%   10%   15%

       ■5      6%   15%    7%   10%

       ■7       5%   13%    5%    8%

       ■4    2跳 15% 26% 15%

   一…………1…一30;;11萎11菱1…菱

  図4イメージカラー選択割合(実験1,ファ)

(16)

フナ中 プアP

フ7高

プア低

レ低

ラ中

・音P

一書高

音憾

亀憾 蔓P 婁中

レ高一

隻高  ドP ソ高 ソP ソ中 ソ健 ジ中

シ艦  ド中

 ド艦

5        何

15        20

図5Ward法によるクラスタ分析のデンドログラム(実験1)

   表1色の選択率の相関行列の例(実験1,ファ).

1プア中一1プア高1プア低1プアP 1ファ中 Pearsonの .76* .67* .94サ

相関係数

1ファ高  Pearsonの

.72* し.72*

相関係数

1プア低 Pearsonの .46

相関係数

1プアP Pearsonの

相関係数

(17)

3. 実験2

3.1 目的

 実験1と同様に,音階の単音(ド・レ・ミ・ファ・ソ目ラ・シ)にイメージカラーを付 けることで,色を介し単音の特徴を明らかにする.また,音の提示順のランダム化,音名 を伝えないことで音階であることの必要性や音名による影響がなくとも単音のイメージが 持たれるか検証することを目的とした.

3.2 方法

(1)実験参加者と実験期間

実験参加者は私立大学の大学生96名(女性69名,男性21年,不明6名,平均年齢19.89

(SD;1.65)歳)であった.実験は2011年10月27目に学内講義室にて集団で実施した.

(2)質問紙の構成

 実験1と同様に質問紙は音階の各音のイメージカラーを問うもの,音感チェック項目,

音楽経験,好きな音,好きな色,音楽を聴く頻度,年齢,性別を問うものを用いた.イメ ージカラーを回答する項目には実験1では音名を記載したが,実験2では1音目,2音目な

ど音名の記載のない質問紙を使用した(資料).

(3)刺激

 実験1と同様の純音7音3オクターブ21音,ピアノ昔7音1オクターブの計28音を使

用した.

一(4)手続き

 はじめに音源の聞こえを確認するため基準音のドを10秒提示した.その後提示順をラン ダムにしたド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シの7音を1音ずつ提示した.実験参加者には各 音が流れている間(10秒)にそあ音のイメージカラーを選択させた.この手順を純音基準 オクターブ,純音高オクターブ,純音低オクターブ,ピアノ音基準オクターブ,計4回行 った.イメージカラーの選択については,1つの回の中で同じ色(数字)を選ばないよう教 示した.音源を提示する際は音名(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ)を伝えず1音目,2音

目と伝え提示した.その後実験1と同様の手順で音感チェックを行った.

(18)

3.3 結果及び考察

 実験1と同様に算出した色の選択割合について,クラスタ分析を行った.図6に例とし てファのイメージカラー選択割合,図7にクラスタ分析によって得られたデンドログラム

を示す.

 クラスタ分析の結果,大きく4つのクラスタに分かれ,実験1で特徴的に見られた同じ 音階でのクラスタ結合は見られなかった.各音のイメージカラー選択割合を見ても同じく 実験1の様に同じ音階で音高,音色関わらず同パターンの色の選択割合である傾向は見ら

れなかった.

 色の選択割合を用い,同じ単音同士の相関を求めたところ,相関行列では42の組み合わ せの中で有意な正の相関は8個(3個は負の相関)であった.割合で言うと全体の19%に 有意な相関が見られた.例として,表2にファ音に関する相関行列を示す.6つの組み合 わせの中3つのみでしか正の有意な相関を示していない.実験1の25個に比べ激減してい ることから,音階の中の位置づけによりイメージ付けが行われている,もしくは音名によ りイメージ付けが行われていることが示唆された.

 そこで実験3では一音のイメージは音階における位置づけか,音名によるものかを検証

する.

フ■玉

ファP

   ファ

■o

     ファPファ低ファ中ファ高

■2

■9    眺 21% 1丁% 4%

■10   2% 14% 11% 2%

■5         10%   20%   16%    日%

■7       1%  14%  1日%  4%

口1       3%   9%  11%   1ヨ%

■目         16%    2%    1%   19%

  図6 イメージカラー選択割合(実験2,ファ)

高:高オクターブ,中:基準オクターブ,低:低オクターブ,P:ピアノ昔

(19)

蔓高

等低

レ高 ソ中

プア高

 ド陣

プアP  即

一室P

墓中

声高 歩高」

箏P ソ高 塁偲 レ中 レP

シ低 音高

レ腱 ソ腫

11ギ

ド低

5       仙 15       醐

図7Ward法によるクラスタ分析のデンドログラム(実験・2)

    表2 色の選択率め相関行列の例(実験2,ファ)

2フナ中2ファ高2ファ低2ファP 2ファ中 Pearsonの 一.82料 .78料 一.56

相関係数

2ファ高  Pearsonの

一.61 .74*

相関係数

、2ファ低 Pearsonの 一.49

相関係数

2プアP Pearsonの

相関係数

(20)

4. 実験3 4.1 目的

 実験1,2と異なる音階(ファ・ソ・ラ・シレ・ド・レ・ミ)を用いて同様の実験を行い,

基準音を設け相対的に音にイメージをもた甘るのか,音名でイメージを持つのか否かを検 証することを目的とした.

4.2 方法

(1)実験参加者と実験期間

実験参加者は私立大学の大学生102名(女性69名,男性32名,不明1名,平均年齢19.63

(SD=1.66)歳)であった.実験は2012年11月1目に学内講義室にて集団で実施した.

(2)質問紙の構成

 質問紙の基本形式は実験1,2と同様各音のイメージカラーを問うもの,音感チェック項 目,音楽経験,好きな音,好きな色,音楽を聴く頻度,年齢,性別を問うものを用いた.

なお実験3では質問紙を3パターン作成し,実験参加者がどの音を聞いているかの意識の 違いで3条件設けた.a条件はイメージカラーを回答する項目にファ・ソ・ラ・シレ・ド・

レ・ミと実際に提示している音名を記載した.またb条件は項目にド・レ・ミ・ファ・ソ∴

ラ・シと実際提示している音源とは異なる音名を記載した.c条件は項目に1音目,2音目,

・,7音目と記し,音名の記載はなかった.つまりファ・ソ・ラ・シし・ド・レ・ミと流れ ていると分かっている群(a条件),ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シと流れていると思って いる群(b条件),一との音が流れているか分からない群(c条件)の3条件で行った(資料).

(3)刺激

 音色は実験1,2と同様に純音21音とピアノ昔7音を使用した.音高は,実験1,2で基 準オクターブであったファ(349.23Hz)から始まり,ソ(392.00Hz),ラ(440.00Hz),

シし(466.16Hz),ド(523.25Hz),レ(587.33Hz),ミ(659.26Hz)を基準オクターブと し,基準オクターブの上下1オクターブの7音3オクターブ,21音を純音で用いた.ピア ノ音は基準オクターブの7音のみを用いた.全ての音源は先述したフリニソフトより1音 10秒の音源を作成した.

(21)

 なお今回ファから始まる音階を採用した理由は,レを付ける音数が最も少ない条件でド レミファソラシと均しい者同士のパターン(全音,全音,半音,全音,全音,全音) の音 階となるためである.

(4)手続き

 はじめに音源の聞こえを確認するため基準音ファを10秒提示した.提示順をランダムに し,ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7音を1音ずつ提示した.実験参加者.には各音が流 れている間(10秒)jにその音のイメージカラーを選択させた.この手順を純音基準オクタ ーブ,純音高オクターブ,純音低オクターブ,ピアノ音基準オクターブ,計4回行った.

イメージカラーの選択については,1つの回の中で同じ色(数字)を選ばないよう教示した.

音源を提示する際は音名を伝えず1音目,2音目と伝え提示した.その後実験1,2と同様 の手順で音感チェックを行った.手続き終了後,b条件の参加者に実際に提示されていた音 が質問紙に記載されていたド・レ・ミ・ファ。ソ・ラ・シではないと分かっていた場合質 問紙にチェックを入れるよう伝えた.

4.3 結果及び考察

 実験1,2と同様に算出した色の選択割合について,クラースタ分析を行った(図8∵10).

なお.b条件については,質問紙にチェックの付けられたものを除外し,ド・レ・ミ・ファ・

ソ・ラ・シと流れていると思っていた参加者の質問紙のみを扱った.

 音階の位置で単音のイメージカラーが作られるのならば,全ての条件で実験1のような 結果が得られるはずである.また音名によりイメージカラーが作られるのであれば,音名 を伝えたa条件とb条件において実験1のような結果が得られるはずである.

 しかしクラスタ分析の結果,いずれの条件もいくつか同じ音階が含まれるクラスタ結合 は見られたが,実験1のように顕著に見られる同じ音階でのクラスタ結合はなかった.

(22)

5        10 15       醐

 音中≡

 亀鳳1  寒中1  竃P

 レ中1≡

 レ滞 プア高1  レ高1

 ソ群 プア率.

列ポ腫」

シ眼中 蔓高 音憾 ソ低

ソ中

茅ア艀

ソ高 ラ高

 ド高

レ腫

・ラ浮

シ量1済 ド浮

Iシ駈高

ド中 ド低 プアー慨

図8Ward法によるクラスタ分析のデンドログラム(実験3−a条件)

(23)

5       1⑪ 15       醐

シ紅一中

ソ戸

音高

・雪中

貫低 ド中

レ中

1レ憾一

シ釦高

則げ

ド群 ソ高 プア棒

ド高

ド・低.

事艀

詐高≡

亀高 星中

 、峯P

レ高 レ連 シ弛憾

ソ中

ソ腫 箏低 プア中一

抑憧1

図9Ward法によるクラスタ分析のデンドログラム(実験…←b条件)

(24)

5       個

15       卵 25

秘中1

ド中一 塁憾 ミ中 量高

 レ炉

 蔓P レ中

フ・ア高一

雪中

ド高」

ソ高

ソ戸

シ機高」≡

ド砥

シ鉦算

レ低」

抑ポ

雪祭

ソ中 書芯 レ高

柳中1

ド浮 ソ鰹 箏個

泌鰹1

サア楓…

図10Wara法によるクラスタ分析のデンドログラム(実験3−c条件)

(25)

 次に色の選択率を用い,a条件,b条件,c条件で同じ単音同士の相関を求めた.

 相関行列を見た結果,a条件では42通り中で有意な正の相関はO個(1個は有意な負の 相関),割合で言うと全体の21%であった.次にb条件では有意な正の相関は7個(2個は 有意な負の相関),12%であった.最後に。条件では有意な正の相関は6個(2個は有意な 負の相関),10%であった.例として,各条件のファに関する相関行列を表3,表4,表5

に示す.表6に示されるように,何れの条件も実験2よりも有意な正の相関が少なく,音 階の位置づけや音名による影響はこの結果からは見られなかった.

表3 色σ)・選択率の相関(実験3−a条件,ファ)

3aファ中3aファ高3aファ低3aファP 3aファ中 Pearsonの .20      .08      .30

相関係数

3aファ高 Pears㎝の 一.66*  .49 相関係数

3aファ低 Pears㎝の 一.44

相関係数

3aプアP Pearsonの

相関係数

*<.05,**〈101

*<05,**〈01

表4色の選択率の相関(実験3−b条件,ファ)

3bファ中3bファ高3bファ低3bファP

3bファ中 Pearsonの 一.39 .83** 一.17 相関係数

3bプア高 Pearsonの 一.52 .21 相関係数

3bファ低 Pearsonの 一.35

相関係数 3bファP PearSOnの

相関係数

*〈.05,**<.01

*〈05,**<01

表5 色の選択率の相関(実験3−c条件,ファ)

3cファ中3cファ高3cファ低3cファP 3cファ中 Pearsonの 一.14      .40      .31

相関係数

3cファ高 Pears㎝の

一.33   .11 相関係数

3cファ低 Pearsonの 一.45

相関係数

3cファP Pearsonの

相関係数

*  ■  **  ^」

*〈.05,**く.01

(26)

 そこで実験1,2,3(a条件,b条件,c条件)の5条件で相関を求めた.これまでの実 験についてまとめたものが表7である.

 まず単音のカラーイメージは音階の位置づけか,音名によるものかを検討するため,実 験1と実験3の相対的に音階の位置が均しい者同士の相関を求めた.つまり実験1のドと 実験3のファ,実験1のレと実験3のソといった者同士の相関である.音名によってカラ ーイメージが作られるのであれば,b条件は実験1との有意な正の相関が他の条件より多い はずである.また音階の位置づけによるものであれば,a条件,b条件,c条件ともに有意 な正の相関が多く見られるはずである.この場合,2つの条件で1つの単音につき3オクタ ーブとピアノ音の4つ,この組み合わせが7音あり,全部で4×4×上112通りとなる.

 相関行列を見た結果,a条件では全112通り中,有意な正の相関は14個,全体の13%で あった.b条件では有意な正の相関は28個(負の相関は2個),23%であった.c条件では 有意な正の相関は26個(負の相関は4個),21%であった.例として,実験1ド音に対す る実験3ファ音の各条件の相関係数を表8,表9,表10に,実験1ド音と実験2ド音に関 する相関係数を表11に示す.有意な相関の数をまとめた表12に示されるように,何れの 条件も有意に正の相関である割合が高いとはいえないが,3条件中ではb条件が最も正の相 関の割合が多かった.

表6 各条件内の相関行列にて有意な相関が見られた数

       42通り

弧内は の相関) 26(1)11(3)10(1)7(2) 6(2)

         60%   19%   21%   12%   10%

表7 実験1〜3実験方法

音の提示順 音名を伝えたか 研究1 ドレミ ドレミ

研究2

ランダム

X 研究3a

ファソラ ファソラ

b ファソラ ドレミ C ファソラ

X

(27)

表8 色の選択率の相関(実験1ドと実験3−a条件ファ)

1ド中  1ド高

1ド低 1ドP 3aファ中 Pearsonの

相関係数 .13 .18 .09 .38

  

Raプア局 Pearsonの

相関係数 一.62 .85料 一.61 .17 3aプア低 Pearsonの

相関係数

.76* 一.60 .93** 一.27

3aプアP Pearsonの

相関係数 一.31 .27 一.47

.70*

*く05,**く01

表9 色の選択率の相関(実験1ドと実験3_b条件ファ)

1ド中  1ド高

1ド低 1ドP 3bプア中 Pearsonの

相関係数 .86**

 料一一83 .86淋 一.13

3bプア高 Pearsonの

相関係数 一.33 .36 一.41 .05 3bファ低 PearSOnの

相関係数

.83** 一.63 .97淋 r30

3bファP Pearsonの

相関係数 .06 .23 一.45 .85**

*<.05.**〈.01

*<05, 〈01

表10

色の選択率の相関(実験1ドと実験3−b条件ファ)

1ド中  1ド高

1ド低 1ドP 3cプア中 Pearsonの

相関係数 .58 一.39 .42 .42

  

Rcファ局 Pearsonの

相関係数 一.41 .41 一.37 .25 3cプア低 PearS㎝の

相関係数 .77淋 一.63 .96** 一、36

3cプアP PearSOnの

相関係数 一.05 .26 一.50 .83料

*く05,**<.0ボ

*〈05,**<01

表u 色の選択率の相関(実験1ドと実験2ド)

1ド中  1ド高  1ド低

1ドP 2ド中 Pearsonの

相関係数 一.52 .82科

一.66* .45

2ド高 Pearsonの

相関係数 一.17 .44

一.31 .25

2ド低 Pearsonの

相関係数 .66* 一.64* Ig1** 一.41

2ドP Pearsonの

相関係数 一.23 151 一.56

.69*

*〈、05,**〈.01

(28)

 全オクターブ,音色の組み合わせの数が多く,有意な相関の割合も減少すると考え,実 験1の高オクターブのドと実験3の高オクターブのドというように同オクターブ,同音色 の単音の相関行列に注目した.その場合,2つの条件で3オクターブとピアノ音の4っであ るため,4×7=28通りとなる.

 表13は,この28箇所の相関をみた結果をまとめたものである.実験1とa条件では有 意な正の相関が8個,全体の29%であった.実験1とb条件では有意な正の相関は12個,

43%であった.実験1と。条件では8個,29%であった.また実験豆と実験2では5個,

18%であった.

 実験2と実験1との相関が最も見られず,実験3のb条件が最も実験1との有意な正の 相関が多く見られた点から,やはり音階による位置づけと音名による影響により単音のカ ラーイメージが作られていると示唆された.また,音名の影響の方が強ければ,実験1と

実験3のa条件との相関は,実験3の3条件の中で最も少ないはずだ.しかし実験3のa

条件と。条件は同程度に実験1との間に有意な正の相関が見られた点から,色の選択に個人 差はあるが単音のカラーイメージが作られるには音階による位置づけがより影響しており,

次いで官名が影響することが示唆された.

表12 各条件間の相関行列にて有意な相関が見られた数

1全 み合

112通り

13%   23%   21%   12%

表13 各条件問(同オクターブ・同音色)の相関行列にて有意な相関が見られた数

1−3a  1−3b  1−3c  1−2

1全 みム せ

意な正の相関の ( 意な正の  の ム

内は の 8

28通り

12 8

5

29%  43%  29%   18%

(29)

5. 全体的考察

」本研究では,ドやレといった音階に含まれる音が赤や音といった色のように,各音で異 なったイメージが持たれるのではないかと仮定し,音を提示しその音のイメージカラーを つける実験を通し,色を介することで単音ごとに異なったイメージが持たれるのかを検討

した.

 まず実験1では聞き慣れたドレミファソラシという音階の順で音を提示し単音のイメー ジカラーを測ったところ,クラスタ分析や相関行列から高さや音色が異なっていても単音 ごとに固定のイメージが持たれていることが示唆された.しかし次に実験2においてドレ ミファソラシを音階ではなくランダムに音を提示したところ,実験1のように同じ単音同 士の類似性は見られず,音階の中の位置づけによりイメージ付けが行われている,もしく は音名によりイメージ付けが行われていることが示唆された.

 実験3では実験1のドレミファソラシという聞き慣れた音階ではなく,ファンラシレド レミという音階の順で音を提示したところ,提示された音がドレミファソラシだと思って いた群は最も実験1と同オクターブ,同音色の同 じ単音同士の色の選択パターンが類似し ており,次にファンラシレドレミだと思っていた群と何が提示されていたか分かっていな かった群は実験1との類似度が同程度高かった..この結果より色σ)選択に個人差はあるが 単音のカラーイメージが作られるには音階による位置づけが最も影響し,次いで音名によ る影響があることが示唆された、

 単音ごとに固定のイメージを持たれるために音階における位置づけが最も影響するので あれば,音の提示順がランダムでなく音階の順であった実験1と実験3(a,b,c条件)は 類似度が高いはずである.しかし実験1と実験3の相対的に音階の位置が均しい者同士の 相関(実験1のドと実験3のファなど)を求め,オクターブや音色が異なるものを含む全 組み合わせの112通りの相関を見た場合,実験1と実験3あ類似度は高いとは言えなかっ

た.

 このような結果になったのは,実験の手続きで実験1は音源の確認のためドレミファア ソラシという音列を提示したのだが,実験3では基準音のファ」を提示したためであると考 えられる.こういった提示方法を行ったのは実験3では集団実験で質問紙を3パターン使 用したため,音列を提示することで実験前に質問紙に記入されている音名と提示される音 源が異なることに気付かないようにするためであった.しかしながら初めに音列を提示す.

るか否かにより,実験1ではより音階である意識が強く持たれたのではないかと考えられ

参照

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