修 士 学 位 論 文
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指導 教員 風 寺 造 司
平 成rg年/月/V日 提 出
人文科学研究科 人 蘭 粛 学 轍
学 痢彦番 号/51忌6う ノC)3
良 りが茗 蜜 耀
目次
序章
第一章 台湾に於 ける生命教育の現状と課題 第1節 台湾に於 ける生命教育の現状
35
第2節 幼児期における生命教育の課題 絵本を媒介とした生命教育
集団討論を介した社会的スキルの育成
第3節 鄭端容 による生命教育概念 と幼児期の生命教育実践 新北市における幼児期の生命教育実践
第4節 本論の課題 第二章 方法
研究対象 日々の保育活動 分析方法 倫理的配慮 第三章 結果・考察
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15 結 果1:新 北 市 に お け る幼 児 園 の 生 命 教 育 実 践 の 展 開 過 程
平 塚 幼 稚 園 の 保 育 結 果2:実 践 内 容
事 例1(2016/8/29):【 相 手 がい るとい うことに気 づ く】
事 例2(2016/8/30・9/1):【 幼 児 園 生 活 を安 心 して 過 ごせ る環 境 】 事 例3(2016/9/7〜9/12):【 二 人 組 を超 え た話 し合 い 】
事 例4(2016/10/10):【 互 い の思 い を代 弁 す る】
事 例5(2016/10/27):【 初 め て 思 い を主 張 す る】
事 例6(2016/11/08):【 協 同 的 な行 為 】 総 合 考 察
① 本 研 究 の 成 果
② 生 命 教 育 へ の 貢 献
③ 普 及 に 向 けた課 題
④ 今 後 の課 題 引用文献
謝辞
4/0つ4∩∠
2
序章
台 湾 は 歴 史 的 にも学 歴 を重 ん じる風 土 が 強 く、また近 年 の グ ロー バ ル 化 の 流 れ にお い て 、良 い 職 業 を 得 るた め に は よ り高 い 学 歴 を積 む 必 要 が あ るとい う信 念 が 強 まっ てい る。そ の た め 、 2014年 度 の就 学 率 は 学 齢 児 童 で97.78%1、 中等 教 育 後 期 学 校 へ の 進 学 率 は99.52%2、 大 学 へ の進 学 率 は96.29%3と な り、従 来 の 「升 學 主 義(学 歴 社 会)」 にます ます 拍 車 が か か ってい る。
また 、学 歴 偏 重 の 社 会 風 潮 で 子 どもの 受 験 勉 強 や 成 績 ば か りが 重 視 され 、子 どもの 心 身 問 題 は お ろそ か にな り、深 刻 な逸 脱 行 動 が 社 会 的 に 問 題 とな ってい る。特 に1994年 、青 少 年 の 自殺 事 件 が頻 繁 に 起 こり、青 少 年 の 心 身 問 題 に社 会 的 関 心 が 向 け られ るようにな った。(教 育 部 生 命 教 育 學 習 網 、2015)5。 「国 立 台 中 第 二 高 級 中 学(中 学 校)の 中 学 生 が 学 校 で 首 吊 り自殺 」「台 北 市 第 一 女 子 高 級 中 学(女 子 高 校)の 生 徒 が 練 炭 自殺 」「嘉 義 中学 校 の 女 子 学 生 と基 隆 のあ る高 校 生 が入 水 自殺 」「学 校 の 階 段 で 男 子 高 校 生 が 首 吊 り自殺 」とい う事 件 が 起 きた(教 育 部 生 命 教 育 學 習 網 、2015)5。
1997年 、教 育 廉(日 本 の 文 部 科 学 省 に相 当)陳 英 豪 磨 長 は 「命 」を認 識 し、尊 重 し、大 切 にす ることを 目的 とした 「生 命 教 育 」の概 念 を提 唱 した 。これ は 幅 広 い 教 育 現 場 に お い て様 々 な 実 践 が 展 開 され るきっか けとな った(黄 徳 祥 ・呉 沐 馨 ・李 真 文 ・羅 寳 鳳 ・林 香 河 ・林 進 材 ・魏 麗 敏 ・張 匂 銘 ・李 珊 喩 、2015)6。ただ し、この 生 命 教 育 の 取 り組 み も順 調 に 展 開 した わ けで は な い。1999年 8月 末 まで 台 湾 政 府 は 行 政 の 弊 害 の 排 除 と行 政 の 簡 素 化 ・効 率 化 を図 るた め 、教 育 廉 を教 育 部
(日本 の 文 部 科 学 省 に相 当)に 変 更 した 。そ の た め 、生 命 教 育 の計 画 が そ の 時 に一 時 停 止 した (王幸 委 、2008)7。1999年 教 育 部 元 部 長 曾 志 朗 は 《生 命 教 育 一教 改 不 能 遺 漏 的 一 環 》に お いて
「教 育 の 改 革 は 制 度 面 だ けで は なく、教 育 の理 念 ・方 針 を変 更 す る必 要 が あ る。子 どもは 思 考 力 と判 断 力 を培 い 、人 格 の 完 成 と正 義 感 を持 つ ことが 可 能 で あ る。そ して 、生 命 教 育 の 指 導 に よっ て 、学 校 の 教 育 活 動 全 体 を補 充 し統 合 す ることが で きる。そ のた め 、生 命 教 育 は 知 育 偏 重 の 教 育 改 革 の核 心 で あ る」と指 摘 した(王 幸 委 、2008)7。さらに 、2001年 子 どもた ち の 潜 在 能 力 や 社 会 的 適 応 能 力 を発 展 させ 、 生 活 に応 じた 学 習 環 境 へ と改 善 す ること目的 として 、「国 民 中 小 学 九 年 一 貫 課 程 綱 要 」を提 出 し、2003年 か ら台 湾 全 国 で 実 施 され た(教 育 部 、2003)8。
「国 民 中 小 学 九 年 一 貫 課 程 綱 要 」で は 、子 どもた ち に必 要 な基 本 的 な能 力 の 育 成 に つ い て 、 基 本 能 力 を 「瞭 解 自我 與 獲 展 潜 能(自 己理 解 と潜 在 能 力 の発 展 能 力)」 「欣 賞 、 表 現 與 創 新 (楽 しみ 、 表 現 と新 しく創 造 す る能 力)」 「生 涯 規 劃 與 終 身 學 習(生 涯 設 計 と生 涯 学 習 の 能 力)」
「表 達 、 溝 通 與 分 享(表 現 と相 互 コミュニ ケ ー シ ョンの 能 力)」 「文 化 學 習 與 國 際 瞭 解(文 化 学 習 と国 際 理 解 の 能 力)」 「規 劃 、 組 織 與 實 践(計 画 、 組 織 と実 践 の 能 力)」 「運 用 科 技 與 資 訊 (科学 技 術 と情 報 を運 用 す る能 力)」 「主 動 探 索 與 研 究(主 動 的 探 索 と研 究 の 能 力)」 「濁 立 思 考 與 解 決 問 題(独 自思 考 と問 題 解 決 の 能 力)」 の 十 項 目設 定 し、 そ れ らを 「十 大 基 本 能 力 」 とし た(教育 部 、2003)8。また 、小 学 校 ・中 学 校 に お ける科 目を 「語 文(言 語)」 「健 康 與 髄 育(健 康 と 体 育)」 「敷 學(数 学)」 「社 會(社 会)」 「藝 術 與 人 文(芸 術 と人 文)」 「自然 與 生 活 科 技(自 然 と 生 活 科 学 技 術)」 お よび 「綜 合 活 動(総 合 活 動)」 とい う七 大 「学 習 領 域 」か ら成 り立 っ てい る(教 育 部 、2003)8。生 命 教 育 は 「学 習 領 域 の 綜 合 活 動 」として位 置 付 けると示 した(教 育 部 、2001)9。
台 湾 政 府 は 、小 学 校 教 育 の 基 礎 段 階 として の 幼 児 教 育 を重 視 し、生 命 教 育 の 対 象 を幼 児 期
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にも広 げ た 「生 命 教 育 中 程 計 書(99至102年)(生 命 教 育 の 中程 推 進 計 画2010‑2013)」 を策 定 した(教 育 部 、2010)10。同 計 画 で は 、各 自治 体 は 幼 児 園iの教 諭 の 生 命 教 育 養 成 講 座 を実 行 し、
幼 児 向 け の 生 命 教 育 の 教 材 を 多 様 的 に 開 発 す ることが 求 め られ ることとな った 。また 、教 育 部 の 2014年 一2017年 の 生 命 教 育 の 実 施 計 画 で は 、生 命 教 育 を幼 児 園 全 体 の 活 動 を通 して行 うとい う ことも示 され 、生 命 教 育 が 台 湾 の 幼 児 園 全 体 で 取 組 む べ き課 題 として位 置 づ け られ ることとな っ た(教 育 部 、2014)11。
以 上 の ように 、台 湾 で は2000年 代 初 等 より顕 在 化 した様 々 な青 少 年 の 問 題 を解 決 す ることを 目的 として 「生 命 教 育 」が 提 言 され 、当初 は 小 中 高 等 学 校 を対 象 として 取 組 まれ ることとなった 生 命 教 育 は 、そ の 後 、学 齢 期 の 準 備 段 階 として の 幼 児 期 に まで 幅 が広 が り、幼 児 園 でも積 極 的 な 取 り組 み が 見 られ るようになっ てい る。
そ こで 本 研 究 で は 、台 湾 の 中 で も先 進 的 な生 命 教 育 実 践 を行 って い る新 北 市 の教 育 委 員 会 が 主 導 す る『二 人 組 』を用 い た教 育 実 践 を紹 介 し、そ の 実 践 構 造 の 分 析 を行 い 、効 果 的 な 幼 児 期 の 生 命 教 育 の あ り方 につ い て検 討 す ることを 目的 とす る。
i1949年 以 降 、台湾 に於 ける幼 児 教 育の施設 は託 児所 と幼 稚 園であった。内政部(日 本 の厚 生 労 働 省 に相 当)が 管 轄 す る託 児 所 は 生 後1ヶ 月 か ら6歳 未 満 の 乳 幼 児 を対 象 に、教 育 ・保 育 を 提 供 して い た(劉 郷 英 ・林 佳 芥 ・洪 福 財 、2015)。教 育 部 の 管 轄(日 本 の文 部 科 学 省 に相 当)す る 幼 稚 園 で は 、4歳 以 上 か ら小 学 校 入 学 まで の 幼 児 を対 象 に 、教 育 を提 供 してい た(劉 郷 英 ・林 佳 券 ・洪 福 財 、2015)。ただ し、多 くの 託 児 所 は 幼 稚 園 の カ リキュラムに な らい 保 育 ・教 育 内 容 を企 画 し、推 進 してきた(劉 郷 英 ・林 佳 芥 ・洪 福 財 、2015)。2012年1月1日 「幼 見 教 育 及 照 顧 法 」によ り、託 児 所 と幼 稚 園 が統 合 され 、「幼 児 園 」に なった(洪 福 財 、2014)。
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第一章 台湾に於 ける生命教育の現状と課題
生 命 教 育 の概 念 は 広 く、単 一 の領 域 に 収 まるもので は なく、幅 広 い 領 域 で 行 わ れ て い る(溜 停 樺 、2013)12。そ こで 第1節 で は 、教 育 部(文 部 科 学 省 に相 当)がi提出 した 生 命 教 育 の指 導 要 領 を概 観 しな が ら、生 命 教 育 の 対 象 とは どの ようなもの か 明 らか にして い く。また 、台 湾 に於 ける生 命 教 育 につ い て は 、す で にい くつ か の 実 践 的 な研 究 が行 わ れ 、また 、そこで の課 題 も明 らか に な っ てい る。そこで 、第2節 に お い て 台 湾 に於 ける生 命 教 育 の 研 究 動 向 を傭 轍 しな が ら、次 に教 育 分 野 の 専 門 家 が述 べ る幼 児 期 にお ける生 命 教 育 の 課 題 につ い て示 す 。さらに 第3節 で は 、台 湾
の 幼 児 教 育 にお い て指 導 的 役 割 を果 た してい る鄭 端 容 による生 命 教 育 要 領 を示 し、台 湾 に お ける保 育 ・幼 児 教 育 が抱 え てい る生 命 教 育 の 課 題 を乗 り越 え る可 能 性 に つ い て 論 じる。最 後 、第 4節 に お い て 本 稿 の 課 題 を述 べ る。
第1節:台 湾 に於 け る生 命 教 育 の 現 状
壷 濁 省 教 育 磨(文 部 科 学 省 に相 当す る)磨 長 陳 英 豪 が 台 湾 の教 育 問 題 を改 善 す るた め に 、 壷 濁 省 教 育 廉 は 「台 溝 省 國 民 中 學 推 展 生 命 教 育 實 施 計 書(台 湾 中 学 校 の 生 命 教 育 実 施 計 画)」
を提 出 した(台 濁 省 政 府 教 育 磨 、1988)13。当 時 、生 命 教 育 の ね らい は 、以 下 に あげ る4点 として まとめ られ る。
① 生 徒 は 生 命 の 連 続 性 や 有 限性 な どを理 解 し、自分 の命 を大 切 にす る。さらに 、前 向 きな 姿 勢
6鵠 織 凱 磁 つつ短所を改めて長所を 臆
③ 社 会 的 スキル を向 上 し、人 々 が お 互 い に 支 え合 う。
④ 生 徒 に確 か な 生 き方 を導 き、健 全 な人 格 を育 成 す る。
2000年 曾 志 朗 を教 育 部 の部 長 に 就 任 し、台 北 市 教 育 局(日 本 の 教 育 委 員 会 に相 当 す る)は
「生 命 教 育 實 施 計 書(生 命 教 育 実 施 計 画)」をi提出 した(教 育 部 、2000)14。この 生 命 教 育 の ね ら い は 、生 命 の連 続 性 や 有 限 性 な どを理 解 し、自分 の命 を 大 切 にす るとい うことが 「1988年 中学 校 の 生 命 教 育 実 施 計 画 」にお けるね らい と、ほ ぼ 同 じもの で ある。だ だ し、従 来 抽 象 的 な表 現 に 留 まってい た 「ね らい 」は 、より具 体 的 に 述 べ られ 、さらに 「自然 環 境 に親 しみ 、接 す ること」とい う環 境 のか か わ りに つ い て の ね らい が付 加 され た 。特 に 、本 稿 と関 わ りのあ る社 会 的 スキル に つ い て は 、「人 々 が 互 い に理 解 し、支 え合 い 、さらに 良好 な コミュニケ ー シ ョンを 取 る」、「自分 自身 につ い て は 自分 の 特 徴 を知 るだ けで はな く、自信 を持 ちつ っ 、自分 のあ りの ままを認 め る」ことが付 加 され てい る。
2001年 子 どもたち の 潜 在 能 力 や 社 会 的 適 応 能 力 を発 展 させ 、生 活 に応 じた 学 習 環 境 へ と改 善 す るた め 、生 命 教 育 が 「学 習 領 域 の綜 合 活 動 」に付 加 され た(教 育 部 、2003)8。「国 民 中 小 学 九 年 一 貫 課 程 綱 要 の 学 習 領 域 」に お い て 「綜 合 活 動 」に お ける生 命 教 育 の ね らい は 「生 命 の 連 続 性 や 有 限 性 な どを理 解 し、自分 ・他 人 の命 を大 切 にす る」で あ る(教育 部 、2003)8。
さらに2010年 教 育 部 は 、「生 命 教 育 中程 計 書99至102年(生 命 教 育 の 中程 推 進 計 画 2010‑2013年)」 を提 出 した(教 育 部 、2010)10。生 命 教 育 の 中程 推 進 計 画 にお けるね らい は 生 徒 に生 命 の 大 切 さを理 解 させ ることだ けで は な く、生 命 の 意 義 ・目的 を考 え させ るとい うもの であ る。
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また 、知 識 ・技 能 の 習 得 、及 び 社 会 的 スキル を 向 上 す ることも 目指 して い る。学 校 生 活 の 中 で 生 徒 の 悪 い ことや 良 い ことを判 断 す る能 力 を培 い 、倫 理 を 実 践 す る。か つ 、以 上 の能 力 を培 うた め 、
学 校 は 教 育 方 法 の多 様 化 に対 応 す る環 境 を作 ることとす る。
以 上 より、1990年 代 に 頻 発 した 青 少 年 の 心 身 問 題 へ の対 応 を 目的 として 計 画 され た 生 命 教 育 は 、1999年 当 初 の 一 時 的 停 滞 を乗 り越 え 、2000年 に生 命 教 育 実 施 計 画 を改 めて 提 出 し、学 校 教 育 に お い て 施 行 され た 。また 、義 務 教 育 と幼 児 教 育 が 円 滑 に接 続 し、一 貫 性 を確 保 す るた
め 、幼 児 期 に お ける生 命 教 育 をも重 視 す るような展 開 が 見 られ た 。
そ して 、そ こで 取 り上 げ られ た 生 命 教 育 の対 象 は 、い わ ゆ る、命 を学 ぶ 、とい う側 面 に 限 って言 え ば 、自然 環 境 に触 れ る 「環 境 教 育 」と言 うことも含 まれ る。しか し、生 命 教 育 は 青 少 年 の 心 身 問 題 に対 応 してい るた め 、環 境 的 な 側 面 と言 うよりも、社 会 的 スキル を高 め ることを 目的 としたもの
で あった 。
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第2節:幼 児期における生命教育の課題
絵 本 を媒 介 とした 生 命 教 育
幼 児 期 の 生 命 教 育 が注 目され るとともに 、どの ように 幼 児 に指 導 す るか とい う問 題 が 浮 上 した 。 この 問 題 を解 決 す るた め 、幼 児 園 の 教 諭 の 生 命 教 育 の 養 成 講 座 生 命 教 育 に お い て絵 本 を通 し て 生 命 教 育 を指 導 す るとい う方 法 が紹 介 され た(黄 玉 純 、2013)15。また 、生 命 教 育 用 の 絵 本 を作 った絵 本 作 家 は 、子 どもの 立 場 に 立 ち 、子 どもの 興 味 に応 じた 物 語 を作 り、絵 を描 い た(張 湘 君 ・ 葛 碕 霞 、2000)16。張 湘 君 は 、そ の 生 命 教 育 用 に 作 られ た 絵 本 を子 どもが 読 む と、思 い や り・人 と 互 い に 支 え合 い の 心 や 行 為 を培 うことが で きると指 摘 した(張 湘 君 ・葛 碕 霞 、2000)16。これ をきっ か け として 、多 くの 幼 児 教 育 の 専 門 家 は 、生 命 教 育 の 教 材 として 「絵 本 」を推 薦 し、多 くの 現 場 で 絵 本 を通 した 生 命 教 育 実 践 が 展 開 され ることとなった 。2000年 台 北 市 教 育 局 は 《與 生 命 有 約 一 幼 見 生 命 教 育 統 整 學(幼 児 向 けの 生 命 教 育 の 指 導 方 法)》とい う本 を 出 版 した(墓 北 市 立 師 院 實 小 、2000)17。そ の 本 は 幼 児 向 け の 生 命 教 育 に 関 す る絵 本 集 を整 理 し、そ こで 指 導 方 法 を詳 し く述 べ た 。そ の 指 導 方 法 とは 、絵 本 を読 み 聞 か せ た 後 、絵 本 の 内 容 にそ っ た 活 動 を展 開 し、最 後 に学 習 単(宿 題)を 出 し、そ こで 子 どもの 理 解 度 を確 認 す るとい う方 法 で あ った。それ ととも に 、 張 湘 君 ・葛 碕 霞 も生 命 教 育 に 関 す る絵 本 を整 理 し《在 童 書 創 意 教 學 一 生 命 教 育 一 起 來 》を 出版 した(張 湘 君 ・葛 碕 霞 、2000)16。そ の 後 、幼 児 向 けの 生 命 教 育 に 関 す る絵 本 や 絵 本 集 が 相 つ い で 出版 され 、幼 児 園 に 普 及 して い っだ'。
集 団 討 論 を介 した社 会 的 スキル の 育 成
これ まで の 所 で 、幼 児 期 にお け る生 命 教 育 の 社 会 的 スキル の 実 践 事 例 として 、絵 本 の 読 み 聞 か せ を 中 心 とした指 導 方 法 に つ い て紹 介 した。こうした 絵 本 の 読 み 聞 か せ を用 い た 生 命 教 育 実 践 の 多 くで 、読 み 聞 か せ 後 、集 団 討 論(ク ラス全 員 の 討 論 会)が 行 わ れ てい る。集 団 討 論 で は 、 子 ども に絵 本 の 内 容 や 子 ども 自身 の 経 験 な どを 聞 い て い く。そ して 、集 団 討 論 の 後 、絵 本 に 関 す る内 容 にそ った活 動 を実 施 す る。以 下 で は 、幼 児 期 に お け る生 命 教 育 の 社 会 的 スキル に 関 す る5つ の 実 践 研 究 につ い て検 討 す る。
黄 玉 純(2013)15は1.よ りよい 人 間 関 係 を培 う、2.問題 解 決 の 能 力 を培 う、3.助け合 う能 力 を培 う ことを 目的 に絵 本 を通 した生 命 教 育 実 践 を報 告 してい る。そ の 実 践 方 法(表1)は まず 、《い た ず
らうさぎ テ イビイー とっ ても友 だ ち なん だもん 》1'1とい う絵 本 を読 み 聞 か せ 、集 団 討 論 を行 う。集 団 討 論 で は絵 本 につ い て の 喧 嘩 の 原 因 、仲 直 りの原 因 、喧 嘩 の悪 い 点 、仲 直 りの 良 い 点 を子 ど もに 考 え させ た 。そ の 後 、絵 本 の 主 人 公 として 役 を演 じた。これ が 終 わ ると、ほか の 一 冊 の 絵 本 を 読 み 聞 か せ 、同 じ方 法 で 実 践 した 。そ の 結 果 、子 どもは 絵 本 に 関 す る内容 や 主 人 公 の した ことを よく話 し合 うことが で きてい た 。ところが 、実 際 の保 育 場 面 で は 、子 どもの 助 け合 う行 為 な どは み ら れ なか った と示 して い る。
ii劉 清 彦 ・郭 恩 恵(2003)《 圖 書 書 中 的 生 命 花 園 》 宇 宙 光 出版 社 ・呉 庶 深 ら(2007)《生 命 真 精 彩 有 敷 運 用 圖 書 生 命 教 學 》三 之 三 文 化 出版 社 …(台 濁 出 版 訊 網 、2015)。
111うさぎ のデ イビー と友 達 エ デ イは喧 嘩 した が
、お 互 い の す ご い ところを見 っ けて 仲 直 りした。
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この ように 、絵 本 の読 み 聞 か せ は 、討 議 場 面 で は 一 定 の効 果 が あるように 思 われ るが 、実 際 の 生 活 場 面 に は 反 映 しにくい とい う問題 点 が ある。
表1黄 玉 純(2013)15の 実 践 方 法
絵 本 の読 み 聞 か せ → 集 団 討 論 → 活 動
さらに洛 姪 華(2013)12は 、1.子どものよりよい 人 間 関 係 を培 う、2.仲の 良 い 友 だ ち とい う意 義 を 理 解 す る、3.積極 的 に友 だ ち と支 え合 うことを 目標 に 、黄 玉 純(2013)15と は 異 なる"デ ジタル 絵 本"
を用 い た 生 命 教 育 実 践 を行 っ た。そ の 実 践(表2)で は 、デ ジ タル 絵 本 匪vの半 分 を読 み 聞 か せ 、 子 どもに そ の 絵 本 の 内容 を考 え させ た 。また 、子 どもが 考 えた ことを描 い た後 、教 諭 は デ ジ タル 絵 本 の 次 の 内 容 の 読 み 聞 か せ を行 っ た。そ の 上 で 、集 団 討 論 を行 い 、最 後 に宿 題 をだ す とい う 手 続 きが 取 られ て い る。宿 題 の 内 容 は 自分 と仲 の 良 い 仲 間 の名 前 や そ の 仲 間 の好 きな ところな どを描 くことで ある。そ の 結 果 、絵 本 の 読 み 聞 かせ 後 、子 どもが 集 団 討 論 の な か で 、言 葉 で 自分 の 気 持 ちや 言 いた い ことを表 現 で きた ことを明 らか に した 。しか し、黄 玉 純(2013)15の 結 果 と同様
に 、実 際 の 生 活 の なか で は 、支 え 合 う行 動 は観 察 され なか った 。
表2溜 姪 華(2013)12の 実 践 方 法
デ ジ タル 絵 本 の 半 分 を 読 み 聞 か せ る → 絵 本 に 関 す る次 の 内 容 を考 えて 描 い た → デ ジ タ ル 絵 本 の 後 半 を読 み 聞 か せ る → 集 団 討 論 → 宿 題
上 記 の ような 、絵 本 の 読 み 聞 かせ が集 団 討 議 場 面 で の 積 極 的 な発 言 を増 加 させ るの に 対 して、
実 際 の 保 育 場 面 で 展 開 され な い とい う姿 は 張 家 綾(2007)18の 実 践 にも見 られ てい る。張 家 綾 (2007)18に よると、こうした絵 本 の 読 み 聞 か せ を行 った としても、実 際 の 子 どもの 行 動 は家 庭 生 活 や 、保 護 者 の性 格 の 影 響 を強 く受 け るだ ろうと考 察 してい る。
また 、許 汝 苑(2010)19の 実 践 目標 は 子 どもの 思 い や り・お 互 い に 尊 重 す ること・寛 容 とい う行 為 を培 うことを 目標 に 、子 どもに 正 しい 行 為 は どの ようなものか を問 うとい う方 法 を用 い て い る。研 究 の 結 果 、子 ども は討 論 す る時 や 活 動 を行 っ てい る時 、思 い や りや 寛 容 さ、互 い の 尊 重 とい った
「正 解 」を導 き出す ことは 出 来 た が 、や は り現 実 場 面 で は 思 いや り・お 互 い に尊 重 す ること・寛 容 と い う行 為 は 現 れ な か った ことを報 告 して い る。
子 どもと人 との か か わ り方 を 実 践 す るた め 、楊 淑 恵(2009)20は まず 達 成 したい 具 体 的 な 目標 を 設 定 した 。具 体 的 な 目標 は1.幼 児 は ほ か の 人 の 長 所 が 言 えること、2.仲間 を褒 め ることが で きる こと、3.ほか の 人 の 気 持 ち に気 づ けること、4.自分 の 気 持 ちが 表 現 できること、5.集団 討 論 の 時 に ほ か の 人 の 意 見 が 静 か に 聞 けること。実 践 の 方 法 は表3を 参 照 す る。結 果 に より、幼 児 は 討 論 や 活 動 をした 時 、設 定 され た具 体 的 な 目標 を達 成 した が 、現 実 の 生 活 で 設 定 され た 具 体 的 に 目標 とした行 動 は 現 れ なか った 。楊 淑 恵(2009)20は この 結 果 に つ い て 、幼 児 園 で 子 どもの か か わ りが 少 ない た め 、期 待 され た行 動 が観 察 され なか っ た と考 察 した。
1v《海 が こお っ た ら》とい う絵 本 で あ る
。
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表3楊 淑 恵(2009)実 践 方 法
絵 本1v→ 感 想 発 表1vi→ 遊 びlvn→ 感 想 発 表2viii→ 絵 本2ix→ 感 想 発 表3x→
集 団 討 論xl→ 活 動1xi1→ 遊 び2xiii→ 感 想 発 表4xlv→ 活 動2xv→ 宿 題xv1
以 上 の 研 究 結 果 に より、生 命 教 育 を絵 本 ・活 動 ・討 論 とい う方 法 で 行 う際 、子 ども は活 動 ・討 論 に お い て 教 諭 が 期 待 す るような 行 動 を とった り、正 しい答 えを発 言 す ることが で きる。しか し、子 ど もは 学 習 した ことを実 際 の生 活 の 中で は 活 か せ なか った(黄 玉 純 、2013・張 家 綾 、2007・許 汝 苑 、 2010・楊 淑 恵 、2009)。このように 、近 年 、台 湾 にお い て広 が りを見 せ つ つ ある幼 児 園 で の 生 命 教 育 の あ り方 を検 討 す る上 で 、具 体 的 な 生 活 状 況 に 即 した 教 育 の あ り方 をあきらか に す る必 要 が あ る。
v《箭 鞄 小 牛 》とい う絵 本 で あ る。その絵本 の概 略 は以 下の通 りである。顔 に矢 みたいな印字 があ る牛 が い た 。そ の 牛 が 学 校 へ 行 く時 、友 達 に い じめ られ 、そ の 牛 は 学 校 へ 行 きた くな くな った。し か しそ の 後 、そ の 牛 の 家 族 は 全 員 で 合 唱 団 試 合 に参 加 す る。牛 は 歌 が上 手 いた め 、有 名 な 合 唱 団 に参 加 す ることとなった。そ の後 、そ の 牛 は 人 気 の ある歌 手 にな った。
v1《箭 鞄 小 牛 》につ い て の感 想 を発 表 す る。
vii二人 組 で 二 人 は 教 室 の真 ん 中 で握 手 しな が ら相 手 の長 所 を言 う。
viii遊び1に つ い て の感 想(ほ か の 人 は 自分 の 長 所 を言 う時 、自分の感 覚)を 言う。
lx《是 蝸 牛 開 始 》的 とい う絵 本 で ある。蝸 牛 は 豚 に悪 口を言 った 。豚 は 悲 しくな ったた め 、ほか の 動 物 に 悪 口を言 った。そ の 後 、ほか の 動 物 は 蝸 牛 に悪 口を言 う。蝸 牛 は 悲 しくな り、そ の 時 豚 に 悪 口を言 った ことを思 い 出 す 。そ の 後 、豚 に 「す み ませ ん 」と謝 り、豚 と仲 良 しに なる。
x《是 蝸 牛 開 始 》に つ い て の感 想 を発 表 す る。
Xl《是 蝸 牛 開 始 》の 内容 につ い て討 論 す る。
xii二人 組 で 相 手 の 作 った表 情 を言 い 出 す。 xiii遊び1と 同 じで ある。
xiv遊 び2に つ い て 感 想 を発 表 す る。
xv1 .仲間の長 所 を言 う時 の様子 を演 じること。2.仲間の作 った作 品を褒 める様 子 を演 じること。3.
仲 間 の 得 意 な ことを褒 め る役 を演 じること。
xv'仲 間 の 長 所 を描 く
9
第3節 鄭 端 容 に よる生 命 教 育 概 念 と幼 児 期 の 生 命 教 育 実 践
1979年 小 学 校 の 校 長 鄭 端 容 は 生 徒 に より良 い 教 育 を指 導 す るた め 、教 育 の 本 質 が た だ 知 識 の伝 達 だ けで は なく、子 どもた ち が 変 化 の激 しい 社 会 に入 った 際 、自 ら考 え、判 断 し、行 動 で きるような社 会 適 応 力 を育 成 す ることが 必 要 で あ ると指 摘 した(張 美 雲 、2008)21。また 、鄭 端 容 は 、 広 義 の 生 命 教 育 は狭 義 の 生 命 教 育 と社 会 適 応 力(表4)で あると指 摘 した 。狭 義 の生 命 教 育 とは
自分 の 命 を大 切 にす ること及 び 、自分 の 理 想 的 な ライフスタイル を追 求 す ることで ある(張 美 雲 、 2008)21。 社 会 適 応 力 は 状 況 に 合 わ せ るように 行 動 や 考 え方 を変 え ることが で きる力 で あ る。社 会 適 応 力 を 向 上 させ るた め 、知 識 ・技 能 を習 得 し、規 範 意 識 と社 会 的 スキル を育 成 す ることが必 要 で ある(張 美 雲 、2008)21。
表4生 命 教 育(張 美 雲 、2008)21
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生命教育
・ 自 分 の 命 を 大 切 す る
・自 分 の 理 想 な ラ イ フ ス タ イ ル を 追 求 す る
・知 識 と 技 能 の 習 得
'規範意識 → 社 会 適 応 力
・ よ り よ い 人 間 関 係
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新 北 市 にお ける幼 児 期 の 生 命 教 育 実 践
先 の鄭 端 容 による生 命 教 育 概 念 をい ち早 く取 り入 れ た新 北 市 教 育 局 は 、2007年 幼 児 園 の生 活 ・環 境 と幼 児 の 特 性 を踏 まえた《幼 児 期 に お ける生 命 教 育 の指 導 要 領 》を提 出 した 。そ こで の 生 命 教 育 は 、「心 身 の 健 康 」「人 間 関係 」「規 範 の 学 習 」「情 意 の 陶 冶 」「知 識 の 探 索 」(表5)と い う 5領 域 で 構 成 され 、それ ぞ れ の 領 域 に応 じた カリキュラム が構 築 され て い る(新 北 市 幼 教 研 習 畳 資 訊 中 心 、2016)22。
特 にそ こで は 、先 に示 した 幼 児 期 にお け る生 命 教 育 の課 題 で あ る具 体 的 な人 間 関係 の 中 で の 学 び が 実 現 され てお り、今 後 の 台 湾 に於 ける生 命 教 育 のあ り方 に重 要 な 示 唆 を与 えるもの とし て高 く評 価 され て い る。そ こで 本 研 究 で は 、台 湾 新 北 市 に お い て 取 組 まれ て い る幼 児 園 で の 生 命 教 育 の 取 り組 み につ い て調 査 し、そ のあ り方 を分 析 す る。
10
表5幼 児 期 に お ける生 命 教 育 要 領(新 北 市 幼 教 研 習 畳 資 訊 中 心 、2016)22
内容 「心身の顯1 「燗 関係1 「規範の学習」 「情意の陶冶」 「知識の探索」
目的 元気で生き生きとして行動する 思いやりの心を持ち、互いに支姶 う 過ちを素直に改め、正直に明るい心を持つ 気齢 」いてよいことなどに鮒 く 周囲の様々な環境に騎 心や探究心 齢 ってかかわる。
1朋るく伸び伸びと行動し、充実感 1.幼稚園生活を楽しみ、自分のカで行動す 拗 児園における生活のリズムが好き、 1,自然に触れて生活し、その大きさ、 1,身近な環境に親しみ、様々な事象に興味
を味わう。 ることの充黙 艦 わう。 ノレー磁 びを体験する。 美しさに気付く。 や関心齢 つ。
ねらい 2,自分の体針 分に動かし、活動へ 2,進んで身近な人とかかわり、愛情や信頼 2.他の人々と支え合うことに楽しむ。相手 2,生活の中で、優しい心を持ちながら2,身近な環境に自分からかかわり、発見を楽 主体的・鞭 的に取り込む。 感齢 つ。 の思っていることに鮒 く 人とかかわる。 しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れよ
うとする。
3,蘇 、安全な生活に必要な習慣 3,ほかの人の意見を聞き、理解しながら、自3考えてから行動するというころ瀦 う。 3,生活の中でよいことや悪いことに気 3,五感を通して感じたことや考えたことを自分
や態度を身にっける。 分の感情や意志を表現し、人とかかわること づき、よ娘 い人になりたい。 なりに表現して楽しむ。
の楽しさを味わ、人とかかわることの楽しさを 味わうことができる,、
4社会生活における望ましい習慣や態度 を身に付ける。
1,幼児園で先生と友達と触れ合 1,先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わ1,生活のリズムを身にっける。 1,季節により自然や燗 の生活に変 1,自然環境に親しみ、自然と触れ合う申で
い、安定感齢 って行動する。 う。 化のあることに気付き、言葉で表現す
る。
様々な事象に興味や関心。
2,いろいろな遊びをし、その中で体 2,集団の中で、自分で考え、自分で行動す 2,基本的な生活習慣の形成を図るとともに、幼児 2,身近な動植物に親しみをもって接 2,自然などの身近な事象に関心をもち、わカ 働 かす。 る。 が他の幼児とのかかわりの中で他人の存在に気付 し、生命の尊さに気付き、いたわったらないことを聞き、考える。
く。 堕,大切にしたりする,、
3,進んで戸外で遊び、運動を体験3,自 分でできることは自分でする。 3,ルー磁 び群 んで体験する。 3,日常生活の中で自然の大きさ、不 3.生活の中で、様々な物に触れ、その性質や
し、充実感蛛 わう。 思讃(台 風、膿 など)に気付き、畏 仕組みに興味や関心舳 つ。
敬の髄 抱く。
4,様々な活動に親しみ、楽しんで蝶 団で頼熱 たことを大切にする。 4,友達と楽しく生活する中できまりの必要性などに気 4.人とのかかわりの中で、相手の気持 4.身近な物や遊具に興味をもってかかわり、
取り組む。 付く。 ち(喜び、怒り、悲しみ、楽しみ、怖さ考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
など)に気付く。
5,活動に主体的として参加する。 5,先生や友達の言葉や話に興味や関心をも5,ほかの人との意見を食い違う時、互いに思いを主張 5,人とのかかわりの中で、相手の悲し5,日常生活の中で簡単な標識、文字、数量、
ち、親 しみをもって聞いたり、話したりする。 し、折り合い鮒 ける体験をする。 みを燃 し、思いやりの心梯 う。自分 図形などに関心齢 つ。
が好まないことはほかの人に対しても してはならな!lことに気づく。
活動 6,先生と友達と瀦 に食事し、様々6,友達と積極的にかかわりながら喜びや悲し6,試行錯誤しながらよいことや悪いことに気づく 6.人とのかかわりの中で、相手の幸せ 6.生活に関係の深い情報や施設などに興味
内容 な食べ物を食べてみる。 みを燃 し合う。 を自分の幸せと感じる。 や関心齢 つ。
7,身の回りを清潔にし、衣服の着7,したこと、見たこと、聞いたこと、感じたこと7,共同の遊具や用具を大切にし、みんなで使う。 7.生活の中でよいことや悪いことを7絵本や物語などに親しみ、興味をもって聞 脱、食事、排泄など生活に必要ななどを自分なりに言葉で表現する。 知って礒 感や恥ずかしい気持ちなき、想像をする楽しさ鰍 わう。
活動を自分でする,、 どを持り,、
8,顯 な生活のリズムを身にっけ8,親しみ舳 って日常のあいさっをする。 8,生活の中で美しいものや心鋤 かす 8,生活の中で必要な言葉が分かり、働 。
る。 出来事に触れて、豊かな感性や表現
する力騰 。
9,よい生活習慣の仕方を知り、自分9,先生や他の幼児などの話に興味をもって 9,生活の中で諜 の楽しさや 9.感動したことや興味を持つことなどを自分な たちで生活の場樫 える。 注意して聞くことを通して次第に話を理解す 美しさに気付く。絵本や物語などに親 りの言葉で表現する。
るようになっていく。 しみ、興味齢 って聞き、想像を弄る楽
しさ躾 わう。
10,自分の懸 に関心齢 ち、自己 10,友達と一緒に活動する楽しさを味わう。 10.音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム
防衛の方法を身にっける。 楽器鞭 ったりなどする楽しさ献 わう。
11,危険な場所、繊 な遊び方、 11.友達と楽しく活動する中で、共通の目的を 11,自分のイメージ抽 きや言葉などで
災害時などの行動の仕方が分かり、見いだし、工夫したり、協同したりなどした 表現したり、演じて遊んだりする楽しさを味わ
安全に気を付けて行動する。 後、互いにかかわりを深める。 う。
12,身近な人と親しみ、かかわりを深める。
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第 四 節 本 論 の課 題
2000年 に 生 命 教 育 が 注 目され て以 降 、生 命 教 育 に お ける能 力 を絵 本 を通 して子 どもに 学 習 させ る教 諭 が 多 数 で あった。しか し、以 上 の ような 幼 児 期 の 生 命 教 育 実 践 で は 、絵 本 の 読 み 聞 か せ の 後 の集 団討 論 の なか で 子 どもた ち は教 諭 が期 待 す る答 えを出 す ことは できるが 、そ こで 学 習 した スキル が 現 実 の 生 活 場 面 に お い て 現 れ ることは なか った(黄 玉 純 、2013・張 家 綾 、 2007・許 汝 苑 、2010・楊 淑 恵 、2009)。このことか ら、絵 本 を通 して 学 習 す ることの 限 界 が 明 らか に な った とともに 、今 後 、人 との か か わ りの 中で 社 会 的 スキル を身 につ けるとい うような 、子 どもの 生 活 状 況 に即 した 方 法 に よる指 導 が 不 可 欠 となる。
そ こで 本 研 究 で は 、台 湾 の 中 でも先 進 的 な 生 命 教 育 実 践 を行 って い る新 北 市 の 教 育 委 員 会 が 主 導 す る『二 人 組 』を用 い た 教 育 実 践 を紹 介 し、そ の 実 践 構 造 の 分 析 を行 い 、効 果 的 な幼 児 期 の 生 命 教 育 の あり方 につ い て検 討 す ることを 目的 とす る。
12
第二章 方法
研 究 対 象:
台 湾 の新 北 市 の 中 和 区 にお けるC小 学 校 付 属 幼 児 園 のMク ラスを対 象 とした。Mク ラスは4、
5歳 の 異 年 齢 クラスで あ る。男 児14名 、女 児14名 で ある。Mク ラスは 障 害 児 が2名 い る。Mク ラ スで は3、4歳 児 異 年 齢 クラスか ら4、5歳 児 異 年 齢 クラス(Mク ラス)へ 進 級 す る子 どもが12名 い る。担 任 は2名 で あ る。
日々 の保 育 活 動:
C幼 児 園 の クラスは 時 間 割(表6)に 沿 って保 育 活 動 を行 って い た。C幼 児 園 は 「コv‑・・ナ ー 教 学 」を 中 心 とす る幼 児 教 育 を行 っ て い た 。教 室 に より、い くつ か の 教 育 領 域 の ね らい に応 じた コ ー ナ ー が あった 。「コー ナー 教 学 」とは教 室 内 でいくつ かのコー ナー を設 置 し、それ ぞれ のコー ナ ー に積 み 木 、道 具 、材 料 、人 形 な どが 備 え られ て お り、で きるだ け幼 児 が 主 体 的 に 使 用 し、操 作 す ることが で きるようにな って い る。
戸 外 活 動(10:45〜11:20)で 教 諭 の 設 定 した 活 動 をす る。例 えば 子 ども用 の 車 に乗 った り、滑 り台 で 遊 んだ りした。幼 児 園 の 降 園 時 間 は16:00で あ るが 、保 護 者 は15:30以 降 か ら子 どもを迎 えることが で きるた め 、戸 外 活 動(15:30〜16:00)で は 、教 室 内 で 絵 本 を読 ん だ り、お もちゃ で 遊 ん だ りす ることが 多 い 。
表6時 間割
時間 活動 内容
7:30〜8:00 登 園 ・絵 本 を借 りる
8:00〜8:30 体操
8:30〜9:10 朝食
9:20〜10:45 コ ー ナ ー 教 学
10:45〜11:20 戸外活動
11:20〜11:50 コー ナ ー 教 学 で 作 った作 品 を紹 介
11:50〜12:40 昼ごはん
12:40〜12:50 歯磨 き ・周 りの環 境 を整 る
12:50〜13:10 絵本を読み聞かせ
13:10〜10:40 昼寝
14:40〜15:00 寝起き
15:00〜15:30 おやっ
15:30〜16:00 戸外 活 動
16:00〜16:10 順次降園
13
分 析 方 法:
2016年8月29日 か ら2016年11月29日C幼 児 園 に お けるMク ラスの 保 育 記 録 の 中 で 、① 二 人 組 が どの ように 展 開 したか 、② 二 人 組 で 子 どもと子 どものか か わ りか どう変 化 したか 、③ 教 諭 と子 どもとのか か わ りは どうで あるか 、とい う観 点 か ら六 つ の 実 践 事 例 を抽 出 した。
倫 理 的 配 慮:
C幼 児 園 の 訪 問 にあた って は 、研 究 目的 をC幼 児 園 の 主 任 に事 前 に説 明 し、了 解 した 上 で 、 C幼 児 園 を見 学 し、保 育 記 録 を得 た 。執 筆 にあ たっ ては 、Mク ラスの 教 諭 に作 成 した保 育 記 録 に お ける事 例 を利 用 す る場 合 、改 め て教 諭 の 許 可 を得 て実 践 例 を 日本 語 に翻 訳 した。また 、翻 訳 の 内容 を 間 違 えな い よう、中 国 語 と日本 語 が できる友 人 二 人 に 協 力 を依 頼 し、翻 訳 の 内 容 を確 認 した。
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第三章 結果 ・考察
結 果1:新 北 市 に お ける幼 児 園 の 生 命 教 育 実 践 の 展 開 過 程
小 学 校 校 長 で あ る葉 瑞 芳 は 台 湾 の 生 命 教 育 を向 上 させ るた め 、2007年 平 塚 幼 稚 園 を見 学 し た 。見 学 の 際 平 塚 幼 稚 園 に お い て 、子 どもた ちが コミュニ ケ ー シ ョンや 支 え合 い とい った社 会 的 スキル を備 えて い た ことを観 察 した(張 美 雲 、2008)21。そ して 、2008年 か ら平 塚 幼 稚 園 の保 育 方
法 を さらに理 解 す るた め に 、平 塚 幼 稚 園 に3回 以 上 訪 問 し、教 諭 が どの ように活 動 を展 開 す るか 、 また どの ように子 どもとか か わ るのか を現 場 で 見 つ つ 学 習 す るとい うことを1週 間 に わ た り行 った。
また 、台 湾 で 平 塚 幼 稚 園 のDVDを 再 三 見 な が ら平 塚 幼 稚 園 の保 育 方 法 を把 握 し、台 湾 の幼 児 園 の状 況 に応 じて平 塚 幼 稚 園 の 保 育 方 法 を 実 践 した。
以 下 で は 、平 塚 幼 稚 園 の 保 育 方 法 を述 べ るとともに 、そ の 平 塚 幼 稚 園 を見 学 して は い ない が 、 平 塚 幼 稚 園 実 践 の 研 修 課 程 に参 加 し、平 塚 幼 稚 園 のDVDや 資 料 を 見 て 学 習 した教 諭 に よるC 幼 児 園 のMク ラスの 実 践 事 例 に つ い て 検 討 す る。
平 塚 幼 稚 園 の 保 育
平 塚 幼 稚 園 の 保 育 目標 は幼 児 期 の 育 ちをより確 か なもの にす るた め 、人 との ふ れ あ い を基 本 に据 え 、仲 間 を信 頼 し、物 事 に 主 体 的 に取 り組 め るように 一 人 ひ とりが 大 事 に され る集 団 を作 る ことを 目指 して い る(池 田 ・星 野 、2005)23教 育 活 動 は 《生 活 活 動 》と《自 主 活 動 》と《課 題 活 動 》で あ る。《自主 活 動 》とは 自 由遊 び で あ る。《課 題 活 動 》とは 具 体 的 な 目標 が あ る活 動 で あ る。例 え ば 、「代 か き」遠 足 、「動 物 園 」遠 足 な どで あ る。園 を 見 学 した 張 美 雲(2008)21は 、平 塚 幼 稚 園 は
自 由遊 び を中 心 とした 保 育 を行 って い ると評 価 してい た 。
3歳 児 は入 園 直 後 か ら、友 達 を意 識 す る活 動 に 取 り組 む た め 、遊 ん だ友 達 と二 人 組 にな り、二 人 で 集 合 し座 る、当 番 活 動 、お 弁 当 とい う《生 活 活 動 》をす る(大 元 、2012)24。《課 題 活 動 》で は 二 人 組 で 相 談 し、協 力 す る必 要 の ある活 動 を意 図 的 に取 り組 む(張 美 雲 、2008)21。例 え ば 、机 運 び や 積 み 木 運 び な どで ある。《生 活 活 動 》と《自 主 活 動 》と《課 題 活 動 》を通 して 、子 どもた ち は 相 手 の ペ ー ス に合 わ せ て 動 くことを 学 び 、自分 の 気 持 ち を十 分 に伝 えな が ら、相 手 の 姿 や 気 持 ち をも知 ることを学 習 す る(張 美 雲 、2008)21。
4歳 児 で は 、3〜4人 の 集 団(グ ル ー プ)で の 活 動 が 生 活 の 基 盤 となる(岩 井 、2002)25。《課 題 活 動 》で は そ の グル ー プ で 力 を合 わせ で ゲ ー ムをし、相 談 して一 つ のもの を決 める(岩 井 、2002) 25。《課 題 活 動 》の 目的 として 、4歳 児 は 自分 の 思 い や つ もりを相 手 に伝 え 、相 手 の 意 見 も聞 け る ような仲 間 関 係 を築 くことで ある(岩 井 、2002)25。
5歳 児 は4〜5人 の小 グル ー プ で 生 活 の 基 盤 に なった 。《生 活 活 動 》で は 動 物 小 屋 の仕 事 など とい った 当 番 活 動 を交 代 で 行 う。《主 題 活 動 》で は3歳 児 と4歳 児 に 園 の 生 活 を教 えた り、遠 足 に 連 れ て い った りな どを行 っ てい る(張 美 雲 、2008)21。
また 、平 塚 幼 稚 園 の 教 諭 は子 ども一 人 ひ とりの 気 持 ち を大 切 にし、生 活 を子 どもた ち に任 せ 見 守 る姿 勢 をとる。なお 、子 ども 同 士 の けん か でも、意 見 に食 い 違 い が 生 じても、教 諭 は子 ども 同 士 に 自分 の 考 え を話 し合 わ せ るとともに 、適 切 な 助 言 を 出 してい たと指 摘 した(張 美 雲 、2008)21。
15
結 果2:実 践 内 容:
Mク ラスの 教 諭 は平 塚 幼 稚 園 の3歳 児 の 保 育 方 法 「二 人 組 」を現 場 に取 り入 れ た 。
入 園 式 で は 、子 どもたち が クラスの環 境 や 幼 児 園 の 生 活 リズ ム に なじみ 、同 じクラスの ほか の 子 どもた ちと打 ち解 けることを 目標 にして い る。二 日 目、教 諭 は進 級 してきた子 どもと入 園 児 をペ ア に して 「二 人 組 」を組 んだ 。「二 人 組 」とは 子 ども二 人 が 一 組 に な り、幼 児 園 の 生 活 や 各 活 動 を 行 うことで ある。生 活 の 中で はご 飯 を食 べ た り、集 合 した り、トイレ に行 きた い 時 に仲 間(二 人 組) を誘 って 一 緒 に 行 った りす る。活 動 で は 戸 外 活 動(10:45〜11:20)の 時 間 に 二 人 組 で 教 諭 の設 定 した活 動 をす る。例 え ば子 ども用 の 車 に乗 った り、滑 り台 で 遊 ん だ りす る。「コー ナ ー 教 学 」で 二 人(二 人 組)は 行 きた いコー ナ ー を話 し合 って決 め 、そ の コー ナ ー で 二 人 が した い 遊 び をす る。
事 例1(2016/8/29):【 相 手 が い るとい うことに気 づ く】
入 園 の 第 一 日 目、母 と離 れ た ことで 気 持 ちが まだ 落 ち 着 い てな い 子 どもが い る。教 諭 は クラス の 気 分 を盛 り上 げ るた め 、音 楽 を流 し、子 どもと一 緒 にダ ンスを した 。そ の 後 、「大 風 吹 」ゲ ー ムXVII の なか で 自 己紹 介 した。
教 諭 は 「赤 い 服 を着 てい るC君 」に 声 をか けた 。クラス の 子 どもた ち は 首 を左 右 して 自分 の 特 徴 とほ か の 人 の 特 徴 を見 つ ける。C君 は 自信 満 々 で 自分 の名 前 を言 っ て車 を紹 介 した。クラス の子 どもた ち全 員 が 自 己 紹 介 をした 後 、教 諭 は 子 どもた ち に 「明 日ね 、自分 の 好 きなもの を幼 児 園 に持 って来 て 、ほか の子 どもと一 緒 に遊 ん で い いよ。」と話 した 。子 どもた ち は教 諭 の 言 った こ とを聞 い た後 、とても嬉 しそ うに興 奮 して い た。C君 は み ん な に 「私 は 車 を沢 山もっ てい る。明 日 た くさん 車 を持 って くる。」と言 うと、他 の 子 どもも 自分 の持 って 来 る物 を伝 え合 った。
考 察
この 活 動 は幼 児 期 に お け る生 命 教 育 の領 域 「人 間 関係 」の活 動 内 容 で ① 先 生 や 友 達 と共 に過 ごす ことの 喜 び を味 わ うこと、② 集 団 の 中で 、自分 で 考 え 、自分 で 行 動 す ることと⑤ 先 生 や 友 達 の 言 葉 や 話 に興 味 や 関 心 をもち、親 しみ をもっ て聞 い た り、話 した りす ることを踏 まえて 、活 動 を 指 導 した。
この 活 動 の なか で 子 どもは 自分 で 考 え 、自分 の名 前 や 一 番 好 きな 物 を相 手 に伝 えた 。この よう な なか で 、子 ども同 士 で 話 しか け合 うことが 多 くな り、仲 間 と一 緒 に活 動 す る楽 しさを感 じて いた 。
しか し、子 どもたち は 自分 の 好 きな 物 を言 うだ けで 、仲 間 の趣 味 の 話 に 関 心 をもつ 様 子 は 見 られ な か った 。
xvii「大 風 吹 」ゲ ー ム とは まず
、子 どもた ち が教 室 内 で 円 に なっ て座 る。教 諭 は 「大 風 吹 」とい った ら、子 どもた ち は 「吹 什 麿 」とい う。それ か ら、教 諭 はクラスで ある一 人 の 子 どもを探 して 、そ の子 の 外 見 の 特 徴 を言 う。そ の子 は 自分 の名 前 と好 きなもの を紹 介 した 後 、ほか の 子 の 特 徴 を言 うとい う方 法 で 遊iぶ。
16
事 例2(2016/8/30・9/1):【 幼 児 園 生 活 を安 心 して過 ごせ る環 境 】
「小 主 人 ・小 天 使 」xviiiとい うゲ ー ム のな か で 二 人 組 を組 む 。教 諭 は 「小 主 人 ・小 天 使 」とい うゲ ー ム を紹 介 して 、在 園 児(進 級 した子 ども)と入 園児 をペアにして二人 組 になった。また、二人 で 話 し合 って 自分 の 好 きな席 を取 った。
「小 主 人 ・小 天 使 」ゲ ー ム の最 中 、小 主 人 であ るKち ゃん(在 園 児)は 小 天 使 で あるBち ゃん (入 園 児)を 連 れ て 水 を飲 み に い った。また 、Bち ゃん が トイレに行 きたい 時 、Kち ゃん はBち ゃ ん の 手 を引 き、教 諭 に 「Bちゃん と一 緒 に トイレに行 ってもい い の?」 と聞 いた 。
翌 日の 朝 、Bち ゃん が 母 と離 れ た ことで 寂 しく泣 き続 けて い た 。教 諭 は お 母 さん ごっこを して遊 ん で い たKち ゃん(二 人 組)を 見 て 、Bち ゃ ん に 「お 母 さん ごっこをして遊 ぶ?」 と聞 い た 。Bち ゃ ん は 泣 きな が ら首 を横 に振 った。そ の後 、集 合 して手 を洗 う(昼ご飯 の 前)時 にKち ゃん はBち ゃ ん の 手 を繋 い で 一 緒 に集 合 して 手 を洗 った。Kち ゃん とBち ゃん は昼 ご飯 を食 べ 終 わ り、お 母 さ ん ごっこを して遊 ん で い た。
三 日 目、Bち ゃん は母 と離 れ ると再 び 大 泣 きをした 。教 諭 はBち ゃ ん に 「Kちゃ ん と遊 ぼ う」と聞 く。す るとBち ゃん は泣 き止 み うな ず い た 。
考 察
この 活 動 は 幼 児 期 に お ける生 命 教 育 の 領 域 「人 間 関 係 」の 活 動 内 容 で ① 先 生 や 友 達 と共 に過 ごす ことの 喜 び を味 わ う、② 集 団 の 中で 、自分 で 考 え 、自分 で 行 動 す る、③ 自分 でで きることは
自分 で す ると④ 集 団 で 頼 まれ た ことを大 切 にす ることを踏 まえて 、活 動 を行 った 。
教 諭 は 子 ども同 士 の か か わ る機 会 を意 図 的 に設 定 し、仲 間 関係 を作 ってい た 。また 、二 人 組 を 通 して入 園 児 の 不 安 を解 消 し、入 園 児 も早 め に 幼 児 園 の 生 活 に なれ 、仲 間(二 人 組)と 一 緒 に 遊 ぶ ことが で きた 。
xviii「小 主 人 ・小 天 使 」とは 在 園 児(進 級 した 子 ども)は 小 主 人 で あ る。入 園 児 は 小 天 使 で あ る。これ は 在 園 児 が 入 園 児 の 世 話 を す るとい うことで あ る。例 え ば 、水 を飲 む とき、教 諭 の 説 明 を せ ず に 、小 主 人
(在 園 児)は 小 天 使(入 園 児)を 連 れ て コップ の 置 き場 に 行 き、コップ をもた せ 、水 を飲 ませ る。
17
事 例3(2016/9/7〜9/12):【 二 人 組 を 超 え た 話 し合 い 】
子 どもた ち は 二 人 で 手 を繋 ぎ 、集 合 して トイレに 行 く。ところがA君 はBの 手 を繋 が な い。教 諭 は 「な ん でB君 の 手 を 引 か ない の?」 と聞 く。A君 は 「臭 い か ら。」と言 った 。教 諭 は 「うん 。私 が 、 チ ェックす るね 。」とい った後 、B君 の 体 を嗅 ぐ。教 諭 はA君 に 「これ は 汗 の匂 い だ よ、早 く手 を繋 ぐ。」と言 った。だ が 、A君 は どうしてもB君 の 手 を繋 が なか っ た① 。教 室 に 戻 ると、教 諭 はB君 の そ ば にい き、B君 に 「最 近 、誰 とお 風 呂 に 入 った の?」 と聞 い た 。B君 は 「私(一 人 で)。」と答 えた。
教 諭 は 「お 母 さん は?」 と聞 い たが 、B君 は 何 も言 わ な か った 。B君 の お 母 さん が お 迎 え にきた 時 、教 諭 はB君 の お 母 さん に 「今 日ほ か の 子 どもがB君 の 体 の 匂 い に気 が つ い て ました よ。昨 日 B君 は お 風 呂 に 入 りました か?」 と聞 い た。B君 の お 母 さん は 「す み ませ ん 。最 近 仕 事 が 忙 しくて 、 B君 自分 で お 風 呂 に入 りました 。」と答 えた。教 諭 は 「そ うで す か 。忙 しくてもで きれ ば 、B君 が お 風 呂か ら上 が った 時 、B君 の 体 をチ ェックした 方 が い い よ。」と言 った。翌 日、B君 の体 の 匂 い は な くなって い た が 、A君 は まだB君 の手 を繋 が なか った 。教 諭 は 「どうしてB君 の 手 を引 か ない の?」 と言 った 。A君 が 「臭 い か ら。」と言 った 後 、教 諭 は 再 びB君 の 体 を嗅 い だ 。教 諭 が 「臭 くな い よ」と言 ってもA君 は 「臭 い 」と言 う。教 諭 は 周 りのC君 とDち ゃん に 「B君の 体 は どう?匂 い が あるの?」 と言 った。C君 は 何 も言 わ ず 、首 を横 に 振 った。Dち ゃん はB君 の 体 を嗅 い だ 後 、「うう ん 、どうして?」 と言 った 。A君 は何 も言 わ なか った 。そ の あと、A君 はB君 が 臭 い とは言 わ な か っ たが 、まだB君 の 手 を繋 こうとは しなか った 。
あ る 日、B君 は 午 睡 後 、起 きるの が 遅 か ったた め 、布 団 を片 付 けな い まま トイレへ 向 か っ た。そ れ を見 てい たA君 はB君 の 布 団 を片 付 け始 め る。ち ょうどそ の 時 に 教 室 に 戻 ってきたB君 は 、A 君 の そ ば に行 き 「あ りが とう」と言 った ② 。
考 察
教 諭 は始 め 下 線 ① に お い て 、A君 の 気 持 ち に共 感 せ ず 、活 動 に のるよう促 した 。しか し、A君 が 再 度 そ れ を拒 否 したことに対 して 、二 つ の行 動 をとった 。一 つ は 、B君 の母 親 へ 働 きか け、B君 が きち ん とお 風 呂 に入 り体 の 匂 い をとるように促 した ことであ る。母 親 にB君 の 園 で の様 子 を伝 え 、 忙 しい母 親 の 気 持 ち を受 け止 め つ つ 、B君 の お 風 呂 の 時 間 にも関 わ りを持 ってもらえるよう促 し た ことで 、B君 は 体 をきちん と洗 うことが で き、匂 い につ い て 改 善 す ることが で きた 。
もう一 つ は 、B君 の 匂 い が なくな っても手 をつ な ごうとしな いA君 に 対 して 、教 諭 は周 りにい た C君 とDち ゃ ん の 意 見 を 聞 い てい る。そ れ をA君 に返 す ことで 、その 場 で は 反 応 のな か ったA 君 で あった が 、下 線 ② に お い て 、B君 の布 団 を直 した場 面 を見 て わ か る通 り、B君 へ の 態 度 が 変 わ って い た。
この ように、クラスの 問 題 が 発 生 した 際 、教 諭 はA君 とB君 の 個 人 の 問 題 として 対 処 す るの で は な く、そ れ をクラスの 問 題 として 、周 りの み ん な に意 見 を求 め 、一 緒 に話 し合 い 、問 題 を解 決 して い た。
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事 例4(2016/10/10):【 互 い の 思 い を 代 弁 す る 】
コ ー ナ ・・一一・・一教 学 の 時 間 、Fち ゃ ん は トイレ に 行 き た くな る。そ こでEち ゃ ん を誘 っ た 。しか し 、Eち ゃ ん は 楽 しく積 み 木 で 遊 ん で い た た め 、「い か な い 。」と答 え た 。Fち ゃ ん はEち ゃ ん の 服 を 択 っ て も 、Eち ゃ ん は 遊 び に 集 中 して い た 。す る と、Fち ゃ ん はEち ゃ ん の そ ば で 声 を 出 さず に 泣 き 、そ こ で お しっ こを も らして しま う。教 諭 はFち ゃ ん に 「ど うした の?」 と聞 い て い る と、遊 ん で い たEち ゃ ん が 教 諭 の ことに 気 づ く。Fち ゃ ん は 「Eち ゃ ん … 一 緒 に 行 … な い 。」と言 っ た 。教 諭 はFち ゃ ん と Eち ゃ ん を 見 な が ら、「Eち ゃ ん と一 緒 に 行 か な い ん だ 。」と言 っ た 。Eち ゃ ん は 小 さな 声 で 「遊 び た い か ら」と答 え た が 、Fち ゃ ん は 泣 き な が ら、「Eち ゃ ん が 行 き た い とき 、行 っ た.」 と言 っ た 。
① 教 諭 が 「そ っ か 、Eち ゃ ん が 行 きた い とき 、(Fち ゃ ん は)行 っ た ん だ.」 と言 っ た 後 、Eち ゃ ん と Fち ゃ ん を 見 て 「ど うす れ ば い い の?」 と言 う。Eち ゃ ん は 「Fち ゃ ん の ズ ボ ン を持 っ て くる 」とい っ た 。
考 察
教 諭 はFち ゃ ん とEち ゃ ん にお 互 い の 言 い 分 を話 させ る環 境 を作 った。それ か ら、教 諭 は双 方 の意 見 を聞 き、子 どもの気 持 ち に共 感 し、相 手 の 言 葉 を代 弁 して い た。当 時 、Fち や ん は 自分 で 考 えた ことを 自分 な りに言 葉 に し、表 現 した 。(下線 ①)
事 例5(2016/10/27):【 初 め て 思 い を 主 張 す る 】
B君 は 気 が 強 い た め 、Aち ゃ ん は よくB君 の 決 め た コー ナ ー で 遊 ん で い た 。
あ る 日Aち ゃ ん とB君 は 行 きた い コ ー ナ ー を相 談 して い た 。B君 は 「手 作 りコー ナ ー に 行 きた い 」と 言 っ た 。Aち ゃ ん は 「ぬ い ぐ るみ コー ナ ー に 行 き た い 」と言 うが 、B君 は 「きょう必 ず 手 作 りコ ー ナ ー
に 行 く」と言 っ た 。そ れ で もAち ゃ ん は 「ぬ い ぐ る み 行 きた い 」とい う。そ の 時 、ほ か の 子 ど もた ち が 遊 ん で い る様 子 を 見 てB君 は 「手 作 りコ ー ナ ー 」と言 う。だ が 、Aち ゃ ん は 「昨 日 、手 作 りコ ー ナ ー 行 っ た 、面 白 くな い 。」と言 う。B君 が 「手 作 り一 」と言 うと、Aち ゃ ん は 「ぬ い ぐる み 」と言 う。そ の 状 況 は30秒 くらい 続 い た 。そ の 後 、B君 は 「....明 日 、絶 対 手 作 りコー ナv・一・・を行 くよ 」と言 っ た 。
考 察
Aち ゃん は これ までB君 の 行 きた い 場 所 や 要 求 に合 わ せ て行 動 してい た が 、今 回 自分 の や り た い ことや 考 えたことをB君 に伝 えた 。このAち ゃん の 行 動 をきっか けに 、初 めてAち ゃん とB 君 の 間 にす れ 違 い が 生 じる。B君 も最 初 は負 けじと自分 の 主 張 をし続 けて い た が 、初 め て 反 発 し てきたAち ゃ ん の 思 い に押 され 、B君 は譲 る。このように 、Aち ゃ ん が 主 張 を 曲 げ なか った ことによ り、B君 自身 、Aち ゃん にも考 え があ ることに 気 づ き、自分 の 主 張 を抑 制 して 、Aち ゃ ん の 意 見 を 受 け止 め ようとで きた の で ある。
これ は 、これ まで教 諭 が トラブル が 起 きた 時 、そ の都 度 お 互 い の 思 い を 引 きだ し話 させ るような 働 きか け を行 って い た 土 台 が あった た め 、これ までB君 の 主 張 に 合 わ せ て いたAち ゃん も 自分 の 思 い を主 張 す ることに挑 戦 で きた と考 えられ る。
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