九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
現代住宅における接客空間要求に関する実証的研究
樋口, 栄作
https://doi.org/10.11501/3135209
出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
現代住宅における接客空間要求に関する実証的研究
平成9年1 1月
樋 口 栄 作
次 -
序 文 3
第l章 住要求の構造の仮説と研究目的 5
1. 1 住要求と住み方と住宅平面型の相互関係 5
1. 2 住要求の構造と接客空間要求の構造 8
1.3 研究の目的と概要 12
第2章 独立住宅の公室空間の分節程度の数量化とその要因分析 15
2. 1 研究の目的と方法 15
2.2 公室空間の分節程度の数量化 17
2. 2. 1 分節パターンの記号化 17
2. 2. 2 分節程度の数量化 21
2. 3 分節程度の平均値による要因分析 27
2. 3. 1 竣工年区分と分節程度 27
2.3.2 家族型区分と分節程度 28
2. 3. 3 地区区分と分節程度1 28
2.3.4 地区区分と分節程度2 29
2. 4 分節程度の数量化I類による要因分析 33
2. 5 結論 38
第3章 接客領域と家族の団らん領域との領域区分要求における 43 地域差及び世代差
3. 1 研究の目的と方法 43
3.2 領域区分要求の地域差及び世代差 47
3. 2. 1 領域区分実態と領域区分意識にもとづく領域区分要求の水準 47 と都市化度及び年令段階との関係
3.2.2 接客の種類を考慮した領域区分の実態にもとづく領域区分の 50 水準と地域及び年令段階との関係
3.2.3 接客の種類を考慮した領域区分の実態にもとづく領域区分の 52 水準と非就寝室数及び年令段階との関係
3. 2. 4 続き間型住宅の続き間・ DK ・和室結合領域における 54 領域構成と非就寝室及び年令段階との関係
3. 3 結論 57
第4章 住要求のヒエラルキー構造における接客空間要求の位置 59
4. 1 はじめに 59
4.2 住要求のヒエラルキー構造と実在的意味 60
4. 3 調査データの概要 61
4. 4 住要求のヒエラルキー構造における接客空間要求の位置 66
4. 4. 1 調査Iによる構造化と接客空間要求の位置 66
4.4.2 調査Eによる構造化と接客空間要求の位置 73
4.5 結論 77
第5章 四つの価値次元から見た接客性空間への価値づけの 80 地域差及び世代差
5. 1 はじめに 80
5. 2 研究の方法と調査概要 83
5. 2. 1 四つの価値の次元と価値づけ項目の設定 83
5. 2. 2 調査概要 86
5.3 床の間付和室と椅子式居間の価値構造 88
5. 4 四つの価値次元から見た接客性空間への価値づけの 91 地域差及び世代差
5. 4. 1 データ処理の方法
5.4. 2 都市化度と価値づけ構造
5.4.3 年令段階と価値づけ構造
5.4.4 所有・非所有と価値づけ構造
5. 5 結論
quウI11今、.U 9 9 9
mm
第6章 総括 謝辞 参考論文
108 115 116
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序 文
接客空間要求は、 その評価の仕方如何で居間を含む住居の公室空間の計画の 在り方を大きく左右する住要求の重要な構成要素である。また、 わが国の住居 学研究の成果文1)文2)によれば、わが国の住居の、 少なくとも独立住宅平面の公 室空間系の近代化過程は、 洋風化のある程度の進行と、 家族的な領域と接客領 域との領域区分のあり方の変化とであると理解され、 接客空間要求は、 前者の 狭い意味の様式的な変化と、 後者の領域区分のあり方の変化とに深く関わる住 宅平面様式の重要な規定要因でもある。 この接客空間要求は、 戦後の住居計画 論において見過ごされ、 過小評価されてきたが、 1 980年頃から接客に関す る住居研究が活発化した。 しかし、 その先駆けとなった重要な研究は住宅平面 の研究文3)であり、 フィジカルな接客空間や接客室の研究であった。 その後の いくつかの重要な研究は概して住宅平面の研究文4)文5)であるか、接客行為の研 究文6)であり、 本研究のごとく居住者の意識である接客空間要求そのものを研 究対象として直接的に追求した研究はきわめて少ない。わが国の住居計画論に おいては、 現在、 接客空間要求の機能的な側面である接客領域と家族の団らん 領域との領域区分の在り方をめぐって二つの対立的な計画論が存在している。
これは領域区分要求に対する評価の違いに基づいており、 この決着のためには 領域区分要求の量的な把握と再評価が必要である。また、住様式論においては、
現代独立住宅の平面の類型化とその地域的傾向が追求されているが、 地域的傾 向の本質的な解釈の一つの手がかりになるところの接客空間要求の地域性が未 だ十分明らかでない。
本研究は、 以上の視点で住居空間のあるべき姿を研究する住居計画論にとっ て、 また更に、 住様式の変化や規定要因を研究する住様式論にとっても重要な 問題である接客空間要求をより直接的に追求したものであるが、 接客空間要求 に関する研究が以上の二論の何れの側に立つかで、 接客空間要求の仮説的構造 概念とその実証的研究範囲が違ってくるものと考えられる。住居計画論は居住
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者の住要求をベースとして住生活行為と住空間との適切な対応関係を図るもの であり、 そこにおける住要求とは、 主にその適切な対応関係に関する居住者意 識として捉えられるが、住様式論は、 住様式の存在と変化の根拠や規定要因を 問題にし、 その規定要因の一つである住要求は、 住生活行為と住空間との適切 な対応関係についての意識だけではなく、住空間の他の価値的側面への意識を も含むものとして捉えられなければならない。 このように、接客空間要求を住 様式論的な視点で見るときこそ、住居計画論的概念を包含する概念を得ること ができる。
本研究は、住様式の規定要因としての接客空間要求の構造をあらためて仮説 的に概念化し、 それにもとづいて、 この要求の実態を、 四つのアプローチ、 即 ち、 住宅平面調査、 住意識調査、 住み方調査、 価値意識調査によって数量的に 明らかにしようとするものである。
参考文献
1 )木村徳国:日本近代都市独立住宅様式の成立に関する史的研究、北海道大学工 学部研究報告、 1958年
2) 青木正夫、竹下輝和、 宮崎信行、岡俊江他:中流住宅の平面構成に関する研究 (第1報~第1 8報)、 日本建築学会大会学術講演梗概集、 1982年"-' 1984年 3 )服部写生:平面類型から見た住様式の動向に関する研究(1 )、 住宅建築研究
所報、 No.7, 1980年3月
4)岡俊江・青木正夫・竹下輝和他:接客空間と団らん空間を指標とする類型化と 平面構成の考察、 日本建築学会計画系論文報告集、 No.383, 1988年1月 5 )森本{言明:延床面積と生産タイプ別にみたLDKと床の間付和室の構成、住宅
金融公庫融資(個人)を受けた戸建住宅平面の研究(その1 )、 日本建築学会 計画系論文報告集、No.444, 1993年2月
6 )江上徹:集合住宅に於ける接客の場について、日本建築学会大会学術講演梗概 集E、 1986年8月
江上徹:集合住宅に於ける来客・接客の実態について、日本建築学会大会学術 講演梗概集E、 1989年10月
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第1章 住要求の構造の仮説と研究目的
1. 1 住要求と住み方と住宅平面型の相互関係
住居計画論と住様式論における最も基本的な概念は、 住要求、 住み方、 それ に、 住宅平面型の三つであろう。 住要求は、 居住者の意識に所属し、 これと類 似の概念として住意識がある。 住み方は、 住居内行為の事実であり、 住宅平面 の使われ方の 実態である。 住宅平面型とは、 その構成要素の室規模の違い、 空 間の分節の違い、 床仕上げの違い等を含んだ概念である。 ここでは、 三つの概 念に関し、 これまでどのような定義づけがあり、 研究者によってその定義づけ がどう違うかを議論しない。 住要求、 住み方、 住宅平面型という言葉は、 住居 研究のなかで永く使われてきた言葉であり、 ここで改めてこれ以上厳密な定義 づけが必要とは思われない。実証的研究においては、特に分析技術的な視点で、
既に一般的に仮説想定されているそれらの相互関係をあらためて確認し、 そこ から何が可能で、 何が困難かを明らかにしておく必要があろう。
住居計画論と住様式論において何よりも住要求を知ることが重要であるが、
住要求は、 他の者が顕在的要因であることに対し、 潜在的要因であり、 居住者 の言葉による意見表明によるだけでは十分知り得ない。要求が意識されず住み 方という行為のなかに表現されていることがあり、 また、 住宅平面型の選択と して表現されていることがあるからである。 そこで、 住み方と住宅平面型それ ぞれに、 居住者の、 あるいは、 ある地域とか階層の住要求が反映していると仮 説でき、 したがって、 住要求を居住者の直接的な意見からのみならず、 住宅平 面型における住み方からも、また、住宅平面型からも住要求を知ることができ、
知る必要があると考えられる。このことは既に住宅研究者間で一般的に想定さ れていると考えられる。住要求と住み方との聞にそのような関係があるとすれ ば、 住み方の違いから住要求の違いを知ることができる考えられるが、 更に踏
み込んで、「居住者の客観的条件である居住者構成や住宅平面型といった制約条 件のもとに、 居住者の住要求が発現したものが住み方である」という仮説に立 てば、 住み方の違いは、 居住者構成の違いに規定された部分と、 住宅平面型の 違いに規定された部分と、居住者の主観的条件と言える住要求の違いに規定さ れた部分とが重なったものであると考えることができる(図1 - 1)。 このよう に考えることができれば、 居住者構成別に、 つまり居住者構成という条件を一 定にして、 住要求が一定であれば、 住宅平面型の違いが住み方の違いにどう影 響しているかという分析 (住居空間の在り方や性能評価をとりあっかう住居計 画論)が保証される。 更に、 居住者構成を一定にして、 住宅平面型を同じにす れば、住み方の違いからその潜在的な規定要因である住要求の違いを推測する 分析 (住要求の研究)が保証される。 しかし同時に、 これらのことは、 居住者 構成を一定にでき、 かつ住要求の違いを捨象できる状況下でないと、 住宅平面 型の違いが住み方の違いにどう影響しているかという分析は難しく、居住者構 成を一定にでき、 かっ住宅平面型を同じにできる状況下でないと、住要求の違 いを推測する分析が困難なことを意味する。
同じような事情が、 住宅平面型からの違いから、住要求の違いを知るときに も存在している。 居住者が取得し居住する住宅の住宅平面型は、 居住者の住要 求のみが反映したものではないからであり、 また、 住要求そのものも経済的そ の他の制約的要因によって制約を受けているはずであるからである。
そもそも研究の対象となっている住要求、 住み方、 住宅平面型、 そして居住 者は社会的に存在しているものであるから、 コンクリートの強度とそれを左右 する諸要因を研究する場合のように、 要因を操作することが不可能である。 対 象を作成することも不可能である。 また、 データ分析においてある条件を一定 にした場合、 有効なデータ数が得られないといった実際上の問題も生ずる。 住 要求研究では、 要因が複数絡んだデータから、 何をどう分析し得たのかといっ た本来研究の目的でないはずの分析方法が本質的な問題となってくる。
本研究は、 住要求特に接客空間要求を、 住宅平面実態、 住宅平面型における 住み方、 そして住意識のそれぞれから明らかにしようとしているが、 このこと は、 既に述べた 「居住者の客観的条件である居住者構成や住宅平面型といった 制約条件のもとに、 居住者の住要求が発現したものが住み方であり、 敷地条件
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や延べ床面積といった物理的な条件の制約を受けて住要求が実現したものが住 宅平面型であるという仮説」によって保証される。 しかし、 住宅平面型とそこ での住み方のデータを得た場合、住宅平面型と居住者構成の住み方への影響力
=規定性が大きいので、住要求の個別的な差は指摘できても、住要求の地域差、
世代差などは見えにくい。 更に、 住宅平面型のみのデータから住要求の差を推 定する場合は、 住宅延べ床面積という大きな要因、 構造の種類、 供給主体の別 と言った要因の影響をクリアーしなければならない。本研究ではそのような要 因の影響の除去に努めている。
構造形式 敷地規模 延べ床面積
制約的守用 / グ (
7/
住宅平面型
住 要 求 (ヒエラルキ構造)
/ / /
制約的作用
居住者の客観的主体的条件 居住者構成
制約的作用
住 み 方
図1 - 1 住要求、住み方、住宅平面型の相互関係
町7 -
1. 2 住要求の構造と接客空間要求の構造
住要求は、住生活と住居に関する諸項目に対する要求の有り無しまたは評価 の集合であるといえる。接客空間要求も住要求の全体を構成する一つの要素で ある。構成要素の中には意識されていない項目も多く存在する。住要求の構造 を仮説する場合、そもそも何故構造を仮説しなければならないかが第ーに問題 で、 つぎに、 住要求の全体を構成する諸要求相互の関係をどうみるかが第二に 問題になると考えられ、 更に、 何を諸項目としてとりあげるかが第三に問題に なると考えられる。
住要求は住居に関わる潜在的な要因であり、 実体的な姿がない。住生活や住 居に関する一つ一つの項目に関する意見や評価として実体化できるが、どうい う項目をとりあげるべきかというときは、住要求の全体的な構造が仮定されて いなければ、 項目の取捨選択ができない。 住要求の一つの要素である接客空間 要求も、 一つの項目で構成されているのではないから、 その構造が仮定されて いなければ、 実証的研究は出発し得ない。
住要求が住居に関する価値判断や行動を促す能動的機能をもっているという ことは一般的に承認されよう。 そして、 住要求の違いは、 価値判断や行動の違 いを生じさせるものであると見ることができるので、住居研究の分野では、 既 に、 性格心理学の方法を借りて、 人格の性格類型を手本に、 住要求の全体像の 類型として住要求の型注1) が提案されている文1) ...文4)。この住要求の型の判別、
ある居住者の住要求の型の判別には、 SDプローフィールデータがしばしば用 いられた。つまり、 いくつかの項目に対する反応パターンによって型を判別し ているのである。 そして、 型の違いとは、 主要な判別項目への反応強度の違い である。このような住要求の型の表現は、 住生活に関することで何を重視する かという大まかな傾向を示しているに過ぎないし、型判別の主要な項目すべて を重視する型もあって、 二つの要求がここにあり、 二つをともに充足し得ない 条件下で、いずれか一つを優先的に充足しようとするといった能動性を十分表 現し得ていないという問題がある。住要求の全体は、 本来このような能動的な 働きをするヒエラルキー構造をなしていると仮説せざるを得ないが、住要求の
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型はある程度のヒエラルキーを表現しているものの、平面的な記述に留まって いる。 住要求の全体を構成する主要な項目について、 任意の二つの項目とはい かなくても、 考えられる二つの項目の組について、 どちらを優先的に充足する 傾向があるかを示すような立体的なヒエラルキー構造が記述されなければなら ない。 (図1 - 2)
住要求の一つの構成要素である接客空間要求を問題にする場合、その要求の 有る無しに止まらず、 要求の強さが問題になるが、 その強さは絶対的な強さで はなく、 他の住要求との相対的強さが問題であり、 その相対的な強さを示す尺 度として住要求のヒエラルキーの記述が必要となってくる。
住要求には機能的な側面と象徴的な側面があり、接客空間要求にも機能的な 側面と象徴的な側面があり、 両方の側面をとりあげないと、 フィジカルな住宅 平面や空間の要求の意味や存在理由が解明できない。 住居に関する住要求が、
社会学や社会心理学がとりあげる要求と特別に区別されるものとは考えられな い。食事の場と就寝の場を分離したいといった要求、 家族内の就寝室をお互い 分離したいといった要求、 あるいは、 家族の団らんの場と接客の場とを分離し たいといった要求は機能的な側面である。ダイニングキッチンの機能的な側面、
即ち、利便性や合理性に着目した ダイニングキッチンの要求は機能的な側面で あるが、 その空間の、 あるいは、 そのような食事スタイルの社会的な記号的な 意味に着目した要求は象徴的な側面である。このように住居及び住生活に関す る要求の二面性を考えないと、 座敷を有した住宅平面型が多いから、 接客空間 要求が多くあるといった結論が導かれやすい。 また、 座敷がない住宅平面型が 多いから接客空間要求が後退したといった単純な結論も導かれやすい。そもそ も接客空間要求とは何かが関われなければならないのである。
住要求の主体である人間は、身体的にも精神的にも制約された存在であるの で、 身体機能や活動機能の現実と彼の欲求との聞にはかなりのずれがある。こ のずれを埋めるための対象的要求が生じる場合、彼にとっての対象の第一義的 な性質は機能性であろう。 しかし一方、 人間は自我によって存在しており、 自 我を確立しその安定を求める。 そこから対象的要求が生じる場合、 彼にとって の対象の性質は象徴性であろう。 これらのことはここで深く議論しなくても、
近代の人文科学が承認していることである。要求されている対象の性質は機能
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性と象徴性とのこ面性であり、 したがって、 住要求も、 その一つの構成要素で ある接客空間要求も機能性と象徴性の二面性を有していると考えられる。機能 性と象徴性の具体的な内容は住要求の項目ごとに違ってくると考えられる。つ ぎに、 接客空間要求の構造について仮説的に述べる。
接客空間要求は基本的につぎの二つの内容で構成されていると考えられる。
一つは、 対社会性を意識した室礼(シツライ)やその時代、 地域で対社会的な 価値を有する様式化された空間の要求であり、 二つは、 家族的な領域と接客的
な領域とを区分し、 家族的な領域を確保し、 家族のフライバシイを保護したい とする要求である。 前者と後者とは内容的に重なった部分があるが、 必ずしも イクオールではない。 後者は接客空間要求の機能性の側面であるが、 前者は機 能性と象徴性の両側面をもっている。接客にふさわしい接客の場の確保要求と してみれば、 要求対象の機能性に着目した要求であり、 一方、 対社会的格式性 や、 社会的・文化的帰属といった文脈で価値づけられ要求されているのであれ ば、 要求対象の象徴性に着目した要求である。 したがって、 前者は機能性と象 徴性の二面性をもっている。 図1 - 3は、 以上述べたことを整理して示したも のである。
接客空間要求が以上のような二面性をもっていることに対応して、 要求対象 としての接客空間は機能的な価値と象徴的な価値をもっていることになる。そ もそも接客は対社会的なことがらであるから、 対社会的な価値をもっていると 言える。 したがって、 可能性として、 その時代、 その地域で対社会的な価値を 有する様式化された接客空間は、 対社会的機能的価値、 対社会的象徴的価値を もっているといえる。 がしかし、 このような様式化された接客空間が必ずしも 対社会的な意識のもとに要求されている訳ではなく、 個人のレベル、 例えば内 在的な感性のレベルで、 その価値が意識されて要求されていることもある。 対 社会性の対極に個人性を置くならば、 個人的機能的な価値、 個人的象徴的な価 値が加えられて考えなければならない。 翻って、 接客空間要求も、 対象の要求 において四つの側面をもっていると仮説される。
接客空間要求と一言に言われる要求は以上のような多面的な構造を持ってい ると仮説され、 多面的に分析されるべき性質のものであると考えられる。
ハU唱EEA
要求i 要求j /
要求k
図1 - 2 住要求の立体的ヒエラルキー構造
接 客 空 間 要 求
象徴的側面 機能的側面
同・同胆・・ー・暗闘 "・・圃凶・・・・・・・ーーーー・・ーーーー ・同E・・・・・・・・ ・圃圃岨同園・・ーー ーーーー --』一ー一一一一一ー一一一一一一一一一一一ーー
-格式要求 -接客の場の確保要求
-文化的帰属要求 -家族の団らん領域と媛 -美意識、 感性的要求 客領域の分離要求
-家族的行事の場の確保 要求 (正月、節旬、・・・) 後客なき接客空間要求 接客空間要求
図1 - 3 接客空間要求の構造
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1. 3 研究の目的と概要
接客空間要求は、 戦後の住居計画論において見過ごされた住要求の一側面で あり、 その機能的な側面である接客領域と家族の団らん領域との領域区分要求 のあり方を把握することは、 住居計画における公室空間の計画にとって重要な 課題である。 特に、 今日、 この公室空間の計画の在り方に関し、 二つの対立す る代表的な計画論がある。 一つは、 鈴木成文、 初見学が提示したところの集合 住宅におけるDualLiving論文5) である。 他の一つは、 江上徹の多目 的空間としての居間の計画論文6)7) 8)である。前者は、「接客意識を背景とする 接客と団らんの分節要求に対応した」もので、 領域区分要求を肯定的に評価し た計画論である。 一方、 後者は、 集合住宅の接客の実態の詳細な調査分析文9)1
0)にもとづいて、 敢えて領域区分すること、 即ち、 居間のほかに接客室を設け ること、 に否定的で、 むしろ、 居間を、 接客を含む多目的な空間として発展さ せるべきとする計画論である。 この二つの計画論は、 接客空間要求の機能的な 側面である領域区分要求をどう評価するかで分かれる、 多くの対立的な計画論 の代表である。二つに代表される対立的な計画論の議論を発展させるためには、
より一層の領域区分要求のあり方の解明が必要である。 特に、 量的把握が必要 である。
一方、 わが国の住居研究の成果によれば、 わが国の住居の、 少なくとも独立 住宅平面の公室空間系の近代化過程は、 椅子式居間の導入に代表される洋風化 のある程度の進行と、 家族的な領域と接客領域との領域区分のあり方の変化が 反映した公室空間の分節の変化とである、 と理解される。 接客空間要求は、 そ の機能的な側面と象徴的な側面の両方で前者の狭い意味の様式的な変化に深く 関わり、 また機能的な側面で後者の公室空間の分節のあり方に深く関わる住宅 平面様式の重要な規定要因であり、 住宅平面様式の存在理由一例えば、 続き間 型住宅、 床の間付和室、 椅子式居間などの存在理由やこれらの変化の方向を考 える上で重要な要因である。
以上のように、 住居空間のあるべき姿を研究する住居計画論にとっても、 住 様式の変化や規定要因を研究する住様式論にとっても重要な問題である接客空
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問要求を、 前節における構造の仮説を前提として、 明らかにすることが、 本研 究の目的である。
具体的には、
第一に、 領域区分要求の反映とみなされる公室空間の分節の実態の把握(第 2章)、
第二に、 領域区分要求の平均的な強さ、 時系列変化、 世代差と地域差を、 住 宅平面の分節パターンの分析と(第2章)、 住み方と住意識との分析(第3章) とから明らかにすること、
第三に、 接客空間要求が現在、 他の住要求とどういう序列関係にあるかを知 るために、 住要求のヒエラルキー構造を記述し、 そのなかでの接客空間要求の 位置を明らかにすること(第4章)、
第四に、 接客空間要求の具体的な対象である椅子式居間と床の間付和室への 価値づけ構造の平均像、 地域差、 世代差を、 住要求の機能的な側面と象徴的な 側面との両面から明らかにすること(第5章)、
以上回点である。
本研究は住宅平面様式の規定要因としての接客空間要求を追求した住様式論 的な研究であるので、 主要な分析軸が地域と世代であり、 主として地域差や世 代差を、 また、 極めて部分的であるが時系列的変化を分析している。
しかし、 第2章の住宅規模と公室空間の分節パターンとの関連の分析、 第3 章の領域区分の実態や居住者意識の把握、 第4章の住要求のヒエラルキー構造 における接客空間要求の位置の把握は、 住居計画論上の知見につながるもので ある。 接客空間要求に関して本研究で得られた知見が、 今日の住様式論と住居 計画論の研究状況に対して如何なる意義を持っかについては、 第6章総括で考 察している。
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第1章 参考文献及び注
参考文献
1 )小川正光他:居住者の生活意識と生活様式、住宅の平面計画に対する 居住者の 生活要求と評価( 1 )、 日本建築学会大会学術講演便概集、 1978年9月 2 ) 奥田宗幸:住志向の類型化、 日本建築学会大会学術講演梗概集、 1981年9月 3 )服部写生他:住意識の実態、 独立住宅の類型化に関する基礎的 研究、 日本建築
学会大会学術講演梗概集、 1978年9月
4)中島喜代子・上林博雄:住居観研究の枠組みと住居観型の仮説検証の試み、住 居観に関する 実証的研究第1報、 日本建築学会計画系論文報告集No.360,
1986年2月
5 )鈴木成文・初見学:住居における公室の計画に関する研究、財団法人新住宅普 及協会 住宅建築研究所報 No. 8 , 1981年
6 )江上 徹:多目的空間としての居間の計画に関する 研究、住宅総合研究財団研 究年報 No.16,1989年
7 )江上 徹:多目的空間としての居間の計画に関する研究1、 日本建築学会九州 中国支部研究報告、 1987年3 月
8 )江上 徹:多目的空間としての居間の計画に関する研究 3、 日本建築学会大会 学術講演梗概集E、 1990年 10月
9 )江上 徹:集合住宅に於ける接客の場について、 日本建築学会大会学術講演梗 概集E、 1986年8月
10) 江上 徹:集合住宅に於ける来客・接客の実態について、 日本建築学会大会学 術講演梗概集E、 1989年10月
注
1 ) 住居観型、 住意識の型、 生活型などと、 研究者によって用語が違い、 その意味 するところも、若干違うが、用語の違いは、 それらが置かれている 意識の階層の 違いと考えられ、それらはほぼ一対ーの対応関係があると考えられるので、それ らを住要求の型と言い換えても矛盾は生じない。
第2章 独立住宅の公室空間の分節程度の数量化とその要因分析
2. 1 研究の目的と方法
接客空間要求には、 象徴的な側面と機能的な側面があるが、 これを機能的な 側面に限定して見れば、 接客の場と家族の場との隔ての要求、 即ち、 接客領域 と家族の団らん領域との領域区分要求であり、これが建築的に具現化されたも のが、 公室空間の分節=機能分化であると考えられる。 もちろん、 公室空間の 分節の要因は、 この領域区分要求だけではないが、 大きな決定要因であると考 えられる。 本章は、 接客の視点から見た公室空間の分節の実態、 分節程度に対 する諸要因の規定性、領域区分要求の強い弱いの全国的なレベルでの地域的な 差異を、住宅平面における公室空間の分節程度の数量化を媒介して把握しよう とするものである。
住宅平面と住要求とにある程度の相関があると仮説すれば、住宅平面から間 接的に住要求を把握することができる。 したがって、 住宅平面の接客の視点か ら見た公室空間の分節パターンから、領域区分要求の間接的で概括的な把握が 可能と言える。 しかし、 領域区分要求には強弱があるはずで、 その強弱を、 よ り細かく(間隔尺度のレベルで)捉えるために、 分節パターンを接客から見た 分節程度を示すよう数量化した。
独立住宅の公室空間の分節パターンは、食事スペース(D)、団らんスペース (居間) (L)、接客スペース (G) だけをとりあげて、それらの重合、 開放的な 接続、 半開放的な接続、 間仕切り分離、 廊下による分離を考慮した場合、 1 6 種類以上考えられる。 これらの分節パターンを、 後に提案する方法で、 接客か ら見た分節程度を表すように一元的に数量化し、( 1 ) 住宅プランをグループ区 分 (地域区分等要因による区分) して、 グループが有するこの数量の平均値に よる分節程度の要因分析と、 (2 ) 数量化I類による要因分析、 を行った。
分析対象住宅プランは、建築資料研究社発行の雑誌 住宅建築 に1 975
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年5月から1991年7月までに掲載された住宅プラン1 596サンプルであ る。
雑誌 住宅建築の住宅プランを対象とした理由は、 ( 1 )平面図が詳細であ り、室内写真、家族構成データによって、私室と公室の正確な判別と分節パター ンの正確な判断が可能であること、(2 )延床面積、 構造種別、 竣工年月が明記 されていること、( 3 )所在地が県名だけでなく市郡区で明記されており、 掲載 件数に地域的な偏りがあるものの、 件数が多く、 サンプル数を増やせば、 比較 分析に必要な地域を十分カバーでき、 詳細な分析が可能であること、(4)延べ 床面積70m2から50 0 m2ぐらいまでの広い範囲に分布しているので、分節 パターンの数量化に都合がよいこと、 等である。 対象を初刊から1991年ま でとしたのは、1994年頃から特集記事が目立ってくるからである。特集は、
あるテーマで、 関連する平面を掲載したものであり、 平面の偏りがやや危倶さ れるが、 1991年までは、 特集がそれほど見られず、 いろんな地域の良質の 住宅の紹介になっている。 この期間、 空間の分節云々が特集のテーマとなった ことはない。 住宅平面の実態、 地域差を扱った研究はいくつかあるが、 全国的 な広がりで大量の住宅平面を収集し分析した主な論文は、 岡俊江他の「接客空 間と団らん空間を指標とする類型化と平面構成の考察」文1)と、森本信明の「住 宅金融公庫融資を受けた戸建住宅平面の研究」 文2) 3) があるのみである。 前者 は戸建て建売り住宅のチラシに掲載の平面を対象としたものであるが、 全て1 40m2未満、 平均が92m2で、 延べ床面積の分布が比較的小規模な方に偏っ ている。 後者は、 住宅金融公庫融資住宅を対象としたもので、 分布が前者に比 べて広がっているものの、 それでも約90%が1 70m2未満である。 そもそ も、 本研究のデータを含め絶対的に代表的だと言えるデータはなく、 住宅研究 はいろいろな違った視点、 違ったデータにもとづくアプローチが重なって全体 像が明らかにされていくものと考えられるので、 そういった意味で本研究が対 象としたデータの分析は意義がある。
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2. 2 公室空間の分節程度の数量化
2. 2. 1 分節パターンの記号化
炊事スペース(K)、 食事または食事を含む団らんスペース(D)、 通常居間 と称される家族団らんスペース(L)、 接客スペース(G)、 をとりあげ、 それ らのつながり方や重なり方を表す記号として、以下に説明する記号、<=>、<
->、 <a>、 <p>、 <q>, <r>, <C>を用い、 分節パターンを、 例 えば、 K<p>D<->L<c>Gと表現する。(K), (D), (L), (G) の 各スペースに対応する部屋の特定は、 プランが詳細であり、 家族構成も記載さ れているので、 全体として容易であったが、 独立した(G) スペースに対応す る接客室の特定は一目瞭然とはいかなかった。 床の間付和室は、 部屋数と家族 構成との対照、 しつらえ、 設計概要文などから、 寝室(個室) でないと判断で きたときに接客室と判断した。応接室と室名があるものは、接客室と判断した。
例数は少ないが、 床の間付和室も応接室もないが、 食事室、 居間が設けられた 上にもう1つ居間と記された洋室がある場合がある。 この場合は、 接客室と判 断した。
<=> :イークオールの意味で、 スペースが重なっていることを表す。
例えば、 D<=>Lとは、 居間スペースが、独立した居間としても、
食事スペースと間仕切り無しで隣接する形でもとられていないこと を表す。
L<=>Gとは、 接客スペースが、 独立した接客室としても、 居間 スペースと間仕切り無しで隣接する形でもとられていないことを表 す。
<-> :1つの部屋の中にスペースが重ならずにとられていて、 間仕切り無 しで、 隣接していることを表す。
例えば、D<->Lとは、 lつの部屋に食事スペースがあり、 食事 スペースに隣接する形で居間スペースがとられていることを表す。
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<a> : スペースとスペースとの問に、 動線を遮断する間仕切り(ドア、 襖 など)がないのは、前の<-> と同じであるが、平面ではアルコー プ状につながったり、空間の"ずらし "、袖壁、大きな家具によって、
間仕切りなくオープンに隣接している割合が3分の2程度未満であ ることを表す。
<p> : 襖、 ドアなどの移動間仕切りを介して接続していることを表す。
但し、(G)との関係のときは、 例えば、 L<p>Gの場合、(L)の 他、 玄関に接続 する廊下からも(G)に入ることができること(廊 下直入り型)を表す。
<q> :(G)との関係のときに、 襖、 ドアなどの移動間仕切りを介して接続 していることを表すが、(G)へは、 接続 する部屋(主にL)からし か入れないことを表す。
<r> : (G)がある 場合に、 (G)が領域論的にはウラにあって、 居間や廊 下ではなく、 食事室を通過してしかアクセスできないことを表す。
<c> : お互いが廊下で隔てられていることを表す。
以上の要領で住宅プラン1 596サンプルの分節パターンを判別し 記録した。
章末、 図2-1、 図2-2に分節パターンの記号化例を示 す。 表2-1は、 分 節パターンを整理して16種類とし、 それらの延床面積区分ごとの度数を示し たものである。 表中、 番号1のL <c>G, 番号 2のL<p>Gは、 Dが無い パターン ということではなく、 L<c>GはGがLやDから廊下で隔てられて とられている分節パターンであり、 L<p>GはGがLに移動間仕切り(襖、ド ア)を介して隣接しており、 しかも玄関に通ずる廊下からも入ることができる 分節パターンである。表2-1にはKを省き、更にいくつかを一つにまとめ、1 6種類としている。 1 596サンプル 中649サンプル(約41%)が、 K <
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表2 - 1 延床面積区分別分節パターンの度数分布
面積区分 2 3 4 5 6 7 8 PATTERN
しくc>G 1 4 41 74 75 70 1 01 70 58 しくp>G 1 3 25 38 20 1 9 24 1 3 1 0
D<c>しくq>G 2 7 2 。 5 。
D<p>しくq>G 2 8 8 9 7 2 2 D<a>し<q>G 2 1 8 15 9 8 3 4 2
0<・>L<q>G 7 9 15 8 6 3 。
0<=>しくq>G 。 1 2 2 。 。
D<p>しくr>G 。 1 3 。 3 。 。
D<a>しくわG 。 。 2 3 。 1
0<ー>L< r>G 。 。 3 。 。 。
D<a> しくa>G 。 。 2 。 。
D<c>L<=>G 1 3 1 8 16 11 9 5 2 5
D<p>しく=>G 1 5 27 33 24 1 3 1 1 5 2
D<a>しく=>G 34 64 40 30 22 19 4 5
0<ー>L<=>G 88 82 47 31 1 3 7 。 3
D<=>L<=>G 1 7 1 3 。 。 。
TOTAL 206 309 303 229 1 65 1 91 1 04 89
(百分率 %)
面積区分
PATTERN しくc>G L<p>G D<c>しくq>G D<p>しくq>G D<a>L<q>G 0<ー〉しくq>G 0<=>しくq>G D<p>しくわG D<a>しくr>G 0<・〉しくr>G D<a> L<a>G D<c>しく=>G D<p>しく=>G D<a>しく=>G 0<ー〉しく=>G 0<=>し<=>G TOTAL
面積区分
2 3 4 5 6 7 8
7. 1 3. 24. 33. 42. 53. 67. 65.
6. 8. 1 3. 9. 1 2. 13. 1 3. 1 1. O. 2. 1. O. 3. O.
3. 3. 4. 4. 2. 2.
6. 5. 4. 5. 2. 4. 2.
3. 3. 5. 3. 4. 2. O.
O. O. O. O.
O. O. O. O. 2. O. O.
O. O. O.
O. O. O. O. O.
O. O. O. O. O. O.
6. 6. 5. 5. 5. 3. 2. 6.
7. 9. 1 1. 1 0. 8. 6. 5. 2.
17. 21. 1 3. 13. 1 3. 1 0. 4. 6.
43. 27. 1 6. 14. 8. 4. O. 3.
8. 4. O. O. O. O. 。 1 00 1 00 1 00 1 00 1 00 1 00 1 00 1 00
TOTAL 503 1 62 18 39 61 49 7 8 8 5 5 79 130 218 271 33 1 596
TOTAL 503
1 62 1 8 39 61 49
7 8 8 5 5 79 1 30 21 8 271 33 1 596
1 00 m未満 2 1 00 m2 - 1 25 m2 3 1 25 m - 1 50 m2 4
7
1 50m2-1 75m2 5 1 75m2-200m 250 m2 - 300 m2 8 300 m2以上
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6 200 m2 - 250 m2
p>DまたはK<c>Dのパターンを有し、 このような構成の場合、 ゆとりの ある面積規模とあいまって、 食事室(D)の居住性は高く、 食事室を家族向け のリビング、居間(L)を接客を意識した第二のリビングとして使用可能であ るから、接客から見た分節パターンを考えるとき、無視できない要素であるが、
次の理由で捨象した。
とり上げるべき分節パターンは、 単に}II買ヂIJ組み合わせで出てきたものでは あってはならず、 パターン分類の多変量解析などでよく行われるように、 結果 としてそうなったものではならず、 実証段階で修正を受けるにしても、 まず仮 説の段階では論理的に分けられたものでなければならないロ ここでの論理的に 分ける視点は、 接客領域を家族の領域とどれぐらい隔てることができる空間条 件であるかであるロ ここに「できるJとは、 最大限隔て得る可能性である。 K
<a>D<p>L<c>G, と、 l<<p>D<p>L<=>Gとを比較すると き、 前者でGが独立して設けられているにも関わらず使用することがなく、 D を家族の居間として使用し、Lを接客的な居間として使う住み方があり得るが、
これと同じ住み方が後者でもできる訳で、 住み方の点で、 接客領域の隔てられ 方の程度は同じである。 しかし、 家族の領域をできるだけ拡大した上で、 更に 接客を隔て得るのは、 前者である。 このような視点で分節パターンを、 数が多 くならないように注意して拾い挙げていくとき、 KとDの聞に移動間仕切りが あるかどうか、 廊下と隔てられているかどうかは、 ひとまず捨象し得る要素で あると考えられる。 パターンの数は論理的に比較し得る程度におさえる必要が あり、 例数がゼロに近い分節パターンが多数生じる拾い上げは避けるべきで、
総データ数に見合った数とするべきであろう。 KとDの関係を含んだパターン 化を行うと、 パターン数は倍以上になり、 対応するデータ数から判断して、 詳 しいけれども意味のない分析結果になると推量される。粗くとも意味のある結 果を得るべきである。 以上が、 KとDとの関係を捨象し、 また、 番号1、 2の パターンを設定した理由である。
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2. 2. 2 分節程度の数量化
ここに分節程度の数量化とは、各分節パターンに数値を与えることであるが、
これを次の手順で行い。 最終的に二通りの数値を得た。 一つは、 分節パターン の序列関係(順序尺度)を表すに過ぎない番号値をそのまま間隔尺度とみなし てパターンに与えた数値で、 隣り合った分節パターンへ与えられた数値の差は 一定とする。二つは、隣り合ったパターンに与えられた数値の差が一定でなく、
前者をベースに住宅延べ床商積に関係づけて重みづけられた数値である。
手}'I貢1:接客領域と家族の団らん領域との領域区分可能性の観点、 家族の領域
をできるだけ拡大した上で、更に接客を隔て得るかどうかの観点で、
序列関係を考察的に導く。
具体的には、Gが独立してとられているものCL<c>G, L<p>
G, L<q>G)を上位に置き、 独立してとられていないものCL<
==>G)を下位に置くo L<a>G, L<r>Gは中位に置く。
更に、 LとGとの関係が同じものの中で、 DとLの隔てられ方に着目 して序列化し、 上位よりD<c>L, D<p>L, D<a>L, D<
一>L, D<=>Lの順とする。
手)11貢2:手}I慎1で考察的に導かれた仮説的な序列関係が概略的に正しいかを、
客観的なデー夕、 ここでは住宅延べ床面積区分別の分節パターンの分 布で確認する。
手順3:序列関係に等間隔の数値を与える。
手]11買4:何らかの方法で、 等間隔でない数値を与える。
手)11貢lで得られた結果を、 表2-2、 表2-3、 表2-4、 表2-5に示し ており、 分節パターンに付された番号が序列を示し、 数字が小さいほど高い分 節程度の分節パターンである。 この結果が概ね正しいかどうかは、 住宅研究者 間で議論すれば確認できるが、 この場では不可能である。 ここでは、 表2-]
のデータを双対尺度法注1 )で処理し、 規模との関連で確認する。
分節パターンは居住者の要求に対応していると考えられるが、 空間の分節は 床面積の増減にある程度影響されると考えられるので、分節パターンの序列は、
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住宅床面積とある程度の相関が見られるはずである。分節程度が高いバター/
は比較的大きな床面積で実現しており、 分節程度が低いパターンは比較的小さ な床面積で実現しているはずである。 その相関は弱いものの、 その逆では決し てあり得ないはずである。 以上のことは次のような処理で分かる。
表2-1の延床面積区分を列とし、 1 6の分節パターンを行とする1 6行8 列のマトリックスを双対尺度法で処理すると、 第1解として表2-2の数値を 得る。 第1解の寄与率は82. 1 %、 第2解の寄与率は11. 0 3 %、 第3解 の寄与率は3. 3 1 %であった。 第1解の寄与率が高くかっ意味解釈可能で あったので、 第l解を採用した。行(分節パターン)と列(延べ床面積区分)に 与えられた数値は無次元であるが、 列に与えられた数値と行に与えられた数値 は、 もし単位を与えられるとすると同じ単位をもっ。 大きな面積区分ほどマイ ナス(-) で絶対値が大きな数値が与えられ、 上位の順位の分節パターンほど マイナス(-) で絶対値が大きな数値が与えられており、 それとは反対に、 A さい面積区分、 順位が下位の分節パターンほどプラス(+ ) で絶対値が大きな 数値が与えられており、 床面積側から見れば、 大きな面積ほど、 上位の分節パ ターンの割合が増え、 小さな面積ほど下位の分節パターンの割合が増える、 分 節パターン側から見れば、 下位のパターンほど小さな床面積の方によって分布 し、 上位の分節パターンほど大きな床面積の方によって分布するといった傾向 を、 番号7---11のパターンを例外として良く示している。
番号7から11までのパターンはマイナスの数値が与えられているが、 この 原因は、 表2-1で分かるように、 サンプル数が極端に少ないものの、 大きな 面積区分の方に寄って分布していることである。 番号8、 9、 1 0でのL<r
>Gとは、 床の間付き和室が、 居間と隣接しておらず (つまりL<p>G や L<q>G ではなく)、また、玄関に通じる廊下で居間や食事室と隔てられ ているでもなく (つまりL<c>G でなはく)、 家族的な領域(主に食事室) を通り抜けてアプローチする位置に独立して設けられている場合であり、 上位 に位置させてもよいかもしれないパターンである。番号11のD<a>L<a
>Gは面積にゆとりがあって可能な空間処理であるかもしれない。
サンプル数が極端に少なく、序列関係の位置づけが難しい番号7、 8、 9、
1 0、 11の分節パターンを除いて、 同じような処理をすると、 表2-3の結
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果を得る。 11パターンは概ね前述のような相闘があることを示している。
但し、 相関が高いと言うことではない。
延べ床面積区分を1 1区分した場合の、 延べ床面積と考察的に導いた1 1の 分節パターンの序列関係との相関係数は、 +O. 5 4 3であった。 相関がある と言えるが、 高い相闘があるとは言えない。 番号7"-'11を除く残り1 1の分 節パターンについて、それらの表2-3などに示す序列は概ね正しいと判断し、
数量化を行う。
1 1の分節パターンに序列上位から順番に、{+1, +2, +3,・ ・ ・, + 10, +11}を与える。 これを、 表2-4に、 数値αとして示す。 これらを 順序尺度ではなく間隔尺度と見なせば、 平均、 分散が使えることになる口 以上 が第一段階の数量化である。
数値αは単純であるが、 分かりやすく、 全サンプルをグループ区分して、 グ ループ毎の平均値をとって、 分節程度のグループ問比較をすることができる。
しかし、 分かりやすいといっても、 等間隔であるべき根拠はどとにもない。 何 らかの重みづけがなされも良いのではと考えられる。
表2 -1の延床面積区分別分節パターンの度数分布と、 表2-3の双対尺度 法により分節パターンに与えられる数値を対照させると、 規模分布パターンが 類似した分節パターンどうしは近い数値を持ち、 規模分布パターンが類似して いない分節パターンどうしは隔たった値を持っていることが分かる。 分節パ ターンの記号表現は、 規模に関する情報を捨てているが、 表2-3の双対尺度 法による数値は、 考察的に導いた分節パターンの序列関係をほとんど崩さない 形で、 規模に関する情報を規模分布の非類似性・類似性という形で回復してい ると解釈できる。 別の見方をすれば、 規模分布の非類似性・類似性による重み づけがなされている。 しかも、 考察的に導いた分節パターンの序列関係を概ね 実現している。 したがって、 第二の数値Sとして、 表2-3の数値を採用しで も良いと考えられるが、 これは次のような、 欠点と利点を持っている。
欠点1 )数値αは、 データに依存しないので、 他の研究でも使用できるが、
数値3は、 表2-1のデータに完全に依存しているので、 本研究 の中だけでしか使用できない。
欠点2)同じデータを用いても、 延べ床面積の区分が違えば、イ直は変化す
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る口
欠点3)データに完全依存しているから、 考察的に導いた分節パターンの 序列関係を概ね表現しているものの、 完全ではない。
研究目的が、 汎用的な分節パターンの数量化にあるのではなく、 あるグルー プがもっている、 接客から見た公室空間の分節程度を、 エ(番号iのパターン のサンプル数) x (番号iのパターンに与えられる数値) / (サンプル総数)、
で表現して比較するための媒介的な数量であればよいとすると、 次の利点を もっている。
利点)双対尺度法の解法からいって、 級間変動(行、 多11とも) がある制約下 に最大になるよう数値を求めるので、 弁別性がよい。
その制約条件とは、
ヱ(番号iのパターンのサンプル数) x (番号iのパターンに与えられる数値) /(サンプル数) = 0 (ゼロ)、 即ち、 パターンに与えられた数値の重み付き平 均値がo (ゼロ)というととであるから、 1 563サンプルをグループ区分し て、 それぞれのグループにつき、 ヱ (番号iのパターンのサンプル数) x (番 号iのパターンの数値ß) / (グループのサンプル総数) は、 当然ゼロを起点 として、 プラス側かマイナス側にずれる。 このずれの方向と大きさを比較する ことで、 分節程度が全体としてどう違うかを知ることができる。 マイナス側に ずれるグループは分節程度が相対的に大きいと判断できる。サンプルを地域で グループ区分した場合は、 分節程度の地域差を、 建設時期でグループ区分した 場合は、 分節程度の時間的変化を、 それぞれ大まかに把握することができる。
以上であるが、 本研究の目的が分節パターンの汎用的な数値を得ることにあ るのではなく、また、いろいろな角度から分析した方が良いと考えられるので、
つぎの節の平均値による要因分析では数値α、 数値3の両方を用いた。
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双対尺度法により分節パターンと面積区分に与 えられる数値(1 6パターンの場合)
表2-2
数値 8 6 7 4 471 3
o 1 0 1 1 1 2 5 284 3 5 604 8 0 7 4 7 1 7 5 面積区分
2 3 4 5 6 7 8 0730943687025210 9535352795521710 8813216782402942 値5121021355521272数
一 一一一
ンGGGGGGGGGGGGGGGG一>>>>>>>>>>>>>>>>タcpqqqqqr
r r
a一一一一一一一一一一パ<<<<<<<<<<<<<<<<川町LILL-」LLLLLLLLLLLL
分
>
>>>>>>>>>>>>>
cp
a--一pa一a
cp
a--一<<<<<<<<<<<<<< DDODODDDODODDD
号1234567890123456番1111111
表2-3 双対尺度法により分節パターンと面積区分に与 えられる数値(1 1パターンの場合)
数値 8 4 6 1 4 5 9 4 o 2 1 1 100 2 291 7 570 3 8 1 9 8 725 3 面積区分
2 3 4 5 6 7 8 数値
一. 5 9 8 1 一. 1 9 2 8 - 2 1 4 4 一. 1 3 8 4
o 1 9 4 2 1 2 7
に.U7t7t内/』ハヨqJV7t守I7IqLn31lno内ζハヨ唱l唱lqL7t咽l
ンGGGGGGGGGGGGGGGG一>>>>>>>>>>>>>>>>タcpqqqqqr
r r a
一一一一一一一一一一パ<<<<<<<<<<<<<<<<節ししLLLLLLLLLLLLLL
分
>
>>>>>>>>>>>>>
cp
a--一pa一a
cp
a一一一<<<<<<<<<<<<<< DDDDDDDDDDDDDD
号1234567890123456番1111111
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分節パターンに与える数 表2-4
数値β 一. 5 9 8 1
- 1 928
一. 2 1 4 4 一. 1 3 8 4 o 1 9 4 2 1 2 7
phu7t7tフ』QU9JV7t77フ』91829 咽l咽l円ζ7t唱l
数値α
+ 1 +2 +3 +4 +5 +6
ハU117tnonヨ唱』噌1+++++
ンGGGGGGGGGGGGGGGG一>>>>>>>>>>>>>>>>タcpqqqqqr
r 節LLLLLLLしししLLLLLL パ<<<<<<<<<<<<<<<< ra一一一一一一一一一一 分
>
>>>>>>>>>>>>>
pc
a一一一pa一
a
DDODODDDODODDD <<<<<<<<<<<<<< cpa--一
号1234567890123456
番
1
111111
2. 3 分節程度の平均値による要因分析
全サンプル1563をある基準でグループ区分し、 グループでの、 エ(番号
iのパターンのサンプル数) x (番号iの数値α) / (グループのサンプル総 数)をA値、 エ(番号iのパターンのサンフル数) x (番号iの数値ß)/ (グ ループのサンプル総数) をB値と定義し、A値とB値でグループ聞の分節程度 を比較する。 地区区分で分節程度を比較する場合、 上記の値以外に、 延床面積 区分別のA値、 B値を用いた。
延床面積で区分しなくても分節程度の地域差は概ね確認できるが、真の意味 の地域差が確認できない。 本研究は、 分節程度の地域差は、 延床面積の地域差 などの物理的要因のほか、 領域区分要求の地域差という主体的要因にも起因す ると仮設し、 分節程度の地域差を手がかりに領域区分要求の地域差を確認しよ うとするものであるが、 分節程度が延べ床面積とある程度相関しているので、
分節程度を表す数値の地域差は、 延床面積の地域差に起因する分と、 領域区分 要求の地域差に起因するであろう分とが重なっていることになる。 もっとも、
延べ床面積と分節パターンの序列の相関係数は O. 543程度であり、 分節 程度の半分近くが延床面積の地域差以外の要因に起因すると判断されるから、
サンプルグループ内の平均値でも良いが、 延べ床面積の影響をできるだけおさ えて、 領域区分要求の地域差に起因するであろう成分を分別するために延床面 積区分別のA値、 B値を計算した。
2. 3. 1 竣工年区分と分節程度
竣工年が1979年以前のものと、 1980年以降のものとに区分した場合 (表2-6)、 1 979年以前のA値は5. 623、 B値は0. 041274,
1 980年以降のA値は5. 0 1 8、 B値は-0. 033031であり、 分節 程度は近年高くなってきたことを示す。但し、 この場合のA値のレンジは0. 6
o 5であり、 地区別の場合の約1/30 B値のレンジは0. 074305であ り、 地区別の場合の約1/3であるロ
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2. 3. 2 家族型区分と分節程度
老人同居ということで平面型と家族型との関係を述べた研究文3 )があるので とりあげたが、 本研究では、 分節パターンの判断において 、 家族構成と平面と を照らしあわせて私室と公室を判別しているので 、 床の間付きの和室であって も 、 しつらえ 、 部屋数と家族構成との 照合 、 などによって 、 私室(寝室)と考 えられるものは除いて判断している。このようなことができることが住宅建築 を資料とする意義である。
より進んだライフステージにあると考えられる親夫婦と子夫婦とで構成され た家族及び夫婦とその片親で構成された家族(C * c + C * A)と 、 夫婦とそ の子供のみで構成された家族(C n 0)とに区分した場合(表2 -7)、 (C * C + C * A)のA値は5. 2 1 1、 B値は-0. 010 397であり、(C n 0) のA値は5. 3 8 7 、 B値は0. 0142 55である。(C * C + C * A)のほ うが、 分節程度が相対的に 高い。A値のレンジは0. 17 6, B値のレンジは
0. 0 24652である。
2. 3. 3 地区区分と分節程度1
岡俊江他の「接客空間と団らん空間を指標とする類型化と平面構成の考察」
(日本建築学会計画系論文報告集NO.383 )では、 特に関東地区と近畿地区との
間取りの志向性の違いを指摘している。同論文は、延べ床面積10 0 m2台の建 て売り住宅で 、 関東地区は「リビング型続き間」志向 、 近畿地区は「一つ問型」
志向が見られると結論している。「リビング型続き間」と 「一つ問型」とを、 本 研究の視点からみると 、 前者はL<p>Gの分節パターンであり、 後者はL<
c>Gの分節パターンであり、 後者の領域区分要求が高いということになる。
関東地区と近畿地区とに区分した場合 (表2 -8)、サンプル数のバランスが とれていないが、 関東地区のA値は6. 0 3 8 、 B値は0. 094537であ り、 近畿地区のA値は3. 9 66、 B値は-0. 164246であり、 近畿地 区の方が分節程度が高いといえる。A値のレンジは2. 0 7 2 、 B値のレンジ
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