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欧州憲法条約におけるEUの価値 ― I‑2条の導入過 程と展望 ―

著者 山本 直

雑誌名 同志社大学ワールドワイドビジネスレビュー

巻 6

号 2

ページ 34‑46

発行年 2005‑03‑31

権利 同志社大学ワールドワイドビジネス研究センター

URL http://doi.org/10.14988/re.2017.0000015882

(2)

《研究ノート》

欧州憲法条約における EU の価値

──蠢

−2

条の導入過程と展望──

山 本 直

(北九州市立大学外国語学部)

は じ め に

EU 25カ国の首脳は2004年10月29日,ローマにおいて欧州憲法条約(Treaty establishing a Constitution for Europe)に署名した。この条約の蠢−2条では,EUの基礎となるべき一連の価 値について明記がなされることになった。以下がその全文である。「EUは,人の尊厳,自 由,民主主義,平等,法の支配の尊重,および少数者に属する人々の諸権利を含む人権の尊重 という諸価値に基礎をおく。これらの価値は,多元主義,非差別,寛容,公正,連帯および男 女平等により特徴づけられる社会にある加盟国に共通のものであ

1

る」。その前後に位置する蠢− 1条および蠢−3条は各々,EUの設立と目的に関する規定である。とりわけ蠢−3条において は,これらの価値を推進することがEUの目的の一つに掲げられている。蠢−2条は,これら の条文や同じ第蠢部第蠢編「EUの定義と目的」を構成する蠢−4条以下の規定とともに,EU が活動するうえでの根本的な原則となってい

2

る。

1992年のマーストリヒト条約以降,憲法条約に先行するEU諸条約は,「加盟国に共通の原 則」として「自由」,「民主主義」,「人権と基本的自由の尊重」および「法の支配」を掲げてい

3

た。ゆえに憲法条約においても同様の明記を行なうことは,当然の趨勢であったともいえる。

しかしそれにしても何故,蠢−2条はこのような内容になったのであろうか。本稿では,「欧州 の将来に関する諮問会議」(以下「諮問会議」とする)と「2003年のIGC」と呼ばれる一連の 加盟国政府間会議(Intergovernmental Conferences)の両方における討議の過程を観察し,EU の価値なるものに関して若干の展望を示すこととしたい。

諮問会議は,2002年2月から翌03年7月までブリュッセルで開かれた一連の会議である。

その役割は,幅広い層から意見を募ったうえで,それを憲法条約草案として集約することにあ った。諮問会議は,EU基本権憲章(Charter of Fundamental rights)の起草時に開催されたそれ と似て,ユニークな構成となってい

4

る。議長には,ジスカルデスタン元フランス大統領が着任 した。副議長の2名は,アマート元イタリア首相とデハーネ元ベルギー首相である。以上の3 名とあわせて,諮問会議の開催期間中に理事会議長国を務めるスペイン,デンマークおよびギ リシャの各政府代表3名や,欧州委員会の代表2名らよりなる幹部会(praesidium)が設置さ

(3)

れている。

このようにして起草された草案の内容を加盟国政府としての立場から吟味し,必要であれば 変更を加えることが2003年のIGCの役割であった。EUにおいてIGCは,単一欧州議定書以 降,基本条約が改定されるたびに開催されてい

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る。今回のIGCは03年10月に始まり,紆余 曲折があったものの,翌04年6月には政府間において合意が達成されることになる。

以下においては,諮問会議における蠢−2条の討議過程を,(1)意見を広範に聴取する段 階,(2)審議する段階,および(3)草案内容を確定する段階の各々から分析し,そのうえで 2003年のIGCの経過を確認するものとしたい。しかしながら,その前に,EUの価値に関す るそれまでの経緯を概観しておこう。

1

章 憲法条約に至る経緯:概観

1EUにおける価値規範

1950年代に発効した3つの共同体設立条約は,それらの共同体が基礎とすべき価値に必ず しも執着するものではなかった。欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立条約は,その前文におい て「世界平和は…創造力のある努力によってのみ保障することができ,(以下略)」と述べてい た。あるいは欧州経済共同体(EEC)設立条約は,その119条において,同一労働に対する男 女同一賃金の原則を確認していた。とはいえ,これらの共同体の優先事項は経済統合を推進す ることにあり,価値や原則について云々する時代では未だなかった。価値規範をめぐる問題 は,加盟国に対して拘束力をもたない欧州審議会(Council of Europe)に委ねられていた。

EUにおいて一定の価値規範は,主に次の2点を端緒として重視されはじめたのである。そ の第1は,欧州司法裁判所(ECJ)による一連の判決である。すなわち,1969年のStauder事 件,70年のInternationale Handelsgesellschaft事件,74年のSolange 事件およびNold事件,79

年のHauter事件等を経て漸進的に,基本的権利や各種の人権条約が重視されるようになった

のである。「設立諸条約には人権の規定が存在せず,加盟国と共同体諸機関も権利の保護に向 けた明確な根拠をECに設けようとしないなか,権利のディスコースを司法上認めることに腐 心し

6

た」のが,ECJの裁判官であった。

第2には,共同体の諸機関や,のちに欧州理事会となる加盟国首脳の会合が,「人権」や

「民主主義」の規範をしばしば強調したことである。例えば,72年10月の『パリ首脳会議宣 言』において加盟国首脳は,共同体の発展の源泉を「民主主義」,「意見の自由」,「人と思想の 自由な移動」および「自由選挙による代表を通じた人々の参加」におく決意を明らかにした。

欧州議会,閣僚理事会および欧州委員会は,77年4月の『基本権に関する共同宣言』を通じ て,これらの機関が基本権の保護を「きわめて重視( prime importance )」する旨を表明し た。翌78年4月のコペンハーゲン欧州理事会はさらに,『民主主義に関する宣言』を行なって

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いる。(1)欧州議会の直接普通選挙が実施されることは,共同体の将来と躍動する民主主義の 実現に向けて高く評価できる,(2)加盟国首脳は,法,政治および道徳の秩序が尊重され,か つ代表民主制,法の支配,社会的公正および人権尊重の原則が守られるべきと認識する,(3)

これらの原則を尊重するには,自由な意見表明と人権保障手続を確保する多元的な民主制が必 要である,以上がその内容であっ

7

た。

「民主主義」や「人権」に関する宣言は,80年代に質量ともにより積極的になされるように なった。その中には,欧州議会,理事会,理事会で会合する加盟国代表者および欧州委員会に よる86年6月の『人種主義と外国人排斥に反対する宣言』,加盟国外相による同年7月の『人 権声明』,欧州議会による89年4月の『基本権および人権宣言』,ルクセンブルク欧州理事会 による91年6月の『人権宣言』,理事会と加盟国による同年11月の『人権,民主主義および 開発に関する宣言』,マーストリヒト欧州理事会による同年12月の『人種主義外国人排斥に関 する宣言』等があ

8

る。

これらの規範を条約に明記する機運は,以上の変化を背景に高まったのである。その先鞭を つけたのは,『EU設立条約草

9

案』を作成した欧州議会であった。84年2月に採択されたこの 草案においては,第1に,EUが「個人の尊厳」を遵守し,その管轄領域内で「基本権」と

「自由」を保障するものと規定され

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た。第2には,各加盟国の憲法と欧州社会憲章(European Social Charter)から生じる経済,社会および文化的権利を,その権能の範囲内で保障するもの とし

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た。第3に,欧州人権条約,欧州社会憲章,国際連合の自由権規約と社会権規約にEUと して5年以内に加入することが,政策目標に設定され

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た。第4には,民主主義の原則と基本権 を尊重しない加盟国には,一定の政治的制裁を科すものとしたのであ

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る。この草案は結局,法 的効力をもつことはなかった。とはいえ本稿の文脈からすれば,それは,画期的な内容を含む ものであった。加盟国に対するEUの制裁権限は,アムステルダム条約において実際に導入さ れた。EUが欧州人権条約に加入することも,憲法条約において明記された。このように草案 は,後のEUに一定の道程を示すこととなったのである。

2節 条約における価値の言及と明記

EUの価値といえるものが条約においてはじめて言及されたのは,1986年の単一欧州議定書 においてである。すなわち,その前文において,署名者である加盟国首脳は「加盟国の憲法と 法,欧州人権条約および欧州社会権章に認められる基本権,とくに自由,平等および社会的公 正を基礎とする民主主義をともに推進することを決意し,(以下略)」と表現された。

さらに,次のマーストリヒト条約において価値は,F条として本文中に明確に位置付けられ た。まず,1項において「EUは,統治体制が民主主義の原則に基づいている加盟国国民の一 体性を尊重する」とし,2項において欧州人権条約が保障し,かつ加盟国に共通の憲法的伝統 から生じる基本権を「共同体法の一般原則」として尊重するとされたのである。続くアムステ

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ルダム条約では,「EUは,加盟国に共通の原則である自由,民主主義,人権と基本的自由の 尊重および法の支配に基づいて設立される」という文言がEU条約6条1項として規定され た。このような規定は,原則を「自由」,「民主主義」,「人権と基本的自由の尊重」および「法 の支配」という自由権的なものに限定する点では,包括的ないし網羅的なものとはいえなかっ た。このことは,後述するように,諮問会議においても認識されたのである。

条約における価値の明記は,EUが広範な政策領域において取り組みをみせてきたことと表 裏をなしているといえよう。そのような政策領域は,取り組みの程度の差こそあれ,次のよう なものが含まれる。雇用問題,居住権,経済および社会権,男女平等,教育・職業訓練・青年 育成,移民労働,健康管理,科学技術の振興,消費者保護,環境保護,表現と報道の自由,途 上国への開発援助,個人データ保護,欧州議会の権限強化と請願権の保障,欧州委員会への苦 情申立て,情報公開,加盟国議会の役割強化,汚職・腐敗の防止等がそれであ

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る。憲法条約の 起草段階においては,EU基本権憲章の法的拘束力等に関する活発な議論が行なわれ

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た。それ とともに,より現代のニーズに沿う形で「EUの価値」を検討することが要請されたのであ る。

2

章 諮問会議における協議

1節 意見聴取の段階

諮問会議は2002年2月27日午後,幹部会の非公式会合をもって活動を開始した。価値の問

題は,翌3月21・22両日の第1回本会議において早くも取り上げられたのである。会議の主

題は,《EUに寄せる期待》というものであり,その項目の一つに「欧州が尊重すべき諸原 則」が設定されたのである。諮問会議の構成員である欧州委員会のビトリーノ司法・内務問題 担当委員は,「会議は,文化と言語の多様性に留意しながらも,EUの実験を正当化する共通 の価値について開かれた議論を行なうべきであろう」と提言し

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た。本会議は,EUにおいて

「民主主義」,「法の支配」および「人権尊重」等の価値を共有することに賛成して閉会となっ

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た。

5月下旬には,イギリスのストロー外相が,ベルリンでの会見において次のように述べてい る。「欧州は,これまでと同様,共通の価値とアイデンティティをもって古い亀裂を修復して いくべきである。しかしそれは,超国家(a super state)を志向すべきものではない」

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と。各 人が政体としてあるべきEU像に種々のイメージを抱いていることは,従来通りであるのかも しれない。とはいえ,このころになると,価値の内容をめぐる議論が否応なしに活発化するこ とになる。

例えば,6月24・25両日の本会議では,文化団体の代表らが具体性のある提言を行なって い

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る。この会議には,「文化協力・芸術・遺産・教育代表」としてヨーロッパ・ノストラのガ

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ブレンツ氏と欧州芸術遺産フォーラムのシャボー氏,「教会・宗教・信仰代表」として欧州教 会会議のジェンキンズ氏,さらに「言語・少数者代表」として欧州少数者言語・危機言語協会 のブレジガル氏が招かれた。彼らは,スロベニア議会代表として諮問会議に参加するペーテル レ氏をまとめ役としつつ,「憲法条約は,基本的な価値を明記するべきであ(る)」と表明し た。そのうえで,「そのような価値は,人の尊厳,平和と和解,自由と公正,連帯と持続可能 な開発,寛容,民主主義,人権および法の支配の推進,少数者と文化的多様性の尊重…さらに は情報とメディアの多元性を含む必要がある」と主張したのであ

20

る。

9月には,諮問会議構成員のデュアメル欧州議会議員(フランス・欧州社会党)が,アムス テルダム条約の『加盟国の公共放送体制に関する議定書』に依拠して表現の自由とメディアの 多元性を価値に含めるよう主張してい

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る。同じくアンドリウカイティス・リトアニア議会代表 は,「欧州が誇りうる福祉国家モデルも,条文に明記された方がよい」と意見し

22

た。

幹部会は,以上の提言や主張を考慮しながら,草案の各条を粗描することとなったのであ る。ジスカルデスタン議長が10月28日に本会議に提出した文書によれば,EUの価値が蠢−2 条に規定されることになった。同条にはさらに,次のような文言が付された。「本条では,EU の価値について規定する。人の尊厳,基本権,民主主義,法の支配,寛容,義務および国際法 の尊重等がその内容となる予定であ

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る」。すなわち,EU条約6条が従来明記する原則を礎に して,「人の尊厳」,「寛容」および「義務および国際法の尊重」が加わるという青写真であっ た。他方において,すでに要請のあった「少数者の尊重」や「メディアの多元性」については 言及がなされなかった。しかしいずれにせよ,この文書において,明記される価値が多様にな る可能性が示されたのである。

2節 審議の段階

上の文書が公表されたことにより,価値をめぐる議論は白熱した。主な争点は,以下にみる ように,社会的な関心事項とキリスト教をめぐるものであった。換言すれば,ニース条約以前 の基本条約においてすでに明記されていた価値−「自由」,「民主主義」,「人権の尊重」および

「法の支配」がこれに該当する−は,当然に含められるべきという点ですでに一致していたの である。

(衢)社会的な関心の強化

社会的な関心については,市場経済に比重をおきがちなEUへの批判がかねてより存在して いた。そこにおいてEUは,貧困や差別といった社会問題よりも,大企業の経済利益が優先さ れていると認識されていたのである。このような文脈から,蠢−2条に対しても同様の認識が もたれた。ブリュッセルに本部をおく欧州貧困撲滅ネットワーク(EAPN)は,「貧困と社会 的排除の軽減」や「差別との闘い」が明記されていないことに懸念を表明し

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た。あるいは,ホ ームレスや貧民街の環境改善を目的とする ATD第4世界運動は,「平等」,「連帯」および

(7)

「社会的公正」が価値として言及されるべきであると主張したのであ

25

る。

諮問会議においては,「社会的欧州(social Europe)に関する第11作業部会」がこの点を明 快に指摘したことが興味深い。この部会は,会議が設置した11の部会の一つであり,EUの 将来像を社会的な見地から協議するものであっ

26

た。同部会は,翌03年1月に最終の報告書を 採択した。そこでは,以下の事項が総括されているのである。

・現行の条約が定めるEC/EUの価値と基本目標は,包括的なものである。したがって,それ らからは,「民主主義」や「人権の尊重」のほか,「基本的社会権の重視」,「強固な連帯への願 い」,「高水準の雇用と社会的保護」,「経済活動の均整で持続可能な開発と成長」あるいは「男 女間の平等」等の広範な原則を抽出できる。

・それに対して,仮草案において明記される価値は,あまりに限定されている。

・「連帯」,「平等」および「機会の平等」が明記される必要がある。「機会の平等」は,男女 間,民族的出自および宗教に関して適用可能である。

このような総括のほかにも,部会では,「社会的公正」,「社会的平和」,「男女平等」,「非差 別」,「持続可能な開発」あるいは「持続可能性」,「子供の保護」,「途上国世界との連帯」等を 蠢−2条において明記すべきという意見があっ

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た。作業部会では総じて,社会的な規範を補充 することが,同条の内容をより均整なものにすると考えられたのである。

(衫)キリスト教ないし神の明記

EUの基本条約に「キリスト教」,「神」あるいは「教会」等を明記すべきという声は,EU を中心とする国家間統合が進展するにつれて強まっていた。アムステルダム条約に向けた1996 年の加盟国政府間会議(IGC)にはすでに,イタリアおよびオーストリア両国が,「教会およ び他の宗教団体の憲法的地位の尊重」を明記するよう提案したのであ

28

る。また97年4月に は,ポーランド議会が同国憲法を採択した。その前文は次のように,神やキリスト教を強調す るものであった。「(我々ポーランド国の国民は)真理,公正,善および美としての神を信仰 し,/…ポーランド民族のキリスト教遺産と普遍的な人間の価値をルーツにもつ文化を,苦労 の末に得た我々の祖先に恩義を感じ,/神のみまえにある責任と我々自身の良心を認識し,

(以下

29

略)」。このような背景もてつだい,審議段階ではキリスト教の次元も争点となったので あ

30

る。

EC司教委員会(Commission des Episcopats de la Communauté Europenneé ; COMECE)[高橋

4]は,カトリック団体の政治部門として02年11月,諮問会議は欧州統合に対する宗教の貢

献を想起すべきであると表明した。委員会は,神(God)を憲法条約で言及することは,長年 の懸案であるトルコのEU加盟問題とは無関係であるとした。特定の国家をEUから締め出す 手段としてキリスト教を利用しない旨も決意された。委員会のホーマイヤー代表は,プロディ 欧州委員会委員長に対して,「神を明記することは,こうした事情を踏まえてもなお,必要な ことである」とうったえたのであ

31

る。

(8)

諮問会議の代替要員であるビュルメリンク欧州議会議員(ドイツ・キリスト教民主同盟)

は,翌03年1月に『憲法条約における宗教への言及』を寄稿した。そこにおいて彼は,「欧州 の倫理的なルーツは,宗教遺産を礎とする」と強調したうえで,条約の前文に次の文言を盛り 込むべきであると提案した。「[EUの加盟国と市民は,]その歴史ならびに…欧州が精神およ び道徳上の遺産に負いたるものを意識し,…(以下略)」。さらに蠢−2条が定める価値に関し ては,「真理,公正,善および美としての神を信じる者の価値」を含めるよう要請したのであ る。他方において,「そのような信仰を行なわないものの,他の拠り所がもたらす普遍的な価 値を尊重する者の価値」もともに含めるものとした。すなわち,キリスト教徒以外の者への一 定の配慮が示されたのであ

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る。以上のような彼の提案は,諮問会議の構成員と代替要員を合わ せて25名の賛同を得た。欧州人民党(EPP)首脳の立場にあるブロク(ドイツ・キリスト教 民主同盟)らの名前が,そこにはあっ

33

た。

もっとも,キリスト教系の団体が総じてこのような提案に同調したわけではない。Ecumeni- cal News International紙によれば,ノルウェーのトロンへイムで開催されたプロテスタントの 第12回欧州教会会議(CEE)は,「[憲法条約の]草案は,教会の特別な性質と貢献を認識し

…透明な対話の維持を表現している」と声明し,憲法条約を歓迎した。しかしながら,キリス ト教の遺産を明記することは支持しなかったのであ

34

る。

3節 草案確定の段階

諮問会議は,以上のように提起された争点を考慮しつつ仮草案をまとめるよう幹部会に求め ることとなった。これを受けて幹部会は03年2月6日,蠢−1条から蠢−16条までの本文を諮 問会議に提示し

35

た。そこでは蠢−2条の本文は,次の内容とされたのである。「EUは,加盟国 に共通する価値,すなわち人の尊厳,自由,民主主義,法の支配および人権の尊重という価値 に基づいて設立される。その目的は,寛容,公正および連帯を実践することを通じて,平和な 社会を実現することであ

36

る」。

この条文から明らかであるのは,「人の尊厳」,「自由」,「民主主義」,「法の支配」および

「人権の尊重」が価値に含まれる点である。その一方で,「寛容」,「公正」あるいは「連帯」等 が,重視されはするものの,価値としては除外されることが推察できるのである。

この点について幹部会は,本文に付加した解説文(Explanatory Note)において以下のよう に述べている。「蠢−2条は,欧州の基本的な価値を簡潔に掲げたものである。価値の内容を幅 広く列挙した場合,EUが管轄をもたない加盟国の行為についても制裁権限が行使されるおそ れがある」。ゆえに「同条は,次のたぐいを明記するに留めた方が無難であろう。すなわち,

第1に,平和の実現に向けて必要不可欠と思われる価値である。第2に,加盟国が抵抗なく受 諾しうるような,非論争的な価値であ

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る」。EUは,1997年のアムステルダム条約以降,人権 尊重や民主主義といった原則に重大かつ継続的に違反した加盟国政府の権利を一時停止できる

(9)

権限を得ている。したがって,解説文の記述は,このような権限が濫用される可能性に触れな がら,慎重に価値の内容を定めるべきとする幹部会の姿勢が反映されたものと把握できるので ある。

さて,以上の内容をもつ2月6日の案に対しては,その後に開かれた諮問会議において90 にのぼる修正案が提出され

38

た。それらの中には,たとえば次のようなものがあった。

・価値に「基本的権利」もしくは「基本的自由」を付加するか,あるいはこれらの語を「人 権」と置き換えるべきである。

・第2文(「その目的は…実現することである」)が言及する「平和」,「寛容」,「公正」および

「連帯」のすべてあるいは一部を価値に含める。そのうえで第2文を削除する。

・「価値」を「原則」の表現に置き換える。

しかしながら,最も顕著であったのは,新たな原則を価値として付加するべきとするもので ある。そのような表現として,次のような提案があった。すなわち,「平等」,「男女平等」,

「多元主義」,「文化と言語の多様性」,「障害者と少数者の権利の尊重」,「社会的公正」,「寛 大」,「民族と地域のアイデンティティ」等である。

さらに,キリスト教についても多数の修正案があった。それらは「神」,「キリスト信仰」

(Christianity),「ユダヤ教とキリスト教のルーツ」あるいは「ギリシャ・ローマ,ユダヤ・キ リストおよび世俗的で自由を重んじる伝統」等の明記を求めるものであっ

39

た。修正案を受けて 幹部会は,争点がいまだ,社会的な関心事項とキリスト教の両方にある旨を確認し

40

た。

前者の社会的関心に一定の展開がみられたのは,3月26日の本会議においてである。そこ においては,「平等」と「男女平等」を価値に含めるべきとする意見が相次いだ。もっとも,

このような意見に反対した構成員もあった。それらは「自由」や「民主主義」ほど基本的ない し本質的な価値ではない等の理由からである。しかしながら,デハーネ副議長は,「平等」の 明記を求める者が「きわめて多数」( très nombreux )であった点に留意することになった。

副議長はさらに,これらの意見を積極的に考慮することが自身の責任であると言明したのであ

41

る。

以上のように,社会的な関心を強化する動きが顕著となっていた。とはいえ他方において,

キリスト教の明記に関する会議の反応は鈍いものであった。2月28日の本会議がこれを象徴 している。この会議においても従来どおり,ドイツ,イタリアおよびポーランド出身の構成員 を中心に,明記に賛意を表する意見が出された。明記することに反対であるか,あるいは否定 的であったのは主に,フランス,ベルギーおよびトルコからの出席者である。フランスのドビ ルパン外相は,政府代表として「基本権憲章の起草時にも行なわれたこの厄介な議論は,再燃 させない方が利口ではないか」と説いた。同国の出身である欧州社会党のべレス欧州議会議員 は,「憲法条約は,宗教権力ではなく世俗権力の役割を定めるべきものである」と述べて牽制 した。ベルギーのミシェル外相は,宗教を価値に含めなかった幹部会の判断を歓迎さえした。

(10)

同国議会のディルポ代表は,「国家と教会は別物である」と述べた。トルコ政府代理のデミラ ルプ駐EU大使は,「信教の自由と非差別の原則こそが近代欧州の核となってきたはずであ る」と発言したのであ

42

る。

翻ってジスカルデスタン議長は,諮問会議の開会の辞において次のように述べていた。「わ れわれの大陸[である欧州]が…理性,ヒューマニズムおよび自由という3つの基礎を固める ことに貢献した旨,常に自覚すべきである」。彼がフランス人として,「政教分離」あるいは

「非宗教性」を意味するライシテをどの程度信条としているのかは,明らかではない。とはい え,啓蒙主義的ともいえる彼の言説は,条約の起草過程に一定の政治的インパクトを与えたも のと推測でき

43

る。

もっとも,宗教ないし信教の概念が全面的に軽視されたわけではない。憲法条約の前文にお いては,人権や民主主義等を発展させたのが「欧州の文化的,宗教的および人間的な遺産」で あるとして,宗教に言及されている。蠡−70条,蠡−74条,蠡−81条および蠡−82条では,信教 の自由,宗教を理由とする差別の禁止,あるいは宗教の多様性といったものを尊重ないし確保 することが規定されている。蠱−118条では,宗教等に基づく差別と対抗するべきことが確認 された。差別を禁止するための立法行為も,蠱−124条に依拠して可能となっているのであ

44

る。

蠢−52条においては,「非信仰的組織」との併記ではあるものの,「教会」の地位が明記され た。このような記述は,EUにおいては新たな展開であるといえよう。しかしながら,「キリ スト」ないし「ユダヤ・キリスト」等への言及に関しては,最後まで合意が得られなかったの であ

45

る。

ジスカルデスタン議長は,6月のテッサロニキ欧州理事会に条約草案を提出した。この草案 において蠢−2条の本文は,次の内容となったのである。「EUは,人の尊厳,自由,民主主 義,平等,法の支配の尊重および人権の尊重という価値に基礎をおく。これらの価値は,多元 主義,寛容,公正,連帯および非差別の社会にある加盟国に共通するものである」。ここに,2 月の仮草案から,「多元主義」と「非差別」が第2文に新規に付加されたことが明らかとな る。とはいえ,より重要な変更点は,第1文に「平等」の表現が挿入されたこと,すなわち,

それが価値として明記されたことであろう。「平等」は,同理事会が開催される直前まで第1 文では明記されないことになっていた。数名の諮問会議構成員がこの点に不満を表明したた

46

め,挿入を行なうことが急遽決定されたのである。しかしながら,すでにみたように,社会的 な関心事項を EUの価値においても重視すべきという意見は,弱くはなかった。蠢−2条本文 の変更は,諮問会議のこのような趨勢によるものであった。

4IGCによる条文の変更

蠢−2条について2003年のIGCは,概ね賛意を表しながらも,さらに次の2点を変更するこ

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ととなった。第1は,価値として明記されている「人権の尊重」に「少数者に属する人々の権 利」が含まれたことである。このような変更は,少数者の権利を尊重するよう EU,その加盟 国および近隣諸国にしばしば求めてきた,ハンガリーの発案によるものであった。第1次大戦 を経て同国の地理的範囲は縮小した。それは同時に,スロバキア,ウクライナ,ルーマニアお よびセルビア等の近隣諸国ないし地域に推定で約350万人のハンガリー系少数者を生んだので ある。したがってハンガリーには,国外にいる同胞の権利をEUの枠組みにおいて確認させる 必要があった。同国政府によれば,蠢−2条に関する発案は,従前の少数者問題を「論理的か つ野心的に解決する」ための「新たなステップ」として位置づけられたのであ

47

る。

このような発案を支持した政府にはイタリア,オーストリア,フィンランドおよびスロベニ アがあった。反対の立場を明らかにしたのはスロバキアであり,フランス,スペインおよびラ トビア等も発案には賛成しなかっ

48

た。そのため03年11月下旬にナポリで実施された「コンク ラーベ」と呼ばれる閣僚級協議において,両者間の妥協が図られることになった。尊重される のは最終的に,集団の権利として解釈されうる「少数者の権利」ではなく,「少数者に属

!

!

!

!

!

の権利」となったのであ

49

る。

第2の変更は,第2文に「男女平等」の表現を挿入したことである。男女平等を価値として 位置づけるべきであるという主張は,上述のように,諮問会議においてすでにみられていた。

IGC においてはとくにスウェーデンが,率先してこの点を取り上げたのであ

50

る。結果的に は,価値を記載する第1文ではなく,第2文に当該表現を挿入することで決着した。もっと も,男女平等の原則は,これまでEC/EUが長年にわたり重視してきたものである。したがっ てこの変更は,そうした事実を追認するものにすぎない。とはいえ,各種の女性団体や欧州議 会は,価値に言及する第1文への挿入ではなかったことに不満を表明することとなっ

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た。

IGCにおいては以上の変更があったものの,キリスト教が明記されることはやはりなかっ た。議長国をつとめたイタリアは,「キリスト教の遺産は,多数の加盟国代表にとって重要な 争点である」と述べ,コンクラーベにおいて協議すべきであると主張し

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た。けれども具体的な 成果を得ることはなかったのである。

お わ り に

欧州憲法条約の蠢−2条は,以上の過程を経て導入された。諮問会議の草案に対して2003年 のIGCは,若干の変更を加えるにとどまった。その意味では,諮問会議において検討された 結果が条文に色濃く反映されたといえる。会議の運営を支えた幹部会も,多数の会議構成員と 円滑に対話を進めることができたようである。「平等」が価値として明記されたことは,社会 的欧州という気運の高まりに対して幹部会が柔軟に反応した証左でもあろう。

キリスト教が明記されなかったことについては,現段階では致し方がないように思われる。

(12)

この争点は,各国の憲法,政治文化およびアイデンティティーの根幹に関わるものである。そ れゆえ,すべての加盟国が明記に同意することは想像しがたいのである。しかしそれにもかか わらず,明記に向けた要請は,今後も断続的ながらもなされることになろう。EPPのリベイ ロ・エ・カストロ欧州議会議員(ポルトガル)らは,04年10月の憲法条約の署名に先立ち,

キリスト教の遺産に言及するよう加盟国首脳らに再度求めている。カストロ議員らの要求に は,欧州の23カ国から130万人を超える人々が賛同し,50以上の非政府組織(NGOs)の支 援があったとされ

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る。このような要求が無視されることは,氏によれば,「キリスト教信仰に 対する,寛容の名の下における不寛容」なのであ

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る。

EUの価値は,「多様性のうちに団結」することが期待されるEUの正当性を高める叡智と なりうる。とはいえ,同条をめぐる活発な論争は,これらの価値を尊重しておけばよしとする 次元を超えうることを暗示してもいる。というのも第1に,上述のようにEUには,価値に違 反した加盟国に制裁を科す権限が与えられてい

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る。ゆえに各国は今後,価値を遵守しているの か否かをEU諸機関によりいっそう密接に監視されることになると予測できるのである。第2 には,憲法条約の蠢−1条2項と蠢−58条1項が,「(EUは,)その価値を尊重し,かつともに推 進することを約するすべての欧州諸国に開かれている」と述べている。また,蠢−57条1項に よるとEUは,「(その)価値を基礎とし,かつ協力による密接で平和的な関係を特徴とする…

近隣諸国との特別の関係を発展させる」と記されている。このような点を鑑みれば,蠢−2条 に列挙された価値そのものが,新規加盟を承認し,あるいは近隣諸国との関係を構築するうえ での判断材料となりうるのである。

このような理由から,EUの価値は,象徴的な意味のみならず,政治的な影響力さえ内包す るものとみるべきである。そのためにも,価値の内容をより明確にする努力が求められるであ ろう。

1 仏語版と英語版の原文は,それぞれ次の通りである(Journal officiel de l’Union européenne, C 310, 16 décembre 2004 ; Official Journal of the European Union, C 310, 16 December 2004より)。 L’Union est fondée sur les valeurs de respect de la dignité humaine, de liberté, de démocratie, d’égalité, de l’État de droit, ainsi que de respect de droits de l’homme, y compris des droits des personnes appartenant à de mi- norités. Ces valeurs sont communes aux États membres dans une société caractérisée par le pluralisme, la non-discrimination, la tolérance, la justice, la solidarité et l’égalité entre les femmes et hommes. The Un- ion is founded on the values of respect for human dignity, freedom, liberty, democracy, equality, the rule of law and respect for human rights, including the rights of persons belonging to minorities. These values are common to the Member States in a society in which pluralism, non-discrimination, tolerance, justice, solidarity and equality between women and men prevail.

2 蠢−4条以下は,「基本的自由と非差別」(蠢−4条),「EU・加盟国間関係」(蠢−5条),「EU法」(蠢−6 条),「法人格」(蠢−7条)および「EUの象徴」(蠢−8条)の表題となっている。

3 EU条約6条1項。

4 構成は次の通りであった。議長(1名),副議長(2名),加盟国政府の首脳代理(各1名,計15 名),加盟国議会の代表(各2名,計30名),欧州議会の代表(16名),欧州委員会の代表(2

(13)

名),加盟候補国政府の首脳代理(各1名,計13名)および議会代表(各2名,計26名)。総計で 105名である。彼ら各人には1名の代替要員がつく。

なお,2001年12月のラーケン欧州理事会での取り決めにより,加盟候補国からの構成員は,諮 問会議において合意が形成される際に反対を表明することができないものとされた(European Coun- cil meeting in Laeken, Presidency Concluisions, 14 and 15 December, Annex蠢)。会議にはオブザー バーとして,6名の地域委員会委員,3名の経済社会委員会委員,3名の欧州の社会的パートナー およびEUオンブズマンが出席した。

5 詳細は,田中俊郎「欧州憲法条約草案採択への道」『海外事情』2003年10月,2−12頁参照。

6 Michael Meehan,(Un)Charted Waters : The Legal Background to Fundamental Rights Protection in the EU, Kim Feus(ed.)An EU Charter of Fundamental Rights, Text and commentaries, Federal Trust, 2000, p. 88.

7 以上の経緯は,Christian Duparc,The European Community and human rights,Commission of the Euro- pean Communities, October 1992, Annexにおいて簡潔にまとめられている。

Ibid.より近年に表明された宣言は,欧州議会や欧州委員会が作成する人権に関する年次報告等に 掲載されている。あわせて参考されたい。

9 O. J. No. C 77, 19 March 1984.

10 EU設立条約草案4条1項。

11 同2項。

12 同3項。

13 同4項および44条。

14 See, Duparc,op. cit., pp. 14−18.

15 この点については,次の文献が詳しい。中西優美子「欧州憲法条約草案におけるEU基本権憲章」

『海外事情』2003年10月,38−52頁,Fabienne Turpin, L’intégration de la Charte des droits fondamen- taux dans la Constitution européenne, RTD eur.39(4),octobre-décembre, 2003, pp. 615−636.

16 Agence Europe,no. 8177, 22 March 2002.

17 CONV 14/02, p. 3.

18 Agence Europe,no. 8219, 28 May 2002.

19 本会議は通常,2日間にわたる開催であった。2003年1月までは月1回,同年2月以降はほぼ2回 の頻度であった。

20 CONV 167/02, point 54, 55 and 59.同日の会議には,文化団体のほか「社会」,「環境」,「大学とシン クタンク」,「市民と研究機関」,「地域および地方組織」,「人権」ならびに「開発」に関する各種団 体が招かれた。

21 CONV 264/02, p. 2. see also,Agence Europe,no. 8300, 19 September 2002.

22 CONV 338/02, p. 2.

23 CONV 369/02, p. 8. see also,Agence Europe,no. 8329, 29 October 2002.

24 Agence Europe,no. 8369, 31 December 2002.

25 Agence Europe,no. 8375, 10 January 2003.頭文字のATDは,「あらゆる苦難にある人々への援助」

(Aide à Toute Détresse)を意味するものである。see,http : //www.atd−quartmonde.asso.fr/.

26 残りの10部会は,次の通りである。「補完性原理に関する第1部会」,「EU基本権憲章と欧州人権 条約に関する第2部会」,「法人格に関する第3部会」,「国家議会に関する第4部会」,「補充的権能 に関する第5部会」,「経済統治に関する第6部会」,「対外的行為に関する第7部会」,「防衛に関す る第8部会」,「簡素化に関する第9部会」および「自由,安全および公正に関する第10部会」。諮 問会議の公式ウェブサイト(http : //european−convention.eu.int)内の proceedings を参照。

27 CONV 516/03, pp. 5−8.

28 Agence Europe,no. 6823, 2 October 1996.

29 The Constitution of the Republic of Poland of 2nd April 1997, published inDziennik UstawNo. 78, item 483.ポーランド議会のウェブサイト(http : //www.sejm.gov.pl)より。訳は英語版による。

30 より遡れば,ローマ教皇のヨハネ・パウロ二世は,1988年10月の欧州議会の会合において次のよ うに説いている。「キリスト教が築いてきた基盤が軽視される社会においては,欧州の遺産ばかり か人間さえ輝きを失ないかねません…キリスト教徒であれ,あるいはそうでない者であれ,欧州に

(14)

あるすべての者の信用が失墜しかねないことになりましょう」。 Discours du Pape Jean Paul蠡 au Parlement Européen, www.cef.fr/catho/endit/europe/index.php.引用文は,C.テラス,吉田徹訳「欧州 カトリック勢力のロビー活動」『ルモンド・ディプロマティーク』2004年1月号を参考にした。

31 Agence Europe,no. 8353, 4 December 2002.

32 CONV 480/03, p. 2.

33 Ibid., p. 1.

34 『世界教会情報』2003年7月7日号(電子版)。 35 CONV 528/03.

36 Ibid., p. 2.

37 Ibid., pp. 11−12. see also, Agence Europe, no. 8395, 7 February 2003.

38 諮問会議サイトの Proposed amendments to the text to the articles of the Treaty establishing a Constitu- tion for Europe 内の Article 2 : The Union’s values (http : //european−convention.eu.int/amendments.

asp?content=2&lang=EN)より。

39 CONV 574/1/03, REV 1, pp. 17−23, esp., pp. 17−18.

40 CONV 601/03, p. 4.

41 CONV 674/03, p. 5.

42 Agence Europe,no. 8411, 1 March 2003.

43 この点を指摘したものとして,Peter Norman,The Accidental Constitution : The Story of the European Convention, EuroComment, 2003, pp. 83−84参照。議長の辞については, DISCOURS INTRODUCTIF DU PRESIDENT V. GISCARD d’ESTANG A LA CONVENTION SUR L’AVENIR DE L’EUROPE,26

février 2002として諮問会議のサイトより入手可能である。

44 条文番号は条約署名時の文書にしたがっており,条約草案のそれとは必ずしも一致しない。

45 合意が得られなかったことについての批判的な考察は,坂本進『ヨーロッパ統合とキリスト教』新 評論,2004年を参照されたい。

46 CONV 798/03, p. 1.

47 BBC News,world edition(http : //news.co.uk),23 June 2003.see also, Jackie Gower,The Charter of Fun- damental Rights and EU Enlargement : Consolidating Democracy or Imposing New Hurdles?, in Feus, op. cit.,pp. 232−234,Agence Europe,no. 8570, 23 October 2003.

48 Hungary seeks to enshrine minority rights, Financial Times,30 October 2003, Hungarian minister re- ports on lobbying for EU minority clause, Financial Times,18 November 2003.

49 傍点筆者。See,Agence Europe,no. 8593, 27 November 2003.

50 European Report,no. 2824, 29 November 2003.

51 CIG 64/04, p. 2, point 5,Agence Europe,no. 8603, 11 December 2003.

52 CIG 52/1/03 REV 1, p. 3.

53 EPPウェブサイトwww.epp−ed.orgのpress( Constitution européenne-les MdPE font une nouvelle proposition sur la référence à l’héritage chrétien. )より。2004年11月アクセス。

54 Ibid.

55 この権限は,憲法条約では蠢−59条において規定されている。

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