博 士 ( 薬 学 )野 々 村 正 彦
学 位 論 文 題 名
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ア イ ー ル ス ー ア ル ダ ー 反 応 を 用 い る
双 環 糖 ア デ ノ シ ン 誘 導 体 の合 成 研 究
学 位 論 文 内 容 の要 旨
cAMPは細 胞I勺 セカンドメ ッセンジャ ーであり、 細胞外の情 繖を細胞内 に伝達し、iFlII胞LL:答 をり1き´睦こす 。一ガ、cAMPはその役 割を終える と甫ちにホ スホジエス テラ―ゼ(PDE) によっ
て5 ̄‑AMPヘ カu水 分 解 さ れ 、 イ く 活 性 化 さ れ る 。 従 っ てPDEを 特 災 的 に | ニl【 ッfす る こ と が で き れ ば 、 cAMPを介す る様々な薬 理作用が期 待できる。
jtfIこ、 オクトシル 駿、グリゼ オール酸等 のPDEI;IL警作川 を行するヌ クレオシド アナログが 人
然 よjJiit離 さ れ て い る 。 こ れ ら は 通 常 の ヌ ク レ オ シ ド 糖 部 に 第 | : : の 環 が 縮 合 し 、 そ の 環I| に カ ルボキシル 艇をかして いる。これ らはその骨 格構造からcAMPの炭索 アナログで あり、第: |の
環I| に什イl:するカ ルボキシル 艇の負電何 がcAMPリン 酸占15に嗣J当す ると孝えら れている。 グリ
ゼ オ ー ル 駿 に 関 し て は 紲 轟15の 化 学 修 飾 が 艦 ん に 行 わ れ 、 そ のPDElニIlil:.tcTi性 発 脱 に は2つ の カ ル ボ キ シ ルJ|k、 特 に7. .f¢ カ ル ボ キ シ ル 魑 が 必 須 で あ る こ と が 川 ら か に さ れ た 。 こ の 丿I児 を 腆 に 拷 杆 は 祈ilPDEIニIl;I; 卉l亅 と し て 双 環 糖 ア デ ノ シ ン で あ る(3S,4S.6R,7R, 8S)‑3,4‐dicarboxy‑7 hydroxy‑
8‑(adenin‑9‑yl)‑9−oxabicyclo[4.3.Ol‑nona‑l‑ene(1) と(3R,4S,6R,7R,8S)‑3,4‑dicarboxy‑7‑(hydroxy)‑
お ‐ ( adenin‑9‑yl)‑9‑oxabicyclo[4.3.O]‑nona‑I‑ene(2) を 設 計 し た 。 こ れ ら は2つ の カ ル ボ キ シ ル 魅 が
| .1川 芟 の 少 な い シ ク ロ ヘ キ セ ン 環 一I: にvicinalのiM換 様 式 で 行 カ : す る た め 、 そ のa‑tv:cル サ 体 配fル に 伏 什 し て 窄ifH的 に | 間 定 さ れ る 。 従 っ て 、2つ の カ ル ボ キ シ ル 旗 の 様 々 な 立 体 配mを イ 亅Iす る | 誘 i4f本 を合成する ことで、PDEとの 結合に好適 な化合物を 見いだせる ものと推定 した。さら に、
cAMPはPDEとキ11fr.作用す る際、グリ コシル結合ll!Iりの配廖が アンチJ弛を取っ ていると推 定さ
札 て い る こ と か ら 、1、2を ア ン チ 配J盤 にIS定 し たS. シ ク ロ 睡IJ 化 合 物(3S,4S,6R、7S,8S)‑3,4. dicarboxy‑7、毬. ‑epithio‑8―(adenin.9‐yl)‐9−oxabicyclo[4.3.0].nona.1.ene(3)と(3尺,4S.6尺,7S、&S)‐3,4. dicarboxy−7,8 ‐epimio‐8. (adenin―9−yl)ー9‐oxabicyclo[4.3.0]‐nona‐1―ene(4)はさらに鹸丿丿なPDElニI【IIffITl
´rltが!gJf薯できる と考え、合 わせて合成 することに した。
こ札ち檪 的化合物(I‐4)はcAMP類以の構 造をかする 。従って、4S、6Rのザ 体配離のも の をj選 丗!的に合 成しなけれ ばならない 。培者は双 環糖占15を アデノシンIII宋 のジエンを 川いる DicIs‐AIder反J心によりー ー挙に僻築 することに した。
Diels‐Alder反Lじ を 行 う 際 、3つ の ザ 体 選 択 ´rE、 即 ち 、 位m選 択 ´rト 、endo/exoj盤 宙 く ´ 陀 及 びlm盤 由 く
´ 「ltが | 川 迎 と な る が 、 特 に こ の 系 で は 、 面 選 択 ´ 陀 を 解 決 す る こ と が 爪 要 と 号 え ら れ 、 ジ エ ン 体 に ょ 丶 亅 し て 圸 賂 占15と 間 じ 側 をp‐ 面 、 逆 面 を 僻 而 と す る と 、 ジ エ ノ フ イ ル の 付 カuを 恥 川 か ら 遊 オrさ せ ることがで きれば‖的 とする飴付 加体が得ら れる。機ジ エンのDielやAIder反J.むについ ては多く
―559−.
の 、 楸f Iiが あ る が 、 そ のIm選 択 ´rl: は ジ エ ン の 蝮 体 障 僻 に 依 存 す る こ と が 角1ら れ て い る 。 ヌ ク レ オ シ ド+7fhBで のDiels‑ Alder反J. じ は 微 : |f例 が な い が 、 近';I:Diels‑Alder反J. む の サ 体 刪 御 に1刈 する イJ.HJ な'朗1| ↓ が 輙 々 撒ftfさ れ て お り 、ixLじ 粂 捫 : を 検 、J. する こ と で 軒 杆 の 系 に お い ても ヽ . ′ . 体j盥 ガ く ´vlの川
:I堂 を 斛 決 す る こ と が で き る も の と ち . え た 。 喫 み のDiel.s‑Alderf、J. カu体 (a‑endoft<) がi譽 ら れ れ ば 、 3f、 ・ ′ . カル ボキ シルJ| 嬉の舛 ´t/l三 イヒに より 純々 の, ザ体配iけ をヵ .す るI・l的の 以環 ´rlミ アデノ シンIJ譫j津体 に 変換 でき るもの と考 えた 。
ま ず 、N'‑benzoyl‑2',3.‑O‑isopropylideneadenosineよ り 導 い た ( び ,3R)‑2‑( Af ‑benzoyl‑ adenine‑9‑yl) ‐ 3‑t rerr‐butyldimethylsililoxy)‑4‑[ ( E)‑2‑methoxylcarbonyl]‑2,3ーdihydrofuran(5)を ジ エ ン と し て 川 い 、
|¢ 水マ レイン 駿と トル エン 中で2IIS問加 熱還 流した 結果 、5は一 般に 知られ てい る糖 ジエ ンの 場合 ほど 反応´ 陀が 高く ない ことが わか った ので、100当景 のジエ ノフ イル をJHい て加 熱粂 件r
で のDiels‑Alder/iJ. ビ を 検I汁 し た 。 ジ エ ノ フ イ ル と し て は 、 無 水 マ レ イ ン 酸 、N‑エ チ ル マ レ イ ミ ド 、 マ レ イ ン 駿 ジ エ チ ル 、 フ マ ル 酸 ジ エ チ ル 及 び ア ク1Jル 隈 メ チ ル を 川 い て そ れ ら の¥c.f4¥JklR
´ 「f: を 検I; 丶 亅 し た 。 そ の う ち 、 標 的 化 合 物 を 得 る の に 必 蛍 な ア ク1Jル 駿 メ チ ル と のbcLじ 、 で は 、79c7c の 環 化f丶 亅 .)JU体 を 得 る こ と が で き た 。 得 ら れ た 環 化f、J. 加 体 は4純 の:/{1l‑,lvli体 混 合 物 ( a‑endo、a‑
exo、pーendo、(3‑exotb) で あ る あ る こ と が わ か り た 。 ザtt<hVjrLjはNOESYス ベ ク ト ル に よ り 決 定 した 。ル イス駿 イf 41iド では 反Lじが 進行し なか った 。
)u熟 粂f l: ト . で はDiels‑AlderbC応 産 物 の 生 成 は 確 認 さ れ た も の の 、exo体 の 生 成 が 篇 し く 選 択 的 にa‑endo仆 をf讐 る こ と が で き な か っ た 。 こ れ ら を 抑 え る こ と をj別 待 し て 、 妓 近DielsーAlderliJ. じ にお いて‖艾゛辛t、j聾宙く´rにのIiiJI|にイJ 効であることが.m;ffされている超I| jJl:J`.での反応を検I;丶亅.した。
DMSOiIJ5と ア ク リ ル 駿 メ チ ル と の 反 応 を 室 温 ト 、l.l万 久J亅 : で オrう と91砺 の |1.5llx;キ 三 で 環化f丶 亅 .)u 体 がf嘗 ら れ た 。 ま た 、 得 ら れ た 環 化 付hU体 はendo'tの み で あ り 、a‑endo体 (6) とp‑endo体 が1対 1の 比 で ′lt成 し 、ifiij翌 択 性 は な い も の の90c/c以1| のltち 収 率 でIJl的 と す る 環 化f丶 亅 . カu体 をf廿 る こ と がで きた 。
こ の よ う にf讐 たDiels‑AlderlX),Lのa‑endo体 (6) に つ い て 、 そ の3av:の 舛 ´ 陀 化 を 検1汁 し た 。 さ ら
: こ 、 (2S. 3R)‑2‑( adenine‑9‑yl)‑3‐ ( terr‑ butyldimethylsililoxy)‑4‑[ ( E)‑2‑ methoxylcarbonyl]‑2,3− dihydrofuran(7) のDiels‑Alder)iじ 丶 に よ っ て 得 たQ‐endo体 (8) を ヵu水 分 解 し 、ll的 と す る1、2 をf| | た 。 ま た 、8とIld‖ 暑 に ′ft成 し た 降endo体 (9) も む ロ 水 分 解 し 、 、r体 配iル の 興 な る 从 環 機 ア デ ノシ ン10、llをf斗た 。| 川様 の于 法を用 いてS→ シク ロ倒 化合物3、4の 合成 もォfり た。
竝 後 に 、 合 成 し た 以 環 糖 ア デ ノ シ ン (1、2、3、4、10、ll) のPDEla| | 峰 活 ´ 阯 を 検1汁 し た が 、 戝 念 な が ら !W侍 し たi轟 ´ 陀 を か す る も の を 兒 い だ す こ と は で き な か っ た 。 し か し 、 こ れ ら は グ リ ゼ オ ー ル 職 の 粍lf轟15誘 導 体 と し て 現 花 知 ら れ て い る 化 合 物 と は 竹 脩 の 舛 な る シ ク ロ ヘ キ セ ンI涛j卑 体で あり 、グリ ゼオ ール 職の 合成展 開に ・nを投 じる ことが でき たと 考えて いる 。
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学位論文審査の要旨 主 査 教授 松田 彰 副査 教授 橋木俊一子 副査 助教授 周東 夫 副 査 講師 中島 誠
学 位 論 文 題 名
― 一 ゛
ア イ ー ル ス ー ア ル ダ ー 反 応 を 用 い る
双環糖アデノシン誘導体の合成研究
cAMP
は 細 胞 内セ カ ン ドメッセン シャーで あり、細 胞外の情 報を細胞 内に 伝 達し 、 細 胞応 答 を 引き起 こす。一 方、cAMPはそ の役割を 終えると 直ちに ホス ホジエステ ラーゼ(PDE
)によっ て5 ‑AMP
ヘ加水分解され、不活性化さ れ るっ 従 っ てPDE
を 特 異的 に 阻害 す る こと が でき れ ば、cAMP
を介する 様々 な薬 理作用が期 待できる 。申請者 は上記の 考えのも とに新規PDE
阻害剤とし て 分子 中 にcAMP
のり ン 酸の負電 荷に対応 するカル ボキシル 基を持つ 双環糖 アデ ノシン誘導 体を分子 設計しア デノシンを出発原料としディ―ルス‐アル ダ一反応を用いて効率的な合成法を確立した。1
)糖部にシエン構造を持つZZZシン誘導体の合成分子 設計した化 合物を効 率良く合 成するには糖部にジエン構造を持つアデ ノシ ン誘導体を 合成し、 それに対 してデイ―ルス・アルダ一反応を行えば良 いと 考えられた 。この際 、目的と する化合物を得るにはジエノフィルが糖部 ジェ ンのQ‐面から環化付加しなければならない。糖ジエンに対するデイール ス. アルダ一反 応は数多 く知られ ており、その選択性についても保護基の立 体障 害で理解で きる場合 が多いが 、ヌクレオシド糖部での反応は報告例がな
〈、 まず基礎的 な検討か ら始める 必要があった。そこで、アデノシンの糖部 を適当に保護した後、5 ・水酸基を酸化し
merhoxycarbonylmethylenetriphenylphospho‑ rane
を作用させ、さらに塩基で処理 し目 的としたジ エン体(1
)を合成 した。さ らに、デ ィ―ルス ‐アルダー反 応の面選択性を検討するために8,2
.‑S‑シク口アデノシンから同様の条件下で 糖部ジエン体(2)も合成した。2
)ジエ ン体に対 する種々の ジエノフ イルの熟 的条件下での反応ジ エン 体 (
1
) に対し無 水マレイ ン酸、N− エチルマ レイミド 、マレイ ン 酸 ジエチル 、フマル 酸ジエチ ル及びアクリル酸メチルを用いトルェン中で加 熱 し、それ らの反応 の立体選 択性を検討した。無水マレイン酸との反応では 望 みとするoc‑endo
体のみ得られたが、N‑エチルマレイミドの場合はp‑endo体 とp
−exo体の混 合物が得 られた。 マレイン酸ジエチルの場合は環化付加体は 得 ちれず、フマル酸ジエチルとの反応では環化付加体が得られるもののD
‐付 加 体のみで あった。 一方、標 的化合物を得るのに必要なアクリル酸メチルと の反応では、環化付加体は得られたが4種の異性体の混合物(oc‑endo、a‑exo、3‑endo
、p‑exo
体)であ るあるこ とがわかった。しかし、ジエン体(2)との 反 応では予 想どうりendo
体のみが 生成したが面選択性は見られなかった。こ の ように熟 的条件下 での反応 では生成物の熱力学的不安定さからレトロデイ― ルス‐ア ルダ―反 応が起こ り混合物や望みとしない立体化学を持つ化合物 を与えることが明らかになった。
3
) ジ エ ン 体 に 対 す る 種 々 の ジ エ ノZ
! ! ヒ の 超 高 圧 下 で の 反 応加熱条件 下では環 化反応産 物の生成 は確認さ れたもの の、exo体の生成が 著し く 選 択的 に
a‑endo
体を 得ることが できなか った。そ こで、最 近、デイ―ルス‐ アルダ一 反応で収 率、選択性の向上に有効であることが報告されて いる 超 高 圧下 で の 反応 を 検討 し た 。
DMSO
中 ジ エン1と ァクリル 酸メチル と の反応を室温下、1.1万気圧で行うと91%の高収率で環化付加体が得られた。また、得 られた環 化付加体 は
endo
体のみであり、a‑endo体とp‑endo体が1対1 の比で生成し、面選択性はないものの90c/o以上の高収率で目的とする環化付 加体を得 ることが できた。 一方、同 様の条件 下、ジエ ン2を用いた場合には 目的とす るoc‑endo
体のみ が選択的 に得られ た。4
)保護基 の除去と6
.・位の 立体化学 の反転3
で 述ぺた方 法により合成したa
―endo体について、6 ・位の異性化および 脱 保護を検 討し、当 初予定し たすべて の化合物 をNa塩として単離精製した。これらについてイヌ気管から精製したIII型PDEに対する阻害冶陸を検討した。
一 部の化 合物につ いて
10 UM
の濃 度で活性 が認めら れたが対照 薬に比ベ 強い ものではなかった。以 上の よ う に本 研 究で は ヌ クレオシ ド糖部ジ エン体を合 成しデイ ―ルス
・ アルダー 反応の選 択性を熟 的条件下 、超高圧 条件下で検討し、環化付加体 の 選択性 について 明らかに した。今 回合成し た化合物に