教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習
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(2) 北海道教育人学紀要(教育科学編)第55巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.55,No.2. 平成17年2月 February,2005. 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. 高 畑 庄 蔵 北海道教育人学札幌校障害児教育学研究室. Ⅰ はじめに ノーマライゼーションの思潮の中で,発達障害のある生徒の就業を通した社会参加は確実に進みつつある.. 我が国の場合では,既に社会参加を目指したものとして,領域・教科を併せた指導である生活単元学習,作 業学習等において行っている教育や進路指導として設定された活動の中で移行サービスが教育活動に取り入 れられている(松夫6)).移行サービスとは,学校における活動から卒業後の諸活動へ生徒の移行を促進す るために,生徒のために計画された一連の活動を関係機関・専門職員等が連携しながら実施することである. (松夫6)).また近年,個別移行支援計画(全国特殊学校長会24))の策定が制度化されようとしている.知 的障害養護学校では,スムーズな移行実現のために現場実習や就業体験(以下,職場実習と称す)を通して 実際場面での指導が行われてきた.しかしながら,実際のところは特定の指導者の経験と努力に依存するこ とが多く,また教師による巡回指導が中心で,実際の指導は事業所側にまかされてきたことが多いものと考 えられる(高畑・武蔵20)). 尾崎11)は,高等部卒業生の就職率が1986年の34.6%を境に1991年には40.7%まで回復したが,不況が継 続すれば1993年以降は就職率が減少すると予測していた.文部省(1999)の調査では,就職率が34.4%とかな り減少している.尾崎11)が就職率は経済の動向にも左右されると指摘する通り,現在の不況ではますます の減少が懸念される.なかでも自閉症者を耽り巻く状況はさらに厳しく,概ね20%の就職率といわれている (′ト塩・東條・寺山・武居14);上岡21)). このような厳しい現状について,対応可能な方略として次の二つの適用が考えられる.第1は,既にアメ リカ合衆国では「職業リハビリテーション法」によって認められた援助付雇用(Suppored Employment) におけるジョブコーチ的アプローチである.それは,健常者と統合された労働環境において訓練されるのが 特徴であり,ITP(個別移行計画)に基づいて実施される.2000年7月から我が国においてもジョブコー チ試行制度事業が始まり,障害者雇用支援センター・地域就労援助センターなどで行われる援助は,従来の 職業リハビリテーションに比べ,かなりジョブコーチによる援助に近いものとなっている(梅永22)).また 近年,知的障害のある人の就労支援において,教員等が実際の職場で指導・支援を行うジョブコーチとして の役割を果たすことが求められている(小川・志賀・梅永・藤村12)).第2は,高畑・武蔵19)が提唱する生 活技能支援ツール(以下,支援ツール)の活用である.発達障害児者が自主的自発的な活動を誘発する「千 がかりツール」と,発達障害児者の主体的な活動を動機づけ維持するための「交換記録ツール」で構成され ている.日常場面での適応行動の自発と維持のためには,発達障害児者が所属する社会環境内での支援者と の関係を分析した上で,標的行動・強化事態を発達障害児者とその保護者が共有すること,標的行動の実行 結果を記録・累積すること,発達障害児者自身の実行可能性を高めることの3つを基本的な方略としている. 例えば高畑・武蔵・安達18),高畑・武蔵19)は,支援ツールを学校の指導の中で用いて,家庭に提供するこ とにより,運動やお手伝いが家庭で長期にわたり維持されることを実証した.また高畑・武蔵20)は中度知. 93.
(3) 高 畑 庄 蔵 Tablel 対象生徒・事業所の概要 対象生徒. A男. B男. C男. D女. E男. F女. 1. 2. 3. 3. 3. 3. 性 別. 男. 男. 男. 女. 男. 女. m巾・ビネー. 70. 31. 47. 72. 47. 46. 事業所. A社. B社. C社. D社. リネン. 流通. 食品販売. 学 年. 業 種. 衣料品製造. 主な業務内容. 食品製造. 値札付け、商 おむったたみ 食品トレイの バックヤード S立て、容器の沈音争等 品の梱包・道 j般等. 道搬等. での食品袋づ. め等. 的障害のある生徒を対象にして,職場実習での支援ツールによる就労支援プログラムの有効性を報告してい る.. 以上のようなジョブコーチ的アプローチと支援ツールを養護学校の職場実習において教員が組織的に実行 することは,発達障害のある生徒の学校から職場への移行サービスや就労支援の在り方について新しい知見 を示すものとして検討に催すると考えられる.. 本研究の目的は,T養護学校高等部において,2000年度から教員によるジョブコーチ的アプローチ(以下, 教員ジョブコー. チと称する)と,支援ツールを導入した知的障害養護学校での職場実習で組織的に行った実. 践の概要を示すとともに,対象生徒,保護者,事業所へのアンケート調査を行い,その妥当性を報告・検討 するものである.. Ⅰ 方. 法. 1.教員ジョブコーチと支援ツールによる実習の概要 1)対象生徒・事業所の概要 丁養護学校高等部に在席し一般企業に就労希望の知的障害生徒6名,教員 ジョブコーチを承諾した5社であった(Tablel).. 2)指導・支援体制 実習は,春季と秋季の年2回,高3については冬季に卒業直前実習を1回実施した. 原則として高2は2週間校外で,高3は3週間校外で実習した.高1は校外での実習を目指して校内実習を 行った.2000年度は5名の高等部教員がジョブコーチとして実際の現場で指導・支援を展開した.生徒の自 立的な業務遂行等に従って実地指導時問を計画的に減らし,フォローアップに移行した.フォローアップに 移行できた教員ジョブコーチは,新たな生徒への援助を実施した(Fig.1).教員ジョブコーチ1名あたり, 1名から2名の生徒を受け持つこととした. 3)教員ジョブコーチの役割 ①目的:支援ツールを活用して自立的な業務遂行を実現すること,同僚か. らの「自発的ナチュラルサポート」(小川13))を引き出すこと,管理者と具体的な約束やルール等の取り決 めを行う「計画的なナチュラルサポート」(小川13))を行うこととした.なお,計画的なナチュラルサポー トについては,進路担当が主に実施した.②調査:実習前に進路担当と教員ジョブコーチ,対象生徒が事業 所を訪問し,職場環境を調査し業務内容を協議した.⑨業務遂行:対象生徒が自立的に業務遂行を可能とす るために,事業所の監督・指導者と協議の上,Table 2に示す支援ツールを作成・導入した.④休憩時問 等:対象生徒の好きな活動を同僚に情報提供すること,例えば,学校で実施している支援ツール「お昼のマ ナーチェック」を同僚に協力を依頼すること等,同僚との関わりのきっかけ作りを積極的に行った.. 94.
(4) 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. Table 2 事業所に導入した支援ツール及び教員ジョブコーチ 対象生徒. A男. 事業所. A社. B男. C男. B社. D女. C社. E男. D社. 導入した. ・会社で使用 ・タイマー ・自己紹介用 ・お昼のマ ・カウンター ・カウンター. 支援ツール. している業務・カウンター 名刺カード ナーチェック ・お仕事、帰. 担当した. 用のチェック ・10円チェッ. ・袋詰できる り道チェック. リスト. クファイル他. よ表他. 表. A教員. B教員. D教員. EF教員. A教員. F女. EF社. 数員ジョブコーチ. 4)教員ジョブコーチヘの研修 ①テキスト:「重度障害者の就労支援のためのジョブコーチ実践マニュ アル」(小川・志賀・梅永・藤村12))を購入し,テキストとして活用した.またFig.2に示すような参考資 料を作成した.②時間:1時間程度の研修会を2回実施した.その後は,それぞれの教員ジョブコーチがテ キストをもとに研修し,不明な点については進路担当が解説した.⑨内容:第1に,リネン会社で支援ツー ルの活用に成功した事例(高畑21))を紹介し,具体的にどのように指導し,また同僚や管理者と関わっていっ たのか等を解説した.第2に,志賀16)が指摘する指導ポイントを解説した.課題分析を基本とした指導方 法は多くの職場で応用可能であること,可能な限り短時間にその手助けを減らすための段階的変化のノウハ ウとして,手助けの種類を変えること,手助けのタイミングを遅らせること,自立度に応じて距離をとって いくことを解説した.第3に,支援ツールを活用することによって自立度を高め,早く教員ジョブコーチか ら離れることが可能となることを解説した.④留意点:第1に,教員ジョブコーチが過剰に指導・訓練を行 えば行うほど,職場の管理者や同僚がその障害のある人と接する機会が失われる危険性があること (Butterworth,Whitney−Thomas,&Shawl);志賀16))を強調した.第2に,職場に現存する資源を活用・ 調整することを基本に,ジョブコーチは支援を計画する必要がある(志賀16))ことを強調した.第3に, 休息場面も含めて,対象生徒と職場の従業員との良好な関係を作り出すことを教員ジョブコーチの重要な職. 超膚. Fig.1T養護学校高等部の職場実習の指導・支援体制 ・校内担当4名,教員ジョブコーチ5名,進路指導主事1名で構成された. ・教員ジョブコーチは職場の従業員に指導が移行できるフェードアウトして巡回指導を実施する.. 95.
(5) 高 畑 庄 蔵. 務の一つであるとした.⑤現場によるスーパーバイズ:進路担当が各職場を巡回し,管理者,同僚,生徒, 教員ジョブコーチとの話し合いのもとに,作業遂行状況,支援ツールの改良,課題の調整等のジョブコーチ 的アプローチを行った.. 5)記録・連絡方法 ①小川・志賀・梅永・藤村12)を参考に,Fig.3に示す「教員ジョブコーチ記録フォー マット」を作成した.時系列に沿って作業の概要,支援ツール,課題,作業の様子を示す写真で構成された.. このフォーマットで記録されたものは,HTMLで作成することとし校内LANで誰もがいつでも閲覧でき るようにした.教員ジョブコーチはかなりの時間を学校外で活動している.そのため他の生徒の実習状況に ついて十分な検討時間をとることが困難であることから,校内LANの活用によってこの課題を克服しよう と試みた.②電子メール,携帯電話を活用した.校内LANによる教員ジョブコーチ記録に対するコメント は電子メールで,また実習先の教員ジョブコーチは携帯電話を所持し,すぐに問題に対応できるように整備 した.. 6)授産施設就労担当者との連携巡回 今後将来的に,卒業後に授産施設を経由しての就労を想定して, 就労担当者と共に職場巡回指導を行った.そこでは,生徒の作業の様子,活用している支援ツール,事業所 の管理者との面接を行った.1回の実習期間に1回から2回実施された. 7)保護者の校外実習参観 2000年度から新たに試みた参観方法であった.従来は自分の子どもの実習参 観のみであった.対象は高1から高3の保護者で,希望する実習先を進路担当者もしくは担当する教員ジョ チの役割,支援ツール. ブコーチと参観した.多様な事業所の存在と作業内容,作業の様子,教員ジョブコー の機能等の保護者への理解を目的とした.. 8)地域への広報活動 丁養護学校主催で夏季休業中に「ジョブコーチセミナー」を2000年度,2001年度 と実施した.T養護学校が考える教員ジョブコーチ的アプローチのプレゼンテーションや実践報告がなされ た.2001年度には,外部講師を県外から1名,県内から3名招碑した.参加者は,養護学校教員をはじめ, 保護者,親の会,障害者職業センター,施設職員等多岐に渡った.ジョブコーチヘの関心は高く,2000年度 は120名,2001年度は200名を越える参加者を得た.. 2.生徒,保護者,事業所へのアンケート. Table 3に示す調査項目(仕事への意欲,支援ツール,教員ジョブコーチ,今後への期待等)で職場実. 款貞ジヲブコーチの密封 l支援ツールを配置して、本人が安 定して仕事ができる物的・人的環境 整備を従業員との協議の上で行う。 l開始当初、生徒に最小限付き添っ て作業に必要な指導・援助を実地で 行う(べったりと付き添わない)。. l適切な休息時間の過ごし方等、周 辺的な職場生活まで支援する。 同僚による 自発的サポート. 助を魁、周囲の従業員からの旭 的かつ自発的な援助を得て、職場での自立をめざす。 Fig.2 教員ジョブコーチ研修会での配布資料 ・左の図は,学校の作業学習で使用する支援ツールを職場実習で活用する方法を示す. ・右の図は,教員ジョブコーチの基本的役割,留意点等を示す。. 96.
(6) 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. 習に関するアンケート用紙を作成した.職場実習終了後に,対象生徒(9項目)には3件法で,保護者(10 項目)には5件法と自由記述で,事業所(16項目)には3件法と複数選択式によりアンケートを作成し,面 接形式により実施した.対象生徒,保護者には,進路担当もしくは教員ジョブコーチが直接聞き取りを行い,. 事業所には進路担当と教員ジョブコーチが直接訪問して聞き取りを行い具体的な情報を得た.事業所へのア ンケート項目の作成については,高畑・武蔵(2002)で実践研究を行った事業所の管理者と協議し,受け入 れ例の事業所にとって必要と思われる項目を洗い出して作成した.. Ⅱ 結. 果. 1.実習の概要及び就労状況. 1)対象生徒:A男(田中ビネー知能検査70,2000年測定) ①実習先:A社からの要請で,高1から継 続してアパレル製造メーカーで実習した.A社の監督者が学校訪問した際に,A男を気に入ったようであっ た.特別に,1年生の秋季から実習することとなった.②主な業務:衣料品の値札付け,商品の梱包等.⑨ 支援ツール:会社で使用している業務用のチェックリスト.④実習の様子:仕事に関してはチェックリスト を利用しながら順調に行うことができ,A教員ジョブコーチの援助はほとんど必要なかった.指導は比較的 スムーズに現場監督者に移行することができた.ただし,昼休みに同僚と接することなく,一人でいること が指摘された.A教員ジョブコーチが「A男は将棋が得意です.」と同僚にアドバイスしたところ,一緒に 将棋をしてくれるようになった.⑤就労状況:. 「一人ではなく,友達と一緒に働きたい.」という希望をA. 男は持っていたが,A社に採用され就職した.. 2)対象生徒:B男(田中ビネー知能検査31,1999年測定)①実習先:高2からリネン会社(B社)で継 続的に実習した.②主な業務:おむったたみ.しかしながら,卒業間際の最後の実習で洗濯機操作が新たに 加えられた.⑨支援ツール:学校の作業学習で使用しているタイマー,カウンター,チェックリストが導入 された.④実習の様子:時々,作業場に流れているラジオの特定の音楽に反応して,走り回る行動が見られ たが,業務に支障はないと判断された.B教員ジョブコーチが本人が見えないところから作業状況を観察し た.ラジオの音楽でパニックになることがあった.その場合の対処法として,進路担当とB教員ジョブコー チ,監督者との話し合いで,側について支援ツールの使い方を直接指導することで落ち着いて作業に取り組 めるようになる事実を監督者に知ってもらい,パニックの対処法として監督者に伝えた.そのため,B教員 ジョブコ. ーチが直接指導はしないが,常時付き漆うことが必要であった.おむったたみでは,B社の要求水. 準を満たすことができるようになり,教員ジョブコーチから同僚へと援助を移行することができた.しかし ながら,卒業間際の実習で配置換えがあり,おむったたみに加えて洗濯機操作業務が追加され,新たな支援 ツールを導入して授産施設の就労担当者に引き継いだ.⑤就労状況:卒業後に授産施設から3週間の実習を 行ったが,B社の要求水準を満たすことができなかった.B社には採用されず,授産施設で働くこととなっ た.. 3)対象生徒:C男(田中ビネー知能検査47,1998年測定)①実習先:高2から継続して食品流通会社(C 社)で実習した.②主な業務:食品トレイの運搬,積み込み等.⑨支援ツール:自己紹介用写真付名刺カー ド.④実習の様子:仕事に関しては,単純な作業であり順調に行うことができ,A教員ジョブコーチの援助 はほとんど必要なかった.また同僚である外国人と同様の作業をするため,C男にとってよいモデルとなっ た.指導は比較的スムーズに現場監督者に移行することができた.ただし,無口なC男は,昼休みに同僚と 接することなく,一人でいることが多く見られた.そこで,担当のA教員ジョブコーチが支援ツール「自己 紹介用写真付名刺カード」を作成し,同僚一人一人に挨拶して回った.その結果,C男に声をかけてくれる. 97.
(7) 高 畑 庄 蔵. ■■ ■1・ ̄■■ ̄. ■口上l一月. ■ .■」■」h■■hi■..・t. 血. ヽ_t. ユ亡:,− 」..■・J J・■− こ「−Ⅰ:い・」■モ1■■rJl声卜」書 −1′■■ ■Lイ■■. コ叫:モ王.H=l・・・・■・n■■・れ■■.里1r=7・−欄l■【り・・t=√. ジョブコーーーー一千彙韓日認 事「 丁で1ワ1・⊂・目■手Il[ 阜FFl. 叩三■ち【■疇 l・†耳卜.. T−. 烹伸一F・三拝L■−・ト 咋舶Ilh. r町石■・1司椚明ユ. 丁†¶. 手ヒ. ・E町:・T・・佃千ロ F−†Tワユ −■■∵ユ∵ヨFT¶こ∴. ■:≒サ. ・・【−TT二・・一.j.・lこチエ・.・【_ヒ叩こ苫l 七■rl千丁■■芦._. 一桁 ・!小. 亡.・・椚:.TT「.■与.「・l・ごこ:;覆. 苫1・1・・√  ̄.占叩・.r・l下手■丁. ・ltf■■■ ■r■l■.l. ”_lLコ吋. ’冒. r.・■=トIlこt・. ・下ト:・. 耳・▼.,■. ・キノノ.万疇:l ̄ ̄二1・TはTri▼河・ 【l了㌢持rT.. t土.Ll:すニl:れ巧事1.・粗鳳「 ケ1ト㌢..■′・′=■−.■,■■. ・F!・・・TT■■丁モ.千丁■.. ・1rl■■印可一. ・Ti二・・一」・(上・■. =【 十1■ ̄. ■√_L.1. ・耳干■l..・「._叩丁.. lト ̄1▼■−ト.】l. 1!l_「.【=ノこ■,・iモ貢・:.ニ干.二一. 輝号サ ーl‥ト1■・!千丁;−i町 ̄. ■ ・1ニ■■■t・ ■ いl別−’ ̄ √■1T:・. −】「・=i・・・.・■せl二丁一左. I=・■二. 丁円. Jナナ. 「・1_L小才■ 1l.【】. ・’・. つl主. ..王・・ユー≡ヰ・::=l・. ll「:.コl「. j√t■で.−I. ■「■一−【T■「亨11手t..1 Lt 甲ド・モ_. ■T■T. ▼■ト. ∴.・・モ脚寓{ ■F▼二一こ:ヾ:. ・l・■ 1F・_■一化l二11=・ 翳に刊ト「.. 恵杜舵爪防■】朴皇利から巾コF蒙. 轢一千軒Il亡巾 ̄¶中中耳.■11. jT・1■」 −ユ!._1 乙 l■【‖. I. l■’ −」■l■. こ・・. ・−・い・無Fl;下向丁コ. ご ̄■l ̄‡±■L ̄. ▼≡. 占.1く=:■:■■享I巾J:∼. ロn・‘:,←−.づ. Fig.3 教員ジョブコーチ記録 校内LANで誰でも閲覧できるようにHTMLで作成するようにした。 生徒・実習光一覧からリンクがはってあり、口々の実習の概要、実 習先までの道順や実習先の概要までを示すデーターベースとなって いる。. 98.
(8) 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. 同僚が出てくるようになった.⑤就労状況:「C社で働きたい.」という希望を持っていたC男は,Cに採 用され就職した.. 4)対象生徒:D女(田中ビネー知能検査72,1998年測定) ①実習先:高3から食品販売会社(D社) で実習した.それまでリネン会社,食品製造会社での実習経験があった.しかしどちらとも継続実習できな かった.②主な業務:バックヤードでの食品の袋詰め.⑨支援ツール:学校で使用している支援ツール「お 昼のマナーチェック表」,職場で開発した支援ツール「袋詰めできるよ表」が導入された.④実習の様子: D教員ジョブコーチがいる時には,作業に取り組んだ.しかし,ジョブコーチがいなくなると作業スピー ドが遅くなると監督者から指摘された.また,D女の背後にある製氷機の音に反応して,よそ見が多いと 監督者から報告された.進路担当は,よそ見があったり手が遅くなった場合には,同僚から声がけしてもら うよう監督者に依頼した.実のところ,進路担当は製氷機から遠い場所への作業場所の移動を希望していた のだが,そこまでは要求できなかった.D女はD教員ジョブコーチがいるときだけ,作業に取り組んだ.ま た,お昼休みには,横になったり,例えば「タバコは身体に悪いです.吸ってはいけません.」等,同僚に 言うなど不適切な言動が多く見られた.そこで,学校で使用している支援ツール「お昼のマナーチェック表」. を本人に持たせ,好きな本を静かに読むことを目標にして,その結果を同僚にチェックしてもらうよう監督 者に依頼した.お昼の休憩時問の不適切な行動は改善されたが,作業中のよそ見,作業スピードは改善され なかった.D教員ジョブコーチは除から作業状況を観察し,時折,同僚に注意してもらうことを促すこと をしたが,作業では現場監督者,同僚に指導法をうまく移行できず,D社の要求水準を満たすことはでき なかった.⑤就労状況:D社には採用されず,授産施設で働くこととなった. 5)対象生徒:E男(田中ビネー知能検査47,1998年測定) ①実習先:高2では授産施設で高3から食 品製造会社(EF社)で実習した.②主な業務:S(笹)立て,容器の洗浄等.⑨支援ツール:学校で使 用している支援ツール「カウンター」,職場で開発した支援ツール「お仕事,帰り道チェック表」が導入さ れた.④実習の様子:最初は,EF教員ジョブコーチが実地で指導した.S立ての作業スピードが遅く,家 庭でも練習することにしたが,一向にスピードは上がらなかった.また,帰り道にT駅周辺で排御する問題 が生じた.そのため,支援ツール「お仕事,帰り道チェック表」を導人して,家庭と連携して早く帰宅する ように促したが,改善されなかった.同僚に対する口答えが多く,叱られることが度々あった.その状態は,. EF教員ジョブコーチがいてもいなくても同様であった.ただ,容器の洗浄だけは一生懸命に取り組み,会 社からはある程度の評価を得た.⑤就労状況:EF社からは,見習いという条件付きで採用されることとなっ た.. 6)対象生徒:F女(田中ビネー知能検査46,1998年測定) ①実習先:高3から食品製造会社(EF社) で実習した.高2では授産施設で実習した.②主な業務:S立て,容器の洗浄等.⑨支援ツール:学校で使 用している支援ツール「カウンター」が導入された.④実習の様子:S立てではカウンターを使ってかなり のスピードで作業に取り組むことができた.指導は比較的スムーズにEF教員ジョブコーチから同僚に移行 することができた.しかし,F女は気分のむらが激しく,時折,同僚からの指摘に返答しないことが報告さ れた.EF教員ジョブコーチから促されて返答するという状態であった.実習の後半には,大きな声で同僚 からの指摘に返答できるようになった.⑤就労状況:EF社で採用されることとなった. 2.生徒,保護者,事業所へのアンケート結果. 生徒,保護者,事業所へのアンケートでは,支援ツール及び教員ジョブコーチ等に関する全ての項目につ いて概ね肯定的な評価が得られた.以下,Table3にそれぞれについて結果を記す. 1)生徒 項目alから項目a9まで概ね肯定的な評価を得た.項目alの支援ツールの効果について, F女から「ぜんぜん」という評価を得た.項目a7,a8の教員ジョブコーチの存在については,A男か. 99.
(9) 高 畑 庄 蔵. A男 B男 C男 D女. 里〃 E. ■■. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 3. 2. 3. 3. 2. 3. 2. 2. 2. 3. ll. 3. 3. ■■. ll. 3. ll. 3. あんし. ■■. つl︶、ソ一l. ■■. ll. al.まいにち、げんきに什草にいきましたか。 a2.「支援ツールA」はやくにたちましたか。 a:う.「支援ツールB」はやくにたちましたか。 a4.つぎの尖習でも、また「支援ツールAやB」をつかってみたいですか。 a5.会社の人は、什ポをいろいろおしえてくれましたか。 a6.会社の人は、しんせつにしてくれましたか。 a7.「00光年」がいっしょに会社にいてくれたとき、あんしんしましたか。 a8.次の実習でも「00先ヰ」にきてほしいですか, a9.会社の人と「00光年」は、お−話をしていましたか。. もまぜな てあん当 とまぜ該. 対象生徒. 誓︰. Table 3 対象生徒、保護者、事業所へのアンケート結果. 3. 3. 2. 3. 3. 3. 3. 3. 2. 3. 2. 2. 2. 保A 保B 保C 保D 保E 保F. 保護者 bl.お子さんは、自発的に元矢に会社に行っていましたか。. 5. 5. 5. 5. 5. 5. うし止そく全=5. 。かたしまれわ止といてっ立役に業作のんさ子お、はりかが手どな」Aルーツ援支「.2b. 5. 5. 5. 5. 5. 5. うし止そ=4. b3.「支援ツールB」は、お子さんの作業に役立っていたと止しわれまLたか。. 5. 5. 。かすまれわし止とだ要必も後今、はりが手のどな」BやAルーツ援支「.4b. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 5. 。かすまいし止とるてっ合にんさ子お、は黍内務業の在現.7b. 5. 5. 4. 4. 。かすまいし止とほて続継を導指るよにチーコブョジ員教んさ子お、後今.8b. 5. 5. 5. 5. 。かすまれわし止とだ要必は導指るよにチーコブョジ員教で習実揚規の後今、もに外以んさ子お.9b. 5. 5. 5. 5. )述記由自(。いさだくき書おを由理うし止と要必がチーコブョジ員教もで習尖場現の後今仇lb. しなわし止=2. しなわ止く全=1 0555. C) C) C). 3=どちらとも. 5. 0355. b5.教師がジョブコーチとしてイ」き添って集中的に尖施指導をしましたが、このような指導はよい と止しわれましたか。 b6.致貝ジョブコーチについて、感想があればお書きください。く自由記述). 5. 5. =該当なし C)=記述あり. C) C) C). ′1. ニ. c4.「はい」「必要に応じて」:それはなぜですか。(複数回答) q〕知的障害者がよくわからないから ②指導・援助法がよくわからないから. ニ. ′1. 甘) く甘甘) く官 ぐ1\3\. そど‖心該記. ′1. 1〇. ′1. ③マンツーマンで教える時間が取れないから ④安全面が心配だから ⑤その他 c5.「いいえ」:なぜですか。(白山記述) c6.今回の実習では、ジョブコーチとなる教師がイ」き添って集中的に尖地指導をしましたが、 このような指導はよいと止しわれましたか。. 3. 3. 3. 3. 3. 甘 √1\セ\3\甘 √1\セ\3\ √1\甘. c7.「そう止しう」:それはなぜですか。(複数回答). 甘甘. 昔実習生との接し方がわかったから ②教え方が分かったから 〔芳実習生が仕事を理解できたから 耳実習生が≡瞑場になじみやすかったから〔Eその他 c8.今回の実習では、ジョブコーチが実習生の自立度に従って、徐々にイ」き添いの時間を短く. 3. 3. 3. 3. していきましたが、そのようなやり力▲はよいと止しいましたか。 )述記由自(。かすでぜなはれそ:」うし止そ「.9c. C) C) C) cl仇 今後、本校に限らず、障害者の現場実習に閲して、ジョブコーナのような指導・援1坊は 必要だと止しいますか。. 3. 3. 3. 3. 3\ √1\甘 セ\蒲\√1\3\甘. cl .「そう止しう:」それはなぜですか。(複数回答). 3. セ\. 濫知的障害者との接し方がわかるから〔芳実習生との接し方がわかるから ③指導・援助法がわかるから ④マンツーマンで仕事を教える時間が短くて助かるから ⑤安全面で安心できるから ⑥その他 c12.「どちらとも」「止しわない」:それはなぜですか c13.カードやカウンターなど、実習隼が一人で業務を石いやすいような道具を導人しました。 このような配慮は、尖習隼に役立っていましたか。 c14.そう止しう:」それはなぜですか。(複数回答). 3. 3. 3. 3. ′5\ ′1\′3\ ′1\ ′1\′2\′5\ ′1\. 濫実習生が一人で出来るから〔∑確かく指導しなくてもよいから ③今後の指導・支援の参考になるから ④どのように接してよいのかわかりやすかったから ⑤イ也の従業員の指導の参考になったから ⑥その他 c15.カードやカウンターなど、尖習隼が一人で業務を石いやすいような道具を導人しました。 3 3 このような配慮は、尖習隼に役立っていましたか。 c16.カードやカウンターなど、尖習隼が一人で業務を石いやすいような道具を導人しました。 3 3 このような門己慮は、従業員の〟が指導・援助するにあたってに役立っていましたか。. 3. 3. 3. 3. 2. 渠 支援ツールA、Bとは、導人した数を示す。よってAプユ、Cプユ、F女は支援ツールA(7)みで評定してある。. ら「まあまあ」という評価を得た.理由は,「最初は安心したけど,見られていたのは緊張した.」という意 見であった.. 2)保護者 項目blからblOまで概ね肯定的な評価を得た.特に教員ジョブコーチの必要性を問う項目 b5,6,8,9については積極的な評価を得た.項目b6の自由記述では保護者BからFまで4名から記 述がなされた.「教帥が一緒にいてくれて安心した.」「今後も学校としてこのような支援を継続的に展開し. てほしい.」等,積極的な意見が出された.業務内容を問う項目b7では,保護者C,Dが「そう思う」, 保護者Eが「どちらとも」と評価された.. 3)事業所 項目clから項目c16まで概ね肯定的に評価された.ジョブコーチという言葉の存在の有無 を問う項目clでは,全ての事業所で「知らなかった.」という返答であった.教員ジョブコー 有無を問う項目c3では,A祉以外の5祉から「はい.」という返答であった.理由を問う項目c4では,. 100. チの要請の. も. ニ. ′2. 郡はい〔㌢必要に応じて〔苦いいえ. うと い しり ‖心らななあ. 2. ニ. 荘はい 老いいえ c2.「はい」の〟は、どこでお聞きになりましたか。 c3.今後巨視場実習を受ける場合、ジョブコーチを芙請いたしますか。. ぅちゎ当述. ニ. 3. 事業所 cl.本税場尖習以前に、ジョブコーチという言柴を問いたことがありましたか。.
(10) 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. 3社から「指導,援助法がよくわからないから」,2社から「マンツーマンで教える時間が取れないから」 という返答であった.教員ジョブコーチの実地指導の有効性を問う項目c6では,全社から高い評価を得た. 理由を問う項目c7では,3社が「実習生との話し方がわかったから」,2社が「教え方がわかったから」, 2社が「実習生が仕事を理解できたから」,4社が「実習生が現場になじみやすかったから」と返答した. 実習生の自立度に従って教員ジョブコーチの付き漆い時間を短くする方法を問う項目c8については,全社 から高い評価を得た.理由を問う項目c9では3社から回答があり,「実習生が一人で出来る. 」,「他の従業. 員への参考になった」等の意見があげられた.本校に限らない障害者へのジョブコーチ的アプローチへの必 要性を問う項目clOでは,全社から高い意見を得た.理由を問う項目cllでは,2社から「知的障害者との 接し方がわかるから」,2社から「実習生との接し方がわかるから」,2社から「指導・援助法がわかるから」,. 2社から「マンツーマンで仕事を教える時間が短くて助かるから」と返答した.支援ツール導入の必要性を 問う項目c13では,概ね肯定的な評価を得た.理由を問う項目c14では,4社から「実習生が一人で出来る から」,2社から「他の従業員の指導の参考になったから」,1社から「細かく指導しなくてもよいから」, 1社から「今後の指導・支援の参考になるから」と返答した.支援ツールの有効性を問う項目c15,16では, 概ね肯定的な評価を得た.. Ⅳ 考. 察. 本研究において,教員ジョブコー. チと支援ツールを活用した職場実習を試行した結果,4名の対象生徒に. ついて教員ジョブコーチがフェーディングして従業員に指導を移行できたこと,6名が支援ツールが自立的 な作業遂行に役立ったことが事例によって確認された.また,本研究での目標,支援ツール,支援手続き, 効果について,対象生徒,保護者,工場長への卒業・就労後アンケート調査でも高い評価を得た.実践現場 における教員ジョブコーチと支援ツールの意義及び今後の方向性の観点を中心に検討を加える.. 1.教員ジョブコーチによる職場実習の可能性. 第1に,教員や職業センター等の支援者では,ジョブコーチという言葉はある程度知られているが,事業 所側では0社であった.しかし,今回の実習を通して事業者がジョブコーチについて関心をもったことは意 味あることと考える.. 第2に,教員ジョブコー. チの存在が対象生徒,保護者,事業所にとって安心できるものであったことが考. えられる.新しい職場に実習に行くことは,対象生徒,保護者,事業所にとって非常に緊張感の伴うことで ある.そのような状況の中で,対象生徒の情報を一番知る教員ジョブコーチの存在は大きいと思われる.教 員ジョブコーチが情報を適切に従業員に伝え,また従業員から情報を適切に把握することを可能としたこと が肯定的な評価の背景を担っているものと推測される.. 第3に,教員ジョブコーチの研修の在り方である.小川13)は,実践の現場では,ジョブコーチの援助技 術を向上させていくことと同時に,一定期間利用者と共に職場に入って効率的に自立へ導き,従業員による 援助を整え,すみやかにフォローアップヘ移行する,新しい援助技術の整理・体系化を求めている.それは 「自発的ナチュラルサポート」と「計画的ナチュラルサポート」という2つの援助技術で構成されており,. かなり高度なものであった.本研究では,前者は教員ジョブコーチが,後者は進路担当が主に分担したが, 実際の現場文脈の中での実践では,文書でのやり取りが困難であり管理者との口約束もあったが,支援ツー ルのチェックリストが業務報告をかねることができ,結果として計画的ナチュラルサポートができた事例も あった.この計画的ナチュラルサポートを実現するためには,今後より効果的な方略が求められる.また多. 101.
(11) 高 畑 庄 蔵. 忙な中での研修時間の確保が課題となった.実際には,教科書をそれぞれの教員ジョブコーチが自主研修し, 同時に現場で進路担当がスーパーバイズを行ったが,援助技術の向上のためには,さらなる体系的な研修シ ステムの確立が求められよう.. 第4に,教員ジョブコーチの存在意義についてである.近年,米国では援護就労は限りなく制限のないプ. ロセスで行われるべきであり.(Butterworth,Whitney−Thomas,&Shawl)),ジョブコーチモデルとナチュ ラルサポートモデルがしばしば対比して論じられるようになっている(Unger,Parent,Gibson,Johnston, &Krege123);小川13)).最近の研究では,同僚によるメンタリングモデルがジョブコーチモデルよりも,同. 僚との相互交渉により効果的であったという報告.(Lee,Storey,Anderson,Goetz,&Zivolich5)),ジョブ コーチの少ない援助が指導に効果的であったという報告(Persons,Reid,Green,&Browning9))がなされて いる.このように,ナチュラルサポートを効果的に活用できるかどうかは,ジョブコーチの存在意義に関わ. る論点にもなっている(小川13)).しかしながら,今日の数少ない研究では,ジョブコーチモデルか,同僚 のメンタリングモデルか,ナチュラルサポートモデルか,いずれの訓練戦術が実際に効果的なのかを示すも. のがほとんどない.進路担当は,実践とアンケートの結果を踏まえて,教員ジョブコーチが適切な自発的, 計画的ナチュラルサポートを実践現場で形成することが効果的な援助であり,今後展開されるべき方向性を 示すものと考える.. 2.養護学校での現場実習と今後の課題. 養護学校での現場実習を有効とする課題として第1に,支援ツールによる実地指導の必要性である.小川13). は,Shafer,Tait,Keen,andJesiolowski15)の知見からジョブコーチがフェーディングした後に,ナチュラ ルサポートの機能を維持すること,そして従業員から情報をジョブコーチが適切に把握することが就労成功 の鍵としている.具体的な方法としては,チェックリストを用いて仕事ができたかどうかを利用者にフィー ドバックする,仕事量を定期的にチェックしてグラフ化すること等であったと指摘している.同様に, LagomarcinoandRusch4)は,自己管理手続きが,外部監督から自立的に遂行できるステップを増やすもの. であること,Koegel,Koegel,andParks3)は監視のないところで自身の行動の自己管理をの継続が可能であ ること,Christian,andPoling2)は対象生徒が利用可能なものであること,志賀16)はセルフマネージメント やジグの活用などにより,障害のある人が早くジョブコーチから離れることが可能となること等を指摘して いる.本研究での組織的な支援ツールの活用は,対象生徒の自立度を高め,事業所側の要求水準を満たすも のとして有効に機能したものと考えられる.. 第2に,学校外での実地指導の組織的な体制作りの重要性である.これまでも多くの先駆者たちによって, 「付き漆い指導」がなされてきた.しかしながら,付き漆い指導が個人的,単発的,部分的に展開される場 合が多いように思われる.セイラー・ゴエツ・アンダーソン・ハントギー17)は,地域社会への参加のた めには,実際の社会的な文脈の中で組織的に集中的に指導していくことが有効で,より少ない訓練試行で学 習が進行すると指摘している.本研究では,教員ジョブコーチによって,現場の従業員との協議にもとに, 実地指導が継続的に実施された結果,自立的な作業遂行スキルの獲得が確認された.本研究の成果は,セイ. ラーら17)の指摘の有効性を示したものであったと言えよう.また,教員ジョブコーチの存在について,対 象生徒,保護者,事業所から肯定的な評価を得ている.このことは,養護学校における組織的な実地指導の 有効性を傍証しているものと考えられる.. 本研究で示された結果は,教員ジョブコーチと支援ツールによる職場実習への試みが,対象生徒の実習支 援に影響を与えることを明らかにしたとともに,今後の養護学校における職場実習の在り方の一つを示した ものと考えられる.今後,「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」(文部科学省初等中等教育局. 102.
(12) 教員のジョブコーチ的アプローチによる養護学校での職場実習. 特別支援教育課8))が示すように,より多様なニーズに対応し円滑な移行サービスを実現するためには,授 産施設や地域の職業センター等との関係機関との連携を前提にした積極的な職場実習支援,そして支援方略 の検討が求められよう. 謝 辞. 本研究に関して貴重な資料を提供し,ご協力くださいました事業所,保護者,生徒の皆様,教員ジョブコー. チとして一緒に汗を流した同僚の方々に深く感謝申し上げます.. 文 献 1)Butterworth,].,Whitney−Thomas,].,andShaw,D.(1997):Thechangingroleofcommunitybasedinstruction:Stren− giesforfacilitatingworkplacesuppors.Journalofvocationalrehabilitation,8,920. 2)Christian,L.,&Poling,A.(1997).:Usingself−managementprOCedurestoimprovetheproductivityofadultswithde− Velopmentaldisabilitiesinacompetitiveemploymentsetting.JournalofAppliedBehaviorAnalysis,30,169172. 3)Koegel,R.L.,Koegel,L.K.andParks,D.R.(1995):“Teachtheindividual”modelofgeneralization:autOnOmythrouth. self−management.InKoegel,R.L.,Koegel,L.K..,(Eds.)Teachingchildrenwithautism.Baltimore,MD:PaulH. 6777.. 4)LagorIlarCino,T.R.,Rusch,F.R..(1989):UtilizingSelf−ManagerIlentProcedurestoTeachIndependentPerforrIlanCe. EducationandTraininginMentalRetardation;24,4,297305. 5)Lee,M.,Storey,K.,八nderson,].L.,Goetz,L.,andZivolich,S.(1997):Theeffectofmentoringversusjobcoachinstruc− tiononintegrationinsupportedemploymentsettings.Theassociationforpersonswithseverehandicaps,22,3, 15115臥. 6)松夫勝宏(1997):進路指導と移行サービス,発達の遅れと教育,484,6−9. 7)文部省(1999):特殊教育資料 8)文部科学省初等中等教育局特別支援教育課(2001):21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告).. 9)Persons,M.B.,Reid,D.H.,Green,C.W.,andBrowning,L.B.(1999):Reducingindividualizedjobcoachassist Videdtopersonswithmultipleseveredisabilitiesinsupportedwork.Theassociationforpersonswithseverehandicaps, 24,4,292297.. 10)Reid,D.H.,Persons,M.B.,andGreen,C.W.(1998):Identifyingworkpreferencesamongindividualswithseveremu tipledisabilitiespriortobeginingsupporedwork.Journalofappliedbahavioranalysis,31,281285. 11)尾崎祐三(1993):中学校特殊学級・養護学校高等部卒業生の進路の実態,発達の遅れと教育,429,4849. 12)小川浩・志賀利一・栴永雄一・藤村山(2000):重度障害者の就労支援のためのジョブコーチ実践マニュアル.エンパワメ ント研究所.. 13)小川 浩(2000):ジョブコーチとナチュラルサポート 職業リハビリテーション研究,13,2531. 14)小塩允護・東條古邦・寺山千代子・武居孝男(1996):精神薄弱養護学校における年長自閉症児の進路指導に関する調査研 究.国立特殊教育総合研究所特別研究最終報告,529.. 15)Shafer,S.,Tait,K.,Keen,R.E.,andJesiolowski,C.(1989):Supportedcompetitveemployment:Usingcoworker assistfollowalongefforts.Journalrehabilitation,55,6875. 16)志賀利一(2000):職場における援助.小川浩・志賀利一・栴永雄一・藤村山(2000):重度障害者の就労支援のためのジョ ブコーチ実践マニュアル.エンパワメント研究所,67120.. 17)セイラー,W.,ゴェツ,L.,アンダーソン,J.,ハントP.,&ギー,K.(1988):第4章地域での集中指導法一機能的な 般化技能の形成モデルー.InHorner,R.H..Dunlap,G.andKoegel,R.Lり(Eds)Generalizationandmaintenancelifestyle changeinappliedsettings.Paul.H.Brookes.小林重雄・加藤哲文監訳(1992)自閉症,知的障害者の社会参加をめざして.. 二瓶社,6798. 18)高畑庄蔵・武蔵博文・安達勇作(1999):生活技能支援ツールによるゴミ出し行動の自発と長期的維持一家庭での生活充. 実をめざした教育的支援−.特殊教育学研究,36,5,916. 19)高畑庄蔵・武蔵博文(2000):牛括技能支援ツールによるなわとび運動の習得過程と家庭での長期的維持の検討.特殊教. 103.
(13) 高 畑 庄 蔵 青学研究,37,4,1323. 20)高畑庄蔵・武蔵博文(2002):支援ツールを活用した現場実習における就労指導プログラムの効果と長期的維持,特殊教 育学研究,39(5)4757▲ 21)上岡一世(2001):自閉症者の就労に関する一考察一知的障害者との職場適応状況の比較を通して−.発達障害研究,23(2), 136146. 22)栴永雄二(2002):職業生活への援助とその実際,小林重雄(監修)今野義孝・藤原義博(編).講座臨床心理学2発達臨 床心理学.コレール社,186192. 23)Unger,l).,Parent,W.,Gibson,K.,Johnston,K.,andKregel,](1997):Ananalysisofactivitesofemploymentspecialistin. anaturalsupportapproachtosupportedenployment:Insupportedemploymentresearch:Expandingcompetitiveen− ploymentopportunitiesforpersonswithsignicantdisabilities,Verginiacomonwealthuniversityrehabilitationreserch alldtraillillgCellterOllSuppOrtedemploymellt. 24)全国特殊学校長会(2002):障害児・者の社会参加を進める個別移行支援計画.ジアース社.. (札幌校助教授). 104.
(14)
図
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