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論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の要旨 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 教育学 )

氏名 青 山 之 典 学位授与の要件 学位規則第4条第1・2項該当

論 文 題 目

論理的認識力を高めるための説明的文章の読みに関する 小学校国語科スパイラルカリキュラムの開発

論文審査担当者

主 査 教 授 難 波 博 孝 審査委員 教 授 田 中 宏 幸

審査委員 教 授 植 田 敦 三

〔論文審査の要旨〕

本研究は,論理的認識力を高めるための説明的文章の読みに関する小学校国語科スパイ ラルカリキュラムを開発することを目的としている。

本研究の研究課題は次の4点である。

[研究課題1]論理・論理的思考に関する先行研究および概念整理論考の成果を批判的に 継承した上で,論理的認識力の設定の必要性を述べ,その概念規定を行う。

[研究課題2]学習指導要領のもつ「要素積み上げ方式」のカリキュラム構造の問題を明 らかにするとともに,諸外国の読解能力育成のためのスパイラルカリキュ ラムの構造を検討して構造的特徴を明らかにし,その可能性を検討する。

[研究課題3]論理的認識力育成のためのスパイラルカリキュラムを構成するための要点 を明らかにして,指導目標および教材選定のあり方について検討する。

[研究課題4]論理的認識力を高めるための説明的文章の読みに関するスパイラルカリキ ュラム(総括目標,小学校 1学年~6学年の学年別指導目標および教材)

を構築する。

本論文は7つの章からなり,各章を概括すると次のようになる。

序章においては,「論理」をめぐる認識能力の構造化およびその育成のためのカリキュラ ム構造に焦点をあて,論理的認識力を高めるための小学校国語科における説明的文章の読 みに関するスパイラルカリキュラム開発の必要性を指摘し,本研究の目的,意義を明確に 示している。第1章においては,日常的な推論に見られる論理の偏向に対応するために,

論理を因果関係として概念規定し,周辺概念とともに論理的認識力として再構造化するこ との必要性を論じている。第2章においては,論理的認識力の下位能力として,論理構築 能力,意味内容形成能力,コンテクスト分析能力を設定し,それらの実相を実践的に明ら かにするとともに,3つの下位能力が往還的かつ相互補完的に機能することで論理的認識 力が実現することを明らかにしている。第3章においては,カナダ・オンタリオ州,アメ リカ合衆国の読解スタンダードカリキュラムに焦点をあて,その基本構造としてのStrand の重要性について指摘し,学習指導要領のもつ構造上の課題を克服するために Strand 概

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念を導入することの可能性について論じている。第4章においては,論理的認識力からみ た小学校国語科教科書の教材分析をもとに,下位能力の系統のあり方を論じるとともに,

カナダ・トロント大学附属学校の授業と教師の分析から,教師の教育哲学を尊重するカリ キュラム編成のあり方について論じ,カリキュラム編成の枠組みについて明らかにしてい る。第5章においては,第1章から第4章の考察に基づいてカリキュラムの哲学について 論じるとともに,論理的認識力の下位能力ごとに Strand を設定し,総括目標および学年 目標を設定して,理由を明らかにしながら教材を選定している。終章においては,本研究 の成果をまとめ,今後に残された課題を明らかにしている。

本研究は,次の3点で高く評価できる。

(1) 論理的認識力を概念規定したこと。

本研究では,日常的な推論における論理の偏向に焦点をあて,認識の限界を克服す るために必要となる能力の必要性を論じ,論理的認識力を設定した。そして,その下 位能力(論理構築能力,意味内容形成能力,コンテクスト分析能力)を明らかにする とともに,それぞれが往還的かつ相互補完的に機能することではじめて認識の限界を 克服することができる総合的な能力であることも明らかにした。これらの考察は先行 研究になく,新たな研究成果といえる。

(2) 諸外国のカリキュラムについての検討に基づき,論理的認識力を高めるためのカリ キュラム構造のあり方を明らかにしたこと。

本研究では,下位能力を往還的かつ相互補完的に機能させる経験をとおして論理的 認識力を高めていく学習を実現するために,スパイラルカリキュラムに注目した。そ して,カナダ・オンタリオ州およびアメリカ合衆国の読解カリキュラムを分析するこ とで,その基本構造である Strand の実相を明らかにするとともに,その導入によっ て学習指導要領の抱える構造上の課題を克服できることを明らかにした。また,小学 校国語科教科書の分析およびカナダ・トロント大学附属学校の授業と教師の分析をと おして,カリキュラム編成のあり方と,Strandを構成する指導目標および教材選定の ための枠組みを明らかにした。これらの考察は論理的認識力育成のためのカリキュラ ム構造のあり方を明らかにしたものとして,新たな研究成果といえる。

(3) 論理的認識力を高めるためのスパイラルカリキュラムを開発したこと。

本研究では,カリキュラム編成のあり方と,Strandを構成する指導目標および教 材選定の枠組みに基づき,これまでの実践経験を振り返って児童の発達の実態に合う ようなカリキュラム編成を行った。カリキュラムの哲学として論理的認識力を高める ことの意義を明示するとともに,下位能力ごとに Strand を設定し,それを貫く目標 と学年目標を設定して,理由を明らかにしながら教材を選定した。論理的認識力を高 めるためのスパイラルカリキュラムは先行研究になく,新たな研究成果といえる。

以上,審査の結果,本論文の著者は博士(教育学)の学位を授与される十分な資格があ るものと認められる。

平成 27年 2月 9日

参照

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