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博士学位論文審査結果の要旨

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Academic year: 2021

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京都女子大学大学院

博士学位論文審査結果の要旨

学位申請者氏名 吉村 理津子

論 文 題 目 臨床医療における問題解決型コミュニケーションの理論と実践

―倫理コンサルテーションと医療メディエーションを中心に―

論文審査担当者

主 査 霜田 求 ㊞ 審査委員

水野 義之

審査委員 亘 明志 ㊞ 審査委員 樫 則章 ㊞

本論文は、臨床医療における問題解決型コミュニケーションの主な手法として倫理コンサルテー ションおよび医療メディエーションを取り上げ、日米両国における実態調査、各々のモデルの理論 的基盤や実践の分析を行い、その結果から課題を抽出し、将来的展望を論じた上で、具体的な提言 を示すものである。

著者は、臨床医療現場において発生するトラブル・紛争に対処するために必要な枠組みとして「問 題解決型コミュニケーション」という作業概念を設定し、その代表的な手法として倫理コンサルテ ーションおよび医療メディエーションを考察対象とする。これらは何れも米国で考案され現場で実 際に使用され、その膨大な理論と実践は関連ウェブブサイトや文献・資料で紹介されており、著者 はその読解に加えて理論研究者や実践家へのインタビュー調査を実施し、それらの分析・考察を本 論文に組み込んでいる。日本での取り組みは一部の個人・団体で見られる程度で未だ十分普及して いるとは言えないものの、日本独自の患者支援システムを含めて著者はいくつかの地道な活動に着 目して、それらの考察も行っている。以上を踏まえて、倫理コンサルテーション、医療メディエー ション、患者支援システムの臨床現場における協働可能性と分担可能性が提言される。

以下、各章の概要をまとめる。

1章では、臨床医療における人間関係およびコミュニケーションがどのような歴史的変遷を経 てきたか、医療者・患者(家族)間関係、および医療者間関係を中心に概観した上で、臨床医療現 場におけるこれら2種類の人間関係において起こりうる問題を類型化し、また、それらに対処する ためのコミュニケーション・モデルの概要が提示される。

2章では、倫理コンサルテーションの概要について、その定義と目的、理論的背景がまとめら れた上で、その歴史的背景、実施形態、モデル、具体的活動について、関連文献・資料の読解と関 係当事者への聴き取りを通して、日米両国の実情の分析と考察が行われ、課題および今後の展望が 述べられる。

3章では、医療メディエーションの概要について、その定義と目的、理論的背景がまとめられ

(2)

京都女子大学大学院 た上で、医療メディエーションの歴史的背景、実施形態、モデル、具体的活動について、日米両国 の実情の分析と考察を踏まえて、課題および今後の展望が述べられる。近年米国では、倫理コンサ ルテーションと医療メディエーションを協働させたバイオエシックス・メディエーション・モデル が提唱されており、これについても概要の分析と考察が行われる。

4章では、日本で実施されている患者支援の取組みを、医療機関外患者支援システム、医療機 関内患者支援システムの2つに分け、それぞれに属する活動の概要、現状、課題が提示される。

結論において、倫理コンサルテーション、医療メディエーション、患者支援システムという 3 つの問題解決型コミュニケーション手法を、それぞれの特徴を踏まえて個々の問題への対処法とし て使い分けていくための仕組みが提言される。

以上のような、著者による理論的考察と具体的提言は、臨床医療における問題解決型コミュニケ ーションの確立という問題関心を出発点とし、インタビュー調査、文献・資料の分析・検討の成果 として、その意義が評価できる。審査委員会では、結論における提言の内容がさらに展開され深め られる必要があることなど問題点も指摘されたが、本論文が、関連文献・資料・およびンタビュー 調査等を詳細に検討し、独自の知見を提示していることが高く評価された。よって、審査委員会は 全員一致で、本論文が現代社会研究科公共圏創成専攻の博士論文に値すると判定した。

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