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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表
学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。
○氏名 二連木 晋輔(にれんぎ しんすけ)
○学位の種類 博士(スポーツ健康科学)
○授与番号 甲 第 1046 号
○授与年月日 2015 年 3 月 31 日
○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項
○学位論文の題名 近赤外線時間分解分光法を用いたヒト褐色脂肪組織の
新しい評価法
○審査委員 (主査)浜岡 隆文(立命館大学スポーツ健康科学部教授)
藤田 聡 (立命館大学スポーツ健康科学部教授)
橋本 健志(立命館大学スポーツ健康科学部准教授)
徳山 薫平(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授)
<論文の内容の要旨>
近年、褐色脂肪組織(BAT)は肥満予防や耐糖能改善に寄与することが分かってきた。こ れまでヒト褐色脂肪組織の評価には、フルオロデオキシグルコース(FDG)-陽電子放射断層 撮影法/コンピュータ断層撮影法 (FDG-PET/CT)が用いられており、特に 2 時間の寒冷負荷 後の鎖骨上窩における FDG 取り込み量が BAT の活性や量の指標とされてきた。しかし、
FDG-PET/CT は、被曝を伴うこと、2 時間の寒冷負荷が必要なこと、装置が非常に高価であ ることなどの制限を有するため測定機会が限られていた。そこで、本論文は、血管床およ びミトコンドリア濃度指標である総ヘモグロビン濃度 [total-Hb]および等価散乱係数 (μs′)を非侵襲的に測定することができる近赤外線時間分解分光法 (NIRTRS)を用いたヒ ト褐色脂肪組織の評価法を確立することを目的に研究を行った。
NIRTRS指標([total-Hb]およびμs′)の妥当性・信頼性を検証するために、健常男女 87 名(平均年齢 22 歳、平均体格指数 22.6、平均体脂肪率 19.2%)を対象に以下の検討を行っ た。1)急性寒冷負荷時の NIRTRS指標の応答、2)FDG 取り込み量と NIRTRS指標との関連性の 検討、3)寒冷誘発性熱産生 (CIT)と NIRTRS指標との関連性の検討、4)NIRTRS指標の季節変 動について検討した。また、NIRTRSによる BAT 濃度評価法のスポーツ健康科学領域への応 用例として、5)12 週間の茶カテキン摂取の BAT 濃度への効果について検討を行った。
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本研究の結果、1) 寒冷負荷中の NIRTRS指標に変化がなかった、2) FDG 取り込み量と NIRTRS
による BAT 濃度との関連性が鎖骨上窩のみに認められた、3) 寒冷誘発性熱産生 (CIT)と [total-Hb]との関連性が認められた、4)NIRTRS指標の季節変動が確認された、5) 12 週間 の茶カテキン摂取により若年健常女性の鎖骨上窩[total-Hb]の増加および筋細胞外脂肪の 減少が確認できた。
以上の結果から、NIRTRSが非侵襲的かつ簡便にヒト BAT を評価する新たな手法になりう ることが確認された。
NIRTRSは FDG-PET/CT と比較して、被曝を伴わず非侵襲的、簡便、安価な方法である。NIRTRS
を用いることで、これまで困難であった介入検討などが容易にできる。今回実証した茶カ テキン以外の機能性食品の効果検証や運動介入の褐色脂肪組織への影響を健康状態の異な る対象者に幅広く応用することが可能である。今後 NIRTRSを用いた褐色脂肪組織評価のさら なる信頼性向上のために、動物実験の実施や BAT の評価に適した NIRTRS装置の改良も期待さ れる。
<論文審査の結果の要旨>
本研究により、これまで測定が困難であった比較的短期間の各種介入前後のヒト褐色脂 肪組織の評価が可能となる点において、本論文の方法は非常に新規性の高い優れた手法で あると評価できる。この研究課題の最終目標としている「近赤外線時間分光法を用いたヒ ト褐色脂肪組織の定量化」にはまだ解決すべき点もみられるが、本研究の研究成果は、本 分野の研究を進める上でのブレークスルーをもたらすものであり、学術的意義は非常に高 い。
本論文の審査は、2015 年 1 月 28 日(水)11 時 00 分~12 時 30 分インテグレーショ ンコア大会議室において公聴会および口頭試問を開催し、学位申請者による論文内容の説 明の後、一般参加者からの質疑応答を行った。その後、審査委員会にて学位申請者に対す る口頭試問を行った。各審査委員から近赤外線時間分光法と FDG-PET/CT により取得できる 測定指標との関連性、脂質・糖代謝における基礎知識などに関する質問がなされたが、い ずれの質問に対しても学位申請者の回答は、簡潔かつ適切なものであった。また、本論文 は国際誌に掲載された2編の副論文を元にまとめたものであり、この点も高く評価される。
以上の論文審査と公聴会および口頭試問の結果を踏まえ、本論文は博士の学位に値する 論文であると判断した。
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<試験または学力確認の結果の要旨>
本論文審査の主査は、当該学位申請者と、本学大学院スポーツ健康科学研究科スポーツ 健康科学専攻博士課程後期課程在学期間中に、実験仮説および研究計画立案、実験実施、
研究指導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。また、本論文提出後、主査および副査 はそれぞれの専門分野の立場から論文の内容について評価を行った。
当該学位申請者は、本学学位規程第 18 条第 1 項該当者であり、論文内容および公聴会・
口頭試問での質疑応答を通して、学位申請者が十分な学識を有し、博士学位に相応しい学 力を有していることを確認した。また、スポーツ健康科学分野の研究者や高度専門職業人 にふさわしい専門的な研究能力を十分に身につけており、本分野の次世代のリーダーとな りうる資質も有すると判断できる。
以上の観点を総合し、学位申請者に対し、本学学位規程第 18 条第 1 項に基づいて、「博 士(スポーツ健康科学 立命館大学)」の学位を授与することが適当であると判断する。