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学生と地域の連携による空き家活用に関する実証的研究―糸島空き家プロジェクトを通して― [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)学生と地域の連携による空き家活用に関する実証的研究 ー糸島空き家プロジェクトを通して―. 中川 聡一郎 1. はじめに. 証プロジェクトを行う(図 2)。また、プロジェクト参. 1-1 研究の背景. 画主体へのヒアリング調査により研究の成果と課題を. 地方中小都市では、生産年齢人口の大都市への流出. 明らかにする(図 3)。. や高齢化にともなって、空き家、空き店舗が増加し、. 1-4 研究の位置づけ. 中心市街地の産業や商業が衰退している。地方中小都. 学生による空き家の活用事例は滋賀県豊郷町におけ. 市において、人的、空間的な「空き」を活用し、中心. る「とよさと快蔵プロジェクト」注 1) 等がある。本研. 市街地を活性化する必要がある。. 究はそれら先行プロジェクトの比較分析から得られた. 一方、近年まちづくりにおける学生の役割が見直さ. 知見をもとに、実証プロジェクトを行う。また、糸島. れ、地域が学生に期待する割合が高まっているものの、. 地域を対象とした研究として安原らの研究 2)3) があり、. 多くの学生は地域と関わることなくワンルームマン. それらをもとに糸島地域の課題の分析を行う。. ションに住み、学生がまちづくりに果たしている役割. 2.先行事例の整理と仮説. は十分とは言えないのが現状である。. Web 上で学生主体の空き家活用事例を抽出し、支援. 九州大学が移転を進める糸島地域でも、福岡市の. 体制の異なる 4 つの事例について分析した(表 1)。学. ベッドタウン化が進み、昼間人口および若年人口の流. 生は様々な支援を受けながらプロジェクトを運営して. 出や郊外大型店の出店に伴う商店街の衰退により、中. おり、産官学民の参画状況を比較すると、①地域貢献. 心市街地の空洞化が進展し、老朽化した空き家や空き. 型②産学連携型③企業連携型④多角連携型に分類でき. 店舗、空き地が増加している。状況打開の起爆剤とし. た。さらに地域に増加する空き家に対して、主に学生. ての学生や研究活動に期待が高まっており、学生と地. 自ら入居するシェアハウスとして空間的「空き」を活. 域の祭りである「伊都祭」や地域活性化サークル「iTOP」. 用している。また、改修に先立って入居者を決定し、. 等の大学と地域を繋ぐ学生活動が始まっている。. 入居後もイベント活用を行うなど、住宅供給のみにと. 1-2 研究の目的. どまらない活動を行っている。課題としては資金面、. 本研究は、地域資源としての人的、空間的「空き」. 継続的に入居者を見つける方法等が挙げられる。. の活用に着目し、先行事例分析より導いた仮説に基づ. さらに、福岡県内の先進事例である津屋崎ブランチ. いて実証プロジェクトを行い、利点と課題を明らかに. 注 2). することを目的とする。さらに、課題を実証プロジェ. を考察した。具体的には、面談を行い、入居者リスト. を参考として、学生プロジェクトの課題の解決策 空間的. クト中で改善し、地方中小都市における学生と地域が. 1. はじめに. 一時的 空間的 「空き」. 連携した空き家活用による地域活性化方策を提案する。 1-3 研究の方法 (1)定義. 一時的. ①人的「空き」 :一時的もしくは恒常的な人口バラン スの欠如及び時間的余裕のある人材 ( 図 1). 恒常的 空間的 「空き」. 一時的 人的 「空き」. 恒常的 人的 「空き」. 2. 先行事例の比較・分析と仮説. 恒常的. 文献調査. の整理. ヒアリング. 学生による空き家活用の仮説. 3. 現状把握と課題の整理 糸島市の. 統計調査. 糸島市の. ヒアリング. 人的「空き」 空間的「空き」. 学生 アンケート. 人的. 図 1 「空き」の分類. の建物及び空間、手入れされない森林 ( 図 1). 0. 5. 10. 15km. 人的「空き」 空間的「空き」. (2) 研究の方法. 九州大学 伊都キャンパス. 本研究では、福岡県糸島市を対象として、先行プロ. (旧志摩町) 福岡市西区. ジェクト及び糸島市と九州大学の学生居住の現状につ いて、文献調査、ヒアリング調査、さらに既往のアン. 4. 実証プロジェクト プロジェクトの経緯. N. ケート調査. 移住支援事例. クトの整理. 糸島市の学生居住. ②空間的「空き」:一時的もしくは恒常的に低未利用. 1). 学生プロジェ. 糸島市 (旧前原市). の活用. の活用. 現在進行中の プロジェクト. プロジェクトのプロセス. 5. プロジェクトの成果と検証 プロジェクトの成果 プロジェクトの社会的意義 プロジェクトの課題. (旧二丈町). 6. おわりに. の分析を行い、得られた知見をもとに実 図 2 研究の対象地. 15-1. 図 3 研究のフロー. 参画主体への ヒアリング イベント 参加者 アンケート.

(2) を作成する入居者募集方法、家主に費用負担をかけな. 糸島地域に住む学生の 40%は、地域に魅力を感じて. い事業スキーム、アフターケアとしての地域への顔つ. いない(図 7)。また、学生の居住地希望の時系列変化. なぎ等のプロセスを抽出した。. を分析すると、九大学研都市駅周辺では急増し、周船. 3.糸島市における 「 空き 」 と学生居住の現状. 寺駅周辺では減少している。また、筑前前原駅周辺で. 3-1 糸島市における人的「空き」. は移転開始とともに希望者が激減したものの、徐々に. 糸島市の人口は相対的に 20 ~ 40 代が少なく、50 代. 回復しつつある ( 図 8)。これは、糸島市が運行するコ. が多くなっており、今後急速な高齢化が予測される(図. ミュニティバス等の整備によって、筑前前原駅、波多. 4)。また、昼間人口は夜間人口の 78% で、福岡市のベッ. 江駅周辺の大学への近接性が高まっており、今後これ. ドタウンとなっている現状を示している。. らの地区が学生居住を受け入れる可能性もある。. 3-2 糸島市における空間的「空き」. 家賃に関しては、西区では 4.5 ~ 5 万円が増加し. 旧前原市は空き家が増加しており、さらなる空き家. ているのに対し、糸島市では 3 ~ 4 万円が増加してお. の増加が予想される ( 図 5)。その内訳をみると、賃貸. り、低家賃を求める学生が糸島市へ居住するケースが. 用の集合住宅および流通していない木造の一戸建て住. 表 2 空き家の種類(旧前原市). とリスクの最小化が必要となる ( 表 2, 図 6)。 3-3 糸島地域における学生居住 2.00% 1.80% 1.60% 1.40% 1.20% 1.00% 0.80% 0.60% 0.40% 0.20% 0.00%. 全国. 40,000. 福岡市 西区. 35,000. 糸島市. 30,000. 長屋建・共同住宅 ・その他. 総数. 構成比. 二次的住宅. 90. 50. 140. 5.2%. 賃貸用の住宅. 50. 1,230. 1,280. 47.2%. 売却用の住宅. 170. 100. 270. 10.0%. その他の住宅. 590. 440. 1,020. 37.6%. 空き家総数. 890. 1,810. 2,710. 100.0%. 12.0% 空き家 居住世帯あり 空き家率. 10.0%. 6.0%. 15,000. 2.0%. 5,000 0. H10. 出典:2011 年国勢調査. 図 4 糸島市年齢別人口. H15. H20. 一戸建(非木造). 1,350 50%. 4.0%. 10,000. 一戸建(木造). 820 30%. 8.0%. 25,000 20,000. 0∼4歳 5∼9歳 10∼14歳 15∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 40∼44歳 45∼49歳 50∼54歳 55∼59歳 60∼64歳 65∼69歳 70∼74歳 75∼79歳 80∼84歳 85∼89歳 90∼94歳 95∼99歳 100歳以上. 一戸建. 前原市. 宅が多く、特に後者の流通のためには家主の意向確認. 460 17%. 70 3%. 長屋建・共同住宅・その 他(木造) 長屋建・共同住宅・その 他(非木造). 0.0% 出典)2008 年住宅土地統計調査. 出典)住宅土地統計調査. 図 6 空き家の建て方(旧前原市). 図 5 旧前原市の住宅数. 表 1 先行事例の比較 組織名 活動拠点. 目的 設立 学生人数 改修物件数 運営体制 大学(学) 行政(官) 支援 体制. 企業(産). 地元(民) 組織体制. とよさと快蔵プロジェクト. 山形R不動産. 木賃アパート再生. 実験住宅「まちの間」. 津屋崎ブランチ. 糸島空き家プロジェクト. 滋賀県豊郷町. 山形県山形市. 東京都. 佐賀県佐賀市. 福岡県福津市津屋崎. 福岡県福岡市、糸島市. 空き古民家や蔵の改修・活用. 実践的な教育、中心市街地の空 き物件活用. 現代の暮らしや木賃アパート独自 都心居住の促進、コミュニティ形成 津屋崎のPR、移住支援、エデュ の価値を再考しながら、新たな生 の調査 ケーショナルツーリズムの実践 活像と生活環境を提案. 2004 約30名 9 学生地域活動支援プログラム NPO法人 滋賀県立大学 東北芸術工工科大学 ― ― 東京R不動産、 千歳不動産株式会社. ―. NPO法人とよさとまちづくり委員会 ― 地域貢献型. 産学連携型. 2008 18名 3. 2010 13名 3 インターカレッジのWS形式 ― ― 株式会社エイブル 株式会社オリエンタル産業 株式会社ブルースタジオ 株式会社アトリエイーゼロサン ―. 2010 3名 2. 学生および移住者居住支援. 2009 (スタッフ3名+理事1名) 1. 2011 16名 1. 実験プログラム 佐賀大学、まちなか研究会 佐賀市、ユマニテさが. NPO法人 国庫補助. なし 九州大学新キャンパス計画推進 室 糸島市役所. テクノホーム、佐電工ほか. 地元不動産業者. JA糸島、九大OB相談のる研. 呉服元町自治会. まちづくり団体. 南校区区長会. 企業連携型. 多角連携型. 多角連携型. 組織図. 対象物件 事業 改修資金 スキーム 運営資金. 分析 物件選定 設計 入居者選定 プロセス 家主と合意 形成 利用法検討 改修工事 入居 入居後. 豊郷町における空き古民家や蔵. 山形市市街地に点在する空き物件 古い木造賃貸アパート. 佐賀市中心市街地内の空き家. オーナー負担. オーナー負担. オーナー負担. 出資、佐賀市の研究委託. エイブルの支援. 同上. 大学の活動支援プログラム. ①まちづくり委員会による物件探し ①物件活用の提案 ②入居者募集・決定. ①木造賃貸住宅ワークショップ ②地区分析ワークショップ ③不動産戦略ワークショップ ④物件決定 ⑤レシピ作成. ①研究会でのモデル設計 ②物件決定 ③学生による設計 ③入居者決定. ②オーナーとの合意形成. ③オーナーとの合意形成. ⑥オーナーとの合意形成. ⑤オーナーとの合意形成. ③利用法検討 ④改修工事(おもに学生) ⑤入居 ⑥退去 ⑦オーナーへの返還. ④改修工事(一部学生) ⑤入居 ⑥イベント運営. ⑦改修(一部学生) ⑧入居者募集. ⑥改修(おもに学生) ⑦入居 ⑧イベントへの活用. 15-2. 通常の不動産流通に乗らない物件 糸島市内の空き物件 家賃前払い方式、権利分割方式、 糸島市の研究助成 自主改修方式、出資方式 ふるさと雇用再生特別基金 大学の活動支援プログラム ①地域のPR ②入居待機者リストの作成 ③空き家家主との交渉 ④荷物の搬出・掃除 ①既往学生アンケート調査 ⑤地域イベントでの実験的活用 ②JA糸島による物件紹介 ⑥改修方法の決定 ③入居者決定 ⑦利用希望者の募集(紹介、面談)④学生による設計 ⑧家主との合意形成(見積、家 ⑤オーナーとの合意形成 賃、借手決定) ⑨改修工事 ⑩維持管理 ⑪地域への顔つなぎ. ⑥改修(おもに学生) ⑦入居 ⑧地域への顔つなぎ ⑨イベントへの活用.

(3) 増加していることが明らかとなった。. 二人用シェアハウスとして入居者に転貸 ( サブリー. 4.実証プロジェクト ( 以下、プロジェクト ). ス ) することとなった(図 10,11)。 (2)「空き」を活用した設計手法. 4-1 プロジェクトの経緯 2011 年 4 月、糸島市役所から九州大学新キャンパス. 空き家となった一戸建て住宅、空き店舗部分として. 計画推進室(以下、推進室)に学生居住による空き家. の土間、デッドスペースとしての屋根裏と押入れとい. 活用の問題提起があった。提起に対して、推進室、一. う 3 つの異なるスケールの「空き」を、それぞれシェ. 般社団法人九大 OB 相談のる研が連携し、学生の事務. アハウス、コミュニティスペース、書斎・ベッドとし. 局が中心となった運営手法を提案した。. て活用し、その他の部分を最低限の仕様として改修コ. そこで糸島地域における空き家を活用し、学生住宅. ストを抑え、不動産価値を高めた(図 12)。注 3). へと改修することで、中心市街地の活性化を図り、学. 4-4 プロジェクトのプロセス. 生居住と地域を結びつけることを目的とし、①学生に. プロジェクトは企画、設計、材料調達、施工、入. よる空き家活用の企画と設計、②地元の方々、プロの. 居とアフターケアに分けられ、ユーザー(主に学生). 協力を得ながらの学生による施工、③入居とアフター. と地域資源としての人的・空間的「空き」とを直接. ケア、及び情報発信を通して、糸島に住む学生ならで. 結び付けるための触媒として機能している ( 図 13)。. はのライフスタイルを提案することとなった。. また、入居者先決や材料調達など既存のネットワー. 4-2 人的「空き」の活用ープロジェクトの推進体制ー. クを生かして各段階でリスクを最小限に抑える方法を. プロジェクトの特徴は関係主体の数と多様性にある. 提案、選択していった。. (図 9)。市役所及び JA 糸島の人脈によって産官学民. 5. プロジェクトの成果と検証. が連携し、林業、不動産業、建築設計業、建設業等幅. 5-1. プロジェクトの成果. 広い産業が学生主体のプロジェクトを支援している。. (1)マスメディアによる取材. 4-3 空間的「空き」の活用. プロジェクトは計 14 件のマスメディアによって報. (1)物件概要と事業スキーム. 道された。これらを受けて、空き家オーナー、入居希. 物件は糸島市篠原東に位置し、家主の I 氏が貸家と. 産. して所有する築 30 年の木造平屋の店舗付き住宅であ. JA糸島 糸島市シルバー人材センター 糸島市林業研究クラブ 九大OB 相談のる研 地元施工業者. る ( 表 3)。JA 糸島の協力で家主を紹介してもらい、 現況のまま、固定資産税分相当の賃料、3 年間の期限 付きで賃貸(マスターリース)し、学生の手で改修後、. QREC. 18% 田・山などの開放的な景観. 21%. 14%. 九州大学 新キャンパス 計画推進室 プロジェクト. 12% 自然豊かな環境. 40%. 代表. 10% 8%. 地域住民. 2%. その他. 0%. 3% 出典:箱崎及び伊都キャンパスにおける学生の. (N=1034). 家主I氏. 家賃収入 差し入れ. 民 行政区長. 地区の賑わい 近所の方々 学生居住 促進. 人脈 施設貸出. 官. 2002.6 2004.9 2007.7 2008.3 2009.3 2010.3 2011.3 出典:新キャンパス移転に伴う学生居住に関するアンケート(2002,2004)    伊都キャンパスの生活状況等に関するアンケート(2007 ∼ 2011). 生活行動に関するアンケート調査(2009 年). 図 7 糸島地区の魅力. 糸島空き家 プロジェクト 学生事務局. 糸島市役所 学研都市推進課. 4%. 32%. 空き家の提供. 研究委託. 6% 特に感じない. プロジェクト指導. 新たな 需要. 研究助成. 学. 糸島市(波多江駅周辺) 糸島市(筑前前原駅周辺) 糸島市(上記以外). 16% 4%. 大学の 魅力向上. 図 9 支援体制. 図 8 転居希望エリアの経年変化(糸島市). +120. ベッド. +120. 花壇. 研究 助成. 計画推進室. 九大OB. 仲介. JA 糸島. 相談のる研. 転貸契約 仲介. 地元不動 産業者. 図 10 事業スキーム. 和室. 洋室 6畳. 押入 トイレ. 学生事務局. 募集支援. 賃貸契約. ウッドデッキ. 書斎. ミニキッチン. アガリ. 入居者. 洋室 10畳. コミュニティスペースー まちの縁側ー 15畳. 駐車場. ドマ. N. コミュニティ ミニ スペース ーまちの縁側ー キッチン. 家主. 新キャンパス. フロ. 和室 6畳. 和室 6畳. 書斎. フロ. 糸島空き家プロジェクト 糸島市役所. ダイニング. 和室 6畳. 洋室. +120. 押入. キッチン. 物入. 台所 6畳. 0. 図 11 改修前. 15-3. ベッド. 本棚. 表 3 物件概要. 3m. N. 0. 3m. 図 12 改修後.

(4) 望者双方から、計 19 件の問い合わせが寄せられており、. 報伝達と責任の不明瞭さを課題としている。. 2 件が第二、三弾プロジェクトとして発展している。. 5-2 プロジェクトの課題と改善 今後の課題は継続性である。具体的には組織体制の. (2)プロジェクト参画主体へのヒアリング調査 主体の多くはプロジェクトの PR 効果に期待をして. 明確化、および学生活動の性質上、代替わりが避けら. おり、ユーザーとしての学生と新たなネットワークを. れないため、ノウハウの伝達も課題となる。さらに、. 築けたと感じている。その反面、予算や責任の所在、. 事業スキームの確立や、いかに情報発信を継続し、活. 継続性が課題と感じている。. 動を地域全体へと広げていくかが重要であり、上記の. また、入居者は入居前から様々なシェアハウスを訪. 課題を解決し、活動を継続することが求められている。. ね、工事に参加し、地元行政区の役員とも関係を築く. 課題の検証をもとに、現在進行中のプロジェクトに. ことができた。しかし、多様な主体が関わる中で、情. 改善策を講じた。具体的には①プロジェクトリーダー. 5月. を設置し、定例会を開催することで情報伝達システム. 08 月 10 日 糸島巡り&糸家見学会. を確立し、②事業スキームのメニュー化を図った。 5-4 プロジェクトの社会的意義. 6月. プロジェクトは、①糸島市に不足する若年人口とし. 企 画. 7月. ての学生を「空き」活用の新たなユーザーとして捉え、. 土間の使い方を提案することで、学生と空き家をつなぐ。参加者 14 名. 09 月 04 日 入居者との設計打合せ①. ②地域の人的・空間的「空き」と結び付けることで、 「空 き」を地域資源として解釈し、一時的・恒常的な「空. 8月. 9月 材料 調達. き」の活用を組み合わせることで継続的な地域活性化 につなげる方法を提案した ( 図 14,15)。さらに、③プ. 家主と入居者双方のバランスを取りながら設計を行う。. 09 月 12 日 きこりになろう 2011(1 日目 ). ロジェクトが作り手とユーザーを直結する触媒となる. 設 計. 11月. 加による住宅供給を実現した。そして、④改修工事を 通じて、入居の前段階から、入居者が地域との関係を 森から家に住む住人までをつなぐ間伐・製材体験。参加者計 51 名. 構築する支援を行い、移住支援の在り方を示した。そ. 11 月 13 日 SHOKUNIN になる冬―解体・掃除編―. 施 工. ことで、入居者自ら住宅の改修に携わり、ユーザー参. 10月. のうえ、⑤地域に開かれたシェアハウスを入居者とと 12月. もに実現することで、地方都市におけるシェアハウス 成立の可能性を示した。最後に、⑥地域の既存のネッ. 1月. トワークを活用して、学生と新たなネットワークを構. 職人と学生、社会人をつなぐ改修工事イベント。参加者計 26 名. 12 月 18 日 竣工式. 築し、地域の数多くの支援を受けることでプロジェク. 2月. トが成立した ( 図 16)。このことは、人と人のつなが りが残る地方中小都市の活性化のひとつの可能性を示. 入居. 3月. したと言える。. 地元の方々、工事関係者へ工事の経過報告と入居者の紹介. 図 13 プロジェクトの経過. 付記 本研究は糸島市および九州大学ロバートファン / アントレプレナーシッ プセンタ―の研究助成を受けたものである。さらに、プロジェクト実施に 際しては地元関係者の方々の多くの協力を得た。心より感謝の意を表す。. 空間的. 空き時間 利用の イベント開催. 糸島空き家 プロジェクト. 余剰空間の 用途転用. 一時的. 1) 九州大学新キャンパス計画専門委員会 ,「伊都キャンパスの生活状況等 に関するアンケート結果」, 1992-2011 2) 安原朋恵ほか , 大学キャンパス立地環境と学生の生活行動-九州大学 伊都キャンパスと箱崎キャンパスの比較 , 日本建築学会学術講演梗概集 F-1, pp.93-96,2009 3) 安原朋恵 ,「郊外の新設キャンパスにおける学生の生活と居住に関する 研究」, 九州大学大学院人間環境学府修士論文 , 2011. 恒常的. シルバーの 大工指導. ユーザー (学生). 地域資源. 参考文献. 学生居住. 改修工事 への参加 人的. 図 14 ユーザーと地域資源の接続 図 15「空き」の活用. 注釈 空き. 空き. 地域資源. 空き. 空き. 注 1) 滋賀県立大学の環境・建築デザイン専攻の学生を中心とした、滋賀 県豊郷町における空き古民家や蔵の改修・活用事業を行う団体。このほか にウェブ上で内容が確認できたもの、かつ組織体制が異なる 3 つの先行プ ロジェクトを抽出した。 注 2) 福岡県福津市にて移住支援を行う NPO 法人地域交流センターの出 先機関。ここでは、先進事例である津屋崎ブランチを参考として、学生プ ロジェクトの課題の解決策を考察を行う。 注 3) 家賃は改修前の 4 万円に対して、改修後は 2 人で 5 万円となった。. 空き プロジェクト 地域資源. 地域資源. 空き 空き. ユーザー (学生)プロジェクト 空き. 空き. ユーザー (学生) 空き. 空き. 地域資源 プロジェクト. 図 16 既存ネットワークの活用. 15-4.

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