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彫刻の空間について 一一自作品の考察一一

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Academic year: 2021

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(1)

彫刻の空間について 一一自作品の考察一一

教科領域教育専攻

芸術系(美術)コース

三 木 健 司

はじめに

木や石などの実材を素材とした彫刻は,従来,

内部にその素材がぎっしりと詰まっている無垢 であるものが多かった。一方で,ブロンズなど を用いた『型取引による鋳造彫刻や多くの金 属彫刻は,内部に空間をはらむが,これらは本 来は塊である彫刻の表面をつくったものである

と言えるだろう。

大学時代からしばらく,塑造による人体彫刻 を手がけていた筆者は r 石膏取り

j

の作業を 練り返すうちに,構造体としての彫刻のこの内 部空間には,造形上どんな意味があるのかとい

う思いを持つようになっていた.

最近の 1 0 年間,筆者は木彫の制作を続けてい る。その問,彫刻をつくりながら考えてきたこ とは,どういう作品をつくれば自分の創造性が 発揮できるかという,いわば独自性の追求であ った。その過程で,彫刻と空間について考えた ときに,自分の中で意味を明確にしたいという 気持ちが強かった彫刻の内部空間を,コンセプ

トの上で,または造形上,意味のあるものとし てつくってみようという結槍に至った.

自作品の空間

筆者の最近の作品について,コンセプトや技 法,個々の作品の空間について述べている。

指 導 教 官 野 崎 鏑

コンセプト

筆者がどう

b

、う考えで内部に空間をはらむ彫 刻をつくるようになったかを述べ,その内部空

間の意味を分析している。

技 法

筆者が内部空間をはらむ彫刻を制作するにあ たって用いている技法を解脱し,作品の中での 効果や意味について分析している。

(1 ) 寄せ木について

(2) 

僧形千切りと鼻栓について

自作品の空間の解脱

筆者の彫刻 l の空間に対する意織がどのように 変化してきたかを分析し,その特徴や課題点の 考察から,作品がいかに展開してきたかを飴じ ている。

(1 ) 

内部空間を完全に開いたもの

( 2 )   閉じることで内部空間を意織したもの

(3) 

隙間から内部空間と外部空間のつながり

を意書院したもの

‑422‑

(2)

( 4 )  

場を意蔵したもの

(5)  塊で表面と内部と外部のつながりを意自民 したもの

(6)  作品と内部と外部の~聞が一体化するよ

うに意醸したもの

空間における他作家との比較

筆者自身の彫刻空間を客観的に述べるため に.他作家主筆者の空間意織の比較を行ってい る。

1 アントニー・ゴームリーと筆者 2 ノレーチョ・フォンターナと筆者

3 戸谷成維とデイヴィッド・ナッシュと筆者

構成主義におけるナウム・ガポと筆者

E  個展における空間構成

空間についての筆者の新たな展開として,個 展会場における空間構成についての意識を述べ ている。

おわりに

るというように変わってきた。空間に対する考 え方の変化をまとめていく中で,筆者のつくる 彫刻と内部空間と外部空間の関係性は,それぞ れ分隠していたものが,徐々にではあるが統合 化されてきたように感じている。この統合化も

しくは一体化という概念の中にこそ,関係性を 採っていくための重要な鍵があるのではないか と考える。筆者の彫刻に内外の空間との統合化 もしくは一体化という観点が備わったことで,

彫刻とその周囲の空間の狭い範囲で考えていた 筆者の彫刻空間には,彫刻が無限の空間との関 係の中で成り立つという意味で,新たな出発点 が見えてきたと言えるだろう。

結論として言えることは,筆者にとって,彫 刻jの空間とは,関係性を表現するための手段で あるということだ。筆者が彫刻をつくるという ことには,これからも様々な人々や出来事と関 わっていく自分自身の生き方を探るという主観 的な意味があると同時に,木彫という表現分野 において,空間との新たな関係性を追求してい くという造形的な意味があると考えている。筆 者のつくる構造物(立体)は,日常にある物とし ての意味を剥ぎ取り,新たな意味との出会いを 提示するようなオブジェ的なものではなく,あ くまでもつくることを核とし,空間や場との関 係性を問うような造形性を重視した彫刻

J

であ る。今後,さらに彫刻という観点から,独自性 を強く打ち出し,新しい彫刻の在り方を探求す るような作品をつくっていきたい。また,個展 などの作品の発表についても,発表する場とし 筆者の「空』シリーズの空間に対する造形的 ての空間を強く意践して行っていきたいと考え な意識は,彫刻の内部を空間として開くことか ている。

ら始まり,その開いた内部空間を閉じ,そして,

隙聞を設けて外部空間とのつながりをつくり,

さらには,彫刻と作品内外の空間を一体化させ

4 2 3  

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