モデルのシミュレーション
著者 久所 之夫, 北嶋 巌
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 31
号 2
ページ 117‑195
発行年 1983‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4352
工 学 部 研 究 報 告 第3l巻 第2号 昭 和5&年9月
TEA CO
2レーザ用可飽和吸収ガスの特性 ( 1 )
一一吸収モデルのシミュレーション一一
久 所 之 夫 * * 北 島 巌*
Characteristics of Gaseous Saturable Absorbers for a TEA C02 Laser (1) Simulation of Absorption Models
Yukio KYUSHO and 1wao K1TAZ1MA
CRec θived Aug.15. 1983)
Several energy‑level models are discussed for a saturable absorber of SF6 gas in a TEA C02 laser system. The transmission as a function of incident photon flux is simulated by a computer calculation with some molecular parameters from Gordon's 2‑1evel mode1, and the 3‑ or与‑1evel models by Huff and DeShazer. The 1a七ter mode1s of two absorption processes can interprete七he overa11 experimenta1 resu1ts of the transmission behaviour divided into two regions of七he incident C02 1aser 1ines. The simply‑
saturated absoroption behaviour for C02 P(lO)~P~22) lines may a1so be treated with the 2‑1eve1 model, while the complex transmission behaviour with a "dent" for C02 P(24)‑‑‑‑P(30) 1ines must be amenab1e 七o interpre七a七工on by means of either the 3‑1eve1 mode1 or 七he 4‑
level with varia七ion of the parameters (σ21 • r ,
, . )
These relevant parameters on the molecular excitation and relaxation processes are determined by comparison of theory wi七h experiment.1 は じ め に
SF6を代表とする CO2レ ー ザ 、 に お け る 可 飽 和 吸 収 ガ ス は , 従 来 ま で は 受 動 的(passive)なQ, ー ス イ ッ チ ン グ , モ ー ド ロ ッ キ ン グ に 必 要 な 可 飽 和 吸 収 体 Csaturab
ユ
e absorber)として用い られてきたど4) し か し な が ら , そ れ ら の 艦 和 時 間 が 比 較 的 長 い た め , 短 パ ル ス 化 を 目 指 す モ ー ド ロ ッ カ ー と し て は 不 適 当 で あ り , 最 近 で は 緩 和 時 闘 が 非 常 に 短 い (ζ数ps)P型Ge半 導 体 が よ く 用 い ら れ る よ う に な っ たP
しかし,その反面F型Ge半 導 体 は , 損 傷 闘 値(darmge threshold) が 可 飽 和 吸 収 ガ ス に 比 べ て 低 く , こ れ を 用 い た レ ー ザ 共 振 器 か ら 高 出 力 ノ ミ ル ス を 一 気 に 取 り 出 そうとすると,出力上大きな制限を受けるO そのため CO2レ ー ザ に お い て 高 出 力 ・ 短 パ ル ス を 得 よ
*
福 井 大 学 工 学 部 電 子 工 学 科料 現 在 , 日 本 電 気 レ ー ザ ー 装 置 開 発 本 部 勤 務
うとする場合は, p型Ge半 導 体 を 用 い て モ ー ド ロ ッ ク を か け た レ ー ザ 発 振 器 か ら 得 ら れ る 低 出 力 短パルス列の lつをOdTeなどのスイッチング素子を用いて切り出し,その単一バルスを幾段かの 増幅器を通すことにより高出力短バルスを得るようにしている
f
ところで,このように増幅器を幾段も重ねて高出力パルスを取り出そうとすると寄生発振(par‑
astic osci工ユation)が生じ,この制御が大きな問題になってくるO寄 生 発 振 は い く つ か の 理 由により生じることが分っているが?その中で主要なものに, 1)放電チャンバー内におけるレーザ 光の反射・散乱, 2)増幅器の段聞における結合によるものがある。ここで1)の防止策としては,
チャンバー内面または電極材に特殊A Rコーティングを施すことが試みられているo2)の防止策と しては, 従 来 か ら 固 体 レ ー ザ な ど に お い て 用 い ら れ て き た よ う に フ ア ラ デ 一 回 転 子 を ア イ ソ レ ー タとして用いる方法があるわしかしながら, 002レーザ波長(9.6μm,10.6μm)において現在知ら れているOdTeなどのフアラデ一回転子は非常に高価な上,大口径のものは作りにくい。 これらの 理由から,アイソレータとしては可飽和吸収ガスが手軽に用いられるようになった
f
可 飽 和 吸 収 ガ スは, damage thre shoユ4が高く, またガスである故に光学的破壊の心配もない。さらに吸収 ガスの種類を選ぶことによって吸収波長領域も調節でき,吸収量もガス圧,セル長を変化させるこ とにより自由にコントロールすることができるなどの利点を有するf
従 っ て , 高 出 力002レーザの アイソレータとしては,現在のところ可飽和吸収ガスが最も使用に耐えうるものと考えられるO以上述べた寄生発振抑制の問題は大変重要であり,これをどのくらい抑えられるかによって,用 いるレーザシステムから取り出せるエネルギーが決まってくるO そのため, レーザ核融合などを目 的とする高出力002レーザシステムにおいて10)この可飽和吸収ガスの特性を十分に把握することは 最も大切なことと考えられるO また,その吸収特性の結果から,物理的な可飽和吸収モデルを構築 することは,可飽和吸収ガスを用いた大出力レーザシステムの設計において, レーザ出力の特性を
シミュレーションする場合に是非とも必要であろうと考えられるO
そこで我々は,以前から調べているSF6の可飽和吸収特性の実験結果をもとに,多原子分子ガス の可飽和吸収モデルのいくつかを仮定し,励起および緩和のパラメーターを変化させ, シミュレー
トして実験値と合うようにその吸収特性を検討してみたF12)
2 可飽和吸収の理論とモデルの検討 2 . 1 入射光強度による吸収係数の変化
吸収媒質を dz長 通 り , 減 衰 す る 光 の 強 度dIは, Lambert‑Beerの法則によって次のように 表わすことができる。
(1)
但し, αは吸収係数であるO ここで簡単のためにFig.lの2準位系において, σを吸収断面積,
N(=N1)を励起されていない分子密度(population)とすると, α= aNの関係があり, 入 射 光波長に依存するが,入射光強度工には依存していない。それ故,透過光強度工outは, 入 射 光 強 度をIinとして ,(1)式を吸収媒質長Lにわたって積分することにより,
工out= 1ュnexp (一αL) (2)
の 形 で 求 め る と と が で き るO
ところで, (1)式 は 厳 密 に 言 え ば 小 信 号 吸 収 領 域 ( 線 形 吸 収 領 域 ) で 成 り 立 つ も の で , 入 射 光 強 度 が 大 き く な っ て 吸 収 に 与 か る 上 準 位 が 飽 和 す る よ う に な り , 下 準 位 の 分 子 密 度N1が 減 少 す る と , 吸
収 断 面 積dは小さくなるO そ れ 故 も は や こ の 線 形 ① l 皆 N1
② N2
σ A21
吸 収 法 則 は 適 用 さ れ な く な るO こ の よ う な 入 射 光 Fig.l. Two energy‑level model 強 度 に よ る 吸 収 係 数 の 変 化 は 以 下 の よ う に い く つ of one absorp七ion process wi七h か の 非 線 形 吸 収 の モ デ ル に よ っ て 議 論 す る こ と が σexcitation and A21 relaxa七ion
できる
p
paraI間七ers.2 . 2 2準 位 系 モ デ ル
物 質 に 光 が 吸 収 さ れ る モ デ ル は , 上 述 し た 最 も 単 純 な 形 で 考 え れ ば , Fig.lの よ う に 低 い 準 位 ① か ら 高 い 準 位 ② へ 分 子 密 度 が 共 鳴 遷 移 す る 2準 位 系 と み な す こ と が で き るO
一 般 に よ く 用 い ら れ るGOrdonの2準 位 系 吸 収 モ デ ル に お け る 吸 収 係 数 の 非 線 形 的 変 化 は , よ く 知 ら れ て い る よ う に 利 得 の 飽 和 を 表 す 次 の 関 係 式 を も と に 導 か れ る
P
日 一 +
G (3)
ここでGは 利 得 係 数(gain coefficien七)で, GOは 小 信 号 利 得 係 数(sma工ユ signal gain coefficien七)であるO 利 得 係 数Gは , 上 準 位 ( 励 起 状 態 ) の 分 子 密 度N2と下準位(基底状態) の そ れN1との差で与えられるo(3)式 に お い て , 利 得 係 数G を 損 失 係 数 ( 吸 収 係 数)αに置き換える と 次 の よ う に 書 く こ と が で き るO
α α
。
(l+t)n
(3y
但し, α。は小信号吸収係数(smaユ工‑signal absorption cOefficien七), 18は 飽 和 強 度 (su七uration in七ensi七y)で 吸 収 係 数 が 小 信 号 吸 収 係 数 の 半 分 に な る と こ ろ の 入 射 光 強 度 で あ るonは 関 与 す る 光 学 遷 移 が 均 一 な 拡 が り で あ れ ば ド1, 不 均 一 拡 が り で あ れ ばn=tであるo 従 っ て 準 位 系 モ デ 、 ル に お け る 入 射 光 強 度 と 透 過 光 強 度 の 関 係 式 は , (3)式を(2)式 に 代 入 す る こ とにより
一n
o一 工 一
T吋α
一 +
〆16k
p x e
n. ︑
i ‑
T4
一 一
十UU O Tム (4)
で表わされるO
(4)式から 2準位系モテ事ルの吸収特性を決めるパラメータは, nが 吸 収 媒 質 に よ っ て 定 ま っ て い るから, α。と 18の2つ で あ る こ と が 分 るO とこではFig.2にn=1として18=O. 3の と き 線 形 透 過 率Toが O. ,1 O. 01, O. 0001と な る よ う に 線 形 吸 収 係 数α。を2.3, 4. 6, 9. 2と 変 化 さ せ た 場 合 の 透 過 率 曲 線 の シ ミ ュ レ ー シ ヨ ン 結 果 を 示 すO 小 信 号 吸 収 係 数α。が大きいほど,コントラスト比 Tc
(=ム九工)は大きくなるが,飽和強度工自の位置は変わらないo透 過 率10070が 完 全 飽 和 の 状 態 で あ
100
To=1O‑1
‑ J P P J d ν A h
r‑‑.. 10 6ミ
↑
10‑2
一 一 ー ー ー ー
0.1
10‑3 10‑2 10‑1 10 Iin
Fig.2. Transmission as a func七ion of inpu七 intensi七y predic七ed by Gordon's 2‑1evel expression on Fig.l for several values of七he parame七er '1'0 wi七h 工 0.3 and n 工.
るO 実験結果との対比は後述するO
2.3 3準位系モデル 4準位系モデル 2 • 3 . 1 モデルの検討
HuffとDe8hazer14)は. 1970年 に ク リ プ ト シ ア ン(cryptocyan工ne)などの有機色素の吸 収 特 性 を 説 明 す る た め に , 基 底 状 態 か ら の 吸 収 過 程 の 外 に 励 起 準 位 か ら の 吸 収 過 程 を 有 す る 複 合 吸 収モテソレを考えたO即 ち , 有 機 化 合 物 の エ ネ ル ギ ー 準 位 は , 分 子 に お け る 電 子 ス ピ ン 角 運 動 量 の 総 和 を 臼 と す る と き , 基 底 状 態 か ら 励 起 状 態 に 上 が っ た 電 子 ス ピ ン が 互 い に 平 行 で あ る か , 反 平 行 で あるかによって, 8=0の場合と 8= 1の場合に分かれるO 即ち,各励起準位は一重項状態(sin‑
glet sta七es)と三重項状態(七rip
ユ
et states)に分かれるO そこで,彼らはレーザ光によ る励起によりまず一重項状態聞で80‑81吸 収 が 生 じ , こ の 励 起 準 位81から三重項状態T1へ項間 交 差(in七ersystem crossing)して,その準位から新たなT1‑T2吸収が生じる4準 位 系 モ デ ルを考えた。ところでこのように2つの吸収過程をもっそテールは ,8F6ガスなどの基本振 動モードの多い多原子分子の赤外吸収モデル にもうまく適用させることができると考えら れる
P
即ち,n{闘の原子からなる多原子分子 は3n‑6(直線分子では3n‑5)個 の 基 本 振動 モ ー ド が あ る か ら , こ の 中 の い く つ か の 赤 A21
外線モードの 1つにおいて吸収された分子は ① ー N1
他の振動モードへ ,V‑V遷 移 し , そ の 励 起 Fig.3. Four energy‑level model of 準位からの別の吸収があると考えられるO こ
の複合吸収モデルをFig.3に示すO
この4準 位 系 モ デ ル の 他 に も パ ル ス 幅 が 振
七wo absorp七ion processes with σ21 excita七ion and γ
,
relaxation parame七ers;σ21=σ2/fJl,
r =A担/企21), =
(A31+ A32) / A42③ N
④ N4
112 A32 σ2 ム必
② N
③
N
σ1 A d l
① N1 ① 1 占 N1
Fig.5. Modified model of Fig.4 Fig.与 Three energy‑level
model of two absorption with 1121 exci tation and γ
,
processes wi七hσ21 exci七a七ion relaxa七ion parame七ers;σ21=σ2/σ1"
and 'relaxa七ion parame七er s ;
r
= A 32 / A 2 1, =
(A 31 + A 32 ) / A 431121 = 112/σ1
, ,
A211 A32動緩和時間より長い強力なレーザ光で励起した場合は同じモード内で多段励起される場合が考えら れるO この場合は 2つのモデルが考えられ,先ず吸収に関与する同じモード内でのみ緩和する 3準 位系の場合をFig.4に示すO 次に, 基底状態への緩和に際して別の振動モードへ
v‑v
移乗する 見かけ上の4準位系(変形3準位系)の場合をFig.5に示すOHuIIら14)は, これらの 3つの複合吸収モテeルを以下に述べる光子輸送方程式(photon七:rans‑ por七 equation)によって解析したO彼らは,入射光強度工の関係である飽和因子(satura‑
tion Iactor)ε(工)を導入したo e(工)を(1)式に用いれば d工
ー ァ ー = 一σNe(I)工
Q Z (5)
となるO そこで(3)式を入射光強度Iinから透過光強度Ioutの間で吸収媒質長だけ積分すれば(2)式に 対応して
n u 巾ム
n
一 一L ﹁ ム
N σ
ムT 一 一一
工 一 円 ︑
Jd
一
rl
ト
‑FC
+u
u ‑
o n
T ム
・ 工
f14
(6)
となるO とこで, Toは,小信号吸収領域における透過率であるO実際に(6)式を解くには,入射光強 度に依存する飽和因子E (工)を知る必要があるが,これは吸収機構によって定められるものであるO
2.3.2 4準位系モデルのシミュレーション12)
まず, Fig.3の4準位系モデルについて調べてみるO 図中の111,σ2はそれぞれ基底準位①,励 起準位③からの励起率を示す吸収断面積を表わし, Aijはそれぞれの準位①から準位①へ緩和する ときの緩和率を表わしているO このモデルにおいて(5)式に対応するものを書き表わすと次のように なるO
d工
dz ー (111(N1‑N3)+σ2(N2‑N4))工 従って飽和因子は
(7)
E = N1‑N3 + ~ N2‑N4
一 一 一 一
No 111 No
(8)
となるO ここで,
N
iはそれぞれの準位①の占有数,即ち分子密度でありN
oは 全 占 有 数 , 即 ち 全 分 子 密 度 (No= 土
1N i)で与えられるO次 に , 各 準 位 に お け る レ ー ト 方 程 式 を 求 め るO こ れ を 簡 単 に す る た め に レ ー ザ パ ル ス 幅 が 振 動 緩 和時間より長いと仮定して,定常状態において解くことにする。そうすれば, (8)式 か ら 工 の 関 数 の
Eを求めることができ, (6)式を用いて計算することにより,
l+C? I;~
ユロ C~T 0
)
~ = C~,--J1n ( , 1~ 十: :CZT1in':::" 凶 )+
C~I;n ムμ( 1‑T) (9) なる基本的な飽和方程式(saturationequation) を得る O ここで C 工 (i=1~3) は,吸収断面積dュ(i = 1, 2 ) ,緩和率A工j(i, j=1~4) からなる定数である O また Toは線形透過率で, Tは 光 子 密 度Iinのときの透過率であるo Iinは 入 射 光 強 度Iinに関係する励起実効値で,
Iin =σ1T1工n
。 。
{11し, T = ( A 31
+
A 32 )一1で 表 わ さ れ る 入 射 光 子 量 (inciden七photonf
ユ
ux)であるO尚 , 図 で は 簡 単 の た め に 振 動 単 位 は1本 の 線 で 表 わ し て い る が , 実 際 に は 各 振 動 準 位 は 分 子 の 回 転 準 位 に よ り 拡 が っ て い るO 従ってレート方程式を解く場合には, こ れ ら の 準 位 に 対 す る 考 慮 が 厳 密には必要であるが, ここでは振動励起状態③,④の内で回転準位(jJ,
o
を 考 え , そ の 聞 の 回 転 緩 和 率 A3'3' 及 び Aど4を仮定するO と こ ろ で , 一 般 に こ の 回 転 準 位 聞 の 緩 和 は , 振 動 準 位 聞 の 緩 和 に 比 べ て 非 常 に 速 い の で , 実 際 に 計 算 し て み る と 近 似 的 に 回 転 準 位 聞 の 緩 和 を 考 え な い と き の 簡 単 な 式に近似することができる O これにより (8) 式におけるパラメータ C 工 (i=1~3) は次のようにな る。C
, =l+r‑ ,
一 回1 σ 2 1
r
C2=σ 21
r
C3= ζ
但し, σ~ 21一σI y =
‑ 与 し
.e:l.21 ζ A 3
一 一 け
A32=42
(l~
以 上 の 理 論 的 解 析 を 用 い て 4準位系モデ『ルの透過率曲線のシミュレーションを行ってみるoM, 帥式の関係を用いて, (9)式 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を し た 結 果 をFig.6~8 に示すO
(1) σ21に よ る 透 過 率 曲 線 の 変 化
σ21は
dd
σ1で 定 義 さ れ 基 底 状 態 ① か ら の 吸 収 に 対 す る 励 起 状 態 ② か ら の 吸 収 の 比 を 示 す も の で ある。それ故, σ21が 大 き い と き を 考 え る と 入 射 光 強 度Iin(相対値)が大きくなるに従い,基底状 態 か ら のσ1吸収が飽和するのに反し, σ2で 表 わ さ れ る 励 起 準 位 か ら の 吸 収 が 増 大 し て , こ の 準 位 の 飽 和 が 始 ま る ま で 透 過 率Tが減少することが予想されるOFig.6には, r ( == A3
z 1
A21 ) = 1, ,三(A31+
A32 ) / A42 = 1の場合に, σ21を10‑3から 102まで変100ト
ぽミ
ー ‑ ‑ 一 三 : ; : : ; : ‑ ・ ‑ ‑
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一 一
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10‑1 Iin
10
Fig.6. Transmission varia七ion with inciden七photon f1ux predic七edby sa七ura七ion equa七ion on件‑leve1 mode1 of Fig.3 for severa1 va1ues of 021 wi七h
r
=1To =0.5. Solid curves (=1; dashed curve (=0.
化させたときの透過率曲線のシミュレーション結果を実線で示すO σ21":' 1のときは,入射光強度 を大きくするにしたがい,吸収はある飽和開始強度より徐々に減少し,透過率が単調に増大し,そ の後吸収が完全に飽和する 2準位系モテeルと同じ吸収特性を示すO これは励起準位②からの吸収の 割 合 が 小 さ く 準 位 系 の 吸 収 モ デ ル で 近 似 で き る こ と を 意 味 し て い るO しかし, 021
>
1の場合 には励起準位②からの第2吸収が重要になってきて,入射光強度が大きくなるとこの第2の吸収に よ る 透 過 率 曲 線 に へ こ み "(den七)が生じる現象があらわれるO σ21が大きいほど へこみ"は深 くなることが分るOここで図中の破線は γ=1のまま (=0としたときの計算結果を示したものであるo (は第 l励 起 状 態 ③ と 第2励起状態④との緩和率の比であるから, (=0は第2励起状態④よりの緩和が非常 に大きいと考えられるO 即 ち 第2の吸収が非常に大きくなるO この場合はσ21":'1のときはゆっくり と透過率は上昇しているが, σ21>1のときは逆に吸収は徐々に大きくなり,透過率は Oに近づいて いくO
(2) γによる透過率曲線の変化
r (
=A3Z/ A21)は励起状態より別の振動準位への移乗の割合を表わしており, この4準 位 系 モ デ ルでは 0'21の大きさと共に第2の吸収の重要性を表わすノ4ラメータとなるo Fig. 7 (a)に To=0.20'21= 1, (= 10の場合に rを10‑2から102まで1桁ずつ変化させたときの透過率曲線の計算結果を 示 すo(1)項の結果により 021=1では2準位系モデルの吸収特性に近いことが分ったが,この場合 は, rが小さくなるにつれて飽和強度が入射光強度の大きい方へずれることが分るo rが小さくな るということは A21が相対的に大きくなるため 2準位系の吸収において上準位が飽和しにくくなる ためであると解釈できるO ここで注意してみると, ァが変化すると透過率曲線が入射光強度の横軸 をそのまま平行移動するのではなく,吸収の飽和による曲線の立上り勾配(コントラスト比rc)が 異なってくることが, このシミュレーシヨンの結果から分るo r= 1のとき,即ちA32=A21のとき には透過率曲線の立上り勾配が最も急であり ,rがlより大きくても,小さくても γ=1の勾配よ りゆるやかになるo
r>
1のときは,吸収の飽和し始める強度付近はゆるやかであり,r<
1のと1001‑
E晃 50い
E→
O 10‑3 1..0L‑.‑2 .1.0L‑.‑1 ム
4
10
ハH
u nu u
喝a・E
目 .
(b)
O 10‑3 10‑2 ¥0‑1 10 Iin
Fig.7. Transmission varia七ion with incident ph七on f1ux predic七ed by Fig.3 for severa1 va1ues of
r
wi七h, 工0; (a) d21 =1, To =0.2 and (b)σ21 =工0, To=0.5.
きは完全飽和に達するところがゆるやかであるO
次にFig.7(b)で示すように, σ21= 10の場合での Tの影響について調べてみる。 σ21>1であるか ら第2の吸収による透過率曲線における へこみ"がみられるはずであるO 図で分るように T込1 のときには4準位系特有の第2の吸収による へこみ"が見られるが, γ<1のときは2準位系の 単調な吸収特性になる。 γの大きさに依存する理由としては
r
がlより大きい即ちA沼>A21とな る と 他 の 振 動 モ ー ド へ の エ ネ ル ギ ー 移 乗 が 大 き く な り , そ の 結 果 , 準 位 ② の 占 有 数 (N2 )は大きく なり,第2の吸収(σ2N2工)が大きくなるO逆にr<l
のときはσ2>σlであってもA32が相対的に 小 さ く な り 第2の吸収による寄与は少なくなるものと考えられる。(3) ,による透過率曲線の変化
Fig.8 (a)にTo=0.2 σ21= 1, r=10の場合, ζを1から104までl桁ずつ変化させたときの透過 率曲線のシミュレーション結果を示すO 先ずCが小さくなるに従って,飽和強度が入射光強度の大 きい方ヘずれることが分るO これは
c
が小さくなると即ち緩和率A42がA31十A32より大きくなるこ とであるから,第2の吸収の飽和がしにくいことを表わしており,系全体としての吸収飽和が入射 光強度の大きい方へずれることを意味しているOぜミ '‑" 50ト
E J .~ j f . , . . /
. .
' ./( a) Eベ
0 10‑3 .1.0l‑.‑2 .1.0L.‑.‑1 4 4 10
ト
,,<::>
50
0 10‑3 4 10‑2
i
10‑1 10
Iin
Fig.8. Transmission varia七ion wi七h inciden七photon f1ux predicted by Fig.3 for severa1 va1ues of
,
wi七hr
=10;(a)σ21 =1, To=0.2 and (b)σ21=10
,
To=0.5.次に励起準位②からの吸収の割合を大きくした場合を調べてみようoFig.8 (びにσ21= 10と大き くして
c
を変化させたときのシミュレーシヨン結果を示すo ,が小さいときには, 0"21> 1であるか ら予想通り透過率曲線に へこみ"が現われ, ,が小さいほど入射光強度の大きい方へずれるが,へこみ"の深さも大きくなることが分るO ところで 0"21= 10のときでも
c
が大きいときは2準位 系の吸収特性に近くなるOこれはCが大きくなると相対的にA42が小さくなり,励起準位②からの 吸収がすぐに飽和するためであろうと考えられるO このことはFig.8(a)のCの変化に対する透過率 曲線のずれの説明と通じるものがあるO2 . 3 . 3 3準位系モデルのシミュレーション
次にすig.4の3準位系モデルについて調べるO 前節と同様にして, 3つの各準位においてレート 方程式をたてて,これを解くことにより, Oi ( i = 1 ~ 3 )を求めたO
01=1一(σ21
+
1 ) (,+
1 ) l σ 2 1 ( 1 +ぐ)2日一
一 一
山円U
。
2=σ21( 1+ , ) ω
但 し σ21 = (}2 / (}1
,
= A21 / A32との場合は第1励起状態②からの緩和過程は lつしかないので,緩和速度比Tは存在しないo第 1励起状態②と第2励起状態③の緩和速度比Cのみが考慮されるO
(1) σ21による透過率曲線の変化
Fig.9にToニ 0.5, , = 1の場合に(}21を10‑4より 103 まで変化させたときの透過率変化のシミ ュレーション結果を示すo Fig.6のときと同様にσ21
<
1のときは入射光強度の増大に従い,透過 率が次第に大きくなる 2準位系の吸収特性に近くなるのに対し, σ21の値が1より大きくなると透 過率曲線に へこみ"が生じるようになるO 叉,吸収の飽和し始める強度は (}21が大きくなる程,小さい強度の方へ移行することは注目されるO
1む
し 50 E→
O 10‑3
よ
10‑‑2 4 10‑1
I工n
よ 10
Fig.9. Transmission varia七ioηwith incident pho七on f1ux predic七edby sa七ura七ion equa七ion on 3‑1eve1 mode1 of Fig.4 for severa1 va1ues of (}m wi七h To=o.5
,
ζ=1.(2) ,による透過率曲線の変化
Fig. 10 (剖にTo=0.2, σ21 = 1の場合のCを102から10‑4まで変化させたときの透過率変化のシ ミュレーション結果を示すO σ21 = 1では, (1)項でみたように 2準位系の吸収特性を示すが, ,の 値が小さくなるほど A犯が相対に大きくなり,飽和強度が大きくなることが分るO ここで注目す べきことは, ,がlσ2以下になるとまずσ1励起により基底準位①からの吸収が飽和し,次に σ2励 起により励起準位②からの吸収が飽和する様子が分離した形で明確になってくることであるO この ように2段階の飽和現象がみられるのは'<1により,緩和率A32が大きく,第2の吸収が仲々飽 和しないことによるものと考えられるO
Fig. 10 (司にはTo=0.5, (}21ニ 10の場合にCを102から 10‑2まで変化させたときの透過率変化の シミュレーション結果を示すO σ21 = 10であるから励起状態よりの励起率 σ2 が基底状態よりの励 起率引より大きいので, Fig.9でみたように透過率曲線に へこみ"を生じるO 但し, ,が10, 102と大きいときは ,A32はA21 に比べて小さく励起準位②からの吸収はすぐに飽和するため 2準 位系吸収に近い特性を示すo ,が lより小さくなると透過率曲線に へこみ"が生じ,励起準位② からの吸収が大きくなることが分るO ここでCが小さい程A32が大きくなり上準位③が飽和しにく
~ "‑‑' 50
トt
ぜ ミ E‑‑!
O 10‑1
50
O 10‑2
I
..L‑ 10‑1
ム 10
ム Iin
..L. 102
ム 10
4 103
ム.
102
Fig.10. Transmission variation wi七h incident pho七on f1ux predic七edby Fig.与 for severa1 va1ues of
,
wi七h(a)σ21=1, To=0.2 and (b) 0"21=10, To=O.5.
くなるため,飽和強度は入射光強度の大きい方へずれていくと共に透過率曲線の へこみ"は深く るO
2.3.4 変 形3準位系モデルのシミュレーション
Fig.5のモデルについて調べるO これは一見4準位系ではあるが,前述の 3準位系の中に別の緩 和過程を挿入したものであるO 前節と同様の方法により Ci(i=1'"'‑'3)を求めると次のようになるO
C,ー‑ (σ21(+γ+2)(1+()ー(3+()(
(1+
,
)2C2 = 0"21 ( 1
+ , )
C
, ー
‑ (3+7)' υ 1 + ' 但 し 0'21= O'd
σ1γ = A3
d
A21A~l
+
A~?, = ‑ ‑ . . : 示 プ ニ
これらの結果を用いてσ21.γ, ,を変化させて透過率曲線のシミュレーションを行うO
帥
(1) 021による透過率曲線の変化
Fig.l1にTo=0.5 γ=1, (=1の場合に021を10‑4から103まで変化させた透過率曲線を示すO
励起準位⑤からの吸収が相対的に小さいとき,即ち021~ 1のとき透過率曲線は入射光強度が大きく なるにつれて単調に飽和に達する 2準位系吸収モテ酔ルの特性を示すO他方, σ21> 1のときは入射光 強度を大きくすると励起準位③から④への光励起が増大して,第2の吸収のあることがはっきり分 るO しかし準位④が飽和するにつれて再び透過率は増大して100%に近づくO ここで σ21が大きく なる程,第2の吸収が始まる強度が小さくなることが分る。これは同一振動モード内で多段励起さ れσ2が01に比較して大きい程,準位③からの第2の吸収が入射光強度の小さいところで可能にな るためであるO
ここで(=0と極端な場合を考えると,破線のように透過率曲線は変化するO 第2の吸収(励起 準位③からの吸収)が大きくなるのは準位④の緩和A紛が大きくなるためと考えられるO そのため 特に σ21の値が大きいほどこの吸収は低い入射光強度から大きくなっているO また準位③からの吸 収が比較的小さい021= 1のときはシミュレーションの結果,透過率曲線に へこみ"が生じないで 2準位系の飽和を示すことも分ったO σ21 === 0 ,即ち励起準位③からの吸収がほとんどないときは,
(=0にしても当然ながら透過率曲線にはほとんど大きな変化を与えていない。
円U
(誌)↑
O 10‑3 10‑2 10一1
ム 10 工工n
Fig.11. Transmission varia七ion with incident pho七on f1ux predicted by sa七ura七ion equation on modified 3‑ユeve1 mode1 of Fig.5 for severaユva1ues of 021 wi七h
γ=1 , To =0.5, Solid curves, (=1; dashed curves, '=0.
(2)
r
による透過率曲線の変化Fig.12 (a)にT0 = O. 2, 021 = 1, (= 1 の場合に T を 0.1~103 の範囲で変化させたときのシミュ レーションの結果を示すO σ21 ;6'小さいので, 2準位系の吸収特性を示すことが予想されるが,
r
の値が大きくなるほど吸収飽和強度が小さくなる。これはγ=A32 / A21 であるから .A認がA21に 比して柏対的に大きくなるということで,入射レーザ光により準位③に励起された分子はその後基 底状態①へ緩和するが A21が小さいため σ21=1, (=1のこの場合では第l励起状態③および第 2励起状態④が同時にpopu
ユ
ateされていき,同時に σl'σ2の吸収過程が飽和していくので,単 純な2準位系モデルの吸収特性を示すと共に A21が小さいことにより励起状態③④は同時に飽和'‑‑' 50
←
O 10‑3 .1.0L.‑..2 .1.0L‑‑1 4 1 4 10
n 句 ︒
U
唱Ei
nU
.l‑
10‑2 ムー10‑1 4 10 Iin
Fig.12. Transrnission varia七ion with incident pho七on f1ux predicted by Fig.5 for severa1 va1ues of
r
with'=1; (a)σ21=1
,
To=0.2 and (b)σ21 = 1 0 0,
T 0 = 0 . 5 .しやすくなるo
, = 1のまま σ21= 100と 大 き く し て 準 位 ④ へ の 励 起 が 増 大 し た と き に も , 緩 和A43の 後 の 緩 和A32, A21については上と同じ議論ができるO 但し σ21が 大 き い の で , 透 過 率 曲 線 に へ こ み " が 現 わ れ るoTo= 0.5, σ21 = 100, ,= 1のときの計算結果をFig.12(司に示すC この図は前節Fig.l0(国と よく類似しているO ここではTとCが置き換っているだけであるO しかし, 4準 位 系 のFig.7(b)と は 異 な っ た 特 性 を 示 し て い る こ と は 注 目 さ れ るO
(3) ,による透過率曲線の変化
Fig.13, 14, 15にTo=O. 2或いは 0.5;021 = 1 .或いは 102;γ= 1 , 10或 い は
i
100の場合に, ,を 10‑2から 102ま で 変 化 さ せ た 主 き の シ ミ ュ レ ー シ ヨ ン 結 果 を 示 すOまず ,Fig. 13 (a)に
r
= 1として021=1の場合にζの 値 を 変 え た と き の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 を 示 すo 3準位系モデルFig.10 (a)でみるようにCの 値 に か か わ ら ず , 吸 収 飽 和 を 始 め る 入 射 光 強 度 はほぼ一定であるが, ζが 大 き い ほ ど 飽 和 の 立 上 り ( コ ン ト ラ ス ト 比 ) は 大 き く な っ て い る こ と が 分るO ここでは σ21ニ lと小さいので2準 位 系 の 単 調 な 吸 収 飽 和 曲 線 を 示 し て い るOところで, Fig.13(り の よ う にTの 値 を そ の ま ま に し てσ21= 100と非常に大きくすると
c
の値の 緩 和 速 度 比 に よ っ て は , 第2の 吸 収 が 顕 著 に な り 透 過 率 曲 線 に へ こ み " の あ る 吸 収 特 性 が 現 わ れ100ト (a)
求'‑" 50ト E→
O 10‑3 ムー
10‑2 i
10‑1 よ10
100
O 10‑3 10‑2 10‑1 10
氏、‑‑'
' ド
工工n
Fig.13. Transrnission variation wi七h incident photon f1ux predicted by Fig.5 for severa1 vaユues of
,
with r =1;(a) 021
=
ユ To=0.2 and (b)σ21 =100,
To =0. 5.るo, の 値 が 小 さ い と い う こ と は , 準 位 ④ か ら の 緩 和 が 準 位 ③ か ら の 緩 和 よ り 大 き い こ と を 意 味 し , 励 起 率 の 関 係 σ2>σ1 と 相 ま っ て 第2の 吸 収 が 特 に 大 き く な り , 透 過 率 曲 線 に へ こ み " が 生 じ る
ものと考えられるO これも 3準 位 系 のFig.10(ゅの結果とよく類似しているO
次にγ=10と し て 同 様 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 っ て み るO この場合は γ=1の 場 合 の 特 徴 が 更 に は っ き り し て い る こ と が 分 るoFig.14 (a)でみるように0'21= 1の場合はCの 値 に か か わ ら ず 吸 収 飽 和を始める入射光強度は,ほぼ、一定でありかっ飽和の立上りも
c
の値にあまり左右されず, コント ラ ス ト 比 が 改 善 さ れ て い るO これに反してFig.14(ひでみるように, σ21 = 100と大きくすると Fig.13 (b)と同じく へとみ"のある透過率曲線を示すO
さらにFig.15(剖(b)でみるように
r
= 100の と き に つ い て も シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 っ て み たO γ はA32とA21の 比 で あ る が. A31とA21は 向 じ 程 度 の 緩 和 率 で あ る の で. A32が A21より非常に大きいと い う こ と は , 第l励 起 状 態 ② の 緩 和 を 非 常 に 速 め る こ と に な るO シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 , 前 述 のr = 1, 10の場合のFig.13,14と は 大 き く 異 な っ た 性 質 が 現 わ れ て い るO
まず0'21= 1の と き に つ い て 調 べ たoFig.15 (a)でみるように飽和し始める強度は低くなったが,
Cの 値 に 全 く 関 係 な く 透 過 率 曲 線 の 立 上 り はCの 大 き な 値 に 重 な っ て き て い るO この理由について
100ト (a)
、Q
50ト
ト
~ O 10‑3
100
'‑" 50
E→
0 10‑3
1.L 0‑2
10‑2
.L 10‑1
10‑1 Iin
i 4
10
Fig.14. Transmission varia七ion with inciden七 pho七on f1ux predic七ed by Fig. 5 for several va1ues of
,
wi七h γ=10;(a)σ21 =1, To=0.2 and (b)σ21 =工00
,
To=0.5.考えてみると,これはA訟の値がA21に比べて 100倍程度大きくなると,準位③の緩和はA32の方が 支配的になり A21を経て緩和するようになるO しかし A21は比較的ゆっくりした緩和であるため,
Cの値を変化させてもほとんど影響されないものと思われるO
次に ,Fig.15(司でみるように021= 100と大きくすると,励起準位@からの励起率が大きいため ム必の緩和率の大きさが非常に重要になってくるo,の値が小さいほどA必による緩和が速いため,
飽和強度は大きい方へ移行するO 尚このときは励起状態③からの吸収は大きくなり,この第2の吸 収もすぐに飽和を始めるので透過率曲線には へこみ"が見られなくなることが分るO
この節で述べた4準位系モデル即ち変形3準位系モデノレは,以上のような結果と考察により,前 節で述べた3準位系モデルと大局的に類似していることが分ったO
3 考 案 お よ び 結 論
これまで調べてきた2準位系, 3準位系, 4準位系の各モデノレの解析の結果,以下のことが分つ たO
1) 2準位系モデルにおいては,入射光強度を増大するに従い単調に吸収が減少する透過率曲線を
ポミ
'‑../ 50 ー
ト
O 10‑3 ..L
10‑2 i
10‑1 ム10
四4戸~工戸一~---....----ーー一ー---ー
ペ 2 ; 1 5 / て
/ / / / / / / JE ← 4 二心」二一 /;r2
O 10‑3 1よ ‑0‑2 4
10 10‑1
Iin
Fig.ユ5. Transmission varia七ion wi七h inciden七pho七on f1ux predicted by Fig.5 for severa1 va1ues of
,
wi七hγ=100;(a)σ21
ユ =
To=0.2 and (b)σ21 = 1 0 0,
T 0 = 0 . 5 .示すo (Fig.2)
2) 2つの吸収過程を有する 3準位系及び4準位系モデルにおいては,励起率の比 σ21の大きさに より吸収特性が異なるO σ21が1より小さいときは第2の 吸 収 は 大 き く な い の で 準 位 系 モ デ ルの吸収特性に近いが, σ21がlより大きいときは第2の吸収が大きく効いてくるので透過率曲 線に へこみ"を有する複雑な吸収特性を示すo (Fig.6, 9, 11)
3) 2つの吸収過程のある場合でも,励起準位から他モードヘ遷移して新たな吸収が行われる場合 (Fig.3)と同じ振動モード内で段階的連続的に吸収が行われる場合(Fig.4,5)とによって透 過率曲線の様子が異なってくるO 後者の同一振動モード内で多段励起されるモデルはいわゆる3 準位系であり 0"21を大きくしていくと透過率曲線における へこみ"が入射光強度の小さい方 へ移行していくo(F i g . 9, 11) ところが前者の一旦他モードへ遷移し,その励起準位からの吸 収が生ずる4準位系モデルでは σ21を大きくしても へこみ"が深くなるだけで,再び吸収の飽 和が始まる入射光強度は変化しないo (Fig. 6)
4) 緩 和 率 の 比C,γにより吸収飽和を始める入射光強度やコントラスト比, へこみ"の深さな どが変わるO γが大きいほど,飽和の開始強度は低く, コントラスト比は大きい。 (Fig.7,12)
c
については4準位系の場合c
が大きいとやはり飽和強度は低くコントラスト比は改善されるが,あまり
c
が大きいと 1121が1より大きい場合でも透過率曲線に へこみ"が生じなくなるo(Fig. 8 ) 3準位系の場合はc
の大きさに関係なく吸収の飽和し始める強度は一定であるo 2準 位 系 特性をもっときはc
が大きい方がコントラスト比が大きく 4準位系特性を示すときはc
が小さい方がその比は大きい。 (Fig.10, 13, 14, 15)
ここで検討したモデルをSF6についての我々の実験結果に適用して考えてみるo SF6透過率曲線 の入射光波長依存性の実験結果から10.4μmP分枝において短波長側のP(10)'"" P (22)においては 入射光強度を大きくすると単調に飽和する 2準位系吸収特性が得られ,長波長側のP(24)からP(30)
においては透過率曲線に へこみ"が見られる吸収特性が得られたせ)そこで吸収試料として SF6
5 Torrを例にとりP(l2),P(20)においては2準位系モデルをP(28)においては,他モードへ遷移 する 4準位系モデルを適用して比較してみるO この結果をFig.16に示すO これを見るとこれらの 理論的計算曲線(実線)がよく日刊の吸収特性を説明していることが分るO
次に先程まとめの2)項に述べたように 4準位系モデルにおいて 1121が小さいときは近似的に2 準位系モデ、ルとして考えられることを検証する。今まで2準 位 系 と し て 考 え たP(12) , P(20)の場 合についても統一的に 4準位系モデルを用いて解き,その結果得られるそれぞれの σ21の値を各波 長について比較してみるO シミュレーションの結果をFig.16に重ねる代りに,そのパラメータを
100
t r f
ド
U U
MF/A' ぷノ/'
アノ
づ 一 一
(民 )
>=1 .O .‑1
~ 10
什
国
∞
日ro
←
い0.1
10‑4 10‑3 10‑2 10‑1 Input Energy Densi七Y (J /cm2)
Fig.ユ6. Transmission as a func七ion of input energy
densi七y for P(l2)
,
P(20) and P(28) C02 lines a七 SF16 of 5 Torr wi七h He additive of 50 Torr. Theore七ical curve is calcula七ed by Gordon's 2‑level model for the P(12) and P(20) lines,or by Huff and DeShazer's 4‑1evel model for the P(28) line.Tab
ユ
e1. FOur‑ユ
eveユ
modeユ
parame七ers fOr SF6 5 Torr+
He 50 TOrrparameter P(l2) P(20) P(28)
σ21 0.025 0.27 24.3 T 31. 8 21. 9 3.7
ζ 10‑11 0.95 1.1
」一一一一一一一
Table 1に示すO ここでは r, <:についての議論は別にして, σ21についてのみ検討するO 入射 光波長P(28)に対しては σ21の値は24.3と大きいが, P(20)に対しては0.27となり, P(28)の場合 の約 VlQO になる O 叉 P (1 2) においては P(28) の場合の ~OOO となり,予想されたように P (1 2) , P(20)は2準位系吸収モテ守ルとして取り扱えることが確認された
1 1 )
このように 021は入射光波長により定まるパラメータであり,振動励起状態内の回転準位の拡が りとエネルギ一間隔についての知見を得ることができるO この場合には入射光波長が長波長になる と021が大きくなり透過率曲線に へこみ"が生ずるO へこみ"の位置は長波長ほど入射光強度 の大きい方へずれているO ところでFig.6でみるように4準 位 系 の 場 合 内 を 大 き く す る 左 へ こ み"は深くなるが,入射光強度の位置は変らないO 他方3準位系の場合はFig.9,11のように 021
が大きくなると へとみ"の位置は却って入射光強度の低い方ヘシフトするO それ故SF6における
021の波長依存性だ、けで へこみ"の位置を説明することはできない。ところで3準位の場合はFig.
10のように021
>
1のとき<:(= A21 / A32 )が小さくなれば へこみ"は深くなりながら入射光強度の 大きい方へずれる。他方, 4準位系の場合もCを小さくすれば へこみ"は深くなりながら,入射 光強度の大きい方へずれていくO 変 形3準位の場合はFig.12 (りでみるように r(= A3z 1
A21 )が小 さくなれば へこみ"が生じて,且つ深くなる。それ故 021の大きさと "r
の小ささにより へ こみ"の深さと位置が定まるものと考えられるO 以上の議論より SF6は多段励起を示す3準位系モ デルでも4準位系モデルでも, σ21とζ (或いは r)を適当に定めることにより実験結果をうまく 説明できると考えられる。ところでSF6の同位体分離における波長選択性は,共鳴吸収の重要性を主張しているが?別の任 意の波長の強い光を同時に照射することによって効率よく解離が促進される?この事実から 川 =
3~5 のエネルギーの高さから結合バンドや回転準位,非調和項によるスプリットによって準連続 状態が形成されて,励起が容易になることが分かっている
l f
しかし我々がここで取り扱ってきた可 飽和吸収体としてのSF6は高々 勺=2および3程度の低い振動励起状態への吸収によって多段励起 されているものと考えられ,ここで直ちに4準位系モデルを考えるよりも 3準位系モデ『ルによる 解析を先にする方が適当であろうと考えられる。尚現在においても準連続状態の性質は,分子間衝突の問題を含めて,未だ完全に明らかにされて いる由ではないので20,21)今後の実験的調査が必要であろうと考えられるO 我々は,フロン系の数種 のガスについて,やはり可飽和吸収特性の実験を行い,透過率曲線はSF6と比較すると入射光波長 による変化の少ないことを知った?このことは4準位系モデルを示唆しているかも知れないO これ
ら の 具 体 的 ガ ス と の 比 較 検 討 の 結 果 は 別 に 報 告 す る ?
参 考 文 献
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