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(1)

−ハイネンの所論を拠り所として−

菅家正瑞

(2)

1

企業もしくは企業者は,一般に,一定の目標を設定し,その目標の最適な 実現をめざして行動すると解されるO 従って,企業の行動は,その設定する 目標いかんによって決定的に左右されるO このことは,企業の理論あるいは 経営経済学がその理論を構成するにあたって,企業の目探の問題が版本的な 重要性を有することを怠味するO すなわち,企業の目標に関する理論は,企 業の理論あるいは経営経済学にとって,その基礎的理論としての地位が与え

られるのである口

ところで,西ドイツにおいて,この問題に関する関心が高まりその研究が 始まったのは,比1史的最近のことと解され1) ,われわれはその研究者の一人 として,ハイネン (HeinenEdmund)をあげることができるであろうO

彼はまず論文『企業の目標関数』 2) を発表し,更にその論文を発展させて若

3) J ‑+r

吉『企業の目標体系』 を者わし,この問題について本格的な研究を行なっ ているのであるO そこで本稿では,彼の著書『企業の目標休系』を中心にと りあげ,企業の目標と経営経済学との関連性を考察した上で,企業の目保体 系の構造について検討してみたい針。

1) 永田誠,経営径済学の展開,森山吉居,昭和48~~6s7t 企業目的の11抗告と過 程を参照のことO

2)  Heinen, E., Die  Zielfunktion  der  Unternehmung, in:  Zur Theorie  der Unternehmung, Festschrift zum 65.  Geburtstag von E. Gutenberg,  Hrsg.  von H. Koch, Wiesbaden 1962, S.  11 ff. 

3)  Heinen, E., Das  Zielsytem der  Unternehmung.  Grundlagen betrie bswirtschaftlicher  Entscheidungen, Wiesbaden 1966.なお,木苫はその

m

(3)

2版にあたって,主名が次の*;去に転技せられている。

Heinen, E., Grundlagen betriebswirtschaftlicher  Entscheidungen.  Das  Zielsystem der Unternehmung, 2.  Auf1age, Wiesbaden 1971. 

本稿では, tr~ 2版を参照するが, ~fS 2版が内容的には第l版と何ら変わるもので はないととを付け加えておく。なおハイネンの前担論文と本書との関係について は,本吉Vorwortを参照されたい。

4)  企業はひとつの「組織」として把握されるから, r組織」と「企業白根」の閃述 性を無視する乙とはできないであろう。ハイネンも,乙の問題に関して詳しい分析 を行なっているのであるが,本稿では問題を単純化する為にとりあえず「組紙」の 問題を除去している。したがって, r企業」の目椋は「企業者Jの目椋に等しいと 仮定されていることに注芯されたい。

なお「組成と企業目椋」に関するハイネンの所論については,次を参照のこと。

Heinen, E., Die Zielfunktion, S.  51  ff.  Derselbe, Grundlagen, S.  187 ff. 

経営経済学と企業目標

企業の目標体系の構造という問題に立ち入る前に,まずわれわれは,経営 経済学と企業目標の関述性について考察してみたい。両者の論理的関連性を 明らかにするととによって,企業目標に関する研究が経営経済学にとって何 故重要であるのか,またいかなる観点から企業目標が研究される必要がある のかを知るととは,目標体系の構造を検討する際の重要な前提であると考え

られるからであるO

ハイネンによれば,経営経済的研究の対象領域は,経営経済 (Betriebs

̲ ~., ̲ '‑ .̲ 1) 

wirtshaft)における諸活動と人間の諸行動であり ,企業 (Unternehmun‑

2)  山 ・

gen)は経営経済の具体的ー形態をなすものと解される 。 と 乙 ろ で , 経 営 経済の効果的活動は,意識的に行なわれる人間の数多くの選択行動 (Wahl‑

handlungen)に基づいている3) のであり,乙のように,人間の選択行動が 意識的に行なわれる場合,それは怠思決定 (Entscheidungen)と言うこと ができる引のである。そこで,経営経済におけるあらゆる現象は,最終的に

(4)

5) ニ ・

は人間の意思決定lと基づいている と昌える。換己すれば,経営経済内部の あらゆる経済現象は,原則的に怠思決定に帰せしめることができる6)のであ D

このような認識を基礎として,経営経済学は,近年になって,その科学的 興味を,企業階層のさまざまな分野と経済現象の全ての部分領域で行なわれ る怠思決定に強く向けており, したがってハイネンは r経営経済学の以前 の発展段階における数多くの問題領域は,企業意思決定の観点から見るなら

7) 

ば,新たに熟考されるべきである 」と主張するのである。そしてこのよう な傾向は,単に径営経済学の部分領域のみにとどまらず,経営経済学の体系 全体にも及んでいると解されるのである。そしてハイネンは,経営経済学の このような新しい展開を,意思決定志向的経営経済学 (dieentscheidungs orientierte  Betriebswirtschaftslehre) と 称 し , 自 ら を そ の 代 表 者 で あ

8)として積極的にその体系化に努力しているのである。すなわち, 経営 経済学を志思決定論 (dieEntscheidungslehre)もしくは経営経済的芯思 決定論 (diebetriebswirtschaftliche  Entscheidungslehre)として把握す ることによって,その体系化を試みているのであり,それは彼の展開する経 営経済学における大きな特質をなしているのである9)

企業目標の研究の主要性は,ハイネンにあっては,このようなな思決定論 の立場から説明されるO 換言すれば,企業の志思決定過程(Entscheidungs prozes) に与える目標の影響を分析することによって,企業日恨の研究の 重要性が強調されるのである。

さてハイネンによれば,企業の芯思決定には,目標芯思決定もしくは目椋 設定芯思決定 (Ziel‑bzw.  Zielsetzungsentscheidung)  と手段芯思決定 もしくは目標達成立思決定 (Mittelbzw. Zielerreichungsentscheidung)  とがあるD まず,目日!な思決定とは,企業が経済的諸活動を介して達成すべ

く努力する目標の決定に関する芯思決定である。これは,企業の行動松式に 根本的な Þ~6 岱を与えその職分を決定する,@めて自 1-lk 的な選択である口次 に,決定された目111!を達成する為に投入される手段の選択に関するな思決定 が,手段な忠決定であるO これは,常に特定の目棋を考liy(して行なわれるか

(5)

ら,目標によって影響を受けるO すなわち,目標意思決定は独立的に行なわ れるが,手段志思決定は目椋に依存するのである10)

手 段 志 思 決 定 に 与 え る 目 標 の 作 用 は 立 思 決 定 過 程 を 分 析 す る こ と に よ って,さらに明確に示すことができる。手段怠思決定には,純粋意思決定 (echte Entscheidung)  と常規的芯思決定 (Routineentscheidung)  とが あるが,乙乙では前者が問題とされる。純粋な選択問題を解決する為の志,思 決 定 過 程 は 立 思 形 成 過 程 (d訂 正ozesder  Wi1lensbildung)と芯思遂 行過程 (derProzes der Willensdurchsetzung)から成り,前者は吏l 刺激段階 (die Anregungsphase) ・探求段階 (die Suchphase)  ・最適化 段階 (dieOptimierungsphase)に分けられるO まず,京JI政段階では,選択 問題が確認され明確にされる。次に,探求段階では,可能な代替案 (die A1ternativen)と制限的事実 (diebegrenzenden Daten)が見つけ出され,

代替案の結果 (dieKonsequenzen)が特定の基準 (Kriterien)に基づいて 評価される。最後に,最適化段階では,行動代替案が順序づけられて所与の 目標を最高に実現する代替案が選択される。これに続く芯思遂行過程では,

選択された代替案が執行され統制されて,芯思決定の満足的実現が保証され O 以上の怠思決定過程は程々の要因によって影響を受け立思決定の成果 を決定するそのような志思決定限定要因 (Entscheidungsdeterminanten) を成すもののひとつとしてハイネンがあげるのが,目標設定 (Zielsetzung) に外ならなし111O ハイネンによれば,芯思決定成果が目根内容と目椋形成 の方法に依存している事には多言を要さないのであり,目標は企業者の怠思 決定過程にいろんな形で影響‑を与えるのであるO すなわち,深求段階では特 定の目標を実現するのに妥当と思われる代替案のみが分析され,代替案の結 果を判断し最適な行動を決定する為lこは目標が質的にも量的にも確定されて いる必要があり,また目標達成が統制されることによって新たな志思決定過 程への刺激が生ずるのである12) 

以上のように,ハイネンはき思決定論の立場から,企業の志思決定過程 とそれに与える目椋の影響を分析することを介して,企業目標とその研究の 重要性を説くのである。ハイネンによれば,もちろん経営経済学は企業目椋

(6)

の重要性と意思決定へのその影響を知ってはいたが,乙の問題の体系的研究 は長い間顧みられなかったのである。換言すれば I目標設定は企業理論的 分析の対象とはならず,その出発点だった13)のである。

ところで,企業目標の問題は経営経済学が果たすべき職能と深い関連性を 有するのであり,目標研究もその関連性において方向づけられるのであるD

すべて科学は,理論すなわち現実を模写する概念と言明 (Aussagen) 体系を展開するが,その言明体系が現実の記述と説明を行なう記述的言明 (deskriptive Aussagen)で終わるか,あるいはそれを基礎として,特定 の「正しい」行劫(代richtiges" Verha1ten)すなわち行動規範 (Verha1te nsnormen)を提示する規範的言明 (normativeAussagen)をも合むかに

よって,純粋理論 (eine reine  Theorie)と応用理論 (eineanwendbare  Theorie)すなわち応用科学(eineangewandte Wissenschaft)とにわかれ

D ハイネンにあっては,経営経済学は応用科学として,換言すれば応用経 営経済学 (eineangewandte bzw.  eine  anwendbare Betriebswirtscha ftslehre)として把握される。しかもそれは,規範的言明を合むからと言

って,研究者の主目的な価値や信念の言明を含む信念・規範的経営経済学 (eine bekennend ‑norma tive  Betrie bswirtschaf tslehre)として理解され るのではなく,行到する人間自身のもつ目探知念 (Zielvorstellungen) なわち実践的に確認しうる径営経済の目標を基礎にモデ、ル形成を行なう実践

・規範的経営経済学 (eine praktisch ‑norma tive  Betrie bswirtschaf tsle hre)なのである14)

応用科学としての経営経済学は,そこに説明職能 (Erklarungsfunktion)  および形成I欣也(Gestaltu ngsfu nktion)というこつの職能が与えられる15) 行動規慌を示す為にはその前捉として,いわゆる経営経済的立思決定飢域

(EntschidungsfelE11G〉)に含まれる諸事実と諸関係の記述的分析が必要で ある。換言すれば芯思決定によって影岱しうる経営経済の全司工夫,そこで 可能なな思決定代替案, f長官不可能な与件,代替案の結果を決定する法ftlj

m

明がなされねばならない。 説明職能はな思決定領域のこのような説明に 見い出されるのであり,それは説明モデノレ (Erkl rungsmodelle)を介して

(7)

行なわれる。これに対して形成政能は,そのような説明を基礎として,特定 の目標を最高に達成せしめるような行動規範を捉示することによって,理論 を「正しい」怠忠決定を行なう為の用兵とするところに見い出されるのであ り,これは怠思決定モデノレ (Entscheidungsmodelle) を介して行なわれる のである17)

さてこのように,経営経済学は形成職能の範囲の中で,特定の目椋を最高 に達成する為にはどのように行動すべきかを,すなわちどのような行動方法 をとるべきかを,志思決定者 (Entscheidungstrager) に提示するのであ るが,形成職ii旨を遂行する為には,実践的l乙主要な目標が担論のsliWとなっ ていなければならない。なぜならば,理論的モデルの去礎にある目iEの選択 は,理論の現実性の判断にとって主大であり,目椋仮定が現実的である坊合 にのみ,理論は行動規簡を導き出すことができるからである18) 乙のよう r実践・規範的科学としての経営経済学は,その理論的研究を~~実に妥 当する経営経済の目根から出発しなければならない19)Jのである。

以上のハイネンの論述を辺して,目標研究の霊要性と必要性が, しかも現 実に妥当する目標の研究から出発する必安性が強調される所以を切らかにし たのであるが,それでは次に,何が現宍に妥当する目椋なのであろうか。ハ イネンは,利潤極大化仮説の批判を目標研究の出発点とし,実践的企業目12! を分析して多目標論を展開することによって,この問題に答えようとしてい

るのであるO

企業の伝統的理論は,利潤極大化原理を企業の唯一の白根であると仮定す るが,ハイネンにあっては,この仮定の現実性が何よりも問題とされるO 実の企業者行動が多目:多核の目121観念によって支配されていることは,観察 と経験の教えるところであるD このように r現実の企業者行動は,疑いも なくまさに多椋化している20) 」のであり,従って「……利潤努力は企業者行 勤の目標のひとつでしかありえない21) 」のである。かくしてハイネンにお いては,手IJjt0li大化は企業の唯一の白根とはみなされず,むしろ企業は同時 に多くの目標を追求すると考えられるのである22)

さて,ハイネンは,企業の追求する全日椋を目椋体系 (Zielsystem)の概

(8)

念 で 把 拐 す る 。 体 系 は , 桓 々 の 関 係 が 成 立 す る 諸 要 素 の 集 合 と し て 定 義 される23)。 換 言 す れ ば , 企 業 の 追 求 す る 個 々 の 目 標 は 体 系 を 杭 成 す る 要 素 (Elemente)を成し,それらの目標聞には程々の関係が成立しているものと 解せられるO そこでわれわれは,目標体系を構成している要素として何があ る か , 換 言 す れ ば 現 実 に 妥 当 す る 目 標 と し て 何 が あ げ ら れ る か を ま ず 検 討 し,更にそれらの目標聞にはどのような関係が成立し,そしてその関係に基 づいてどのような目標の体系化がなされるかを検討することを通じて,企業 の目標体系の括造を明らかにしてみたい。

注1) Heinen, E., Einfuhrung in die Betriebswirtschaftslehre, 3.  Auf1age,  VViesbaden 1970, S. 23. 

2)  lIeinen, E., a.  a.  0.. S. 12. 

3)  Heinen, E..  Betriebswirtschaftliche  Kostenlehre, Kostentheorie und  Kostenentscheidungen, 3. Auf1age, VViesbaden 1970, S. 23. 

4)  Hienen, E., Grundlagen, S.  18. 

5)  Heinen, E., Betriebswirtschaftslehre heute, VViesbaden 1966, S.  4.  6)  Heinen, E., Kostenlehre, S. 23. 

7)  Heinen, E., a.  a.  0., S. 19. 

8)  Heinen, E., Zum VVissenschaftsprogramm der entscheidungsorientier ten Betriebswirtschaftslehre, in:  ZfB, 39. ]g., 1969, S. 220. 

9)  もっともハイネンによれば,径営経済における全ての現象が志忠決定に基づいて

おり,~思決定過程が印奈のr:jJ!L\ に移されているという認識は,決して新しいもの

ではないのである。なぜならば,シュマーレンバッハやシュミットの研究が示して いるように,経営経済学は以前から況に「正しい」企業者立思決定の問題にかかわ っていたからである。新しいのは,経営経済学がな思決定l乙関与するということで はなくて,立忠決定をどのようにして研究するかという方法,すなわち,立思決定 過程を休系的に研究しそれをぷ辺に形成する為に用いる手段なのである。

(Heinen, E., Betriebswirtschaftslehre heute, S. 4)  . 

なおハイネンによる芯思決定志向的経日'経済学の反問の努力に閃しては,次を参 1mのこと。

Heinen, E., Betriebswirtschaftslehre  heute. 

(9)

Derselbe, Zum Wissenschaftsprogramm der entscheidungsorientierten  Bet rie bswirtschafts lehre. 

Derselbe, Einfuhrung  in  die  Betriebswirtschaftslehre. 

Derselbe, Der entscheidungsorientierte  Ansatz  der  Betriebswirtsch‑

aftslehre, in: ZfB, 4l. g., 1971, S.  429 ff.  10)  Heinen, E., Grundlagen, SS.  1819. 

11)  後述するように,企業において設定される目標は数多くのものがあり,しか もそれらはひとつの体系 (System)を な し て い る と ハ イ ネ ン は 把 握 す る 。 し たがってハイネンにおいては,芯思決定限定要因をなす目標設定は,目椋体系 (Zielsystem)として理解されている。志思決定限定要因としては,乙の{也に,

情 報 体 系 (Informationssystem)と社会体系 (Sozialsystem)があげられてい る。この点に閃しては,次を参照のことO

Heinen, E. , Grundlagen, SS.  2328. 

12)13) Heinen, E., a.a. 0., SS.  1923, S.  28.  14)  Heinen, E., Einfuhrung, SS.  2123. 

15)  ハイネンは説明職能と形成職能を説明職分 (Aufgabe)及び形成職分とも言う が,職能と取分のZZ味については明らかでない。

Vlg.  Heinen, E., a.  a. 0., SS  2325. 

16)  ハイネンによれば,意思決定領域は,志思活動によって直接問技に影響され得る 人間と事物の集合と種類,及び怠思活到の成果に影告を与える所与の環境,と定義 されている。

Heinen, E., Grundlagen, S.  22.  17)  Heinen, E., Einfuhrung, SS. 23~25.

18)  Heinen, E., Grundlagen, S.  17.  19)  Heinen, E., Einfuhrung, S.  95.  20)  Heinen, E., Die Zielfunktion, S.  14.  21)  Heinen, E., Grundlagen, S.  29. 

22)  Heinen, E., a.  a. 0., SS. 28~30 , Vlg. DiZielfunktion, SS.12"''14.  23)  Heinen, E., Grundlagen, SS.  2324, S.  90. 

(10)

現 実 の 企 業 目 標

企業の目標体系は,所有者的企業者 (Eigentumerunternehmer) もし くは業務管理者的企業者 (Geschaftsfuhrerunternehmer)の有する,実践 的に重要な目標観念によって構成されるO なぜならば,企業の存在は,その ような自律的経済主体がもっ創意と目標観念にかかっているからである1) さて,ハイネンによれば,企業目標は,内容 (derInhalt)・努力何回 (das angestrebte Ausmas)・時間的関連 (der zeit1iche  Bezug)とい う三つの方向 (Richtungen)あるいは次元 (Dimensionen)を 有 し , そ し てその三つの次元が確定した時にはじめて,企業目標は一義的に決定される のである2) したがって,目標体系の要系をその三つの次元について考察し なければならないのであるが,ここではとりあえず現実に妥当する主要な目 標の内容を検討するにとどめたい3)

前述の如く,現実の企業目標は多様化しており,その主要なものとしてハ イネンがあげるのは,利潤努力 (dasGewinnstreben)・販売努力 (das Umsatzstreben) ・経済性努力 (dasWirtschaft1ichkeitsstreben) ・企業 能力の確保 (dieSicherung des  Unternehmenspotentials)  ・独立性一統 一化努力 (dasUnabhangigkeits‑und Vereinigungsstreben) ・名戸努力 (das Prestigestreben)  ・権力努力 (dasMachtstreben)  ・伶担的社会的 努力 (ethischeund soziale Bestrebungen)等であるO

生 ) ー

ハイネンは1"利潤努力 」をもっぱら ffr1-~}mi] i~~ (Einkommensmotiv)  の表現としてのみ把握する。なぜならば,経営的計算出iJ皮で把犯される利潤 概念以上の怠味を利潤にもたせて利潤概念を拡大することは,方法的に問題 があるとするからであるO JIj悶努力の内容は,手JIj悶概念をどう仰釈するか,

更に,絶対的手iJ潤と相対的利潤のどちらが目板とされるかに応じて,形式的 には次の五つの形態が考えられるO まず絶対的利潤努力として,自己資木利 子と他人資本利子を合んだ資木利潤 (Kapitalgewinn),自己資木利子のみ を合む収支的利潤 (pagatorischerGewinn) ,両方とも合まぬ原価言it1 利潤 (kalkula torischer  Gewinn)があげられ,更に相対的利潤努力とし

(11)

ては,資本利潤と総資本で示される総資本収益性,更に収支的利潤と自己資 本で表現される自己資本収益性が考えられるD しかし, 総資本収益性はそ のうちに資本利潤を合んでいるし,自己資本収益性は収支的利潤を含んでい また, 総資本収益性は企業の資本桔成によって影響を受けるから, 標としては認め難い。したがって,利潤努力の実質的内容としては,原価計 算的利潤と自己資本収益性があげられるのである的。

企業の芯思決定にとって

r

販売努力」は主要な目松である。販売は販売 呈と価格の茄ーで示される,製品販売呈の貨幣的表現であり,それは売上げ (Er1s)とも称される口利潤努力と同様に,販売努力においてもその内容 には,絶対的形態と相対的形態とがある。絶対的販売努力であれば,販売製 品の物呈と価格で示される絶対額が目標とされ,相対的販売努力の目標とし ては,市場持分 (Marktanteil) ・資本回転率 (Umschlagshaufigkeit des  Kapitals)  ・販売収益性 (Umsatzrentabiliwt)があるO 目摂としての販売 の主要性は,多くの論者によって程々の観点から述べられているが,ハイネ ンにおいては,所有者的職能と業務管理者的職能が分離した企業における販 売努力の主要性が強調されるO このような企業にあっては,管3m的職員の佃 人的な昇進目標 (Karriereziel)や所得動機と販売努力が密接に結び付き,

利潤よりも販売が侵先される傾向が強いからである的。

「経済性努力」の内容は,経済性をどのように解釈するかにかかっている が,それはまず個別経済的解釈と全体経済的解釈に大別されるD しかしハイ ネンによれば,経済性努力の全体経済的解釈では,その経済性努力を企栄の 目標として理論の中に組み入れる乙とは困難であり,またその経済性努力を 測定する適切な尺度がないとして,企業の目標としてのこの解釈は原則的に 否定されるの。個別経済的解釈によれば,経済性努力は生産要素の最大可能 な節約的使用を芯味し,その測定尺度が物量的なものか価値的なものかによ って二つの解釈があるO 物量的解釈によれば,経済性努力は要素成果物量と 要宗投入物量の関係として定義される生産性 (Produktivitat)への努力と して現われるD しかしこれには,具質の要宗を計算する為の統一的物呈値が

(12)

ないから,実践で利用する困難性が生ずるD 価値的解釈によれば,経済性は 原価と給付の関係、で示される原価経済性 (Kostenwirtschaft1ichkei t)を芯 味し,前述の困難性も解消するO この場合経済性努力は,必要給付を最小原 価で生産すること,あるいは与えられた原価投入で最大給付をもたらすこと がその内容となるのである8)

前述の諸目標は企業の能力が確保されたうえではじめて実現されるから,

「企業能力の確保」は企業の重要な目標であるO この目標は,生存の基礎と して最小限のものを維持しようとする有機体の基本的生命欲から生ずるか ら,維持努力とも言えるo維持努力については程々の見解があるが,ハイネ ンは維持の対象を企業に投下された資本に限定し,資本あるいは実体維持の 問題として把握する。資本維持目標は,企業の価値侶還の貨幣的側面と財貨的 側面のどちらに注目するかによって,貨幣的解釈と物財的解釈とがあるD 者によれば,維持されるのは一定呈の支払手段すなわち投下資本額であり,そ こには名目資本維持もしくは実質資本維持 (nominelleoder reale Kapita lerha1tung)が区別できる。後者によれば,担問:Jさ れ る の は 企 業 の 宍 休

(Substanz)すなわち企業過程の中で投入される実質財貨の在日であり,

その在高がその呈的質的な特色において維持されなければならず,乙こには,

再生産的,相対的,能力的,給付等価的実体維持 (reproduktiverelative,  qualifizierte und leistungsaquivalente Substnzerha1tung)の諸形態があ

る o この中からどれが企業の目標となるかは,産業部門 HI~Jfl の特殊性や一般 的な市場状況,わけでも関係者の短期的所得利告にかかっているO すなわ ち,これらの維持目標は,相互排他的でもなく絶対的妥当性を有するのでも ないOむしろ,場合に応じて,その内容が決定されるのである9)O

企業を継続するには I流動性の確保」が強 nJIJ(l~ に更訂され,無視すれば 企業存続が危険になる口ところで,流動性現象には支払能力 (ZahlungsW‑

higkeit)  ・流到性準間企 (LiquidiUtsreserve) ・流到可能性 (Liquidie

barkeit)という三局面があるが,この全てが企栄日121としての流効性努力 の内容とみなされるのではない。 iiUl)Jif/1{iiN金は流動性を限保するための手 段であり,目j日立思決定の対象ではありえない。また流劫可能性は企ごたの手

(13)

段意思決定の結果を現わす現象なのであるO 従って支払能力のみが目標とし ての特徴を有するが,乙れが目標となるか副次条件となるかは,企業のその 時々の意思決定状況に依存しているのである。このような流動性は比較的短 期に関するものであり,長期的;立思決定を支払能力に基づいて行なうことは できない。そこで,資産枯成と資本有il成の間に一定の関係を保持しながら流 動性を確保するHi造的あるいは椛成的流動性 (strukturelleoder  konsti tutive Liquiditat)  もまた,企業田原としての芯味を有するのである10)

「独立性努力」は第三者による企業現象への影響力を回避しようとする芯 図として把握され,いろんな形をとって現われるO ハイネンによれば,それ らは,外部者による企業への資本上の影響力を避けようとする財務的独立性 の努力,供給者あるいは顧客による企業の手段芯思決定への影響力を阻止し ようとする生産的独立性の努力,あるいは反トラスト法等による価格・投資 政策への国家的干渉を回避する努力として現われるO ところで,国家的干渉 によって競争秩序の維持が努力されるということは,逆に企業は「統一化努 力」という目標を有していることを芯味するD これは,他の独立的経済単位

との結合を目ざす目標として把握される11)

「名声努力」は人間性の基本的特貨をなすものであり,その時代の人々の価 値判断の中で最大可能の地位を得たいという欲求を志味するD この努力は,

多くの場合経済活動に結び、ついて実現されるが,根底には社会の枯成員とし て社会より尊敬されたいという希望があるのである12)

他の経済主体に影響を与え,これを統制支配しようとする要求が I 力努力」であるO この目椋は,独占的市場地位を創造し市場支配的企業を目 ざす市場的権力への努力,あるいは部下への権威や主要な資産への支配力を 得ょうとする個人的権力努力という形で現われる。資本主義社会において は,利潤と販売が権力向上の最も重要な源泉でありそれと同時に主要な名声 シンボノレでもあるのである13)

経済活動には企業が屈している文化領域の道義的価値を考慮することが要 請されることから I倫理的努力」という目標が生ずるO これは,企業者の 個人的倫理に基づく倫理的行動として現われたり,社会的に制度化された規

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