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大型店規制と消費者の利益

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大型店規制と消費者の利益

﹁まちづくり三法﹂の制定と改正を契機として

深 津 健 二

目 次

一 はじめに

二 大型店規制の展開と消費者利益の位置づけ

 1 百貨店法による参入規制

 2 大店法による参入規制

 3 大型店規制の緩和

 4 ﹁まちづくり三法﹂による規制

三 大型店規制と消費者利益

 1 消費者の権利・利益とその内容

 2 経済的規制と社会的規制

 3 大型店規制と消費者利益との関係

   大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八ー二︶ 一一九

(2)

一二〇

四 ﹁まちづくり三法﹂における消費者利益

 − 社会的規制としての﹁まちづくり三法﹂

 2 ﹁まちづくり三法﹂と消費者選択の利益

五 結 び

一 はじめに

 わが国独特の制度であるといわれる大型店出店規制制度は︑戦前の第一次百貨店法から現在の﹁まちづくり三

法﹂まで長い歴史を有している︒しかし︑一九九〇年の日米構造問題協議での合意に基づく大型店規制の緩和及び

その後の政策転換により︑規制の目的や手法から規制の性格までも悉く大きく変化している︒かつて︑アメリカ側

は︑同協議において︑日本の産業優先政策を批判し︑経済運営に当たって消費者の利益よりも事業者の利益が優先

されているとして︑消費者の利益を損なっている流通分野における政府規制︑とりわけ大規模小売店舗法︵大店

法︶を撤廃するよう要求するとともに︑消費者選択の利益につながる競争政策の強化を促したのである︒アメリカ

の要求は︑日米間の貿易不均衡の是正を目的としたものであったが︑﹁日本の消費者の利益に適うものであり︑日

本の消費者の代弁者である﹂という論理で︑消費者の共感に訴える形で展開されたこともあって︑基本的にはアメ

リカ側の主張を受け入れる形で決着した︒その結果︑流通分野における規制の緩和が進められ︑激しい都市間競争

が展開されていった︒

 従来︑法律による規制に加えて︑条例等による﹁上乗せ規制﹂や﹁横出し規制﹂により二重・三重に厳しく行わ

(3)

れてきた大型店規制は︑日米合意直後の大店法の﹁運用適正化措置﹂と翌年の法改正によって形骸化が進み︑大型

店同士の競争の激烈化と中心市街地の空洞化に拍車がかかった︒そして︑かつては中心市街地への出店をめぐって

対立してきた大型店と商店街が出店調整システムにより共存共栄を図ってきたが︑このような規制システムが形骸

化したことで︑まちの中心市街地に大型店を誘致してまちづくりを進めようとする地方公共団体の都市計画に反し

て︑郊外への出店ラッシュが続いた︒形骸化した規制システムの下で︑大型店側は︑大型店同士の激烈な競争に打

ち勝つべくスクラップアンドビルドの出店戦略︵郊外への出店と中心市街地からの撤退︶を加速させ︑﹁まちの顔﹂

として周辺部の住民の生活を支えてきた中心市街地が﹁シャッター通り化﹂して︑小売業が担うべき本来の機能を

果たすことのできない状態に陥った事例も少なくない︒

 そこで︑大型店をめぐる問題が︑従来の﹁大型店対中小店﹂という小売業者間の利害対立の問題から﹁中心市街

地対郊外﹂というまちづくりの問題にすでに変質しているという認識の下に︑一九九七年︑大店法が廃止され︑

﹁まちづくり三法﹂と総称される三つの法律︑すなわち﹁地域の生活環境保持﹂の観点から大型店規制を行う大規

模小売店舗立地法︵大店立地法︶︑地方公共団体による大型店出店地域の規制を可能とする改正都市計画法及び空

洞化の進んだ中心市街地を支援することを目的に制定された中心市街地活性化法という新たな規制の枠組みが出来

上がった︒しかし︑﹁まちづくり三法﹂は︑制度発足当初から懸念されていたように︑﹁地域の生活環境保持﹂のた

めの有効な規制を行ううえで様々な問題を抱えており︑規制緩和後の﹁自由放任的競争﹂により無秩序な出店.退

店が繰り広げられた結果︑﹁地域の生活環境保持﹂は極めて困難な状況に至った︒この度︑法施行後七年の評価を

踏まえて﹁まちづくり三法﹂が見直され︑新たにゾーニング規制の考え方を導入するとともに︑中心市街地活性化

の対策を強化した改正法が二〇〇六年に成立し︑二〇〇七年一〇月から施行されている︒

   大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八−二︶ 一二一

(4)

一二二

 ところで︑これまでの大型店規制の展開過程を振り返ってみると︑規制の枠組みを見直す度ごとに消費者の利益

が強調されてきた︒それは果たしてどのような内容でどのような性格を帯びた利益なのであろうか︒これまでも︑

流通分野における規制緩和や公正な競争条件創出をめぐる問題について考察する際に︑大型店規制と消費者利益と

の関係について言及する機会も何度かあったが︑今回の﹁まちづくり三法﹂の改正を契機に︑改めて消費者の利益

という視点から︑大型店規制のあり方について考えてみることとしたい︒以下では︑まず︑これまで展開されてき

た大型店規制において消費者の利益がどのように位置づけられてきたのかを整理したうえで︑大型店規制の中で論

じられる消費者の利益とは何かについて検討する︒続いて︑まちづくりという観点から大型店規制を行う﹁まちづ

くり三法﹂において消費者のどのような利益がどのように確保されていくことになるのか分析し︑併せて今後の大

型店規制のあり方を探っていくことにする︒

二 大型店規制の展開と消費者利益の位置づけ

1 百貨店法による参入規制

 最初に流通分野における大規模小売業者の参入規制が導入されたのは︑一九三七年制定の百貨店法︵第一次百貨

店法︶によってである︒同法は︑第一次世界大戦以降百貨店の新設が急増し︑とりわけ世界恐慌後の不況期におい

て百貨店間の競争が激烈化したことにより︑その影響を正面から受けることになった中小小売業者が全国的規模で       ︵1︶ 展開した百貨店反対運動の高まりを背景に制定されたものである︒中小小売業者のこのような運動に対して︑当

(5)

初︑百貨店側は事業者団体による自主的カルテルで対応したが︑多数のアウトサイダーの存在やカルテル協定違反

者に対する有効な統制力が欠けていたために︑結局は法的規制による百貨店業者の事業活動の全面的な統制が必要

であると認識されるようになった︒そこで︑百貨店業者の新規参入については事実上全面的に凍結し︑百貨店の事

業活動の統制強化を図るための統制経済法として第一次百貨店法が成立することとなった︒

 第一次百貨店法には目的規定がなく︑どのような目的で百貨店規制を行おうとしているのか法文上は不明である

が︑国会における同法の提案理由説明によれば︑百貨店同士の﹁不当な﹂競争の排除と百貨店.中小小売業者間の         関係の調整により︑既存百貨店業者の権益確保と中小小売業者の保護を図ろうとしていることが窺われる︒同法の

主な規制内容は︑参入規制︵主務大臣による百貨店業の営業許可︑店舗の新・増設及び出張販売の許可︶と事業活

動規制︵閉店時刻や休業日の制限︶であったが︑さらに事業者団体を通じて上記以外の事業活動をも全面的に統制

しうる仕組みを設けていた︒なお︑経済活動における生産部門と消費部門とをつなぐ社会的システムとしての流通

に対する規制の導入は︑単に流通業者だけの問題に限定されるわけではなく︑取引の直接の相手方である消費者に

とっても︑大きな利害関係を有する問題である︒そこで︑同法立案の基礎となった小売業改善調査委員会の決議の

中では︑百貨店の濫設・拡張防止や百貨店への統制強化に加えて︑統制の公正を期するための消費者代表を加えた

諮問欝設置が提案されて捻・しかし・同法において具体化された諮問欝である百貨店委員会の覆は△五長と

二〇人以内の委員からなり︑会長には商工大臣を充て︑委員は﹁関係各庁高等官﹂と﹁学識経験アル者﹂の中から

任命されることとされており︑消費者代表についての法制度上の位置づけは行われていなかった︒

 第二次大戦後︑わが国の経済システムは競争制限的な統制経済から市場メカニズムを重視する競争経済へと転換

され︑経済民主化が進められた︒財閥解体や過度経済力集中排除などの臨時的措置に加えて︑民主的な経済を恒久

大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八−二︶ 一一ゴニ

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一二四

的に実現するために独占禁止法が制定された︒同法は︑経済社会における事業活動の基本的ルールを定めており︑

﹁経済憲法﹂とも呼ばれてきた︒したがって︑統制経済法としての百貨店法は︑独占禁止法の精神に反するものと

して︑一九四七年に廃止された︒しかし︑一九五〇年代に入って︑戦後経済の復興とともに百貨店の事業活動が活

発化すると︑再度百貨店問題が再燃することになる︒大規模小売業者の参入によって中小小売商との間で生じた大

きな摩擦は再び社会問題化し︑一九五六年︑改めて百貨店法︵第二次百貨店法︶が制定された︒

 第二次百貨店法は︑もちろん独占禁止法に反するような事業者団体による自主的な統制を認めることはなかった

が︑従来の参入規制︵主務大臣による百貨店業の営業許可︑店舗の新・増設及び出張販売の許可︶と事業活動規制

︵閉店時刻や休業日の制限︶を含んでおり︑基本的には第一次百貨店法の規制方法を継承したものである︒同法の

目的は﹁百貨店業の事業活動を調整することにより︑中小商業の事業活動の機会を確保﹂することにあり︵第一

条︶︑大規模小売業者の出店によって影響を受ける中小小売業者を保護しようとするものであった︒また︑諮問機

関としては百貨店審議会が設けられたものの︑事実上の調整は︑法的な裏づけのない商業活動調整協議会︵商調

協︶に委ねられた︒商調協は︑第二次百貨店法制定前の新宿民衆駅構想をめぐる紛争において︑東京商工会議所が

紛争解決のための調整を行うべく設置した組織であつ︵超・そして・この組織を通じて出店調整を行うという方法が

百貨店法の運用にも採り入れられ︑全国の商工会議所でも商調協が設置されていった︒かくして︑商調協は︑百貨

店法の実質的な調整機関としての役割を果たしていくことになるが︑商業関係者︑消費者代表︑学識経験者の三者

       構成をとっていた︒中小小売業者の事業活動の機会確保を法目的に謳い︑消費者利益を考慮するような明文上の規

定はないにもかかわらず︑消費者の意見が反映される場は一応確保されることになった︒

 以上のように︑大規模小売業者に対する参入規制は︑第一次及び第二次の何れの百貨店法においても︑百貨店間

(7)

の激烈な競争によって多大の影響を受けた中小小売業者の反対運動を背景として展開されたものであった︒した

がって︑大型店規制が消費者の小売選択の利益と関連しているとの一定の認識はあったとしても︑法制度上︑消費

者利益に対する位置づけは明確にされなかった︒

2 大店法による参入規制

 一九六〇年代の高度経済成長期を経て︑大量生産・大量販売体制が確立される中で︑大規模小売業者としての百

貨店業者の事業活動は百貨店法による参入規制により一定程度抑制されてきた一方で︑大量販売の一翼を担い︑急

成長を遂げたのがスーパーマーケットトである︒スーパーマーケットは︑戦後︑新たな業態としてわが国に登場して

以降︑本来は百貨店法の規制下にあるはずであるが︑同法の適用を巧みに免れながら急激な成長を遂げていっ︵姪︒

そして︑次第に店舗面積や売上高で百貨店と肩を並べるようになると︑規制を受けてきた百貨店側からは︑スー

パーマーケットは﹁擬似百貨店﹂であり︑百貨店法の規制を受けるべきであると強く非難された︒また︑百貨店法.

の運用は︑中小小売業者の既得権益を必要以上に保護しているだけではなく︑新規参入を阻害して既存百貨店の利

益をも確保することとなり・消費者利益を損なう結果となっていると批判されるようになつ︵起・︑あような事態を

踏まえ︑百貨店法の見直しが検討されることとなった︒

 一九七二年に通商産業省の産業構造審議会流通部会がとりまとめた答申︑﹁流通革新下の小売商業ー百貨店法

改正の方向1﹂では︑流通近代化を推し進めるとともに消費者利益の確保を図ることを基本理念に百貨店法の改       ︵8︶ 正が行われるべきことを提言した︒これを受けて︑翌年︑百貨店法の改正ではなく︑同法を廃止して制定されたの

   大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八⊥一︶ =一五

(8)

一二六

が大規模小売店舗法︵大店法︶である︒大店法は︑﹁消費者利益の保護に配慮しつつ︑大規模小売店舗における小

売業の事業活動を調整することにより︑その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保﹂することをその目

的に謳っている︵第一条︶︒同法では︑規制対象は︑従来の百貨店業者を規制する企業主義から︑スーパーマー

ケットも含めた全ての大型店を規制対象とする建物主義に変更されている︒しかし︑流通近代化の担い手と期待さ

れたスーパーマーケットの参入を過度に規制することがないように︑従来の許可制は事前審査つきの届出制に改め

られた︒  ところで︑大店法の目的規定には﹁消費者利益の保護に配慮しつつ﹂という文言が入れられているが︑その理由

について︑所管行政庁の解説書は︑﹁中小小売業の事業活動の機会の確保のために大規模小売店舗における小売業     ゜

の事業活動を調整することは︑結果的には︑空間的又は時間的な参入制限︑あるいは営業活動の自由度の制限にな

り︑消費者の選択の余地を狭めることになるので︑調整が必要な場合にも消費者利益をできるだけ損なわないよう       ︵9︶ 配慮すべきであるとの観点から本法の目的に取り入れられているわけである﹂と説明している︒すなわち︑大店法

における消費者利益の保護というのは︑調整という手段を行使する場合の単なる配慮要因にすぎないというのであ

る︒そして︑実際の法運用は︑百貨店法の場合と同様に︑各地の商工会議所・商工会内に設けられた商調協が事実

上の決定権を握っており︑法的な裏づけがない点でも同様であった︒

 一九七四年の大店法施行以降︑規制対象以下の中規模店舗の出店が急増し︑中小小売業者にとってはより深刻な

影響を受けるようになる︒各地で出店をめぐる紛争が多発して規制対象の拡大を求める声も強まったため︑一九七

八年に法改正が行われた︒改正大店法では︑従来の規制対象であった大型店を﹁第一種大規模小売店舗﹂とし︑新

たに規制対象に加えられた中型店は﹁第二種大規模小売店舗﹂として︑調整における地方公共団体の関与を高める

(9)

措置を講じた︒それとともに︑第二次百貨店法以来︑法的な裏づけのないまま実質的調整の場として機能してきた

商調協は︑施行規則のレベルではあるが︑法令上の位置づけがなされることとなった︒そして︑一九八二年には︑

商調協の規則も作られ︑これによって運営されている︒

 このように︑大店法による規制システムの下では︑大規模小売業者に対する参入規制が消費者の選択の幅を狭め

ることになるので︑消費者のこのような利益に配慮して法を運用するよう求めるとともに︑実質的な調整を商工会

議所.商工会の商調協に委ね︑一九七入年改正以降はその法的な位置づけもなされた︒しかし︑﹁各方面からの多

様な要請に対応すべく﹂制定された大店法は︑法目的もまたそれを実現するための事前審査つき届出制という規制        ︵10︶ の枠組みも曖昧性をはらんだ﹁玉虫色の法律﹂として︑法運用をめぐって様々な議論を呼んできた︒とりわけ︑大

店法の性格︑さらには消費者利益との関係をどのように捉えていくべきか︑後述するように︵三3︶︑学説上見解

は大きく分かれた︒

3 大型店規制の緩和

 一九八〇年代に入ると︑国際化が進展し︑諸外国との相互依存関係がいっそうの高まりを見せる中で︑経済シス

テムとそれを支える法制度の国際的整合化が求められるようになった︒すでに一九七九年には︑OECD理事会か       ︵11︶ ら政府規制制度の見直しを求める勧告が出されていたが︑その後の貿易収支の不均衡による国際摩擦を背景に︑わ

が国の政府規制の緩和と競争法制の強化を求める外国からの圧力が次第に強まっていった︒OECD勧告以降︑規       ︵12︶ 制緩和に関する検討は主として行政改革の一環として検討されていたが︑これが大きく動き出す契⁝機となったのが

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十入−二︶ 一二七

(10)

一二八

一九八九年から一九九〇年にかけて行われた日米構造問題協議であった︒

 同協議において︑アメリカ側は︑有効に機能していない独占禁止法や大店法に代表される流通規制が外国企業の

日本市場への参入を阻害しているとして︑法律の廃止や改正を含めて︑阻害要因を取り除く措置を講ずるよう求め

てきた︒特に︑同協議において焦点となった大店法に関しては︑同法が輸入消費財の主要な販売経路である大型店

やチェーンストアの開業を制限し︑貿易不均衡の主要な原因の一つともなっているとして︑厳しい批判が展開され

た︒そして︑具体的には︑将来の一定時点で大店法を廃止すること︑また同法廃止に至るまでの間は遅滞なく新規

出店が行えるような規制緩和措置を実施することなどを要求してきた︒協議の結果︑最終報告書に盛り込まれた合

意内容は︑第一段階の措置として大店法の﹁運用適正化措置﹂を実施すること︑第二段階として次期通常国会に大

店法の改正案を提出するとともに︑改正案施行の二年後に同法の再見直しを行うことであった︒

 まず︑法の改正を伴わずに直ちに実施しうる規制緩和として一九九〇年五月から実施された﹁運用適正化措置﹂

は多岐にわたっているが︑出店調整処理手続きの適正化︑輸入品売場に関する特例措置︑調整不要店舗の設定︑規

制対象範囲の縮小などがその主たるものである︒なかでも︑アメリカ側から処理の基準が不透明であると厳しく強

く批判されてきた出店調整手続きの適正化については︑手続きを終了するまでの期間を短縮するだけではなく︑手

続きの透明性を高めるための措置も含まれていた︒従来︑法律に定められた出店調整手続きと行政指導に基づく法

律運用上の手続きとが甚だしく乖離しており︑出店調整処理手続きを終えるまでの期間はかなりの長期にわたる場        ︵31︶ 合が少なくなく︑その過程も透明性はきわめて低く︑わが国でもその問題点が指摘されてきた︒そこで︑特にその

終了までに長期間を要し︑不透明さが指摘されてきた出店調整手続きにおける事前説明制度︑すなわち法律上の手

続きとは異なる行政指導による手続きとして導入され︑﹁事々前商調協﹂ないしは﹁地元合意制﹂などと呼ばれて

(11)

きた利害関係事業者間による調整手続きを簡素化して︑出店調整処理期間を一年半以内に短縮するとともに︑実質  ︑

的調整⁝機関である商調協の審議内容についてもいっそうの開示を図ることとされた︒

 次に︑第二段階の措置として合意された大店法の改正であるが︑最終報告書の中で掲げられていた①消費者利益

への充分な配慮︑②手続きの迅速性の確保︑③手続きの明確性・透明性の確保︑④輸入拡大の国際的要請への配

慮︑という四つの﹁法律の改正に当たっての視点﹂から検討が進められた︒そして︑一九九一年︑第一種と第二種

の境界面積の引き上げ︑出店調整処理手続きの変更︑地方公共団体による﹁上乗せ規制﹂や﹁横出し規制﹂といつ

た独自規制の抑制などを主な内容とする改正案が成立した︒このうち︑出店調整処理手続きの変更は︑上記の視点

として掲げられた内容を具体化したものであり︑最も重要な改正点である︒その要点は︑従来︑実質的な調整機関

としての役割を演じてきた商調協を廃止し︑調整手続きにおいて形式的な役割しか演じてこなかった大規模小売店

舗審議会︵大店審︶を実質的な調整の場とするとともに︑大店審の意見聴取対象を拡大して︑消費者の意見を反映

させるべく︑意見聴取対象の拡大を図ったことである︒

 ところで︑上述したように︵一︶︑日米構造問題協議におけるアメリカ側の主張は︑アメリカの要求が日本の消

費者の要求と同様であって︑その代弁者であるという論理で展開されているが︑大店法に関しては︑同法及びその

運用システムが流通業者の利益を重視して利害調整を図るものであり︑消費者利益に反するものとなっている点を

指摘し︑その廃止を迫ってきた︒わが国では︑このような規制緩和措置以降︑激烈な都市間競争が展開され︑流通

規制システムの形骸化による大規模小売業者の中心市街地からの撤退と郊外への出店ラッシュが続き︑消費者の生

活環境に多大の影響を及ぼすことになる︒一方︑消費者利益の観点から規制緩和を要求してきたアメリカでも︑こ

の時期から大規模小売業者の参入をめぐる紛争が各地で頻発し︑大型店規制の強化が図られるようになっていくの

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八−二︶ 一二九

(12)

=二〇

       ︵14︶ は皮肉な現象である︒

4 ﹁まちづくり三法﹂による規制

 大店法改正後︑日米構造問題協議での合意事項でもあり︑改正法にも盛り込まれた二年後の再見直し規定に沿っ

て︑同法見直しの作業が進められた︒そして︑大型店規制のあり方を検討してきた経済構造審議会流通部会・中小

企業政策審議会流通小委員会合同会議から一九九三年に出された中間答申﹁これからの大店法  改正大店法見直

しのあり方  ﹂では︑審議の過程で出された廃止論や規制緩和論から存続論までを含む大店法の存廃をめぐる幅

広い議論を踏まえ︑同法に基づく調整の枠組みを残したうえで︑いっそうの規制緩和を進めるべきであるとの提言    ︵15︶ がなされた︒なお︑同答申をまとめる過程において焦点となったのは︑大型店規制の目的にまちづくりや﹁地域の       ︵16︶ 生活環境保持﹂という視点を導入すべきことの是非であったという︒

 しかし︑大店法の廃止を求める﹁外圧﹂がさらに強まるとともに︑流通産業をめぐる環境の変化も次第に指摘さ

れるようになる︒第三次行革審の最終答申を受けて政府が一九九五年に策定した﹁規制緩和推進計画﹂には︑再び

大店法の二年後の見直しが掲げられた︒そして︑同年六月︑上記合同会議によってとりまとめられた﹁二一世紀に

向けた流通ビジョン﹂では︑流通産業に対する新たな課題として︑まちづくりや高齢化社会への対応に加えて︑環

境問題への対応という社会的要請が浮上してきており︑これらを踏まえた流通構造の改革が提言されている︒すな

わち︑都市環境問題︑生活環境問題︑さらには地球環境問題などの新たな問題の顕在化に対応して︑﹁製造から消

費までをつなぐ流通産業の事業活動全般にわたって︑環境に配慮したシステムの構築﹂が必要であり︑商品調達︑

(13)

物流及び販売のそれぞれの段階において環境に配慮したシステムを構築するよう求めている︒とりわけ︑生活環境

問題への対応としては︑店舗の立地に伴って周辺環境に与える交通渋滞︑騒音︑生活環境の変化等の問題を指摘        ︵17︶ し︑これに可能な限り配慮したシステムへと転換すべきであるとされた︒その後︑一九九六年六月にはアメリヵ側

からWTO︵世界貿易機関︶にわが国の大店法等による流通規制は協定違反であるとして提訴されるなど︑大店法

の廃止を求める外圧はさらに強まっていった︒

 こうした内外の動向を踏まえて︑大店法の見直し作業が進められ︑上記合同会議は︑一九九七年一二月︑大店法

による規制からまちづくりに係る新たな法制度による規制に移行するよう提言する中間答申﹁これからの大店政策

  大店法からの政策転換−﹂を提出した︒同答申は︑一九三七年以来の大型店出店調整政策を大きく転換する

ことを求めており︑規制目的も﹁中小小売業の事業活動の機会確保﹂から﹁地域の生活環境の保持﹂へと変更すべ

きであるという︒その理由として︑環境問題を含む広い意味でのまちづくりという新たな社会的課題への対応の要        ︵18︶ 請︑さらには規制緩和や国際化への対応など流通産業を取り巻く劇的な環境変化が指摘されている︒この提言に

沿って立法化のための作業が進められ︑一九九八年五月︑大店立地法及び中心市街地活性化法の制定並びに都市計

画法の改正が行われ︑﹁まちづくり三法﹂による新たな規制システムがスタートすることとなった︒

 ところが︑主として規制緩和を求める外圧を背景として行われた流通政策の転換であったことから︑その制度趣

旨として掲げられたまちづくりや﹁地域の生活環境の保持﹂を進めていくうえで︑有効な規制システムが用意され

ていなかった︒﹁まちづくり三法﹂は︑大型店の立地場所で生ずる問題に対する対応と空洞化した中心市街地の活

性化がその柱となっており︑まず都市計画法に基づき市町村が大型店の立地可能な地域と不可能な地域を決定する

ことができ︑立地場所が決定した後には︑大店立地法により都道府県・政令指定都市が周辺の生活環境への配慮を

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八ー二︶ =一二

(14)

       二二二

求めることができることになっていた︒また︑中心市街地活性化法を利用して︑市町村が策定した基本計画に基づ

き︑民間が具体的な活性化事業を進めること通じて︑空洞化の進んだ中心市街地の活性化を図るという構想であっ

た︒このような狙いにもかかわらず︑新しい規制システムは機能せず︑中心市街地では空洞化がいっそう進み︑郊

外では無秩序な出店・退店が繰り広げられ︑中心市街地でもまた郊外でも﹁地域の生活環境保持﹂は困難な状況に

陥っていった︒

 そこで︑経済産業省では︑二〇〇四年から﹁まちづくり三法﹂の見直し作業を進め︑産業構造審議会流通部会・

中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会合同会議が二〇〇五年一二月にまとめた中間報告﹁コンパクトでにぎ

わいのあるまちづくりを目指して﹂では︑政策転換後の新たな規制の枠組みでは当初期待された効果が得られてい

ないとして︑すでに欧米で行われているゾーニング規制の考え方を基本として︑﹁郊外に行くほど規制が厳しくな        ︵四∀ る体系への移行﹂が提案された︒これを受けて︑二〇〇六年︑中心市街地活性化法が改正され︑都道府県及び政令

指定都市は︑中心市街地において大店立地法による手続きを簡素化して大型店の出店を促すための特例区域を設け

ることが可能となった︒      .

 ところで︑必ずしも明確に意識されて︑その点を強調されてきたとは言い難いが︑大店法の規制緩和以降︑大型

店規制をめぐって消費者利益が議論される中で︑これを単に消費者選択の幅を広げるという狭い意味で捉えるので

はなく︑より広く生活者としての利益と捉え直すべきであるという考え方に変化してきたように思われる︒﹁まち

づくり三法﹂の制定へ至る過程においても︑小売業が各地域で暮らす人々の生活を支えていること︑したがって生

活の利便性を低下させている大型店撤退に伴う中心市街地の空洞化や生活環境を悪化させる郊外への大型店の立地

を消費者・生活者の利益に係る問題として捉えようとする考え方が示されている︒そして︑新たな規制の枠組み

(15)

も︑中心市街地の活性化や郊外立地の是非︑生活環境に対する影響への配慮などについて︑地域の人々の生活に最

も身近な地方公共団体が主体的に関わるものとし︑住民の利便性を考えた計画的な小売商業施設の配置や大型商業

施設の立地に伴う生活環境への影響までも含めたまちづくりを行えるようにしている︒また︑改正法では︑ゾーニ

ング規制を導入して郊外への立地を制限し︑中心市街地に大型店の立地を促進しようとしているわけであるが︑か

かるゾーニングは﹁生活者︑消費者としての地域住民参加のもと︑地域の選択として︑社会的によく判断した上        で︑機動的に変更できる﹂ようにすべきであるとされている︒したがって︑小売市場における消費者選択︑.すなわ

ちどのような商品やサービスをどのような事業者から選択するかというだけではなく︑どのような小売市場の環境

を選択し︑それをどのように創り上げていくかという点も含めて︑消費者・生活者としての小売選択の利益と捉え

る方向へ変化していく可能性も十分あるであろう︒

三 大型店規制と消費者利益

1 消費者の権利・利益とその内容

 わが国において︑消費者問題が顕在化し︑消費者保護の必要性が叫ばれるようになったのは︑高度経済成長によ

り大衆消費社会が実現した一九六〇年代のことである︒高度経済成長期を経て確立された事業者の組織的な大量生

産・大量販売体制の下では︑複雑で高度な内容を有する商品が多数市場に投入され︑その中には消費者の生命や健

康を脅かす危険性の高い商品も少なくなかった︒また︑消費者の人間的な弱みに付け込んだ悪質商法や消費者の誤

   大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十入ー二︶ 二三二

(16)

       一三四

認を招く不当な表示などによって︑消費者の適切な選択を歪めるような消費者取引も横行し︑消費者問題は多様な

形で社会問題化していった︒さらに︑消費者は生活をしていくうえで︑流通機構を通じて商品を購入しなければな

らないが︑事業者の市場における競争制限的行為や寡占市場における下方硬直的価格行動により︑異常な高物価が

進行し︑より廉価な商品を選択しようとする機会も奪われる事態に至った︒

 このような消費者問題の拡大・深刻化に伴って︑本来︑法制度の中で保障されているべき消費者の利益は何かを

確認し︑消費者の権利として宣言するとともに︑それを具体化するための消費者政策を展開する必要性が説かれる

ようになる︒その最初の試みが︑アメリカにおける四つの消費者の権利である︒一九六二年にケネディー大統領が

連邦議会に提出した﹁消費者の利益保護に関する特別教書﹂では︑経済社会において早急に確立されるべき権利と

して︑①安全である権利︵ユ険巨9ω昌卑匂︶︑②知る権利︵註頒巨9ぴ巴⇒甘﹃目︒亀︶︑③選ぶ権利︵民ぬ巨8臼Ooの︒︶︑

④意見を聴いてもらう権利︵§ごぴ①9①邑の四つが掲げら麩・その翌年には・わが国でも国民生活向上対

策審議会︵後の国民生活審議会︶がまとめた﹁消費者保護に関する答申﹂において︑ケネディー教書の①から③に

  へ        それぞれ相当する三つの権利が指摘された︒そして︑一九六八年に﹁消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の

総合的推進﹂を図るために制定された消費者保護基本法においては︑これらの権利を具体化するための施策が掲げ

られている︒また︑一九七五年に制定された東京都消費生活条例をはじめとして︑その後の幾つかの自治体による

消費生活条例でも︑同様の権利宣言がなされている︒

 ところで︑こうした消費者の権利宣言とその権利を具体化するための施策を掲げる法律や条例は︑必ずしも具体

的な権利を定めたものではないが︑その後生成発展してきた消費者法における基本的枠組みに対して多大の影響を

与えてきた︒消費者法は消費者問題に対応して消費者の利益確保という観点から形成されてきた法領域であるが︑

(17)

とりわけその特徴となっているのが︑消費者の利益を﹁権利﹂として提示し︑その実現へ向けた消費者政策を展開       ︵田︶ するという形で発展してきた点である︒そして︑消費者問題が社会的な問題として認識され︑その解決に向けた取

組みが﹁消費者保護政策﹂として展開されるようになった一九六〇年代以降︑保護の対象として捉えられる消費者

という人間像は︑経済社会においては事業者との比較において﹁弱者﹂であったという︒したがって︑﹁弱者﹂で

ある消費者を﹁保護﹂するために︑﹁強者﹂である事業者に対する規制を強化する必要があり︑消費者法は﹁消費       ︵24︶ 者保護法﹂として発展していくことになる︒

 しかし︑後述するように︑一九八〇年代に入って本格化した規制改革の世界的潮流の中で︑わが国でも規制緩和

の議論が狙上にのぼり︑消費者利益を確保するための規制についても︑市場メカニズムの重視と自己責任原則の確

立という観点から︑その見直しが進められた︒このような議論と平行して︑従来の﹁保護﹂されるべき対象である

﹁弱者﹂という消費者の捉え方を見直し︑今日の経済社会においても﹁自立﹂しうる存在として捉え直すべきであ        ︵25︶ るという主張が現われるようになる︒そして︑日米構造問題協議後の一九九〇年代を通じて進められた規制緩和が

次第にわが国の経済システム全体に拡大する中で︑消費者法制にとっても大きな転機が訪れた︒それまで︑消費者

取引に関する民事的ルールづくりは︑諸外国と比較して大きく出遅れていたが︑二〇〇〇年になって消費者契約法

の制定をはじめとする消費者取引適正化のための法整備が進められ︑事業者との間の情報力・交渉力の格差という

消費者取引をめぐって消費者が置かれている実情を直視した制度が設けられた︒こうした民事ルールの整備に伴っ

て︑消費者法の基本的枠組みも大きく変化したことから︑二〇〇四年には消費者保護基本法の大改正が行われ︑法        ︵26︶ 律名も﹁保護﹂を削除して消費者基本法となった︒消費者基本法では︑﹁消費者の利益の擁護及び増進に関し︑消

費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念﹂が定められ︑①消費者の安全の確保︑②消費者の自主的

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八ー二︶ 一三五

(18)

一三六

かつ合理的な選択の機会確保︑③消費者に必要な情報・教育の機会の提供︑④消費者意見の反映︑⑤消費者被害の

適切かつ迅速な救済︑という五つの消費者の権利が掲げられている︒

 ケネディー教書以来︑消費者の利益を﹁権利﹂という形で宣言し︑その確立に向けた消費者政策を展開する法律

や条令が制定され︑さらにその権利を具体化する法制度が次第に整備される中で︑消費者に保障されるべき利益の

中身も次第に拡大されてきた︒それは︑次のような理由からであろう︒今日の経済社会においては︑消費者は︑取

引社会の一員に組み込まれ︑事業者との取引を通じて生活に必要なものを手当てせざるを得ない︒消費者の取引相

手である事業者は︑取引に関しては専門家であり︑あるいは専門家として扱われるべきであると考えられてきた︒

そして︑取引の専門家である事業者と消費者との間には取引上の立場の差が明らかに認められるにもかかわらず︑

その立場の差を考慮しない伝統的な取引ルールは消費者にとってほとんどの場合不利益な結果を招来することにな

る︒そこで︑このようなアンバランスを是正し︑現実に生起してくる多様な形態の消費者問題の解決を図るべく︑

まず法制度上保障されているべき消費者の利益を﹁権利﹂という形で宣言し︑その実現に向けて多様な手法を展開

してきたわけである︒

 最初に消費者問題という社会的な問題の存在とその解決に向けた取組みの必要性が認識されるようになったの

は︑消費者の安全を損なう危険な商品や不当な表示をめぐる問題であり︑さらには市場経済体制下における競争政

策の停滞であった︒これらの消費者問題にそれぞれ対処すべく︑ケネディー教書の影響を受けた﹁消費者保護に関

する答申﹂の中に︑①消費者の安全︑②消費者への適切な情報提供及び③消費者の選択に関する﹁権利﹂が盛り込

まれた︒その後︑様々な悪質商法が登場し︑消費者取引の方法及び内容の適正化や被害の救済をめぐつて問題が深

刻化するにしたがって︑④消費者取引の適正化や⑤消費者被害からの適切かつ迅速な救済などが︑新たに﹁権利﹂

(19)

として付け加えられている︒

2 経済的規制と社会的規制

  以上のような消費者の利益ないし権利は︑多種多様な法律的・行政的手段を通じてその実現へ向けた取組みがな

 されてS・なかでも・政府による経済活動に対する直接・間接の規制制度は︑他の目的実現の手段と同様に︑消

 費者問題の解決・消費者利益の確保のための手段としても︑これまで広く活用されてきた︒ ︑  政府規制は︑多様な目的と態様により導入され︑当初は肯定的に受け止められてきたわけであるが︑否定的な側

 面を強調する規制緩和論が展開された一九八〇年代以降︑その目的から経済的規制と社会的規制に分けて論じられ

  ることが蕊・そして・規制緩和論の立場からは様々な説明が試みられているが︑第二次行暮の答申では︑それ

  ぞれ次のように整理されて滋・経済的規制とは・﹁市場の畠な働きにゆだねておいたのでは︑財・サ←スの

  適切な供給や望ましい価格水準が確保されないおそれがある場合に︑政府が︑個々の産業への参入者の資格や数︑

  設備投資の種類や量︑生産数量や価格等を直接規制することによって︑産業の健全な発展と消費者の利益を図ろう

  とするものである﹂とされる︒一方︑社会的規制とは︑﹁例えば︑消費者や労働者の安全.健康の確保︑環境の保

  全︑災害の防止等を目的として︑商品・サービスの質や提供に伴う各種の活動に一定の基準を設定したり︑制限を

  加えたりする場合がこれに当たるのであって︑経済的︑社会的活動に伴って発生するおそれのあるマイナスの社会

  的副作用を最小限にとどめるとともに︑国民の生命や財産を守り︑公共の福祉の増進に寄与しようとするものであ

  る﹂とされる︒このような整理の仕方に従えば︑経済的規制は︑競争が機能しない分野において︑参入規制や価格

大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八ー二︶ =二七

(20)

       =二入

規制などの競争制限的な規制によって望ましい経済的な成果を達成しようとするものであり︑社会的規制は︑消費

者の安全確保や環境の保全といった社会的見地からの規制であり︑競争制限を意図しない競争中立的な規制である

と捉えることができよう︒

 ところが︑現実に行われている規制は多様な目的を有しており︑例えばこの規制は経済的規制であるとか︑ある

いは社会的規制に含まれるというような形で単純に整理することは︑多くの場合困難を伴う︒とりわけ︑社会的規

制をどのように理解すべきかという点に関しては曖昧な部分も多く︑論者によっても捉え方や対象となる範囲に相         当の開きがあるからである︒本稿で検討している大型店規制についても︑多様な目的が含まれており︑経済的規制

又は社会的規制の何れか一方に区分することは適切ではない︒しかし︑このような規制の目的に基づく分類の仕方

についてここで言及しているのは︑上述の第二次行革審で示された規制の見直しに対する基本的考え方が︑その後

の規制改革論議においても常に繰り返されてきているからである︒すなわち︑経済的規制にあっては﹁原則自由・

例外規制の立場に立って抜本的に見直す﹂ものとされ︑社会的規制にあっては﹁常に見直しを行い︑状況に適合し

たものとし︑国民に必要以上の負担や制約をもたらすことのないようにする必要がある﹂とされる︒従来︑産業保

護政策を優先し︑競争制限を容認する経済的規制を幅広く導入し︑競争政策不在の経済運営が長い間続けられてき

たが︑一九八〇年代以降︑貿易摩擦を背景に進められた規制改革をめぐる議論は︑﹁わが国の国際的地位にふさわ

しく市場アクセスの改善を一層進めるとともに︑国際化の進展に対応し︑制度・仕組みの国際的調和に積極的に取        り組む﹂という立場から︑このような経済的規制11原則自由・例外規制︑社会的規制‖必要最小限という規制改革

の基本的方向性が打ち出されたのである︒

 現実には様々な政策が混在し︑相反するような政策が競合しても︑市場経済体制においては︑本来のあり方とし

(21)

て競争政策が基本的政策と位置づけられ︑各種の理由から導入された競争制限を容認する経済的規制政策は例外的

政策と位置づけられるはずである︒したがって︑上述した消費者利益ないしは権利のうち︑消費者選択の利益.選

ぶ権利は︑原則として競争政策を通じて実現されることになるが︑競争が機能しない場合には︑経済的規制政策を

通じてその実現が図られるものの︑これは例外的な方法と位置づけられることになる︒一方︑消費者安全の利益.

安全である権利は競争中立的な社会的規制政策を通じて実現されるものとされるが︑消費者選択の利益.選ぶ権利

実現の前提条件ともなるべき適切な情報提供の利益・知る権利については︑競争政策の一環としての公正取引確保

ための施策によって実現されるものと見るべきか︑それとも競争中立的な社会的規制政策を通じて実現されるもの        ︵32︶ と見るべきか︑整理の仕方によって異なってくる︒

3 大型店規制と消費者利益との関係

 それでは︑大型店規制との関係において消費者の利益・権利はどのように位置づけられるのであろうか︒従来︑       ︵33︶ 百貨店法や大店法などの大型店規制は︑経済的規制の典型的事例として扱われてきた︒それは︑大規模小売業者の

参入が立地店舗周辺の競争相手である中小小売業者にとっては事業活動の継続を困難にするほどの多大の影響を及

ぼすことから︑大規模小売業者の参入を規制し︑中小小売業者の事業活動の機会確保を図ろうとしていたからであ

る︒すなわち︑小売業者間の競争に委ねておいたのでは︑規模の経済が働かず︑競争上劣位に置かれることになる

中小小売業者を競争制限的な規制により保護して︑大型店出店をめぐる紛争に対処しようというのである︒した

がって︑大型店規制は︑消費者選択の利益を損なう結果になりかねない規制として︑消費者の利益に配慮して運用

   大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八ー二︶ ニニ九

(22)

一四〇

することが求められることとなる︒

 例えば︑第一次百貨店法立案の基礎となった小売業改善調査委員会の決議における統制の公正を期するための消

費者代表を加えた諮問機関を設置するという提案や第二次百貨店法の運用における消費者代表を含めた商調協によ

る実質的調整システムなどは︑中小小売業者保護のための参入規制が消費者選択の利益を損なうことに対する懸念

の現われとみることができよう︒また︑第二次百貨店法を改正してスーパーマーケットをも規制対象に加えた大店

法においても︑商調協による実質的調整という法運用システムが引き継がれたほか︑目的規定にも﹁消費者利益の

保護に配慮しつつ﹂という文言が盛り込まれ︑消費者選択の利益を損なうような法運用に対する懸念が見て取れ

る︒しかし︑消費者利益に配慮しつつ中小小売業者の保護を図るとされつつ︑実際の法運用は︑これとは異なっ

て︑消費者利益の軽視と既存の大規模小売業者の既得権益擁護という形で行われており︑法律による規制システム        ︵34︶ とは乖離した運用システムに対して厳しい批判がなされてきた︒このような大型店規制は経済的規制すなわち競争

制限的規制であり︑消費者選択の利益を損なうという捉え方に対して︑大型店規制は競争制限的な規制ではなく︑

むしろ公正競争促進のための規制と捉えるべきであるとの見解や中小小売業者の生存権確保のための社会的見地か

ら行われる社会的規制であるとの見解がある︒

 かつて大店法の目的及びその性格をめぐっては︑特に競争政策との関係において大店法をどのように評価すべき         かという点において︑・見解は大きく異なっていた︒その代表的なものとして︑﹁競争秩序維持説﹂︑﹁生業権説﹂及

び﹁緊急避難説﹂がある︒まず︑﹁競争秩序維持説﹂は︑大店法による規制を競争政策と整合的に捉え︑参入規制

を行っていない独占禁止法を補完し︑地域小売市場における公正な競争秩序を維持するために︑大型店出店が競争

制限的な力の形成につながる場合を規制すべきであるとする︒したがって︑中小小売業者にとっては公正な競争秩

(23)

序が維持された中で事業活動を営むことができるほか︑小売市場の構成員である消費者にとっても公正な競争によ        ︵36︶ る選択の利益につながることになる︒次に︑﹁生業権説﹂では︑大店法による大型店の参入規制は単に競争政策の

枠内だけでは捉えきれない中小小売業者の﹁生業権﹂を確保するためのものであり︑消費者利益との関係でも︑消

費者が中小小売業者を選択する機会が奪われないようにするという意味において︑中小小売業者の権利確保と消費       ︵37︶ 者利益は相反するものではないとしている︒その後︑﹁生業権説﹂からは︑さらに消費者利益との関連で議論が深

められており︑大型店による競争制限的な新規参入を規制することにより小売における異業態間の選択を可能とす

る真の消費者利益が確保されるとの主張やその後の社会的規制への転換をめぐる議論とも関係してくる商業立地・       ︵38︶ 生活環境にかかわる問題と捉え直すべきであるとの視点が提示された︒﹁緊急避難説﹂は︑大型店規制により確保

される中小小売業者の利益と競争政策によって確保されるべき消費者の利益とは相反する性格を有しており︑大店

法による参入規制は競争政策の観点からは合理的説明ができず︑緊急避難的に認められた制度として理解すべきで

    ︵39︶ あるとする︒

 これらの各見解は︑法制度及びその運用実態とは異なって︑理念先行型の議論であって︑規制の根拠を十分説明        ︵40︶ しているとは言い難い側面があることは否めない︒しかし︑大型店規制の中で論じられる消費者利益とは何かを考

えるうえで︑競争政策との関連で大型店規制をどのように評価していくかという点は重要なポイントとなってく

る︒﹁競争秩序維持説﹂及び﹁生業権説﹂では競争政策と整合的に大型店規制を捉えようとしており︑大店法によ

る参入規制から﹁まちづくり三法﹂による規制へと政策転換した後の大型店規制においても︑そこで論じられる消

費者利益︑とりわけ消費者選択の利益をどのような内容の利益であると捉えるべきかを検討する際の重要な手がか

りを提供しているように思われる︒

大型店規制と消費者の利益      ︵都法四十八ー二︶ 一四一

(24)

一四二

四 ﹁まちづくり三法﹂における消費者利益

1 社会的規制としての﹁まちづくり三法﹂

 上述したように︵二4︶︑一九九八年︑流通政策の転換に伴って大店法が廃止され︑新たに大店立地法と中心市

街地活性化法が制定されるとともに︑都市計画法も改正されて︑﹁まちづくり三法﹂と呼ばれる新しい流通規制の

法的枠組みが形成された︒大店法と大店立地法では︑規制の目的もまた規制手法も大きく異なっている︒政策転換

を図るよう提言した﹁これからの大店政策  大店法からの政策転換  ﹂では︑その必要性について︑次のよう

に説明する︒需給構造の変化や大型店の立地に伴う新たな社会的問題への対応の要請︑さらには規制緩和の流れや

国際化の進展など︑小売業を取り巻く環境が変化しているにもかかわらず︑大店法はその目的及び規制手法からも  ゜

こうした社会的要請に応えることを予定したシステムとはなっていないことから︑﹁大型店の立地に伴う計画的な       ︵41︶ 地域づくりや交通・環境に与える諸問題を解決するため新たな実効性ある政策的対応へ転換すべきである﹂︒そし

て︑社会的問題への対応の要請について︑﹁地域住民の中で︑消費者や小売業者といった経済的な立場とは別に︑

生活者あるいは地域コミュニティの構成員としての社会的視点から︑周辺環境問題を含む広い意味での街づくりへ

の関心が高まりつつある﹂ほか︑﹁中心市街地における商業等の都市機能の空洞化が進展しており︑いわゆる街づ       ゆ  くりへの問題意識をいっそう高めるに至っている﹂と説明している︒このような社会的要請は﹁単に市場に委ねた

だけでは円滑な解決が困難ないわゆる﹃市場の失敗﹄の典型例﹂であるから︑﹁小売業が健全な発展を遂げていく

ためにも︑政策的に一定の制度・ルールを提供しその下での事業者等の的確な対応を促していくことが必要であ

(25)

    ︵43︶ る﹂という︒

 そこで︑大型店立地周辺地域の生活環境を保持するという観点からは︑地方公共団体が各地域の実情・特性に応

じて大型店の立地の可否を予めきめ細かく定めることができるようにするための都市計画法の改正と大型店出店に

当たって交通や環境問題への適切な対応を求めることで地域社会との調和を図ろうという大店立地法の制定が提案

  ︵44︶ された︒また︑中心市街地の空洞化に対しては︑魅力ある商業集積の形成に向けた中心市街地における商業振興策        ︵54︶ を中心として︑中心市街地活性化に向けた支援の枠組みを定める法制度整備が提案された︒

 大店法による規制は︑理念的に捉えるならば︑公正競争の促進あるいは社会的規制という観点から一定の評価を

与えることができ︑そのような目的を実現する制度へと編成し直すことも十分可能であったと思われる︒一方で

は︑大型店規制に批判的な立場からは︑その実際の運用面などの問題点を捉え︑大規模小売業者と中小小売業者の

出店をめぐる紛争に対処するために︑その利害調整を図るという参入規制は︑超過利潤や機会費用の損失という弊       ︵46︶ 害を発生し︑消費者にとって望ましくない経済的規制であるとして︑その撤廃が主張されてきた︒しかし︑規制緩

和論・大店法廃止論の中でも︑激烈な都市間競争に伴ういびつな地域開発の弊害に対しては︑﹁まちづくり﹂とい        ︵47︶      . う観点からの都市政策と連携した流通政策の必要性は比較的早くから認識されており︑大型店規制を経済的規制か

ら社会的規制へと転換することにより︑大型店規制の枠組みを残していく余地が残されていた︒

 経済的規制から社会的規制への転換を強調されながら︑新たな大型店規制の枠組みを設定した﹁まちづくり三

法﹂であるが︑同法の下でも大型店の中心市街地からの撤退と郊外への進出に歯止めはかからず︑同法施行後七年       ︵48︶ 間の評価では︑﹁当初期待された効果は得られなかった﹂という︒中心市街地からの大型店の相次ぐ撤退や郊外へ

の進出ラッシュは︑中心市街地の空洞化を招いただけではなく︑郊外でも激しい競争に伴う短いサイクルでの出店

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八−二︶ 一四三   ︐

(26)

一四四

と撤退を繰り返すことになった︒経済的規制‖原則自由・例外規制︑社会的規制‖必要最小限という規制改革の基

本方針に基づいて設定された新たな規制の枠組みは何れも実効性を欠き︑大型店の出店は﹁自由放任的競争﹂に委

ねられ︑その結果︑中心市街地の空洞化と無秩序な郊外の開発が一層深刻化する事態に陥ったのである︒

 かかる事態を踏まえ︑中心市街地活性化の基本的方向性として︑﹁様々な都市機能の市街地集約﹂︑﹁中心市街地

におけるにぎわい回復﹂及び﹁市街地集約とにぎわい回復の一体的推進﹂による﹁コンパクトでにぎわいあふれる

まちづくり﹂という新たな考え方が打ち出された︒そして︑このようなまちづくりを進めていくために︑二〇〇六

年︑﹁まちづくり三法﹂のうち︑中心市街地活性化法と都市計画法が改正された︒その要点は︑商業振興が中心で

あった中心市街地活性化法を中心市街地活性化のための基本法的な位置づけにするとともに︑商業機能に限定しな

いで幅広く都市機能を中心市街地に集約し︑にぎわいを回復するための支援策を拡充している︒また︑活用されに

くかった都市計画法の土地用途規制を強化し︑店舗だけではなく︑アミューズメント機能を含む大規模集客施設︑

さらには病院︑社会福祉施設などの公共公益施設までも規制対象に加え︑無秩序な郊外の開発を抑止できるように

している︒一方︑大店立地法については︑見直しを行う過程で大型店の規制強化を求める意見も少なくなかったよ

うであるが︑ゾーニング規制を導入するにとどめ︑中心市街地活性化法の中に大店立地法の適用除外規定を設け︑       ︵49︶ 郊外にいくほど規制が厳しくなる方式に改めた︒

2 ﹁まちづくり三法﹂と消費者選択の利益

﹁まちづくり三法﹂において︑まちづくりは地方公共団体が主体的に取り組むべき課題であるとしながらも︑見

(27)

直しの提言を行った上記答申では︑地方公共団体が条例等によりまちづくりという観点からの大型店規制を行う場

合には︑大型店規制政策が経済的規制から社会的規制へ転換されたことを考慮し︑経済的規制とならないよう求め        ︵50︶ ている部分がある︒しかし︑果たして︑このように﹁まちづくり三法﹂による大型店規制を従来の経済的規制から

社会的規制への転換として捉え︑今回の改正は︑社会的規制としての必要最小限の規制内容を備えていなかったた

めに︑必要な見直しがなされたものとの理解でよいであろうか︒第一次百貨店法から大店法に至るまでの長い歴史

を有し︑わが国独特の流通政策であるとされてきた大型店規制政策は︑国内外から厳しい批判を浴びてきた︒規制

の性格を競争制限的な参入規制を行う経済的規制から競争中立的な社会的規制へと変更し︑規制の手法も必要以上

の負担や制約を課さないという点に最大限の配慮をして大型店規制の枠組みを残してきたわけであるが︑﹁まちづ

くり三法﹂の制定から今回の法改正へ至るまでの経緯を改めて考えてみると︑消費者選択の利益という観点からの

制度設計が必要ではなかったのか︑という思いを強くする︒

 確かに︑消費者の権利として宣言された消費者の選ぶ権利ないしは消費者選択の利益は︑競争政策を通じて実現

されるものであり︑また競争原理が機能しない分野では︑競争に代わって︑競争制限的な参入規制を行う一方で︑

競争によってもたらされる成果を直接規制により達成しようとしている︒かつての大型店規制が中小小売業者の保

護を目的として導入されたにもかかわらず︑実際は中小小売業者保護の機能を十分果たすことができず︑すでに参

入している大規模小売業者の既得権益を擁護する機能を果たしてきたことは︑つとに指摘されてきたところであ

る︒  そこで︑かつて︑大店法の運用をめぐって︑実際の調整にかかわった経験を踏まえながら︑その問題点を明らか        ︵51︶ にしたうえで︑大店法の廃止と独占禁止法による大型店規制を主張したことがある︒もちろん︑独占禁止法による

   大型店規制と消費者の利益       ︵都法四十八ー二︶ 一四五

(28)

       一四六

規制と言っても︑当時はまだわが国の競争政策は経済政策の中心と位置づけられておらず︑実効性ある競争政策を

展開するうえで︑法的措置の面でもまた法の執行体制の面でも多くの問題点を抱えており︑市場構造規制を含む独

占禁止法の強化を前提とした主張であった︒その後︑日米構造問題協議を経て独占禁止法の度重なる強化改正や執

行体制の整備が進められ︑当時と比較すると競争政策は格段の進化の跡が見られる︒とりわけ︑公共企業分野にお

いては︑従来︑競争が機能せず︑競争に代わる規制が行われてきたが︑近年︑競争原理の導入と公正な競争条件創

出のための取組みなどが行われ︑競争政策の展開にはまさに隔世の感がある︒しかし︑その一方で︑特定産業や中

小企業の保護政策のための競争制限的規制が行われてきた領域でも規制緩和が進められているものの︑公正な競争

条件を創出するための取組みは十分とはいえない現状にある︒とりわけ︑中小小売業者を保護するための大型店規

制は︑競争制限的な経済的規制を撤廃し︑競争中立的な社会的規制のみを﹁まちづくり三法﹂によって行うものと

され︑政策転換後は︑小売業において公正な競争条件をどのように創り出していくかという議論も取組みも全く行

われてこなかった︒

 大店法から﹁まちづくり三法﹂への転換を図る過程では︑消費者の利益について︑経済的な狭い意味での利益だ

けではなく︑地域住民としてのあるいは生活者としての利益という観点から︑大型店問題を地域の生活環境問題と        ︵52︶ して捉えていくべきことの重要性が強調されていた︒しかし︑そこでの生活環境をめぐる問題は︑大型店出店に伴

う交通渋滞・交通安全問題︑駐車・駐輪問題︑騒音問題︑廃棄物問題などの交通・環境問題に倭小化され︑地域で

暮らす生活者として日々の生活を手当てすることのできる小売店が身近に存在し︑最低限の小売選択が可能となる

ような生活環境が保持されるべきであるとの発想は充分意識されたものではなかった︒同時に︑中心市街地の空洞

化により︑消費者の生活を支え︑質の高い消費者選択の機会を提供していた中心市街地の小売業が機能不全に陥っ

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