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ヒックスの物価指数理論 : 消費者余剰と物価指数

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(1)

ヒックスの物価指数理論 : 消費者余剰と物価指数

その他のタイトル Hicksian Theory on the Index Number of Prices : Consumers' Surplus and Index Number of

Prices

著者 高木 秀玄

雑誌名 關西大學經済論集

6

5

ページ 361‑380

発行年 1956‑09‑01

URL http://hdl.handle.net/10112/15692

(2)

361 

る函数論的指数論の方向︑すなわち︑

( 1 )  

われわれは消費者余剰の最初の理論家であるデュプイの研究にまでさかのぼらない︒また本稿の理論の進め方に

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

l

物価指数の経済理論には次の二つの方向がある︒すなわち︑無差別曲線または曲面の概念を根底において需要の

法則と聯関財の理論を確立するスルーツキイ︑ジョンソン︑

ルソンの方向とラスパイレス式と︒ハーシエ式とをもつて真の物価指数の上限と下限であることを論証する︑

. 

アレン︑シュルツ︑ホテリング︑

の二つの方向はともに消費者行動の分析と指数理論とを結合する点で共通性を有するものである︒

われわれは︑本稿で消費者行動の分析の重要な手がかりとしての消費者余剰と物価指数との関係︑あるいは消費

者余剰と物価指数との関係を通じての需要法則の研究についてのヒックスの所論を展開したいとおもう︒そうする

一部分の厚生の分析より総体の経済厚生の分析についての理論を明らかにしたいのである︒

コニュースの方向とである︒こ

(3)

びいたものである︒ る財の購入量は

( x f

. .

J

 晶︶であり支

( x a )

( p f 9

 

•••

p[

J̀

︶ 

( 1 )  

のみに限定されないし︑又︑ これによってわかる通り︑ヒックスによればマーシアルの定義をとりつつも価格の変化は一財

とつてはそれは︑不必要である︒消費者余剰とは﹁消費者がその物なしに済ますよりも︑

( 2 )  

むしろ支払うことを辞せぬ価格が彼の実際に支払う価格を超えるその超過分﹂である︒サミュエルソンによって︑

( 3 )  

その回復をはかった者として指摘されたヒックスによれば﹁価格の下落の結果︑消費者に帰する利得を貨幣所得の

称呼で表現する一手段と看倣すことである︒あるいは︑もっと適切には︑それは所得の補整的変化であって︑所得

のそれだけの喪失がちょうど価格の下落を相殺し︑消費者の経済状態をこれまでより良化させないままでおくがご

( 4 )  

マーシアル流の貨幣の限界妓用が不変であるという限定にこだわることはない︒それ

はそれとして︑消費者余剰とは文字通り一種の余剰︑あるいは超過分であり︑

数式で表現されたものである︒ サミュエルソンによって次のような

p   d <

p  

• d p

;  

1 1

臣 性

︶ ぎ

p f  

P(

XS

IP

(X

)1

1j

︵ ぎ ︶

, p  

f J x ;   f J P ,   p f p g  

か 名

( p

壽 ︶ 食

1 1 [

i ' . P x ; d p

( 5 )  

サミュエルソンのこの式は二次元の場合であり︑最初の価格と所得の状態は

これに対態す

りなる選ばれた奴用指標にとつての妓用量である︒いま︑

P i

なる

価格のみが変動し︑所得不変とすると購入量は

( 4 9

•••

X

[

P(

Xb

)

が成立する

e

これだけの条件よりみち マーシアルによれば︑

(4)

363 

なお︑等価的変化は

l

d

M

u

X 斗

d Z r )

︵ ー

d P r )

M

P ゞ

r s (

d

P r )

︵ ー

d p , )

d M I I

X r d P r + T

d p , d p , r r s  

d p , d p .  

M 旦

a M  

1  2 

ap

a p

.

d M I I M T ̲ d P

︑ + ー

ミ P

r r s

へと下落すると補整的変化はーミ

d P

ヒックスの消費者余剰の定義に出てきた補整的変化︑

( 3 )  

( 2 )  

さらにこれと密接な関係にある等価的変化について明らか

にしておかねばならない︒彼によれば補整的変化とは︑価格の与えられた変化を相殺するような所得の変化を測る

ものであり︑等価的変化とは︑価格の変化によって誘致されるのと同じ炊用の変化を誘致するような︑当初の価格

状態で生ずる所得の変化である︒なお︑価格の与えられた変化に基づく妓用の変化と︑価格の逆変化に基づ

4

炊用

の変化とは︑符号は反対であるが等しいから︑価格体系

A

から価格体系

B

への変化の場合の等価的変化は︑価格体

( 6 )  

B

から価格体系

A

への変化の場合の補整的変化と同一である︒もし︑ある一財の価格が下落するときは︑所得

( M

)

の補整的変化は︑下落前の購入数量を旧価格で購入する費用と新価格で購入する費用との差よりも大である︒

すなわち

P

P

+ d

p  

1

d P

よりも大となるべきであり︑

この第2式はヒックスの均衡方程式より

ヒックスの物価指数理論︵高木︶ よりも大であり︑財のアグレゲーションの場合は

いま価格群に関して

M

を偏微分すると1ヒックスによれば︑価格の特定の

変化を相殺して奴用水準をもとのままに残しておくような

M

の補整的変化を求めると次式を得る︒

(5)

これより 第一図に於て

A A はラス︒ハイレス変化であり︑

A A

は等価的変化︑

B B

は補整的変化︑

B B

ほ︒ハーシエ変化である︒こ

( P r + 食 ︶ お

M

P a a 1 1  

この二つの変化とラス︒ハイレス変化︑

︒ハーシエ変化との関係は第一図のようになる︒この図はヒックスの

"

C o n s

,  u

m e r s ' S u r p l u s n   a d   I n d e x   N u m b e r s "

  ( R e v i e w   o f   E c o n o m i c   S t u d i e s ,  

1 9

4 2

,  

V o l .   I X ,   N o .  

2 ,

  p .  

1 2

9 )

よ り 描

gh

f

た本ごので

ある︒なお︑ここでラスス︒ハイレス変化とは二時点間に価格は変化したが比較時点に於て基準時点と等価満足を得 るための所得の変化を測定するものであり︒︒ハーシエ変化とは基準時点に於て比較時点と等価満足を得るための所 得の変化を測定するものである︒すなわち︑

ヒックスによれば次式で示されるものである︒

I I

[ P r + d P r )

d

ぷ ︶

as~p,(x,

+

ぶ ︶

d

I.

き ︑

1 d

M = I :

d P

ヽ ー ビ さ

d P

││dP¥

' ー ビ ビ

X r s d

r M 2  竺 s r s   P 吾

き r

ー ビ

1 1

x r d P r

+ 凹

x , d p , z

ー ー

j

d P r 1

. d p , d p ̲ ,

a M  

2  ,  s 

8

ぷ 1

l l l い 百

r d P r

H

‑ d p , d p .  

x , . , d P , d P . ,

r s   a p .  

2  r  s 

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

1 1

ー ビ

( x r + d

ギ ︶

d P

T

, d p , d p ,

s

( 7 )  

( 6 )  

( 5 )  

(

4

)

 

(6)

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

M  ゜

& 

F i g .   1 

︵ 三

前節で述べた等価的変化と補整的変化とがいかなる条件

のもとで︑ある評価可能な範囲まで食い違いを生ずるか︑

この問に答えるのがヒックスの第一に掲げられる問題であ

( 7 )  

P

さは購入数量であり︑

Xi,··•,

既に約束したように

月 ・

9

P n

は価格であるとせよ︒しかるとき

ミ I I

u ( X 1 , ・ ・ ,

お ︶

9

i

I I 心 哭 含

兎 涵 含 肌 ヽ ぐ ー ﹀

H冷宍

ー ︵

心 杢

民 翌

翌 K ) I

r v ー

︵ ヽ

ぐ ー

H

合 ︶

奎喉菩澄

fl:;~7

7 .  

ヽ ぐ

f

1k

いま︑価格状態

A

より価格状態 工変化である︒この四者は炊用の喪失を示すものである故に︑

( 8 )  

1 2  

れを効用の喪失という見地よりみると︑

B

はラスパイレス変化︑

B i

は等価的変化︑Aは補整的変化︑Aはパーシ

B B A A  

それぞれマイナスの符号が附けられねばならない︒

しめられる故に︑

B

へとうつる︒他方では消黄者の所得

M

がラスパイレス変化の大きさだけ減少せ

この消費者は変化前より暮しが悪化するのである︒これより

同じことが

B

Aへと価格が変化するときにもいいうるのである︒すなわち

(7)

366 

9式を

M

についての偏微分すると次式をうる︒ この第

1 1 式を二次式まで展開すると ヒックスの物価指数理論︵高木︶

所得方程式は

均衡状態では

ぢ 寄

1 1 1

A 2 U  

1 1

" 4

̀ M + N

l l 悶

"

( 4 M ) 2

A e M

について

t l 1 U

= t l 2 U

M I I

p r x 3

S r 1 1

ミ ゞ `

( F 1 1

  1 ,  

2 ,

  •••

n )

 

X 1 ,

•••, X n

およびμがこれらの

n +

個の方程式より省かれるときは︑

U 2

M

の函数

となる︒かりに

M

が確定不変であるのに価格

P r

PA

,4

p ︑へと変化したとする︒しかるとき︑妓用の変化

A l

規定ざれる︒既述の定義より明らかであるが︑等価的変化を規定するためには︑炊用の等価的変化へとみちびく所

M

の変化を規定しなければならない︒この場合に価格は確定不変である︒すなわち︑価格は確定不変という条件

のもとでの

M

M ' +

t J ,

<︑の所得の変化を想定しなければならないのである︒これは炊用の変化であるムを規

M  

定する︒これだけのことより等価的変化を得るには次式を解かねばならない︒

(13)  (12)  ( 1 1 )  

( 1 0 )  

( 9 )  

(8)

367 

および 同様に

A l t

を展開すると

この式より

マーシアルの消費者余剰の支柱ともいうべき貨幣の限界炊用は確定不変であるという条件︑すなわち

J 2 u  

11 0

より

J , M

1 1

となる︒これより︑

な お

上の第

1 5

式を解くと次の結果となる︒

s

u

1

r s

a p

 

, a p .  

1 r

r

d 1 U ー ピ

もし、第9式をPrについて偏微分すると、む

Ps~

1 1

ー ぷ と な る

︒ こ れ よ り

s

p" ー— |1

ードぉ`

智 翌

s

" " " "  

—ー 11

Us

r s 

a p ,  

0

|—ーーー

A|1

X `ー

念 ,

a p ,   ̀ 

(

E ぶ ︶

r 念

,

a p ,  

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

l t 1 I

I

︵怜

) 2

μ 2 μ f J M μ  

' 1 2 M  

1 1  

を `

I I E

i t . 1 , M   + 二

" ( 4 e M ) 尉

2,

 

à na tr n

ぎ ぷ

1 1

旦 u r

I I

I I l t

̀

(19)  (18)  (17)  (16) 

a u   旦

(15)  (14) 

(9)

補整的変化は︑

P r

P

+

4 P r ( F 1 1

1, 

2 ,

•••912)に、又同時に

M  

求められるのである︒すなわち︑

C l l

について次式が成立するC

(

8 )  

これが等価的変半の一般式である︒

A

A,M

へと変化すると想定されるときに

A ︑ M

=

セ 食

1

姦 ` 食 +

︸ 七

r

も セ寄

A P r

(21)  き r

O M  

﹂こは臣

1 1

ー ー ー

POPr+XmOM) 

および

r )

0 0  

O M  

│ ︵

A) 11  

r

なるような函数であるから

U

r 芝

M

. ー 竺

M. 忠 ︑

U が 1  1 

f } μ  

lll││││

2 9 2μf}Jl  ̀ 

( 2

0 )

 

~

M

II

セ r r 念

l

E 5

琴 苓 亨

N I i

セ $ 訊 露 食

入すると

4

t 1

と索を解くだけで等価的変化を求めることが可能であり︑

1

二次項以上の項を無視して︑第

式を第1 9

1 6 式へ代

. .  

1  1 

a u

 

き r 含

II

IA

X r

l̲

A

M

4 p r

食ーピ

X r 4 p

r

4 p s

r s   c J P s  

2  r  s 

c J P s  

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

,し-~-ヘ--ヽ—---

(10)

u=  (p,,+Ap,,,  M‑AcM)  =u(p,,  M), 

ll~Q 齊叫や廿梢心幽 l:liE-\--tQ Al~ 桐 ~l('\IQ ゜

(r= 

1,  2,  ・・・, 

n) 

(22) 

au  au  1  a2u 和

こ―

ap,  Ap,- ― AcM+ ー ~Ap,Ap, ー ~AP,AcM aM 

,. 

ap,ap.  ap,aM  1  a2n 

十一—

aM2  CAcM)2=0, 

i

」暉訳暉

1 , 

111暉叫疇ミ鴎や゜足将,

a2u  =堕 ap,aM  ap,  や 4Q i-0~!J.

i:$

械茶芝心兵肉゜

却ー

AcM(1‑, 十区腔机)+!亙 (AcM)2=0, ,  ap,  2  aM  (23)  (24) 

リ兵サ〇

AcM-1.1-~

AP,= ‑ {  (μ  十ェ翡航)ー

2贔紐}\ミ・

ヽ "  1!. 

戸心年

11

給野直号四

1  8μ 

—一(A3u)2

AcM=  +  A1u  2  fJM 

µ+~ 穀 AP,

(μ+霜岱

AP,) 3  (25) 

=—午(1+蛉睾APr)ーl+}-¼7蒻(午)2

=午—芋号嘉µ~机+且蒻(午)2

(26)  ‑" "ヽ I

3零追把錨麒纏(達*)

# 

(11)

( 4 P ) 2 .  

a x  

a p  

A ︑ M

1 1 A C M I l B A P  

2 9 式はともに次の第

3 0 式となることは明らかである︒

さらに︑補整的変化は次式で示される︒

乳謬 食+ 二竺 琴望 食︶

2 ヒックスの物価指数理論︵高木︶

故 に に

1 1

︵ ー

$

̲ h

晶 咋 食 食

I

じ 号 訊 琴 食 ︶

+ 也 ぷ 食

1 1

x r

l

}

予 A

窃 壽 心

P r

1

t 1

旦 翠

" 念

( 9 )  

この第

2 7 式は補整的変化の一般式ある︒

ここで︑本稿の出発点としてとったマーシアルの消費者余剰の概念の再検討へと進む︒結果的にはヒックスの上

述の操作はマーシアルのそれと完全に一致する︒すなわち︑もし︑唯一個だけの価格が変化するならば︑等価的変

化は次式で示される︒

1 1

x

亨 ︸ ︸ ︸

g ) 2 ,

ょ 翠 喜

A c M =

‑ x d p

ー ︸ 睾

g ) 2

ー } : 三 吋 落

9

1 1 0

であるときは︑第

2 8

o x  

マーシアルの前提である貨幣の限界奴用が確定不変であるとき、すなわち、)—nf

‑ 0  

( 3 0 )  

( 2 9 )  

( 2 8 )  

( 2

7 )

 

(12)

k k  

此処では、前節で述べた等価的変化と補整的変化とのーその一般的な形態での—関係、

ラスパイレス変化と︒ハーシエ変式との間にみられる関係の分析についてのヒックスの所論の説明へと進むであろう︒

いま︑価格が

P r

p r + A P r ( r 1 1

1 ,  

2 ,   •··,

n )

へと変化するとせよ︒しかるときラス︒ハイレス変化はーM

r 4 p r

( 1 2 )  

︒ハーシエ変化はビ︵お+令

r ) A P

︑である︒この場合にも二次項以上を無視すると︑次式が得られる︒

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

( 1 4 )  

II II M

X

r s A P , A P ,

r s  

II l

︵ 露

+ ぉ 寄 ︶

A P

︑食 ふむ姦

[ A P r

l

}

A P r

次に補整的変化とラスパイレス変化との差を求める︒

き r

ービ

X r

1 1

r r s ミ

p .

゜ d 

F i g .  2 

︵ 四 ︶

( 3 2 )  

(31) 

これは︑第2図によるマーシアルの図表の

d p

k

の増分である︒かくして︑

ックスによれば﹁たとい︑貨幣の限界奴用が常数でなくてもマーシアルの尺

(10) 度は常に二変化の間に位する﹂のである︒これによって︑ヒックスはマ︑ーシ

( 1 1 )  

アルの単純化の仮定よりまぬがれたのである︒

さらに︑その限界である

(13)

ヒック一︿の物価指数理論︵高木︶

N~z.x,.

は︑ブの値のいかんにかかわらず魚である︒これより﹁補整的変化は常にラスパイレス変化よりも大

( 1 5 )  

r s  であ

︒ハーシエ変化と等価的変化との間の差も同じようにーービ百

, . J p , J p .

となる︒元来︑この式は実質所得の変化と

r s

 

は別に︑価格の下落した商品をもつて他の諸商品に代替させる︑いうところの代替炊果のみに依るものであって︑

所得効果が入ってこない︒しかもこの式は︑価格の変動より生ずる総代替致果の半分とみられるものである︒これ

に対しては等価的変化と補整的変化との間の差は所得奴果︑すなわち︑

( 3 3 )  

﹁ある財の価格の下落は所得の増加と同様

( 1

6 )

 

に作用するから︑下級品は別として︑消費されるあらゆる財への需要を増加させる傾き﹂にのみ依存する︒次式に

よってとらえられる︒

r ‑

r 11

ーピー—_ 禁室菩溌

{

k

ー宰喉菩溌

{ k

7 x

ん 4

X

{ k r

竺 M

もし︑ある特定の一財の価格のみが下落する場合ーマーシアルの場合ーには︑劣等財の場合を除いて︑この第

3 3

は正の値をとる︒すなわち︑等価的変化は補整的変化よりも大である︒しかも︑ヒックスによれば﹁マーシアルの

( 1 7 )  

三角形の増分は︑等価的変化を過少評価し︑補整的変化を過大評価することになる︒﹂のである

e

これより︑四変

化の大小順はラス︒ハイレス変化︑補整的変化︑等価的変化︑︒ハーシエ変化と連る︒勿論︑これらは劣等財の場合以

外の順序でなければならない︒要するにラスパイレス変化と︒ハーシエ変化とは上限と下限とをなすものである︒な

お価格群を溝成する総ての価格が変動し︑

そのことが当該の消費者にとつて有利であるならば︑等価的変化は補整

的変化よりも大となるであろう︒なお︑ラス︒ハイレス変化は所得が増加するにつれて大となるのである︒

以上を要約すれば︑価格体系

Aより価格体系

B

への全体的な変動は︑所得致果ーと代替奴果

S

とに区分される︒

(14)

373 

M

A C M

Cこの場合に於て

S

は常に正であり︑ーは前述したように劣等財以外は常に正である︒これより次のようなそれぞれ

{k ー

これだけの条件によると価格の変動のみに依存するマーシアル流の消費者余剰の尺度は次の第

3 4 式で示されること

この節で既述の理論を指数理論との結合について述べよう︒

消費者の所得は

M

であり︑価格が変動したことの結果として彼はその購入を

A

B

へとうつすとする︒指数は

価格の変動の前後に於て等価的満足を得るに必要な所得比をあらわすものである︒これが普通とられる函数論的指

数理論の基本的要請である︒ヒックス的論理で進めば︑

つて︑その一般式は次の第

3 5 式によって示される︒

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

︵ 五 ︶

このような指数は補整的変化に依らせしめられるものであ

x

︑ ん さ は 答 + 雰 +

} I

ヽ ん

1

"

H

4K

II

7x

{ 4

X溌1k+s+I

{ K I I 7

Xヽ ぐ

f て

X

・ 遠 心

4 k

十 紳

s + I

の変化間の関係を規定しうる︒

7

x︑ ぐ

f

X

4k

+ 母

S

( 3 5 )  

( 3

4 )

 

(15)

こ , M

J , M   2 ' 1 c M  

(½S

+ I )

と c M

) 2

+ [ I M

̲  

1 + 4

︑ M

‑ 1  

E11[

1M)1111

f+[M' ) 111 ー M ‑ M 

C

L

M + A

e M  

E I

I  

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

他方︑原初価格で変動によってひき起されただけ当該の消費者によって︑

﹁この指数は勿論︑他のものが下降するときは︑

ある︒補整的指数と比較されるのは︑この指数の逆数である

e

これより

得を考えようとも︑あるいは︑

項であることを指摘される︒すなわち

( 3 8 )  

.d;M 

( 3 7 )  

( 3 6 )  

より良化した消費生活又は悪化した消

費生活をさせるのに必要であった所得の比例的変化を表示する指数の存在が指摘されねばならない︒

( 1 9 )

 

上向的に変動し︑逆の場合には逆の変動を示す﹂もので ヒックスに

その性格上︑補整的指数はAを基準とする無差別にとられた生計費指数であるのに対して︑等価的指数は

B

を基

M

. d c

準とする無差別にとられた生計指数に他ならないのである︒さらにラス︒ハイレス指数は M ̀ 

L 1 1

M M  

p 1 1 M

+

i A M

であり︑この二式中の

c

pとはそれぞれ補整的変化である︒

4 4   問題はこれらの各指数がどのような順序をとるかということである︒まず第一に次式が成立する故に︑奴用の取

その喪失を考えようとも︑補整的変化は常︐にラス︒ハイレス指数よりは小でなければ

他の指数を評価するために︑この場合でも二次項まで展開する︒なお︑

S

とーとは二次の項であり︑

(16)

375 

ヒックスの物価指数理論︵高木︶ これが相対的必然性をもち︑

C

E

ょり大である︒反対の場合には︑その価格が最も強く影響をうけるとい

よりも小となるのである︒

は E

が投下される財貨であるならば︑

C

これより︑等価的指数は常に︒ハーシエ指数よりも大であると決定し得るのである︒しかし︑

>(~r

であるときは、C>Eであり、次式より

M M  

と等価的指数との間の関係よりも複雑であり︑もし

•S

はんの所得についての需要の弾力性であり、もしその価格が、最も強く影響される財貨であり、

E

である所得ー弾力性を有するものであるならば︑すなわち︑所得が増大するとき︑その上に所得のより大なる部分

>1  

此 究 食

>1

鵞 寄 食

r A P r M

百 ︑ 4 p r r r  

上の条件を次のように述べることが出来る︒

辺 じ

r

. 品 繋

P 3

s  1 

E 1 1 P + m 9  

3 8

3 9 式より次式がみちびかれる︒ および

p 1

1  

この場合は補整的指数

( 1 + A

J

=

1  

1

2 1 1 1

ー 咋

I(s

2

( 4 2

)  

(41) 

( 4

0 )

 

( 3

9 )

 

(17)

条件ではない︒かりに消費者の有する貨幣所得が

A

での価格 の価格状態の間で変化するならば︑これは ヒックスの物価指数理論︵高木︶

︑ ︑

上述の四種の指数が降べきの順にその大きさを占めるのは︑

C

Eよりも大なる場合だけであって︑それ以外

にあり得ない︒なお︑

c ^ E

なるときは︑L

P

よりも大であることは考えられ得ないであろう︒代替奴果との

関係ではどうであるか︒これが次の問題である︒ヒックスによれば︑

ているけれども︑EPよりも大であり︑もし︑

小ならしめる所得奴果は非常に強くなる﹂のである︒このことが成立するのは︑基準状態と比較状態に於ける当該

の消費者の貨幣所得

M

恰もあらゆる価格が対応的な比例で変化したと同一の奴果を及ぼすのである︒この比例で調節された

B

については依然として上述の理論は妥当するのである︒かかる価格の調節の奴果は︑あらゆる指数に同じ乗数を掛

けるようになるのであって︑このようなオペレーションは上述の各指数の順序を変えるものではない︒

われわれの理論をー単一の消費者の消費行動の分析に限られたー多数の消費者の消費者行動の分析へ発展

せしめる︒そこには何等の本質的変化はないのである︒すなわち︑補整的変化は︑それぞれの消費者をして彼がA

の価格状態で経験したと同様の生活をB

得炊果についてほ︑ それが

p

よりLを小ならしめるときは︑C

が等しいとの想定のもとに於てであるが︑これは必ずしも理論を樹てるにあたっての必要

の価格状態とB をして

E

の価格状態で経験するような所得変動の総和となり︑補整的指数と等価

的指数は︑この原則に従つて再規定しなければならない︒他方︑ラス︒ハイレス指数と補整的指数との間の差︑等価

的指数と︒ハーシエ指数との間の差の両者はともに全体的に代替炊果に依存する故に︑それぞれのもつ特性は上述の

理論的拡張によって何等の影響をうけないのである︒唯︑補整的指数と等価的指価との間の差であらわれてくる所

このように簡単に片附けることは許されないのである︒その理由︒われわれはAの価格状態と

C

L

より小なるようにし

'-.-こ•一..

ー ・ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

(18)

377 

ヒックスの物価指数理論︵高本︶ 有すると考えられる︒ にひとしい︒すなわち

B

の価格状態の間での所得の全体の変動とともに︑その分布の変動を考慮に入れなければならないのである︒理論

的には総所得の変動は特定の方向にそつて生じ︑実質所得の増大は等しく分布し︑財貨の相対的必要についての需

要の所得弾力性_~総実質所得の変動へ対する需要の弾力性|ー'を上昇せしめ、相対的奢俊については、それを低

下せしめる奴果を及ぽすのである︒これだけのことをとり入れることによって問題を解きうるであろう︒

既述のように数個の価格が変化するときは︑補整的変化はラスパイレス指数とは代替項だけ異るのである︒これ

より︑補整的変化を規定する次のような進み方を明らかにし得るのである︒

P z

との変化によるラスパイレス変化は︑かと

P z

との変化についての別々のラスバイレス変化の総和であ

る︒これより︑それぞれ独立的に変化する価格についての補整的変化の総和は︑これに対応する代替妓果の間の差

1  1  1 

ーー

( X 1 1 A

2 N1

2 A P 1 A P 2  

2 4

( 1

N 1 1 A P i )

‑ (

│ ‑

R

  2 2 A

M ) 1   1 1 N 1 2 4 p

2  2  2  4 苫

4 3 式の符号は二財が代替的であるならば正であり︑補完的であるならば負である︒なお︑二財が代替的であ

つて︑それぞれの価格が下落するときは︑補整的変化でとらえられる消費者へ対する利得は︑この消費者がそれぞれ

の財貨の価格の下落よりみちびき出される利得の総和よりも小であり︒もし︑二財が補完的であるときは︑価格の

( 2 1 )  

二重の下落は︑それぞれの減少による利得の総和よりも︑大なる利得をうみ出すのである︒このような結論は所得

妓果と既述のマーシアル流の貨幣の限界炊用の確定不変性の仮定を必要としないという点に︑そのすぐれた意味を

( 4

3 )

 

(19)

C ヒックスの物価指数理論︵高木︶

再びマーシアルの三角形

dp k

へと戻る︒すなわち︑需要曲線ddの下の三角形の面積はマーシアル自身︑

その後継者達によるならば補整的変化の尺度であった︒しかるに︑ヒックスによれば︑かかるマーシアルの三角形

に対応する補整的変化は「ある一定の価格で財~を購入する機会の喪失を相殺する所得の穫得か、又はこの機会の

( 2 2 )  

穫得を相殺したであろう所得の喪失を意味する﹂ものである︒われわれが︑それで以つて消費者が事実上︑購入の

機会を享受している状態で︑なお︑所得の取得がその機会の喪失を補填することを要求するならば︑劣等財の場合

はしびらく措いてマーシアルの三角形は︑必要所得の取得を過小に評価するものとなるのである︒

同じように︑もし消費者が上述の財貨を求めることが不可能であり︑さらに彼が得た所得の取得分でもつて︑

の財貨を入手すると同じ利益を求める状態にあるときは︑

れが此処で問題とする消費者余剰なる概念は財貨のタームで構成された概念ではないのである︒所得のいかなる取

得分が︑ある一定の価格で当該の財貨の穫得よりみちびき出す利益を相殺するかを訊ねるものであって︑この場合

にはマーシアルの三角形は過大評価をなすものともし︑二財が代替的な関係にあるならば︑そのおのおの喪失を補

債するに必要であった所得の利得の総和は︑両方の喪失を補償するに必要であった所得の利得よりも小である︒こ

のことが可能である理由︒けだし︑二財貨のうちの一財の除去は必然的に消費者として残りの他財へと依らせしめ

るからである︒いうまでもなく︑二財ともに同時に除去されるときは︑必然的に消費行動は終らざるを得ない︒

歩前進する︒もし︑この二財が補完的であるならば︑それぞれの喪失を補償するに必要な所得の利得の総和は︑両

方の喪失を補償するのに必要とされる所得の利得よりも大である︒これは聯関財のもつ基本的性格上︑明らかであ マーシアルの三角形は過小評価である︒いわば︑われわ

(20)

379 

ヒックスの物価指数理論︵高木︶ (

5)  

( 6 )  

( 3 )   ( 4 )  

( 1 )   ( 2 )  

次に二財のうちの一財を喪失せしめる場合︑他の比較的に重要ならざるものを放棄するのであるが︑

一 九

われわれは二つのそれぞれ別々の喪失を合計するに当つて二重計算を行うのである︒代替財の場合に個々のマーシ アルの三角形を総計することにより︑各財の喪失を補完するに必要な所得の利得を計算するならば甚しい過少評価

われわれはヒックスの所説をたどりつつ物価指数の理論と需要分析の理論との結合について述べて来た︒

これへ対する批判は次の二方向よりなされるべきであろう︒すなわち︑消費者余剰なる概念をめぐる理論的検討ー

コヅリクの研究

l

—ーよりする批判の道であり、他の批判の道ー

|LJ

いうよりも、残された研究ーはラ スパイレス指数と︒ハーシエ指数との間に位置する従来の指数理論の中心問題であった﹁真の指数﹂と補整的指数︑

等価的指数との間にいかなる関係があるかということのより進んだ理論的分析である︒

D u p u i t ,   A n n a l e s   d e s   P o n t s   e t   C h a u s s e s ,   1 8 9 4 .  

A .  

M a n s h a l l ,   P r i n c i p l e s  

o f   P o l i t i c a l   E c o n o m y ,   8 t h   E d . ,   L o n d o n ,   1 9 2 2 ,   p .   1 2 4  

P .   S a m u e l s o n ,   F o u n d a t i o n s   o f   E c o n o m i c   A n a l y s i s ,   C

a m b r i d g e ,   H a r v a r d   U n i v .   P r e s s ,   1 9 4 8 ,   p .   1 9 5  

J.

R•

 

H i c k s ,   V a l u e   a n d   C a p i t a l ,   O x f o r d ,   1 9 3 9 ,  

p .   4 0

‑ p .   4 1  

安井︑熊谷訳書︑上巻︑一九五一年︑五七頁

P .   S a m u e l s o n ,   i b i d .   a .   a .   o .   p .   1 9 9  

l年︑数学註︑三頁ー九頁 におちいるのである︒

︵ 六 ︶

(21)

( 1 2 )  

ヒックスの物価指数理論︵高木︶

R.

 

J•

Hi ck s, 'C on su me rs 'S ur pl us n  a d  I nd ex   Nu mb er s, e  R vi ew   of   Ec on om ic   St u d ie s ,  V o l . ,   J ' ! o .  

2 ,

 

p .  

1 2 9  

R .  

J•

Hi ck s,

上掲論文︑一三一頁

 

安井︑熊谷訳書︑下巻︑数学註︑四

0

( 9 )  

R.   J .  

‑ Hi c k s,  

上掲論文︑一三二頁

( 1 0 )  

R . 

J•

Hi ck s,

上掲論文︑

l

三二頁

 

( 1 1 )  

Ad ol f  K o zl i k . 

No te   on h   t e  C on su me rs 'S ur pl us ,  J ou rn al f     o P ol i t ic a l   Ec on om y, o l   V .  X LI X, c t   O .  

1 9

4 1

,  

No . 

p .  

754 

ヒックスによるとラスバイレス指数はと

(3

い〗"[.)

xr

であり、パーンエ指数は

2

(3

い〗謬)[〗←令).であり、

これより本文の両変化をみちびき出すことが出来る︒︵安井︑熊谷訳書︑下巻︑数学註︑三七頁︶

( 1 4 )

この式はヒックスによればスルーツキイによってみちびかれた﹁価値理論の基本方程式﹂である︒

J .  

R•

H ic k s ,  Va lu e  a nd   Ca p i ta l ,   p .  

3 0

9 ,

 

安井︑熊谷訳書︑下巻︑数学註︑八頁

Eu ge n  E .   S l u st k y . 

On 

th e  T he or y  o f  t he   Bu dg et f     o th e  Con su me r,   Re ad in gs n     i P ri c e   T he or y,  L on do n,  

1

9 5

1 ,

 

p .  

4  0

.  

( 1 5 )  

J .  

R•

H ic k s , 

上 掲 論 文 一 三 三 頁 ( 1 6 )

安井︑熊谷訳書︑上巻︑六四頁

( 1 7 )  

J .  

R•

H ic k s , 

上掲論文︑一三三頁

( 1 8 )  

J .  

R•

Hi k c s,

 

上掲論文︑一三四頁

( 1 9 )  

J .  

R•

H ic k s , 

上掲論文︑一三四頁

( 2 0 )  

J .  

R•

H ic k s , 

上掲論文︑一三五頁

( 2 1 )  

J .  

R•

H ic k s , 

上掲論文︑一三六頁

( 2 2 )  

J .  

R•

Hi ck s,  

上掲論文︑一三六頁

( 7 )   ( 8 )  

0

参照

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