アニメーション作品《えらいね、アリ》より
「タートルアント」「ハキリアリ」「ミツツボアリ」「ヒアリ」
映像表現によるコミュニケーションデザインの追求
~アリと人の類似性をテーマにしたアニメーション制作~
Study on Communication Design by Animation
~Animation on the similarity between ant and human as a subject~
中島 美紗
Misa NAKASHIMA
崇城大学大学院芸術研究科修士課程デザイン専攻 Division of Design, Graduate School of Art, Sojo University
161
本研究では、様々なメディアがもたらすコミュニケーションについて取り上げ、コミュニ ケーションデザインについての整理・分析に基づいて、アリを題材としたアニメーション制 作を通して映像表現によるコミュニケーションデザインのあり方を追求した。
基礎研究として、卒業研究の冊子メディアによる情報発信、立体作品による情報発信、お よび平面メディアの空間における情報発信の3点を取り上げ、それぞれのコミュニケーショ ンのあり方を実証的に整理・分析した。
次に人間と同じように高度に進歩した社会性を持っている様々なアリの生態について文献 調査し、子供たちにこれらのアリについてより深く知ってもらいたいと考えた。またどのよ うにアリについて学ぶのが効果的か、そのコミュニケーションデザインを考える動機になっ た。
本研究では、タートルアント、ハキリアリ、ミツツボアリ、ヒアリの4種類のアリを取り 上げ、これらのアリの生態が持つ特性を小学生にわかりやすく伝え、興味を持ってもらうこ とを目的とした。アニメーションは、視覚や聴覚に訴える受動的なコミュニケーションツー ルとして有用なメディアであると同時に、小学生にとって非常にわかりやすく有用な教育コ ンテンツの形態である。また、アリについて紹介する上で親近感を与える工夫として、アリ の生態と人間の生活の中での類似点を見つけて、子供たちの身近なものに例えながらストー リーを作成した。人間の生活や小学生の生活の中で、自分と同じ部分や違いを見せること で、既存映像教材との差別化を図ることができた。作品は4編、それぞれ2分程度の作品と なった。
制作したアニメーションを小学生に視聴してもらい、視聴後アンケートを実施した。その 結果、「アリと人間の生活の類似点を比べることで、自分たちの生活と照らし合わせ、より 身近にアリを感じられた」「アリの説明が楽しくわかりやすく表現されていた」など概ね期 待通りのフィードバックが得られた。
メディアが異なることで、コミュニケーションの取り方は異なる。伝えたいことによって コミュニケーションの方法を工夫することで、よりわかりやすく、より詳しく情報を効果的 に伝達することができるようになる。コンテンツが変わると、メディアの選択も変わるが、
重要なのは、その伝えたいコンテンツに最も適したメディアを見つけ、ターゲットに向けて わかりやすく伝えていく工夫が必要だと考える。本研究では、アリと人との生活を比べるア ニメーションを制作し、目的の成果が得られたとするが、今後、このようなアニメーション はアリ以外の昆虫や生き物などを理解するメディアとして、また子供たちの興味を引くコン テンツとして展開していく可能性が期待できる。
162 崇城大学芸術学部研究紀要 第 13 号