高透磁率テープ巻磁心の動的磁区幅
(昭和49年10月31日 原稿受理)
電気工学数室毛利佳年雄
〃 藤 本 利 喜 雄
AModel for Dynamic Domain Size Variation in ・ Tape−Wound Cores
By Kaneo MOORI Tokio FUJIMOTO
Recent reports indicate that the av弓rage domain size iロamaterial undergoiロg a¢hange in magnetization may be signi丘cantly sinaller than the static domain sl諺e. This丘ロer dynamic domain structure can be pr畠dicted hy an application・of the principle of minimum domain−wall energy in tap色一wound cores.
The theoretical avErage domain width thus derived is found to va町with frequ印ey as − 1/〆アand with peak induction as 1/β■. Tbe measured variation of initial permeability with respect to ac demagnetiziロg Irequen町is explained by domaill si2e variatio11 mode1.
消費エネルギー)と仮定し,エントロピー最小の原理を 1・は じ め に 用いて2ロ。巴1ノ〆ア,1ノ●口を解析的に求めている。こ ζこ数年来,変圧器用磁心のうず電流損失の低周波異 の場合磁壁のわん曲は無視されている。次いでM.R. G.
常特性1)や情報処理用磁心の初透磁率の消磁周波数特 SharpとJ・T・Horロer1喜)はKM・Poliv江nov14}の 性2)およびφHマイナーループのドリフト特性31など高 モデルによるE・W・Lee15〕の鰍斤結果を基礎に磁壁の 透磁皐磁心の交流磁化過程における異常現象を磁区構造 わん曲による磁壁エネルギーの変化を考慮し,単結品の の立場から明らかにする試みが広く行なわれている。 全エネルギーEτをET=2ロκ十ε口L囮・岨ノ2ロ(κ;磁 まずR.H. PryとC. P. Bean4}によって強磁性板 歪定数,2ロκ;∫=0の磁気弾性エネルギr㌔1磁壁
のうず電流損失が動的磁区幅(2αとおく)によって著 エネルギー密度,L輌。11周期の平均磁壁面積)とお しく異なることが計算された。次いでG.L. Houze5,, いてET最小となる2αを電子計算機で数値解析してい T.R.1{allerとJ. J. Kramer6}およびJ. W. ShillingT] る。本稿では高透磁率をもつテープ巻磁心を対象と
によって3%Si−Fe単結晶の表面の磁区パターンが し,内部エネルギーを磁壁エネルギーのみと仮定し・
Kerr磁気光学効果によって観測され2αが2ロ。。1ノ〆ア M. R. G. Sharpら13ハの解析方法を基礎に2σの変化 1/B.(万E。はそれぞれ励振周波数および磁束密度の 特性を電子計算機で数値的に求め上述の実験結果および 振幅)となることが測定された。更にK.J. OVershott 初透磁率やV−1特性の実験結果を説明している。
とJ.E. Thompson皐}およびM.R. G. SharpとKJ.
2.磁壁の動的形状 Overshott9)による3鑑Si−Fe多結品材料のKerr効
果たよる磁壁わん曲(bowing)の推定やF. J. Fried・ 高透磁率をもつテープ材料は圧延方向に粒子が揃って laenderら・・], J. A. Salsgivern】による50男Ni−Fe おりほとんどの磁壁は圧延方向に平行な180 磁壁と見 多結品試料の磁区観測が行なおれているが2αの測定は なされる。ゆえに交流磁化過程におけるテープ断面内の 単結晶の場合ほど明確ではない。 、 磁区パターンは第1図でモデル化される(Polivanovモ ー方,これらの2αの変化の機構を解明する試みも行 デル)。すなわち交流消磁状態ではテープ圧延方向に平 なわれ丁二R.HallerとJ. J. Kramer・2}は単結品試料 行でテープ表面に垂直な平板状磁壁が等間隔に並んでお の全消費エネルギーEアをETニEε.十E品(EEC;うず り,小振幅の交流磁界(Hロとする)によって各磁壁は 電流損失エネルギrEM;磁区の発生・消滅に伴なう 同一特性でモの平衡位置のまわりをわん曲しつつ振動す
Z 現すると
。.」号a γ(.)_。−R,[γ。,撤G(」叫・)ユ
一d−・
占 ゴa : = γ剖(P(互)COS ωr÷口(言)sin ω) (7)
._L_ .
㊧1◎lG・句0・ @ 一一ィy ただし
[号o、a O(・)一・6ξ,Σr砲・); P(2)=1−64ξ早Σ メ(z,n)ノπ
DOMAIN MODEL ≠4(2,π)ニcos(π言z/ゴ)ノπ(n2tanh2ηπ「÷ユ6ξ2「2)
図 1 (8)
さらに】㌦を磁束密度振幅丑.で表わすと る。この場合の磁壁の助的形状はE.W. Lee15}の解析
結果を参肌て以下のよう{卿びかれる。 γ・=例β・β・)/F
と㌶肥蕊㌫難蕊㌘ F−∫㌘+㈱噛 (9)
はψ(・=0)=0・∂ψ(γ=Oy∂ア≠0より である。
ψ一曇、 D・si・竿・i・h等 (・) a磁踊積と糎エネルギーに⊇的駆幅
係数D。は〔附録〕の計弊より テープ巻磁心では反磁界は十分小さく磁気弾性エネル
瓦一緬鵠鑑㌃, (2)繁罐㌶考驚㌢㌫段して磁壁
である。ただしΣ} は刀oddに対する和である。 ET=」Eα=ε,r・Lロ(2の (10)
ここに・ξ=靱α4ヲρ・r=α/4 ωは励振角周波数・μ ただしε、.は磁壁エネルギー密度でかんたんのため定数 は静的透磁率・4はテープ厚・ρは抵抗率である。 とおく。」L,。(2のは試料単位体積(テープ幅1em,テ 次に磁壁の移動方程式として磁壁の慣性を無視した式 一プ層数1/めあたりの磁壁面積である。
ασ(z)一の=2M,正fω (3) いまL式2のとして磁壁面積のH.、一周期あたりの を仮定する。ただし,αは磁壁単位面積の復元力係数, 平均値をとると
M;漂㌶驚かかる⌒る゜ら一÷∫撫+(酬当
二 繊]ω∴ご:㌘::ご1ご::㌧
であり.磁壁の動的形状は 動的磁区幅はEτ最小すなわちL試2の最小の原理 ,ω一。−Hω 醗定される・(1ユ)式で∂五・(2・)ノ∂(2・)一・となる
灰ヨノ2)=百一 H(ば7ゴ5 2αを解折的に求めることは困難であるので,ここでは
一・一ノ・6』諾㌫当ξ即鶏瓢麟瓢漂::晋還
(5) 分はすべてGauss法(分割数16)を用いた。磁心は方 また(3)式より 向性3%Si−Feおよび50%Ni−Feを対象としてい
鷲㌫11二 ]⑥㌔議籔‖欝i=;
となる。 せた場合の計算結果であり,∫=0における初期状態は さて(5)式の右辺(Gσ・己)とおく)は複職現で テープ単端あたり徽の磁壁ロC灘)を仮定して あるのでH(ゴ/2)=H・・=H・c°s・ とおいて難破 いる・点齢実線上の任意の点から∫を齢させ湖
合の予測特性で,これはいったん発生した磁壁は互いに り初期状態はDC消磁(2α/ゴ=50)である。実線は 接合しない限り消滅しないことによる。実線は1/〆ア 1/8曙に比例し上述の実灘)と定性的に一致する。点線 に比例しJ,J. Krameエら6)の実測(3%Si−Fe単結 は実線上の任意の点から塩を減少させた場合の予測特 品)と定性的に一致する。 性である。ゆえに交流消甦過程ではBHメジャーループ 第3図は∫をパラメータとした2ロ/ば一β粛ノ●.特性 から出発するので五問ノ・日声=0・9における2σノ4が消磁 で,実腺はβ属を零から増加させた場合の計算結果であ 状態の磁区幅を示す。したがって第2図の」9αβ、=0・9 に対する2ロ/ゴー∫曲線が各周波数による交流消磁状態
50 壬dem=OHz c⊂1ノπ
BrrンiB sニ0.1
量3°y\\
10
の磁区幅を与えることになる。これまでの動的磁区幅に 関する研究はいずれも交流消磁状態があいまいである。
第4図は2αノd一ぱ特性および2ロー4特性の計算結 果で2ロは∂とともに増大するが,これはD.H.
謡
f=60Hz
B而酒∋5=0.5
α:1/d
1、5
1.O
O.5
0 20 40 60 80 100 −
Cu_.f 2a声fvlH}) °㍍ご=繊):11
図 2 図 4
皆 言 旦
50 40
30
廿
N20
10
Idem=OHz cc lIBm
1=20Hz
50
40
唄30縄
20
10
図 3 図 5
1、5
1.0 ε 70
:
§
Φ0、5
100
lPニ4mA 70
lp=35mA 60 1P=3輪 V(mV)
0 30 6080 200 500 1K 2 K 5 K 8KH 2 50
CORE−d=Ojmm }dem
図6 ■刷一子㎡舗特性の測定結果 4
Martinの測定結果と定{生的に一致する。曲線は2α/
4。・ユノ4である。
第5図は2ロノゴーμ特性の計算結果で2α/4㏄1/〆云
である。 20
第6図は50%Ni−Feテープ巻磁心(外径35,内径 DC3肖磁 25,高さ10,テープ厚o.1m匝FA−3594軍北金属製) 10 TAPE O.01 60Hz DRIVEを麺々の周波数ム,mで交流消磁したあと60Hzの微 5 小電流で励振し誘起電圧を測定したもので,初透磁率の
゜12 P1m訟)5678
考えられるので,」≧、ロ=800H且で磁壁数が最大となると 図7 DC消磁後のV−1特性 思われる・0<九口く800Hzでは第2図の・θ嘱/・85=0・9 4.お わ り に
の実線によって磁壁数が増大しε卯tが五eロとともに
増大すると考えられる。800Hz<▲.では交流消磁過 以上Polivanovの磁区モデルから出発し・磁壁エネ 程でテープ表面において磁壁同士が接合し,磁壁数は逆 ルギー最小の原理からテープ巻磁心の動的磁区幅に関す
に減少すると考えられるが甦壁モデルとともに検討中で る理論鰍斤を行ない・初透磁率の交流消磁周波数特性お ある。 よび増分透磁率の磁束密度特性を説明した。この動的磁
第7図は5・%M−F・ポビ港磁心(テープ厚0.0・ 鴎モデルを用いると変圧糊磁心のうず電流異常搬 mm)をDC消磁し,6・H・の交瀬界の振幅を増加さ をうまく説明できるが鞠1欲回1・ゆずりたい・
せた場合のV−1特性の測定結果である。いったん1を
増加させ筋と1蹴少させるとV−h‖翻口部にく 雌に・御麟いただいた九州大学原田耕欄授並び る.こ端祭図にようて8。とともに磁蝋醐大 熾酬をいただく本学今崎正秀鞭に深く感謝の意を L点線の離によって保持されるためと考えられる。 表する・
以上の動的磁剛の変化雌をまと踊と次式で表わ 参考文献
される。
D たとえばF.Brailsford 1948 J. IEE 95 pt II
与一3(ノァ+・・3)』+L3)(告+・7・) 、)38::,19_会研究会、 CP_己
×(がα・・3) (・2) 巽謬1二ξこ㌃r㌶吉、乳亀
532−3.
5) G.L. Ilouze,1967」. A. P.3B,1089−%.
6)T.R. Haller, J・J・Kmmer,1970 J・A・P・ 磁壁の単位面積の復元力係数をαとおくとH(z)=
41,1034−5・ H 田〆ロ より 7)J.W. Shming.1973 T・IEEE・MAG−9・3・
8)35F三工。ver,h._T、.m_96, E 2瓦ゴ゜(z)一α4τ)−2曙4芸勾
IEE. ll5,12,1840−5. =」ωμ直∫ir(ヱ) (A−2)
9)MR・G・Sh・・p・K・J・Ove「sh°tt・1973 P・ ここに,、、 iま∫_0の鍵率で。−4且、M,/雌であ IEE.120, 11, 145L3.
1・)T.B。…疏, F. J. F・i・dl・end・・, L F・Si1・・ る・
T.IEEE MAG−43,431−4,1%B. ゆえに
11)y工A Salsgi エIEEE MA酬一 @一…一∫ゆ・ゴ・ ㈹
12) T.R. Ha11er, J. J. Kramer 1970 J. A. P. 。 4正,1036−7. 一方Amp杜e°s lawより
13)c㍗㌫:h ⌒meE 1973エPhy島 H(・)−H(可2)一凡一H(ゴ/2吋撫
1めr謬,1;霊v篇生lz肌Akad Nauka よ(A−4)
}:;霊忘れ9語二.1隠1霊7軌ら一÷書であり・・をフー唖開すると
77−84
・一Σ 」誓・i・竿 (A−5)
〔附録〕D・の導出 @ (A4)一(A.5)式を(A.3)式1・代入し,,一・1・お
いまわん曲した磁壁を互いに平行に移動する小部分の いて両辺の係数を比較するとD,が導びかれる。
集合とみなし,モの部分片に注目すると電界のZ成分は 己一一(劉__二2現一貴(y(・)一の (A−1)