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長野盆地の堤防の常時微動について*服部秀人 国井隆弘

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Academic year: 2021

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(1)

長 野 盆地 の堤 防 の常 時微 動 につい て*

服部秀人 国井隆弘

Study on Microtremors of Levee in the Nagano‑basin Hideto HATTORI Takahiro KUNII

Theo bs e r vat i o nsofmi c r o t r e mor swe r ec a r r i e doutat5 5s pot swi t hi n2 . 7 5 km a l ongt hel e ve eoft heChi kuma・ r i veri nt heNaga no ‑ ba s i n.Mi c r o t r e mor swe r eobs e‑

r ve ds i mul t a ne o us l yont het opa ndt het oeoft hes l o peoft hel e ve e .

Fr om t hes pe c t r um r a t i oofmi cr o t r emor satt het o pa ndt het oeoft hes l ope

,

i twa sco n丘r me d,a tma ny obs e r vat i o ns pot s ,t ha tt hel e ve ei si nas t at eofpl a ne s t r a i n.So,ba s e dont hes pe c t r um r a t i o,t her i gi di t yoft hel e ve ewa st r i e dt oe s t i 一 mat ebyus i ngt heFr eque nc yRe s pons eFunc t i onwhi c hwa sc a l c l l l a t e dbyt heFi ni t e El e me ntMe t ho d.Andi twa sr e s ume dt ha tt hef or merr i ve rc ha nne lexi s t sunde r t hes po t soft hel e ve e,c ons i de r i ngt hec ha r a ct e r i i t i c sofampl i t udeandpr e domi na nt f r e que nc yofmi c r ot r emor sa ndt i l ei nf orma t i onofo l dma poft hea r e a .

1 . は じ め に

長野盆地内を流れ る千曲川は,両側の山地により形成 された大小の扇状地の扇端部に挟 ま れている.筆者 らは数年来,当盆地の代表的な扇状地である浅川扇状地において常時微動 の 観測を行い,地盤の振動特性を調べてきた(4)等. 扇端部は, 千曲川の自然堤防や摸背湿地に より複雑な地盤の変化を皇する.そこで今回は,浅川扇状地扇端部に築造されている千曲川 堤防に着 日し,その地盤 と堤体の常時徽動観測を行って,それ らの徴動特性を調べた.

常時微動を用いて堤防の動特性を調べた報告は意外に少な く,筆者 らの知 り得た範囲では 浅田らが八郎潟堤防の耐震性を検討 した際に,堤体の震害 と地盤 との関係について微動デー タを用いて考察 している

( 1 )

程度であ り,堤体自体の動的挙動を常時徴動を用いて調べた例は 見当 らない.

本研究では,堤防の天端 と法尻において常時微動の同時観測を行い,そられのスペ ク トル 比により,堤体の動的挙動を調べた.その結果多 くの観乱 点において,堤体が平面ひずみ場 的挙動をしていることが確認された.そ こで,有限要素法により,平面ひずみ問題 としての 周波数応答解析を行 って,堤体の剛性の同定を試みた. また,法尻における微動の振幅と卓 越振動数の変化をもとに,大正元年の地形図(8)等を参考にして,旧河道の存在について推察

* 昭和6

3

年3月 土木学会閑克支部 第1

5

回技術研究発表会にて一部発表

** 土木工学科 助教授 料事 東京都立大学工学部 教授

原稿受付 昭和6

3

9

月3

0

(2)

服部秀人 ・国井隆弘

2. 常 時 微 動 観 測 2‑ 1

勧測方法

1

に堤防の測定区間を示す.村山橋か ら屋島橋に至 る左岸堤防約

2 . 7 5 km

について常時 微動の観測を行 った.

2

に振動計の配置を示す.

i

番 目の観測点の法尻 と天端 において,それか ら

5 0m

隔てた ]

1

酔!

2‑ 2 ‑ 1

応答倍率

観測 された速度波形のフー リエスペ ク ト ルを求めた.そ して,法尻の微動を堤体への入力 と見なして,天端 と法尻のスペ ク トル比か

ら,応答倍率を求めた.図

3

に,各観測点における堤軸方向のスペ ク トル比 と堤軸直角方向 のそれを示す.堤軸方向の応答倍率は比較的平坦であ り,従 って,法尻 と天端ははば同一の 振 動を していると見 ることができよう. それに対 し,堤軸直角方向の応答倍率には,ほ とん どの観nTl.点で

, 5‑6Hz

のあた りに顕著な ど‑クが見 られ,堤体の固有の応答が表われて いるものと思われ る.

以上の観測結果か ら,堤体は,堤軸直角方向にのみ固有の応答を示 してお り,従って平面 ひずみの状態にあると見 ることができよ う.

2‑2‑2

法尻地盤における微動の振幅

法尻地盤においては,図

2

に示す ように

i

番 目と i

+

1番 目の観測点で同時観測を行って いるので,観aTJ.点相互の相対比較が可能である.法尻における微動の振幅

r ms

値を図 4に

(3)

r

) rl

r42

2 ュ

PIEIIrlpl

ZN

N

Zi

〟 zI

N'Z2

0 5

10 15Hz

堤軸 方 向

0 5

1015H三〇

Ⅳo.55

T40.54

No . 63

No.62

No.Sl

No.80

N

o.49

No.48

No.47

No.

46

No.4S

No.44

Z L

'0

.

43

Xo.42

No.41

No.40

No.39

No.38

No.37

No.BB

No.3S

No.

8 4

No.33 No.32

幸 手

5 1

0 15H

z 0 5 1

0 15Hz.

嘆軸 直 角方 向 填 軸 方 向 墳 軸 直 角 方 向

図 3 応答倍率 (スペ ク トル比)

示す.親王臥点

N0 . 2

を基準にした ものである.

No. 4 0 ‑No . 5 0

あた りは極端に振幅が小 さい.

No. 2 5 ‑No. 3 5

にかけては逆に振幅が大 きい.

No. 2‑No. 8

あた りにかけては,村山橋を通 過す る県道の交通が影響 して振幅が大 きいのか も知れない.

(4)

92 服部秀人 ・国井隆弘

2 1 0 2 0 枚 測 点 30

図4 法尻地盤における徽動の振幅

40 5

0

2

10

2 0 … 点

30 40 図5 法尻地盤における微動の卓越振動数

2 ‑2‑3

法尻地盤における微動の卓越振動数

5

に,スムージングしないスペ ク トルの卓越振動数を示す.No.

36‑No. 55にかけて高

周波が 目立つ.図

4

の振幅の小 さい区間 と対応 してお り,従 ってこの辺 りの地盤はかな り堅 固であろ うと推察され る。No.1

6‑No.21

お よび

No.31 ‑No. 36

にかけては,比較的低周波 であ り図

4

においては,その辺 りで振幅が大 きくなっていることを考え併せ ると,地盤が軟 弱である可能性がある. このことに関連 して,旧河道 の存在について後で考察を加える.

3 . 堤体の剛性について 3‑ 1

地勤入力に対する周波数応答解析

構造系に任意 の外力が作用する場合の運動方程式は,一般 に次式で与えられる.

[ M]( B ) +[ C ]t k ) +[ K]t x ) ‑t F ( t

))・‑・ ‑‑‑. ‑(1)こ ただ し,〔M〕,〔C〕,〔K〕はそれぞれ系の質量,減衰,剛性のマ トリクス, く (F:t))はそ れぞれ応答変位,時系列外力のベク トルである.

支点に地動入力が作用す る場合には,変位ベク トル (∫)を,既知の入力地動変位 (∬b) と 未知の節点変位

( ∫

) とに分けて考える.すなわち,

(2)

(5)

〔 : ; :

.

〔 c c ;

cc.2

]t

kkb

)

+

〔 ≡ ;

K

K

:](xxb

)

‑ (F

Fb '

(

I

.',)

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . ・ ・ ̲ ・ ・ ̲ : :

5.守 ?

ただ し, (Fb(t))は支点の未知反力ベク トル, (F(I))は支点以外の節点に 作用する外力ベ ク トルである.

支点に地動入力のみが作用す る場合には,

t F( I ) )‑( 0

)

である.

さらに,節点変化ベク‑ル fx)を,準静的変位

( xs

)と動的変位 (xd)とに分ける.

( x

)‑

(

x

s ) +

(xd)

( x s

)は,入力地動 くxd)による静的変位 と考え,

読 ( 3 )

の第

1

式において,慣性項 と減衰項を 無祝 した解 として,次式で与えられ る

( 2 ) .

(

x

s

)ニー[K

l ]

1[K

2

](Xb) 以上により,式

(

3)は,次式 のように変形 される.

[ M

l](ガd

)+[ C l ]( *d )+[ K

l](Xd

)‑( [ Ml ] [ Kl ]1 [ K2 ]‑[ M2 ] ) ( 盟b )

.(7) ただ し,右辺に加わ る減衰力項は微少につき無視 している.

周波数応答解析の場合は,入力地動ベ ク トル (ガム)杏,次式のような周期関数 とす る.

(xb)‑(xo)e''4'E

ただ し, (∬○)は周期的入力地動の変位振幅ベ ク トル

,

α はその円振動数, そ して

i

は虚数 単位である.

周波数応答においては,定常応答を問題 とす るので,

読(

7)の定常解を (xd)

‑( Ⅹd e

E(wE)

‑( 芽d ) e

J'4'E

‑(tp

)‑i

(r))e

E wt

と置 く.ただ し

,( Xd

)は応答 の変位振幅,(¢)は入力 と応答 との位相差,

f Xd

)は両者を一 緒 に示す複素振幅,そ して tP),(r)は 13Ed)の実部 と虚部のベ ク トルである.

式(

7 ) ,( 8 )

,お よび(

9 )

の第

2

式 より

t x ‑ a )‑[ ( [ K

l]‑

a ' 2 [ Ml ] ) +i a ' [ Cl

]

] ‑

1

[‑a ' 2 [ Ml ] [ K. ] ‑ 1 [ K2

]

‑[ M2

]]

t

x

o

) ・

(1 0 )

を得る.

朗ま複素数の逆 マ トリクス計算が必要 となるので,読(

9 )

の第

3

式を用いて,実部 と虚部 に分離 して,次式を得る.

抄 ) ‑‑ W 2 [ [ K" ]+[ G][ K"]‑ 1 [ CJ]‑ 1 [ [ Ml ] [ 竿1 ]1 [ K2 ] [ M2

]]

( Xo ) ) ・

・ ・ ・ ・ (ll )

( r )‑[ KM] ‑ 1 [ C砂 ]t P)

(6)

服部秀人 ・国井隆弘

[ KM]‑[ Kl ]‑ a ) 2 [ Ml ],[ CW ]‑a ) [ Cl ]

である. よって,動的応答の変位振幅お よび位相差は次式で与え られ る.

Ⅹd k

厨 子 如 ‑t an一莞 ‑

ただ し

,k

t Xd

),(¢)の第 k成分を意味す る.

準静的な応答変位

(

x

s

)は,式(

6 ) ,( 8 )

より

( x s )‑‑[ Kl ]‑1 [ K 2 ]

(

X o ) e Z ' a ' E ‑( Ⅹ s ) e J ' u L

となる. ここで

,( Ⅹ,

) は準静的な応答変位振幅を表わす.

従 って,応答変位

( ∫

)は

t x ) ‑ ( x s ) + t x d )‑( ( Ⅹ 書 ) + 匹d ) e ‑ 1 4 ) e ' ' a ' t ‑揮 ) e z r a ' t ‑‑‑‑・ ・ ・ ・ ・ . ・

・ ‑・ ・ ・ ( 1 5 )

とな り,応答の変位振幅 (X)の第 k成分は次式で与えられ る.

Xk‑ ( Ⅹさ k+Ⅹd k C O S 如) 2 +( Ⅹd k S i n如) 2 3‑2

周波数応答か ら見た堤体の剛性

先に

2‑ 2‑ 1

で考察 した ように,堤体は平面ひずみの状態にあると考え られ るので,前 節 の手法によ り,平面ひずみ状態 における堤体の周波数応答解析を行ない,観測で得 られた 応答倍率 との比較を もとに,堤体 の剛性を推定す る方法について述べ る.

6

に観測点

No . 3 0

の要素分割を示

す.堤体の下面に一様に,振幅

1

の周期

(牡外側) No・ 30

地動を入力 し,天端 の応答を求めた・解 封3=

析結果を図7に示す.解析に用いた堤体

の物理量は,ポアソン比0

・ 49

,単位重量

6

要 素 分

1 . 7 gf / c m

8であ り, ヤ ング率

2 0 0 kgf /

c mt ,2 2 4 kgf / c m 2

2

例について図示 した.減衰は便宜的にレー リー減衰 (質量マ トリク スの乗定数

0 . 3

,剛性マ トリクスの乗定数

0 . 0 0 5 )

を用 いた.観測 された応答倍率を見なが ら

5 1 8 1 5 ( L t z)

図7 堤 体 の 周 波 数 応 答

(7)

を推定することができる.

4 . 旧河道の存在について

2‑ 2‑ 3

で考察 したように,観測点

No.1 6 ‑No . 21 ,No . 31 ‑No. 3 6

2

つの区間では 地盤が軟弱である可能性が大 きい.大正元年の測図(8)によれば,図

1

に示 したように,河の 流れがかな り現在の堤防に接近 している.接近箇所は,村山橋の上流約

7 0 0m

まで と

,1 3 0 0 ‑ 1 7 0 0m

にかけてである.上記の故郷点は,村山橋か ら

9 0 0 ‑1 0 5 0m

,1 5 5 0 ‑1 8 0 0 m

にある.

No. 1 6 ‑No . 21

は接近箇所 と若干ずれているが

,No . 31 ‑No . 3 6

はよく一致 している.両者 の一致 しているこの付近には集落 も発達 してお らず, また畏道の曲が り具合を見ても,管, この付近に河の流れが存在 していたのではないか と考えられるのである.また, この区間の 堤内側

1km

辺 りの長池 とい う地名 も,後背湿地に由来 したものであると思われる.

今回の観測区間内におけるボー リング資料を入手 していないので,推測の域を出ないので あるが,常時徴動の親政TJ結果 と地形図 との比較か ら,かな り可能性が高いと考えている.

5 . ま と め

以上,本研究の結果は次のように要路 される.

( 1 )

堤防の法尻 と天端における常時微動の同時観測結果か ら,堤体が平面ひずみ状態で振動 していることが確認 された.

( 2 )

常時教動か ら得 られた堤体の応答倍率にもとづいて,有限要素法による周波数応答解析 を行 うことにより,堤体の剛性を推定することができることを示 した.

(3) 堤防の法尻における常時微動の振幅の相対比較 と,卓越振動数の変化 とか ら,地盤の較 動特性が明らかにされた.

( 4 )

常時教動の振動特性 と地形図 とか ら,当該提防の下に旧河道が存在 している可能性の大 きいことが判明した.

6 . あ と が き

浅川扇状地の局端部に位置する千曲川堤防の一部について常時微動観測を行ない,地盤故 らびに堤体の振動特性を調べた訳であるが,当該区域の地盤の変化 と堤体の動特性について かな り有効なデータが得 られた.

測定区域をさらに拡げてデータを蓄積すると同時に,今後,歴史的資料にも日を向け, 普 た,実地貫記錠の解析結果等 も併せて検討 し,当地域の地雷防災に関する研究を進めて行 き たいと考えている.

謝辞 堤防の資料を提供 していただいた建設省千曲川工事事務所の関係各位 と,卒業研究 でご協力いただいた,山崎正尚,青木 隆,高橋芳民,玉水重幸,中村 博,黒岩 敏,杉 浦 剛,斉藤 りか,丸山 剛の各氏に心か ら感謝申し上げます.

参 考 文 献

( 1 )

沫田仲,軟弱地盤上に築造された八郎潟干拓堤防の耐震性について,土と基礎

,1 2,19 75.

(8)

9 6

服部秀人 ・国井隆弘

¢) 河島,動的応答解析,培風館,1

972.

( 3 )

大 日本帝国陸地測量部 五万分の‑地形F,大正

4

年.

( 4 )

服部 ・国井,扇状地の常時徴動について,土木学会中部支部研究発表会,1

9 8 3.

( 5 )

服部 ・国井,千曲川堤防の常時徽動紋脚,土木学会関東支部第1

5

回技術研究発表会,1

98 8.

参照

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