長野工業高等専門学校紀要第
3 6
号( 2 0 0 2 ) 1 55
高専学生の健康 と体力に関する考察 ( 1)
―2001年度の新体カテストに着目して―
内山了治 児玉英樹 塚田修三 岩崎秀子
A study of regarding the health and physical fitness of technical college students
‑Focusing on the sports test in the fiscal year 2001‑
Ryoji UCHIYAMA Hideki KODAMA Syuzo TSUKADA and Hideko IWASAKI
Thep ur p os e soft hi ss t u d ywe r et oc l a r if yt h ec ha r a c t e r i s t i c sofhe a lt ha n dph ys i c a lf i t ne s sof Nc o l l e ge oft e c h nol ogys t u d e nt s . Ph ys i c a lf i t ne s sa ndmo t orp e r f or n l a nC eWe r eme a s ur e dbyan e ws p or t st e s tde ve l op e d byMi nl ' s t r yofEd u c at i on,Cu l t ur e,Spor t s,Sc i e n c ea n dTe c hno l o gy. Th ema i nr e s u l twe r ea sf ol l o ws : 1 )St u d e n toft hef a t ne s st r e ndi sma nyt ot h ema l es t ud e nt so f3a nd4t h. ye a rs t ud e n t sa ndl o s i ngwe J ' g htt he t r e ndi sma nyt ot h ef e ma l es t u de n t sof2
,4, a nd5t h・ye a rs t ud e n t s ・ 2)n ec ompr e he ns i v epoi ntoft h ephy s i c a l f i t ne s st e s toft hema l ea n df e ma l ewe r el o wmor es i gni f i c a nt l yt ha nt h ena t i ona la ve r a ge . 叩く0. 01 )
3)Mus c u l a rp owe r ,50mda s ha nde nd ur a nc er unT ) i ngwe r es h ow in gal owe rva l ue( P<0・ 01 )t ha nt h ena t i ona l a ve r a ge .4)9 2. 6%oft hema l es t ud e n t sa n d9 4 . 5% oft hef e ma les t ud e nt sa ns we r e d' ' h e a l t hy" .TT I eS por t st e s t c o mpr e he ns i v epo i n toft hes t ud e ntw it hs e l f ‑ c onf i de nc ewa ss h owi ngahi g h va l uet ohe a l t ha n dphy s i c a l f i t ne s smor es i gni f i c a nt l yi nc ompa r is onw it hano n e xi s t e nts t ude nts o.5)3% oft h ef e ma l es t u de nta nd6・ 8%
oft hema l es t ude n tbe c a mec l e a rt ha tt he ya r en ott a ki n gbr e a kf a s t . Wen e e dt oi ns t r uc ti tf r omno won,a bout t hi sc a s e .
キーワー ド:健康,体力,新体カテス ト
1
. は じめに高等専門学校学生 ( 以下 高専生)の体力 と健康 行動に関 しては,国立高等専門学校協会が平成11 ・ 1 2 年度教育方法改善共同プロジェク ト 3 ) として,中 国地区の高専生80 0 名の体力測定 と健康調査 ,日常 生活と社会性,保健体育授業の内容や部活動などに ついて調査を行い,詳細に報告 している.これによ れば,高専生の体力は同年代の高校生や大学生と比 較 して優位性が認められる面もあるが ,5 年間一貫 教育が体力の発達に大 きく影響 していないことを示 唆 している.また,健康行動の実態に関 しては,高 校生や大学生と同様な傾向を示 し,物事に積極的に 取 り組む意欲の消失や睡眠時間の不足を特徴 とする 不規則な状態で生活を送る学生が多いことを指摘 し
* 一般科助教授
** 一般科講師
*** 一般科教授
**** 学生課学生係技官(看護師) 原稿 受付
2 0 0 2
年5
月1 7 日
ている.同時に調査対象者の半数に当る学生が,生 活が憂哲になる,心配事が脳裏を離れずイライラす る,身体がだるいなどの症状を訴える現状があるこ とを明 らかにしている.保健室の利用に関 しても在 籍数1 , 000 名の高専で年間約800 名の利用があ り,相 談室の充実や看護師 と体育教官の連携による保健指 導の必要性 を述べている.しか しながら,これ らの 報告は,標本数そのものや標本の地域性 ,比較対象 の妥当性に関 しては触れてお らず,他地域の高専生 にも同様の傾向が当てはまるかどうかの検証はない.
また;国立大学等保健管理施設協議会では,平成
1 2 年度に全国国立大学 9 4 校の学生を対象に,学生の
体位,健康状態の調査を実施 し,概要をまとめてい
る9 ) .ここでは,休格 (身長 ・休重 ・肥満度),血
圧 ・脈拍,結核 を調査項 目とし,男子300, 35 2 名,
女子1 59, 91 6 名を対象に実施 し,結果 として肥満度
の増加 とともに収縮期 ・拡張期血圧平均値の顕著な
増加,肥満者では高血圧合併症が高頻度に認められ
る,女子学生の1 8. 3 % がやせ ( B MI 1 8. 5 未満 )傾向
1 5 6 内山了治 ・児玉英樹 ・塚田修三 ・岩崎秀子 を示 し頻度が高 く増加傾向にあることなどを報告 し,
生活習慣病予防な どの健康教育の必要性 を指摘 して いる.この報告は高専 4・ 5 年生 に相 当する年齢層の 大学生が含 まれ ,前述のプロジェク トによる報告 と 合致する面もあ り,この年代の体力 ・健康に関する 問題点 を明確 に しているといえる.
一般 に,体力は年齢 とともに変化する.その経年 的変化 に関 して文部科学省 1 1 ) は新体カテス ト合計点 か ら ,6 歳 か ら1 1 歳 までの体力水準は男女 とも発育 発達 に伴い急激でほぼ直線的に向上 し,男子では1 7 歳頃 までその傾向が見 られ るが,女子では1 4 歳頃に はほぼ停滞傾向を示 し,20 歳以降は男女 とも加齢に 伴い低下する傾向を示すと している. したがって, 高専在学中の体力が一生の ピークとな り,青年期 ・ 壮年期及び老年期 の休カ レベルを左右 する 1 ) 4 ) 5 ) こと になる.
中 ら7 ) は ,高専生 を対象に運動習慣の違いが身体 発育に影響 を及ぼすことを調査 し,特 に週3‑4 日以 上の継続的な運動実施 はバランスの取れた身体発育 を示すが,この時期 における運動不足は全身持久力 の低下 ,筋パワーの発達阻害などを引 き起 こすこと を報告 している.
男女 ともこの時期 を一教育機 関で過 ごす高専生 にとっては,在学 中に体力や健康行動 を高めること が生涯の健康や生活習慣病予防に寄与するもの と思 われる.そこで本研究では,平成 1 1 年度 に改定 され た新スポー ツテス トをもとに ,N 高専生の体力及び 健康意識に関する特徴 を明 らかに し,効果的な教科 指導の基礎資料 を得 ることを目的 とした.
2.
研究方法2‑ 1 標本 ,体格 ・体力変量及び健康意識調査 標 本は,2 001 年度N工業 高等専 門学校 1‑5 年生 までの学生98 8 名(男子8 23 名 ,女子1 65 名)とした.
体格及 び体力測定項 目は ,身長 ,体重 ,座 高及 び文部科学省新体カテス ト( 以下 新体カテス ト) 8 項
目とした.測定 は ,新体カテス ト実施要項 1 0) に従い,
表1 新休カテス トで測定評価される体力要素
テス ト項 目 体力要素 50m走 ス ピー ド.走力 ‑ 持久走( 男子1 5 0 0 皿, 女子1 0 0 0
皿)全身持久性
立ち幅 とぴ 筋パ ワー .跳躍力 ハ ン ドボール投 げ 崩パ ワ‑ .投 力 上体起 こ し 筋力 .崩持久力 p
長座体前屈 柔軟性
反復横 とび 敏捷性
平成1 3 年1 0 月か ら1 1 月の体育授業の中で実施 した.
新体カテス トで評価 される体力要素は表 1に示 した とお りである.
健康 意識調査 に関 しては ,新体カテス ト ( 1 2 歳〜
1 9 歳 ) 記録用紙の項 目に加 え,健康状態 ,体力の 自 信度合 い,運動部や地域スポー ツクラブへの所属状 況 ,運動 ・スポー ツの実施状況 ,1 日の運動 ・スポ ー ツ実施時間,朝食の有無 ,睡眠時間 ,1 日のテ レ ど(ゲームを含む) 視聴時間,運動 ・スポー ツ欲求 と 阻害因子に関 して記述調査 した.また,保健室の協 力を得. T,保健室の利用状況面か ら学生の健康 につ いて考察 した.
2‑2 分析方法
測定項 目の分析 は ,変皇毎 に学年別平均値 と標 準偏差 を算出 し,平成1 2 年度全国平均値1 1 ) と比較検 討 した.また,学年間の比較は一要因分散分析 を実 施 し,有意な差異が認められた変量については,ラ イアン法による多重比較検定 6) 8 ) を行 った.
健康 意識 と体力 に関 しては ,健康状 態の 自己評 価 ,体力の 自信及 び朝食の有無の 3 項 目を採用 し, これ らと新休カテス トの総合得点について男女別に 比較検討 した.回答群間の比較は測定項 目の分析 と 同様 な手法 を用いて行 った.
3.
結果 と考察3‑ 1 男子学生の体格 ・体力変量について
・ 男子学生の体格 ・体力変量に関 しては表 3 に示 し たとお りである.体格 に関 しては,体重は ,2 年 ,5 年が 5 % 水準で ,4 年が 1 % 水準で有意差が認め られ全 国平均 よ り 1. 41 kg 〜1. 71 kg 重い値 を示 した.表2
にB MI 指数か らみた月 巴痩度 を示 した.
表
2 B M I 指数に見る男子学生の肥痩度 ( n: 人数) 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年
n ‡
n!
∩Ⅹ
∩%
∩Ⅹ
肥満 1 0 . 6 3 1 . 9 4 2 . 3
21
.1 1 0 . 7
肥満傾向
8 4 . 8 7 4. 4 l l 6 . 4 1 5 8 . 5 9 6 . 0
普通1 1 66 9. 91 2 27 7 . 21 4181 . 51 417 9 . 71 2 28 1 . 9
やせ傾向
3 42 0 . 5 2 31 4. 6 1 5 8 . 7 1 7 9 . 6 1 3 8 . 7
やせす ぎ
7 4. 2 3 1
.9 2 1 . 2 2 1 . 1 4 2. 7 肥 満 の判定 は,1 999 年の 日本肥満学会基 準及 び 大修館体力科学研究会による区分 を採用 した.
B MI 指数 : 肥満 : 30. 0 以上
肥満傾向: 25. 0 以上〜30. 0 未満
普 通 : 1 8. 5 以上〜25. 0 未満
やせ傾向: 1 7. 0 以上〜1 8. 5 未満
やせ: 1 7. 0 未満
高専学生の健康と体力に関する考察
(1) 表3 男子学生の体格 ・休力変丑
1 5 7
学年 項 目 身長 体重
標本 (単位) (cm)
( kg)
上体起 長座体前 反復按 と こし(回) 屈(cm) ぴ(点) 1 N校平均
1 6 9. 4 4
SD
5. 6 4 1 6 6 N
校T
スコア5 0. 9 6
(人 )全国平均1 6 8. 9 0
差0. 5 4 T ‑ t e s t
5 2 5 4 9 ・事 4 1 4 9 4 ‑ ・事 5 6 3 9 4 3 4 3 1
5 7 0 5 20 2 9 9 3 9 0
*6 3 7 4 00
暮4 00 5 8 3 4 4 4 ︼
47 29 69 70 23
桝3 4 5 5 2 2 4 2 1
7 5 8 9 2 1 4 0 0 9 8 3 9 0 1 1 2 4 2
l弓 JV
7 3 9 2 5
暮6 5 2 5 .1
暮7 0 7 7 0 4
4 00 5 4 0
人事0 3 6 5 5
*0 8 5 8 1 0 4 4 7 2 4 3
2 N校 平均
1 7 1 . 1 0
SI)
5. 9 8 1 5 8
Ⅳ校Tスコア51 . 6 2
(人 )全国 平均1 7 0. 21
差0. 8 9 T ‑ t e s t
2 00 8 3 1 書 2 1 ¢U 4 2 * 8 6 3 2 4 3 ̀A︼ 一八T I
6 9 9 7 20 2
00 7 5 5 3
*3 9 00 9 4 1 8 1 9 1 4 3 6 3 9 書 9 1 8 8 8 * 6 00 4 1 4 ‑ 4 4 5 1
34 58 94 08 74 暮 4 4 4 7 2 2 4 2 1
3 9 7 1 8 7 5 5 0 2 2 9 8 7 4 2 1 4 2 1 2 2
62 52 71 38 24
桝7 0 5 7 0 一り
54 87 52 70 84
軸3 9 5 9 3 9 4 4 6 2 .、■1 .、小 山 〇〇 5 3 4 6 2 2 0 9 6 1 5 9 1 0
3 N校平均
1 7 0. 7 9
SD
5. l l 1 7
3 N校Tスコア49 . 71
(人 )全国 平均1 7 0. 9 6
差‑ 0. 1 7 T ‑ t e s t
7 0 00 6 9 * 6 5 6 8 1 2 4 2
16 3 8 0 4 * 8 1 5 5 6 * 7 6 1 3 5 3 4 4 1
00 6 ‑‑・ 6 21 2 6 7 6 4 00 * 2 9 0 1 00 * 7 7 4 3 5 4 4 5 1
9 8 3 2 3 * 4 2 5 6 1 * 4 ‑ 4 4 7 3 2 4 2 1
8 0 4 1 3 * 1 0 2 1 9 5 9 00 9 3 2 1 4 2 1 2 2
8 9 2 0 00 * 5 4 4 3 2 * 7 0 5 7 0 4
64 32 08 72 92 相 0 4 5 5 4 9 5 4 6 2 b■止 uJ
4 N校平均
1 7 2. 4 5
Sl)
6. 1 0 1 7 7
N校T
スコア5 0. 2 9
(人 )全国 平均1 7 2. 2 9
差0. 1 6 T ‑ t e s t
6 0 1 ‑ 4 1 4 1 5 4 ‑
3 .4 一 7 6 3 * 7 9 5 9 2 * 5 4 7 6 1 一 2 4 2 ︼
4 00 3 3 9 ・事 1 6 5 6 4 * 0 6 4 3 3 4 4 4 ‑
2 7 3 8 21 2
7 4 0 6 ‑ 暮 4 6 3 7 7 *
3 9 9. 86 7. 5 9
5 6. 5 7 0. 51
4 6. 1 8 4 6. 2 8 3 8 2. 1 6 7. 41 1 7. 7 0 0. 1 8
**
* +
2 3 0. 0 7 2 5. 1 8 47 . 3 9
21 . 0 7 4. 6 3 8. 3 6
49. 3 7 4 7. 7 7 4 6. 5 0 2 31 . 3 8 2 6. 3 6 . 5 0. 3 4
‑1 . 31 ‑1 . 1 8 ‑ 2. 9 5
* * + I
5 Ⅳ校平均
1 7 2・ 0 2
SD
1 4 9
N校T
スコア (人 )全国平均8 0 1 0 9 5 6 0 1 5 7
差
0. 51 T ‑ t e s t
00 3 3 3 5 t T 5 0 0 5 9 5 5 8 6 0 2 4 2 1
6 6 3 2 6 暮 0 8 2 0 9 暮 1 6 5 4 2 4 4 4 ‑
5 0 3 6 21 2
0 2 8 9 1
tT2 3 8 7 4 3 8 1 1 1 6 5 6 7 2 9 4 7 3 2 6 1 7 8 9 QU 1 2 2 1 4 3 1 2 2
9 9 0 0 9
暮4 4 3 4 0 7 0 00 7 0 4 .
8 9 4 9 9 + 7 3 1 7 9 * 2 1 7 9 2 1 6 4 6 4 4 3
3 8 7 5 2
士T3 9 1 6 3 * 0 4 6 2 2 5 4 5 ‑
2 4. 5 4 4 6. 9 7
7 6 9 2 * 2 7 4 5 * 8 5 0 3 4 5 1
66 76 75 2
糾4 5 6 2 4 2 ‑
学年差 暮
分 散分析
F
値7. 6 7 P 〈 O . 0 1
nh
ヰ
20
74
+
6 .
48
一
7 ●
4>1 , 2, 3 4 〉 5 , 1 , 2 1 く 2 , 3, 5 3 〉 5 , 1 , 2
3 , 4 2 5 く
P〈 O. 0 5 4〉 5 〉 1 4〉 32 〉 5 2 く 5, 4
> 5
8
4. 2 0 , 3, 22 > 5 , 4 , 1 , 4>1 , 3, 2 3 2 〉 13>1 3 〉 5
3 〉 4, 1 1 〉 5
8 暮 2 ●
27 暮 3
7
sL
nCO2
nsL
9. 3 4
1 3 1 2 ヽ
′31 2 ヽ′ l ヽ′ 5 ヽ ′ 5 4 3 4 5' > Y f 2
4 2 .1 泊 3 1 ヽ ′ 5
●
3. 51
4 〉 1 , 2 , 3, 5 5 〉 3〉 1
2 >1
5 4
書 3 ﹀ ヽ′ 3 2 ヽ′ > 4 5
4 〉 3, 2 2 〉 4, 3 4 > 5, 3 〉 2 4 〉 2, 4 〉 5
*: P< 0. 05 相 : P( 0. 0 1
1 , 2 年ではやせ傾向の学生が多 く 3, 4 年には肥満 傾向の学生が 1 割近いことが明 らかになった.身長 については全学年において全国平均 との有意差は認 められず ,3 年以外はやや上回っていた.
休力に関 して学年別 に全国平均 と比較すると, 新体カテス ト総合得点では全学年 とも 1 % 水準で有 意に全国平均値を下回 り,体力が低いことが明確に なった.平成 7 年度の N 高専の体力 ・運動能力に関 して内山 ら 2 ) は ,1 年は全国平均 と同 レベルで ,2 年 以上になると全国平均値 との差が拡大 し ,5 年では 有意差が認められることを報告 したが,今回の調査 では 1 年の時点で既 に全国 レベル との差が拡大 し有 意差があることが判明 した.これは測定時期が平成 7 年度は 4 月下旬か ら 5 月であったのに対 し,今回は 1 0月か ら11 月であ り ,1 年生でも入学後のスポーツ 活動が体力 ・運動能力に影響を与えることを示唆 し ているもの と捉えられる.
学年間の比較では,柔軟性 を示す長座体前屈 と 敏捷性 を示す反復横 とび以外の項 目について,有意 差が認められた.
以下は,体力要素別に検討 した結果である.
(1)筋力 ・崩持久力 ( 握力 ・上体起 こし)
握力 ( 筋力)は全学年 とも全国平均値 を 4 . 4 9 k g 〜 2. 9 6 k g 下回 り ( P〈O. 01) ,筋力がかな り低いことを示
してし1た・学年差 は有意差が認め られ ,4・ 5 年は 1 , 2, 3 年よ り 1 % 水準で有意に高 く,また ,1 年 と 2 年 , 1 年と 3 年でも有意な ( P〈O. 01) 学年差が認め られ,加 齢 とともに向上することが明 らかになった.
上体起 こ し (筋 力 ・筋持 久力 ) につ いて は , 3 , 4, 5 年では全国平均 に及ばず有意差が認め られた.
文部科学省の報告 1 1 ) と同様に 1 7 歳 ( 2 年)が ピー ク を示 した.学年差では 2 年 と他学年間おいて1 %水準 で有意差が認められた.
( 2) ス ピー ド ( 5 0 m 走)
1 58 内山了治 ・児玉英樹 ・塚既修三 ・岩崎秀子 50m の疾走 タイムは 1 年 ( 0.1 5 秒 ) ,2 年 ( 0. 24 秒 ),
3 年 ( 0. 28 秒 ) ,4 年 ( 0. 1 8 秒 ) ,5 年 ( 0. 09 秒 )ともに全 国平均値 よ り低 い値 を示 し ,I ‑4 年は 1 %,5 年は 5 % 水準で有意差が認め られた.疾走 スピー ドは筋力 と 密接 に関係 してお り,握力に限 らず全身の茄力が低 い高専生像 が浮 き彫 りにな った.学年間では 1 年 と
3,
4,5年及 び
2年 と
5年 には 1 % 水準で有意差が認め ら れた.
( 3) 敏捷性 ( 反復横 とび)
敏捷性 については ,1 , 2 年は全国平均 をやや下回 るものの有意差は認 め られなか った. 3 , 4, 5 年に関 しては 1 % 水準で全国平均を有意に下回っていたが, 学年差は認め られなかった.
( 4) 筋パ ワー ( 立ち幅跳び,ハ ン ドボール投 げ) 筋パ ワー及び跳躍力 を評価 する立ち幅跳びは,ど の学年 も全国平均値 を 1. 31 cm〜3. 93c m 下回ったが有 意差は認め られなか った.学年間の比較では ,4 年 が最 も大 きな値 を示 し ,I , 2, 3 年 と 1 % 水準で学年差 が認め られた. 5 年も 1 , 2, 3 年よ り 1 % 水準で有意差が
表
4 女子学生の体格 ・体力変丑
詑め られ,学年進行 とともに記録が向上 している傾 向が見受けられた.ポール投 げに関 しては各学年 と も全国平均値 よ り低 く ,1 % 水準で有意差 が認め ら れた.ハ ン ドボール を 20 m投 げ られない学生 もお り, 記録の停滞は筋パ ワーの不足 よ り未熟な投動作が一 因として捉え られ る.
( 5)柔軟性 ( 長座体前屈 )
柔軟性 に関 しては ,2 年が全国平均 よ り有意に低 かったが ,4, 5 年は全国平均 を上回 り ,1 , 3 年は同等 の値 を示 した.また,学年差は認め られなかった.
( 6)全身持久性 (1 500m)
全身持久性 をみ る 1 500m 走のタイムは ,1 年で 21. 5 秒 ,2 年 23. 8 秒 ,3 年 24. 9 秒 ,4 年 1 7. 7 秒 ,5 年 42. 9 秒 全国平均値 よ り遅 く,いずれの学年も 1 % 水準で有意 差が認め られた.学年差では 5 年が他学年 よ り有意 ( P〈O. 01) に遅 く ,3 年が ピークであった.
3‑ 2 女子学生の体格 ・体力変量について 女子学生の体格 ・体力変量 に関 しては表 4 に示 し たとお りである.( 肥満判定区分は男子 と同等)
詣 (弘 諾 琵票 B"
K
h)
=lL% 背 筋 笥 監 守孟苧 1 N校 平均 159.96
S D
5.563 4 N
校T ス コ ア
55.00 (人 )全 国平均 157.47 差 2.49T ‑ t e s t
++
1
2 0 . 7 0 2 4 . 4 1 1 8 . 5 6 4 3 . 9 4
8
1 . 8 3 4. 7 6 4 . 4 8 1 1 . 9
54 6 . 9 6 8 3 3 4 9 . 7 2 4 8 . 5 7 2 5. 8 7 1 8 . 7 0 4 5 . 2 2
‑ 1 . 4 6 ‑ 0 . 1 4
‑1 . 2 8
1 5 ‑
0 0 4 2 2 5 7 5 5 0 AI 6 9 5 1 6 1 4 6
‑9 2 7 5 4 1 6 1 0 1 9 0 8 9 0 4
2 Ⅳ校平均 159.5
8
51S D
4.97 53 9 N
校T ス コ ア
53.22 48(人 )全国平均 157.93 51
差 1.65 ‑0
T ‑ t e s t .
+20
. 0 8 2 3. 6 7
1.
9 3 5. 1 8
4 3 . 8 8 4 2 4 2 6 . 5 9
‑2.92 ++
7 0 5 3 4 5 0 0 5 0 4 1 5 4
4 2 1 0 6 4 6 4 3 00 8 5 8 9 0 ‑ 一 4 1 l
1.d︼lI2550283071
68060
6 1 5 6
1
5 3
38
*4 8 3 0 3
*9 0 5 9 0 4 一
3789684646
27663
3 Ⅳ校 平均 159.05
S D
4.8531 N
校T ス コ ア
5 0.93 (人 )全国平均 158.56 差 0.49T ‑ t e s t
20.79
2
4. 5 8
2.49 4
. 9 9
4 4 . 3 8 5 4 8 2 7 . 2 7
‑ 2. 6 9 + I
5 9 7 8 7 6 1 5 1 4 7 7 ・l ‑ 6 1 4 5 ̀4 一
8 0 3 6 00
*4 6 5 9 4 7 5 5 9 2 1 4 1 一 3 0 1 4 1
*1 0 4 7 6 4 11 4 4 1
6 2 6 4 00 1 6 2 0 00 3 3 7 5 1 1 4 1
l2 8 0 2 0 3 6 4 1 8 1 0 7 7 5 6 2 4 6 ‑ 1 1
4 1 1 2 2 書 5 7 3 0 5 * 9 0 3 9 0 4 一
4 Ⅳ校平均
1 5 8. 3 6
S D 5. 1 9 31
Ⅳ校T ス コ ア 4 9 . 2 1
(人 )全 国平均1 5 8. 7 8
差‑ 0 . 4 2 T ‑ t e s t
7 2 0 . 51 2 3 . 5 2 6 1 . 9 4 4. 01 3 4 2 . 2 2 5 8 8 1 2 7. 1 0
‑
3
.58*+
3 9 41 . 1 7 7 4. 8 3 9 4 6. 6 0 3 4 2. 9 3 6
‑1 . 8
0
001444‑3.・140=qWハ=
79400148951
4686261461
6
2 8
42 3 6 3 2 1 9 0 8 9 0 4
5 N校 平均
1 5 7 ・ 6 6
S D 5. 6 5 3 0 N
校T ス コ ア 4 7 . 6 3
(人 )全国 平均1 5 8. 8 9
差‑ 1 . 2 3 T‑ t e s t
6 7 2 3 2 4 5 4
3 9 4 7 4 7 5 6 8 1 7 4 7 00 1 1 4 1
‑0 7 4 ‑ 6 6
+3 9 3 6 3
*1 5 4 6 5 4 4 4 1
7 9 0 0 3
▲T2 7 1 8 5
*2 2 3 4 ‑ 2 1 4 1 l
7 3 5 0 3 2 4 3 7 4 2 5 7 7 5 6 ‑ 4 6 1
33 54 70 16 17 9 0 7 9 0 4
学年差
n s n s n s n s n s n s n s
*分散分析 F値
1 . 0 0 2. 1 5 1 . 5 0 0. 4 7 0 . 4 5 0. 8 2 0. 8 8 2. 8 7 P 〈 O . 0 1
P 〈 O. 0 5
*: P〈 O. 05 ‡ *: P〈 O. 01
高専 学生 の健康 と体 力 に関 す る考 察
( 1 )
表5 B M
I指 数 に見 る女子 学 生 の 肥 痩 度( n :
人数 )1 年 2 年 3 年 4 年 5 年
∩
Ⅹ
m‡
n%
nⅩ
∩Ⅹ
肥満
0 0. 0 0 0. 0 1 3. 2 0 0 . 0 0 0. 0
肥満傾 向1 2. 9 0 0 . 0 0 0. 0 1 3. 2 0 0. 0
普通3 08 8 . 2 3 17 9 . 5 2 78 7 . 1 2 58 0 . 6 2 37 6 . 7
やせ傾 向3 8. 8 61 5 . 4 2 6. 5 51 6 . 1 72 3 . 3
やせす ぎ0 0. 0 2 5. 1 1 3. 2 0 0 . 0 0 0. 0
体格に関 しては,身長については全国平均より 1 年が 2. 49 C 皿( P〈 O. 01),2 年が 1. 65c m( P〈O. 05) 高いが 他学年では有意差は認めらなかった.体重は ,1 年 が 5 % 水準で全国平均よ り 1 . 8 6 k g 重い値を示 したが, 他学年は全国平均 とほぼ同 じ値 を示 した.B M指数 による肥痩度については表 5 に示 した.特に 2 , 4, 5 年
表
6
健 康 意 識 と体 力 テ ス トの総 合 点1 59
にやせ傾向の学生が多いことが明 らかになった.大 学生においてもやせの増加が顕著 9) とされてお り, 中高年の骨粗髭症患者は思春期にやせであったもの が多いという報告 9) もあ り,将来の骨粗黙症予防の 上でこの年代における健康教育 ・指導の必要性があ
るといえる.
体力に関 して学年別に全国平均 と比較すると, 新体カテス ト総合得点では全学年 とも全国平均値 を 下回 り ,3 年 と 5 年には 1 % 水準で有意差が認められ, 男子同様に体力が低いことが明確になった.
各項 目の学年差は持久走 とポール投げのみに認 められた.
( 1)筋力 ・茄持久力 ( 握力 ・上体起こし)
\ a大いに健康 健康状態b
健康まあ C あま りで雷雲い a
大いに, b
休力の 自信普 通 C 不安 a
毎 日 朝食の有無b
時 々 C全 く
N(人 )
5 7 1 0 0 9 ‑ 2 0 9 4 5 2 1 1 5 4 7 4
1年A y g. 4 6. 8 9 4 3. 4 2 4 4. 8 9 4 8. 9 5 46 . 4 7 3 9 . 9 0 4 6 . 1 5 4 1 . 1 5 4 3. 7 5
SD 7. 1 0 8. 5 5
11 . 7 4 8. 8 6 6. 8 4 8. 7 2 7. 9 0 8. 61 9. 5 4
〟(人 )
7 1. 7 8 9 1 9 8 4 5 5 1 1 2 39 7
2
年A V g. 4 9. 1 2 4 5. 3 3 4 3 . 7 5 5 5. 2 8 ' 4 8. 2 1 4 2 . 1 7 4 7 . 6 4 4 5. 4 2 4 4. 4 3
SD8. 2 7 7. 6 4 7. 8 5 4. 5 7 7. 5 4 6. 9 4 8. 1 2 7. 9 8 8. 7 0
N(人 )6 1 9 1 2 1 2 5 9 0 5 8 1 2 3 3 8 1 2 3
年A V g. 4 9 . 8 8 4 6. 3 5 4 3. 4 7 5 3. 4 0 4 9. 3 9 41 . 2 0 4 7 . 3 0 4 6. 6 9 4 8. 5 0
SD 6. 5 5 8. 3 3 8. 3 1 5. 6 3 7. 0 8 6. 2 5 8. 0 9 7. 8 3 7. 7 3
〜(人 )
4 6 1 1 1 1 9 1 4 9 6 6 6 9 7 6 3 1 6
4
年A V g. 5 0. 1 5 4 6. 7 4 4 4. 5 0 5 5. 1 4 4 8. 7 3 4 3 . 8 8 4 7 . 0 8 48 . 1 0 4 6. 8 0
SD8. 1 4 7. 8 0 1 0. 8 0 6. 1 6 7. 2 9 8. 6 8 7 . 9 5 8. 01 1 2. 3 0
〟(人 )
6 0 8 6 3 1 9 8 7 4 3 8 6 4 6 1 7
5
年A V g. 4 9 . 6 6 4 5 . 2 5 41 . 0 0 5 5. 3 3 4 8. 2 4 4 0 . 4 5 4 7 . 71 4 5 . 8 7 4 6. 0 7
SD8. 2 5 7. 8 5 5. 6 6 8. 4 3 6. 9 0 6. 0 3 8. 6 8 7. 5 6 7. 9 9
N(人 )2 9 5 4 6 6 6 1 9 7 4 51 2 7 4 5 3 3 2 3 3 5 6 4 9 . 1 2 4 5 . 4 3 4 3 . 9 8 5 3 . 4 4 4 8. 2 0 41 . 6 8 4 7 . 1 5 4 5 . 5 7 4 6. 4 3
SD7. 7 3 8. 1 1 9 . 3 7 7. 2 0 7. 1 6 7. 6 1 8. 1 2 8. 31 9. 31
分 散分析F = 21 . 4 4 P く 0 . 0 0 0 F =1 1 1 . 0 2 P く 0. 0 0 0 F = 2. 9 1 P く 0. 0 5
〟(人 )
ll. 2 3 0 3 1 8 1 3 2 5 8 1
1
年A V g. 4 4. 1 8 4 4. 7 0 4 9. 0 0. 4 6. 3 9 4 0. 9 2 4 5 . 2 8 4 3. 7 5 3 2. 0 0
SD 7. 6 0 7. 3 5 1 0. 5 4 6. 9 0 6. 1 0 7 . 3 5 6. 5 2
N(人 )
1 7 2 0 2 1 2 0 1 8 2 9 1 0 0
2
年A V g. 4 4. 4 7 4 0. 3 9 5 2 . 5 0 4 5 . 41 4 0. 3 9 4 2 . 7 4 4 3. 1 3
SD 7. 2 5 6. 9 5 2. 1 2 7. 7 0 6. 5 5 7. 9 8 5. 8 7
〜(A )
7 2 1 3 2 1 4 1 5 2 3 8 0
3
年A V g. 4 7 . 5 7 3 9 . 6 2 3 8 . 6 7 5 5. 0 0 4 4. 2 9 3 6. 7 3 41 . 9 6 3 9. 5 0
SD1 2 . 3 4 8. 8 5 9. 0 7 1 6 . 9 7 7. 7 3 8. 9 6 1 0. 3 2 9. 4 4
N(人 )
9 1 8 4 1 1 3 1 7 2 2 一7 2
4
年A V g. 4 4. 4 4 41 . 8 7 3 9 . 3 3 4 4. 1 8 4 0. 9 3 41 . 4 5 4 6. 1 7 4 0. 0 0
SD8. 2 8 6. 61 ̲ 2. 3 1 7. 6 4 6. 4 2 . 6. 51 8. 0 8
〟(人 )
1 0 2 0 0 2 1 7 1 1 2 0 8 2
5
年A V g. 4 2 . 0 0 4 0 . 9 4 4 2. 7 6 3 8. 0 0 41 . 4 7 41 . 0 0 41 . 0 0
SD6. 1 6 6. 0 1 5. 4 6 6. 0 4 6. 5 2 5. 2 6 7. 0 7
N(A )5 4 1 0 2 9 9 8 2 7 4 1 1 9 41 5
全体A v X g. 4 3 4. 2. 3 7 9 41 61 . 6 . 0 8 4 2 5. . 3 5 8 4 9. 5. 8 5 6 4 49 4. 6 . 7 8 3 4 9 4. . 5 8 1 4 2 7 2. . 7 2 1 4 2 2. 4. 5 3 8 3 8. 3. 5 0 0
SD 8. 0 0. 7. 4 0 8. 0 5 9. 9 6 7. 0 0 6. 9 9 7. 9 5 7. 1 1 5. 9 7
料 *: P< 0. 001
1 6 0 内山了治 ・児玉英樹 ・塚田修三 ・岩崎秀子 握力 ( 茄力)は全学年とも全国平均値より 1 . 4 6 k g
〜4. 0 9 k g 低い値を示 し ,2 年 〜5 年では 1 % 水準で有意 差が認められた.
上体起こし ( 筋力 ・尉 寺久力)については,どの 学年も全国平均よ り低い値 ( 0. 1 4 ‑2. 4 8 ) を示 し, 3 年のみに 5 % 水準で有意差が認められた.
( 2) スピー ド ( 5 0 m 走)
5 0 m 走 については 1 年 ( 0. 1 4 秒 ) ,2 年 ( 0. 3 8 秒 ) ,3 年 ( 0. 5 2 秒) ,4 年 ( 0. 1 2 秒) ,5 年 ( 0. 1 7 秒)ともに全国 平均値より低い値を示 し ,2,3 年では 1 % 水準で有意 差が認められた.
( 3) 敏捷性 ( 反復横 とぴ)
・敏捷性は ,1 , 2 年は全国平均 よ り高い値を示 した が ,3 , 4 , 5 年は全国平均よ り低 く ,5 年では有意差 ( P 〈 O. 0 5) が認められた.
( 4) 筋パワー ( 立ち幅跳び,ハン ドボール投げ) 立ち幅跳び及びポール投げに関 しては各学年とも 全国平均値よ り低いかほぼ同等の値を示 し,有意差 ( P 〈 O. 0 1 ) が認められたのは 5 年のみではあるが,全 体的に筋力と巧敵性が低いことが明確になった.
( 5) 柔軟性 ( 長座体前屈)
柔軟性については ,1 年が全国平均 よ りやや低い 値を示 し,他学年ではやや全国平均を上回っていた
が,有意差は認められなかった.
( 6) 全身持久性 ( 1 0 0 0 皿)
1 0 0 0 m 走のタイムは ,1 年が 2. 5 秒全国平均を上回 ったが ,2 年 2 2. 5 秒 ( P 〈 O. 0 1) ,3 年 1 6. 8 秒 ( P 〈 O. 0 5) , 4 年 1 4. 5 秒 ( P 〈 O. 0 5) ,5 年は 21 秒 ( P 〈 O. 0 1 ) 全国平均値
よ り遅 く有意差が認められ,全身持久性が低いこと が明らかになった.
以上,男女の結果から
N高専生の体格 ・体力の特 徴が明 らかになったが,全体的に全国平均値より劣 る原因については,体育授業への取 り組み,体育授 業に求めるもの,体育授業以外のスポーツ ・運動実 施時間,地域スポーツクラブへの加入,更には健康 や体力に関する認識度など複数の要因が関与 してい
ると思われる.
体育授業 に求めるものとして ,1 ‑3 年男子では 5 8 % が 「気分の リフレッシュ」をあげ
,「技術の向 上」や 「 体力つ くり」はそれぞれ 1 2 % 〜1 3 % であった.
また ,1 ‑3 年女子 については 「気分の リフレッシ ュ」が 6 8 % を占め
,「 技術の向上」は 3 %
,「 体力つ く り」は 7 別こ過 ぎなかった. 4, 5 年男子では
,「 気分の リフレッシュ 」5 9 %
,「技術の向上 」1 1 %
,「 体力つ く り 」1 6 % ,女子については 「気分の リフレッシュ」
7 2 %
,「 技術の向上 」1 %
,「 体力つ くり 」1 0 % という回 答であ り,日頃のス トレス発散の場を体育授業に求
め,意欲的に自己を高めようとする学生が低学年か ら低いことが推察される.体育授業ではこのような . 状況をふまえ,活動内容を充実させるとともに,教 官が 「行わせる」ことよりも学生が 「 主体的 ・意欲 的に活動する」ことに重点を置 く指導を心がけ,主 体的な活動結果として体力や技能が高まる工夫が必 要となる.
また,体育授業以外のスポーツ ・運動実施状況に ついての詳細な調査はないが,日頃のクラブ活動の 実施状況から考察すると,基礎的な身休つ くりや体 力つ くりを継続的に活動 しているクラブが少ない.
したがって,一般の学生と体力 レベルが同等である 運動部部員が多 く,これらのことが全体平均値が高 まらない要因の一つであると考えられる.基礎体力 を南め,運動能力や技能を向上させるためには,運 動部の活動内容も点検,見直しする必要性が高いと 言える.
3‑3 健康意識と体力について
健康意識 と体力に関 しては,新体カテス トによ る質問項 目を用いて回答群毎の休力総合得点の平均 噂を比較検討 し分析 した・結果は表 6 に示 した・
健康状態は 「 a: 大いに健康 」「 b: まあ健康 」「 C:
あま り健康ではない」の 3 群の自己評価であ り,全 学年男子 の回答数は a 群 2 9 5 名 ( 3 5. 9 %) ,b 群 4 6 6 名 ( 5 6. 7 %) で ,a 群 と b 群の合計は 9 2. 6 % であった.「あ ま り健康ではない」と回答 したC 群は 6 1 名 ( 7 . 4 %) で あった.女子学生については a 群 5 4 名 ( 3 2 . 7 %) ,b 群 1 0 2 名 ( 6 1 . 8 %) で ,a 群 と b 群の合計は 9 3 . 5 % であった.
「あまり健康ではない」と回答 したC 群は 9 名 ( 5. 5 %) であった.自己評価から男女とも概ね健康であると いえるが,あまり健康でないと回答 した 7 % 近い学生 に配慮 し指導する必要もある.
総合得点の平均値を 3 群間で比較すると,男子学 坐 で は ,a 群 が最 も高 く( 4 9. 1 2 点 ),次 いで b 群 ( 4 5. 4 3 点) , C群 ( 4 3 . 9 8) の順であ り,多重比較の結 果 0. 1 % 水準で 3 群の有意差が認められ
,「 大いに健 康」と回答するものほど合計点が高いことが明 らか になった. 女子学生については ,a 群 5 4 名 ( 3 2. 7 %) ,b 群 1 0 2 名 ( 61 . 8 % ) , C 群 9 名 ( 5. 5 %) であ り,群問の体力 総合点に有意差は認められなかフた.
体力については,男子学生は 「 a: 大いに自信が ある 」9 7 名(l l . 8 %) ,「 b: 普通である 」4 51 名 ( 5 4. 9 % ) ,
「 C: 不安がある 」2 7 4 名 ( 3 3. 3 %) であった.女子学生 については ,「 a: 大いに 自信がある 」9 名 ( 5. 5 %) ,
「 b: 普通である 」8 2 名 ( 4 9. 7 %) ,「 C : 不安がある 」7 4
名 ( 4 4. 8 %) であった.男女 とも体力に自信のない学
生が合計 3 4 8 名もお り対策が必要である.
高専学生の健康と体力に関する考察
(1)体力 自己評価の 3 群 と総合得点の関係では,男子
では 「大いに 自信がある」 と回答 した学生が53. 44 点で最 も高 く,次いで
b群48. 2 0 点 , C 群41. 6 8 点の順 で群間には有意差 ( P 〈 O. 01) が認められた.女子では,
a 群9 名( 5. 57 %)
,b群82 名( 49. 7 %) ,C 群7 4 名( 6. 99
%)であ り ,3 群間には1 % 水準で有意差 ( a > b 〉 C ) が認めら れた.男女 とも体力に自信がある学生ほど総合得点 が高い傾向にあった.
朝食 の摂取状況 と体力総合点 に関 しては ,朝食 を 「 a: 毎 日食べ る 」「 b: 時々欠かす 」「 C: まった く食 べない」の 3 群 に分類 しそれぞれについて体力の総 合点平均値 を比較 した.男子については ,a 群5 3 3 名 ( 6 4. 8 %) ,b 群233 名( 28. 3 %) , C群56 名 ( 6. 8 %) であ り,
a 群 とC群には1 % 水準で有意差が認め られた.また, 1 8 歳男子の体力総合得点全国平均値 と比較すると,
a 群で3. 42 点 ,b 群 1. 9 6 点 , C群2. 71 点低い値 を示 し た.女子学生 については,群間の有意差は認め られ なかった.朝食 を全 く摂 らない学生は男子6. 8 % ,女 子3. 哨お り,食生活の乱れは成長を阻害 し生活習慣 病の誘因 とな る可能性があ り指導が必要である.
3‑4 保健室の利用状況について
N 高専及び Y 高専の保健室での処置状況 を表 7 , 8 に示 した.保健室の利用状況は学生の心身の健康状 態 を考察する上で員重な資料 となる.処置 総数は年 度及び高専によ り差が認め られ るが,月別の処置数 か らは,5,1 0,1 月な どは比較的来室者が多 く,年度 の区切 り,行事や休 日明けに処置数が多 くなる傾向
表
7保健室の傷病別処置数 ( 人数)
\ H1 3 H1 2 Y ※
内
料
頭痛 9 2 4 2
風 邪
2 8 2 1 1 3
胃腸
1 5 9 5 8 生理痛 4 5
気分不良
9 3 その他 3 4 1 1 9
小計7 P J 3 3 2 5 0 2
外
料 捻挫
71 4 0
打撲4 5 2 6
突 き指‑一 面 3 0 創傷 1 0 8 9 1
熱傷 6
虫刺され 0
その他 1 3 5 6 0
小計4 0 0 24 7. 1 9 5
そ の
他
耳鼻科2 1 0 9
眼科3 4 1 0 l l
歯科
4
その他 2 3 8 2
小計4 0 4 3 1 0 2
合計
1 1 4 5 6 2 2 7 9 9
※ :
Y 高専 ( 高専生の体力測定とそれ に伴う体育教育の改善 3) から抜粋)
表
8 保健室の月別処置数 ( 人数)
1 61
牢\月
4 5 6 7 8 9 1 0 l l 1 2 1 2 3 m3 4 6 1 6 6 1 3
0 84 7 8 41 6 2 8 8 1 0 3 1 3 0 1 2
2 23冗 4 . 01 4 . 5l l . 4 7 . 30 . 6 7 . 31 4 . 17 . 79 . 0
ll. 41 0 . 72 . 0 mZ 訪 g 7 8 8 5 3 1 4 5 6 6 2 5 6 4 9 4 3 4 3
25% 5 . 81 5 . 61 4 . 18 . 52 . 3 9 . 01 0 . 0 9 . 0 7 . 9 6 . 9 6 . 94 . 0 Y ※ 4 5 1 0 4 8 1 4 3 1 3 7 2 1 ( 娼 8 4 4
3部 1 1 3 5
※ :