化学療法を受ける在宅患者の体調の把握
〜体調管理日記を活用した一・方法〜
富澤 縁早瀬 美香,鈴木 千春,金谷 春美
北海道社会保険病院 看護局 外来
K:ey Words:
外来癌化学療法、体調管理日記、情報の共有、段階評価
要 旨
当院は、平成16年8月に特殊治療室を開設し外来癌化学療法を行っている。特殊治療室はベッド数 4床にて予約制をとり1日!〜8名の患者が治療を受け、5名の看護師が交代で行っている。限られ た時間の中で在宅での状況を把握するために、体調管理日記を作成しその効果について患者、看護師 に聞き取り調査を行った。その結果、体調管理日記を活用したことで患者情報の伝達と把握がスムー ズになった。看護師と患者の聞で情報を共有することができ個別性のある効果的な指導が行われるよ
うになったとの意見が得られた。
はじめに
近年、医療体制の変化・入院期間の短縮により外 来で化学療法を受けている患者が増加傾向にある。
当院においても、平成16年7月よりDPC導入に伴 い、同年8月より特殊治療室を開設した。ベッド数
4床にて予約制をとり1日1〜8名の患者が治療を 受けている。現在、5名の看護師が交代で治療室を担 当していますが限られた時間の中で在宅での体調経 過について把握しにくく、タイミング良く看護介入 することが難しい現状にあった。今回、在宅での状 況を把握するために、体調管理日記(以後、ひまわり 日記とする。)を作成しその効果について患者、看護 師の立場から報告する。
研究目的
体調管理日記が在宅時の体調把握に効果があった かを明らかにする。
研究方法
1.研究期間:平成16年10月から平成17年4月 2.対象:当外来化学療法を受けている患者10名と
特殊治療室看護師5名。
3.方法:ひまわり日記を使用し、体調管理に有効 かを聞き取り調査(半構成的面接法)
4.倫理的配慮:調査対象に研究の主旨と本研究以 外に使用しないことを説明し同意を得た。
ひまわり日記作成の実際 1.作成の目的
1)患者の在宅での化学療法の副作用の程度や経 過を記入でき医療スタッフに伝え患者自身が衣 料に積極的に参加できる。
2)患者の問題点が早期に把握可能となり迅速な 看護介入が可能になる。
2.ひまわり日記の構成
1)表紙は「元気」「明るさ」をイメージし「ひまわ り」とした。(図1)
2)作成の目的と使用方法をわかりやすく説明し
た。(図2)
3)化学療法で出現しやすい副作用と、その発現 時期について図を使用し記載した。
4)副作用と元気度の段階評価の基準を明記した。
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北海道社会保険病院 第5巻 2006
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・身r・転☆轟一・}・ミ「・馬k歯・L轟」・築騒轟一L壷・辱・転げ 私たち医療スタッフは…
躰外来での化学療法が不安なく行えるようにお手伝いします.
♀皇化学療法.の身体的・精神的苦痛を帳減し、安心して泊明に望めるように お手伝.いします.
化学嶽法を奨ける愚者様へ
職このひまわり日記には.化学擬:法や日常生活で注慧していただきたい ポイントなどを記載してい.ます.
治療開始日や検査データを記入し.また、患者様の副作用がどういう状 況なのか,一目で分かるようにしています。
ひまわり日記とは
鞄私たち医療スタッフは.病院での患者様の状態はわかりますが、普段の 日常生活での状態・癌状など.はわかりにくいものです.
恥毎日の状態を患雪様.自身で記録していただくことで、患者様の副作用が どういう状況なのか一目で分かるようにしています.
躯副作用は出現の仕方に個人差があります.患岩様の症状を数宇で表すこ とで、今の体の状態を客観的に見ることが出来ます.
影ひまわり日記を有効に使用することで、恐者操とのコミュニケーション が円滑になると考えています.
ひまわり日髭の使い方
恥 「元気度」「副作用.の程慶」を参考に、毎日の状態を数字化して記入し てみましょう.
毎日の.生活の中で、感じたこと、疑尚に思ったことなど、自由に記載し てください.
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/程度/ 状態
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D1..ニニ 軽い症状はあるが、日常生活はできる.
P.2ゴ..G 自分自身の世話はできるが、日常の生活はできない。
3.. かなりの介助がしばしば必要.
...〔..森.、...
寝たきり.全てに介助が必要.
翫。.. 秩D . . 」 .「 ■..
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図3 元気度と副作用の段階評価
図2 ひまわり日記の使用方法の説明
(図3)
5)治療経過がわかるように、1クール1ページ
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0.12.3 0.1.1
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図4 治療経過と副作用チェック
の副作用チェック.シートとした。(図4)
6)記述式のページに関しては患者が自由に書き
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化学療法を受ける在宅患者の体調の把握 〜体調管理日記を活用した一方法〜
【目標】 (1引∫) WBC:3汐。Hb: !θ」一PL:ψ・参
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【看護師からのコメント】
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図5 目標と治療日の検査データー
う意見があった。また、看護師全員が、役立つと 答え「セルフケアの指導をする上で患者に意識づ けしやすい」という意見があった。
4.患者自身の目標を設定したことで体調管理に役 立つと患者8名と看護師全員が答え、看護師から
は「指導内容が明確になりスタッフ間で継続して 関わることができた」との意見があった。
5.自由記載欄を活用できていると7名の患者が答 え、チェックシートの副作用の項目にない症状に
ついて患者自身の言葉で書かれており、そのうち 不安や悩み事を書かれている患者は4恥いた。看 護師は、それをもとに話を聞くことで不安を表出 する場面をつくることができたと答えている。
6.看護師からのコメントの欄の活用では看護師が 毎回記入したことで対話形式となり、7名の患者 からは「励まされた、勇気づけられました。」との 声が聞かれ、看護師からは「指導だけではなく日常 的なことも記入したことでコミュニケーションに 効果があった。」との意見があった。
込める欄と看護師のコメントが記入できる欄を 設けた。さらに、目標の欄と治療日の検査デー ターを書き込めるようにした。(図5)
7)緊急時の対応として、連絡先、時間帯を明ら かに表示した。
結 果
1.チェックシートを1クール1ページにすること で体調の変化がわかりやすいと患者、看護師全員 が答えている。患者から「治療日と体調の関係が 自分でわかるようになった」、看護師からは「治療 日と副作用の出現時期と持続時間、程度が時間を
かけて話さなくても把握しやすくなった」との意 見があった。
2.段階評価によって客観的に把握することができ ると患者、看護師全員が答えている。患者から「数
字で表すことにより変化が分かる」また、看護師 からは下評価基準を提示していることで患者と共 有でき患者の主観にとらわれずに評価できる」と の意見があった。
3.データーを記入していくことで体調管理に役に 立つと患者7名が答え、「数値の安定により安心感
を得られた、低値だと注意する必要がある」とい
考 察
聞き取り調査の結果より、ひまわり日記は記入方 法が簡便であり、段階評価は患者及び看護師双方に 体調の客観的評価ができ、また1クール1ページと することで治療とその後の体調の経過を短時間で把 握することが可能となった。
多くの副作用は、自宅で発現しており、外来で化 学療法を継続するということは、副作用に伴う身体 的・精神的苦痛に対して患者自身が対処しなくては ならない。外来看護師の役割は、患者自身が、体調 管理をできるようなセルフケア能力を高める関わり を持ち、日々の生活では、医療者から離れているこ とでの不安や孤独感を抱かないように支援すること が必要であると考える。
日記を経過の記載のみにとどまらず、検査データ ーや自由に書き込める欄があることで、患者は不安 や悩みを記入でき、看護師は、さらに不安を表出さ せる場面をつくることができ、個別性のあるセルフ ケアについて具体的に指導できるようになった。ま た、看護師からのコメント欄を設けたことは、患者 とのコミュニケーションを図る上で大きな効果をも たらしたと考える。
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北海道社会保険病院 第5巻 2006
看護師は個別の情報を得て療養生活を支援するた めのアセスメント能力をさらに向上させ、医師・薬 剤師を含めての情報交換を密に行い、患者と信頼関 係を深め看護を提供することが課題と考える。また、
退院から外来受診までの在宅での情報を得るため日 記を入院中から導入できるようなシステムを構築し ていきたいと考える。
結 論 ひまわり日記の導入によって
1.患者の情報の伝達と把握がスムーズになった。
2,患者、及びスタッフ間で情報を共有することが でき、同じ目標でケア・指導にあたることができた。
終わりに
外来看護において、限られた時間の中で患者の情
報を収集し看護を展開することは難しいが、今後も 化学療法を受ける患者が、日常生活を快適に送りな
がら治療を継続できるように支援し、個別性のある 看護を実践して行きたいと考える。
参考文献
1)福島雅典 監修:がん化学療法と患者ケア。医 学芸術社、2005.
2)小島操子他:看護のコツと落とし穴⑦。中山書 店、2000.
3)佐々木常雄 監修:癌化学療法、照林社、2004.
4)田中弘子他:外来におけるがん化学療法への取 り組み.月刊ナースデータ.Vol.25. Nα2:31−
37 2004.
5)森田純子:がん化学療法看護認定看護師の活動 状況.看護管理.VoL 14. Nα7:57!−5772004.
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