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文化庁 「生活者 と しての外国人」事業 の 実施報告及 び今後 の課題

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(1)

Report of the "Foreigners as Residents in Japan" Practical Trainirg Progranil for the Agency for Cultural Affairs and Future Challenges Raised in the Trainirg Serninars 実践報告

文化庁 「 生活者 と しての外国人」事業 の 実施報告及 び今後 の課題

‑ 「 三重大学ボランティア 日本語講師養成講座」を通 して ‑ 福 岡 昌 子

Reportort heHForei gnersasResi dent si nJapanMPract i cal Trai ni ngProgra‑ f ort heAgencyf orCul t uralAf f ai rs andFut ureChal l engesRai sedi nt heTrai ni ngSe‑i nars

FUKUOKAM as ako

( Abs t r act )

TheCe nt r ef わrl nt er nat i onalRe s ear c handEduc at i onatM i eUni ver s l t ydel i ver ed t wopr act i c alt r ai ni ngs , " Tr ai ni ngLect ur esf らrVol unt eerJapanes eTeac her satM i e Uni ver s i t y"f r om Oct obe rt oM ar chi n2007andOct obe rt oFe br uar yl n2008・

Thes er i e sofl ect ur e swer e del i ver e d undert heJapanes eLanguage Educat i on Pr ogr am " For ei gner sasRe s i de nt si nJapan"On behal foft heAge nc yf orCul t ur al Af fai r si ncoope r at i onwi t hHi s aiI nt er nat i onalFr i e nds hi pAs s oci at i onandaBr az i l i an s chool" Apoi oMi e"・

Af t ercompl et i ngt het r ai nl ng , Oure val uat i on f ound t hatt he r ewasas l gni f i cant e f f ecton t hevol unt eer s ・Thee val uat i on al s o s ugges t ed t hatt her ear ei mpor t ant be nef i t sasar e s ul tofcar r yl ngOutt hi st r ai nl ng.Asar es ul toft hi ss uppor t , wewe r e abl et oc ul t i vat ehi ghqual i t yvol unt eert e ache r s ・

I nt hef ut ur e,wewi s ht ocont i nuet oc ul t i vat i ngJapane s et e ac her swhocant he ngo ont oactasl e ade r si nhel pi ngt obui l dapeace f ulmul t i ‑ c ul t ur als ymbi ot i cs oci e t yl n col l abor at i onwi t hl ocalc ommuni t i e s .

キー ワー ド:ボランテ ィア 日本語教師養成、文化庁、生活者 としての外国人、多文 化共生社会、地域貢献

1 . は じめに

近年 わが国に居住す る外国人 は、増加 の一途 をた どっている

。

地域 では 日本語能力が十 分 でない ことか ら、地域社会 との間で様 々な社会 問題 が生 じている

。

その よ うな中で、

2006 年 内閣府経済財政諮問会議 に提 出された 「 『 生活者 としての外国人』 に関す る総合的 対応策」 によ り、 日本語教育 に関す る政府施策 が 2007 年度か ら予算化 され、「 生活者 と し ての外国人」のための 日本語教育事業が、本格的 に実施 され るに至 った。

三重県 も外国人労働者 とその家族等が急増 している地域 の一つであ り、 その中で 日本語

(2)

ボ ラ ンテ ィア教師 は、多文化共生社会 を築 く上で非常 に重要な存在 とな って きてい る

○

そ こで、三重大学国際交流 セ ンターでは、地域 と連携 を図 って、 ボラ ンテ ィア 日本語教師養 成講座 を開催 し、質 の高 いボラ ンテ ィア 日本語教師の育成 と輩 出を 目指す ことで、地域 に 貢献 していこうとした。

本セ ンターでは、文化庁「 生活者 と しての外国人」のための 日本語教育事業 の中で 「ボラ ンテ ィア 日本語教 師を対象 と した実践 的研修」 の採択 を受 け、 2007 年度 はひさい国際交 流協会、 2008 年度 はブラジル人学校「アポ‑ ヨ ミエ」の協力 を待 て、「 三重大学 ボ ラ ンテ ィ

ア 日本語講師養成講座」 を実施 した

1)

。

本講座 では、本学国際交流 セ ンターの教員 と非常勤講師、教育学部 の教員、 そ して鈴鹿 国際大学 の教員の協力 を得 て、 日本語教育 関連講座 および 日本語教育実習 を実施 した。受 講者 は国際交流 セ ンターで講義 および教案作 りな ど日本語指導方法 を学 びなが ら、実習先 で授業 の見学や 日本語教育実習 に参加 した。

本稿 は、事業完 了報告書

2)

とは別 に、 実施 内容、 実施結果 を振 り返 る ことで、 文化庁

「 生 活者 と しての外国人」 日本語教育事業 における本講座 の意義 および今後 の課題 をま と め、今後 の地域 における 日本語教育活動 の礎 に したい。

2. 本講座の実施 内容

(1 ) 「2007 年度三重大学 ボラ ンテ ィア 日本語講師養成講座」

2007 年度 は、講義 20 回 と実習 1 3 回、 2008 年度 は講義 1 8 回 と実習 6 回を実施 した。本 講座 では、本学国際交流 セ ンターの教員 5 名 および教育学部 の教員 1 名 および鈴鹿 国際大 学 の教員 1 名 の協力 を得 て、 20 回の 日本語教育 関連講座 および 1 3 回の 日本語教育実習 を 実施 した。 また、当年度 はひさい国際交流協会が実習会場 とな り、受講者 は教案作 りな ど 日本語指導方法 を学 びなが ら、実際 に外国人学習者 に 日本語指導 を行 う日本語教育実習 に 参加 した。下記 に示すのか、 2007 年度 の本講座 の実施 内容である

。

① 実施期間 : 2007 年 1 0 月 31 日 ( 水) 〜 2008 年 3 月 1 9 日 ( 水)

② 講義 :毎週水曜 日 1 9:00‑ 21:00 三重大学国際交流 セ ンター

③ 講義実施 内容 ( 表 1 )

④ 実習 :毎週火曜 日 1 9:00‑ 21:00 ひさい国際交流協会

⑤ 実習 内容 :実習 は、 受講者 が各 自 1 2 月 4 日 ( 火) か ら 3 月 1 8 日 ( 火) まで合計 1 0 回選 び、 1 回 2 時間、合計 20 時間の実習 を行 う

。

実習 を行 った際 には、毎 回報告書 を 提 出す る

。

2 タイ プの実習 が あ り、 タイ プ A はひ さい国際交流協会 に受講 に来 る学生 ( 主 に研修生) を対象 に実習 を行 う ( 合計 8 回)。 タイプ B は、担 当の実習支援教員 を前

‑ 8 4‑

(3)

文化庁 「 生活者 としての外国人」事業の実施報告及 び今後の課題

表 1 .「 2 0 0 7 年度三 重大 学 ボ ラ ンテ ィア 日本語講 師養成講座」

1 0 月 31 日 ( 水) 開講式、多文化共生社会‑ の理解 福岡 ( 国際交流セ ンター)

11 月 7 日 ( 水)

音 声

福 岡 ( 〟 )

11 月 1 4 日 ( 水) 外国人の誤用 藤 田 (

′′ )

11 月 21 日 ( 水) 比較言語文化 藤 田 ( 〟 ) 11 月 28 日 ( 水) 文法 1 別府 ( 教育学部) 1 2 月 5 日 ( 水) 日本語教授法 1 ‑研修生 ‑ 赤塚 ( 鈴鹿 国際大学) 1 2 月 1 2 日 ( 水) 文法 2 別府 ( 教育学部) 1 2 月 1 9 日 ( 水) 異文化理解 花見 ( 国際交流セ ンター) 1 2 月 26 日 ( 水) 異文化 コ ミュニケ‑ シ ヨン 花見 (

′′ )

1 月 9 日 ( 水) 言 語学 1 高津 (

′′ )

1 月 1 6 日 ( 水) 日本語学 高津 (

′′ )

1 月 23 日 ( 水) 日本語史. 高津 (

〟 )

1 月 30 日 ( 水) 語 嚢 高津 (

〟 )

2 月 6 日 ( 水) 待遇 コ ミュニケー シ ョン 高津 ( 〟 ) 2 月 1 3 日 ( 水) 日本語教授法 1 高津 (

〟 )

2 月 20 日 ( 水) 日本語教授法 2 高津 (

〟 )

2 月 27 日 ( 水) 日本語教授法 3 高津 (

′′ )

3 月 5 日 ( 水) 総合指導実習 1 高津 (

′′ )

3 月 12 日 ( 水) 総合指導実習 2 高津 (

′′ )

に して、 2 0 分間授業を行 った。

⑥ レポー ト課題 :教員が出 した課題、 または各受講者が選んだテーマにつ いて、各 自が 調査並 びにデータ収集 を行 い、分析 した結果 をま とめて提 出 した。

( 2 )「 2 0 0 8 年度三重大学 ボラ ンテ ィア 日本語講師養成講座」

2 0 0 8 年度 は、本学 国際交流 セ ンターの教員 と非常勤講 師 5 名 および教育学部 の教員 2 名 お よび鈴鹿 国際大学 の教員 1 名 の協力 を得 て、 1 8 回の 日本語教育 関連講座 および 日本 語教育実習 ( 6 回の TA (テ ィーチ ング ・アシスタ ン ト) と 1 回の実習体験) を実施 した。

また、 ブラジル人学校 「アポ‑ ヨ ミエ」 が実習会場 とな った。下記 に示すのが、 2 0 0 8 年

(4)

度 の実施 内容である

。

① 実施期間 : 2 0 0 8 年 1 0 月 8 日 ( 水) 〜2 0 0 9 年 2 月 1 8 日 ( 水)

② 講義 :毎週水曜 日 1 9:0 0‑21:0 0 三重大学国際交流 セ ンター

③ 講義実施 内容 ( 表 2 )

④ 実習 : ( A)1 1 月 5 日 ( 水) 〜1 2 月 1 9 日 ( 金) TA (テ ィーチ ング ・ア シスタ ン ト) 6 回、毎週 :月、水、金 曜 日 1 5:0 0‑1 7:00

( B)1 月 1 6 日 ( 金)〜 2 月 1 3 日 ( 金) 実習 1 回 ( 1 回 2 0 分)、毎週 :月、

金 曜 日 1 5:0 0‑1 7:0 0 、 アポー ヨ ミエ (ブラジル人学校)

⑤ 実習 内容 :実習 に関 しては 2 タイプの実習 があ り、受講者 はブラジル人学校 に通 う外 国籍児童 を対象 に、 1 1 月 5 日 ( 水) 〜1 2 月 1 9 日 ( 金) の授業見学期 間中に 6 回の TA (テ ィーチ ング ・ア シスタ ン ト) を行 い、 さ らに 1 月 1 6 日 ( 金) 〜2 月 1 3 日 ( 金) の 実習期 間中に 1 回 2 0 分 〜5 0 分 の実習 を行 った。

表 2 .「 2 0 0 7 年 度三 重大 学 ボ ラ ンテ ィア 日本語 講 師養成 講座 」

1 0 月 8 日 ( 水) 開講式、多文化共生社会への理解、日本語教育の現状 福岡 ( 国際交流センター) 1 0 月 1 5 日 ( 水) 言語習得 と発達 ( 第 1 言語習得 と第 2 言語習得) 福岡 ( 〟 )

1 0 月 22 日 ( 水) 音声 と音韻 福岡 ( 〟 ) 1 0 月 29 日 ( 水) 日本語教授法 1 ‑教材 .教具論 ‑ 大野 (

′′ )

11 月 5 日 ( 水) 文法 1 別府 ( 教育学部)

11 月 1 2 日 ( 水) 文法 2 別府 ( 〟 )

11 月 1 9 日 ( 水) 文字 . 表記 柿 ( 〟 )

11 月 26 日 ( 水) 異文化理解 花見 ( 国際交流センター) 1 2 月 3 日 ( 水) 異文化 コ ミュニケーシ ョン 花見 (

〟 )

1 2 月 5 日 ( 水) 語用論 鹿嶋 ( 〟 )

1 2 月 1 2 日 ( 水) 社会言語学 1 ‑ ( 会話の構造) 鹿嶋 (

′′ )

1 2 月 1 9 日 ( 水) 社会言語学 2 ( 待遇表現) 鹿嶋 ( ′ ′)

1 月 1 4 日 ( 水) 日本語教授法 3‑ 研修生 ‑ 赤塚 ( 鈴鹿国際大学) 1 月 21 日 ( 水) 日本語教授法 4‑ 外国語教授法 と ドリル‑ 赤塚 (

′′ )

1 月 28 日 ( 水) 総合指導実習 1 大野 ( 〟 ) 2 月 4 日 ( 水) 総合指導実習 2 大野 (

〟 )

‑ 86‑

(5)

文化庁 「 生活者 と しての外 国人」事業 の実施報告及 び今後 の課題

3.2 0 0 7 年度および 2 0 0 8 年度の本講座の特徴 と成果 ( アンケー ト結果)

本講座 は、文化庁 の 「 長期 ボラ ンテ ィア 日本語研修」 の基本的枠組 みである講義 40 時 間 と実習 20 時間に沿 った ものである

。

講義 内容 は 2 007 年度 の実習校 の希望 もあ り、 「日 本語教育能力」合格を 目指す講義 内容 と実習 に役立つ ような実習指導が組 まれた。各年度 では実施 内容が少 し異 なるため、年度 ごとにその特徴 と成果 について、 ア ンケー ト結果を 踏 まえなが ら述べ る

。

3‑1.2 0 0 7 年度

2007 年度 は 9 名の応募 があ り、最終的に講義 と実習 を修了者 は 5 名であ った。6ヶ月間 に 20 回の講義 と 1 3 回の実習、最終 レポー ト課題 を課すハー ドな ものであ った。受講者 の 最終 レポー トは、「オ ノマ トペ とは」、 「多文化共生社会 における外 国人 の参政権」、「ボラ ンテ ィア 日本語教師か ら見 た中国人研修生 の 日本語学習 古 手おける問題点」、「日本語 の助数 詞」、「品詞 を転換 させ る働 きのある接辞 につ いて」 だ った。講座の後半 に、実習が設定 さ れていたため、最終 レポー トと実習の両立が どの受講者 も大変 だ った と思 われ る

。

さ らに、実習では指導発話 を録音 し、実習 1 回 目と実習 2 回 目とで実習者 に内省 を図 る ことで、実習指導上の意識変化の過程 を分析 した。地域の 日本語 ボラ ンテ ィアにおいて も、

岡崎 ・岡崎 (1 997:2 4) が教育実習や教師研修 を支 え る理論的枠組み として提示 した 「内 省」即 ち、教師 自らが主体 とな り、 自分 や他 の教師の教授過程 を観察 し、振 り返 る中で教 授 ・学習過程 における諸要点を発見す る観点か らの「 教師の成長」を 目指す実習体制の実践 が必要 なのではないか とい う考 え方 に基づ くものであ った3 ) 。

ア ンケー トの結果では、①講座 の内容 につ いては、 「日本語教育 に関す る授業 の内容が

幅広 く充実 していた 」 40%、「 無料で実施 されていたのでよか った 」 40%、「 講座 とともに

日本語教育実習 を学べたので よか った 」 20%、 その他 ( 長期 だ ったが、夜 の講座 だ ったの

(6)

で参 加 で きた) 0% で あ った。

② 今 後 の改善 点 につ いて は、 「講 座 の期 間 ・時 間帯 」 40% ( 実 際 に国 際交 流 セ ンターで 授業 が行 われ て い る時 間帯 で見 学 を させ て いた だ き、教 え方 や時 間配 分 等 参 考 に したか っ た)、 「実 習 の 内容 や指導 方 法 」 40% ( 実 習 回数 を増 や して ほ しか った)、 「講 義 の 内容 や指 導 方 法 」 2 0% だ った。

③ 実 習 に関す るア ンケ ー トで は、 実 習 の た め の検 討 会 や実 習 を行 う過 程 の 中で、 1 2 月、

1月 、 2月 、 3月 と、 どの よ うな点 が 自分 の 中で改 善 され て い った か受 講 者 に記 入 して も らった ( 表 3 ) 。 実 習 を通 して成 長 す る姿 が観 察 され た。

表 3 . 実習期 間 ( ひさい国際交 流協 会) を通 しての受講者 アンケー ト ( A〜E は受講者) 1 2 月 ・教案作 りのポイ ン トがわか った ( A) ○

・何 も知 らない状態で実習 に参加 させていただいたので、一方的に受入れる状 況が続 いた ( ち) ○

・日本語がこんなに難 しいとは. . .こんな状態で実習ができるだろうか ( D) ○

・1 2 月に初回の実習をと思 っていたが、指導案の書 き方がよ く理解できずに、

まず教案の書き方か ら学んだ ( E) ○

1 月 ・教案の内容の中身があまりな く、言葉を多用せずに教えることの難 しさを知 つ た ( A) ○

・日本語を母語 としているので、外国人の方達の立場 に立てない自分がいて も どか しか つた ( B) ○

・教材が うま く使用できなか った ( C) ○

・とりあえず一生懸命説明 したが、教える文型以外の言葉をとりとめ もな く説 明 した りして混乱 させた ( D) ○

・準備や指導案の指導計画はもちろんのことですが、導入段階をどう工夫する のか一番大切だと気づいた ( E) o

2 月 ・他の受講者の実習が とて も参考 になった ( A) ○

・ようや く外国語 としての 日本語の指導方法がわか りかけてきた ( B) ○

・学習者 に箪カー ドが うま く使用できた ( C) ○

・必要以上の言葉は話 さないようにして焦点を しぼつてい くことができた ( D) ○

・他の受講者 も 1 回 目よ り 2 回目のほうがとて も充実 していた○他の方の工夫 した教材や言葉の選び方等が参考 になった ( E) ○

3 月 ・教える前 に授業の段取 りが必要だと思 った ( A) ○

・実習支援教員か らの指摘は目か らうろこ状態だった ( B) ○

・学習者が どうして もその文型表現を発話 しなければな らないような場面設定 が必要だと思 った ( C)

・栗際に学習者を目の前 にしたとき、以前のような何をどう教えるべきかさつ ぼ りわか らなか ったということはな く、少 し自信を持 って教え られた ( D) ○

・実践をす る中で力をつけていきたい○回数を重ねる中で多 くのことを学べる

‑ 8 8‑

(7)

文化庁 「 生活者 と しての外国人」事業 の実施報告及 び今後 の課題

3‑2.2 0 0 8 年度

2008 年度 は 20 名 の応募 が あ り、最終 的 に講義 と実習 を修了者 は 1 0 名 で あ った。 昨年 度 は受講者 の負担が大 きか った とい う反省点か ら最終 レポー トの提 出を修了条件 か ら外す ことに した。1 8 回の講義 と8 回の実習 ( 6 回のテ ィーチ ングア シスタ ン トと 2 回の実習) を行 った。

2008 年度 は、実習先 と して ブラジル人学校 を選 んだ ことで、外 国籍児童 を対象 と して い ること、 そ して、 ブラジル人学校支援 とい う本講座 の側面があ った。 ブラジル人学校 に は、本来 日本語 カ リキ ュラムは組 まれていなか ったため、本講座 の実習 にあた っては特別 にブラジル人学校用の 日本語 カ リキ ュラムを独 自に検討 し、 日本語 カ リキ ュラムを組んだ。

2007 年度 の修 了生 の うち 2 名 の修了生 が、2008 年度 はボラ ンテ ィア 日本語教員 と して ブ ラジル人学校支援 の協力 に回 った4 ) 。

外国籍児童 ということで、受講者 の戸惑 い も多か ったが、「こどもの 日本語 」 ( ス リーエー ネ ッ トワー ク) を主教材 と し、通訳者 の支援 を受 けて授業 を行 った。児童 の 日本語 レベル にバ ラつ きが見 られたため、 プ レースメ ン トテス トを し、 2 クラス編成 で行 った。 また、

日本語支援 を行 っている間、本学 の 日本人 ボラ ンティア学生 の協力 によ り、算数 と漢字 の 教科支援 も行 った。

ア ンケー トの結果では、①講座 の内容 につ いては、「日本語教育 に関す る授業 内容 が幅 広 く充実 していた 」 ( 子供対象への第 2 言語学習 とい う部分でいろいろな ことを考 え させ られた)36%、「 無料 で実施 されていたので よか った 」 32%、「 講座 とともに 日本語教育実 習が学べたのでよか った 」 23%、その他 ( 長期だ ったが、夜の講座だ ったので参加できた。 )

9 % であ った。

②今後改善 した方が よい点 と しては、「 実習 の内容や指導方法 」 36%、「 講義 の内容や指

導方法 」 1 8%、 「 講座 の期 間 ・時間帯 」 1 8% ( 昼間 に学べ ると外 国人留学生 や一般学生 と

(8)

の交流が期待できる)、「 講座 の場所 」 9 % 、 その他 ( 実際の指導方法 や模範授業 を提示 し てほ しか った)1 8%だ った。講座 と実習先が離れてお り、受講者 にはご不便をおかけ した。

③今後 もっと研修 したい内容 については、「 表現文型 の具体 的な教 え方」 や 「 実践的な 実習研修」 だ った。

④ ブラジル人学校 での実習 ア ンケー トでは、 まず 「 TA体験」 では、「 教 え る側 ( 実習 者) は しっか り準備 して、子供 に教えるという双方の交流が一番大切 だ」、「 子供 によって 理解力 に差があ り、 どの程度理解 できているかわか らなか った」、 さらに、「 実習体験」で は、 「もっと実生活で活用できるように教えてあげたか った」、「 準備 が大変 だ ったが、子 供 たちが乗 ってきた りした ときは準備 したかいがあった と思 った」、「自分の レベルを少 し で も上 げて懐の深 い、楽 しい、 よか った と思われ る授業ができるようにな りたい」 という 声があ った ( 表 4)。

表 4 . ブラジル人学校での実習 における受講者 の反省点 TA 体験 :

・子供達への接 し方がわか らな ったが、徐 々にコ ミュニケ‑シ ョンの取 り方 とフレン ドリー な接 し方ができるようにな った。

・子供 は吸収が早 いのに驚 いた。

・子供 によって理解力 にかな りの差があ った。

・子供達が どの程度理解できているのかはっき りわか らない。 もっと細か く指導すべ きか、

大 まかに教え る方 が よいのか ?

・教室 スタイルでの体験 は初 めてだ ったので、 とまどいがあ った 〇

・子供達 の 目線で授業 を見 ることができま した。

実習体験 :

・テキス トの文例 を実生活で活用できるように考 えてあげたか った。

・子供達が興味を示 した り、乗 ってきた りした時には しっか り準備 したかいがあったと思 っ

た

。

・時間配分が難 しい。 とて も細かい ところまで計画 しなければな らないので大変 だ った

。

・教案作 りがむずか しか った。 1 課進 め るのにあれだけの準備が必要 とは思 いませんで し た。

・教 え方 の レベルを上 げて、懐 の深 い、楽 しい、 よか った と思 われ る授業 ができるよ う力 をつ けた い。

4. 文化庁 「 生活者 と しての外国人」 日本語教育事業の今後の課題

文化庁 『 地域 日本語学習支援 の充実 』 ( 2 00 4) においては、「 地域 における日本語学習支 援活動の充実へ向けての方策」 として、①ネ ッ トワークの構築、② リソース ( 人材 ・情報 資源) セ ンタ‑の設置、③ コーデ ィネーターの配置、④ 日本語学習者 と支援者 を支える環 境の整備 を挙 げていた。 いずれ も焦眉の課題 として取 り組みがなされたが、現在の地域で

‑ 90‑

(9)

文化庁 「 生活者 としての外国人」事業の実施報告及 び今後の課題

の状況か ら見 ると、それ らの課題 は概ね整備 されてきたと言えよう

。

「 生活者 と しての外国人」 日本語教育事業 が開始 されて 3 年が経 ち、 「国語分科会 日本 語教育小委員会 における審議 について 」 ( 2009:2 6‑35 )では、 (1 )「 地域 における日本語 教育の体制整備」 、( 2)「 生活者 としての外国人」 に対す る日本語教育の内容」が検討 され、

今後の課題が審議 された。以下、簡単 にその内容を紹介す る

。

(1 ) では、地域のボランテ ィアや コーデ ィネーターな どの個人的 レベルでの努力 にとど ま らず、 国、都道府県、市町村等の行政機関な どの阻止的な取 り組 みが必要 であ り、「 連 携協力の推進」を図ることが必要 とされた。 まず、国の担 う役割 としては、①地域 におけ る日本語教育 の体制整備のあ り方を示す こと、② 「 生活者 としての外国人」 に対 し日本語 能力 の測定方法 と指導力の評価法の指針を示す こと、③大学、研究機関、 ボランテ ィア団 体等が行政 と連携 して人材養成を行 うこと、④ 日本語学習の環境整備への支援を行 うこと、

⑤地域の 日本語教育の指導者 に適切 に指導助言できる「 指導者の指導者」を養成す ることで ある

。

次 に、都道府県の担 うべ き役割 としては、①地域の実情 に応 じた 日本語教育 の体制 整備、② 日本語教育の内容方法を検討 ・調整、③ 日本語教育事業を推進できる人材 の養成、

さ らに、地域の 日本語教育 の実態把握、関係者 の連絡会議の開催、広報活動が挙 げ られて いる

。

また、市町村の担 うべ き役割 としては、①現場の実情 に沿 った 日本語教育 の編成 ・ 実施、②国が養成す る 「 指導者 の指導者」 を活用 した 日本語教育指導者 の養成、 さらに、

日本語教室の設置運営、学習者や指導者か らの相談体制作 り、人材情報 リソースの活用が ある

。

これ らの役割分担の もとに、連携を強化 し、地域の特性や現場 の状況 に応 じた 日本 語教育 内容 ・方法および体制を整備 し、 ボランテ ィアに依存 した 日本語教育 の現状 を改善 し、常勤職員を配置す るな どして、 日本語教育 コーデ ィネー ト機能 を強化 してい くことが 挙 げ られている

。

( 2 )では、生活場面 と密着 した コ ミュニケー シ ョン活動 を可能 とす る能力 の育成 を 目指 し、 日本語 を使 って、①健康かつ安全な生活、② 自立 した生活、③社会の一員 としての生 活、④文化的な生活を送 ることが 目標 に挙 げ られている

。

これ らを踏 まえ、「 生活者 とし ての外国人」に対す る日本語教育の検討 とカ リキュラム開発、教材のプロ トタイプの作成、

生活者 としての外国人 に必要な 日本語能力の評価基準、指導者の評価基準が今後 の課題 と して挙 げ られている

。

以上か ら、地域で も日本語学習支援への改善が図 られてきてお り、文化庁 『 地域 日本語

学習支援 の充実 』 ( 2 0 0 4) の提言 は、現段階の状況 を踏 まえた上での指針 として よ り具体的

に提示 された ものであった ことが理解 され る

。

本事業を通 して、地域 の 日本語教育 に関わ

り強 く必要であると思われた点 は、上記で述べ られていたように、地域の各 日本語教育機

(10)

関の連携、地域行政 間の連携 である

。

文化庁 『地域 日本語学習支援 の充実 』 ( 2004) におけ る課題 として必要 とされた コーデ ィネーターの育成 については、現在国際交流協会や 日本 語教室等が、地域の核 として活動 を推進 してお り、十分 に育成が図 られてきた と思われる 。

しか し、市町村な ど地域行政間の連携、地域行政 と日本語教育機 関 との連携 が磐石ではな い点 も存在 してお り、時 として 「 船頭多 くして船 山に登 る」 な どの事例 も多 く見受 け られ た。今後 も「 生活者 としての外国人」のために、国、都道府県、市町村 が一貫 した体制の も とに、各 日本語教育機関、国際交流協会、 ボランテ ィア団体 との 「 連携協力 の推進」が必 要であると思われ る

。

さ らに、「 指導者 の指導者」の育成 も急務 であるが、 どのように 「 指 導者」 を評価 し、 いかに「 指導者 の指導者」の育成 を図 るかは、 引 き続 き十分 に検討 され る 必要がある

。

5. おわ りに

研修先での仕事 を終 え国際交流協会 に通 う研修生 も、 また、経済不況で帰国を余儀な く され、友達が一人二人減 るブラジル人学校 での子供達 も、毎 回の授業 を楽 しみに して、 日 本語 を学ぶ姿 は終始変 わ らなか った。地域 で生活す る外国人が、 日本で心豊かに暮 らして い くためには、今 しば らく文化庁が先導す る形で、「 生活者 としての外国人」事業を充実拡 大 してい く必要があると思われ る。

国際交流 セ ンターで は、 2007 年度 よ り文化庁事業 の採択 を受 け、 ボラ ンテ ィア 日本語 本譜講師養成講座 を開催 させていただいた ことによって、地域 の現状 を これ まで以上 に把 握す ることができた ことが大 きな収穫 であ った。最後 に、国際交流 セ ンターに期待 したい こととい うア ンケー トを行 った際 に、 「もっと地元 に開かれた交流 を して ほ しい」、「 週末 大学 を開放 して 日本語支援 を行 ってほ しい」、「 身近な存在で、地域 の 日本語支援 に関わ っ てほ しい」 とい う要望があ った。 このような声を大切 に し、今後 も地域 と協働 して、共 に 地域 の多文化共生社会 を築 いていきたい。

謝辞 :本事業 の実施 のために、 ご協力並 びにご尽力 くだ さいま した教員 の皆様、 ひさい国際交流協 会、 ブラジル人学校 「アポ‑ ヨ ミエ」様、 そ して受講生 の皆様 に心 よ り感謝 申 し上 げます。

注

1 . 「生活者年 の外 国人」のための 日本語教育事業 においては、本講座 が実施 した 「ボラ ンテ ィアを 対象 と した実践 的研修」 の他 に、 「 生 活者 と しての外 国人 のための 日本語教室」の設置事業、 「日 本語能力 を有す る外 国人等 を対象 と した 日本語 指導者養成」 事業、 「日本語教育 の上級指導者研 修」事業 がある

。

なお、本講座 は、本学 の教員 を構成 メ ンバー とす る 「 三重実践 日本語教育 の会」

‑ 9 2‑

(11)

文化庁 「 生活者 としての外国人」事業の実施報告及び今後の課題

という任意団体を三重大学国際交流セ ンター内に組織 し、当会が申請 を行 った。

2.本講座 の実施記録 としては 2 冊 の報告書がある ( 福岡 200 8 、福岡 2009) 。報告書 には、委嘱事 業計画書、本講座の受講規定、講義 内容、講義報告 ( 教員)、実習報告 ( 教員 および会場校)、実 習報告 ( 受講者)、修了者名簿 および受講者 ア ンケー ト等、すべての報告 が事業完了報告書 とし て 1 冊 にまとめ られている

。

3.大野 ・福岡 ( 2 008) 、福岡 ・大野 ( 2 01 0)を参照。

4.2 009 年度以降 において も、本講座 2 007 年度、2 008 年度修了生 と共 にブラジル人学校 の 日本語 支援を継続 して行 っている

。

参考文献

大野陽子 ・福岡昌子 ( 2 008)「ボラ ンテ ィア 日本語教師への実習 に関す る研究 一 文化庁 日本語教育 研修を通 して ‑」『 平成 2 0 年度 日本語教育学会 中部地区研究集会予稿集』( 於 :南 山大学)、pp. 69

‑7 2.

岡崎敏雄 ・岡崎陣 (1 997 )『日本語教育の実習 理論 と実践』 アルク

日本語教育学会 ( 2 007 ) 「 特別 シンポジウム「 生活者 としての外国人」と日本語教育」『2 007 年度 日本 語教育学会秋季大会予稿集』、pp. 23‑25.

福 岡昌子 ( 2007 ) 『文化庁 「 生活者 としての外国人」 のための 日本語教育事業 ボラ ンテ ィアを対象 とした実践的長期研修報告書 「ボラ ンテ ィア 日本語教師養成講座 2 007」』三重大学国際交流 セ ン ター ( 三重実践 日本語教育 の会)発行 ( 31 7 貢)

福 岡昌子 ( 2 008)『文化庁 「 生活者 と しての外 国人」 のための 日本語教育事業 ボラ ンテ ィアを対象 と した実践的長期研修報告書 「ボラ ンテ ィア 日本語教師養成講座 2 008」』三重大学国際交流セ ン ター ( 三重実践 日本語教育 の会)発行 ( 2 47 頁)

福 岡昌子 ( 2009)「日本語教育実習 における他者への評価 と他者か らの評価 に関す る研究」『三重大 学国際交流セ ンター紀要』第 4 号 ( 留学生 セ ンター紀要 よ り通巻第 11 号)、pp. 2 4‑3 6.

福 岡昌子 ・大野陽子 ( 2 01 0)「ボラ ンテ ィア 日本語教師への内省 とピア活動 による実習研究」『三重 大学国際交流セ ンター紀要』第 5 号 ( 留学生セ ンター紀要 よ り通巻第 1 2 号)、pp. 1 7‑2 9.

文化審議会国語分科会 ( 2 009)『平成 21 年度 「文化庁 日本語教育大会」』文化庁 ( 於 :昭和女子大 学)、pp. 2 6‑35 .

文化庁編 ( 200 4)『 地域 日本語学習支援 の充実 一 共 に育 む地域社会 の構築へ向けて ‑』、独立行政 法人国立印刷局発行

平成 2 0 年度文化庁 日本語教育研究委託 [ 外国人 に対す る実践的な 日本語教育 の研究開発] ( 「 生活 者 としての外国人」 のための 日本語教育事業)運営委員会 ( 2 0 09)『平成 2 0 年度文化庁 日本語教 育研究委託 外国人 に対す る実践的な 日本語教育 の研究開発 ( 「 生活者 としての外国人」 のための

日本語教育事業)‑ 報告書 ‑』、 日本語教育学会発行

参照

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