• 検索結果がありません。

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼稚園教育実習の導入段階の指導におけるVTRの 利用方法について(2)

著者 山口 満, 福西 憲太郎

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 2

ページ 13‑21

発行年 1979‑03‑30

その他のタイトル How to Use VTR in the Introduction of Teaching Practice in Kindergarten(2)

URL http://hdl.handle.net/10105/4667

(2)

VTRの利用方法について(2)

山 口  満(教育学教室) ・福西憲太郎(附属幼稚園)

How to Use VTR in the Introduction of Teaching Practice in Kindergarten (2) Mitsuru Yamaguchi {Departmen t of Education)

and Kentaro Fukunishi {A ttached Kindergarten) Abstract

The second‑year students of the kindergarten teacher s course were required to watch teaching in kindergarten on television twice; first watched it wholly, second watched it partly and analyti‑

cally.

Such style of watching television had some effects on the progress of students learning as follows;

(1 ) To understand the whole process of teaching in kindergarten,

(2) To understand the interrelation between teacher's activities and children's activities, (3) To understand the role of curriculum on teacher's activities in teaching,

(4) To observe the teaching in kindergarten analytically and objectively, (5) To be prepared for the teaching practice of students.

Key words: Using VTR in the introduction of teaching practice in kindergarten Watching television partly and analytically

I.研究の目的

私たちは,昭和52年度に, VTRを幼稚園教育実習指導,とりわけその導入段階(附属幼稚 園等における保育の観察に入る以前の段階)における指導に効果的に利用するための方法を, 授業での実際の利用,学習効果の測定に基づく評価,利用方法の改善という作業を積み重ねる

ことによって,実践的に開発することを目的として,この共同研究に着手した。

52年度の研究においては,その成果として, (1)テレビ視聴をさせる時期, (2撮影,録画・録 普,教材編成等のための技術に関する問題, (3)テレビ視聴の事前および事後指導のあり方等に っいて,検討されるべき問題点の所在や改善の方向がかなり具体的に明らかにされたム1)私た ちは, 52年度の研究によって得られたこれらの知見を,もちろん客観的な条件が許す範囲内で はあるが, 53年度における幼稚B]教育実習への導入を意図した授業に生かしている。

さて,本稿でその成果を報告する53年度の研究の中心的な課題は,授業のねらいを効果的に 達成することができるようなテレビ視聴形態のあり方を明らかにすること,いっそう具体的に 言えば,まず最初にいわゆる「まるごと視聴」 (1つの番組を最初から最後まで通して視聴する 形態)をさせ,しかる後に「分断視聴」 (番組内容の節目に当たる部分で映像・音声を止め,教 師の説明等による概念化を図り,しかる後に次の部分の視聴に進めるという形態)による分析

(3)

山口 満・福西憲太郎

的な視聴をさせるという方法が,(1)保育についての具体的なイメージを与えることによって保 育の構造や展開過程に関する理解の深化を図り,(2)実際の保育を観察する場合に何を,どのよ うな観点から見ればよいかということに気付かせ,(3)教育実習に対する心構えの形成を促すと いう授業のねらいを達成する上にいかなる効果をもたらすかという問題を,テレビ視聴後に学 生に課した当該保育に関する感想文の分析を通して実証的に明らかにすることにある。

53年の研究課題を上述のように設定したことの理由は,以下の3点にある。(1)前年度の研究 では,テレビ視聴形態に関する問題点をほとんど取り上げることができなかった。(2)前年度の テレビ視聴後のアンケート調査の結果によれば,保育場面の全体が分りにくい,教師の活動と 子どもの活動との関連が分りにくい,保育の全体的な流れが分りにくいといった意見が意外に 多かった。その原因の1つが前年度にはまるごと視聴を1回させるだけに終わったということ にあることは明らかであり,53年度には分断的,分析的視聴の形態を取り入れてみる必要があ ると判断された。(3)まるごと視聴と分断視聴との組み合わせ方としては,まず最初にまるごと 視聴をさせ,しかる後に分断視聴をさせるという方法がそれぞれの形態の利点を生かした効果

的な方法であると考えられた。

このように53年度の研究ではまるごと視聴と分断視聴の組み合わせというテレビ視聴形態が 授業のねらいを達成する上にいかなる効果をもたらすかということの解明に研究の焦点が当て

られているが,分断視聴における分析的な見方の指導の徹底を図るために,分断視聴に先立っ て,当該保育を詳細に分析し記載したプリントを配布し,分断された保育場面について教師が 行う説明および学生のテレビ視聴に利用するという方法をとった。

また,このようなテレビ視聴形態がもたらす学習効果の測定方法としては,まるごと視聴後 の感想文と分断視聴後の感想文とを分析,比較し,当該保育に対する学生の見方や評価がどの

ように変化したかという,その傾向を明らかにするという方法をとった。感想文の分析に当た ってはできるだけ客観的な基準によるように努めたが,主観的な判断が入ることを免れること はできない。この意味で,53年度の研究は上述のようなテレビ視聴形態がもたらす効果を2つ の感想文に見られる特徴的な傾向を明らかにし,比較することを通してごく大まかに把握する という範囲を出るものではなく,(1にの種の授業における学習効果の科学的な測定技術,(2他 の視聴形態による学習効果との比較に基づく問題の解明は今後の課題として残されている。

Ⅱ.研究の方法

(1)昭和53年6月に,附属幼稚園における教育実習生の保育を撮影,録画・録音した。この 保育は,5歳児(年長児)1クラスを対象にした「あじさいの花をつくる」と題する設定保育 であり,場所は同クラスの保育室であった。カメラは同園のソニー・AVC−3500DC12V(モノ

クロ)を使用した。

(2)この保育を教育工学センターのVTRを利用して分析した。分析に当たっては,表1に 示すように,保育を構成する要素的な諸活動や教材の1つ1つの内容,それらの相互関係,保 育の時間的な展開過程をできるだけ詳細に記述することとした。その結果をプリントにし,分 断視聴の際に教材として学生に配布した。

(3)53年12月に,授業「幼児教育学」の受講学生(幼稚園教員養成課程,2回生,29人)に 対して教育工学センターのCCTVを使って第1回の視聴,即ちまるごと視聴をさせた。テレ

(4)

表1 保育「あじさいの花をつくる」の展開過程(1部を抜粋して掲載した)

l

教 材 ・教 具 備 考

寺間 l 大 分 類

l

1 分

5 分 1

1 . 昨 日 の 7舌 1 . プ ー ル で 遊 ん − 1 . バ ー ィ , ハ [数 人 の 老 手 を 動 , 自 由 遊 び

と の つ な が り

で い た 人 手 を 挙 げて ー イ [挙 げ る

。 口 に 答 え る 3 . ど ん な 花 作 っ

て た

(1 〜 4 )

3 . あ じ さ い の 花 や

(1 − 4 )

2 . 気 分 の 切 6 . 先 生 ひ と り だ 伴 奏 し な が ら 5 . か ず み ち ゃ か ず み , 伴 奏 り か え , 7舌動

意 欲 の 喚 起

け 名 前 呼 ぶ か ら 呼 ば れ た 人 だ け と ん で や 。

9 . み ん な で と ぼ う か

(5 − 1 0 )

】歌 う

ん , 早 う と び や

6 . ノヽ− イ

に 合 わせ て とぶ み ん な で と ぶ ,

一す る 老 数 人 3 . 作 業 の 目 1 4 . こ れ と こ れ と 紙 の あ じ さ い

9 . 似 て い る 1 0 . 似 て い な い

(7 − 1 4 )

教 師 の ま わ り に す わ る

1 . 前 日 子

i

8 分

1 3 分  ‥ ‥‥ ‥ 一

2

的 に 気 付 か せ 似 て る か , 似 て る と 実 物 を 指 で ど も た ち が

る , 実 物 を 観 さ せ る

1 か I

(1 1 − 1 8 )

つ ま ん で 見 せ

作 っ た あ じ さいの 花 び ら 2 . あ じ さ い の 花 , 葉 が 2 枚 つ い て い る 4 . 作 業 に つ

い て の 注 意 , 材 料 の 提 供

i l

2 8 , そ や か ら な , 1 . 2 グ ル ー プ の 人 , 3 .4 グ ル ー プ の 人 , 5 .6 グ ル ー プ の 人 , 7

い な 大 き な あ じ さ い 作 って ほ しい ね ん

(1 9 〜 3 6 ) 4 1 . い ろ ん な は り

2 2 . バ ー ィ , バ ー イ

1 5 〜 2 4 ) I

3 . 黒 地 の 模 造 紙 大 の 画 用 紙 , 4

4 . 緑 色 の 画 用 紙

5 . 4 つ の グ ル ー プ に わ か れ て あ じ さ い i の 花 を つ く る

2 7 . 水 の り ち ゃ

5 . 水 の り

6 . は さ み 7 . 新 聞 紙 方 が あ る な あ ブ ル 1 プ ご と うぞ , こ れ お 花 , コロ に い ろ い

に 見 て ま わ る す ご い 水 の り, こ ろ な こ と を し れ が 一 番 ,こ れ が や べ り な が ら ま ん 中 に な るね か 作 業 を つ づ け

ら な,こ う した ら きれ い や ,こ う し た ら ペ タ リ ン コ

1

ペ タ リ ンコ こ れ

5 1 . か ず み ち ゃ ん ぼ く,へ ん な あ じ

と こ 葉 っ ぱ に か た さ い と か あ る わ ,

つ む り 書 い て は る イ ヤ,ハ ノ、ハ …

わ , か た つ む り が 3 6 . 先 生 か た つ い て る わ

] (3 7 〜 封 )

り書 い て も い い 】 3 7 ・ 先 生 ち ょ う i ち ょ 書 い て い い

2 5 〜 3 9 ) 3 0 分

i

3 7 分  一一一一一一一一一一

】 6 ・ 後 か た づ

;け

1 6 2 . み ん な ち ゃ ん と 片 づ け ま した か,

片 づ け た 人 手 を あ

4 3 . バ ー イ

4 0 − 4 1 ) げ て

(5 5 − 5 8 ) 6 4 . ま ず 1 .2 グ

ル ー プ の 人 が つ く 1 , 2 グ ル ー 4 4 . こ れ や 4 5 . 見 え へ ん , 見 え へ ん 6 2 . 糞 っ ぱ の 形

4 2 〜 6 2 ) っ た あ じ さい の 花 み プ の 作 品 を 見

3

7 . で き 上 っ た 作 品 の 鑑 賞

ん 三日 二見 て も ら うぞ 8 9 . 座 わ ろ う , 座 わ ろ う , じ ゅ ん −

[君 の は って い る菓 っ せ る

葉 っ ぱ を 指 さ

!ま     豊詩語詰

45分i…‖ 菜

l! す i

lll

(5)

山口 満・福西憲太郎

ビ視聴に先立って当該保育を担当した学生Nに,(1)本時の指導に至るまでの経過,(2)指導のね らい,(3)展開過程,(4)反省等について簡単な説明をしてもらった。テレビ視聴後に当該保育に 対する感想を具体的に,且つ箇条書きで書くように求めた。これには約30分の時間を与えた。

(4)54年1日に,上記の学生(30人)に対して第2回の視聴,即ち分断視聴を行わせた。そ の際,(1)視聴に先立って前述のプリントによって保育の展開過程の全体の概要を説明する,(2)

導入段階,展開段階,まとめの段階という3つの部分に分断して視聴させたが,それぞれの部 分の視聴に先立ってプリントによって個々の要素的活動と教材の内容,それらの相互関係,時 関的な展開過程について説明する,(3)テレビの映像・音声とプリントを対照するように指示す る,(4)それぞれの部分の視聴後にもう一度ポイントとなる部分を説明する,(5汁旦し教師自身の 当該保育に関する解釈や評価は一切入れない(事実関係の説明だけに留める)という方法をと った。なお,テレビはVideo Projection(KM−5010,Sony)を併用した。テレビ視聴後に当 該保育に対する感想を具体的に,且つ箇条書きで書くよう求めた。これには約30分の時間を与

えた。

(5)2つの感想文を分析し,比較した。その際,(1)1つのまとまった意味を持つ1文章(ほ ぼ箇条書きの1条に相当している)を1単位感想文とする,(2)単位感想文を分類のために設定 した一定の基準に基づいて分類し,必要に応じて数量化するという方法をとった。

(6)テレビ視聴を通して,(1)保育は一定の過程・段階を経て展開されること,(2雁膏は教師 の活動と子どもの活動との相互交渉の過程として展開されること,(3)教材・教具は保育を構成 する重要な要素であること,(4)保育は教師が保育に先立って用意している構想・計画に基づい て展開されること,(5)教育実習への心構えを持つ必要があること等について学生の理解の深化

を図ることが2回にわたるこの授業のねらいである。

Ⅲ.結果と考察

1.感想文で取り上げられていることがら

保育は,教師の活動,子どもの活動,教材・教具を主要な要素として組み立てられている。

そこで前述の単位感想文を(1)教師の活動に関して述べたもの,(2)子どもの活動に関して述べた もの,(3)教材・教具に関して述べたもの,(4)その他の事項に関して述べたものに分類したとこ ろ,表2および表3に示すような結果を得た。その際,保育の展開過程を単に現象記述の形で 記載しているもの(事実を列挙したもの)は分類の対象から除く,(2例えば教師の活動と子ど もの活動というように複数の事項にわたって,あるいは関連づけて記述したものが多いが,

その単位感想文で取り上げられている中心的を事項は何かという観点から判断して上記4つの グループのいずれかのものに分類するという処理をした。

まず第1回視聴後の感想文についてみると,表2にみられるように,教師の活動について述 べたものが最も多く,全体の57.9%を占めており,次いで子どもの活動に関するものが29.4%,

教材・教具に関するものが5.1%となっている。

これを保育の展開過程の段階について分けてみると,教師の活動に関しては導入段階および まとめの段階における活動が比較的多く取り上げられており,子どもの活動に関しては展開段 階における活動が比較的多く取り上げられている。この傾向は,導入段階とまとめの段階では

(6)

表2 まるごと視聴後の感想文で取り上げられ      表3 分断視聴後の感想文で取り上げられてい

ていることがら

\ \ 、 \ 教

材 教

そ   の   他

、\\[動 動 且

1 . つ な が り 1 1 2 ピ   教 撮 教 育 実 習 へ の 心 2 . 活 動 意 欲 14 14 !0 ア   生

ノ   同 影 方 法 に 関 す

】3 . 作 業 日的 8 3 0 の 技 術 に

志 が 協 i 4 ・ 作 業 手順 力

一 1  ̄−  ̄ .  ̄

展 ,5 . 作     業 2 0 2 1 1 関 す る 問 題

し て 保 育 を 行 う と

る 問 題

準 え 不 安 開 6 . 片 づ   け 1 0 8 1

ま と め

7 . 鑑     賞 2 6 !2 0

1      人′       7 2 7 9 】2

計 1 14 5 8 1 0 5 4 4 2 1 97 割       合 ( % ) 57. 9 29. 4 5. 1 7 . 6 1〔 沿 . 0

ることがら 教 子 1 教

[ そ の 他

l J 師 ど [

も の 慄 L

材 の 活 動

教 具

1 . つ な が り 2 0 0 ピ ア ノ

協 】撮 】教 生   影 [育 描

実 習 前 の 指 導 に 対 す

i 計 l 2 . 活 動 意 欲 7 0 1

3 . 作 業 日的 6 1 0

1 の 技 術 に 関 す 4 . 作 業 手順 5 1 展 5 . 作     業 15 】1 0 開 6 . 片 づ   け 4 0 0 る

問 保

題 1 ,妄 !董 ま

と め

7 . 鑑     賞 18 0 】0 題 を 行 う と 1 1      〜       7 】7 0

l

5 0

計 r i12 7 7 3 1 0 5 !7 1 1.0

4 1三 通 100. 0 割       合 ( % ) 82. 5 五 5 2. 0

注.「1〜7」の段階については,保育の全過程についてふ れたものと全過程ではないが複数の段階にわたってふ れたものとが含まれている。表3についても同じ。

教師が子どもの発言を引き出すという意味での教師中心の形態での保育が進められているのに 対して展開の段階では子どものグループ別の製作活動が中心になっていることに対応するもの である。同様に,教材・教具に関する意見は,作業を進める手順が説明され,教材・教具が配 布される段階で多くなっている。

次に第2回視聴後の感想文についてみると,表3にみられるように,教師の活動について述 べたものが全体の82.5%を占めており,子どもの活動に関するものおよび教材・教具に関する ものはそれぞれ4.5%と2.0%に留まっている。さらに教師の活動に関しては保育の全過程を 通しての活動または複数の段階にわたっての活動について述べたものが多く,全体の55.1%

(127の内70)を占めている。

最後に両者を比較すると,(1)前者では子どもの活動に関するものが29.4%を占めていたが後 者では僅か4.5%に減少していること,とりわけ展開過程5の作業の段階の活動についても後 者では専ら教師の活動に関して述べられていること,(2)それとは対照的に教師の活動に関する ものが57.9%に増加をみていること,(3)前者では個別的,部分的な活動を取り上げたものが多 いが後者では全体を通しての活動を取り上げたものが多いこと,(4)後者では教育実習に対する 心構えや不安および実習前の指導に対する要望についてふれたものが多くなっていることとい

う4点を注目すべき傾向として指摘することができる。

こうしたことから2回にわたるテレビ視聴を通して,(1)学生の保育を見る観点が子どもの活 動から教師の活動へと変わってきたこと,(21部分的な見方から全体的,総括的な見方へと変わ

ってきたことという2つのことが明らかにされたとみることができる。

(7)

山口 満・福西憲太郎

表4 教師の活動に対する感想の内容(一部のみ掲載)

  \   \    \ A  第 1 回 視聴 後 B  第 2 匝l視聴 後

1 . 1 . 自由 遊 びの 時 間 と の つ な が り を うま く 考 え て ①  ふ み お, み ち お , み の りの 3 君 が遊 び時 間 つ な が り い た        1 に あ じ さ い を作 っ て い た の を見 て お い て, そ れ を問 い か け に生 か した       2

2 .

2 . 歌 を うた わせ る だ け で な く蛙 に な って とぶ 2  ピア ノ を ひ きな が ら子 ど もの 方 を見 て い な 動作 をつ け た        4 い       2 活 動 意 欲 3 . ピ ア ノ は 子 ど も を見 な が らひ い た 方 が よ い ( 彰  子 ど もに 問 い か け を が ら反 応 を う ま く生 か

4 して い る        1

3 .

4 . あ じ さい の 花 を見 せ て観 察 させ て い る   6 4  あ じ さい の 実 物 を 見 せ特 徴 を と ら え さ そ う と して い る        3

作 業 日的 ⑤ 「先 生 わ る い こ とす るぞ」 と い う言葉 に 生 物

に対 す るい た わ りの 気 持 ち が 出 て い る    1

4 . 作 業 手 順

5 . グ ル ー プ 作 業 に した の が よ い       3 6  子 ど も の 良 い 意 見 を うま く と ら えて い る  2

6 . 発 言 を うま く引 き出 し, と ら えて い る   3

⑦ 「ジ ク とバ ッハ」 を 「ジ グバ ラ くん」 (幼 児 の 氏 名 ) と言 って ユ ー モ ア の あ る苦 心 を して い る       1

展 5 . 作  業

7 . あ きて しま っ て い る子 ど も が い る の を放 っ 8  あ き て しま っ た 子 ど も を放 っ て お い て よ い て お い て よ い の だ ろ うか       5 の だ ろ うか        4 8  は め た りは げ ま した り, こ と ば か け を う ま ⑨  子 ど も の 思 いつ きを うま くとり入 れ て い る  3 開 く して い る       3 ⑩  花 → 葉 → くき→ 虫 とうま く発 展 させて い る  2 6 . 片 づ け 9 . ほ う きの 使 い方 を 指 示 す る必 要 が あ る   2 11 片 づ け の 点検 を き ち ん と や らせ た     2 ま

と め

7 . 鑑  賞

10 . 絵 の 見 せ 方 が わ るか っ た , 見 え に くい子 ど ⑫ 「自分 た ち は見 な くて よ い,作 った の だ か ら」

もが 多 か っ た       7 11 . ち ょ う ち ょ, 虫へ と話 し を うま く発 展 させ

て い る        5

と い う言 葉 は厳 しす ぎ る          1

】 】

1  〜  7

12. 子 ど もは 口 々 に勝 手 を こ と を い うの で ま と ⑬  一 見 子 ど も 中 心 に保 育 が進 ん で い るよ うだ め て い くの が難 しい       2

1 3. 「デ ンデ ン虫」 と 「カ タ ツ ム リ」 と い う 2 つ

が , そ れ は そ うな る よ う に教 師 が前 も っ て 考 えて い た か ら だ        2

⑭  事 前 の 準 備 , 子 ど もの 柔 軟 な と らえ方 , し の 言 葉 を使 って い る が一 つ に し な くて も よ い っ か りと した 構 想 が大 切 で あ る こ とが 分 った

体 の か        2 1

を 通 し て の

14 . 名 前 をお ぼ えて 「 ○ ○ ちゃ ん 」 と話 しか け

⑮  や か ま し くい っ て い る と思 っ て い た幼 児 の 言 葉 も その ひ とつ ひ とつ に注 意 しか すれ ば な るこ とが 大 切 で あ る       1

15 . お とな し く後 で ひ っ こ ん で い る よ うな子 ど

ら ない こ と が分 っ た       1

⑯  保 育 を行 うた め の ふ L に な っ て い る 言葉 が あ り, そ れ を よ く計 算 に入 れ て い る    1 も を ど うす れ ば よ いの か       2 ⑰  子 ど もの 内的 経 験 を引 き出 し, 関 心 を 広 げ ,

さい ご に満 足 を与 え よ う と して い る     1 感 16 . 1 つ の作 業 を何 分 間 で や らせ れ ば よ いの か ⑲  子 ど も が失 敗 した時 もそ の 子 を傷 つ け な い

想 難 しい と 思 った       1

17 . 教 師 は 大 き な声 で 話 す 必 要 が あ る と思 っ た

よ うに , 言 葉 を か け て や る。       1

⑲  柔 軟 な子 ど もへ の 対 応 と子 ど も の 活動 に流 され ない 言 葉 の 大 切 さが 分 っ た       1 2 ⑳ 「え えぞ」 とい う言 葉 が 多 い が 場 面 に よっ て

言葉 の 使 い方 を変 え る       1

注1 文章の後の数字は実数を示す

2 挙げられている頻度が比較的高いものを選んで掲載した

3 B欄で○印のついているものは頻度にかかわりなく,第1回視聴後の感想文ではほとんど取り上げられていなかっ た事項であることを示す

18

(8)

2.教師の活動について

教師の活動に対する学生の感想の内容について,比較的高い頻度で取り上げられているもの および第1回視聴後の感想文ではほとんど取り上げられていなかったが第2回視聴後の感想文 で取り上げられているものを例示すると表4のようになる。

表4のA欄とB欄とを比較すると,(1)第1回視聴後に学生が指摘していることと第2回視聴 後のそれとの間には共通するものが多いこと,(2)しかし,第2回視聴を経験した学生の当該保 育に対する見方には第1回視聴後のそれとは異った,1歩進んだ見方が含まれていることを知

ることができる。

第(2)の点をいっそう具体的に言うと次の通りである。(1)テレビの画面には映っていない,設 定保育に入る以前の教師の子どもの活動に対する観察が導入の段階に生かされていることに気 付いている(B欄の(彰)。(2ト鬼子どもの活動の勢いに押し流され,その場の成り行き次第で展

開されているように見える保育は,実は教師の構想に基づいた計算された活動によって方向づ けられていることに気付いている(B欄の⑲,⑭,⑲,⑲)。(3)教師の活動を子どもの心理過程 との関連において見ている(B欄の⑫)。(4)教師の発言の1つ1つが保育の展開にとって重要な 役割を担っている(B欄の⑤,⑫,⑲,⑲)。(5ト見さわがしいだけのことのように見える子ど ものつぶやきや発言は実際には保育の内容と深くかかわっており,教師はそれに注意しかナれ ばならかゝ(B欄の⑮)。この内(5)の点は子どもの発言を詳細に紙上で再現することによっては じめて学生に気付かせることができたものであり,分析的な視聴のさせ方の効果が最も具体的 に現われたものと考えている。

次に,教師の活動に対する学生の評価の仕方ないしは受け止め方の傾向を知るために前述の 単位感想文を(1)承認・感嘆が与えられているもの,(2批判・疑問が投げかけられているもの,

(3)教示を与えられたと受け止められているもの,(4)知的好奇心を刺激されたと受け止められて いるもの,(5)学生が自らの代替案を提起しているものという5つのグループに分類したところ 表5のような結果を得た。

表5 教師の活動に対する評価

1 回 P 十 l        例

1 . 承 認 ・ 感 嘆 59 7 8 実 物 を 見 せ て , こ ま か い観 察 を させ て か ら, 製作 に も っ て い く とい うや り方 が良 か っ た 。

2 . 批 判 ・ 疑 問 27 1 0 ピ ア ノ を ひ い て い る時 ピア ノ を ひ き な が ら子 ど も の 方 を見 て い な い 。

3 . よ  く 分  っ  た 18 2 2 幼 児 に対 して は 静 か に な るの を待 つ よ りも注 意 を ひ く こ と を しな け れ ば な ら な い こ と が わ か っ た 。

4 . も っ と知 りた い 10 8 作 業 を や る 子 とや ら な い子 ど も が い る が , そ れ を ど う指 導 した らよ い の か 分 ら な い。

5 . 代 替 案 の 提 起 ・ ! 0 1

9 作 品 を鑑 賞 させ る時 台 の 上 に上 る と か, 高 い所 に は る と か した方 が よ か っ た 。

計 l

11 4 12 7 l

表5に見られるように,第1回視聴後の教師の活動に対する学生の評価ないしは受け止め方 と第2回目のそれとの間には,(1)批判・疑問が減少し(23.7%から7.8%へ),(2)承認・感嘆が

(9)

山口 満・福西憲太郎

増加し(51.8%から61.4%へ),(3)代替案の提起が増加する(0%から7.1%へ)という傾向を 認めることができる。2回にわたるテレビ視聴は,学生の当該保育に対する見方もしくは態度

を批判的な見方から肯定的な見方へ,傍観者的な態度から主体的な態度へと変えることになっ たとみることができるわけである。

3.子どもの活動について

表6は,子どもの活動に対する学生の感想の1部を紹介したものである。前にも指摘したよ うに窮2回視聴後の感想文では子どもの活動に焦点を当てて書かれたものが少いために第1回 視聴後の感想文との比較をすることは困難であるが,それぞれに特徴的な傾向としておよそ次 のような2つのことを挙げることができる。(1)第1回視難後の感想文には,表6にみられるよ うに,子どもの行動傾向,とりわけその活動性について述べたものが多い。活動的な子どもの 姿に庄倒されたという実感を伝える文章が多い。(2)第2回視聴後の感想文では,例えば,「思い のままにしゃべりつづけている幼児の興味をひきつけて保育を進めて行くことは難しいと思う」,

「子どもの興味は長つづきしない。あきている子どもをどう指導すればよいのかJというよう に教師の指導のあり方を問題にする中で子どもの活動や行動傾向について触れた意見が多い。

このことは,学生が2回のテレビ視聴を通して,保育をする者の側に立って,あるいは教師が 子どもにどう働きかければよいのかという観点から子どもを見るようになってきたことを示す

ものと言えよう。

表6 子どもの活動に対する感想の内容(A欄は一部のみ,B欄は全部を掲載)

A   第 1 回 視 聴 後    I    B  第 2 回 視 聴 後

1 ・ ピ ア ノ が な り出 す と , さ わ い で い た 子 ど も が 不 思 議 に 】 1 ・ 「だ め だ ぞ , (あ じ さ い の 花 を ) ち 切 っ た ら だ め だ ぞ 」 静 ま り , 集 中 す る 。        と い う場 面 を 見 て 植 物 を 愛 護 す る 幼 児 の 心 を 知 っ た 。 2 . 歌 う こ と よ り も 蛙 に な っ て は ね る こ と に 注 意 が い っ て  2 . グ ル ー プ 作 業 で は 子 ど も た ち が よ く 協 力 し合 っ て い た 。

い る 。        3 . 子 ど も が な か な か 言 う こ と を き い て く れ な い こ と を 知 3 . め い め い が 勝 手 に 花 び ら を は っ て い る よ う に 見 え る の   っ た 。

に ち ゃ ん と ま と ま っ た 花 が 仕 上 る 。       4 . 子 ど も は い つ も お し ゃ べ り を し て い る 。

4 . い つ も 何 か を し ゃ べ っ て い る 。          ! 5 . 花 → 棄 → 茎 → こ ん 虫 へ と 子 ど も の イ メ ー ジ が 発 展 す る 5 . い つ も 手 と 体 を 動 か し て い る 。        の に は 驚 い た 。

6 . ほ う き を 正 し く 使 え な い 子 ど も が い る 。        6 . 子 ど も が 元 気 よ い の に 驚 い た 。

7 . 子 ど も の 観 察 力 は 鋭 い , ち ょ っ と し た こ と を 兄 の が さ  7 . 子 ど も ひ と り ひ と り に 個 性 が あ る こ と が 分 っ た 。 な い 。

8 ・ 幼 児 の 活 動 は 一 つ の こ と が 長 つ づ き し な い 。  1 9 ・ 先 生 の 言 葉 に 対 す る 子 ど も の 反 応 は 実 に す 早 い 。 [

4.教材・教具について

表7は教材・教具に対する学生の感想の全てを紹介したものである。もっとも教材・教具に 関しては教師の活動との関連で取り上げられているケースが多く,それを全て教師の活動の カテゴリーで分類したために,表7に掲載するものの数は少なくなった。しかし,当該保育で は使用されている教材・教具の種類が少なく,しかもその使用方法について比較的論議の余地

(10)

のないようなものが使われていたことが教材・教具のあり方そのものについて言及した感想文 が少なかったことの原因になっていると思われる。教材・教具のあり方が保育の内実を決める 重要な要因であることは第1回視聴後の感想および第2回視聴後の感想のいずれかにおいても 認識されているとみられるが,映像がカラーでなかったことを含めて教材・教具に関する問題 はテレビ視聴では細い点が比較的分りにくいのではないかと思われた。

表7 教材・教具に対する感想の内容(全部を掲載)

A    第 1 回  視 聴 後 B    第  2   回  視 聴 後

1 . あ じ さ い の 花 づ く り は ち ょ う ど 季 節 に 合 っ て い る 。 1 . あ じ さ い の 花 に 関 連 し た 歌 を 考 え る 必 要 が あ る 。 2 . バ ッ ク の 紙 (画 用 紙 ) の 色 (黒 ) が よ い 。 2 . 黒 の 画 用 紙 に うす く○ が 書 い て あ っ た 。 あ る 程 度 (花 3 . 大 き な 紙 が 子 ど も の 注 意 を ひ く 。 び ら を は る 場 所 を 決 め て お い て や る こ と は ) 必 要 だ 。 4 . 新 聞 紙 や ぞ う き ん も 大 切 だ と 思 っ た 。

5 . 教 材 は 幼 児 で も 簡 単 に 使 え , 安 全 に 使 え る も の が よ い 。 6 . 画 用 紙 と の り は 十 分 に 用 意 し て お く 必 要 が あ る 。

3 . 教 材 の 準 備 に 時 間 を か け て い る と 思 っ た 。

Ⅳ.結

≡Jゝ己岡

以上にみてきたように,まず最初にまるごと視聴をさせしかる後に分断的,分析的視聴を行 わせるという形態は,保育とは何かということについて具体的なイメージを与え,教育実習に おける保育の観察に当って何を,どういう観点から見ればよいかということを理解させる上に,

少なくとも1回のまるごと視聴に終わってしまった前年度の方法よりは,大きな効果をもたら すことができる。私たちは,このテレビ視聴形態を今後1つの基本的なスタイルとして前実習 段階における指導に活用したいと考えている。

しかし,そのような前提に立つとしても今後なお検討されるべき問題が多い。例えば今回の 感想文においても,(1)保育場面の全体が分りにくい,(2)音声が聞き取りにくい,(3)カラーでな

いから作品の様子が分りにくい等の意見が出されていた。今後カメラ・ワーク等の技術の向上 を図ることが不可欠である。

また,ベテラン教師による保育を録画・録音したビデオ教材を視聴したいという希望が数人 の学生によって出されていたが,どのような保育をビデオ教材として取り上げるかという問題

は,テレビ視聴のねらいをどこに置くかということとかかわって慎重に検討されるべき問題で あろう。

さらに,学生に保育に対する分析的な見方や分析技術を習得させるためには学生自身にテレビ 視聴による保育分析を行わせてみることも必要であろう。いずれにせよ今後私たちは,映像的 な教材を使って保育とは何かということの理解の深化を図るには様々な限界や問題点があるこ とを十分自覚した上でその特性を活かした指導方法を実践的に開発して行きたいと考えている。

注 1)「幼稚園教育実習の導入段階におけるCCTVの利用方法について(1リ,(「奈良教育大学教育工学セン ター研究報告,第1号」1978所収論文)

付記 この研究のために本学幼稚国教貞養成課程3回生中沢新治君の保育を撮影し,教材として使用した。ま た同君には第1回視聴に先立ってこの保育の概要について説明してもらった。同君に厚くお礼を申し上げます。

参照

関連したドキュメント

しかし、近年は遊び環境の変化や少子化、幼 児の特性の変化に伴い、体力低下、主体的な遊

活用のエキスパート教員による学力向上を意 図した授業設計・学習環境設計,日本教育工

大学設置基準の大綱化以来,大学における教育 研究水準の維持向上のため,各大学の自己点検評

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

大学は職能人の育成と知の創成を責務とし ている。即ち,教育と研究が大学の両輪であ

バックスイングの小さい ことはミートの不安がある からで初心者の時には小さ い。その構えもスマッシュ

それは,教育工学センターはこれで打切りで ございますけれども,名前を代えて,「○○開

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの