動的荷重を受ける梁の弾塑性応答解析
修 行 稔*
The Elasto−Plastic Response Analysis of A Beam under Dynamic Loadings by
Minoru SHUGYO
(Structural Engineering)
SYNOPSIS
The elastorplastic analysis of beams under dynamib loadings has been done by many investig・
ators. However, since actual characteristics of the bending moment〜curvature relation have not yet been clarified for arbitrarily varied cyclic loads, idealized hysteresis models such as the elastic
〜perfectly plastic or the bilinear ones have been used for practical analysis. Therefore, the obtained results may not necessarily give the accurate actual behaviors of beams.
Previously, it was shown that the prediction of stress〜strain relationship of annealed low℃arbon steel under arbitrarily varied uniaxial cyclic loadings is possible by means of producing the computer program based on the experimental results by the author and other.
In this paper毛he dynamic elastoglastic analysis of simply supPorted beam is presented by using above・mentioned actual stress〜strain relationship to determine the moment〜curvature relations. The differential equations of motion are solved by means of a single step forward integration procedure.
Results obtained from twσdiffereht conditions of loading are shown and compared with the responses of corresponding beam with bilinear characteristics.
1.序
弾性限度を越えて,任意に変動する外力を受ける鋼 構造物の動的応答解析に関しては,既に多数の研究が なされている.しかしそれらの多くは,解析の基礎と なる素材の応力〜歪特性あるいは部材の曲げモーメン ト〜曲率関係の表示式として,計算を簡単化するため 完全弾塑性型やbilinear型を用いており,従って解 析結果は必ずしも精度が高いとは言い難い.
一方,軟鋼が降伏点を越えて,規則的な繰返し引張 および圧縮負荷を受ける場合についての弾塑性応力〜
歪特性を定式化しようとする実験的研究が,近年多数 の研究者によって行なわれており1)一3),一定歪(応力)
振幅下における多数回繰返し実験において定常化した 状態の応力〜歪関係は,Ramberg−Osgood型などの べキ関数を用いることにより精度良く表現できること が報告されている.しかし一般に構造物に加えられる
外力は不規則に変動するのが普通であり,これを解析 するに当っては,素材が不規則な変動繰返し負荷を受 ける場合の応力〜歪特性が予め知られていなければな らないが,これを定量的に表現することは,弾塑性現 象の複雑さのため従来一般に困難とされていた.
この点に関し,著者ほか一名は先に,焼鈍した同一 の鋼材から採取した多数の引張圧縮試験片について種 々の規則的ならびに不規則的に変動する繰返し荷重を 加え,その実験結果を基礎にしてコンピュータ・プロ グラムを作製することにより,軟鋼が任意の引張圧縮 繰返し負荷を受ける場合の応力〜歪関係の数値的なシ ミュレーションが可能であることを示した4).本論は この方法によって算出された応力〜歪特性をもとに曲 げモーメント〜曲壼関係を計算し,これを用いて単純 支持梁の弾塑性振動応答を解析して,既往のbilinear 型モデルに基づいた解析結果と比較したものである.
*構造工学科
2.任意に変動する繰返し曲げ荷重を受ける梁の曲げ モーメント〜曲率関係
2.1鋼素材の繰返し応力〜歪特性
著者ほか一名は先に,Table 1に示すような化学成 分および機械的性質を持つ造船用軟鋼(キルド鋼)の 丸棒試験片を用いて,定歪振幅を含む任意変動負荷に
よる引張圧縮実験を行ない,その結果を基礎にして軟 鋼が任意の引張圧縮繰返し負荷を受ける場合の応力〜
歪関係を数値的に電子計算機によりシミュレートする ことを試みたが,ここにその概要を示す.試験片形状,
実験方法および実験結果などの詳細については文献(4)
を参照されたい.
Table l Chemical composition and mechanical properties
C Si Mn P S
0.12 0.27 0.68 0,016 0,030
Chemical composition (%)
E
汲〟^mm2 σY 汲〟^mm2
εY εst σB
汲〟^mm2
2.17×104 27.0 0.1244 1.98 43.9 1>lecllaniCal properties
2.1.1 実験結果に見られる諸特性
実験結果はすべて真歪と真応力に換算して解析した.
実験はまず基準として採用した標準的な1サイクルの 実験(以下基準サイクルと呼ぶ)を多数行なってその 特性を把握し,次に基準サイクルの条件に合致しない.
除荷条件で除晒した場合および繰返し回数の影響など を考慮するために,除荷点の歪を任意に変動させる実 験,定歪幅による多数回繰返し実験等を行なって基準 サイクルとの相違を数値化した.なお基準サイクルと してはFig.1に示すような「最初の除荷点Aと次の 除荷点Bの真応力の絶対値が等しい」引張一圧縮一引 張負荷の場合をとった.
Fig.1には基準サイクルの例およびそれと最初の 除荷点の歪を等しくする,基準サイクルでない任意の 実験の結果を併記している.今,σ1,σ2,εp,△εB,
△εBノ,d1, d1ノをFig.1の如く定義すれば,実験 の結果それらの間に次のような関係が認められた.
囲ら:1卸認i錐2211::1:lll;:(・)
σ (kg/mm2)
40 一一夢
u一
30 A
20
σ!
10
0 εP ε
.04 一〇.02 0.02 0.04
一10
一σ1
σ2 一20
一30 B
C −40
レムら
ノ
△εB
Fig.1 Definitions of quantities
d1/σ1 = 12.03εp1 08 exp(一39.2εp) (2)
一1:1:灘鰻}蕪
また,充分に大きな歪振幅ε・で定歪繰返し実験を行 なった場合,繰返しに伴なって応力の上昇が起こる.
今,除荷回数をNとして応力上昇量をdN(但しd1 の生ずる時をN=1とし,dNはN回目の除荷点の応 力とσ1またはσ2との差とする)で表わせば,次の 関係が認められた.
dN/d1=0.45210gN十1.02 (N=1,3,5,…)
(4)
dN/d2=0.64810gN十1.01 (N=2,4,6,…)
また,繰返し歪振幅ε。の変化に対してd1/σ1と d2/σ2との比はほぼ一定で
(d2/σ2)/(d1/σ1)・=0.28 (5)
となる.
更に繰返し応カー歪曲線の一般的特性として次のこ とが明らかとなった.
(i)除荷過程はほぼ直線であり,その傾きはヤング 率Eに近い値である.また除荷後逆方向に負荷されな ければ,再負荷過程も傾きEの直線とみて差しつかえ
ない.
(ii)基準サイクルに含まれない過程(例えばFig.1 B−C,あるいはD以降)は,単純引張の場合の応力〜
歪曲線を平行移動あるいは180。回転後平行移動したも のとよく一致する.
(iii)定歪振幅繰返し負荷のもとで飽和安定した状 態(10数回繰返し後)から脱して別の負荷条件で繰返
しを始めると,再びこの新しい負荷条件のもとで飽和 安定するまでの初めの10数回は,最初の負荷条件によ
る繰返しにおいて見られたと同様な過渡的な状態を生
じる.
(iv) 定歪振幅繰返し実験において,1回目の繰返 しによる応力の変化(硬化もしくは軟化)が,その後 の繰返しによる応力の変化を決定する.その変化の1 回目の変化に対する割合は,除荷回数の常用対数に関 して直線的である.但し,軟化の場合の応力減少の定 量的特性は,応力減少量が少ないためにはらきり把め ないが,硬化の場合の特性に準じると考えて差しつか えないと思われる.
.1.2 応カー歪曲線の数式化
一般的な繰返し応カー歪関係を最初の2サイクルま で模型的に示せばFig.2のようになるが,これを次 の3つの部分に分けて数式化する.
σ
8 一 一 一 一
X @ i / 1 !
9 ,〃 1
窒ャ∵
1 2
O
為4
σ1
@ ε 7
6
一σ1
T
Fig.2Model of hysteretic stress〜strain curve (i)単純引張曲線に準ずる部分(Fig.20〜3,
5〜6, 8〜9)
(ii)耳門に際してヤング率Eなる傾きをもって直 線的に変動する部分(Fig.23〜4,6〜7)
(iii) 逆方向負荷に対して過渡的な挙動を示す部分
(Fig.2 4〜5,7〜8)
これらの各部分の表示式としてそれぞれ次のものを用
いる.
(i) 単純引張曲線
三三瓢ン撫竃}⑥
ここに εy:降伏歪 σy:降伏応力 E:ヤング率 ε・t:硬化開始点の歪lsign(ε)・=1(ε>o),
=一1(ε<0)
rii) 除湿過程
σ・ニ・σr十E(ε一一εr)
ここに ε・,σ・:除荷点の歪,応力
(iii)逆方向負荷に対する過程 σ±plε一rlq十S
(7)
(8)
ここにp,q, r, sは,現時点までの繰返し履歴の 影響を含めて,一つの過程ごとに決定される定数.
係i数p,q, r, sは,応力〜歪曲線における主要なる 2点(例えばFig.2の4,5;7,8)の応力,歪および 傾きによって決定される.例えば,3の歪をε3で表わ せば4の歪,応力は(ε3一σ】/E,0),傾きはEであり,
5の応力は一σ1であるから,いま5の歪をε5で表 わせば,この点の傾きは単純引張曲線の3の点での傾 きに等しいと見ることができるから(2.1.1(ii)),4
〜5過程のp,q, r, sは次の4式より決まる.
0==plε3一σ1/E−rlq十s E−pqlε3一σ、/E一,1q−1
一σ1=piε5−riq+S
(d・/d・),一、,一・n(1・・1−b)呵
一pqlε5−rlq『1 ただしε6は(1)式を用いて算出する.
(9−a)〜(9−d)式を変形すると
(9−a)
(9−b)
(9−c)
(9−d)
r={Eε3一σ・1−an(1ε31−b)τ乳一1ε5一σ1q}/
{E−an(1ε31−b)11−1} (9−e)
P=σ・1/(1ε3一σ・1/E−rlq−1ε5一一rlq) (9−f)
S=一plε5−rlq (9−9)
となり,qを適当に決めれば順次r, p, sと求まる.
これらを(9−C)式に代入し,与えられているσ1と の誤差がある程度以下になるまでp,q, r, sを反復 計算によって決定する.また,7〜8の過程について は,8の点の応力が(2),(3)式により求められるの で,8の傾きが8 の傾きに等しいとすることにより,
4〜5と同様にp,q, r, sを算出できる. この場 合,(9−c)式に相当する式は次式となる.
σ1(1十(d1/σ1)・(d1 /d1))==PIε8−rIq十s
(9−cノ)
ここで,繰返しの効果について次のように仮定す
る.
(i) 前負荷過程(例えば今の場合4〜6)の歪幅 より小さい範囲で現在の負荷過程(7以降)が除荷さ れた場合にのみ,繰返し負荷回数の影響を受ける.
(ii) (1)〜(5)式は2回目の繰返し以降にもそ のまま適用できる.
従って,もし次の除荷点が9であれば8〜9は8 〜 9ノを平行移動したものとなり,9以降の過程は3以降
と全く同様にして決定する.但しこの時の△εBは9 点の塑性歪を(1)式に代入して求める.また,次の除 荷点が9 であれば,9 以後の過程における△ε8は 7〜♀ 間の歪幅となり,応力〜歪曲線は繰返し回数の 影響を受けるため,この過程の曲線の係数p,,q, r,s
の決定に際しては(9−c)式の左辺の値として σ2(1十Dj・D2・0.28) (9−c ) を用いねばならない((5)式参照).ただし,D1は
(9〜c )式中の(d1/σ1)・(d11/d1)の値であり, D2は
(3)式に△εBノ/△εBの代わりに(7〜9 の歪幅)/
(4〜6の歪幅)を代入して得られる値である.更に,
もしその次の除荷が9 〜6間の歪値で起こる場合は,
続けて繰返しの影響を受けることになるから,(9〜c)
式左辺には
σ9ノ(1十D1・D2ノ・(dN−dN−2)/d1) (9〜cノ ) を用いることになる((4)式参照).ただし,(dN−dN・2)
/d1は(4)式によって,またD2 はD2と同様の 考え方によってそれぞれ得られる.
以下同様にして,任意の繰返し負荷条件のもとでの 応力〜歪関係が決定できる.
0
Principal axis
△Ai
一一u一
ηi i+1
以上の記述にもとづいて電算機プログラムを作製し た.このプログラムを用いて,単純引張曲線定歪振 幅繰返し,任意変動繰返しなどの多数の例について計 算し,それぞれ実験結果と比較して,いずれも計算値 と実験値が実用上許容される範囲内でよく一一致するこ とを確認した4).
2.2 曲げモーメント〜曲率関係
本論では一軸方向曲げのみを考慮し,次のように仮 定する.
(i)梁の横断面は変形後も平面を維持し,縦軸に 垂直である.
(ii)垂直応力 σ以外の応力成分は考慮しない.
(iii)各繊維の垂直応力σと垂直歪εとの関係 は,前項で述べた繰返し引張圧縮応カー歪特性にて表 わされる.
従って,梁が任意に変動する繰返し曲げ荷重を受け る場合の曲げモーメントは,次のようにして求められ
る.
(i) 断面を曲げの軸に平行にN個の微小要素に分 割する. (Fig.3)
(ii)断面に初期歪があれば,これを(εb)iで表わ
Fig.3 Cross section N
す.
ここで添字ゴは断面の最外縁および分割線を表わして
いる.
(iii) 断面に新たに歪分布を加える.最外縁の歪増 分をεfとすると仮定(i)より分割線 上の新らしい 歪は次のようになる.
(ε)i=(εb)i+(εf)一2(εf)・(i/N) (11)
(iv)仮定(iii)により,前節で述べた応カー歪関 係式を用いて(ε)iに対応する応力(σ)iを計算する.
(v)(σ)iが求まれば,次式によって曲げモーメン トMが得られる.
M=・Σ(σ)i・ηi・△A正 (12)
i=1
ここに(σ)i={(σ)i十(σ)i+1}/2
ηi:断面の主軸から分割線i,i+1 の中点までの距離
△Ai:分割i, i+1によって作られる 微小要素の面積
また,この時の曲率は次式で与えられる.
φ={(ε)o一(ε)N}/h (13)
ここにhは断面の高さである.
(vi)(ε)iを(εb)iに置換えて,(iii)〜(V)を繰返 せば曲げモーメント〜曲率曲線が得られる.
(vii)(iii)においてεfの符号を逆転すれば,除荷 および逆方向載荷の場合の曲げモーメント〜曲率関係
も同様にして得ることができる.
計算例として,矩形断面梁の一定曲率振幅繰返し曲 げ荷重のもとでのM〜φ曲線をFig.4に示す.3サ イクル以降は,ほぼ2サイクル目の曲線に一致する.
これに対応するbilinear型モデルを破線で示してい るが,両者の間にはかなりの相違が見られる.本論に よる結果は極めて滑らかな挙動を呈しており,更に繰
M
___ロー一→ Mg r一一
Li
Φ ψi
1st cycle
ノ
211d cvcie ソ
@
ノ___一一圃一一一一β一
____一一一一一一ρ一
Fig.4 Moment・curvature curves for rectunguler section
返しによって若干の変化が生じているが,これらの特 性は,他の研究5)における軟鋼梁の繰返し曲げ実験結 果の傾向をよく表わしている.
3.単純支持梁の弾塑性振動解析
単純支持梁を集中質量法6)によって解析する.この 方法は,梁をいくつかの質点に分割し,その質点上に おける曲げ剛性の変化を考慮しながら逐次積分してい くものであり,前章で述べた実際の曲げモーメント
〜曲率関係を適用するのに最も適していると考えられ
る.
さて,任意に変動する外力F(κ,のを受ける単純 梁(Fig.5(a))を(b)のように(n+1)個に分割 し,梁の質量および外力は,それぞれmi(i=1,2,
一,n), Fi(t)(i=1,2,…,n)として分割点上に集中 していると考える.この系に関する運動方程式は次の
(a)
(b)
F(笛のr
㎜→
〃
F1(t)
Fi(t)
Fn(t)
→κ
ml mi mn ㎜
卜一巾+1)λ一4一→
〃
Fig.5 Simply supported beam
(a)Actual beam (b)Mathematical modeI
ようになる.
my=F(t)一R−cy (14)
ここに m:質量行列
R:梁の変形抵抗の列行列 C:粘性減衰係数行列
y,シ,y:変位,速度,加速度の列行列 (14)式を解くためには,Rが梁の任意の変形に対し て求められている必要がある.RはM〜φ関係を基礎 にして,変位の適合条件および平衡条件から求めるこ とができる.
(i)M〜φ関係
質点上におけるM〜φ関係として,Fig.4に実線 で示したような材料の実際の応力〜歪関係から求めた 特性を用いる. 質点上の曲げモーメントと曲率の現 在値がそれぞれLi,ψiであって,かつ変形が連続的 である場合,曲率の微小変化△φiの範囲ではこれに 対するモーメントの変化は線型的であると仮定できる から,その変化量を△Miで表わせば次式が成り立
つ.
M=L十K(の一ψ)
ここに Kij=△Miノムφi・δij 1 (i=j)
δ・j一{
0 (i≒j)
(15)
(16)
変形が進んでMiの値がLi+△Miを越えた場合は,
Li+△Miを新たなLiとすることによって,順次(15),
(16)式が成り立つ.もし変形の途中で
φi=0 (17)
という条件が満足されれば,その点で変形の方向は逆 転し, 質点での断面が部分的に塑性域に入っていた 場合には,弾塑性曲げの状態から弾性的曲げ千僧変形 の状態に移ることになる.
なお,Fig.4に:おけるMyは対応するbiIinearモ デルの塑性曲げモーメントを表わす.
(ii) 変位の適合条件
Fig.5(b)のように,λなる長さに(n+1)等分さ れた単純梁において,質点間では局部的な曲げモーメ ントの変化が無いとすると,曲率の変化は軸方向に連 続的である.いま,曲率の変化が質点間で線型である と考えれば,次のような関係が満足されねばならない.
y一λ2Pの (18)
ここに P−H+÷I
H・」一i(n吉筆〒j)・
i−j (i>」)
Q・j一{
0 (iくj)
(19)
1:単位行列 (iiD 平衡条件
モーメントM,抗力Rの間には,平衡条件により次 の関係がある.
M=λSR (20)
ここに
1
S=H−Q=・P+TI (21)
以上の(i)(ii)(iii)により, Rとyの関係式が導 かれる.すなわち,(18),(20)式を(15)式に代入し整 理すれば次式を得る.
R=Ay十B (22)
ここに
A=ズ3S−1 KP−1 (23)
B=パ1S−1(レKψ) (24)
ここで,行列SとPの要素は,梁の境界条件によって 決まる定数であり,K, L,ψの要素は,梁の変形に つれてその値を変える変数である.
さて,(22)式を(14)式に代入すれば次式を得る.
my=F(t)一Ay−B−C y (25)
微小時間△tを通じて,変位〜速度および速度〜加速 度関係が線型であると仮定すれば
ラ・(・・)一座「{・・(・・)一・・(・・)}一シ・(・・)
テ・(・・)一悉{シ・(・・)一シ・(・・)}一テ・(・・)
ここに△t==t2−t1
(26)
(27)
とすることができ,(26),(27)式を(26)式に代入して 整理すれば
(D十A)y(t2)=(D−A)y(t1)
十(△t・]D−2C)y(t1)十G (28)
ここに
D一( 4△t)、m+煮C (29)
G==F(t1)一F(t2)一213 (30)
を得る.(28)式により,初期値y(to),y(to),y(to),
F(to)等が与えられれば順次y(tn)(n=1,2,…)が 得られる.
4.解析例
Fig 6(a)に示す矩形断面の単純支持梁を,7質点 系に置換し,繰返し曲げモーメント〜曲率関係として,
著者の求めたものおよびbilinear型の両者について,
二種類の荷重条件のもとで解析した.計算に用いた諸 量は次の通りである.
素材の降伏応力 σy=2700kg/cm2
素材の弾性係数E=2.17×106kg/cm2 歪硬化開始点の歪 ε、t=0.0198
断面分割数 N=30 梁の長さ 1瓢500cm
梁の曲げ剛度 EI=1.447×1010kg・cm2 梁の単位長さ当りの質量 mo=1.56 kg/cm i梁の弾性振動固有周期「 τo=5.28×10−2sec.
時間間隔 △t=τo/2000
この矩形断面について求めたM〜φ関係の例をFig.
6(b)に示す.破線はこれに対応するbilinear型モデ ルである.Myは塑性曲げモーメントであり,この例 では My=2.628 x 106kg・cm
となる.
M
ト、判
(a)
×106 M写 2
1
一2 0 −1 一2
L脚 一 _ 一
塾
2
(c)
2
8
,一@一
⊥→Φ
2 4 6 ×10−4
92(t)
(b)
Fig.6 Example problem data うt τ0
強制分布力は,静的負荷で梁中央部のモーメントが Myとなるような等分布荷重Py=8My/」2を用いて
F(κ,の・=・apア9(のf(κ)
で表わし,計算例ではa=2,f(κ)=1,g(のはFig.6
(c)に示す二種類とした.なお粘性減衰は無視した.
ところで梁の質点系への分割あるいは時間の分割等 の離散化によって,当然誤差の生じることが考えられ るため,あらかじめチェック計算を行なって,実用上 の精度保持に必要かつ充分と思われる,質点数n=7,
時間間隔△t=To/2000を採用した.
衝撃的な荷重91(のを与えた時の梁中央部の応答曲 線およびM〜φ関係の履歴曲線を,それぞれFig.7,
Fig。8に示す. Fig.8中の1,2…,および①,②,
…,はそれぞれbilinearおよび著者の用いたM〜φ関 係の履歴を示しており,かつFig.7中の同じ数値の点
魏(C・・…d・flec・i。,,・。、p。_、i。〉
×10一3
40
30
20
10
0
一10
1①
嶋A 1 、
一一一一一@elastic
一一一@bilinear author
(
ノ も
③
2
A
芝
②
l
permallent deformation
・・、1.・ ・5 2.。t%
〜
A:Elastic−Plastic trallsillOll
も
Fig.7 Response curves to impulse force g1(t)
×106
3
2
1
0
一1
一2
M
コ
③φ4
⑤1 1
1①
Φ
2.0 ×10』『3
×1063仁M ③
5 1①
author 4r一
1
一一一b奄撃奄獅・≠ 1 2
1
i 1
f 1
1 ∫
1
1
0 1 Φ
一2 一1 1 3 ×10
5 i−
P
1 1
1 1
1 争
一2 8
i 1
②
旦
V」
犀
C3_3一
._一_L_一一一」
@ 6 2
Fig.8
0・5 11・5
1,
④5並 ; コ ② 、 l
L/
3 2
atltllor
_一一@biblear
M一ψhysteresis curves at the center due to impulse force g1(t)
〃/4 (Center deflectiQn to sPan 「atio)
∴!
4叶
30 20 10
0
−10
A
1① biiinear
author
一20 一30
A:Elastic−plastic trallsit{on
・ 然
/③\
1 1
0,5 1.0 4ノ
㌔§ノ
②
1.5 t/τ0 62.0 2.5
も
父④1
>・
Fig.9 Response curves to periodic force g2(t)
Fig.10 M−g)hysteresis curves at the center due to periodic force g1(t)
に対応している.Fig.7に見られるように,梁の最初 の塑性曲げモーメントを越えても,曲げモーメントが 逆転するまでは本論とbilinearモデルにもとつくもの との間には,その応答にほとんど差異は認められな い.モーメントの逆転時付近から徐々に相違が出始め,
bilnearモデルに較べて本論は永久変形量と最終的な 振賢明に若干小さめの値を与えている.これらの理 由はFig.8において明らかである.すなわち,前者 については,逆方向変形に対する抵抗モーメントとし てbilinearモデルは高い値を与えること,後者につ いては,ヒステリシスループが作る面積で表わされる エネルギー吸収量が,bilinearモデルでは少なくな ることに起因していると考えられる.
次に周期的荷重92⑦に対する応答曲線およびM
〜φ履歴曲線をFig.9, Fig.10に示す.これらにお
「いては,91(のに対する応答において見られた傾向が 顕著になっており,特に,最初の変形とは逆向きの変 形量が大きくなると,著者の求めたM〜φ関係に基づ く結果は,bilinearモデルに比して最終振幅値をよ り小さく与えることがわかる.これは梁が一旦弾塑性 曲げ状態に入り,除荷されて逆方向曲げ荷重を受ける と,鋼素材のバウシンガー効果により梁の抵抗モー メントが著しく低下して逆方向変形が容易となり,
これに伴なってエネルギー吸収量が増大するため,
bilinearモデルとの差異もまた増加するためであろう と考えられる.
5.結 語
多数の丸棒試験片による引張圧縮試験結果に基づい て決定された,任意変動繰返し荷重下の応力〜歪特性 を用いて曲げモーメント〜曲率関係を計算し,この関
係に従う単純梁の弾塑性振動応答を解析した.その結 果を既往のbilinearモデルによるものと比較すると (i) 本論において求められた,実際の材料の繰返
し応力〜歪特性に基づく曲げモーメント〜曲率関係は,
既往のbilinearモデルとは大幅に異なる滑らかな挙 動を呈し,他の研究に見られる軟鋼梁の繰返し曲げ実 験結果の傾向をよく表わしている.
(ii) 本論のM〜φ関係に基づく単純梁の弾塑性振 動応答は,bilinerモデルによるものに較べ最終振幅 値をかなり小さく与える.
(iii) この傾向は最初の変形に対して逆方向の変形 量が大きくなる場合に顕著となる.
このように実際の応力〜歪特性に基づく M〜φ関 係およびbilinearモデルの両者による解析結果には かなりの相違があり,従って鋼構造物の弾塑性振動解 析においては,できるだけここで述べたようなM〜φ 関係を使用することが望ましい.解析の単純化のため,
bilinearモデル等の簡単なものを使用する場合は,
その特性の決定に際しては慎重な検討を行なう必要が あると思われる.
また,本論では触れていないが,ここで求めたM〜
φ関係を用いての任意変動荷重下の応答およびエネル ギー吸収特性の解析,あるいは一一定軸圧下の弾塑性振 動応答など興味深い問題が残されており,今後の研究 課題としたい.
おわりに,本研究を行なうに当り,終始,激励と御 指導を賜わった本学黒川常夫教授ならびに九州大学工
学部栖原二郎教授に感謝の意を表します.
文 献
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