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逆変換装置によって駆動された誘導電動機の自励現象

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Academic year: 2021

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(1)

と逆変換装置変圧器の直流励磁との関係について

山 田 英 二*

 On the relation between self−excitation of induction motor driven by inverter and DC excitation of inverter transformer.

by

Eiji YAMADA

(Electrical Engineering)

  Being driven by natural commutating inverter, induction motor frequently self・excites due to peculiar circuit formation of inverter. Then in this paper we proposed the checking method of self・excitation of iDduction motor by controlling the DC excitation of inverter tranSformer, and proved its availability.

  It is shown in chapter 3 that self・excitation of induction motor is expressed as functions of circuit constants of inverter and degree of DC excitation of inverter transformer. From these facts we set up the relation between the bounds of induction motor and DC excitation of inverter transformer, and proved that self−excitation of induction motor could be checked by controlling the DC excitation of inverter transformer. In chapter 4, we calculated this theoretical results using the constants of 6KW inverter, compered this calculated values with experimental ones, and verified the theoretical results. Control method discussed here has special merits that self−excitation of induction motor is checked perfectly without changing the circuit constants of inverter and also its control procedure is very easy.

 1.まえがき

 誘導電動機を運転している場合,誘導電動機の端子 より交流電源側を見たインピーダンスが容量性となる と誘導電動機に自励現象が発生することがある1).一 方逆変換装置は,転流に必要な進相電流を補償するた めに,出力に比較して大容量のコンデンサを具備して おり,自然転流型逆変換装置においては特にこの傾向 が強い.それゆえ誘導電動機を逆変換装置によって駆 動すると,誘導電動機の端子より逆変換装置側をみた インピーダンスは容量性となり,誘導電動機はしばし ば自励現象を呈する2).そこで誘導電動機駆動用逆変 換装置においては,負荷に応じてコンデンサを調整し たり,誘導電動機と並列に自励現象阻止用のインピー ダンスを挿入して誘導電動機の自励現象を防止してい るが,近頃は自励現象の発生しにくい強制転流型の逆

*電気工学科

変換装置も広く用いられている.しかしこの強制転流 型逆変換装置は,出力電圧が方形波となるために,誘 導電動機を駆動する場合には種々の問題を含んでいる.

 逆変換装置の直流巻線には断続波の直流電流が流入 するために,その直流分成分によって,変圧器は直流 励磁をうける.逆変換装置変圧器の直流励磁は一般に 好ましくないので,逆変換器をグレーツ結線等の全波 に接続して避けられているが,実際には点二二の不揃 いや直流電流のリップルによる重なり角の変動等によ って発生し,逆変換装置にかなり大きな影響を与えて いる3)・4). したがって逆にこの性質を利用して,逆 変換装置変圧器の直流励磁を制御し,逆変換装置の諸 特性を改善する事も可能である5).そこで本稿では,

この逆変換装置変圧器の直流励磁を自然転流型逆変換

装置に応用し,誘導電動機を駆動した場合に自励現象

の発生しない運転方法を考えてみたい.

(2)

 まず第2章において,逆変換装置変圧器の直流励磁 度を定義した.つぎに第3章では,誘導電動機の自励 現象を逆変換装置変圧器の直流励磁の関i数として表わ し,誘導電動機の自励現象は変圧器の直流励磁を調整 すれば制御出来る事を証明した.そして最後に第4章 で,6KWの自然近流型の逆変換装置によって750W の誘導電動機を駆動し,理論値と実験値を比較検討し

た.

2.逆変換装置変圧器の直流励磁度

 本稿では逆変換装置変圧器の直流励磁について考察 を進めるために,直流励磁の生じやする3相半波結線 の逆変換装置を用いて解析を行なうが,他の結線法を 用いた逆変換装置についても,本稿で考察した事柄は そのまま適用出来る.第1図に3相半波結線の逆変換

Ca2    Ra2      1ndUCtion       MO定or

Fig.10utline of the system analized in this     this paper.

向きを正とする.

3.逆変換装置変圧器の直流励磁と駆動誘導電動機   の自励現象の関係

 解析を容易にするために,逆変換装置によって駆動 される誘導電動機を,等価励磁サセプタンスbMと回 転子抵抗r2/Soの並列回路で表わし,さらに逆変換 装置変圧器の交流巻線のインピーダンスを省略すれば 第1図の単相等価回路は第2図となる.ただし  b :逆変換装置変圧器の等価励磁サセプタンス  bM:誘導電動機の等価励磁サセプタンス

 g =逆変換装置変圧器の等価励磁コンダクタンス  Ca2:逆変換装置出力回路のコンデンサ

 L1:逆変換装置変圧器直流巻線の漏れリアクタン    ス

 r2:誘導電動機の回転子抵抗  R1:逆変換装置変圧器直流巻線の抵抗  Ra2:逆変換装置出力回路の抵抗  So:誘導電動機のすべり

である.

R1

b L1

9・

Ca2 Ra2 bM

.聖.

So

装置の概要図を示す.逆変換装置変圧器には特に三次 巻線を施し,これに直流バイアス電流IBを流して変 圧器の直流励磁を制御出来る様にしている.このとき 変圧器の直流巻線に流入する断続波電流の直流分を等 アンペア回数則に従って三次巻線を流れる直流電流に 換算した値とIBとの差,すなわち

  1・B一(K㌔ID)一1・   (1)

を,逆変換装置変圧器の直流励磁度と定義しよう。た だしIDは変圧器の直流巻線に流入する直流電流の波 高値,Nは(NB/ND)であって逆変換装置変圧器の 直流巻線と三次巻線の巻数比を表わす.またKBは断 続波電流の直流分の割合を示す値であり,三次巻線を 流れる直流バイアス電流は変圧器の直流励磁を打消す

Fig.2 Equivalent circuit of Induction motor     driven by inverter.

よって第2図より,次の5式が得らたる づ・一b∫…d・

 ¢9=・9忽a2      d勿a2 つca2=Ca2       dt     1

つRa2=

      砂a2     Ra2   葡一bM∫…d・

  づ,・=.墨U。,

     r2 ここでは

宕a2:逆変換装置の出力電圧

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(3)

 拓 :逆変換装置変圧器の磁化電流  づbM:誘導電動機の磁化電流  づca2:出力回路のコンデンサ電流  宛 :逆変換装置変圧器の鉄損電流  2r2:誘導電動機の回転子電流

を表わすものとする.なお(2),(3)式において,

逆変換装置変圧器の励磁アドミタンスは,等価励磁ナ ドミタソスを使って5),逆変換装置変圧器の直流励磁 に対し線形化している.

 逆変換装置の直流側に平滑用リアクトルがあるため に,逆変換装置の交流側より直流側をみたインピーダ ンスを無限大と考えると,誘導電動機の自励現象によ って流れる電流の間には,次の関係が存在する.

 〆b+乞19+¢1ca2+づRa2+¢ bM+¢!r2=0 (8)

ただし電流の記号( )は,誘導電動機の自励現象に よって流れる電流を表わすものとする. よってこの

(8)式に(2)〜(7)式を代入して C・・d 」2+億+・+舞)・・a・

  +(b+b》)∫…d・一・   (9)

が得られた. (9)式のがa2は誘導電動機の自励に よって発生する電圧を示す. (9)式より特性方程式 を作ると

C・・λ・+(1    SoRa2+9+r2)λ+(b+bM)一・(1・)

となるから,(9)式で記述される電圧がa2が自励 発電を発生し,継続するためには,特性方程式の根λ が虚根を取らねばならない。しかるに誘導発電機の無 負荷特性曲線は飽和現象を有するから,特性方程式の 根λが正の複素根を持っても自励発電電圧は発散する ことはなく,回路条件と無負荷特性曲線とで決定され る電圧に落付く。したがって,逆変換装置によって駆 動された誘導電動機が自励発電を行なう条件は

・≧諏一+・+盛    (・・)

4C・・(b+bM)≧(一i}+・+諭)2 (・2)

となる.流変換装置変圧器の励磁サセプタンスおよび 励磁コンダクタンスは

    bolI/Bl  b=・    1十BII B1    90iI/BI

 9=1十Bττ!雪「

で表わされるから5),これらを(11),(12)式に代入 して

ll徳1≦(虚+毎LK (13)

    ・+B(虚+豊一)

  EII/BI2十FIFBI十G≦0        (14)

が得られる.

 ただし

  E=・B2(J2−4Ca2bM)十2B(2J−2Ca2bo)十902   F=2B(J2−4Ca2bM)十290J−4Ca2bo   G=・J2−4Ca2 bM

  J一(薯+読)2

とする.

 ここで

  H一『F+〜/F2−4EG         2E   I_一F二∠F2−4EG         2E

とおけば,逆変換装置によって駆動された誘導電動機 に自励現象が発生する条件は

 K≧H  ならば1≦II/Bl≦H H≧K≧1ならば1≦II B!≦K

となる.これは又(1)式を用いると

K≧Hならば

        :::奪llll}

H:≧K≧1 ならば

:::剃

とも書直せる.

4.理論値と実験値の比較検討

(15)

(16)

(17)

(18)

 (10)式を数値解析するにあたって誘導電動機のす べりSoが問題となるが,これは次の様にして求めら

れる.

 誘導電動機が出力周波数fa2の逆変換装置によっ て駆動され,すべりSa2で回転している時に自励発 電を行い,周波数foの電圧を発生すれば,それに相 当するすべりSoは

  P   π面NM自(1−S・2)f・2= 1−S・)f・  (19)

の関係を満足しなければならない.ただしNMは誘 導電動機の回転数(R.P.M), Pは誘導電動機の極 数である.

 一方(9)式で記述される微分方程式の解の周波数 foは

f・一 ヨb孟馳(1/Ra2農S・/「・)2(2①

(4)

であるから,これを(19)式に代入すれば,誘導電動 機のすべりSoに関する4次方程式が得られる.

4C誘sl+2C凝( 1Ra21十9)一÷}S8

+{4歳C掃煮+・)一(b十bMCa2)

+4よ舞(虚+・ア}S言+{2歳(盛

+・)+2(宅去妻塑一2ぎ。1(孟・+・)2}鞠

+{4よ霧(〆1  十9Ra2)2−b謬+4が(1

一S・・)f・舞}一・ (21)

それゆえ(21)式で求めたSoを(13),(14)式に代 入すれば,逆変換装置によって駆動された誘導電動機 の自励限界が求められる,

 ここで前述した6KWの逆変換装置を他制周波数70 Hzで運転し,750Wの誘導電動機を駆動したときの 理論値と実験値を比較してみよう.誘導電動機の定数 としてr2=1.43ρ, bM=4.16(1/H)を用い,逆変換 装置変圧器の等価励磁サセプタンスおよびコンダクタ

ンスは,第3図に示した値を用いよう.又コンデンサ の値は300μFに選定し,:負荷抵抗Ra2をパラメー タとして,逆変換装置変圧器の直流励磁度と誘導電動 機の自励現象の関係を求めると,第4図の実線が得ら

6

』 0.2

↑q1

70Hz

b

1.0

0.5

0 o

Self−exciting domain

Theoretical value 一一 Z一一一  Experimelltal value

0 40 80

       一  Ra2(Ω)

Fig.4 Relation between degree of DC excitation    of inverter transformer and self・excitation    of induction motor.

3 ぼ

1.0

P。5

[1 ,Ill 11

1

0

Self−exciting doma{n

Tlleoretical value

__.o_■_ Exper{mental value・

q 40 80

      一Ra 2⑨

Fig.5 Reratioll between DC bias current of inverter    transformer and self。excitation of induction     motor.

0 0.5

1.0

1.5

         一  1/B(A)

Fig.3 Bias characteristics of I!1verter transfomer.

れる.さらに(18)式を用いてこれを直流バイアス電

流の関数として表わすと,第5図の実線となる.この

時の実測結果は,同牛耳に丸印で示している.これら

より,逆変換装置によって駆動される誘導電動機にし

ばしば発生する自励現象が,逆変換装置変圧器の直流

励磁制御によって,他の回路条件を変更することなし

(5)

に阻止されることが証明される.なお第4図および第 5図において,負荷抵抗の小さい所で理論値と実験値 のずれが大きくなっているが,これは解析にあたり誘 導電動機の固定子巻線のインピーダンス(ZIM1=3.01

+j4.98ρ,70Hz)を無視したためと思われる.

5.むすび

 自然転流型逆変換装置によって誘導電動機を運転す ると,逆変換装置個有の回路構成のために,誘導電動 機は自励現象を発生することがある.そこで本稿は逆 変換装置変圧器の直流励磁を制御して,誘導電動機の 自励現象を阻止する方法を提案し,その有効性を証明

した.

 まず第3章において。誘導電動機の自励現象は逆変 換装置の回路定数と,変圧器の直流励磁度の関数とし て表わせる事を示した.これから誘導電動機の自励現 象の発生限界と変圧器の直流励磁の関係を求め,変圧

器の直流励磁の制御によって誘導電動機の自励現象が 阻止されることを証明した.そして第4章でこの結果 を6KWの逆変換装置の定数を用いて計算し,上記装 置による実測値と比較して,理諭の裏付けを行なった.

本稿で考察した逆変換装置変圧器の直流励磁を制御す る方法は,逆変換装置の他の回路定数を変更する事な しに,誘導電動機の自励現象が完全に阻止され,しか もその制御が非常に容易であるのが特徴である.

 最後に,本稿の数値計算は長崎大学電子計算機室の 計算機によることを付記する.

文 献

1)電気学会編 =電気機器各論1 電気学会(昭42)

2)辻,山田=昭35電気四学会九州支部連大223 3)山田(郁),岡本:三菱電機技報391320(昭40)

4)岡,日向他:昭46電気学会全国大会622

5)山田:電学誌88307(昭43)

参照

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