乳癌における dual time point 法を用いた
18
F-FDG PET/CT 検査の有効性の研究
山岸
やまぎし
陽二
よ う じ(病理学専攻)
防衛医科大学校
令和2年度
目 次
第1章 序文 1頁
第2章 目的
5頁
第3章 対象と方法
6頁
第4章
第1節 原発性乳癌における
dual point time法による
SUVmaxの臨床病理学
的意義についての分析
15頁
第2節 原発性乳癌における原発巣
SUVmaxによるセンチネルリンパ節及び
非センチネルリンパ節への転移予測についての分析
22頁
第5章 考察
29頁
第6章 結論
39頁
謝辞
40頁
略語一覧
41頁
引用文献
43頁
図表
53頁
1
第1章 序文
本邦において乳癌は女性が罹患する癌で最も多く、また死因の第
5位である
1
。多くの乳癌は比較的早期に発見され、5 年生存率は
90%以上、10年生存率
は
80%以上である2。しかしながら、早期乳癌やリンパ節転移陰性であったと
しても初期治療後に再発や遠隔転移を引き起こすことがある。再発するリスク の高い症例を早期に同定し治療することは乳癌患者の予後を改善する可能性が ある。
従来の画像検査としてはマンモグラフィー検査、超音波検査、computed
tomography(CT)検査、magnetic resonance imaging(MRI)検査、骨シンチ
グラフィー検査などがある。
18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography/computed tomography
fusion imaging(18F-FDG PET/CT)検査は、病期診断や治療効果判定や転移
再発診断に有用であるとともに、原発巣の生物学的悪性度の診断にも有用であ
ると報告されている
3, 4。通常、悪性腫瘍は糖代謝が亢進しており
5、
18F-fluorodeoxyglucose(18F-FDG)の取り込みが増加している6
。したがって、
18F-FDG PET/CT
検査での
18F-FDG蓄積のレベルが高いほど、腫瘍細胞の増
殖活性が高いことが想定される。実際、
18F-FDGの集積の程度である
maximum standardized uptake value(SUVmax)は原発巣の代謝活性を反映
2
し、腫瘍径、核グレード(nuclear grade [NG]) 、Ki-67 labeling index(LI)な どと相関し、SUVmax によって患者予後の予測が可能であることも報告されて いる
7-12。
さらに最近では、肺癌、頭頚部癌、リンパ腫などにおいても、
18F-FDGPET/CT
検査所見とそれらの臨床病理学的所見との関係について、いくつかの
研究とメタ分析が報告され、これらの悪性腫瘍における
18F-FDGの取り込みは
病理学的悪性度、Ki-67 LI のみならず、血管内皮細胞増殖因子(vascular
endothelial growth factor)や低酸素誘導因子1α(hypoxia induced factor
1α)の発現と相関することが示された
7, 13-16。
SUVmax
は通常
18F-FDG注射後
1時間で測定する
single time point(STP)法が主体であるが、この方法では腫瘍内の糖代謝の取り込みの時間的変化率が 含まれていない。
悪性腫瘍では
18F-FDG注射後
90分以降の後期相に得られる
18F-FDGの集積
は増加するものの、炎症性病変などの良性疾患ではこの集積は低下すると報告
されている
17。したがって、
18F-FDG注射後に
2回測定する
dual time point(DTP)法による
18F-FDG測定が、原発性乳癌の生物学的特徴や予後を、
STP
法による測定より正確に推測する可能性がある。しかしながら、DTP 法
は一般的に施行されておらず、その有効性についての報告は少ない
18, 19。
3
センチネルリンパ節生検術(sentinel node biopsy [SNB])は臨床的所属リン パ節転移陰性(cN0)乳癌における標準術式であり
20、センチネルリンパ節
(sentinel node [SN])に腫瘍細胞の転移があった場合には腋窩郭清が考慮され る。術前の腋窩リンパ節転移の有無は視・触診や超音波検査などで診断され
る。SNB を施行した
cN0乳癌患者の約
30%において病理学的検索でSNに転
移がみつかり
21、さらにこれらの患者の中で腋窩郭清によって追加切除された
非センチネルリンパ節(Non-SN)に転移をみとめた症例は
40%程度であったと報告されている
22。cN0 患者で
SN転移がみられない例では追加の腋窩郭清
は省略されるが、近年では
ACOSOG Z001123試験をふまえ、cN0 乳癌患者で
も乳房部分切除及び
SNBが行われ、SN 転移個数が1個ないし
2個であった場
合は、術後に残存乳房及び腋窩リンパ節領域への放射線療法及び適切な薬物療 法を受ければ、腋窩郭清を省略することが可能と報告されている。
また原発巣の臨床病理学的因子や
SNへの転移状況から
SNや
Non-SNへの
転移を予測するノモグラムが開発されてきた
24, 25。これらのノモグラムは日本
人女性への適応も妥当であるとの報告がある
26。
18F-FDG PET/CT検査によっ
て得られた原発巣の
SUVmaxは原発巣の臨床病理学的因子と相関することが予
想されることから、原発巣の
SUVmaxが
cN0乳癌患者の
SN転移予測や
SN転
移陽性であった場合の
Non-SN転移予測に有用であることが期待される。
4
本研究では
DTP法で得られた原発巣の
SUVmaxパラメータが乳癌患者の
SN
及び
Non-SN転移を含めた臨床病理学的因子と相関するか、さらに同パラ
メータが乳癌患者の予後予測に有効であるかどうかを検討することを目的とし
た。
5
第2章 目的
本研究は2つの目的をもって実施した。第1節では原発性乳癌の
DTP法で
得られる
SUVmaxパラメータが、原発性乳癌の生物学的特徴及び予後と相関す
るかを検討し、さらに
DTP法の
STP法に対する優越性について検討すること
を目的とした。第2節では原発性乳癌の原発巣に対して
DTP法で得られる
SUVmax
パラメータが、cN0 乳癌患者の
SN及び
Non-SNへの転移予測に有効
であるか否かを検討することを目的とした。
6
第3章 対象と方法
(1)倫理的事項
本研究はヒトを対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成
29年)に則
った上で、防衛医科大学校倫理委員会の承認(受付番号
2695)を得たのちに実施した。全ての患者から医学系研究への試料の使用に関し、書面によるインフ ォームドコンセントを得た上で、本研究内容の概要をホームページ上で公開 し、参加拒否の機会を保障した。
(2)対象症例
2008
年
9月から
2017年
12月までの間、術前検査として
18F-FDG PET/CT検査が施行された
820名を対象とした。
第1節における研究からの除外条件は、 (1)乳癌治療前
5年以内に悪性疾
患に罹患した症例(n = 36) 、 (2)術前薬物療法を施行した症例(n = 123) 、
(3)糖尿病罹患症例(n = 47) 、 (4)異時もしくは同時両側乳癌症例(n =
23)
、 (5)遠隔転移症例(n = 5) 、 (6)STP 法でのみ
SUVmaxの測定がされ
た症例(n = 7) 、 (7)SUVmax が測定困難であった症例(n = 111)であ
る。 (1)から(7)の多くは重複し、356 名がこれらのいずれかの条件で除外
された。第1節では最終的に
464名を対象とした。
7
第2節における研究からの除外条件は、 (1)術前薬物療法を施行した症例
(n = 123) 、 (2)非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ [DCIS])症例(n
= 23)
、 (3)遠隔転移症例(n = 5) 、 (4)SNB を施行したにもかかわらず
SN
が同定できなかった症例(n = 20) 、 (5)SNB を行わずに腋窩郭清を施行
した症例(n = 180) 、(6)SUVmax が測定困難であった症例(n = 111) 、
(7)STP 法でのみ
SUVmaxの測定がされた症例(n = 7) 、 (8)糖尿病罹患
症例(n = 47)である。 (1)から(8)の多くは重複しており、406 名がこれ
らのいずれかの基準で除外された。4例で
SNに転移がなかったにもかかわら
ず
Non-SNに転移があったが、これら全例は術前薬物療法を受けていたため対
象から除外した。最終的に第2節では
414名の
cN0乳癌患者を対象とした。
術前薬物療法を受けた
123名の内訳は、アロマターゼ阻害薬(aromatase
inhibitor [AI])のみが13
名(10.6%) 、AI の後にタモキシフェン
(tamoxifen)が
1名(0.5%) 、化学療法のみが
84名(68.3%) 、化学療法後に
AI
が
9名(7.3%) 、化学療法と抗ヒト上皮成長因子受容体
2(humanepidermal growth factor receptor 2 [HER2])療法の組合せが14
名(11.4%) 、
化学療法と抗
HER2療法後に
AIが
2名(1.6%)であった。
全ての症例で術前に穿刺吸引細胞診もしくはコア針生検によって乳癌の確定
診断がされていた。穿刺吸引細胞診もしくはコア針生検施行後、
18F-FDG8
PET/CT
検査が施行され、検査施行後平均
42日(範囲:7~71 日)で手術が
施行された。術後サーベイランスは術後
5年間においては
3か月毎の診察及び
1
年に
1回のマンモグラフィー検査、術後
5年から
10年間においては年
1回
のマンモグラフィー検査を行った。また再発を疑う所見があった場合には、
CT
検査もしくは
18F-FDG PET/CT検査を施行した。
(3)
18F-FDG集積の評価
全例で所沢
PET画像診断クリニック(現 永仁会シーズクリニック、所沢
市)において
18F-FDG PET/CT検査を施行した。
18F-FDG PET/CT装置は
2008
年
9月から
2017年
10月まではシーメンスヘルスケア株式会社の
Biograph Lutetium Oxyorthosilicate Duo、2017
年
10月から
12月までは同社
の
Biograph Horizonを使用した。半値幅は共装置ともに5mm であった。
18F-FDG PET/CT
検査は検査前
4時間禁食とし、3.7 Mbq/kg の
18F-FDGを静脈
内注射した。
18F-FDG注射後
1時間で頭部から足に及ぶ全身の測定を行った
(1 回目) 。1 回目の測定後、50 分から
60分後に胸部のみの測定を行った(2
回目) 。
画像再構築を行ったのちに、原発巣に5×5×5mm
3の球体で関心領域
(region of interest [ROI])を定めた。SUVmax は減衰補正された組織活動量
9
を患者体重当たりの
18F-FDG注入線量で割ったものとして定義し、以下の式に
よって算出した。
SUVmax = activity in ROI(Mbq/ml)/ injected dose(Mbq/kg body weight)
DTP
法により
SUVmaxをそれぞれ測定し、1 回目を早期相(60 分) 、2 回目
を後期相(120 分)とし、各々SUVmax1、SUVmax2 と略した。さらには
SUVmax1
と
SUVmax2の変化率をΔSUVmax%とし、下記の式で定義した。
ΔSUVmax% =(SUVmax2 – SUVmax1)× 100 / SUVmax1
(4)病理組織学的評価
病理学的診断を
2名で行った。臨床的病期(cStage) 、臨床的T因子(cT)
及び臨床的
N因子(cN) 、病理学的病期(pStage) 、病理学的
T因子(pT)及
び病理学的N因子(pN)は国際対がん連合(the International Union Against
Cancer [UICC])第8
版に基づいて定義した
27。組織型は乳癌取り扱い規約第
18
版
28に沿って分類し、NG は核異形度スコアと核分裂スコアの和によって決
定した
29。リンパ管侵襲(
lymphatic invasion [Ly])の有無はヘマトキシリン・エ
オジン(hematoxylin and eosin stain [HE])染色標本及び
D2-40免疫染色を併
用して判定した。
エストロゲン受容体(estrogen receptor [ER])及びプロゲステロン受容体
10
(progesterone receptor [PgR])は免疫組織化学染色によって腫瘍細胞の
1%以上が染まった場合に陽性と定義した
30。HER2 は米国臨床腫瘍学会/米国病理学 会(The American Society of Clinical Oncology/College of American
Pathologists)ガイドライン2013
に基づいて評価した
31。HER2 の免疫染色は
3+、2+、1+、0
の
4段階で評価を行った。免疫染色で
2+の場合にはequivocal
とし蛍光
in situハイブリダイゼーション法(fluorescence in situ
hybridization [FISH])によってHER2
遺伝子の増幅の評価を行った。HER2 陽
性は免疫染色で
3+及びFISH法で
HER2遺伝子の増幅有りの場合とした。
免疫染色による
Ki-67 LIは
Breast Cancer Working Groupに基づき、Ki-67
LI 14%以上を高Ki-67 LI
群と定義した
32, 33。
臨床的サブタイプ分類は
ERと
HER2の状態の組合せで
4つに分類した。
(5)SUVmax のカットオフ値の決定方法
第1節にて、再発と最も相関する
SUVmax1及びΔSUVmax%を決定するた
め、受信者操作特性(receiver operating characteristic [ROC])曲線を描い
た。さらに下記の式で定義される
Youden indexが最も高い値をそれぞれの
SUVmax
パラメータのカットオフ値とした。
Youden index = sensitivity –(1 – specificity)
11
同様に第2節にて、SN 転移に最も相関する
SUVmax1、SUVmax2、ΔSUVmax%のそれぞれのカットオフ値をROC
曲線から算出した。さらに
Non-SN
転移に最も相関する
SNの転移個数や転移サイズに関するパラメータ及び
SUVmax
パラメータのそれぞれのカットオフ値を同様に
ROC曲線から算出し
た。
(6)SN の病理学的評価
cN0
患者
414名は全て診察、画像診断(マンモグラフィー検査、乳房超音波
検査、
18F-FDG PET/CT検査等)によって術前に腋窩リンパ節転移陰性と診断
された。腋窩リンパ節に転移が疑われた場合には同リンパ節に対して穿刺吸引 細胞診を行い腫瘍細胞の転移が陰性であることが確認された。
SN
の同定は
2005年
9月から
2009年
3月までの間、SNB はスズコロイドを
用いた放射性コロイド法単独で施行されていた(82 名、19.8%) 。この期間で
は対象患者の
17.1%(82名中
14名) 、対象
SNの
9.8%(164個中
16個)に腫
瘍細胞の転移がみられた。その後
2009年
4月からは基本的に放射性コロイド
法及びインジゴカルミンを用いた色素法の両者を用いた併用法で
SNBが施行
された(332 名、80.2%) 。同様にこの期間では対象患者の
21.1%(332名中
70
名) 、対象
SNの
15.2%(586個中
89個)に腫瘍細胞の転移がみられた。
12
SN
転移の病理学的評価方法は術中迅速病理診断において、SN を
2 mm間隔
でスライスし、5~10 μm の厚さで凍結切片を作製、固定後
HE染色で染色し
た。SN転移については前述の
UICC TNM分類に基づき、転移なし、遊離腫瘍
細胞(isolated tumor cells [ITC]) 、ミクロ転移及びマクロ転移と診断した。さ らにリンパ節転移巣のサイズについては迅速標本もしくは永久標本において、
最も転移サイズが大きいものを
SN転移サイズ(maximum SN metastasis size
[SN meta size])と定義した。またSNB
で摘出した
SNの総個数の中で、マク
ロ転移もしくはミクロ転移があった
SNの個数の割合を
SNR(SN ratio)と定義した。
SNB
は全員に行われ、術中迅速病理診断及びその後の永久標本診断にて
325名で転移陰性であった。UICC TNM 分類
27に準じて腋窩リンパ節への転移サ
イズにより、0.2 mm 以下もしくは
200個未満の細胞群である
ITC、0.2 mmよ
り大きく
2.0 mm以下であるミクロ転移、2.0 mm より大きいマクロ転移と分類
し、ミクロ転移とマクロ転移を腋窩リンパ節転移陽性とした。さらに乳癌診療 ガイドライン
34に従い、原則的にマクロ転移を有した症例を腋窩郭清の対象と
した。SN には
5例で
ITC、21例でミクロ転移、63 例でマクロ転移をみとめ
た。腋窩手技は
SN転移陰性例と
ITC例の全例は
SNBのみ、ミクロ転移
16例
とマクロ転移
3例では
SNBのみが行われ腋窩郭清が施行されていなかった。
13
腋窩郭清はマクロ転移を有した
63名のうち
56名に施行されていた。5 名のミ
クロ転移があった患者には、手術中に外科医の判断で腋窩郭清が施行されてい
た。マクロ転移があったにも関わらず腋窩郭清を施行されなかった
7名の内訳
は、腋窩郭清を拒否した
3名、腋窩郭清の詳細が不明であった
4名であった。
追加の腋窩郭清が実施された全例では、郭清された
Non-SNはそのまま包埋
し、1割面で転移の有無が診断された。Non-SN への転移は
22例にみとめら
れ、いずれもマクロ転移であった。このうちで
SNへマクロ転移があり腋窩郭
清が行われた
cN0乳癌
56例を
Non-SN転移予測検討の対象とした(図1) 。
(7)Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (MSKCC) ノモグラム
MSKCC
ノモグラムは
webサイト(http://www.mskcc.org/nomogram)の
SN
転移予測ノモグラムと
Non-SN転移予測ノモグラムから入手した。SN 転移
予測ノモグラムは原発巣の特徴(腫瘍径、グレード、脈管侵襲など)を含む
9項目を入力して
SN転移予測確率が算出される
24。同様に
Non-SN転移予測ノ
モグラムも原発巣の特徴及び
SN転移状況について入力し
Non-SN転移予測確
率が算出される
25。これらの
MSKCCノモグラムから算出される症例毎の転移
予測確率を解析に用いた。
14
(8)統計解析
群間比較は、カイ2乗検定、Fisher の正確検定及び
Wilcoxonの順位和検定
を用いた。無再発生存期間(relapse-free survival [RFS])、全生存期間(overall
survival [OS])はKaplan-Meier
法を用いて曲線を描き、Log-rank 検定を用い
て各生存曲線間の有意差を検定した。患者予後に対する独立した因子の検索 は、Cox 比例ハザードモデル解析を用いた単変量及び多変量解析を行った。SN 転移、Non-SN 転移の予測に対する独立した因子の検索には、ロジスティック 回帰モデルによる単変量及び多変量解析を用いた。
全ての
P値は両側検定を用いて、0.05 未満を統計学的に有意差があるとみな
した。3 群以上の比較の場合には
Bonferroniの補正を行った。データ解析、描
出には
JMP version 14.0 (SAS Institute Inc., Cary, NC, USA)を用いた。15
第4章 結果
第1節 原発性乳癌における
dual point time法による
SUVmaxの臨床病理学
的意義についての分析
(1)患者背景
464
例の臨床病理学的因子、年齢、病理学的浸潤径、pT、組織型、NG、
Ly、pN、ER、PgR、HER2、Ki-67 LI、臨床的サブタイプ分類、pStage、
SUVmax1、SUVmax2、ΔSUVmax%、RFS、OS
について表
1に記す。
SUVmax1
と
SUVmax2は正規分布していなかったが(図2A、B)、一方で
ΔSUVmax%は正規分布を示していた(図2C) 。SUVmax1 及び
SUVmax2の
中央値(範囲)は各々3.5(0.7 - 24.2) 、4.0(0.9 - 36.4)であり、ΔSUVmax%
の平均値 ± 標準偏差(standard deviation [SD])は
15.6%± 20.2 SD であ
った。SUVmax1、SUVmax2 ともに
18F-FDG PET/CT装置の違いによって有
意差はみとめなかった。また
5年
RFS率は
92.0%、10年
RFS率は
84.9%であり、同様に
5年
OS率は
97.3%、10年
OS率は
88.5%であった(観察期間の中央値
4.9年) 。
(2)SUVmax カットオフ値の設定
16
SUVmax1
とΔSUVmax%について検討した。SUVmax2 の検討は後に述べる
ように、SUVmax2 の
RFSとの相関が
SUXmax1よりも弱かったため実施しな
かった。
Youden index
の値から、再発と最も相関する
SUVmax1のカットオフ値は
3.4
であり
Area under the curve (AUC)は0.627 [95%信頼区間(confidence
interval [CI])0.536 - 0.719]であった(図3A)
。このカットオフ値 = 3.4 を用
いて患者を低
SUVmax1群(< 3.4) (n = 223)と、高
SUVmax1群(≥ 3.4)
(n = 241)に分類した。また同様にΔSUVmax%のカットオフ値は
12.5%であり
AUCは
0.594(95% CI 0.505 - 0.683)であった(図3B)。このカットオフ
値 = 12.5%を用いて患者を低ΔSUVmax%群(< 12.5%) (n = 202)と、高Δ
SUVmax%群(≥ 12.5%)(n = 262)に分類した。
(3)SUVmax1、ΔSUVmax%の高値群と低値群の比較
高
SUVmax1群と低
SUVmax1群との間の臨床病理学的因子の比較検討結果
を表2に示す。病理学的浸潤径、pT、NG、Ly、pN、pStage、SUVmax パラ メータ(SUVmax1、SUVmax2、ΔSUVmax%)において両群間で有意差があ った。高
Ki-67 LI群の頻度は低
SUVmax1群に比べ高
SUVmax1群においてよ
り高かった(P < 0.0001) 。一方で
SUVmax1と
ER、PgR、HER2、及び臨床17
的サブタイプとの間に相関がなかった。
次にΔSUVmax%高値群とΔSUVmax%低値群との間の臨床病理学的因子の
比較検討結果を表3に示す。ΔSUVmax%の計算に用いた
SUVmax1、SUVmax2
はいずれも、高ΔSUVmax%群と低ΔSUVmax%群の間で有意差があ
った。さらに高
Ki-67 LI群の頻度は低ΔSUVmax%群に比べ高ΔSUVmax%群
で高かった(P = 0.0336) 。一方で、ER、PgR とΔSUVmax%とは相関しなか った。HER2 陽性例については両群間で有意差があった(P = 0.0304) 。しかし
ながら、この解析には
HER2陽性の
DCISが
2名含まれており、いずれも低Δ
SUVmax%群であった。そのため、これら2
名の
DCIS症例を除いて解析を行
うと、両群間で
HER2陽性率に有意差はなかった。
(4)SUVmax1 とΔSUVmax%の関係
SUVmax1
とΔSUVmax%とは弱い正の相関があった(P < 0.0001、R
2 =0.166)
。高
SUVmax1群(n = 241)の中に高ΔSUVmax%群は
179名
(68.3%) 、低ΔSUVmax%群は
62名(31.7%)それぞれ含まれていた。一方
で、低
SUVmax1群(n = 223)の中で高ΔSUVmax%群は
83名(31.7%) 、低
ΔSUVmax%群は
140名(68.3%)それぞれ含まれていた。
18
(5)生存曲線の比較
高
SUVmax1群と低
SUVmax1群での
RFSの生存曲線を比較すると、高
SUVmax1
群の予後が有意に不良であった(P = 0.0003) (図4A) 。高
SUVmax1
群、低
SUVmax1群の
10年
RFS率は各々81.4%、88.9%であった。
また
OSの生存曲線では両群間に有意差がなかったが、高
SUVmax1群のほう
が予後不良の傾向があった(P = 0.0553) (データ示さず) 。
同様に高ΔSUVmax%群と低ΔSUVmax%群での
RFSの生存曲線を比較する
と、高ΔSUVmax%群の予後が有意に不良であった(P = 0.0151)(図4B) 。高
ΔSUVmax%群、低ΔSUVmax%群の
10年
RFS率は各々81.4%、89.3%であっ
た。一方で、OS では両群間に有意差はなかったものの、高ΔSUVmax%群の ほうが予後不良の傾向があった(P = 0.141)(データ示さず) 。RFS と
SUVmax2
との関係は
SUVmax1よりも弱かったため(P = 0.0012) 、予後因子
の解析には
SUVmax2を含めなかった。
(6)SUVmax1 とΔSUVmax%の組合せによる予後の解析
464
名を
SUVmax1(カットオフ値 = 3.4)、ΔSUVmax%(カットオフ値 =
12.5%)によって、A群、B群、C群の3
群に分類した。A 群は高
SUVmax1(≥ 3.4)かつ高ΔSUVmax%(≥ 12.5%) (n = 179) 、B 群は高
SUVmax1(≥19
3.4)かつ低ΔSUVmax%(< 12.5%)
(n = 62) 、C 群は低
SUVmax1(< 3.4)(n = 223)であり、C 群はΔSUVmax%(カットオフ値 = 12.5%)によって さらに高ΔSUVmax%群(n = 83)と低ΔSUVmax%群(n = 140)に分類可能
であったが、この
2群間で
RFSに有意差はなかった(P = 0.625)ため、分類
は行わなかった。
上記の
3群で
RFS曲線を描いたところ、3 群間に有意差があった(P =
0.0006)
、さらに
A群と
C群の生存曲線間にも同様に有意差があった(P =
0.0001)
(図5A) 。一方で、A 群と
B群、B 群と
C群では有意差がなかった
(各々P = 0.285、P = 0.146) 。10 年の
RFS率は
B群で
89.0%、C群で
89.0%であったが、A 群では
78.8%であった。さらにA群と
B+C群の生存曲線間で
は
RFSに有意差があった(P = 0.0002) (図5B) 。術後
10年での再発リスク
は高
SUVmax1群の低
SUVmax1群に対するリスク比は単純計算で
1.68、高ΔSUVmax%群の低ΔSUVmax%群に対するリスク比も単純計算で1.68
であった
が、A 群の
B+C群に対するリスク比は単純計算で
1.92であり、最も高かっ
た。SUVmax1 とΔSUVmax%の組合せによって、SUVmax1 単独よりもより予 後不良な群を予測できた。
なお、SUVmax2 と
RFSとの相関は
SUVmax1との相関よりも弱かったた
め、SUVmax2 とΔSUVmax%との組合せによる予後解析は実施しなかった。
20
さらにサブグループ解析を行ったところ、リンパ節転移陰性症例(n =
334)でA
群と
B+C群の
RFSを比較したところ有意差があり(P = 0.0126) 、
同様にリンパ節陽性症例(n = 130)でも
A群と
B+C群で有意差があった(P
= 0.0455)
(データ示さず) 。一方で、原発巣の
T因子で層別化を試みたが、
pTis+pT1
症例(n = 297)と
pT2+pT3症例(n = 167)のいずれにおいて
も、A 群と
B+C群の
RFSの間に有意差はなかった(P = 0.120) 。また
ER、HER2
の状態の組合せによる臨床的サブタイプに分けた解析では
ER陽性
/HER2
陰性症例(n = 345)では
A群と
B+C群との間で
RFSに有意差があっ
た(P = 0.0008)が、ER 陽性/HER2 陽性症例、ER 陰性/HER2 陽性症例、ER 陰性/HER2 陰性症例ではいずれも有意差はなかった(各々P = 0.0614、P =
0.358、P = 0.823)。
(7)単変量解析及び多変量解析
Cox
比例ハザードモデルにより再発リスク因子を検討したところ、単変量解
析にて5つの臨床病理学的因子(pT、pN、NG、Ly、Ki-67 LI)が挙げられ、
同様に
SUVmax1とΔSUVmax%も再発リスク因子であった(表4) 。さらに
SUVmax1
とΔSUVmax%の組合せも再発リスク因子であった(ハザード比 =
3.24、95% CI:1.62 - 6.72、P = 0.0007)
。SUVmax1 とΔSUVmax%は弱いな
21
がらも互いに相関していたため、多変量解析では別々に解析を行った。再発を
目的変数とした多変量解析では
pT、NG、及びLyが独立した有意な再発リス
ク因子であった。また
SUVmax1単独ではハザード比 = 2.54、95% CI:1.10 -
6.46、P = 0.0267
であり、SUVmax1 とΔSUVmax%の組合せハザード比 =
2.33、95% CI:1.09 - 5.31、P = 0.0283
であった。
さらに
SUVmax1とΔSUVmax%の組合せは、SUVmax1 単独やΔSUVmax%
単独よりも再発に対する特異度、陽性的中率が高く、さらには正確度について
も
SUVmax1が
52.2%、ΔSUVmax%が47.6%であったのに対して両者の組合せは
63.8%と高い値を示した(表5)。SUVmax1 単独よりも
SUVmax1とΔ
SUVmax%の組合せのほうが再発予測により有効であることが示された。
22
第2節 原発性乳癌における原発巣
SUVmaxによるセンチネルリンパ節及び非
センチネルリンパ節への転移予測についての分析
(1)患者背景
414
例の臨床病理学的因子(年齢、cT、病理学的腫瘍径、病理学的浸潤径、
pT、組織型、NG、Ly、pN、ER、PgR、HER2、Ki-67 LI、臨床的サブタイ
プ、pStage、SUVmax パラメータ)を表
6に記す。
SUVmax1、SUVmax2
の中央値(範囲)は
3.3(0.7 - 20.9)、3.7(0.6 - 28.2)
であり、ΔSUVmax%の平均値 ± SD は
14.7%± 20.1 SD であった。
SUVmax1、SUVmax2
ともに
18F-FDG PET/CT装置の違いによって有意差は
みとめなかった。SUVmax1 と
SUVmax2との間には強い正の相関があったが
(P < 0.0001、R
2 = 0.968)、一方で
SUVmax1とΔSUVmax%(P < 0.0001、
R2 = 0.184)との間、及びSUVmax2
とΔSUVmax%(P < 0.0001、R
2 =0.293)との間には弱い正の相関があった。
(2)SN転移の状況
414
名の患者のうち、SNB で摘出したリンパ節個数の分布は
1個
198名
(47.8%) 、2 個
137名(33.1%) 、3 個
51名(12.3%) 、4 個
21名(5.1%) 、5
23
個以上
7名(1.7%)であった。また
SN転移個数の分布は
0個
330名
(79.7%) 、1 個
67名(16.2%) 、2 個
14名(3.4%) 、3 個
2名(0.5%) 、4 個
1名(0.2%)であった。SNR の分布は
0.0が
330名(79.7%) 、0.13 が
1名
(0.3%) 、0.25 が
5名(1.2%) 、0.33 が
9名(2.2%) 、0.5 が
19名(4.6%) 、
0.67
が
8名(1.9%) 、1.0 が
42名(10.1%)であった。また転移サイズの分布
は転移なしが
325名(78.5%) 、ITC が
5名(1.2%) 、ミクロ転移が
21名
(5.1%) 、マクロ転移が
63名(15.2%)であった。
(3)SN 転移陽性群と陰性群の比較
SN
転移陽性(マクロ転移とミクロ転移を含む)は
84名(20.3%)であった
(図1) 。SN 転移陽性群(A 群)84 名と
SN転移陰性(ITC 陽性を含む)群
(B 群)330 名に分類し、臨床病理学的因子の比較検討を行った(表7) 。2 群
間では
cT(cT1 - cT2 vs. cT3)(P = 0.0103)、病理学的腫瘍径(P =
0.0017)
、病理学的浸潤径(P < 0.0001) 、pT(pT1 - pT2 vs. pT3) (P <
0.0001)
、Ly(P < 0.0001) 、ER(P = 0.0070) 、PgR(P = 0.0031)に有意差
があり、いずれも転移と正の相関を示した。HER2 発現頻度、Ki-67 LI、NG
は
2群間で有意差をみとめなかった。
24
(4)SN 転移を予測する至適な
SUVmaxパラメータのカットオフ値
SUVmax1
のカットオフ値は
3.4(AUC = 0.55、95% CI:0.48 - 0.62)、
SUVmax2
のカットオフ値は
3.0(AUC = 0.55、95% CI:0.48 - 0.62)、Δ
SUVmax%のカットオフ値は2.5%(AUC = 0.52、95% CI:0.45 - 0.59)であ
った。
(5)SN 転移に対する単変量及び多変量
術前及び術後に得られる因子を用いて
SN転移予測に対する単変量ロジステ
ィック解析を行った(表8A) 。単変量解析では術前に得られる因子のうち有意
差があったのは
cT(cT3 vs. cT1 - cT2)、ER(陽性 vs. 陰性) 、SUVmax1(≥
3.4 vs. < 3.4)
、SUVmax2(≥ 3.0 vs. < 3.0)、ΔSUVmax%(≥ 2.5% vs. <
2.5%)であった。また同様に術後に得られる因子のうちpT(pT3 vs. pT1 -
pT2)
、Ly(陽性 vs. 陰性)で有意差をみとめた。PgR は単変量解析で有意差
をみとめたが、ER と共線性を有しているので多変量解析から
PgRは除外して
検定を行った。多変量ロジスティック解析は、術後因子に
SUVmaxパラメータ
を含めて実施した。SUVmax パラメータは互いに相関しているので多変量解析 では別々に解析を行った。単変量解析で
SN転移と相関があった
SUVmaxパラ
メータは、いずれも多変量解析では有意差がなかった(表8B) 。次に術前因子
25
と
SUVmaxパラメータを含めて多変量ロジスティック解析を試みた。この場合
も
SUVmaxパラメータは別々に解析に含めた。SUVmax2 を含めた多変量解析
にて
cTはオッズ比 = 6.00、95% CI:1.36 - 26.5、P = 0.0180、ER はオッズ
比 = 3.10、95% CI:1.36 - 7.11、P = 0.0073、および
SUVmax2はオッズ比
= 1.74、95% CI:1.03 - 2.96、P = 0.0376
であった(表8C) 。
(6)Non-SN 転移の状況
SN
にマクロ転移を有した
63名のうち腋窩郭清を受けた
56名を対象とした
(図1) 。これらの患者を
Non-SNへの転移状況により
Non-SN陽性群(C
群)である
19例(33.9%) 、Non-SN 転移陰性群(D群)である
37例
(66.1%)の
2群に分類した。
(7)Non-SN 転移を予測する至適なカットオフ値の設定
Non-SN
転移を最も予測する
SN転移個数、SNR、SN 転移サイズのカット
オフ値を
ROC曲線から算出したところ、SN 転移個数のカットオフ値は
2.0個
(AUC = 0.55、95% CI:0.42 - 0.68) 、SNR のカットオフ値は
0.67(AUC =0.63、95% CI:0.50 - 0.87)
、SN 転移サイズのカットオフ値は
6.0 mm(AUC= 0.72、95% CI:0.57 - 0.87)であった。同様にSUVmax
パラメータのカット
26
オフ値を算出したところ、SUVmax1 のカットオフ値は
7.6(AUC = 0.59、95% CI:0.43 - 0.75)、SUVmax2
のカットオフ値は
3.0(AUC = 0.59、95%CI:0.43 - 0.75)
、ΔSUVmax%のカットオフ値は
20.0%(AUC = 0.57、95%CI:0.42 - 0.73)であった。
(8)Non-SN 転移陽性群と陰性群の比較
C
群と
D群との間の臨床病理学的因子の比較検討結果を表9に示す。2 群間
で有意差があった因子は平均病理学的浸潤径(40.6 mm ± 23.3 SD vs. 26.6
mm
± 19.1 SD、P = 0.0106) 、平均
SN転移サイズ(8.7 mm ± 4.2 SD vs.
5.7 mm
± 3.0 SD、P = 0.0080) 、SN 転移サイズ(≥ 6.0 mm vs. < 6.0 mm、
P = 0.0111)
、SNR(≥ 0.67 vs. < 0.67、P = 0.0131) 、ΔSUVmax%(≥ 20.0%
vs. < 20.0%、P = 0.0458)であった。SUVmax1
及び
SUVmax2は
2群間で有
意差がなかったが、カットオフ値以上の値を示す例の割合はいずれの
SUVmaxパラメータも
C群でより高い傾向であった(各々P = 0.107、P = 0.0612) 。
(9)Non-SN 転移に対する単変量及び多変量解析
単変量ロジスティック解析では
Non-SN転移を予測する因子のうち統計学的
に有意差があったのは
SN転移サイズ、SNR、ΔSUVmax%であった(表
1027
A) 。さらにこれらの
3つの因子を含む多変量ロジスティック解析では
SNRと
SN
転移サイズが
Non-SN転移の独立した予測因子であり、各々オッズ比は
7.88(95% CI:1.34 - 46.3、P = 0.0223)
、4.17(95% CI:1.10 - 15.9、P =
0.0367)であった(表10B)
。ΔSUVmax%は有意差がなかったものの、Non-
SN
転移の独立した因子に近かった(オッズ比 = 3.60、95% CI:0.95 - 13.6、
P = 0.0586)
。
(10)SUVmax2 とΔSUVmax%の組合せによる
Non-SN転移予測
SN
マクロ転移陽性かつ腋窩郭清が実施された
56例において、各症例の
SUVmax2
及びΔSUVmax%を前記のカットオフ値
3.0及び
20.0%で2群に分類
した。低
SUVmax2(< 3.0)かつ低ΔSUVmax%群(< 20.0%)であった例は13
名であり、そのうち
Non-SN転移陽性は
1名(7.7%)にとどまり、残り
12名(92.3%)は
Non-SN転移陰性であった(表
11)。一方、それ以外の
43例で
は
Non-SN転移陽性は
18名(41.8%) 、陰性
25名(58.2%)であった。
SUVmax2
とΔSUVmax%の組合せによる
Non-SN転移予測は感度
94.7%、特異度
32.4%、陽性的中率41.9%、陰性的中率92.3%、正確度53.6%であった。SUVmax2
とΔSUVmax%の組合せは
SUVmax1、SUVmax2、ΔSUVmax%単独よりも、また
SUVmax1とΔSUVmax%の組合せよりも、高い感度と陰性的中
28
率があった。単変量ロジスティック解析において
SUVmax2とΔSUVmax%の
組合せは
Non-SN転移の予測因子として有意であった(オッズ比 = 8.64、
95% CI:1.03 - 72.6、P = 0.0470)
。一方、SUVmax1 とΔSUVmax%の組合せ
は単変量解析で有意差がなかった。また
SUVmax2とΔSUVmax%の組合せは
多変量ロジスティック解析にておいても
SN転移サイズ、SNR とともに有意な
Non-SN
転移予測因子であった(SUVmax2 とΔSUVmax%の組合せ:オッズ比
= 11.7、95% CI:1.25 - 109.2、P = 0.0312、SN
転移サイズ:オッズ比 =
4.00、95% CI:1.02 - 15.7、P = 0.0470、SNR:オッズ比 = 8.13、95% CI:
1.47 - 45.0、P = 0.0165)
(表
12A、B)。SUVmax2 とΔSUVmax%の組合せは
Non-SN
転移予測の独立した予測因子であった。
(11)MSKCC ノモグラムの適合
MSKCC
ノモグラムを
414名に当てはめた結果を図6に示す。A 群と
B群で
の
SN転移予測確率の中央値はそれぞれ
58.0%(範囲:11.0 - 98.0%)と34.0%(範囲:0.0-93.0%)であり、両群間に有意差があった(P < 0.0001)
(図6A) 。また
C群と
D群での
Non-SN転移予測確率の中央値はそれぞれ
28.0%(11.0 - 68.0%)と20.0%(9.0 - 77.0%)であり、両群間に有意差をみ
とめた(P = 0.0296)(図6B) 。
29
第5章 考察
(1)原発性乳癌における
dual point time法による
SUVmaxの臨床病理学的
意義についての分析
悪性腫瘍において糖代謝は通常亢進しており、さらにグルコースの消費増加 は腫瘍細胞のより高い増殖率と相関していることが報告されている。このよう
に、
18F-FDGの高い集積は乳癌における高い増殖性を反映しており、さらには
18F-FDG PET/CT
検査は乳癌の存在診断に有用なだけではなく
9-11、臨床的な
悪性度や化学療法における感受性などの機能的な評価にも有用であることが示
された
34, 35。実際、
18F-FDG集積の程度と
Ki-67 LIとの関連も報告されている
7, 8
。本研究ではまず原発巣の
SUVmaxと乳癌の生物学的悪性度とが相関するこ
とを、当施設単独の検討でも確認することができた。
18F-FDG PET/CT
検査の定量的評価として、最も一般的なものは
SUVmaxであり、これは
18F-FDG静脈内注射後
60分で測定する。一方で、90 分以降の
後期相で得られる情報は腫瘍の生物学的特徴をより詳細に得ることができると
考えられている。悪性腫瘍では
18F-FDG注射後、4 時間から
5時間程度は
18F-FDG
の取り込みが増加する一方で、良性病変では
30分以降には
18F-FDGの
取り込みが減少すると報告されている
19。ΔSUVmax%は肺癌やリンパ腫のグ
レードと相関するとの報告がある
36, 37。ΔSUVmax%の有用性は一般的には受
30
け入れられているものの、乳癌の予後との関係性についての報告はされていな
い。そこで本研究では、早期相と後期相の間での
SUVmax値の経時変化は、早
期相
SUVmax値単独よりも予後予測に役立つのではないかと考え、解析を実施
した。
本検討における
RFSの検討の結果、原発巣における
SUVmax1が独立した予
後因子であることが確認されたが、ΔSUVmax%も重要な予後因子であり、さ
らには
SUVmax1とΔSUVmax%の組合せが
SUVmax1単独よりも、より正確
に予後不良群を予測できる可能性が明らかにされた。ΔSUVmax%の至適なカ
ットオフ値を
12.5%とすることで、SUVmax1が
3.4以上の群において、より
予後良好な群を選別することができた。一方、OS に関する
SUVmax1及びΔ
SUVmax%の予後因子としての有効性については証明できなかったが、今回の
対象症例では観察期間が短く、またイベント数が少ないなどの影響で検出力が 充分でなかったため、ΔSUVmax%の有効性が証明できなかったと考えられ る。
ER
陽性
HER2陰性乳癌患者において高
SUVmax1群かつ高ΔSUVmax%群
は他の群と比べて有意に予後不良であった(P = 0.0008) 。ER 陽性
HER2陰性
乳癌において、SUVmax が
ER陽性リンパ節転移陰性乳癌の予後予測因子で国
際的に用いられている
21遺伝子再発スコアと相関することも報告されている
31
38
。このように、21 遺伝子再発スコアに加えて
SUV関連のパラメータは、ER
陽性乳癌の中から再発高リスク群を選択する際に臨床的に有用である可能性が
あり、今後のより大規模な検証が必要と考えられる。さらには
SUVmax1とΔ
SUVmax%の組合せにより、術前薬物療法の治療効果予測の精度を高められる
可能性もある。
本検討では、術前薬物療法施行例は除外した。これらの除外症例には
ER陰
性
HER2陽性が
24例、ER 陰性
HER2陰性が
54例含まれていた。そのため、
本検討には
HER2陽性例は
10.8%(50/464)、ER陰性
HER2陰性例は
11.6%(54/464)しか含まれていなかった。これらのサブタイプの乳癌はいずれも高
い細胞増殖性を示し、ER 陽性乳癌と比べて
SUVmaxが高値で、同時に予後不
良であることが報告されている
39。また本研究では、
18F-FDG集積が視認でき
ず
SUVmaxが測定されなかった
109例を除外している。これらの症例は予後
良好であることが予想される。もし術前薬物療法施行例や
SUVmaxが測定され
なかった例を仮に検討に含めていたとすれば、予後指標としてのΔSUVmax%
や
SUVmax1とΔSUVmax%の組合せの有効性は、今回の結果よりもさらに高
かったのではないかと考えられた。
リンパ節転移は単変量解析では強力な予後因子であったが、多変量解析では
独立した予後因子ではなかった。通常は最大の予後因子である
pNが多変量解
32
析で有意とならなかった理由については、本検討のコホートに
pN0と
pN1の
例が大多数を占めていたことが考えられる。UICC TNM 分類
27に基づき腋窩
リンパ節の転移個数によって
pN0群(0 個)、pN1(1-3個) 、pN2(4-9
個) 、pN3(10 個以上)群に分類した。リンパ節転移を有していても
pN1は比
較的良好な予後を示し、本検討ではリンパ節転移陽性患者の多くが
pN1であっ
たので、リンパ節転移の予後に対する影響が弱かったと考えられた。Ly や
pTもまた
pNの交絡因子であったことも、リンパ節転移が独立した予後因子とな
らなかった理由と考えられた。
本検討の限界としては、単施設での研究であること、後方視的検討であるこ と、またイベント数が少なかったことが挙げられる。このような限界はある
が、本研究では手術可能な乳癌患者においてΔSUVmax%と
SUVmaxの組合せ
は有用な予後因子であることが示された。今後は多施設での前向きの検討が必
要である。
33
(2)原発性乳癌における原発巣
SUVmaxによるセンチネルリンパ節及び非セ
ンチネルリンパ節への転移予測についての分析
本研究では
cN0乳癌において
SN転移及び
Non-SN転移予測因子としての原
発巣の
SUVmaxパラメータの重要性について検討した。原発巣の
SUVmaxパ
ラメータは
cN0乳癌において
SN転移予測に有用であり、また
SN陽性の際に
郭清された
Non-SNへの転移予測にも有用であった。さらに
cN0乳癌で
SN転
移陽性で腋窩郭清を行う際には、SUVmax2 及びΔSUVmax%の組合せを用い
て、低
SUVmax2かつ低ΔSUVmax%であれば、高い確率(92.3%)で
Non-SN
への転移陰性を予測することができることが示された。
いくつかの臨床病理学的因子が乳癌における
SN転移の予測因子として報告
されている
22。これらの因子には腫瘍径、脈管侵襲、HER2、ER、多中心性、
年齢、グレードなどが含まれる。さらに
Non-SNへの転移予測因子として、腫
瘍径、脈管侵襲、SN への転移状況などが報告されている
40-42。SN 転移や
Non-SN
への転移を予測するいくつかのノモグラムも開発されている。
MSKCC
ノモグラムは
SN転移もしくは
Non-SN転移予測するために、上記の
腫瘍径、グレード、脈管侵襲などを用いている
24, 25。今回の対象症例でも
MSKCC
ノモグラムは、SN 転移及び
Non-SN転移予測において統計学的に有
意な差を示した。これらのノモグラムが必要としている病理学的因子は術後の
34
詳細な病理学的検討でしか得られないものが多く含まれている。一方で原発巣
の
SUVmaxパラメータは、乳癌の生物学的特性あるいは病理学的特徴を総合的
に把握できる術前のツールとして、臨床的に有用であると考えられた。実際、
術前で得られる因子と
SUVmaxパラメータを含めた多変量ロジスティック解析
では
cTや
ERと並んで、SUVmax2 が独立した
SN転移予測因子であることが
示された。また術前因子を含めた多変量解析においては
SUVmax2とΔ
SUVmax%の組合せはNon-SN
転移予測に有用な因子であった。さらにこの組
合せはそれぞれ
SUVmax1単独、SUVmax2 単独、ΔSUVmax%単独、及び
SUVmax1
とΔSUVmax%の組合せと比較して
Non-SN転移の感度(94.7%) 、
陰性的中率(92.3%)で優れていた。これらの結果から、SUVmax2 とΔ
SUVmax%の組合せが、SUVmax
パラメータ単独や他の組合せよりも腫瘍の生
物学的特徴をより正確に示していると考えられた。特に、この組合せは
SN転
移陽性
cN0乳癌から
Non-SN転移が陰性である例の予測に役立つことが示唆
された。また
ER陽性
cN0乳癌は
ER陰性乳癌よりも予後良好であるにもかか
わらず、ER 陽性
cN0乳癌の方が
ER陰性乳癌と比べて
SN転移のオッズ比が
高かった。この結果は一見矛盾しているようであるが、大規模な研究でも、本 研究と同様の結果がみとめられている
24。
今回の解析では、術後因子による
pT、ER、Lyは
SN転移の独立した因子で
35
あった。しかしながら術後因子を含む多変量ロジスティック解析では
SUVmaxパラメータのいずれも
SN転移の有意な予測因子とはならなかった。この結果
は術後病理学的所見や免疫染色所見が
18F-FDG PET/CT検査によって得られ
る所見よりも正確に癌の特性を反映しており、やむを得ない結果と考えられ
る。同様にまた
pT、ER、Lyといった術後因子は、いずれも多変量で独立した
SN
転移予測因子であったが
SUVmaxパラメータはそうではなかった。
ACOSOG Z0011
試験や
AMAROS試験の結果から、cN0 かつ
SN転移陽性
症例では、症例によっては腋窩郭清ではなく、放射線療法が選択されるべきで あると考えられている
23, 43。そのように標準治療が変わっていくと、現在のよ
うに追加郭清で得られた
Non-SNの情報が臨床的にさほど有用でなくなる可能
性が考えられる。しかしながら、cN0 かつ
SN転移陽性症例の中で、どのよう
な症例が腋窩郭清を必要としているかは完全には明らかになっていない。
18F-FDG PET/CT
検査による
SUVmaxパラメータによる
SN転移及び
Non-SN転
移予測は、cN0 かつ
SN転移陽性患者にとって最適な腋窩マネージメントを見
出すための研究につながり得ると考えられた。
18F-FDG PET/CT
検査は日常的に乳癌患者には行われておらず、SUVmax
パラメータも臨床的に導入されていない。しかしながら
SUVmaxパラメータが
SN
転移及び
Non-SN転移予測に優れていることが今後複数の検討で示され、
36
それに応じて広く受け入れられるようになれば、この手法は症例の術前診断の 一つのツールとしてみとめられる可能性がある。
18F-FDG PET/CT
検査の費用は
MRI検査、骨シンチグラフィー、腹部超音
波検査などの全身検査の総費用よりも高いが、同時に局所及び全身の両方の診
断が可能であり、検査も
3時間で完了できるなどの点で、他の全身検査の組合
せよりも患者にとって利便性が高いと考えられた。
本検討の限界としては、単施設での研究であること、後方視的検討であるこ と、及びイベント数が少なかったことが挙げられる。このような限界はある
が、本研究では手術可能な乳癌患者においてΔSUVmax%と
SUVmaxの組合せ
は術前における有用な
SN転移予測ならびに
Non-SN転移予測因子であること
が確認された。さらなる有用性を証明するため、今後は多施設での前向きの検
討が必要である。
37
(3)全体の考察
18F-FDG PET/CT
検査は
1990年代に米国で保険認可され、本邦でも
2000年代から導入された。乳癌診療においても
18F-FDG PET/CT検査の転移検索
に対する有用性が示されている
44。しかしながら、検査精度、費用や被爆の問 題を含めた不利益の点
45から、乳癌診療ガイドラインでは検査の適応は限られ ている
46。一方で、同ガイドラインでは術前化学療法の病理学的完全奏効の予
測と早期効果判定における
18F-FDG PET/CT検査の有用性が示されている
34
。全身転移の有無や薬物療法の効果判定以外での
18F-FDG PET/CT検査の有
用性は、様々な面で充分検討されているとはいえない。また
18F-FDG PET/CT検査の評価方法については多くの施設では
STP法で施行されており、DTP 法
による
18F-FDG PET/CT検査の有効性を検討した報告は少ない。SUVmax の
経時的変化の評価を加味した
DTP法を用いることで、今まで以上に各乳癌症
例に関する様々な情報が得られるのではないかと推測した。今回の検討結果か ら、DTP 法が原発性乳癌の生物学的特徴や予後と相関し、STP 法より有効な
検査であることが証明された。さらに原発巣の
SUVmaxが
cN0乳癌患者の
SN転移及び
Non-SN転移予測に有用であること、及び
SUVmax2とΔSUVmax%
の組合せが
Non-SNへの転移陰性を高い確率で予測できることが証明された。
これらの有用性は特に術前因子との組合せで威力を発揮するものと考えられ
38
た。今後のさらなる検討により、SN 転移陽性例の中で追加郭清を行わないで
済む
Non-SN転移陽性例の予測が可能となることが期待される。
近年では、
18F-FDG PET/CT検査における新しい原発巣の評価の指標とし
て、腫瘍の糖代謝が高い範囲の体積
metabolic tumor volume(MTV)や、MTV
と
SUVの積である腫瘍全体の糖代謝量として
total lesion glycolysisが、
SUVmax
より腫瘍の生物学的特徴を反映しており予後や治療効果予測に
SUVmax
よりも有用であるという報告もなされている
47-49。さらには乳房専用
PET
装置が開発され、
18F-FDG PET/CT検査よりも細かい空間分解能と、高
い病変検出能力を有する点から、この新たな装置を使用した検査による原発巣
の存在診断や質的診断に期待が寄せられている
50。当施設でも乳房専用
PET装
置の診断学的有用性について症例集積をすすめているところである。新たな指
標や装置を
DTP法によって解析することで、乳癌の予後予測やリンパ節転移
の予測などの精度向上につながり、また
18F-FDG PET/CT検査によって乳癌
の生物学的特徴の理解が深まるものと期待される。
39
第6章 結論
原発性乳癌における
DTP法を用いた
18F-FDG PET/CT検査の有効性につい
て研究を行った。その結果、DTP 法は
STP法よりもより正確に乳癌の生物学
的特徴や患者予後と相関した。また原発巣の
SUVmaxは
cN0乳癌患者の
SN転移及び
Non-SN転移予測に有用であり、さらに
SUVmax2とΔSUVmax%の
組み合わせは
Non-SNへの転移陰性を高い確率で予測することができた。
DTP
法を用いた
18F-FDG PET/CT検査は乳癌の術前悪性度診断やリンパ節
転移予測の精度向上に寄与するものと期待される。
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謝辞
本稿を終えるにあたり、御指導、御高閲、御協力を下さいました防衛医科大
学校病態病理学講座教授 津田 均先生、放射線医学講座教授 新本 弘先
生、外科学講座教授 岸 庸二先生に深く感謝の意を表します。また検体・臨
床情報の提供を下さいました外科学講座ならびに永仁会シーズクリニックの諸
先生方に感謝の意を表しますとともに、多岐にわたり御助力いただきました病
態病理学講座の皆さまに謝意を表します。
41
略語一覧
AI:aromatase inhibitor
AUC:area under the curve
CI:confidence interval
CT:computed tomography
DCIS:ductal carcinoma in situ
DTP:dual time point
18F-FDG:18 F-fluorodeoxyglucose
18F-FDG PET/CT:18 F-fluorodeoxyglucose positron emission
tomography/computed tomography fusion imaging
ER:estrogen receptor
FISH:fluorescence in situ hybridization
HE:hematoxylin and eosin stain
HER2:human epidermal growth factor receptor 2
ITC:isolated tumor cells
Ki-67 LI:Ki-67 labeling index
Ly:lymphatic invasion
MRI:magnetic resonance imaging
42
MSKCC:Memorial Sloan-Kettering Cancer Center
MTV:metabolic tumor volume
NG:nuclear grade
Non-SN:Non- sentinel node
OS:overall survival
PgR:progesterone receptor
RFS:relapse-free survival
ROC:receiver operating characteristic
ROI:region of interest
SD:standard deviation
SN:sentinel node
SNB:sentinel node biopsy
SN meta size:maximum SN metastasis size
SNR:SN ratio
STP:single time point
SUVmax:maximum standardized uptake value
UICC:the International Union Against Cancer
43
引用文献
1.
国立がん研究センター. がん情報サービス. がん登録・統計. [updated 2020
Apr 15; cited 2020 Apr 16]. Available from:
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/-summary.html
2. Ito Y, Miyashiro I, Ito H, Hosono S, Chihara D, Nakata-Yamada K, et al. Long-
term survival and conditional survival of cancer patients in Japan using
population-based cancer registry data. Cancer Sci. 2014;105(11):1480-6.
3. Fuster D, Duch J, Paredes P, Velasco M, Munoz M, Santamaria G, et al.
Preoperative staging of large primary breast cancer with
[18F]fluorodeoxyglucose positron emission tomography/computed
tomography compared with conventional imaging procedures. J Clin Oncol.
2008;26(29):4746-51.
4. Groheux D, Hindié E, Delord M, Giacchetti S, Hamy A-S, de Bazelaire C, et al.
Prognostic impact of (18)FDG-PET-CT findings in clinical stage III and IIB
breast cancer. J Natl Cancer Inst. 2012;104(24):1879-87.
5. Vander Heiden MG, Cantley LC, Thompson CB. Understanding the Warburg
Effect: The metabolic requirements of cell proliferation. Science.
2009;324(5930):1029-33.