︿外国判例研究﹀
非 独 立 附 帯 上 告 に お け る 訴 訟 費 用 の 負 担
片 野
区良研 連 通邦 究 常 裁 所判
は じ め に
(民事大部)九八年...月='<定[BGHZ80,146]
はじめに
一九七五年の民事上告法改正法律により︑ドイツの民事上告法は︑従来の許可上告制の他に︑連邦通常裁判所がヒ告
許容性を判断する受理ヒ告制を採用した︒その際︑ZPO五五六条二項四文は︑﹁附帯﹂告は︑L告の受理が五五四b
条により拒否されるときはその効力を失う﹂と規定し︑他方︑ZPO五κ六条一項は︑附帯L告期間をヒ告理由書送達
後一月と規定していた︒したがって︑附帯上告を提起しようとする者は︑上告が受理されるか否か判明していない時期
に附帯ヒ告を提起しなければならなかった︒その後︑実務ヒ︑L告受理が拒絶された場合︑附帯上告によって生じた訴
訟費用を誰が負担すべきかという問題が生じた︒
非独立附帯L告における訴訟費用の負担一し九(1)
一八〇(2)
連邦通常裁判所(民事第一.一部)一九L六年一一月九日決定[BGHZ67,305]は︑L告受理がなされるか.否か客観的
には不明な状態で被L告人は附帯L告を提起しなければならないが︑このような予続状態がもたらされたのはL告人が
L告を提起したからであり︑したがって上告人がL告費用と附帯h告費用を負担すべきであるとした︒その後︑連邦通
常裁判所(民事大部)一九八一年︒.一月一一日決定[bdΩ寓N°︒ρ竃①]は︑民事第六部の呈.小に答えて︑附帯L告人が附
帯k告費用を負担すべきであると判.小した︒その理由として︑h告が受理されるか否かがr測できないという状況は両
当事者にとって同一であり︑附帯L告の費川の負担を附帯L告人について免れしめる理由はないこと︑および附帯L告
も︑単に相手方のヒ訴の棄却だけではなく︑不服に係る判決に関して自己に有利な変更を求めるものであるから︑附帯
L告人が附帯L告の費用を負担することが︑敗訴者が奏功しなかった攻撃方法の費用を負担しなければならないという
訴訟費川法Lの原則に合致していることをあげている︒その後︑一九九一年ご︒月↓ヒ日の司法簡素化法によって︑附
帯L告はk告受理決定送達後一月内においても可能となり(ZPO丘五六条一項)︑この問題は立法によって解決され
ワコ た︒
右の.つの判例においては︑L告が受理されるか否か不明の状態において提起された附帯上告の費用を誰が負担すべ
きかの問題に関して見解が分かれたわけであるが︑この問題は附帯L告期間をL告理由書送達後一月としたために生じ
たのであるから︑被ヒ告人がL告受理を知ってから附帯上告を提起できるようになれば︑被L告人の困難は解消される
へもと︑H・シュナイダーは民事大部決定がドされるより前に主張していた︒
右問題においては︑上告が受理されるか.否か不明の状態で附帯上告を提起しなければならない被h告人の地位が注目
され︑その解決が判例や立法によってもたらされたが︑他方︑ヒ告人がk告を取り下げた場合やL告が初めから不適法
である場合︑附帯控訴の場合と同様に︑附帯上告も失効し(ZPO五五六条二項一..文による五二二条の準用)︑上告が
コぶ 初めから不適法である場合︑附帯上告の費用は附帯上告人が負担しなければならないと解されている︒上告が初めから
不適法であるにもかかわらず︑被止告人が附帯上告を提起するのは︑L告が初めから不適法であることを被上告人が知
らなかったからであろう︒そうであるとすると︑この場合に附帯上告の費用を常に附帯上告人に負担させることは︑上
告受理が不明である場合と同様︑附帯上告人にとって酷な扱いといえよう︒そこで本稿では︑このような疑問を解決す
べく︑上告不受理の場合における附帯上告の費用に関する判例を研究し︑さらに上告が初めから不適法である場合の費
用負担の問題についても言及したいと思う︒
注(1)じロΩロロIIS.1°︒①G︒°
(2)本稿では︑特に明示しないかぎり︑非独立附帯上告(L訴)を指す︒
(3)当時司法省参事官であったフォルトグラーフェは︑L告が初めから.不適法である場合と異なり︑L告不受理の場合︑附帯
L告人は費用を負担する必要はないとL張しNい;:(Holtgrave,DasneueRechtderRevisioninZivilsachen,DB1975,
一①゜︒刈)︒
(4)じロΩbd=oQ°鱒゜︒ミ.ま;;'BT‑Druks°11/3621,S.25には︑被上告人がL告受理の裁判後に附帯できるように︑被上告人の
ための改善を規定したとの︑簡単な理曲が述べられている︒
(5)Vgl.Buttner,DieunselbstandigeAnschlf3revisionimVerfahrennachァ554bZPρFestschriftfurFranzMerz,1992,
5.29.
(6)=.Schneider,DieAnschluBrevision,FestschriftfurFi,itzBauei・,1981,S.625.なお'FestschriftfurRammos,1979,
所収のH・シュナイダーの論文において︑民事第三部の決定に反対の趣旨が舵張されている山であるが(=.ωoぎ①置①ゴ聾
PO.,S.621,Fn.22)︑未見である︒
(7)ヒ告取ドげの場合における附帯L告の費用負担に関するドイツの判例・学説については︑L野泰男﹁附帯控訴と﹂訴要件
としての不服(..)﹂名城...巻↓号(一九八..一年)一〇四.頁以下参照︒なお︑栗m隆﹁附帯控訴の法的性質(..・完)﹂関
法一..○巻κ号(一九八一年)九二頁以ドも参照︒
非独立附帯上告における訴訟費用の負担一八一(3)
一八.(4)
(8)代表的な判例として︑連邦通常裁判所(民肇大部).九κ一年一..月トヒ日決定LBGHZ4°229(240)]
論開始前におけるL告取ドげの場合︑L告人が附帯L告費川も負担すべきであると︑解されている︒ がある︒口頭弁
二連邦通常裁判所(民事大部)一九八一年三月一Im決定[BGHZ80,146]
︻事実の概要︼被告である弁護士は裁判外の処理手続において交通事故の被害者である原告の代理人をつとめた︒その
後︑原告は被告に対して︑被告が原告に不利な補償金の和解を締結したとの理由にもとづき︑損害賠償を請求した︒控
訴審は︑原告の請求の半分のみを認め︑残余の請求は原告の過失を考慮し︑棄却した︒そして︑各当事者の不服額は四
万DMを超えるものと確定された︒原告が被告による全額の支払いを求めるL告を提起したので︑被告は非独立附帯上
告を提起し︑原告の請求全額の棄却を求めた︒
一九L九年一一月..○日の決定により︑民事第六部は上告の受理を拒否した︒民事第六部は︑L告手続の費用を上告
および附帯上告の金額の割合にもとづき(したがって半分つつ)︑両当事者に負担させようとしたが︑これに対しては︑
一九L六年一一月九日の民事第=.部の決定が妨げになると思われた︒第.︑部の決定では︑非独立附帯止告が止告受理の
拒否によりその効果を喪失する場合︑L告人は附帯L告によって増加した費用をも負担しなければならないと︑判示さ
れていた︒他の民事部(たとえば民事第八部[これについNは'W111978,936を参照︒])も民事第三部のこの決定に
従っている︒それゆえ民事第六部は︑GVG一...六条により︑民事大部に判断を求めるため以ドの問題を呈示した︒
附帯上告が上告不受理によってその効果を失う場合︑L告人は非独立附帯上告によって増加した費用をも負担すべ
きか否か︒
︻決定理由︼Hこのような場合︑上告手続の費用は両当事者にヒ告と附帯上告の金額の割合に応じて負担させるべき
であるから︑大部はこの問題を否定的に解する︒
1(略)
2k告受理が拒否された場合において︑要式Lおよび期間上適法に提起された附帯上告の費用を附帯L告人白身が
負担すべき義務は︑附帯上告および受理L告の本質から明らかである︒
(a)敗訴者が奏功しなかった攻撃方法の費用を負担しなければならないこと︑したがって権利保護要求の訴訟費用
上の帰結がその奏功あるいは不奏功によって決定されることは︑訴訟費用法上の原則に合致している︒⁝⁝
(b)このような訴訟費用法hの観点からみるとき︑非独立附帯上告もまたひとつの攻撃方法である︒附帯上告人は
附帯L告によって本来の意味における上訴を提起するのではなく︑単に法律上その者に認められている権限︑すなわち
主たる上訴によって開始された上告手続においてその者から(上告受理を条件として)不服に係る判決の審査範囲を確
定する権限を行使するだけであるとしNも(BGHZ4,229,230)︑附帯上告人は単に相手方の上訴の棄却だけでなく︑
不服にかかる判決を自己に有利なものに変更することを求めていることが︑重要である︒⁝⁝
(c)このような訴訟費用法上の原則を︑非独立附帯L告によって生じた費用をだれが負担すべきかの問題において︑
判例は考慮している︒
(aa)附帯上告人は︑附帯L告自体が(たとえば要式および期間の不遵守により[ZPO五五六条])不適法である
場C=(BGHZ4,229,230)あるいは実体審査の結果奏功しえなかった場合に費用を負拠しなければならないだけではな
く︑初めから不適法である上告に附帯した場合にも費用を負担しなければならない(BGHaa0)︒附帯L告が提起さ
れたとき既に上告が取りドげられていた場合︑あるいは附帯L告人が附帯L告をL告取ドげの前に有効に提起したこと
を証明しえない場合も︑同一Nある(RGHZ17,398,399;67,305,307)°最後に︑附帯L告人が必要とされるh告取下
非独立附帯上告における訴訟費川の負担一八︒..(5)
八四(6)
げの承諾を与えた場合(ZPO五六六条︑五一五条一項)および附帯上告人自身が⁝⁝非独立附帯L告の効果を失わせ︑
実体審理がなされなくなるための前提条件を作り出した場合も︑同じように扱われなければならない(buO=N︽卜︒G︒ρ
241f)°
(bb)当大部は︑上記の原則の例外を⁝⁝次の場合にのみ認める︒上告人が自己の上告を︑被上告人が適法に附帯上
告を提起した後︑口頭弁論が開始される前に︑したがって被上告人の承諾は必要とされない状況において︑取りドげた
場合︑あるいはL告を(たとえば適時に上告理由書を提出しなかったことにより)もはや続行しえない場合である
(BGHZ4,229;vgl°auchBGHZ17,398,399;67,305,306)°このような場合︑L告人は自己のL告の費用に加えて附帯
上告によって生じた費用をも負担しなければならない︒判例はその根拠として︑これらの場合︑ヒ告人は︑自己の自由
な意思によって決定しうる︑したがって相手方は影響を及ぼすことができない法的行為によって附帯上告を失効させ︑
被上告人から︑その附帯h告に関する本案裁判を獲得する可能性を取り止げたことになるという事情を指摘している︒
(d)しかし︑このような場合と︑上告審が上告の受理を拒否したことにより非独立附帯L告が失効する場合とを対
照させるべきではない︒被上告人は︑初めから︑上告の受理が拒絶されない場合のみ彼の権利保護要求が貫徹されうる
ことを知っている︒止告人が被L告人に︑被上告人自らL告をもはや提起しえない場合において︑主たる上告に附帯す
る可能性を与えたことは確かである︒しかし︑かかる附帯上告が附帯上告人の権利保護要求の本案審理まで進行されえ
ないことは︑上告人の任意による法的行為ではなく︑L告審の裁判に係っている︒この場合︑L告審が当該問題の原則
的意義を肯定するか否か︑あるいは上告を最終的に奏功の見込みがあるものとみなしてL告受理の拒絶を思いとどまる
か否かを(ZPO五五四b条一項)︑どの程度⁝⁝上告手続に関与する者が予見しうるかの問題に立ち入る必要はない︒
いずれにせよ︑その限りでは︑両当事者は同じ状況にある︒かかる状況において︑上告不受理の場合における訴訟費用
法上の危険を附帯k告人について免れしめる理由は存在しない︒本来奏功する見込みを有する附帯上告が提起された場