岩 手 火 山 簾 の 地 形
‑′ J ' \ 岩井、平館泥流地域 の流れ山V Cつ いて 一
古 館 昭 次
Ⅰ 序
環太平洋造 山帯 の中にある 日本列 島は,火 山国であ り,種 々の火山現象がみ られるO聾者 は, 岩手火 山
(2041m)の山麓 にある小 岩井泥流地峡 と平館泥流地域 の流れ山
(flow mound)v cついて報告 してみた。 当山麓地域 も,他 の火山麓 の例に もれず,降下堆積物
(fall deposits)
と流下堆積物
(flow deposits)の卓越 している地域 であ9, 特 V C火山泥流 の顕著を地 域 と売 ってい るO この他,東北地方 V C於 ては,磐梯 山麓, 鳥海 山麓, 岩木 山麓 を どで涯流がみ られるO泥流の定義v cついては, 明確 にされている とはいえをいが, そ の原 因は単一を ものでは浸 く, 西村嘉 助V Cよれば, 「水蒸気爆発や噴火 V C 伴 う地裏,降雨, 融雪,火 口湖 の溢水, 又は温泉作用を どV Cよって既存 の火山体が破湊 し, その崩袋物が多量 の 水 と混 じて,高速 (
10‑16m/see)で山腹 か ら数
10K mも遠方へ流下 す
る現象 で
ある( 1
)」と してい る。 夜か調査 は実地調査の他,空甲写真 を利用 して行浸 った。
Ⅱ
小岩井地域 と平館地域 の地形概観
岩手火 山周辺 の地形 に関 しては, 水野裕の報告が あ 9,
(2)岩手火山麓 菅,小岩井 泥汎 青山 町泥流,滝沢泥流,平館泥流 の
4つの梶流地域
VC分けてい る。
i)
小岩井 地域
当地域 は, 岩手火山 の帝麗 v c位置 して お 9,小岩井農場 菅平心 V Cして,雫一 石盆地の排水河川 で, 北 上 川 の支流である雫石川 の河岸 V C至 る南北約 1 1K m,東西約 6K mの地域 である。 この 地域 の東側 V Cは,北上盆地 との境 を浸す第三系のL U地が あ 9,西側 V Cは,雫石川 の支流で荒川 の葛根 田川が ある。第三系 の小丘 は, 比高 と露 頭 とV Cよって流れ山 と区別 す る事が 出来 るが, 岩木山北東麓 の流れて み られ る十腰 内小丘 群( 3 ) の様を円形 V C配列す る非泥流性 の小丘群 は認 め
られ浸か ったo
ii)
平館地域
当地域 は,岩手火 山の北東麓 v C位置 し,松川 と赤川 とにはさまれた地域 であ 9,南北約 5K m, 東 西約
7K nの地域であるO この地域 の流 れ山 は, 水田の
甲VC多 く菅みる ことがで きるが, これ
払 堰止現象が生 じたためV C,
(2癌 川 の堆積物
VCかかわれているためである。 当地域 内
VCも第 三系 の小丘があるが, 愛宕山,森駄野 を どは,比高 と露頭
VCよっては っき
Pと区別 出来 る。
Ⅲ
岩手山麓の流 れ山の分布
‑7‑
i)
小岩井泥 流地域
この地域 k, 黒沢川 を境 と して, 東部 地域 と西部地域 に分 ける ことが 出来 る と思 われる。 流 れ 山の分 布 か ら流 れ山の長軸方 向 を調 こ て み る と図 の様 v cな る.
東部地 域 は,小 岩井 農 場‑
帯 にあた 9, 波状 の地形 が 顕著 であ D,偏 平 を流 れ山 が多 くみ られ るO雫 石川
に迫 る南端 で は, そ の数 は少 な くなるが, 雫 石川 の開析 谷 を抜 けて, 東部 の方 向 に
も及ん でい る事が,露頭観 察 か らわか る。 そ して流動 方 向 は, 例外 も認 め られ る が, 岩手火 山裾 野 か ら南 の 方 向であ
p, ほぼ,小 河州 の流路方 向 と一致 してい るo これ に対 して西部地域 では, 流 れ山が集 中的 にみ られ, 東部 よ 9は大 型 の ものが多 くを ってい る。 又長軸方 向 紘, 一応 雨 の方向 とみれ る が, 不規則 を ものが多 くみ られ る。 東部 では約
160, 西部 では約
140の流 れ山 を確認 で きる. 西部地域 に 接 して, 葛横 田ノ r I はミあ P, 泥 流地 域 との境 を夜 してい
るが, その両端 は零石 川 の 沖 積地 に漸移 して
あ19, 境 は 明確 ではを く在 ってい る.
ji)
平館泥流地域
全 体 怒概観 す る と, 当地
域 も, 愛宕 山 を境 と して, 北部 地域 と南部地域 V C分け る ことが 出来 る. こC L ) 地 域 の流れL U性比 高 が小 さいr Jで長軸 方 向 を調べ るの 忙容 易 でないが,
図の様 にな って い る.
北 部地域 と南部地域 とで は, 分布の違 いは詠 め られ夜 か ったが,両地域 とも小型 の翫 れ山が数 多 くみ られ, 約
300に も達 す るO 前
VC述 べた理 由か ら,流 れ山 は, 平坦 を面
VC見 られ, 小河 川 V Cよる浸食 は進ん で い夜い.長 軸方 向 か ら据流 の方 向 をみてみ ると北東 食い Lは東 の向 きで あ る と思われ るO この こ とは第三系 の小丘 と流 れ山 の分 布 をみてみ ると よ くわか る と思 われ る.
iii
) 両地域 の比較
でず, 両地域 を通 じて, 流 れ山 の数 の多い ことV C気 づ くが,特 に平館地域
VCは小型 の流 れ山 が 多 い と思 われる.次 V C,小岩井 地域 の流 れ 山は, 山麓 の援 斜面上
vcみ られ るが,平 館地域 で 紘, やや平坦 覆面 V Cみ られ る。 そ して,小 岩井地 城で は, 小河 川 に よる浸食 が み られ るが,千 館地域 托, 浸 食 され ていを い と思われ るO又, 平館据 流 地域 の流れ 山 の分布 は, 据流 の末端 と
して の特 徴が よ く出てい ると思われ る。
Ⅳ
岩 手山車 の流 れ山の内部 構造
i)
小 岩井据流地 峡
流 れ 山の露 頭 観 察 V Cよると, その内部構 造 は図 の通
Pで ある.
ク ラ ック は植物 の根 の はえた あ とを示す もので, 黒 色の火 山 砂が 降下堆積 す る以 前 V C, ‑ 時期, 租生 の あ った こと告示 し
てい る. そ して こC L ) 火 山灰 C J下部 にみ ら れ る様 に, 数c mか ら 1m程 にも及ぶ, 安 L I J 岩質 の角襟 が不規則
VCみ られ る部分が, 泥 流 C J不休 で あ る. 夜 か黒色 の火 山砂 は, 他 地域 とe J対比 には重業 であ る と思 われ ち.以下 は小 岩井 泥流 地域 の形成過程 で あ る。
泥流‑ 火 山灰 (一時植生 )‑ 黒色の火 山砂‑ オ レン ジ色 のパ ミス を含む火 山 灰‑黒色表土 の形成 o
ii)
平鹿泥流 地域
当地域 の蕗 頭観察 V Cよると,小 岩井 地 域 とは異 を 9,泥流上部 の火 山灰 が少 を く,内部
VCはス コ 1 )アが顕著 で あ 9 ,熱 を持 つ一 次的 を据流 で ある ことが うかがえ るO不規則 V Cみ られ る角裸 は, やは 9数c nか ら 1m前後 V C及ん で
‑9‑
い るO 又 これ らの角 傑 v C混 じて, 一部 では,松
川か ら掛 取され た と思われ る円疎 も見 られた。
i i i ) 両地域 の比較
まず, 小岩井地域 で榛, 火 山灰 の 多い草 が注 目され, 平 館地域 では, ス コ 1 )アが顕著 であ る 事が 注 目され る.又平 館地域 V C於 て嫁, 泥流 の上 部 V C乗 る黒色 の火 L L I 砂は確 認 出来 を か った.
夜 か角裸 は平 館地域 の万 が多 い様 に思われ る。以上 か らこの二地域 は, あ さらか V C形成 時期 奇 異 V Cす る もので ある ことが わか るが, 降下堆 積物 の違 いは噴 火 時の風 の影 響 も考 え られ るo
v 岩 手火 山麓 の流 れ 山の比高
j)
小 岩井泥流地域
東部 で 味, 比 高 10m 以上 の ものは少 な いが 西部 では, 10m 以上 の ものが多 くみ られ るO そ して泥流 の末 端 V C於 ては, 比高
教mと小 さ く在 ってい るo 又第三 系 の小丘 の比高 は, 流 れ山 のそれ をはるか に上 まわ 9, 区別 は容 易 で ある。
ii)
平 館泥流 地域
この地域 の 流れ 山の比高 は, 大部 分 10m 以 下で あ 9 , 数 m の ものが 圧倒 的 であ るo 又北部 と南部 とでは大 きを差 は認 め られ 夜か った
。又流 れ 山 とは異 を る第三 系の小 丘 は, や は 9比 高 では っ き Dと区別 す る ことが 出来 るo
Ⅵ
岩手火 山麓 と他地域 との比 較
小 岩井 泥流地域 の流れ 山の分布 は, 岩木 山北束麓 のそれ と似 てい るが,小 岩井 に於 ては波状 の地 形 が顕著 で あ p, 流 れ 山の数 も多 い.又, 平 館泥 流 の流 れ 山払 鳥海 山麓 の象潟泥流( 4 ) V c かけ る流れ 山 と似 てい る と思 われ, 平坦 を面 に点在 す る流 れ 山が数 多 くみ られる
。泥 流内部 V C
( 5ノ
角 裸 の見 られ るのは他 地 峡 と変 わ 9ないが,小岩井 泥 流 で払 翁島泥 流 よPは, 角 裸 の数 は少 を い様 である.又平 館泥 流 で はス コ l )アが は っ き
Pと認 め られ る事 は他 地域 の流 れ 山 とは異質 の もの ではをいか と思わ れ る. そ して流 れ山の比高 V Cつい ては,小岩井 泥流地域 は岩木 山北 東 麓 よ
Pは小 型 で あ 9,平 館泥 流地 域 はさ らV C小 さ く在 ってい る.
夜か泥流窪地 は,小岩井, 千 館 ともV C大 き夜 もO Jはを く,平 館泥流 地 或は岩木 山北 東麓 と同 じ様 に侵食 は進ん でい夜い とい r え る
。Ⅶ 鮭語
1
) 岩手火山麓 は泥流堆積 物 が卓越 して か9 , 数 多 くの流れ 山が み られ る。
2 / J , 岩井 泥 流 の流 れ 山は斜 面上 に分布す るが, 平館 泥流 で榛, 平坦 表面
VC分布す る。
3)
」 、 岩井 泥 流地 峡では, 火 山灰が厚 く, 層 を成 してい るが, 平 館泥流地域 では, ス コ 1 )了が 顕著 で あ 9. 火 山灰が 比較 的少をい。
4
凝 頭観 察 か ら, 小 岩井泥 流 と平館 泥流 は形成 時期 の異 を る ことが わか る。
5)
泥流 地坂 内 V C払 流れ 山 とは異 を る小丘 がみ られ るが, 露 頭観 察 と比 高 とK よって区
別で
‑10
‑きる 。
6 ) 小岩井 泥流 は, 岩木 山北東麓 の泥流 と似 ているが,波状 の地形 が顕著で あ 9,平館泥流 の 流れ山は象潟泥流 のそれ と似 て いる と思 われ る。
7 ) 泥流地域 の地形 嬢,原地形 と泥流 の性質そ して,河川等 に影 響 を受けてい ると思われ る.
鼓後 に, この論 文 を進 めるV Cあた 9, 御指導 をいた だいた横 山,水野 両教官, 八戸高専 の堀 田先 生,小野繁則 先輩 に深 く感謝致 します。
(参考文献 )
1 西 村 嘉 助 「自然地理学 Ⅱ」 朝 倉書店
2
水 野 裕
(1960)「岩 手火 山周辺地域 の地形発達」 東北 地理
12‑ 3 3小 野 繁 則
(1971)「 岩木 山北東麓 の地形」 一特 に流 れ山 V Cつい て一
弘大地 理
Vol 74
水 野 裕 (
1962)「鳥海山麓 の火山噴 出物 とそ の地形 について」
東北地 理 14‑3
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