論文審査の結果の要旨
氏名:平 井 重 徳
博士の専攻分野の名称:博士(歯学)
論文題名:In vivo micro CTを用いたBMAL1遺伝子ノックアウトマウスの下顎頭形態変化の経時的 観察
審査委員:(主 査) 教授 米 原 啓 之
(副 査) 教授 本 田 和 也 教授 飯 沼 利 光 教授 髙 橋 富 久
近年,ヒトをはじめとする哺乳動物における概日リズムの時計機構と生活習慣病,骨粗鬆症,発癌 および寿命等との関わりが報告されている。とくに変形性関節症の病因の一つとして恒常的な概日リ ズムとの関係が重要であると報告もされている。一方,概日リズムを制御する時計遺伝子のグループ の1つであるBrain and muscle Arnt-like protein-1 (以下BMAL1) 遺伝子をノックアウトしたBMAL1ノッ クアウトマウス (以下ノックアウトマウス)では,アキレス腱をはじめ,肋軟骨,椎間板,膝関節周囲 靭帯などに異所性骨形成が認められることが報告されている。しかし,ノックアウトマウスの下顎頭 の経時的形態変化や下顎頭周囲の石灰化の有無についての報告はない。そこで,本研究では,micro-CT (リガク,東京) を使用して,ノックアウトマウスの撮影を行い,恒常的な概日リズムの変化による下 顎頭の形態変化と下顎頭周囲の石灰化の有無を明らかにするため経時的観察を行った。
マウスには全て通常食を与え,生下時より生後 25 週まで飼育し,経時的に体重の計測を行った。
micro-CT撮影は,6週,10週,15週,20週,25週に行った。撮影時にはイソフルラン吸入麻酔を施
し,micro-CT撮影中はマスクをマウスの頭部に固定して,麻酔状態を維持した。25 週目の撮影前に,
全個体を炭酸ガスにて安楽死させた。
本実験の結果,以下のような結論を得た。
1. C57/BL系統のマウス12匹 (6匹のノックアウトマウスと6匹の野生型マウス) を生下時より生後
25 週まで飼育し,経時的に micro-CT 撮影することにより,従来の方法では発見できない初期の下 顎頭骨変化の観察が可能になり,また形成された異所性骨の発見も可能であった。
2. 下顎頭の形態変化はノックアウトマウスで,15週では2部位に発現し,25週では12部位中8部位 で確認された。一方,野生型マウスでは,25週では12部位中2部位であった。
3. 下顎頭石灰化と思われる形態変化はノックアウトマウスで,20週以降では12部位中2部位で確認 された。一方,野生型マウスでは,25週まで認められなかった。
4. 野生型マウスは,週齢の増加とともに体重が増加していくことに対し,ノックアウトマウスでは減 少を示した。
5. 6週と25週の下顎頭幅径の比較では,野生型は下顎頭の幅径に変化はなかったが,ノックアウトマ ウスでは増加を示した。
以上のように,本研究は,in vivo micro-CTを用いたノックアウトマウスの下顎頭形態変化につい て新たな知見を得たものであり,歯科放射線学ならびに関連歯科臨床の分野に寄与するところがある と考えられた。
よって本論文は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。
以 上 平成30年3月7日