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秋 田大学教育文化学部研究紀要 人文科学 ・社会科学部門 59 pp.73‑82 2004

仙台市を事例 とした地域 コ ミュニテ ィについての一考察

Re c ons i de r at i onofLoc a lCommuni t y t hr ought heCa s eofSe nda iCi t y

HiroshilzuMI

Abstract

Recentlytheimportanceoflocalneighborhoodcommunityhasbeenwidelydiscussedinthevari ouscontexts,relatedto globalization/localization,decentralization,localautonomy,compactcity,so‑

cialsafety‑net,socialwelfare,neighborhoodgovernment,agingsociety,butthereisafundamental questionabouthow tore‑organizeandrevitalizethelocalneighborhoodcommunicationandactivity underthesituationofindividualization,urbanization,diversifiedlifestylesandvalues,intensifiedmo‑

bilityandfluidity,Weakeningneighborhoodrelationsanddevelopingthespaceofthevirtual,which aretheconditionsofhumanbeingsinmoderncityandsociety.

Theaim ofthispaperistoreconsiderthepossibilityoflocalcommunitybasedonthelocal,through consideringthecaseofthecityofSendaiwhichisaregionalcityinJapantorevealtherecentsitua‑

tionsoflocal communities.Thispaperusesthetermthelocaltodistinguishitfrom ''locality".While

"locality"meansadistrictorneighborhood,thesiteorsceneofsomething,thepositionofathing,the localisthebasisorthefocalpoint(inasensetheTleal)ofrepresentationsoflocalarea,culture,history, tradition,people,nature,environmentetc.,sothattheidentityas"biography"ofthelocalareaandpeo‑

pleisconstitutedaroundit.Thispapersuggeststhelocalas"thecommon"isafundamental basisof constitutingalocalcommun‑ity.

KeyWords

LocalCommunity,theLocal,Neighborhood,Urbanization,SendaiCity

1. は じめに

近年, グローバル化,地方分権,地方 自治,社会的セ ー フテ ィーネ ッ ト, コンパ ク トシテ ィ,近隣政府 などさ まざまな議論 のなかで,住民 自治,近隣 自治 の基盤 と し ての地域 コ ミュニテ ィにあ らためて関心が寄せ られ, ま たその重要性 が指摘 され るよ うにな っている。 これ は言 うまで もな く, グ ローバ ル化 にお け る ロー カル な もの

(「グロ‑カル」 とも表現 され るグローバル とローカルの

弁証法的」 な過程)への関心 と符節 を合 わせ た もので あ り,経済や政治 のみな らず,多種多様 な形態 のメデ ィ アを介 した情報 や文化, ヒ トや モノ, さ らに環境問題 な ど, これ までの 「国家」 とい う枠組 みで は把捉 しきれな い ものの肥大化 と浸透 とともに,多元化 ・差異化 ・個別 化す る 「日常」 にたい して, そのよ うな枠組 みで は対応 しきれな くな っていることのあ らわれで もある。つまり,

しば しば指摘 されているよ うに,国民国家 を均質 的な も の として と らえ ることの実効性が失 われ る, あ るいはそ の矛盾が認識 され ると同時 に, グローバル化 とい うきわ めて強力 に均質化を もた らす現実 を前 に, あ らためて, お もに対面的な (現前的な)相互作用 を もとに,地域 と い うひとつの 「場」 のなかで育 まれ,長 い年月を とお し て身体化 されて きた伝統や文化, それを見守 って きた風 景や景観, さらにそのなかで 日々い となまれ, またその よ うな 「舞台」 じたいを形成 して きた人間関係 のあ り方 ,再 び」,生活 (坐) の支 え とな る ものが求 め られて いるのである。 ここで は, このよ うな ものの総体 を 「 域性」(theLocal) とい う言葉 で表現 す ることに したい。

この一方で, 日本で 「コ ミュニテ ィ」 とい う言葉 が注 目され るよ うにな った,19699月の国民生活審議会調 査部会 ・コ ミュニテ ィ問題 小委 員会 報告 『コ ミュニ テ

(2)

ィ‑ 生活 の場 にお ける人間性 の回復』で は, コ ミュニ テ ィを 「生活 の場 において,市民 と しての自主性 と責任 を 自覚 した個人 および家族 を構成主体 として,地域性 と 各種 の共通 目標 を もった,開放的で しか も構成員相互 に 信頼感 のあ る集団」 と定義 し,「コ ミュニテ ィの不毛 の 状態 が,人間性 を回復 し,生活 の豊か さを実現す るため の大 きな障害 とな っている事実 を憂慮」 して,「い まだ 形 をな していない コ ミュニテ ィ」 を形成す る方策 を提起 したのであ る (兼 田 2002:263)。 あ らゆ る もの に対 す る 「再生」へ向 けた 「関心」 と同 じよ うに,地域性,地 域 コ ミュニテ ィへの関心 はその当初か ら,喪失, さ ら

に 「いまだ形 をな していない」 ものに もとづ いていたの であ り, この ことは現在 も, そ しておそ らく, これか ら も変 わ ることはないのであ る。

さて, この地域 コ ミュニテ ィにたい して は, お もに町 内会や 自治会 などの イメー ジか ら,「個 人 の 自由 に と っ ての梗桔」 とい うイメー ジがつ きまとっているが,以上 の よ うな ことか ら,今 日で はその肯定的な側面 が見直 さ れ るよ うにな ってい る。尾崎一郎 は,つ ぎのよ うに指摘 している。「家族 に して も地域社会 に して も, 依然 と し てそれが個人 の 自由にとって桂桔であるとい うイメー ジ (かつてのイエ制度的家父長制や隣組 的相互 監視 が典型 的 イメー ジであろ う) が残存す る一方 で, その社会的機 能 についてのさまざまな レベルか らの再評価が行われ=・ コ ミュニテ ィとい う言葉 はまさに旧来 の抑圧的なイメー ジとは一線 を画 した新 しい地域社会 を指すために使 われ て いるとい って よい」 (尾崎 2002:756)

しか し,地域社会, さ らに家族 が再評価 される一方で,

家族 と地域社会 につ いてその機能 的評 価 はむ しろ再 び 高 ま りつつあ る中で,現実 には 『解体』が進 んでい る」

(尾崎 2002:78)。つ ま り,解体」 しているもの, あ る いはそ もそ も 「喪失,「いまだ形 をな していない」 もの に, あ らたな社会 の基盤,本体的な人間性 や生活 のあ り 方 を求 め るとい う昨今の,さらにはこれまでの地域 コミュ ニテ ィにつ いての議論 には,根本的な矛盾が内在 してい ると言 え るので ある。 したが って,「地域 社 会 が社 会 の 自然的な基礎 的単位である (べ きである) とい うことを 暗黙 の うちに前提 とす る」 ことは,「自明性 を失 って お り,少 な くとも現実 の生活者 には共有 されていない と言 わ ざるをえない」 (尾崎 2002:85)という状況のもとで, 地域 コ ミュニテ ィを どのよ うな もの として構想 しえ るの

かが, きわめて重要かつ避 けることのできない問題になっ て いるのであ る。

住民 の ライ フスタイル と (利害)関心が, きわめて多 様 な もの とな り, それぞれの 「住民 の生活空間のあり方」

が 「職場 と住居 の分離 は言 うまで もな く, おな じく近 隣 空間を主 とす る家庭 の主婦 であ って も, その生 きてい る

空間 は多様 に分化 している。 た とえ住居が近接 していた として も,共通 に生 きる空間 はごく一部 である」 (玉野 2000:103)とい った, とりわ け都 市部 にお いて端 的 に 見 られ る,生活空間 (い うまで もな く, それ は建築 の形 態 と場所 に結 びつ いてい る) の拡大 と多様化 ・個別化, 移動性 ・流動性 の増大, さ らに この ことに起因す る,住 民相互 の関係 と地域 にたいす る愛着 の希薄化 は, かな ら ず Lも 「今 日」 の生活 に特有 の もの というわけではない。

それ はあ る意味で,政治,経済 と結 びつ いた 「近代」 に おける都市 の形成 と拡大 にそ もそ も内在 されていた, い わば近代 における都市 とそ こでの生活,文化 の 「条件」

とも言 え るものなのである。

このよ うな都市 における人 び との関係,精神 のあ り方 について, ゲオル ク ・ジンメルはす で に100年 前, その きわめて有名 な論文 「大都 会 と精 神生 活」 の なか で,

理知志 向」 と,差異 にたいす る無関心 な 「投 げや りな 態度」 とい う点 か ら論 じて い るの は周 知 の こ とで あ る (Simmel1903‑1999)。 多種 多様 で大量 の モ ノ と見知 らぬ ヒ トたちが, どこか らともな く集 ま り,急激 な リズ ムで活動 し, めま ぐる しくイメー ジの移 り変 わ る都市 に あ って は,区別す る存在 としての人間,つ ま り物事 や 事象,他者 たちを範噂 に区分す ることで理解 し (無害化 し),処理す ることによ って生 きてい く人 間 は, みず か らの神経 を消耗 か らま もり,都市 のなかで生活 して い く ために,他者や物事 にたい して無関心 に,つ ま り 「投 げ や り」 であ らざるをえない。 このよ うな関係 を ジ ンメル は,貨幣経済的な関係 (交換価値 の関係), 計 算 に もと づ く理知志 向の関係 と して描 き出 して いるのであ るが, ジンメルはこの都市 における生活 と,小 さな町や田舎で の,顔見知 りの者 ど うしの,情緒 と感情 にあふれた, ゆ るやかな リズムに もとづ く生活 とを対比 させ るのである。

さ らに リチ ャー ド・セネ ッ トは, このよ うな都市 に見 られ る文化的諸問題,つ まり 「非人格性」,疎外」, 淡 さ, それぞれの場所 の特性,固有 の色彩 を奪 う もの であ る都市空間の無色化 には,人 び とが 「刺激のない場」

を望んだ とい う精神的理 由 も存在 していた と指摘 して い る。 ジ ンメルが差異 にたいす る無関心 と して言 い表 して いたのは, まさにこの ことであるが, セネ ッ トの指摘 に 見 られ るよ うに, それ はかな らず Lも人 び との精神 のあ り方 だけに反映 され るもので はない。今 日, どこの都市 も似かよ った ものにな って しまい,駅前 には同 じよ うな 店舗が並 び,個性 がない としば しば批判 され,外観 と し ての, あるいは生活 の 「質」 を担 うもの と してのそれぞ れの場所 の個性, つ ま り町並 みや景観 が重要 なテーマに な ってい るが, この都市, あるいは街の空間の均質化 は, たんなる合理性や経済性 の問題,画一 的な 「悪 しき」近 代都市計画 の問題 と してのみかたづ け られ るもので はな

‑ 74‑

(3)

和泉 :仙台市を事例 とした地域 コ ミュニテ ィについての一考察

いのである。「われわれの都市建築 に特徴的 なの は, 人 びとの問の差異 を隔て ることであ り, この ことは差異を 相互 に刺激 を与え るものではな く,脅威を与えるものと 想定 しているのである」(Sennett1990:ii)(1)

都市的な」生活様式が, もはや都市居住者の生活 に 限定 され るものではな く, また以上のような近代の都市 とそ こでの生活 (とそのさ らなる展開), 絶 え ざる移動 性 と流動性,「スロー」であることが守 られ るべ き希少 価値 ともな っているテ ンポで動 いているグローバルな世 罪, これ らの ことが もた らした 「大多数の住民の生 きる 空間が相互 に重 な り合 っていた古典的なコ ミュニテ ィに おける自治 とは根 本 的 に状況 が異 な ってい る」 (玉野 2000:104)ことを 「前提」 に, どの よ うに都市 を含 む

地域」 と, そ こでの 「コ ミュニテ ィ」 の姿 を描 き出す ことがで きるのかが,今 日の地域 コ ミュニテ ィ論 の課題 なのである。

そ こで本稿で は,仙台都市総合研究機構が行 った仙台 市 における地域 コ ミュニテ ィについての調査研究を もと に,地方中枢都市仙台の地域 コ ミュニテ ィの現状 と問題 点 を明 らかに し,つ ぎにそ こで明 らかにな った ことを通 して,地域性」 に もとづ く地域 コ ミュニテ ィの可能性 について考えてみたい(2)

2.地域 と住民 とのかかわ り 2. 1 居住年数 と定住意向

まず,平成12年度 と平成13年度の 『仙台市民意識調査』

か ら,仙台市 における市民 と地域 とのかかわ りを示 した い くつかの調査結果を見てお きたい (仙台都市総合研究 機構 2001,2002)(3)。仙台の市域 は,政令指定都市 のな かでは札幌市 につ ぐ第2位 の広 さとなってお り, 垂わめ て広範囲であるために,以下の数値 に,「市 内」 の各地 域でのかな りの格差 が見 られ ることは言 うまで もない。

さて,仙台市 における住民 の居住年数 は,以下 のよう にな っている (2.1)

仙台市 に20年以上在住 して い る長期居住者 が全体 の 65.2%を占めているが,「生 まれ なが らの」 仙 台在 住者 は26.1%,全体の約4分の 1であ り, これは年 々減少す る傾向にある。 また,転入者 の仙台市 に居住す る前の居 住地で は,宮城県内が24.5%,東北地方 が12.3%, 首都 圏 (1都3県)が15.6%にな っている。 仙台へ の転入 の 理 由は,「自分や家族 の仕事 の都合」が60.1%,結婚」

が13.4%,就学」が9.5%にな っている。仙台市 は, 他 の政令指定都市 と同様 に,市民 の転出入の多 い都市であ ,20年以上 の長期居住者の割合や5年未満の短期居住 者 の割合 には,札幌市や福岡市 などと類似 した傾向が見

られ る (仙台都市総合研究機構 2001)0

このよ うに転 出入が多 い ものの,仙台市民の仙台市内

2.1仙台市での居住年数

出典 :仙 台都市総合研究機構 (2002)

での 「定住意向」 は82.1%であ り,「現住地」 での生活 環境 について も,73.3%が 「満足」 あるいは 「まあ満足」

と答えている。 しか し, この 「現住地での」定住意向 も 年 々低下 して きてお り,市内のよ りよい場所や利便性 の 高い場所への転居希望が,平成12年度で は14.3%で あ っ たが,平成13年度では,19.5%と増加 している。 また若 い世代 ほど,市内,市外への転居を希望す る割合が高 い とい う傾向が見 られ る。

2. 2 「自分のまち」の範囲

つ ぎに,住民がどの くらいの範囲を 「自分 のまち」 と 考えているか見てみる (2.2)0

2.2 「自分のまち」 と意識す る範囲

出典 :仙 台都市総合研究機構 (2001)

ここか らわかるように,「自分のまち」 と して感 じる 範囲 として,仙台市や区全体など広域 をあげている人が

(4)

41.2% い る一方 で, 隣近 所 か ら中学校区程度 の歩 いて い け る範 囲 (「徒歩圏」)をあ げた人 も40.9%と, ほぼ同 じ 割 合 にな って い る。

「自分 の ま ち」 と して意 識 す る理 由(4)は, 全 体 で は

趣 味 の活動 や シ ョッピングな どの 日常 生 活 圏 だ か ら」

とい う理 由が もっと も多 い が (33.0%), 徒 歩 圏 を 「自 分 の まち」 と して あげ る人 ほど,「親 族 ・友 人 ・知 人 な どが い るか ら」,町内会など地域活動 を一体的におこな っ て い る範囲 だか ら」 とい う理 由をあげ る割合が多 くな っ て い る。一方,広域 を 「自分 の まち」 と して あげて いる 人 で は,上記 の 日常生 活圏 や,職場 ・学校 が あ るとい う 理 由が多 くな って い る (仙 台都市総合研究機構 2001)0

この よ うに,「人間関係」 と 「日常 の生 活 圏」 が, あ る地域 を 「自分 の まち」 と して意識 す る理 由の大 きな部 分 を 占めて い る ことがわか る。 しか し, この 「自分 のま ち」 の意識 と理 由 は, か な らず Lも固定的 な もので はな く,誰 か ら聞 かれて い るのか (いか な る選択肢 が与 え ら れてい るのか), ど うい う文脈 で問わ れ て い るのれ に向か って語 るのか によ って変化 す る ものであ ると も言 え るので はなか ろ うか。 また人間関係 も日常生活圏 もと

もに空 間的 に拡張 し, 日々の生活 のなかでの 「地域」 に た いす る意識 の比重 の低下 が,現代社会 の特質 にな って い る。 したが って, そのなかで 「自分 のまち」 の意識 を どの よ うに形 づ くるのかが,「地域」 と 「地 域 コ ミュニ テ ィ」 の重要 な テ‑マ とな るので あ る。

2.3 地域 での活動

地域 にお け る コ ミュニテ ィや人間関係 の必要性 につ い ての考 え方 は, つ ぎの よ うにな ってい る (2.3)0

2.3地域 との関わ り方

ふ だんか らの交流 が大切 とす る もの と,面倒 で もっ き あいを して おいた方 が いい とい うのを合 わせ ると, 約8 割 の人 が地域 の人間関係 を必要 な もの と見 な している(5) ただ しこの一方 で,約6割 の人が地域 の活動 を見直す必

要 があ るとも考 えて い る。 また年齢 が高 くな るほ ど近所 づ きあいを重視 す る傾 向があ るが,年 齢 が高 くな って も 子供 のいない人 は,地域 の交流 にたい して消極 的 にな る 傾 向が あ り,子供 の有無 によ って地域 の交流 にたいす る 考 え方 に違 いが見 られ る (仙台都市総合研究機構 2001)

つ ぎに,地域 での個 々の よ り詳細 な活動 につ いて,覗 在 の取 り組 みの状況 と今後 の必要性を見てみ る (2.4)

下 の表 か らわか るよ うに, 今後,地域 の取 り組 み と し て必要 だ と考 え られて いるの は,高齢者 と障害者 の支援, 防災 と災害 時 の活動, 自然環境保護,環境美化, リサ イ

クルな どであ り,福祉」,環境」,「防 災」 にか か わ る 活動 が重要 であ ると見 な されて い る。 この一方 で,実 際 に現在行 ってい る活動 は,地域 の清掃 や子供 にかかわ る 地域 の行事 であ ることがわか る。

2.4現在参加 している活動 と今後必要 にな る活動

現 在 参加 して い る地 域 活 動 割合(%)

古米回収などリサイクルに関する活動 43.8 ごみ集積所や公園の清掃などの環境美化活動 39.5 お集りや運動会など地域の交流を図るための活動 29.2

慶弔行事‑の相互協力 14.6

地域の文化 .スポーツに関する活動 ll.9 子育て支援や子どものための活動 10.2

防犯や交通安全に関する活動 9.0

防災活動や災害時の救援 .救助活動 6.6 河川清掃や植樹などの自然環境保護活動 6.3

今 後 必 要 に な る地 域 活 動 割合(%)

高齢者や障害者の在宅支援に関する活動 4畠.1 防災活動や災害時の救援 .救助活動 34,2

防犯や交通安全に関する活動 33.5

河川清掃や植樹などの自然環境保護活動 31.0 ごみ集積所や公園の清掃などの環境美化活動 28.4 古米回収などリサイクルに関する活動 272 地域住民の声をまとめて、行政に伝えていく活動 25.6 子育て支援や子どものための活動 23.5 地域のまちづくりを考え、実践していく活動 21.1

出典 :仙台都市総合研究機構 (2002)

以上 が,仙台市全体 での地域 と住民 とのかかわ りの現 状 で あ るが, つ ぎに仙 台市 の6地区 (小学校 区) につ い て, よ り詳 しくその現状 と問題点 を整理 してみ たい。 こ

‑ 76‑

(5)

和泉 :仙台市を事例 とした地域 コ ミュニテ ィについての一考察

3.1仙台6地区の地域特性,現状,問題点

旧城 新 規 設 計 団 地

・戦災にあわず、旧城下屋が残っ てい るo ・40年 代 行 政 主 導 で 建 設 ○

・近 年 、集住宅乱立によみ が 急 激 に変 化 o ・戸 建 と集 合 住 宅 の計 画 的 隔 離 o・シ ョ ッ ピ ン グセ ン ター 機 能 を団 地 の 中 央・交 通 が 不 便 〇・空 教 室 を利 用 した コ ミュニ テ ィセ ン ターが あ るoに集 積 〇

・旧住 民 と新 住 民 の乱 榛 ・戸 建 .と集 合 住 宅 の住 民 間 の 交 流 が 希 薄 ○

・住 民 同士 の関 係 が 希 薄 ・町 内 会行 事 の 参 加 率 低 下o

・新 住 民 が 町 内 会 に無 関 心○ ・町 内 会 主 導 の行 事 運 営 に批 判 的 な若 い 住

・町 内 会 役 員 の な り手 が い な いo 民 層 増 加 o

・連 合 町 内 会 長 の力 が 強 い○ ・町 内 会 役 員 の 担 い手 が い な い○

・地 域 と学 校 の連 携 が 見 られ る (学 校 行 事 、 総 合 ・商 店 街 の 不 振 (大 型 店 、 ロー ドサ イ ドシ

学 習 ) ヨ ッブ に 客 を と られ て い る)o

・学 校 、子 供 会 な ど と共 同 の行 事 の参 加 率 は高 い ○ ・住 民 の新 陳 代 謝 が な く少 子 高 齢 化 ○

・商 店 街 の 不 振 (地 域 住 民 との 薪 能 )o ・高 齢 の豊 富 な人 材 を生 か しきれ て い な い o

都 心 部 農 村 と住 宅 地 の 混 在 地 区

・藩 政 時代 か らの商 家 が あ る○ 地形の起伏激しが、 ・新 興 住 宅 地 (農 耕 地 ‑ 住 宅 地 )o

・戸 建 住 宅 、店 舗 付 住 宅 の減 静な住宅地(国家員住 ・集 合 住 宅 も 目立 つ ○ 少 、 集 合 住 宅 、 オ フ ィ ス 、 ) ・持 ち家 率 が低 いo 駐 車 場 の増 加 Q ・文 教地区 ・人 口の急 激 な増 加 o

・町 内 会 法 人 会 員 が 多 い Q ・中 心 市か ら遊 離 ○商 業 ・若 い フ ァ ミ リー 層 中心 ○

・人 口減 少 B 施 設 な し○ ・子 供 が 多 い○

・単 身 世 帯 が 多 い○ ・持 ち家 率 が低 いQ ・商 業 の集 積 な Lo

・コ ン ビニ が集 積 o ・人 口減 少 o ・ロー ドサ イ ドシ ョ ップ 群 の成

・単身 世 帯 が 多 い . 長 ○

・旧住 民 と新 住 民 の 意 識 の ず ・町 内会 と 自治 会 の分 離 〇 日 ・学 校 、地 域 に対 す る意 識 が 希

れ ○ 治 会 の唐 束 が 強 い○ 薄 B

i..: ・町 内 会 と 自治 会 の分 離 o ・住 民 の入 れ 替 りが激 し く、 ・旧住 民 と新 住 民 の車 離 ○

・町 内 会 役 員 の 高齢 化 ○ 地 域 意 識 が 乏 しい○ ・町 内 会 と 自治 会 の分 離 o

・地 域 と学 校 の つ な が りが 強 ・地 域 活 動 の弱 体 化 ○ ・学 校 と地 域 の連 携 の模 索 ○ 学 く、諸 組 織 の連 携 が あ るo ・地 域 と学 校 のつ な が りが 強 校 教 育 と生 涯 教 育 の 融 合 o 地

・町 内 会 が 率 先 して 学 校 ‑ 関 い ○ 諸 粗 放 の連 携 が あ る○ 域 協働 型 事 業 の 展 開○

わ る姿 勢 が あ る○ ・新 住 民 も子 供 を介 す る こ と ・ロー ドサ イ ドシ ョ ップ 群 の オ

・児 童 数 減 少 o で 、地域 ‑ の 関 わ りを見 出 ‑ ナ ‑ の 地 域 貢 献 意 識 が 希

・地 域 商 業 と住 民 の 関 係 が 希 して い る○ 薄 ○

薄 q ・将 来 の 少 子 高齢 化 の 懸 念 が あ

(6)

旧来の核利用 の団地 周辺部

・昭和30年代後半に建設 された住宅団地○ ・昭和50年代 よ り都市計画で町の 中心が移動 さ

・勾配がきつ く、道幅 も狭いo れ、中枢機能の集積地が再編 され る.

・短大が移転 し、アパー トが空家 にな るo ・商業施設 が集積o Lか し、地域密 着型 は少な

・集合住宅や さら地が 目立つ○ い8

・商業施設 が集積o業種 に偏 りが ある○ コン ・公共施設 はあるが、住 民優先ではないo

ビニは少 ない○ ・仙台北部 の交通の要衝○

・集会所 と市民セ ンター以外 に文化教養施設 ・集合住宅 の急増○

がない○ ・単身世帯 も多いo

帯牌 ・少子高齢化 していたが、近年、集 合住宅建 ・新住民の増加○

設 によ り住 民が流入 し、児童数 も増加o ・住民の帰属意識が低いo

・新住民、若年層の町内会‑ の意識が低いo ・新住民の町内会‑の関心度が低 いo

・町内会役員のな り手がいない. ・町内会 と自治会の分離○

・町内会 と自治会の分離o ・一般住民 と学生 の乳樺o

・地域 の協力 による総合学習活動が実施 され ・町内会役員のな り手がいない.役 員の高齢化o

てい る○ ・学区が広いため、児童 、父兄 の連帯感が希薄○

・商店街振興組合活動は活発○ ・連帯感維 持のた め、学校 が意識的 に行事 な ど

・商店街 は地域住民向 けの活動 を してい る ( を開催.

店街主導 の高齢者 向けサ ロンの運営○頼調 ・地域 と連携 した総合学習活動 もある○

でない) ・新住 民の子供会活動は盛ん○

・大型SC、ロー ドサイ ドシ ョップの影響 で閉 ・新住 民を巻 き込んだ事業展開 を してい る町内

(仙台都市総合研究機構 『新 しい地域 コ ミュニテ ィの形成 に向 けて』 よ り作成)

こで小学 校区 を地域 のひ とつ の範 囲 と して設 定 して い る の は, つ ぎの理 由 によ る。 これ までの行政 の基本計画 で は‑ ー ドの整備 を主 眼 に して お り, ‑ ー ドを平等 に設 置 す るに は中学校 区が限界 で あ った。 しか し近年, よ り対 面 的 な人間関係 が可能 な地域 の範 囲 と して, 小学校 区が 地域 コ ミュニテ ィの単位 として位置づけ られ るようにな っ て きて い るので あ る。 しか し, この地域 の範 囲の設定 の 仕方 に問題 がな い とい うわ けで はない。地域 は, たん に 何 らかの 「規模」 を もとに定 め られ るよ うな もので はな いか らで あ る。 ただ し,上述 の よ うに

,

「日常 生 活 圏」

が 「自分 の まち」 と感 じられ る理 由の重要 な ものにな っ て い る ことか らす ると

,

「日常生活 圏」 を形 成 す る とい う意 味 において,小学校区 のよ うな 「設定」 された地域 の単位 が重要性 を持 っ場合 も多 々あ るであろ う。 とくに, 地域 の交流 を生 み出す うえで子供, と くに小学生 が重要

な契機 にな って い る。 しか し, それ は上述 の 「地域性」

とはか な らず Lも重 な る もので はない とい う点 を考 慮す る必要 が あ る。

3.仙台市 内6地 区の現状 と問題点

地域 コ ミュニテ ィにつ いて考 え る場合, それぞれの地 域 の歴史 や成 り立 ち,住民 の構成 や立地 な ど とい った特 性 を考慮 に入 れ る必要 が あ る。 そ こで,仙台市 の地域 コ

ミュニテ ィを

,

都心部」・「旧城下」・「周 辺 部 」・「農 業 と住宅地 の混在地域」・「旧来 の核 を利用 した団地」・「新 規設計 団地」 の6つの類型 に分類 し, そのそれぞれか ら

1地域 を選定 し, その特性 と現状, さ らに問題 点 を ま と めた ものが上 の表 で あ る (3.1)(6)

この表か らわか るよ うに, それぞれの地域 の立地 や成 り立 ち,歴史 や町並 みな どの特徴 の違 いにもかかわ らず, これ らの6地区 は, かな り共通 す る問題 をかかえて い る ことがわか る。 まず,地域 コ ミュニテ ィに と って もっと も重大 な問題 と言 えるのは,住民相互の関係が希薄 にな っ て い るとい うことであ る。 これ は,古 くか らの住民 と新 しい住民,戸延 と集合住宅 の住民,住民 の世代 の違 いの よ うに

,

「居住年数」 や 「居住形態

,

「年 齢 」 とい った ものが, その地域 にたいす る愛着 や考 え方, ライ フス タ イルの違 いを生 み出す ことで,住民 間 の 「認識 のず れ」

を生 じさせて い る。一般 に新住民 や若年層 が町内会活動 や地域 に無関心 で あ り,地域 にたいす る帰属意識 の欠如 が見 られ る。 また町内会 の担 い手 が不足 し,役 員 も高齢 化, 固定 化す るとい う傾 向 は, いず れの地域 にお いて も 且 られ, これ は町内会 につ いて しば しば指摘 されて きた 問題 で もあ る。 さ らに,地域活動 の拠点 とな る施設 が な い とい う問題 をかかえ る地域 もあ るが,学校 と地域 が学 校行事 や総合学 習で連携 し,学校 を拠点 と した地域 の交

ー78‑

(7)

流 が ほとん どの地域で見 られ るよ うにな ってい る。

この一方 で,地域 の 「地元 の」商店街 は,郊外 の大型 シ ョッピングセ ンターや ロー ドサイ ドシ ョップ, コンビ ニの台頭 によ り,不振であ る地域 が ほとん どである.〟

見, にぎわ って いるよ うに見え る仙台市 の7‑ケ‑ ド沿 いの商店街 も,地元 の」商店 は不振 で あ り, 老舗 が姿 を消 し,全国展開の店舗がつ ぎっ ぎと進出 してきており,

「ど こにで もあ る」, あるいは 「どこかわか らない」商店 街 にな りつつあ るとも言 え る。 この ことは地域 の行事や 祭 りな どに も影響 を与 えてい る。

さて,以上 のよ うな地域 における問題の背景 としては,

集 合住宅 (新住民) の増加」,住民 の流動性 の増大」,

少子高齢化」 があ り, あ らゆ る側面 で の人 び との 「認 識 のずれ」, あるいは多様 で個別化 され た価 値観 が問題 の根底 に存在 してい る。 しか し, この 「ずれ」 は, な く せ る もの とそ うでない ものがあ ることは言 うまで もない。

商店街 における個 々の商店 の品揃えなどにたいす るニー ズの 「ずれ」 は, あ る意味で は小 さ くす ることも可能で あろ うが,地域 にたいす る個 々の人 の考 え方 の 「ずれ」

は,解消で きるた ぐいの もので はない。 そのよ うな 「 れ」 を解消 しよ うとした場合, それ は抑圧的な もの,価 値観 の押 しつ けとな り, さ らに 「ずれ」 を拡大す ること にな るであろ う。 このよ うな 「ずれ」, 多様 な価値観, 異 な る考 え方 の存在を前提 として,どのような地域 コ ミュ

ニテ ィ像 を構想 で きるのかが,地域 に自治が もとめ られ るなかで重要 かつ危急 と言 え る課題 なのである。

4.おわ リに:地域性」にもとづ く 「地域 コミュニティ」

の可能性

人 び とが他者 にたい して 「無関心」 で,情緒や感情で はな く 「理知」 で対応す ること, この ことはジンメルが 述 べてい るよ うに,近代都市 の 「精神生活」 の特徴であ り, さ らにセネ ッ トは,差異」 を 「脅威」 と と らえ る のか近代郡市 の特徴 だ とさえ述べていた。 このよ うな都 市 についての理論 的 と言 われ る洞察が, いかな る現実 の 多種多様 な地域 において もあて はまるとい うわけで はな いが, しか し 「個人主義的」 と呼ばれ るライフス タイル が浸透 して いる状況 において,以上 の事例か らも明 らか な よ うに,近隣の住民間の人間関係 の希薄化, それを積 極的 な選択 と している多 くの人たちの存在 を抜 きに,地 域 の問題 を考 え ることは もはや困難 であ る。 た しかに, NPOや 「ボ ランタ リー ・セ クター」 な どの活動 が活性 化 しつつ あ るとは言 え,尾崎のつ ぎのよ うな指摘 はきわ めて重要 な ものである。「それぞれの問題 につ いて, 熱 心 に取 り組 む人 々の グループがいるとい うことは,逆 に それぞれの問題 につ いて格別 コ ミッ トしよ うとは しない 人 たち も多数 いるとい うことであ る‑‑・いわゆる市民運

動や ボランタ リー ・グループ間の, あるいはそれ らと町 内会などの伝統組織 との 『相互浸透』 に, よ り包括 的な 連帯 の 『可能性』 を兄 いだそ うとす る議論 もないで はな い。 しか し,都市 において重要 なのは, む しろそのよ う な 『ネ ッ トワーキ ング

相互交流』 の外, す なわ ちそ こか ら意図的 に降 りている (あ るいは入 るには敷居 が高 い‑ なんだか コワい‑ と感 じてい る)多数 の 『一般 住民』 の存在 なので はないか=‑・こうした 自発的活動 に コ ミッ トしている人々が使命感 に燃 え熱心 にその意義 を 周 りに説 けば説 くほど,相手 はそれを趣味や生 き甲斐 の 押 しつ けととって しま う (か ら余計説教 に熱が こもる) とい う相互無理解, ひいて は相互排除 の悪循環 が成立 し がちである」 (尾崎 2002:857)0

それで は, このよ うな状況 のなかで, どのよ うな地域 コ ミュニテ ィの可能性 を考 え ることがで きるのであろ う か(7)。 まず, ここであ らためて,地域」 と 「地域 コ ミュ ニテ ィ」 の定義 を確認 してお きたい。 『新社 会学 辞 典 』 で は,地域」 と 「地域 コ ミュニテ ィ (地域社会)」 を以 下 のよ うに定義 している。 「地域」 とは 「政 治, 経 済, 社会,文化等 の諸過程,諸契機 に基 づ いて相対 的 に自立 した一定の空間的領域 をさす・‑‑ この空間的広 が りに社 会的連帯 (共同性) が認 め られ,上記 した諸機能が相互 に重 な り相対的統一性 を もつ場合,言 い換 えれば一定 の 共通性 を もつ部分社会 とな っているとき, それを地域社 会 (コ ミュニ テ ィ) とい うこ と もで き る」 (森 岡他 編 1993)

相対的な自立性」, この ことが 「地 域」 と 「地 域 コ ミュニテ ィ」 の定義 の鍵 となるもので ある。 したが って ここで は, ある特定 の物理的な範囲 (土地 の区画 と して の地蟻)で はな く, む しろ人び との活動,営為 (現在 の みな らず,過去 の ものを含 めて)が問題 にな ってい るの であ り, その基盤 として 「場所」 がある意味を持つ とき, それ は 「地域」 とな り, そ こに 「地域 コ ミュニテ ィ」 が 見出 され るとい うことになる。

た しかに,上述 のよ うに, ある地域区分 の設定, と く に行政的な区分が, このよ うな相対 的な 自立性 の形成 に 大 きな影響 を与え ることは言 うまで もない。 しか し, こ の自立性 にたいす るいち じるしい侵食作用が,近代社会, と くに近代 における都市 の特徴であ り, さ らに グローバ ル化の不可避 的な帰結であるとすれば, また グローバル 化 によ って (は じめて) ローカルな ものが注 目され ると い う相補的な過程 を考慮すれば, もはや このよ うな 「 治,経済,社会, 文化等 の諸 過程, 諸 契 機」 にお け る

相対的な自立性」 に,地域 と地域 コ ミュニテ ィの支 え を もとめることは困難であ ると言 わざるをえない。 それ で は, い ったい何 に地域 と地域 コ ミュニテ ィの基盤 とな るものを もとめる可能性 が残 されているのであろうか(8)

(8)

「コ ミュニテ ィ」 とは,何 らかの ものの 「共有」 によ り成 り立 つ ものであ る。 したが って, それ はたんな る交 流 や連携 で もなければ,親睦で もない‑ た しかに, こ のよ うな結 びつ き, コ ミュニケー シ ョンにおいて 「共有 され る もの」 が見 出 され るとはいえ。 また, た とえば, 人 び とが何 らかのテーマや問題 (イ シュー) を共有 し, ともに何 らかの活動 をお こした とき, それは 「テーマ型

や 「ネ ッ トワー ク型」 と言 われ るコ ミュニテ ィを形成す ることにな るが,実際の活動 の中心 が地域 にあ り,地域 の問題 に取 り組 む ものであると して も, その性格上, そ のよ うな コ ミュニテ ィはかな らず Lも地域 に もとづ くも の とはな らない (地図 にない コ ミュニテ ィ」)。 さ らに, そのよ うなテ‑マや問題,関心の共有をもとに したコ ミュ ニテ ィにおいて は,尾崎が指摘す るよ うな 「相互排除の 悪循環」 が作 り出 され る傾向 にある。 それで は, そのよ うな相互排除 を生 まず, かつ人 び との流動性, グローバ ル化 などをふ まえた うえで,地域 において共有可能 な も の とはい ったい何 なのであろ うか。 その可能性 のひ とっ とな るのが,地域性」(theLocal) と して の地域 の ア イデ ンテ ィテ ィである。

このいわば 「場所」の持つ,地域 としてのアイデンテ ィ テ ィは, あ る地域 をその地域 とす る もの, つ ま りその地 域 「らしさ」 とな るものであるが, それ は共有可能 な も ので あると して も, そ こに住 む人 たちにたい して, それ への同一化 を もとめ るとい ったた ぐいの もので はない。

それ は, その地域 にたいす るイメー ジであ り, こうあ っ て欲 しい とい う姿,願 い, こうあ ったはずであるとい う 思 いであ り, さ らにそのイメー ジや思 いを形成す る景観 や風景,環境,町並 み,文化や伝統,歴史, さ らにはそ こに住 ま う人 たち,人間関係 の (イメージの)総体か ら 形成 され る ものである。 しか し, それはイメー ジだか ら とい って,現実 と無関係 の もので はな く,現実 との関係 か ら作 り出 され るものであ るが, ただ し, そのイメー ジ と現実 がかな らず Lも一致す るとい うわけで はない。 あ る意味で,現実 とのギ ャップ,喪失」 (主体 のアイデ ン テ ィテ ィな どとのアナ ロジーを使えば,脱中心化,遡及 的構成 と言 われ るもの) が, まさにそのイメー ジ, アイ デ ンテ ィテ ィを形成 してい ると言 え るのである(9)0

したが って, このよ うな 「地域性」 と してのアイデ ン テ ィテ ィは, あ る意味で現代社会 (近代) における個 々 人 のアイデ ンテ ィテ ィのよ うに構築 され ることになる。

ア ンソニー・ギデ ンズは, このよ うな現 代社 会 にお け る 人間 のアイデ ンテ ィテ ィが 「自伝」 として,つ ま り自分 に自分 を語 るひ とっのス トー リー,物語 と して形成 され ると述べて いるが (Giddens1991),地域のアイデンティ テ ィもまさにそのよ うな もの と して,地域 の伝記,物語 とい うかたちで形成 され ることになる (ただ し自伝 とい

うかたちで はな く)。 また現代社会 にお け る個 人 の ア イ デ ンテ ィテ ィが, グローバルな ものの影響 のなかで,多 種多様 な もの との関係 と取捨選択,距離 を取 ることか ら 紡 ぎ出 され, そのなかでたえず作 り直 されてい くもので あるよ うに,地域 としての アイデ ンテ ィテ ィも, グロー バル化 によって探欄 され るもので も, また グローバルな ものに背 を向 け, 内 向 きにな る もので もな い。 ま さに

「グローカル」 とは, この ことを意味 しているのであ る。

したが って,地域性」 は,伝記, 物語 と して, 人 び とによ って イメー ジされ,語 られ るものであるとして も, それ はある特定の集団 に属す るもので はな く, それ はそ の場所 じしんにあたか も属す るかのよ うに, しか しつね に人 びとの手 を介 して さまざまな形 で語 られ, かたちを 変え ることで受 け継 がれ ることになる。 さ らに, それを 語 るのは, かな らず Lもそ こに住 む住民 にか ぎ られ るこ

とはないのである。

このよ うな 「地域性」 が創 り出 された場合, そ こにお いて行われ る多種多様 な活動 は,具体的な関心,テーマ, 問題 は個 々別 々の ものであ った と して も,その 「地域性」

を紡 ぎ出す複数 の糸 と して展開可能,位置づ け可能 な ら の とな る。 また実際 にその地域 に住んでいるが, と くに 地域 の活動 に参加 してお らず,関心 を持 っていない人 も, そ こがそのよ うな 「地域性」 を持 ってい るところだ と知 ることが, みずか らの住 む地域 を 「自分の地域」 として 感 じるきっかけにな るのである。 ここか ら,何 らかの地 域 における活動 に実 際に参加す るか どうか はまた別 の問 題であ るが, 自分の住 む地域が, いい ものだ と感 じるこ と, そ こに住んでいたいと思 うこと,他 の場所へ行 き, 戻 って きてそ こを目に した とき,帰 って きた」 と感 じ ることが,地域性」 を 「共有す る」 とい うことであ り,

地域性」 に もとづ く 「地域 コ ミュニ テ ィ」 を形成 す る のであ る。

このよ うなかたちでの 「地域 コ ミュニティ」は,地域, 近隣 における自治組織 としての地域 コ ミュニテ ィ,何 ら かの問題 につ いて話 し合 い,住民 たちが 自分 自身 で意思 決定 を行 うもの としての コ ミュニテ ィとは異 な る もので ある。 このよ うな 自治組織 の (自律的な)形成 が,現在 要請 され るものであるとして も,突然,多 く住民が参加 す るよ うなかたちで, そのよ うな活動 が沸 き起 こること などあ りえないと言 え るので はないだろ うか。 この こと の前 に, まず 「地域性」 を 「地域 の」 アイデ ンテ ィテ ィ と してかたちづ くる必要 がある。 これがす ぐさま住民 の 自治組織 につなが るわけで はないが,地域 の さまざまな 活動 のみな らず,個 々の人 び との 自分 の住 む場所 にたい す るさまざまな思 いを結 びつ けることので きる もの,共 通 の場が形成 され ることになるのであ る。

したが って, このよ うな 「地域性」 は,何 らかの 「

80‑

参照

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