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および家庭科の共学共修問題

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(1)

ヨーロッパにおける技術教育 および家庭科の共学共修問題

        ㌦

Z術科教育研究室 永 島 利 明

問題の所在

中学校の「技術・家庭科」は1958年の学習指導要領改訂いらい男女別学の学習形態がとられてきた。

       1)この別学は憲法や教育基本法に違反している,という意見がある。たしかに,多くの国々は男女平等の憲

法をもっている。これは資本主義体制の国も社会主義体制の国も共通した点である。たとえば,ドイツ民 主共和国憲法4条は「男子及び女子は。同権である。女子の同権に反するすべての法律及び規定は,廃止 される?)と規定している.ドイツ連邦共和国憲法3条の2は「男子及び好は,同等の榴uを有溜との

べている。ポーランド憲法は「ポーランド人民共和国において婦人は,国家的,政治的,経済的および文 化的な生活のすべての分野で,男子と平等の権利をもつ」と宣言し,さらに,「男子と平等の労働の権利 と,r同一労働に対しては同一の支払』という原則にしたがって給与をうけとる権利,社会保険に対する 権利,教育をうける権利,名誉称号と勲功に対する権利および公職につく権利」(66条)によって,男 女平等が保証されるとしている。

上にあげた国々は制定法主義をとり,憲法が成文化されている。しかし,イギリスのように成文の憲法 をもっていないが,社会の慣行や判決によって,男女平等が基本的原則になっている国も多い。

このように法は男女の平等を規定しているにもかかわらず,わが国の中学校に澄いては技術家庭科のみ が男女別学を行っている。この研究では,ヨーロッパ諸国の教育課程を調査し,比較教育学的に考察しよ

うとするものである。男女両性の教育を行う場合,つぎのような方法がある。①男子校・女子校というよ うに入学資格が性によって決定される分離教育制度,②同一校舎内において別学を行う制度(かつての旧 制小学校のように女子が裁縫を行い,男子が実業を行う場合がこれにあたる)。③男子職業技術・女子家 庭型,④男子が技術教育をうけ家庭科教育をうけず,女子が家庭科を中心とし低度の技術教育をうける制 度(わが国の技術・家庭がこれにあたる)。これを技術共通型とよぶ。⑤男子が高度の技術教育・低度の 家庭科を学び,女子が高度の家庭科・低度の技術教育をうける制度。これを共修型とよぶ。⑥最後に男女 ともに同一の内容を同一の場所で学ぶ制度を共学型とよぶ。これにも家政と技術をともに学ぶスェーデン 型と技術のみを学ぶ東ドイツ型とある。ここでは代表的なもののみを研究する。

ここで研究対象とするのは必修教科のみとし,選択教科は除く。選択教科では男子が技術教育を選び・

女子が家庭科を学ぶことが多い。アメリカのインダストリアル・アーツやホーム・エコノミ・クの例はこ のような事例がしばしばあるという。しかし,これも個人の意志を尊重しているようにみえるが,性にょ る規制が強い場合には,別学教育に落ちいる危険性をもっている。

一93一

(2)

分離教育

わが国明治期の学制(1872年)に澄いては女児小学の規定があった。これは男女の性による学校を 設立する意図から作られたものであるが・実際には女児・」孝はきわめて少数であった。新制度が発足する まで少数ながら女子のみの小学校が存在したという。しかし,現在の公立学校にはそのようなことはあり えない。

共学の問題を検討する場合,特に興味をひくことは,ソビエトが戦時中に初等澄よび中等学校の共学を 廃止した先例があることである乞5椀エトは靴以来・943年秋まで共学を実施したが識時中にこれ を廃止した。革命以前に訟けるソビエト婦人の地位は非常に低いもので,ツアー政府が男女同権を認めな かったために,その発展がはばまれたのであった。ソビエト政権が樹立されてから,男女の平等が認めら れ,共学制度が実施されるに至った。これが再び廃止された原因は,

1 男女に特有の使命を発展させるためには,同一の教授科目を与えることはできず,特に男子の軍事 教育を中心に共学が否定されている。

2 男女の完全な平等が実施されたため,共学の必要がなくなった。

3 経済的理由により共学が採用されていたが,中学校が増加したため,もはや共学の必要がなくなっ

た。

などがそのおもな点であった。この政策は1943年より1954年まで行われたが,都市では不経済で あり,農村では実施できなかった。また,異なった学校があったにせよ,両性の利用できる中学校段階の

       (6)すべてのコースを作ることは実行が困難なことであった。

西ヨー。。パのオランダでは約6才6ケ肋ら、4才6ケ肚での8年間蟻務鮪毬欝袖才に

       餉

ネると,普通小学校に入り,12才に達すると,グラーマ・スクール,モダン・グラマー・スクール,上 級小学校,初等技術学校,農業または園芸学校,家政学校または農村家政学校にはいる。普通小学校には 女子のために裁縫が齢かれている。第二次大戦後,上級学校や職業学校に行かないで,職業につく生徒の ために,新しい学校制度が導入された。これを補助初等教育とよんでいて,2年制である。男子は手の労 働が教えられる。女子は簡単な衣服を作るための裁縫知よび家政科が重視されている。初等教育に蓋いて は,頭一心一手の順に重視されているのに対して,補助初等教育では,手一心一頭の順になっている。こ れは定時制である。

全日制の後期初等教育をみると,上級小学校(男3a8%,女3α2%),上級・予備中学校(男17.4

%,女12.2%),職業技術学校(男34.5%,女3&2%)となっている。小学校を卒業した人が,この 種の学校に入るわけであるが,どんな小学校に入ったかによって,入学資格が異なる。普通小学校を卒業

したものは,上級小学校または職業技術学校に入る。また,私立のグラマー・スクルや同等の公立学校を 卒業したものは,上級・予備中学校に入る。これは大学の予備校である。

このようにオランダの学校制度では,どんな小学校に入ったかによって生徒の将来が決まってしまう。

これは日本の戦前の教育制度とまったく同じである。エリート・コースと非エリート・コースがはっきり 別れている。オランダは典型的な複線型の学校制度をとっている国である。また,性による教育の相違が はっきりしている。女子のみの上級・予備中学校があり,そこでは家庭科が教えられている。技術学校は 男子の学校であり,家政学校は女子の学校である。

オランダでも共学が望ましいと教育界でいわれたが,あまり問題にならなかった。しかし,どちらかと

      (9)いえば男女別学を最もとっているカソリック系の学校においてさえ,共学を促進する傾向がある。

(3)

このような性による分離教育はしだいに今日では減少してきた。そして各国は共学政策を推進している。

幼児のときから,男女がともに働くことは,相手を単に性のパートナーとしてみるだけではなくて,論互 に本質的に人間であると考えることができるのである。共学政策は相互の理解と尊敬を深めるのである。

男子職業技術・女子家政型

オランダでは男女が別々の学校にいく例が多いわけであるが,東欧の国々では,男女ともに同じ学校に 行き,同じ教科を学んでいる。しかし,性差も実習をともなうものに残されている。60年代前期にはチ

エコスロバキャの基礎学校では最後の2年間女子には食物および保育が課されていたが,男子にはなかっ た.これは8学年絃び9学年の3分の、にすぎなかっ煮軸じチ。コ膿業学校では「家族澄よび矧 は選択教科であった。このことは男子は木工澄よび車両を学ぶことを意味し,女子は裁縫および調理を学 ぶことを意味する。しかし,1967年から基礎学校では調理と裁縫は選択となった。

       ⑪ サ在この形をとっているのは,西独である。この国では5年生から性別によって教科の内容が異なる。

男子には工作が女子には手芸と家庭科が課される。男子は職業生活に入り,女子は家庭生活を送るという 前提にたっている。男子は物理や化学のような自然科学が,女子は家庭科が重視される。このことについ て東独の雑誌「比較教育」は「しばしば化学は家庭科の知識の修得のみに費される。女子は自然科学的な 関係をみることを拒否され,抽象能力をうばわれている。応用実験的な領域や数学や自然科学の領域が軽 視されていることは,女子を自然科学を扱う職業からしめ出して,典型的な女の仕事をすればよいという 考え方になる」と批判している。

西独では,、925年には好の就業率は42%であったものが,現在では3。%疇ちてい譜先進 国のなかで女子の就業率がさがっているのはめずらしく,このことは教育の反映であろう。また女子の職業 選択がきわめて狭い範囲に限定されていることに問題がある。

西ドイッには,中学校段階にはパウプトシウレ(職業生活と職業学校進学を目標とする普通教育),レ アルシューレ(就職のための普通教育),ギムナジウム(大学進学目標の普通教育)があるが,教育課程        03}

フ一例として,パウプトシュールのものをあげる(表1)。

表1.パウプトシューレの時間割(シュレスウィッヒ・ホルスタイン州)

8 8

5 6 7

「一

j   子 9 女   子 9

夏   冬 夏   冬

総括授業 7 12 7 11

宗    教 2 2 2 2 2 1 2 2 1

ドイ ツ 語 6 6 5 5 4 4 5 4 4

英    語 4 4 2 2 2 2 2 2 2

歴    史 2 2 3 3 1 3 1

地    理 2 2 2 2 1 2 1

生    物 2 2 2 2 1 2 1

博物・物理・ 1 1 2 2 1 1

化学

算数・幾何 4 4 5 4 3 3 4 3 3

※1 ※1 ※1 ※1

ト       ー95一

(4)

5 6 7   8

j   子 9   8

浴@  子 9

夏   冬 夏   冬

図画・工作 2 2 2 3 3 3 2 2 2

裁    縫 (2) (2) (2) 2 2 2

家 庭 科 4 4 4

音    楽 2 2 2 2 2 2 2 2 2

保健体育 3 3 3 3 3 3 3 3 3

合    計 30 30 30 30 30 30 30 34 34

(32) (32) (32)

※1。地域の条件が許す所では,任意の工作のための補充時間をつけても さしつかえない。

※  女子対象

       ●

Z術共通型

いままでのべてきたのは,女子は技術を学ばないタイプであった。しかし,現代社会では産業が高度に 発展し,技術革新の時代であるとか,科学技術革命の時代であるとかいわれている。従って女子にも技術 教育が必要であるという思想が支配的になってきた。わが国の中学校に於けるいわゆる女子向きの技術・

家庭科に家庭工作,家庭機械等がとりいれられたのも,そうした考え方の影響であった。この型は男子は 技術のみ学び,女子は澄もに家庭科と少量の技術を学ぶ形態である。

ソビエトの労働教育の奉仕労働も女子向きの家庭科である。奉仕労働にも都市向きのものと,農村向き のものとあるが,ここでは前者をみよう。

4学年(70時間 力。コは年間時間数) 導入(1),調理(11),被服(38),住居の手入(2),

電気(、2),花き園芸(6鈴

5学年(70),調理(12),ミシン(4),被服(30),住居の照明(18),花き園芸(6)

6学年(70),調理(14),ミシン(6),被服(38),家具(6),花き園芸(6)。

7学年(70),調理(12),台所の手入(4),ミシン(2),被服(38),電熱用器具(14)。

8学年(70),調理(12).ミシン(6),被服(40),電動機(12)。

ソビエトは1970年から4学年より専任教師が労働教育を行うようになったが,上にあげたものは,       ρ

70−71年度のものである。5−8学年のものは1967年に奉仕労働が創立されたときのものである。その』

後いくつかの教育課程が発表されているが,時間数は同一である。この教育課程は農業を教えるために,

花の栽培が教えられていることに特徴がある。また,ミシンの扱い方は機械工学的な面も加味されている。

この教育課程の背後には,女子は家事労働を行うか,センイ産業に従事するという伝統的な考え方がひ そんではいないだろうか。

共 修 型

男子が技術,女子が家庭科というように明確に固定せず,相互に共通の内容を学ぶが,男子に技術を多

(5)

く,女子に家庭科を多く,というように,内容に量的比重を違えている国がある。ポーランドはその例で

  (161

?驕B

ポーランドは1963年に教育改革を行い技術実習活動(Prakti sch−technische Tatigkeit)

を教科としておいた。8年制の基礎学校に澄いては1学年より6学年までは週2時間,7学年より8学年 までは週3時間である。この教科の教育課程は1−4学年までは男女とも同一であるが,5−8学年まで は異なっている。

5学年では3つの作業領域がある。紙工,木工,裁縫(女子)である。木工では箱,鳥かご,飼料入れ,

靴ばらい,金属製保存容器,計算用具および額縁が作られている。道具としては,のこぎり,かんな,木       裾

工用やすり,ナイフ,ノミ,ハンドボール,もくねじまわし,金ぶち,万力,センタポンチ,直角定規を 用いる。この三つの領域とならんで,男女のための木工と女子のための裁縫が選択である。

6学年では男子のための木工,男女の金工,男女の裁縫がある。木工では複雑なものを作る。例えば道 具箱,踏台,教壇などである。金工ではブ。クェンド,ハンダゴテ,手紙入れ,試験管保持具,シャベル,

灰皿,チリトリ,アルコールランプ訟よび油さしなどを作る。道具はもっと豊富になる。キリ,金切ばさ み,金属用やすり,ねじまわし,と石を利用する。男子には機械の時間が増えて,自転車の手入や簡単な 修理,機械や動く飛行機や船の模型がとりいれられている。

7学年には男子の木工,男女のガラス・プラスチック加工・男女の24ボルトまでの電気製品の組立,

女子のための裁縫,男女のための家政がある。男子は金工で,扉用ボルト,クワ,のこぎりのコミと枠,

小型のナイフ,電気スタンド等を作る。針金,鉄棒,ブリキ,板金を用いる。プラスチックからは板を切 って,小さな陳列たなやブローチを作る。電気では配線作業を行う。例えば,電灯,スイッチ,クリスマス ッリー,人形の家および信号の設計を行う。女子は運動服,上衣,パンッ等を作る。家政では生徒は洗た く,アイロンかけ,パン焼と配ぜんおよび簡単な食物の調理をする。このことは家の配置や家計のたてか たに役立つのである。この学年には機械模型製作,機械要素が加えられている。女子の選択として装身具 加工がある。

8学年では電気のような基礎的な技術,男子のための基礎機械,女子のための家政がある。木材・金属

・ガラス・プラスチックの加工,オートバイの構造・運転澄よび製本は選択である。製図はすべての生徒 の必修である。

      αのこのように基礎学校の教育課程の内容は男女によって異なっている。5学年から8学年の間では,男子

には木工が50時間,金属加工が50時間,機械が20時間課されているが,女子には家事60時間,

裁縫が76時間課されている。一方,男子にも家事が15時間,裁縫が10時間が課されている。(表2 を参照)。表をみると,7学年では金工および裁縫を除くと,男女共学である。普通の教育課程やほかの 学校行事においては,共学が完全に行われている。教室のなかで男女がまったく別の椅子に並ぶというこ

とはない。

5学年から8学年までの生徒は近代企業に澄ける生産過程を知るため,工場見学をする。見学はこの教 科の進度をみて決定される。この工場見学は社会主義国に澄ける職業指導の重要な方法のひとつである。

一97一

(6)

表2 ポ_ランドにおける5〜8学年の技術実習のための学習計画(16}

学年 5 6 7 8 4年間合計

性 別 男  女 男  女 男  女 男  女 男   女 紙    加    工 16 16

一一

一 一 『 } 16 16 木  材  加  工 32 18 18

一 一 50 18

裁        縫 20 10 36 20 10 76 金  属  加  工 20 18 20 40 18

     一

Kラス・プフスチック

一}

15 15

一 15 15

電  子  工  学 15 15 36 16 51 31 家        事

一 『 一 一 15 15 45 15 60

基  礎  機  械

一 一 一 『 一 『 20 20

機  械  製  図

『 『 } 一 15 15 20 20 35 35

追  加  技  術 16 10 16 10 16 16 20 15 68 51

年  間  時  数 64 64 64 64 96 96 96 96 320 320

共学の必然性

いままでのべてきた分離教育から共修型にいたるまで技術教育や家庭科教育を男子向きと女子向きに分 けて学習している。そのことは無意識のうちに,男子と女子は違うものである。女子は家事労働を中心に すればよい,という考えをうえつけてしまう。女子には低次の技術教育を施す場合もあるが・その場合に おいても,結局は女子には自然科学的な学力を低下させてしまう。このことは女子の学習権を暗黙のうち に否定するというよくない結果をもたらしている。

一方,女子は食事や衣服のつくろいをすればよいという考え方は,男子は家事労働をしなくてよいとい う態度を助長し,家庭生活に勘いて,女子の負担を増加させることになる。このような矛盾を解決するこ とと,男女に同一水準の技術教育を保障するために男女共学が望ましい。これを実現した国にはスエーデ ン,東ドイツ,チェコがある。

技術教育・家庭科共学型

必修教科の技術教育や家庭科教育が男女共学,男女同一学習を実現しているのは,スエーデンである。

もともとこの国における普通課程の中学校は1950年頃から家政概論は男子,女子ともに必修とされて いた。それより先に1946年の学校委員会は第7学年と8学年に対して家政を少年少女すべてに必修と するよう提案している。

「家政科は家庭内の仕事のもっとも大切なもの,いくつかのやり方の指導と,栄養学や料理等をふくむ

  邑 ニ事の基礎を教える。買物及び商品の知識は特別な注意をはらわねばならない。既成品を買うのとそれ を家で作るのとに,どのような差があるか,実地にいろいろの場合について教えることが必要である。

又嫁屋と家族とにつ匠の臆と繍の初歩を駈るべきである吼

この提案は一見簡単にみえるが・法の上では平等であるが・実際や教育の上で大きな差別をもっている

内容を法規範の上でも現実に於いても平等化しようとしている意図がみられる。

(7)

現行の1969年版の教育課程基準によれば,義務教育段階一9学年3段階の総合制学校一の労働教育

(スロイドとかHandicraftとかよんでいるが,仮に上記のように訳す)の目的は「自ら手の労働を計 画し,遂行する能力を訓練すること,ならびに,創造的活動において美的・実際的能力と表現の手段を発 展させることによって,児童.生徒の全面的発達を雛することにある」とされているg°)

内容面に診いては1870年代,オット・サロモンが労働教育を始めた頃には・男子は木工・女子は裁 縫という男女別学の形態をとっていた。しかし,現在では内容も多様化し,かつては木工のみをしていた が,今日では金工,紙,粘土,プラスチ。クス等の材料を用い,工具も道具ばかりではなく,旋盤・フラ イス盤・のこ盤・ボール盤などの工作機械や高熱電気かまなどの設備が導入されている。男子力沐工,女 子が裁縫という区分もなく,必修課目に知いてはまったく平等に行われるようになった。労働教育や家庭        ⑳

ネを含むすべての教科において,少年少女はまったくいっしょに学習を行っている。

っぎにスェーデンの綜合制学校7−9学年の教育課程を掲載する。これらの学年はわが国の中学校段階 と一致している(表3)。

表3

      ⑫スニーデン総合制学校7一嘱8学年の教育課程

教科

必修教科 7 学年    8 学 年    9 学年

スェーデン語 3      3      4

数      学 4      4      4

英      語 3      3      3

音      楽 2       1

図      画 2         2         1

手 の 労 働 2      2         1

家  庭   科 3      2

体      育 3      3      3

オリエンテーシ.ン教科 宗教の 知識 公   民   科 地      理 歴      史 10         10         10

生      物 化      学 物      理 職業指導実習 ナ シ      ナ シ     2 週 間 選      択 4      3      4

自由選択作業 2      2         2

合     計 35         35         35

オリエンテーシ.ン教科と名付けたのは,生徒や両親にオリエテーシ。ンを与える教科として位置づけ

一99一

(8)

られたことから名付けられた。「オリエンテーシ。ンの目的は生徒や両親に学校,労働生活およびことな ったものを選ぶ学習と職業活動の間の選択に類似したものを一与えるためにある。これらの指導は学校に必 要なだけではなく,生徒が全面的に発達し,自分自身を知り,訓練や職業生活のために必要とされる適性 や能力を知ることにある。」このようにオリエンテーシ。ン教科は生徒を全面的に発達させるために,選 択能力を与えるために,つくられたのである。この教科は宗教の知識,公民科,地理,歴史,生物,化学,

物理から10時間分を選択するのである。いいかえれば選択必修である。純粋の選択教科にはフランス語 ドイツ語,経済学,美術および技術がある。

職業指導実習は9学年に2週間行われる。訓練期間中,半数の生徒は職業指導をうけ,ほかの生徒は正 規の労働者と同じ作業を同じ勤務時間で行う。普通児の職場実習や工場見学は社会主義国では広く行われ ている。スェーデンではこうした社会主義国の進路指導を参考にして,行っているのではないかと,推測 される^

技術共学・家庭選択型

資本主義社会では女性が生産労働に参加しないことが一般的であると考えられている。しかし.社会主 義国では女性が生産労働に従事し,家内労働に果す役割は減少している。エンゲルスは「女の解放は,女 が大きな社会的規模で生産に参加することができて,家内労働がもうほんのわずかしか女をわずらわさな いようになるときに,はじめて可能となる。そして,こういうことは,大きな規模で婦人労働をゆるすだ けではなく,本式にそれを要求し,さらに私的家内労働をもしだいに公的産業に解放しようとつとめる,

近代の大工業によってはじめて可能となったのであ謙とのべている.勅の教育課程の鷲はこの囎 の実験である,ことを示している。現在技術的内容は完全に共学である。

東独の、95。年頃の8年制学校の教育課程では,簾は3−8学年に、時間勘れてい譜、959

       ⑫5)

Nになると,3−4学年に1時間となっている。1971−72学習年度では選択となって,4−6学年 に配当されている.この灘はクラブ濁・(A,b。itg㎝。insch。ft)と結びついてい費表4)。

      ㈱

¥4 十年希1ト般陶冶オーベルシューレ1971/72度の教育課程

学   年    3   4   5   6   7   8   9  10

ド イ ツ 語  13  13   8   6   4   4   3   4      ,

ロ シ ヤ 語   5   5   6   6   5   5   4   4 数    学   6   6   6   6   6   4   5   4 物  理  学   一   一   一一   3   2   2   3   3 天  文  学   一   一   一   一   一   『   −   1 化     学   一   一   一   一   2   3   3   2 生    物   一   一   2   2   1   2   2   2 地     理   1   1   1   −   一   一   一   一 学  校  園   1   1   1   −   一   一   一   一 工     作   1   2   2   2

総 合技術   一   一   一   一   4   4   5   5

歴     史   一   一   1   2   2   2   2   2

公  民  科   一   一   一   一   1   1   1   2

図     画   1   1   1   1   1   1   1   一

音     楽    1   1   1   1   1   1   1   1

(9)

学   年   3   4   5   6   7   8   9  10 ス ポ ー ツ    2   2   3   3   2    2   2   2 英     語   一   一   一   一   3   3   3   2

合    計  30  31  33  34  36  36  36  36 選択 教科

裁    縫   一   1   1   1  −   一   一   一

チェコの基礎学校では,1967−69学習年度には調理および裁縫は選択科目となっていて,6−9 年で学ぶ。選択科目には調理・裁縫(6−9学年),合唱(同),外国語(7−9学年),美術(9学年),

生物実習(6−9学年),物理実習(7−9学年),化学実習(8−9学年),スポーツ(6−9学年)

      ⑳のいずれかを選び,4時間が割当られている。

結  論

この研究においてはおもにヨーロヅパの過去10年における技術科教育澄よび家庭科教育に関連する教 科の教育課程を調査した。中等教育においてはわが国の旧制女学校や旧制中学校のように,男女別学校の 例もオランダにみられる。革命後のロシヤ共和国も一時同様な制度をとったが,こうした例はしだいにす

くなくなっている。

過去の前期中等教育においては,男子が職業技術教育,女子が家庭科教育をうける形態がとられてきた が,女子が産業界へ進出するようになったという社会的背景から,女子にも技術教育を課するようになっ てきた。しかしながらこれは男子には高度の技術,女子には低度の技術を課すという男女による差別教育 となった。また,男子にも低度の家庭科を学習させる国もある。これらはいずれも男女平等という近代社 会の大原則に反するものである。

スェーデンでは70−71学習年度より必修課目に澄いては性による内容の差異は完全になくなってい る。このことは性による教育の平等がはじめて実現したことを示していて,その意義は大きい。わが国に おいても技術教育と家庭科を男女共学にすることが望ましいのであるが,どのような教科として構成すべ きかは今後に残された課題である。

引用文献および注

1 岡邦雄,向山玉雄編 男女共通の技術・家庭科教育 1970年 168頁。

2 衆参法制局,国立国会図書館調査立法考査局,内閣法制局共編 和訳憲法集211955年 6頁。

3 同上22 7頁o

4 同上続23 1957年 25頁。

5 慶応義塾中等部 男女共学とその導き方 1950年 181−188頁。

6 Nigel Grant・Society, Schools and Progres8 in eastern Europe,

1969,P.141.

7 The Netherlands,Ministry of Education, Arts and Seiences Dutch Sehoolsystem, 1960.

8 Ministry of Foreign Affairs,The I(ingdom of the Netherlands 32,Education and 8cience in the Nether】ands.1970−1971.Pμ 13−14・

一101一

(10)

オランダでは義務教育の期間は9年制であるが,それは決定的なものではない。教育が有効な場合に これをうけるという考え方をとっている。

g  il)id, p.10.

10  N. Grant・ op  cit・ PP 139−140・

11 SiIvia Gingold, Bildungschancen der Frau in der BRD・Vergle一 ichende Padagogik(Abk.3VP).9(1973)3,S.301 bis 304.

12 朝日新聞1973年8月21日朝刊。

13W.シ笛ルツェ,Cフェール(・」・野八十吉訳) ドイツ連邦共和国学校制度 1969年附録31頁 14 nPorpaMMH Tpy双oBoro O6yqeHHH双孤H Iv KJIaccoB,皿koJ【a H

npoH3Bo双cTBo・1970・%3・cTp・63−65・

15 nprpaM魏H BocbMH∬eTH藪田KoJlhl・Tpy皿oBoe o6yqeHHe B vl一刷 KJIaccax.皿IKoハa H npoH3BoAcTBo・1967・ノ伍4・ cTp.27−47.

16 Jadeusz Nowacki,PoIytechnische BiIdung der achtkIas8igen Grundschule Polen, VP,9(1973)1,S.51 bi8 54.

17 N.Grant,op cit,.p.140.

18 インゲール・デュリング編(岩動道行訳) スェーデンの教育改革 1953年 21頁。(原著

       9

?пD by Ingemar During・The Swedi8h Schoo1−reform・1950・A 覧   summary of the goverment bill at the request of the 1946

8chool commission).

19 同上79頁。

20 松崎巖 スロイド教育の思想と実践 技術教育 1973年5月号 54頁。

21 Britta Stenholm, Education in Sweden,1970・P.40.

22 The National Swedish Board of Edllcation,Curriculum for the Comprehensive 8ehoo1 五gr 69・General section・1971,P.118.

23 エンゲルス(村井・村田訳) 家族,私有財産および国家の起源 (国民文庫版) 211頁。

24 平凡社 教育学辞典6巻 1956年 175頁。

25 ユネスコ 世界の初等教育 1961年 426頁。

同 世界の中等教育 1963年 567頁。

26 VP,8(1972)2, S.221 bi8 222.

27 VP,7(1971)1,S.84.

       騨

orobIem of Co−educatioll on Technical Education and Home

      「

dconomics in Europe

Tosiaki Nagasima

Modern constitutions write tllat aII of the people are equa1 under the Iaw alld there shallbe no di8crimination in sex.

But, Japanese boys Iearn technical education・on the other

11and,girI8 do home economics and techllical education of low

standard in junior high sclloo1. This fact proves tomake a

(11)

difference between seエ. In thi8 paper author studies 8evera1 curriculum in European contries. Dutchman often go to the different school in sex. FRGmake boys learn handicraft and girIsdo home economic8・ In Poland males aretaught much in

technica豆education than home economics, but, females are opposite. USSR is the s㎜e way as Japan. Swede co−educate

」      each of them・GDR and Czech do polytechnic education and sewing is optina監 subject. Japanese should also co−educate each of them・

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