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犬の組織球性肉腫株化細胞に対するダサチニブの

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Academic year: 2021

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犬の組織球性肉腫株化細胞に対するダサチニブの 増殖抑制効果に関する研究

(Studies on growth inhibitory effects of dasatinib against canine histiocytic sarcoma cell lines)

学位論文の内容の要旨

獣医生命科学研究科獣医学専攻博士課程平成22年入学

伊藤慶太

(指導教授:鷲巣月美)

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犬の組織球性肉腫 (HS)はマクロファージや樹状細胞を含む組織球系細胞に由来し、進行 性で転移率が高く、致死性の腫瘍である。治療として外科的治療あるいは化学療法が用い られるが、十分な治療効果は得られておらず、新たな治療法を模索する必要がある。

多くの腫瘍の生存・増殖には細胞内の複数の分子機構の異常が複雑に関与しており、単 一の分子機構を阻害しても強力な抗腫瘍効果は得られない。しかし、近年、単一の分子の 異常に強く依存して生存・増殖する腫瘍の存在が明らかになってきており、分子標的薬は この単一の異常分子を選択的に阻害することで著しい抗腫瘍効果を示す。現在、HSの生 存・増殖に必要な分子機構は特定されておらず、HSに対する分子標的薬を用いた治療戦 略は確立されていない。

そこで、HSに対する分子標的薬を用いた治療法を確立するために、まず、CHS-1およ

MHT-2細胞に対して細胞増殖抑制を示す化合物を検索したところ、ダサチニブがCHS-1

細胞に対して細胞増殖抑制を示すことが明らかとなった。さらに、ダサチニブは6種類の うち4種類のHS株化細胞に明らかな細胞増殖抑制を示した。このことから、HS細胞の中 にはダサチニブが標的とするキナーゼに依存して増殖しているものがあり、ダサチニブは このような細胞に対して細胞増殖抑制を示すと考えられた。

次いで、HS 細胞におけるダサチニブの既知の標的分子の解析を行ったところ、ダサチ ニブ感受性HS 株化細胞において、これらの分子の遺伝子の異常および下流シグナル伝達 経路の活性化は認められなかった。一方、CHS-1細胞におけるリン酸化蛋白質の網羅的解 析から、CHS-1細胞の増殖には14-3-3 protein gammaの恒常的なリン酸化が重要な役割を果 たしており、ダサチニブはこのリン酸化を抑制し、細胞周期を停止させ、CHS-1細胞の増

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2 殖を抑制したと考えられた。

さらに、CHS-1細胞移植マウスモデルを用いてダサチニブのin vivoにおける効果を検討

したところ、ダサチニブはin vivoでも移植腫瘍の増殖を抑制することが明らかとなった。

また、この効果は細胞分裂の抑制と細胞死の促進によると考えられた。

以上のことから、一部のHSでは腫瘍細胞の増殖に14-3-3 protein gammaの恒常的なリン 酸化がきわめて重要な役割を果たしていると考えられた。ダサチニブはこのようなHS 胞の増殖をin vitroおよびin vivoで抑制することから、HS症例において腫瘍細胞の14-3-3

protein gammaが恒常的にリン酸化している場合には、ダサチニブによる治療が有益である

可能性が考えられた。

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