通信工学概論
Fundamentals of Electrical Communication
山田 博仁
光ファイバー通信入門
2020
年10/2, 10/9, 10/16
講義資料講義資料のダウンロード http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe
2020 年講義スケジュー ル
日時 教員 内容
10
月2
日(金)1
講時 山田 博仁 光ファイバー通信入門10
月9
日(金)1
講時 山田 博仁 光ファイバー通信入門10
月16
日(金)1
講時 山田 博仁 光ファイバー通信入門10
月23
日(金)1
講時 大町教授11
月6
日(金)1
講時 大町教授11
月13
日(金)1
講時 大町教授11
月20
日(金)1
講時 伊藤教授11
月27
日(金)1
講時 伊藤教授12
月4
日(金)1
講時 伊藤教授12
月11
日(金)1
講時 陳教授12
月18
日(金)1
講時 陳教授12
月25
日(金)1
講時 陳教授1
月8
日(金)1
講時 西山教授1
月15
日(金)1
講時 西山教授1
月22
日(金)1
講時 西山教授1
月29
日(金)1
講時 予備日講師紹介
東北大学 大学院工学研究科 通信工学専攻 教授 山田 博仁 略歴 出身
:
岐阜市(
現在の自宅は茨城県 守谷市にあり、仙台には単身赴任) 1981
年 金沢大学 工学部 電子工学科卒1987
年 東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 博士課程修了同年、
NEC
入社。光エレクトロニクス研究所にて通信用半導体レーザの研究開発 に従事1991
年 関西エレクトロニクス研究所(
大津)
に異動1997
年~1998
年NEC
北米研究所(
プリンストン)
に出向1998
年 光・超高周波デバイス研究所(
筑波)
に異動。マネージャーとして研究 マネージメントに従事。その後、基礎・環境研究所
(
筑波)
に異動。主任研究員としてフォト ニック結晶や
Si
細線光導波路素子の研究に従事2006
年6
月にNEC
を退社。同7
月から、東北大学 大学院工学研究科 電気・通 信工学専 攻 教授に着任、現在に至る趣味 ギター演奏、旅行、電子工作、アマチュア無線、オーディオ、写真 等 スポーツ 山歩き、スキー、テニス 等
講義内容
1.
講義の目的:
光ファイバー通信のしくみを理解する2.
講義内容初回 ・ インターネットを支える光ネットワークと、適用範囲が広がりつつ ある光通信
・ 光通信とは
?
、光通信の歴史、光通信の特長、光通信の要素デバイ ス ・ レーザーとコヒーレント光、何故コヒーレント光が望ましいのか? 2
回目・ 光ファイバーにおける光伝搬、導波モード、分散、伝送帯域 ・ 光ファイバー伝送における信号波形歪の発生と補償技術
・ 光変調方式、光伝送方式、デジタルコヒーレント光伝送システム
3
回目・ 光通信における信号多重化方式
・ 光ネットワークとフォトニックネットワーク ・ 光通信の将来展望
3.
成績評価毎回の講義に関するレポート点の合計
(20
点満点) 4.
参考書伊藤弘昌 編著、フォトニクス基礎、朝倉書店
末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社
5.
質問等E-mail: [email protected]
、電気系2
号館202
号室インターネットを支える海底光ケーブ ル網
出展 KDDI HP https://time-space.kddi.com/special/specialreport/20141105/
出展: http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html
身近の光ファイバー通 信
FTTH(Fiber To The Home):
フレッツ光(NTT), au
ひかり(KDDI)
などがサービスを展開光回線終端装置 (左
)
とルーター (右
)
AV 機器のデジタル入出力ケーブル
AV
機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ身近の光ファイバー通
マンションなどの集合住宅では、共有部分まで光ファイバーを敷設し、
信 ONU
で光から電気信号に変換した後、その先の各住戸までは電話回線を利用するVDSL
方式が用いられている集合住宅などの
VDSL(Very high-speed Digital Subscriber Line)
方式NTT
東日本 フレッツ光HP
より国内におけるブロードバンド契約者数の
2019 年度末の固定系ブロードバンド・インターネット回線の契約数は 推移
4,120 万契約
そのうち FTTH( 光回線加入者 ) は 3,309 万契約で、全体の約 80%
FWA(Fixed Wireless Access):
固定無線アクセスまたは加入者系無線アクセスシステムBWA(Broadband Wireless Access):
広帯域移動無線アクセスシステム、WiMAX
など出典
: R2
年度版情報通信白書※) VDSL
はFTTH
の分類に含まれる国内のネットワーク トラフィック の推移
出典
: R2
年度版情報通信白書国内のインターネット トラフィックの総量は、 2019 年末時点で
約 13Tbps 現在もなお、年率約 20% で増加
IT/NW 機器の電力消費の予
IT/NW 関連機器の電力消費は今後も増加の一途をたどる見通し 測
国立研究開発法人 科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター報告
情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.1)- IT 機器の消費電力の現状と将来予測-
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018-pp-15.pdf
1 本の光ファイバーの信号伝送容量 は ?
Question:
How much information can be transmitted by a thin piece of optical fiber ?
- Apple Next Gen. Thunderbolt: 20G bps Hint:
- FTTH (NTT FLETS ・光 Premium, KDDI au 光 ): 1G bps A. 100G bps (1G = 10
9)
B. 10T bps (1T = 10
12) C. 1P bps (1P = 10
15)
通信用光ファイバー
D. 1E bps (1E = 10
18)
適用範囲が広がりつつある光通 信
Active Optical Cable(AOC)
によ るStorage Area Network(SAN)
光通信は今や、サーバーの筺体間データ通信から、パソコンにまで
AOC
とサーバーのBackplane
Light Peak
によるUniversal Bus Interface
SONY VAIO Z
に搭載されたLight Peak
ボード間光伝送用パラレル光モジュ ール
10Gbps, 12ch(120Gbps)
パラレル光モジュールAvago
製MicroPOD
TMIBM Power775
スパコンに搭載Power775
のシステムボードスーパーコンピューターのボード間データ通信にも光通信が
リボン光ファイバー
車載光ネットワー
ク
LSI チップ内光配 線
グローバル 電気配線層
ローカル配線
Tr
層層・ 高速データ通信
・ 電磁ノイズの低減
・ 消費電力の低減 光配線層
LSI
チップの断面(
出展:
米Intel
社) 130nm 6
層銅配線・ クロック周波数高速化の限界
-
バッファ導入による回路複雑化、消費電力 増大
-
クロック高速化によるノイズ問題顕 在化LSI の性能限界が近年顕在化
電気配線の限界 マルチコア化の流れ
・ コア間、プロセッサ -メモリ間 データ伝送
の高速化限界、多層配線の限界
光配線のメリット
適用分野が広がりつつある光通 信
筐体 ( ラック ) 間 → ボード間 → チップ間 → チップ内 ( 素子間 )
出典
: C. Gunn, “CMOS Photonics™ Technology Enabling Optical Interconnects” Luxtera, Inc.
Light Peak Infiniband
DDR(20Gbps)AWG24 20m
までActive optical cable (AOC) 100m
までMicroPOD
光インターポーザ
通信と は
情報を送り手から受け手に伝えること
情報の送り手 情報の受け手
Alice Bob
情報の搬送媒体
便箋、はがき 電流、電波
手紙を書く 手紙を読む
情報を搬送媒体に載せる 搬送媒体を送る 搬送媒体から情報を取り出す
郵便システム 電話
搬送媒体 送る手段
マイクロフォン イヤフォン、スピーカ
各種波動を用いる通信方 式
有線
無線
情報搬送媒体
(carrier)
重力波
電波
(
電磁波)
音波音波
電流
(
電磁波)
光(
電磁波)
光
(
電磁波)
機械振動光ファイバー通信
電話、インターフォン 糸電話
伝声管
会話
携帯電話
光通信
重力波通信
衛星間光通信 腕木通信
狼煙 手旗信号
アマチュア無線航空・船舶無線 デジタル
AV
機器FTTH
海底光ケーブル
衛星通信 導波機構の有無
(
導波機構無、自由空間伝搬
)
用途
(
導波機構有)
通信方式
船内、潜水艦内通信
電気通信
無線通信
腕木通信塔
教材
自由空間伝搬による光通
ビル間光通信
信
http://www.icsa.gr.jp/system/index_03.htm大学キャンパス内 レーザ光通信システム
(Canon)
衛星間光通信
NICT
小金井本部の光地上局実験衛星「きらり」による衛星間光通信実験に成功
(H18
年 3 月)
衛星間光通 信
Ex.)
波長1μm
のレーザー光を、直径1m
のビームにして月に 送った 場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか?
ただし、月までの距離は約
38
万km
である答 直径約484m )
/ exp(
) 0 ( )
( r I r
2w
02I
ガウスビーム波
r
強度分布w
0:
ビームウエストサイズガウスビーム波のレイリー長
2w
02w(z) λ:
光の波長z
電気通信のしく み
発振器 変調 復調
同軸ケーブル電線 伝送路
電気信号
搬送波に情 報を載せる
搬送波を作る 搬送波から情
報を取り出す
搬送波
:
情報搬送の担い手情報の送り手
情報の受け手
光ファイバー通信の構 成
光源 レーザー
LED
、電球光検出器 復調 光変調 光ファイバー
LN
変調器 伝送路EA
変調器 フォトダイオード(PD) APD
光信号 電気信号
電子回路 搬送波は
光
情報の送り手 情報の受け手
xxxx
xxxx
電子デバイス/
回路光デバイス
電磁波の波
光ファイバー通信には、波長 長 1μm 前後の近赤外域を使用
可視光域
1 .広帯域 ( 高速、大容量通信が可能 )
1 本の石英光ファイバーで、 1Pbps(Pbps は 10
15bit/sec のこ と ) 以上の
高速伝送が可能。近年、 1.01Pbps の光伝送に成功 (NTT, Fujikura,
北大 , デンマーク工科大の共同 )
参考 ) 同軸ケーブルの帯域:最大でも 10GHz 程度 2 .長距離伝送が可能
中継間隔
同軸ケーブル:数 km ~ 10km
光ファイバー: 2,000km 以上の無中継伝送も可能 3 .漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない
光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノ イズ の影響を受けない。また、光ファイバー自体からの電磁波の 放射も 無いので、近接光ファイバー間の信号干渉が少ない。
4 .多重化が容易
光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能
光ファイバー通信の特
長
光ファイバー通信の歴
年 代 人または機関
史
事 項1962
年IBM, GE, MIT(
米)
半導体レーザの発振ルビーレーザ
, He-Ne
の発振1960
年Maiman(
米), Javan(
米)
川上
,
西澤(
東北大) Graded-index
型光ファイバーの発明1955
年Townes(
米), Schawlow (
米),
光メーザーの着想Basov(
ソ)
ら1976
~79
年1970
年 林, Panish
ら(
米) AlGaAs
半導体レーザ室温連続発振電電公社
,
藤倉電線(
日) 1968
年シリカ光ファイバー伝送損失が
0.2dB/km
に光ファイバー増幅器の発明と実用化
1980
年代NEC,
富士通,
日立,
東工大他 通信用半導体レーザの開発と高性能化1957
年 渡辺,
西澤(
東北大)
半導体による超短波増幅・発振のアイデア1930
年代Lamb(
独)
、関(
日本)
石英ファイバー(
ロッド)
による光伝送1970
年代NEC,
電電公社,
日立,
半導体レーザの長寿命化、発振安定化三菱
(
日), Bell
研(
米), STL(
英)
1990
年代Southampton
大(
英), NTT(
日)
Kao, Hockham(
英)
低損失シリカ光ファイバーの可能性示唆1966
年光ファイバー通信の要素デバイ ス
光検出器
(PD, APD)
デバイス 役 割
半導体レーザー 光ファイバー
光合分波器
光スイッチなど
搬送波としてのコヒーレン トな光を発生させる。さら に、搬送波に情報を載せる ための光変調も可能
光信号を導く伝送路
光増幅器 伝送中に減衰などで弱く なった光信号を光のまま増 幅する
搬送波に載っている情報 を電気信号として取り出 す
光信号を分配したり、光の 経路を切り換えたりするも の
イメージ
光ファイ バー
住友電工http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html
光ファイバーの伝送損失
通信用シリカ光ファイバー
伝搬損失
< 0.2dB/km @ λ=1.55 μm
光ファイバー低損失化の歴史
光ファイバーの構 造
光ファイバー 屈折率分布
n
2n
1n
1>n
2 コア クラッド3000
心光ケーブル 石英ガラスor
プラスチック シリコン樹脂で被覆
コア
クラッド
光ファイバー素線
光ファイバー芯線
ナイロン繊維で被覆
1
本光ファイバー
レーザーとコヒーレン
光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が望ましい
ト光
コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー
コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する
自然界に存在する光は全てインコヒーレント光
例
:
太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、LED
コヒーレント光t
光の 電 界
f
又はλ
光 の 強 度
インコヒーレント光
(
コヒーレントでない)
t
光の 電 界
f
又はλ
光 の 強 度
時間的コヒーレンス空間的コヒーレンス
何故コヒーレント光が望ましい のか
インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信
1887
年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明1896
年マルコーニ(Marconi
)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナと アースを付けて2.5km
の無線電信に成功出展: http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm
その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるよう になり、通信距離が比較的に延びることとなる
1905
年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見 ユ」と無線電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は、明治
36
年(1903)
旧制二高の木村駿 吉教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル 駆動で記録紙に出力するもので、80
海里(
約150km)
以上の通信到達距離を達成 出展: http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/
電磁ノイズによる通信
コヒーレントな電磁波を用いる利点
コヒーレントな電磁波はスペクトル純度が高い
(
つまり、単一周波数)
の で、受信機において、周波数同調(
選択)
を行い、狭帯域に高利得の信号 増幅を行うことにより、微弱な信号でも受信できる。(
長距離伝送が可 能)
スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同 一周波数帯を多くのチャンネルで共用できる。
(
周波数利用効率が高い)
スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っている(
位相雑音が少ない)
の で、より速い速度での変調が可能。また、位相や周波数を変調することも 可能となり、高い伝送レートでの信号伝送が可能。(
送れる情報量が多 い)
スペクトル純度が高い
(
単一周波数)
ので、狭帯域の指向性アンテナなど を用いることができ、特定の方向にのみ強く信号を送ることができる。つ まり、伝送の指向性が高い。(
長距離伝送が可能)
何故コヒーレント光が望ましい のか
このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電 磁波を用いる場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球や