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Fixed Point Theorems and Applications

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Academic year: 2021

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(1)

不動点定理とその応用

Fixed Point Theorems and Applications

非線形解析研究室

BV11019

大場 孝則 指導教員 竹内 慎吾 准教授

1

はじめに

解析学の分野には不動点定理とよばれる定理がある

.

写像

f : X X

に対して

f (x) = x

となる点

x X

の存在は,単にその存在を示すのみならず,微分方程式 論や多くの空間で利用することができる.

 その中でも縮小写像の原理とよばれる基本的な定理

, 2007

年に発表された新しい証明

[4]

に注目し

,

較を行う.同時に有限次元における不動点定理である,

Brouwer

の不動点定理についての議論も進めていく

.

2

縮小写像の原理

2.1

不動点と縮小写像

定義

2.1 (

不動点

)

 写像

f

に対して,

f (z) = z

を満たすような点

z

写像

f

の不動点という.

定義

2.2 (縮小写像)

 距離空間

E = (E, ρ)

の部分集合

S

から

E

への写像

f

が縮小写像であるとは,ある定数

K [0, 1)

が存在し,

ρ(f (x), f(y)) Kρ(x, y), x, y S

が成り立つことである.

2.2

縮小写像の原理

定理

2.1 (縮小写像の原理)

 完備距離空間

X = (X, ρ)

から

X

への縮小写像

f

一意的な不動点をもつ.

証明の要点

 任意の出発点

x 0 X

を固定して,点列

{ x n }

x n = f (x n 1 )

と定める

.

このとき縮小写像の性質から

,

隣り 合う項の距離

ρ(x k , x k 1 )

を,

x 1

x 0

の距離

ρ(x 1 , x 0 )

の定数倍で評価できる.

ρ(x n , x n 1 ) = ρ(f (x n 1 ), f(x n 2 ))

Kρ(x n 1 , x n 2 )

.. .

K n 1 ρ(x 1 , x 0 ) (1)

 この関係を利用すると,次のように

{ x n }

がコーシー 列であることが示される

: m < n

のとき

ρ(x n , x m ) ρ(x n , x n 1 ) + · · · + ρ(x m+1 , x m )

(K n 1 + K n 2 · · · + K m )ρ(x 1 , x 0 )

= K m K n

1 K ρ(x 1 , x 0 ) 0 (m,n →∞ ) (2)

 この工程をより簡単にしたものが

Palais

の新証明 である

.

2.3 Palais

の新証明

 三角不等式から次のような関係が導かれる.

ρ(x, y) ρ(x, f (x)) + ρ(f (x), f (y)) + ρ(f (y), y)

ρ(x, f (x)) + Kρ(x, y) + ρ(f (y), y)

 から

ρ(x, y) 1

1 K (ρ(x, f (x)) + ρ(f (y), y)) (3)

Palais

が着目したこの関係式を適用すると,

{ x n }

コーシー列であることが次のように示される

:

ρ(x n , x m ) 1

1 K (ρ(x n , x n+1 ) + ρ(x m , x m+1 ))

K n + K m

1 K ρ(x 1 , x 0 ) 0 (m,n →∞ ) (4)

 以上のように, (2)式と比較するとより簡潔な証明と なっていることがわかる

.

従来の証明と新証明との違い

 従来の証明ではコーシー列を示す際,複数の二項間 の距離に対して,評価式

(1)

を適用する必要があった.

しかし

Palais

の新証明では

, 2

つの二項間の距離のみ

の適用で証明を行うことができる.

 応用として,縮小写像の原理を利用する一例を挙げる.

(2)

2.4

常微分方程式の解の存在定理

常微分方程式の初期値問題

dy

dx = g(x, y); y(x 0 ) = y 0 (5)

について考える.

g

は矩形閉領域

G :

G = { (x, y); x 0 x x 0 + a , | y y 0 | ≤ b }

上定義され,

x, y

について連続な

m

次元ベクトル関数 とする.また

g

はリプシッツ条件:

L s.t. (x, y 1 ), (x, y 2 ) G ;

| g(x, y 1 ) g(x, y 2 ) | ≤ L | y 1 y 2 |

を満たすとする

.

このとき

,

次の定理が成り立つ

定理

2.2 (常微分方程式の解の存在定理)

g

を上の通りとする.初期値問題

(5)

[x 0 , x 0 + a ]

でただ一つの解をもつ.ただし

M = max

(x,y) G | g(x, y) | , a = min {

a, b M

}

証明の要点

 初期値問題

(5)

,

積分方程式

y(x) = y 0 +

x x

0

g(t, y(t))dt (6)

と同値となる.

| y y 0 | ≤ b

を満たす区間

[x 0 , x 0 + a ]

上連続な

m

ベクトル値関数の全体を

B

とし

, B

に距離

ρ(y 1 , y 2 ) = max

x

0

x x

0

+a

e 2L(x x

0

) | y 1 (x) y 2 (x) |

を導入すると

B

は完備距離空間となる. (6)の右辺を

(T y)(x)

と表すと

, T

B

から

B

への縮小写像となる

.

ここで定理

2.1

を適用する.

3 Brouwer

の不動点定理

定理

3.1 (Brouwer

の不動点定理)

R n

の有界閉凸集合

S

から

S

への連続写像

f

S

中に不動点をもつ.すなわち

f (x 0 ) = x 0

となるような

x 0 S

が少なくとも一つ存在する

.

証明の要点

S

の有界性より

S

を含む十分大きな閉球をとること から議論を始めていく

.

証明の手順として以下のよう な段階を踏む.

(B1)

「閉球から閉球自身への連続写像が不動点をもつ」

と仮定したとき,定理が成り立つことを示す.

(B2)「閉球から閉球自身への C

級写像が不動点を

もつ」と仮定したとき,定理が成り立つことを示す.

(B3)「閉球から閉球自身への C

級写像が不動点をも

つ」ことを示す

.

 定理

2.1

とは違って,不動点の一意性が保証されて いないことが大きな違いである.また注意点として,

Brouwer

の不動点定理は一般に無限次元空間では成立

しない.これは,有限次元空間であれば有界閉集合はコ ンパクトであるが,無限次元空間であるとコンパクト であるとは限らないためである.無限次元空間の場合, 集合か写像にコンパクト性を課した

Schauder

の不動 点定理という別の定理が存在する

.

Brouwer

の不動点定理は様々な分野で活用されてい

る.一例として代数学の基本定理を挙げる.

3.1 (代数学の基本定理)

n

次方程式

a n z n + a n 1 z n 1 + · · · + a 1 z + a 0 = 0 (7)

 は複素数の範囲で

,

重解を含めて

n

個の解をもつ

.

証明の要点

(7)

式の左辺を

P (z)

とする.

f (z) = z P(z) g(z) (g

連続かつ

g(z) ̸ = 0)

という形の写像

f

を上手にとるこ とで

, f

をある有界閉凸集合からそれ自身へ写す連続 写像とすることができる. Brouwerの不動点定理を適 用すると

f (z)

は不動点をもつ

.

その点を

z 0

とすれば

f (z 0 ) = z 0 ,

すなわち

P(z 0 ) = 0

を得る.あとは因数 定理を適用する.

4

おわりに

縮小写像の原理を始めとした様々な不動点定理は, 適用できる空間において不動点の存在を保証している ことから,多方面の数学で活用できる定理である.

 今回研究の中心とした

Palais

の新証明においては, 単に縮小写像の性質を適用するのではなく,注目され ていなかった関係式

(3)

をも活用する柔軟な発想が, より簡潔な証明を可能にした

.

参考文献

[1]

田島一郎,解析入門,岩波全書, 1981.

[2]

堀内利郎,下村勝孝, 関数解析の基礎, 内田老鶴圃,

2005.

[3]

増田 久弥,非線形数学,朝倉書店, 1985.

[4] Richard S Palais, A simple proof of the Banach

contraction principle, J. Fixed Point Theory

Appl. 2 (2007), 221-223

参照

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