鹿児島経済論集第61巻第4号(2021年3月) 273
線型代数に於ける或る定理
Theorems
ln
LinearAlgebra
中嶋眞澄 MasumiNAKAJIMA
Dep(zrtmentq/Eco7'omics 肋オerna加冗αI[ノ ノe櫛t!/q/K(M9os/Mmq
Kagos"ma891‑0197;JAPAjV email:[email protected]
概要 Abstract
Wederivelleretwotheorcms(Theoreml,2) illLinearAIgebra whicharellewasfarastheauthorknows・ IIlor(lcrtoProvethem weilltroduceanewconceptcalledsub‑vector.
Keywords; linearalgebra,vector,sub‑vector, liIlearlyill(IGI)eIl‑
dellt.
MathematicsSubjectClilssification; 15AO3
この小論の定理を証明する動機となったものは,著者の講義「経済数学I」
で使用した教科書I1}の中の定理3.1(1).53)の証明が誤りであるからであ る。 (必要条件のみの証明になっていて,全く十分条件については述べて いない。即ち.行列の,,{列ベクトル表現の列ベクトルの7・""A。}≧{0でな い小行列式の最大次数}。、の証明にしかなっていず.定理の主張{列ベク トル表現の列ベクトルの、nA}={()でない小行列式の般大次数},,の証 明になっていない。 )しかし, この教科沓:は. この点を除き名著である。
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補題1 Rr@ヨα17a29 対して,
,a",A=(@,,a2, ・ ・ ・ ,Q")(行列Aの列ベクトル表現)に
,α"が1次独立<一IAI=│Q,,a2, ,α"が1次従属<‑IAI=IQ,,Q2,
□00芋一︑冗aαqJ令″
(i)q,,Q2, (ii)Q,,Q2,
A= (…,α恥・・・,Qj9…,Qj,・・・)
li
α〃0 ・ ・ ・ α師 ・ ・ ・ αkj
α"& ・ ・ ・ α鹿 . . . αIj
一
一 ●●
αmノL ・ . . ami ・ ・ ・ αwlj
1鷺l鋤‑│沙』‑│藁 1
'
ah :==
|蕊蔑蕊)…
A' :=(α'胆',αを',αj') :=
補題1より
IA'│≠0
ー
Q",ai.,qj'は1次独立ノ グ
‐
{1,1α','十鰯&αを'+1抄j'=0ならば:I:1="&=鰯§=0}…(*)グ
00一一J巧
● 麺 g
︾
a33鉱勿十十f
■︒●pタマαa2
麺 ワ﹄韮
十十
ofLfbaαl⑩鎚
甜一
中嶋興澄:線型代数に於ける或る定理275
上記(*)より
一
"1="2="3=0;即ちαb,Qj,qjは1次独立 即ち IA'│≠O−ah,αf,αjは1次独立
この論法と全く同じ論法によって,
定理
、≦肥,m≦Iとして
M(犯×I;R)orM(泥×I;C)3A=(・ ・ ・ ,qjn,…,α
j' jk jm
…)=
,Qj"、,
ai,jl ・ ・ ・ αj1jk . 。 . af'j,n
ailj, ・ ・ . ailjk 。 . 。 α 汀
二目=
aimjl ・ ・ ・ αimjk ・ ・ ・ αfmjm 申申
十 EI1
Qj,ノ ==
ERmorCm,
A' :=(Qj,',・ ・ ・ ,oj偽',…,qj,,2')
EM(m×m;R)orM(m×m;C)
目二三
はAの、次正方小行列
276鹿児島経済論染第61巻第4号(2021年3月)
と置くと
aj,',…,α侭',…'Qjwa'が1次独立,即ちIA'│≠0
一
@j''…,α九,…'Qjwuも1次独立
となる。□
が得られる。
この定理の逆が成り立つが、この定理の逆を述べる為に部分ベクトルsub‑
vector或いは小ベクトルと云う概念(中嶋)を導入する:
7">nとして,
n個のベクトルα,,α2,…,a"ERmo7°C",から一斉にそれらの第j,,j2,…9in 成分を取って作った加個のベクトルαi,α&,…,αAER"orC"を元のベ クトルα,,α2,…,QnER'no7・C"!の部分ベクトルsub‑vector或いは小
ベクトルと名附ける。即ち
H
α1,2 (l1,1
(Iil,2 (Ijl,1
ゥ ・ ・ ・ ?α :==
α1 := αj苫,1 (Ii2,2
(Ij,0.2 ,0,1
(Iwl.1 αm、2
ER"'oノ・C'"
抑加皿58つ一●①伽■分■C勺q申8各aαα
ノJlIIIIlll︑
一 一
〃卸α
︑1lllllljノ222︒■&つ一●︒︒n.刃号︒●8●■■α︑
/JIIllllll︑
|
|
グウーα
︑︑ⅡIIIllljノ﹄JJQ■凸少今ロCG卯凸●5.℃8●■qaα側
ノjllllllll︑
fla
ER''oノ・C''
中鴫填澄:線型代数に於ける或る定理277
|澱
A'=(Qi,α&,…,。Im)=
EM(7D×汎;R)of・M("×孔;c),
|激
A=(Q,,Q2,…,a")=
EM(m×抑;R)orM(m×n;c).
1
1沌冗沌12:︒冗抑灯れ︐?■含●●●4凸令④aαa12..︒maαα●︒●●●●●●●g●BOC■●ゆ以上の準備の下,以下の定理1,2を証明する 定理1(中嶋)
7n>nとして,上記α11Q27…,α ER'"o7・Cmが1次独立であれば,そ れらの部分ベクトルsub‑vectorci,α&,…,α$、ER"oI・C"で1次独立で
あるものが存在するexist.
この定理を証明するには, この定理の次の対偶(定理2)を証明すれば良
い。
定理2(中嶋)
nl>沌として,上記α,,α2,…,"mERmo7・Cmの全ての部分ベクトル sub‑vectorai,α&,…,α;、ER"orC''が1次従属であれば,元のベクト
ルα,,α2,…,anER"lo7・C'"も1次従属である。
証明
nn>nとしてmに関する帰納法inductiononmで証明する。
m=nのときは,明らかに成り立つ。
m−1≧〃('1は任意)のとき成り立つと仮定して77Z>nのときを考える。
おlal+fr2Q2+…+ユア,,αγa=0
‐
278鹿児島経済論集第61巻第4号(2021年3月)
2212aa
1112aa
+鉦、
〃1 α ,2
Qn+1,2 α油.1
an+1,1
am,1 am,2
ぐ=今(*)
定理2の前提では「全ての部分ベクトル…」とあるので,特に/fI1IIII0I1︑ aαα 1△︑畠︒︒︒卯 ︐︑九
1
一 一
J蛇α
︑11011111Jノ
ハ
〃 一 句
〃 ハ ク
︾
119﹄・・尋maαα
ノJllllIIl1︑
一 一
Jワーα
︑1−1111Jノ似j11凸ワニ︒︒︒沌ααα
/JIIIIllll︑
l
−
jla
が1次従属, ・ ・ ・(#)
即ち,A' :=│Qi,α&,…,α;、│=0
と仮定とする。
中嶋眞澄:線型代数に於ける或る定理279
=
0000瓠一声二
一 一 一 一
f抑冗施z〃⁝蜘裡⁝〃抑冗鯉Lnl2抑十maαanα+++和+
+++++
2鞄が鞄22〃必222L212.:卸十・:maαa抑α+++知十
1鋤煙轍1l砥範11:.j1.:112+maαa塊α
α
今IIIIIIIIj︑IIIIIIII1
(*)
ー
00
一 一
沌勿ねれ︒:範
ね0001+m一二一一恥α+流n加十麺〃.:勿沌刀沌︒Ⅱワ﹄兜aαα十++++
2●●毎22〃+++12+:︒m流α222α〃範工+222+1&ワ一・・︒加aαa1+++〃11〃
︒■且■G■︒■■凸十ml11範z麺池a︒■且●■a●●●CH4a︒Ⅱワー狐aαaグーIII1111rIIIノー1111J*j*︐a***犯itαit
(#)より(**)は非自明な解を持つ。ベクトルαi,α畠,…,αAの添え字の番 号を付け替える事により〃'≠oとして良い。そしてα1,11a2,17…7(ZTD,1の 全てがOとなることはない。 もし全てが0であるとすると解",≠0が連立 1次方程式(**)の中に存在しなくなり鉱1==α沌I/re(II(comple")number となってしまう。従って(**)の式の番号(係数行列の行番号)を付け替え る事によりα1,,≠Oとしても構わない。これより
"1==一坐(q,,2"2+…+iz,,""")≠0・・・(****)
α1,1
280鹿児島経済論集第61巻第4号(2021年3月)
となり, これを(**), (***)に代入して"1を消去すると
lMl
(*****)
上記(*****)は未知数の個数= ‑1,式の個数=m‑‑1でm‑1>沌一1 であるので帰納法の仮定を満たし, (**')は非自明な解を持つ。何故なら ば(**')の解がZ2=錐3=…=範"=0のみであれば(****)より〃!=0 となり, (**)が非自明な解を持つ事に反するからである。従って(*****)
はm‑1>n‑1のときの帰納法の仮定全てを満たしているので帰納法 の仮定により(*****)は非自明な解躯2,"3, ・ ・ ・ ,範,@を持つ。これをその まま(****)に代入すれば(このとき鉦2,"3, . . . ,砥"の値に応じて鯵,の値 は先の値と異なっても良く勿論範1=0でも良い。 ), これは(*)の解であ り.従って(*)は、≧肥の場合非自明な解を持つ事となり,m‑1Zn‑1
の場合定理が成り立つ事を仮定すればnZ>冗の場合も成り立つ事となり 帰納法により定理3.11の証明は完成する。□
定理,定理1,2より,m×7'行列のrankを次のように定義する
liil
A=(a,,a2, ・ ・. ,。")=
をそれぞれAの列ベクトル表現,行ベクトル表現として rank列A:=rank{a,,Q2,…,a"},
rank行A:=rank{b,,b2,・・・,b"},
rallk行列式A:={Aの0でない小行列式の最大次数}.
と定義すると定理,定理1,2より
rank列A=rank行A=rank行列式A
中嶋興澄:線型代数に於ける或る定理281
となる。これを改めて
rankA:=rank列A=rank行A=rank行列式A と定義して行列Aのrankと云う。
参考文献
lll木村英紀Kimura,H. 『線形代数』L伽"rAj9e6m, (inJapanese):
東京大学出版会theUniv.of'IbkyoPress,2003,(x+233)pp..
(received30January2021.)