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社団法人 日 本 機 械 工 業 連 合 会

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(1)

日機連 16 先端-6

平成 16 年度

機械構造体の次世代型非接触・非破壊検査システムの 将来像に関する調査研究報告書

平成 17 年 3 月

社団法人 日 本 機 械 工 業 連 合 会

財団法人 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 振 興 協 会

(2)

戦後の我が国の経済成長に果たした機械工業の役割は大きく、また機械工業の発展を支 えたのは技術開発であったと云っても過言ではありません。また、その後の公害問題、石 油危機などの深刻な課題の克服に対しても、機械工業における技術開発の果たした役割は 多大なものでありました。しかし、近年の東アジアの諸国を始めとする新興工業国の発展 はめざましく、一方、我が国の機械産業は、国内需要の停滞や生産の海外移転の進展に伴 い、勢いを失ってきつつあり、将来に対する懸念が台頭しております。

これらの国内外の動向に起因する諸課題に加え、環境問題、少子高齢化社会対策等、今 後解決を迫られる課題が山積しているのが現状であります。これらの課題の解決に向けて 従来にもましてますます技術開発に対する期待は高まっており、機械業界あげて取り組む 必要に迫られております。我が国機械工業における技術開発は、戦後、既存技術の改良改 善に注力することから始まり、やがて独自の技術・製品開発へと進化し、近年では、科学 分野にも多大な実績をあげるまでになっております。

これからのグローバルな技術開発競争の中で、我が国が勝ち残ってゆくにはこの力をさ らに発展させて、新しいコンセプトの提唱やブレークスルーにつながる独創的な成果を挙 げ、世界をリードする技術大国を目指してゆく必要が高まっております。幸い機械工業の 各企業における研究開発、技術開発にかける意気込みにかげりはなく、方向を見極め、ね らいを定めた開発により、今後大きな成果につながるものと確信いたしております。

こうした背景に鑑み、当会では機械工業に係わる技術開発動向等の補助事業のテーマの 一つとして、財団法人エンジニアリング振興協会に「機械構造体の次世代型非接触・非破 壊検査システムの将来像に関する調査研究」を調査委託いたしました。本報告書は、この 研究成果であり、関係各位のご参考に寄与すれば幸甚であります。

平成17年3月

社団法人 日本機械工業連合会 会 長 金 井 務

(3)

まえがき

本報告書は、社団法人日本機械工業連合会が日本自転車振興会の自転車等機械工業振興 事業に関する補助金を受けて実施している事業の一環として、当協会が受託して行った「機 械構造体の次世代型非接触・非破壊検査システムの将来像に関する調査研究」について取 りまとめたものであります。

高度成長期、バブル経済期に利便性を求めて建設されたエネルギーや製造プラント等の 産業施設や、橋梁、道路、港湾、トンネル、建築物等の社会インフラは、金額にして 2000 兆円、重量にして250億トンにも昇るとの推計があります。現在これらが次々と老朽化し、

更新期を迎えています。一方、循環型社会の実現の要請から、従前のスクラ ップ・アンド・

ビルドによる対応には限界が生じています。このような状況において、各種施設・設備の メンテナンスの重要性が高まっていますが、現状のメンテナンスに関わる産業分野には必 ずしも十分に社会的な資源の配分が行われているとは言えない状況にあり、その結果、事 故や不具合の発生や、それを生じさせないための過剰予防によるエネルギー資源の浪費と いう問題が生じております。加えて今後の少子高齢化の進行により、熟練技術者の世代交 代に伴う技術の継承も問題となっており、これらの課題に早急に対応を図る必要がありま す。

こうしたことから当協会では、社会全体に経済的で効率的なメンテナンスを実現するた めにはメンテナンス技術の高度化を図り、それによって新たなメンテナンス産業を振興す る必要があると考え、技術面・経済面・社会制度面などから多面的な検討を行っています。

本 調 査 研 究 は メ ン テ ナ ン ス の 高 度 化 に 重 要 な 役 割 を 果 た す と 考 え ら れ る コ ン ク リ ー ト および鋼構造物の非接触・非破壊検査技術に関して、今後有望と考えられる次世代型技術 の可能性について検討を行ったものであります。

本報告書の成果が十分に活用されることを切に願うとともに、本調査研究にご協力いた だいた関係各位に対して心から謝意を表します。

平成17年3月

財団法人 エンジニアリング振興協会 会 長 増 田 信 行

(4)

事業運営組織

本事業は、財団法人エンジニアリング振興協会内に「次世代型非接触・非破壊検査シス テム調査研究委員会」を設け、検討を行った。

「次世代型非接触・非破壊検査システム調査研究委員会」委員名簿

委 員 長 魚本 健人 東京大学生産技術研究所

都市基盤安全工学国際研究センター センター長 教授 副 委 員 長 加藤 佳孝 東京大学生産技術研究所

都市基盤安全工学国際研究センター 講師 委 員 荒川 敬弘 石川島検査計測(株)

研究開発事業部 技師長 石橋 忠良 東日本旅客鉄道(株)

建設工事部 構造技術センター 所長 江浦 茂 浜松ホトニクス(株)

システム事業部 営業推進部

河野 広隆 (独)土木研究所

材料地盤研究グループ グループ長 杉山 律 (株)間組

土木事業本部 技術設計部 課長 松裏 寛 東京電力(株)

技術開発研究所 建設技術グループ 主任

松田 敏 (株)熊谷組

土木事業本部 土木技術部 リニューアル技術グループ 課長 守屋 進 JFEテクノリサーチ(株)

計測システム事業部 製品開発部 部長

横田 弘 (独)港湾空港技術研究所

地盤・構造部 構造強度研究室 室長 オブザーバ 北島 宏樹 経済産業省

製造産業局 産業機械課 国際プラント推進室 課長補佐 新田 渉 経済産業省

製造産業局 産業機械課 国際プラント推進室 係長 研 究 員 田上 稔 (財)エンジニアリング振興協会

客員研究員

西土 隆幸 (財)エンジニアリング振興協会

客員研究員

蓮井 昭則 (財)エンジニアリング振興協会

客員研究員

山下 英俊 (財)エンジニアリング振興協会

客員研究員

事 務 局 朝倉 紘治 (財)エンジニアリング振興協会 研究理事

寺園 道雄 (財)エンジニアリング振興協会

研究主幹

加藤 貴司 (財)エンジニアリング振興協会

技術部 主任研究員

(5)

目 次

はじめに

第 1章 調査研究の概要 --- 1

1.1 目的--- 1

1.2 報告書の構成--- 1

第 2章 コンクリート構造物の次世代型非接触・非破壊検査技術に関する検討--- 2

2.1 マルチスペクトル法を用いたコンクリート表面の劣化評価手法 --- 2

2.2 赤外線法を用いたコンクリートの物質移動抵抗性評価手法--- 54

2.3 コンクリート構造物の次世代型非接触・非破壊検査システムの将来像--- 60

第 3章 鋼構造物の次世代型非接触・非破壊検査技術に関する検討--- 83

3.1 鋼構造物の遠隔検査手法--- 83

3.2 鋼構造物の次世代型非接触・非破壊検査システムの将来像--- 94 おわりに

(6)

はじめに

我が国は他国に類を見ない高度経済成長を経験し、大量かつ大規模に社会基盤施設が整 備された。この 20 世紀は構造物を造る時代であったといえる。事実、国土交通省の資料 によると、 1950年からピーク時の1970年頃まで年平均約2500の橋梁が新設され、現在、

約 13.6万橋のストックが存在する。これは、日本の全人口で考えれば、約 1000人に1橋 の割合で存在していることになる。一方、少子・高齢化社会の到来が予想されており、今 後は建設当時より遙かに少ない人口で膨大な社会基盤施設を維持管理していかなければな らない。これからの 21世紀は今ある構造物をよりうまく使いこなす時代である。従って、

構造物の劣化診断や維持管理技術が重要視されていくことは疑う余地がなく、さらなる研 究開発、技術開発が望まれるところである。

次世代型非接触・非破壊検査システム調査研究委員会は、このような状況を踏まえ、平 成 15 年度に財団法人エンジニアリング振興協会の委員会として発足し、各機関のスペシ ャリストに参加して頂いて活動を開始した。社会基盤施設は、過酷な環境下に置かれる場 合が多く、コンクリート構造物ではコンクリートの劣化や鉄筋の腐食、鋼構造物では鋼材 の腐食による耐久性の低下が極めて深刻な問題であり、近年、社会問題として取り上げら れる場合も多い。そのため、構造物の耐久性能を正確に評価する手法が必要であり、より 定量的、合理的な調査・診断方法の確立が重要であることは言うまでもない。本委員会で は、現在利用、開発されている多くの試験方法の中から、非接触かつ非破壊試験による調 査・診断方法の可能性について検討することを主目的とし、実際に試験体や実構造物の測 定を行い、手法ごとの適用性についての検討を行うこととした。

昨年度には、現在開発されているコンクリート構造物や鋼構造物に対する非破壊試験方 法の現状について整理を行い、今後の可能性について検討を行った。また、現在開発中で ある遠隔検査手法について適用性の検討を行った。今年度はこれに引き続き、次世代型技 術としての遠隔検査手法について、現状の課題点の抽出や将来像を明らかにするための検 討を行った。これらの研究成果が今後、この分野の発展の一助となれば幸いである。

平成17年3月

次世代型非接触・非破壊検査システム調査研究委員会 委員長 魚 本 健 人

(7)

第1章 調査研究の概要

1.1 目的

過酷な海洋環境下にあり、かつ、大気が汚染されている状態にある我が国では、鉄筋コ ンクリート構造物の塩害や中性化による耐久性能の低下、鋼構造物の腐食による耐久性の 低下が極めて深刻な問題となっている。

また、高度成長期に整備された社会基盤、住宅などの量は膨大であり、これらコンクリ ート構造物や鋼構造物のメンテナンスを効率的かつ効果的に行うことが経済政策上におい ても極めて重要な課題である。この場合、既設構造物がどの程度の劣化を受けているかを 評価することが、メンテナンスの鍵となり、これを効率的に実行できる手法の確立が必要 不可欠である。

現在、コンクリート構造物の中性化や塩害による劣化度を検討するには、コア抜きによ るサンプリング試験体を用いて指示薬による中性化深さの測定や、含有塩化物イオン濃度 の測定を行う必要があるが、これは、構造物を破壊する必要があるとともに時間のかかる 手法である。

本調査研究では、塩害や中性化によるコンクリート構造物、あるいは腐食・疲労による 鋼構造物の劣化程度を定量的かつ効率的に把握することが可能な非接触・非破壊の先端的 検査手法を調査し、構造物におけるメンテナンス技術の高度化のための計測機器および機 械システムとその活用方法を提言する。これらにより、計測機器システム等の高度化と新 規事業の創出を図り、機械産業全般の振興に資することを目的とする。

1.2 報告書の構成

報告書の章立てと概略の内容を以下に示す。

第1章には、本調査研究の目的、報告書の構成を示す。

第2章では、コンクリート構造物の次世代型検査技術として、遠隔から非接触・非破壊 で塩害等の劣化を評価するための技術に着目し、実験を主体とした検討による実現性の評 価と、今後の技術開発の方向性策定に向けた検討について述べる。

第3章では、鋼構造物の遠隔検査手法について目的別、個別構造物事例における詳細検 討を実施し、次世代型検査技術の方向性を検討した結果について述べる。

(8)

第2章 コンクリート構造物の次世代型非接触・非破壊検査技術に関する検討

東京大学生産技術研究所魚本研究室では、マルチスペクトル法を用いたコンクリート表 面の劣化評価および非破壊検査(赤外線法)を用いたコンクリートの物質移動抵抗性評価 について積極的に研究が行われている。これらは遠隔から非接触・非破壊でコンクリート 構造物の塩害や中性化を評価しようとするもので、次世代型の検査システムとして非常に 有望な技術の一つである。本研究では、これらの技術に着目し、昨年度は最近の近赤外分 光技術の概要を整理するとともに、本技術を実コンクリート構造物へ適用するための基礎 研究として、パラメータをふった試験体を作製した。今年度はそれらの試験体を用いて、

各種の測定を実施し、その結果から今後の実現性の評価を行うものである。以下に各検討 内容を示す。

2.1 マルチスペクトル法を用いたコンクリート表面の劣化評価手法の検討

2.1.1 概要

(1) マルチスペクトル法の概要

マルチスペクトル法は、リモートセンシングの技術の一つとして用いられており、地 球上のあらゆる物質が固有に反射または放射する電磁波(分光特性)を用いて構成成分 を特定する方法である。人間の目は電磁波のうち、可視域と呼ばれるきわめて狭い範囲 しか観測することができないが、リモートセンシングでは、近赤外線、熱赤外線、マイ クロ波帯域などの様々な波長帯が利用されており、特に高い波長分解能でスペクトル特 性 を 計 測 す る 技 術 を ハ イ パ ー ス ペ ク ト ル リ モ ー ト セ ン シ ン グ と い う 。 こ の 技 術 に よ り 、 可視、近赤外、短波長赤外域(400~2500nm)の波長域において分解能 10nm以下でス ペクトル特性を連続的に観測できるようになった。図 2.1-1に示すとおり、物質によっ てそのスペクトルが多様であることが分かる。そこで、この技術をコンクリート分野に 応用し、既設構造物における表面劣化の評価を試みるものである。

図 2.1-1 分光反射率特性

(9)

(2) コンクリート分野における適用の可能性

あらゆる物質は固有な仕方で電磁波(光)を吸収する性質を持っており、この性質を 分光特性と言う。分光特性から成分や濃度を特定する手法が分光法である(2.1-1) (2.1-2)。こ のことから、コンクリートの劣化を示す物質についても、その特徴的なスペクトルの変 化から劣化を判断することができると思われる。図 2.1-2にコンクリートの代表的な劣 化の例として、中性化、硫酸劣化、塩分浸透によるスペクトルの変化を示す。正常なコ ンクリートに比べ、中性化したコンクリートは 1400nm付近に、硫酸劣化したコンクリ ートは 1750nm 付近に、塩分を含んだコンクリートは 2250nm付近に特徴が見られ、こ の波長の吸光度を定量的に評価すれば、中性化深さの推定やコンクリート中の硫酸イオ ン量や塩化物イオン濃度を定量的に評価することが可能と思われる。

コンクリート構造物においては、検査対象が大きく、立地条件も厳しいことから、大 断面の検査を行うには、労力を要する。したがって、遠隔で短時間に大断面を調査でき る手法があれば、非常に有効なツールとなる。マルチスペクトル法を用いたコンクリー トの劣化物質検出手法の具体的な実現イメージとして、検査対象面に近赤外光を照射し、

その反射光を特殊センサで測定することで、劣化物質の分布状況を画像イメージとして 取得することができる近赤外分光イメージングシステムが考えられる。これが実現すれ ば、非接触、非破壊でコンクリートの劣化因子を検出することができ、イメージングに よる劣化物質分布状況の可視化も可能なことから、コンクリート分野における適用の可 能 性 は 大 き い 。 さ ら に 、 コ ン ク リ ー ト 構 造 物 の 劣 化 調 査 へ の 応 用 だ け で は な く 、 検 査 、 品質管理への応用も考えられる。

正常なコンクリート

塩分を含んだコンクリート 中性化したコンクリート 硫酸劣化したコンクリート 0.4

0.3

0.2

0.1

1000 1500 2000 2500

波長(nm)

吸光度:A=log(1/R)

正常なコンクリート

塩分を含んだコンクリート 中性化したコンクリート 硫酸劣化したコンクリート 0.4

0.3

0.2

0.1

1000 1500 2000 2500

波長(nm)

吸光度:A=log(1/R)

図 2.1-2 各劣化のスペクトル(2.1-3)

(10)

2.1.2 実験内容 (1) 実験概要

マルチスペクトル法によってコンクリート構造物の表面の塩化物イオン濃度を評価 する手法の可能性を調査するために、供試体レベルの検討を行った。塩化物イオン濃度 を変化させたペースト、モルタルおよびコンクリート試験体を作製し、各測定を行った。

測定は、供試体を切断した面での近赤外分光イメージングシステムによる波形分析、粉 砕試料による波形分析(近赤外分光分析計)および JCI法による全塩分量とし、その結 果を元に塩化物イオン濃度と特徴波長における吸光度の検量線の検討を行った。

(2) 昨年度作製した供試体の概要

近赤外分光分析計や近赤外分光イメージングシステムによって検出されるスペクト ルに影響すると思われる特徴領域を検討するために、水セメント比、塩化物イオン濃度、

セメントの種類、骨材量等を変化させた試験体を作製した。

1) ペースト

各測定用の供試体として、表 2.1-1に示すとおり、4×4×16cmを各3体、圧縮強 度試験用としてφ5×10cmを各3体とし、全部で14配合、51体を作製した。配合 は水セメント比を 30、40、50% とし、水セメント比30、50%では塩化物イオン濃度 0%、普通セメントを使用、水セメント比 40%においては塩化物イオン濃度を4水準

(0、4.5、11.0、20.0kg/m3)、セメントを3種類(普通セメント、早強セメント、

高炉セメント)とした。なお、各供試体の配合を表 2.1-4に示す。

表 2.1-1 ペーストの項目別配合数 塩化物イオン濃度 水セメント比

0kg/m3 4.5 kg/m3 11.0 kg/m3 20.0 kg/m3

30% 1配合

40% 3配合 3配合 3配合 3配合

50% 1配合

注:水セメント比 40%は、セメントの種類(普通、早強、高炉)を変化させた。

ペーストの配合は 14 配合、供試体数は 51体(4×4×16cm)とした。

2) モルタル

各測定用の供試体として、表 2.1-2に示すとおり、10×10×40cm を各3体、圧縮強 度試験用としてφ5×10cmを各3体とし、全部で 12配合、40体を作製した。配合は、

水 セ メ ン ト 比 を 40、50、60% 、 水 セ メ ン ト 比 40、60% で は 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 0 % 、 普通セメントを使用、水セメン ト比 50% にお いては 塩化 物イオ ン濃 度を4 水準 (0 、 4.5、11.0、20.0kg/m3)、塩化物イオン濃度0、11.0kg/m3ではセメントを3種類(普 通セメント、早強セメント、高炉セメント)、塩化物イオン濃度 11.0kg/m3では骨材 量 を3水 準と した。 なお 、水セ メン ト比 50%は 、塩化 物イ オ ン 濃 度11.0kg/m3で は 、 表面に凹凸(2水準)をつけた供試体も作製した。各供試体の配合を表 2.1-5に示す。

(11)

表 2.1-2 モルタルの項目別配合数 塩化物イオン濃度 水セメント比

0kg/m3 4.5 kg/m3 11.0 kg/m3 20.0 kg/m3

40% 1配合

50% 3配合 1配合 5配合 1配合

60% 1配合

注:水セメント比 50%は、塩化物イオン濃度0、11.0kg/m3は、セメントの種類(普 通、早強、高炉)を変化させた。

水セメント比50%は、塩化物イオン濃度11.0kg/m3は、骨材量を3水準とした。

配合は 12配合、供試体数は、40体(10×10×40cm)とした。

なお、水セメント比 50%は、塩化物イオン濃度 11.0kg/m3では、表面に凹凸(2 水準)をつけた供試体も作製した。

3) コンクリート

各測定用の供試体として、表 2.1-3に示すとおり、10×10×40cm を各3体、圧縮強 度試験用としてφ10×20cmを各3体とし、全部で 12 配合、40体を作製した。配合は、

水 セ メ ン ト 比 を 40、50、60% 、 水 セ メ ン ト 比 40、60% で は 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 0 % 、 普通セメントを使用、水セメン ト比 50% にお いては 塩化 物イオ ン濃 度を4 水準 (0 、 4.5、11.0、20.0kg/m3)、塩化物イオン濃度0、11.0 kg/m3ではセメントを3種類(普 通セメント、早強セメント、高炉セメント)、塩化物イオン濃度 11.0 kg/m3では骨材 量を3水準とした。なお、水セメント比 50%、塩化物イオン濃度 11.0kg/m3では、表 面に凹凸(2水準)をつけた供試体も作製した。表 2.1-6に各供試体の配合を示す。

表 2.1-3 コンクリートの項目別配合数 塩化物イオン濃度 水セメント比

0kg/m3 4.5 kg/m3 11.0 kg/m3 20.0 kg/m3

40% 1配合

50% 3配合 1配合 5配合 1配合

60% 1配合

注:水セメント比 50%は、塩化物イオン濃度0、11.0kg/m3は、セメントの種類(普 通、早強、高炉)を変化させた。

水セメント比50%は、塩化物イオン濃度11.0kg/m3は、骨材量を3水準とした。

配合は 12配合、供試体数は、40体(10×10×40cm)とした。

なお、水セメント比 50%は、塩化物イオン濃度 11.0kg/m3では、表面に凹凸(2 水準)をつけた供試体も作製した。

(12)

表2.1-4 ペーストの配合

単位量(kg/m³) 試料No. セメント

種類

水セメント比

(%)

設定塩化物 イオン濃度

(kg/m³) セメント 水

フロー (mm) P1 普通 50 0.0 1224 612 300以上 P2 普通 40 0.0 1396 558 260×250 P3 普通 30 0.0 1621 487 174×171 P4 普通 40 4.5 1396 558 274×274 P5 普通 40 11.0 1396 558 278×276 P6 普通 40 20.0 1396 558 300以上 P7 早強 40 4.5 1393 555 209×203 P8 早強 40 11.0 1393 555 208×207 P9 早強 40 20.0 1393 555 221×218 P10 高炉 40 4.5 1371 549 254×252 P11 高炉 40 11.0 1371 549 259×261 P12 高炉 40 20.0 1371 549 242×237 P13 早強 40 0.0 1393 555 182×184 P14 高炉 40 0.0 1371 549 260×252

(13)

表2.1-5 モルタルの配合

単位量(kg/m³) 試料No. セメント種類 水セメント比

(%)

設定塩化物 イオン濃度

(kg/m³) セメント 水 細骨材 骨材量 フロー (mm) M1 普通 50 0.0 576 288 1362 0.52 192×196 M2 普通 40 0.0 656 262 1362 0.52 151×154 M3 普通 60 0.0 513 308 1362 0.52 226×228 M4 普通 50 4.5 576 288 1362 0.52 206×208 M5

M5凹凸大 M5凹凸小

普通 50 11.0 576 288 1362 0.52 220×219

M6 普通 50 20.0 576 288 1362 0.52 234×237 M7 早強 50 0.0 574 287 1362 0.52 185×184 M8 早強 50 11.0 574 287 1362 0.52 196×197 M9 高炉 50 0.0 567 284 1362 0.52 195×194 M10 高炉 50 11.0 567 284 1362 0.52 234×237 M11 普通 50 11.0 515 258 1493 0.57 180×179 M12 普通 50 11.0 453 227 1624 0.62 126×130

(14)

表2.1-6 コンクリートの配合

単位量(kg/m³) 試料No. セメント

種類

水セメント比

(%)

設定塩化物 イオン濃度

(kg/m³) セメント 水 細骨材 粗骨材

細骨材比 骨材量 スランプ (cm)

C1 普通 50 0.0 360 180 821 1034 0.45 0.696 4.3 C2 普通 40 0.0 320 192 821 1035 0.45 0.696 0.0 C3 普通 60 0.0 410 164 821 1034 0.45 0.696 9.5 C4 普通 50 4.5 360 180 821 1034 0.45 0.696 6.6 C5

C5凹凸大 C5凹凸小

普通 50 11.0 360 180 821 1034 0.45 0.696 11.0

C6 普通 50 20.0 360 180 821 1034 0.45 0.696 10.2 C7 早強 50 0.0 359 180 820 1033 0.45 0.696 3.4 C8 早強 50 11.0 359 180 820 1033 0.45 0.696 5.5 C9 高炉 50 0.0 355 178 820 1033 0.45 0.696 4.1 C10 高炉 50 11.0 355 178 820 1033 0.45 0.696 7.3 C-11 普通 50 11.0 416 208 767 966 0.45 0.650 17.5 C12 普通 50 11.0 386 193 796 1002 0.45 0.675 13.8

(15)

(3) 試 験 方 法

前 述 の と お り 、 各 供 試 体 に お い て 行 っ た 試 験 方 法 に つ い て 以 下 に 示 す 。 1) JCI 法 に よ る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 測 定(2.1-4)( 粉 砕 試 料 )

塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 測 定 は 、JCI-SC4「 硬 化 コ ン ク リ ー ト 中 に 含 ま れ る 塩 分 の 分 析 方 法 ( 全 塩 分 ) 」 に 準 じ て 実 施 し た 。 試 料 は 149µmの ふ る い を 全 通 す る よ う に 粉 砕 し 、 均 一 に 混 ざ っ た 状 態 に す る 。 そ の 後 、 試 料 に 硝 酸 溶 液 を 加 え 、 煮 沸 お よ び 不 溶 分 を 濾 過 し 、 電 位 差 滴 定 法 、 ク ロ ム 酸 銀 - 吸 光 光 度 法 、 硝 酸 銀 滴 定 法 等 で 測 定 す る 。 以 下 に 試 験 フ ロ ー を 示 す 。

コ ン ク リ ー ト の 粉 砕

吸 引 濾 過

硝 酸 溶 液 を 加 え 、 煮 沸

電 位 差 滴 定 法 等 に よ り 測 定

・ コ ン ク リ ー ト を 粗 割 、微 粉 砕 し 、均 一 に 混 ざ っ た 状 態 に す る 。 試 料 は 149µm の ふ る い を 全 通 す る よ う に す る 。

・ 試 料 に 硝 酸 溶 液 を 加 え pH3 以 下 に し 、 加 熱 煮 沸 す る 。

塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 算 出

・ 常 温 ま で 冷 却 後 、 吸 引 濾 過 す る 。

・ 試 料 溶 液 を 写 真 2.1-1 に 示 す よ う な 、測 定 装 置 に セ ッ ト し 、 測 定 す る 。

・ 測 定 結 果 を JCI-SC4 に 示 さ れ る 式 に 代 入 し 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 算 出 す る 。

(16)

2) 近 赤 外 分 光 分 析 計 に よ る 測 定 ( 粉 砕 試 料 )

粉 砕 試 料 の 近 赤 外 ス ペ ク ト ル の 測 定 は 、Foss NIR Systems 社 製 NIR 6500 Series(写 真 2.1-2)を 用 い て 拡 散 反 射 法 に よ り 行 っ た 。専 用 の 試 料 セ ル(写 真 2.1-3) に 粉 砕 試 料 を 入 れ 、 分 析 装 置 に セ ッ ト し 、 数 十 秒 で 測 定 が 完 了 す る 。 基 準 白 板 と し て 、 硫 酸 バ リ ウ ム (BaSO4) を 用 い た 。 硫 酸 バ リ ウ ム は 近 赤 外 域 に 特 異 な 吸 収 ピ ー ク が 無 く 、 分 光 反 射 率 曲 線 は す べ て の 波 長 に お い て 、99%前 後 の 一 様 な 高 い 反 射 率 を 示 す 。

写 真 2.1-2 Foss NIR Systems社 製 NIR 6500 写 真 2.1-3 専 用 の 試 料 セ ル

測 定 は 、 ま ず 基 準 白 板 と し て 硫 酸 バ リ ウ ム を 測 定 し 、 そ の 後 、 1 サ ン プ ル に つ き 3 回 の 測 定 を 行 っ た 。 1 回 の 測 定 で 50回 ス キ ャ ン を 行 っ て 、 こ れ ら の 平 均 値 を そ の サ ン プ ル の 近 赤 外 ス ペ ク ト ル と し た 。 各 波 長 に お け る 反 射 率 は 次 式 で 算 出 さ れ る 。

( 式 2.1-1)

R(λ)は 波 長 λに お け る 試 料 の 反 射 率 で あ り 、次 式 に よ り 吸 光 度 A(λ)に 変 換 さ れ る 。

( 式 2.1-2)

な お 、NIR 6500で は 、 2nmピ ッ チ で 400~2500nm の 連 続 ス ペ ク ト ル の 測 定 が 可 能 で あ る 。

R(λ)=

波 長 λ に お け る 基 準 白 板 の 反 射 光 強 度 波 長 λに お け る 試 料 の 反 射 光 強 度

A(λ)=log(1/R(λ))

(17)

3) 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム に よ る 測 定 ( 供 試 体 断 面 測 定 )

本 研 究 で は 、 図 2.1-4 の よ う な 分 光 器 と 近 赤 外 エ リ ア セ ン サ を 組 み 合 わ せ た 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム を 構 築 し 、 供 試 体 断 面 の 近 赤 外 ス ペ ク ト ル 測 定 を 行 っ た(2-1-5)

本 シ ス テ ム は 、 近 赤 外 光 を 測 定 面 に 照 射 し 、 そ の 反 射 光 が 分 光 器 で 分 光 さ れ た 画 像 を 近 赤 外 カ メ ラ で 撮 影 す る こ と で 、 各 波 長 の 分 光 画 像 が 取 得 で き る 。 白 色 校 正 板 か ら の 反 射 光 を 基 準 と し 、 各 測 定 点 の 放 射 輝 度 値 を 白 色 校 正 板 の 放 射 輝 度 で 除 す こ と で 、 反 射 率 ( 吸 光 度 ) に 変 換 す る こ と が で き 、 光 源 強 度 の ム ラ も 補 正 す る こ と が で き る 。 表 2.1-7、 表 2.1-8 に 使 用 し た シ ス テ ム の ス ペ ッ ク を 示 す 。

表 2.1-7 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム の ス ペ ッ ク ( ~1700nm) 分 光 器

Spectral Imaging社 製 ImSpector N17E 波 長 域 波 長 分 解 能

900-1700nm 5nm エ リ ア セ ン サ

900-1700nm InGaAs Digitization ピ ク セ ル 数 Pixel Pitch Pixel Rate

320×240 40µm 6.1MHz

表 2.1-8 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム の ス ペ ッ ク (1700nm~ ) 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム

Spectral Imaging社 製 AISA Hawk 波 長 域 波 長 分 解 能 検 出 素 子

1000-2400nm 5.5nm HgCdTe

Digitization ピ ク セ ル 数 Pixel Pitch

14bits 320×240 30µm

図 2.1-3に 本 シ ス テ ム の 構 造 を 示 す 。Spectral Imaging社 製 ImSpector は 、対 象 の 線 分 の 全 点 の ス ペ ク ト ル 情 報 を エ リ ア セ ン サ で 同 時 に 測 定 す る た め の 分 光 器 で あ る 。ImSpector と 近 赤 外 対 応 の エ リ ア セ ン サ を 接 続 し 、 光 源 か ら 近 赤 外 光 を 対 象 物 に 照 射 す る 。赤 の 破 線 x 軸 で 表 さ れ る 線 が ImSpector に 入 力 さ れ て い る と す る と 、 エ リ ア セ ン サ の 検 出 素 子 は 、 格 子 状 に 並 ん で お り 、 分 光 さ れ た 近 赤 外 光 を 受 光 す る 。 こ こ で エ リ ア セ ン サ の 縦 軸 が 赤 の 破 線 x 軸 に な り 、 横 軸 は 波 長 軸 に な っ て い る 。 各 検 出 素 子 の 受 光 強 度 を 波 長 順 に グ ラ フ 化 す る と 点 の ス ペ ク ト ル 分 布 に な る 。 よ っ て 、 一 度 の 撮 影 で エ リ ア セ ン サ に 、 軸 の 全 点 の ス ペ ク ト ル が 採 取

(18)

分 光 器 ImSpectorに は 、 特 殊 な プ リ ズ ム と グ レ ー テ ィ ン グ 構 造 に よ る プ リ ズ ム ・ グ レ ー テ ィ ン グ ・ プ リ ズ ム (PGP) 方 式 で ス リ ッ ト を 通 っ た 直 線 状 の 光 を 平 面 に 展 開 し て 分 光 す る 技 術 が 用 い ら れ て い る 。

エリアセンサ エリアセンサ エリ アセン サ

エリアセンサ エリアセンサ エリ アセン サ

図 2.1-3 近 赤 外 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム の 構 造(2.1-7)

(19)

2.1.3 実 験 結 果

(1) JCI法 に よ る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 測 定 結 果 1) ペ ー ス ト

ペ ー ス ト に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 測 定 結 果 に つ い て 表 2.1-9、図 2.1-4 に 示 す 。な お 、測 定 は JCI法 に 基 づ い て 行 っ た 。配 合 で 設 定 し た 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 に 比 べ 、 若 干 の 差 が あ っ た が 、 ほ ぼ 設 計 通 り で あ っ た 。

表 2.1-9 JCI塩 化 物 イ オ ン 濃 度 ( ペ ー ス ト )

試 料 No. セ メ ン ト 種 類 水 セ メ ン ト 比 (W/C)

設 定 塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

P1 普 通 50 0.0 0.3

P2 普 通 40 0.0 0.3

P3 普 通 30 0.0 0.3

P4 普 通 40 4.5 4.3

P5 普 通 40 11.0 10.0 P6 普 通 40 20.0 18.0

P7 早 強 40 4.5 3.8

P8 早 強 40 11.0 9.4 P9 早 強 40 20.0 18.0 P10 高 炉 40 4.5 4.5 P11 高 炉 40 11.0 10.4 P12 高 炉 40 20.0 18.5 P13 早 強 40 0.0 0.2 P14 高 炉 40 0.0 0.2

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0

P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 P10 P11 P12 P13 P14

塩化物イオン濃度(kg/m³)

(20)

2) モ ル タ ル

モ ル タ ル に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 測 定 結 果 に つ い て 表 2.1-10、 図 2.1-5 に 示 す 。測 定 はJCI法 に 基 づ い て 行 っ た 。配 合 で 設 定 し た 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 に 比 べ 、 低 め の 値 と な り 、 ペ ー ス ト と の 差 が 大 き い 結 果 で あ っ た 。

表 2.1-10 JCI塩 化 物 イ オ ン 濃 度 ( モ ル タ ル )

試 料 No. セ メ ン ト 種 類 水 セ メ ン ト 比 (W/C)

設 定 塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

M1 普 通 50 0.0 0.1

M2 普 通 40 0.0 0.1

M3 普 通 60 0.0 0.1

M4 普 通 50 4.5 3.5

M5 M5凹 凸 大 M5凹 凸 小

普 通 50 11.0 8.9

M6 普 通 50 20.0 16.5

M7 早 強 50 0.0 0.1

M8 早 強 50 11.0 8.8

M9 高 炉 50 0.0 0.5

M10 高 炉 50 11.0 9.7

M11 普 通 50 11.0 8.5

M12 普 通 50 11.0 8.9

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0

M1 M2 M3 M4 M5 M6 M7 M8 M9 M10 M11 M12

試料No.

塩化物イ オ ン 濃度( kg/m ³)

図 2.1-5 モ ル タ ル の 塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(21)

3) コ ン ク リ ー ト

コ ン ク リ ー ト に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 測 定 結 果 に つ い て 表2.1-10、図2.1-7 に 示 す 。測 定 は JCI 法 に 基 づ い て 行 っ た 。配 合 で 設 定 し た 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 に 比 べ 、 低 め の 値 と な り 、 モ ル タ ル よ り も さ ら に そ の 差 が 大 き く な っ た 。

表 2.1-11 JCI塩 化 物 イ オ ン 濃 度 ( コ ン ク リ ー ト )

試 料 No. 水 セ メ ン ト 比

(W/C) セ メ ン ト 種 類

設 定 塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

塩 化 物 イ オ ン 濃 度

(kg/m³)

C1 50 普 通 0.0 0.1

C2 40 普 通 0.0 0.4

C3 60 普 通 0.0 0.1

C4 50 普 通 4.5 3.0

C5 C5 凹 凸 大 C5 凹 凸 小

50 普 通 11.0 8.6

C6 50 普 通 20.0 12.4

C7 50 早 強 0.0 0.7

C8 50 早 強 11.0 8.0

C9 50 高 炉 0.0 0.4

C10 50 高 炉 11.0 7.8

C11 50 普 通 11.0 7.7

C12 50 普 通 11.0 8.3

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0

C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 C10 C11 C12

塩化物イオ ン 濃度( kg / m ³)

(22)

(2) 近 赤 外 分 光 分 析 計 の 測 定 結 果 1) 測 定 結 果

塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 変 化 さ せ た ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル 、 コ ン ク リ ー ト の 各 供 試 体 を 粉 砕 し 、近 赤 外 分 光 分 析 計 に よ る 波 形 分 析 を 行 っ た 。そ れ ぞ れ の 結 果 に つ い て 、 以 下 に 示 す 。

(a) ペ ー ス ト

図 2.1-7に 塩 化 物 を 混 入 し た セ メ ン ト ペ ー ス ト に お け る 近 赤 外 ス ペ ク ト ル を 示 す 。 詳 し い 配 合 に つ い て は 、 表 2.1-9を 参 照 の こ と 。

図 2.1-7 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( ペ ー ス ト )

普 通 、 早 強 、 高 炉 セ メ ン ト の す べ て の 供 試 体 に お い て 、 同 型 の ス ペ ク ト ル が 確 認 さ れ た 。ス ペ ク ト ル の 吸 光 ピ ー ク が 、1400nm 付 近( 図 中 *1 参 照 )、1950nm 付 近 ( 図 中 *2参 照 ) に お い て 明 確 に 表 れ た 。1400nm 付 近 の ピ ー ク は 、 水 酸 化 カ ル シ ウ ム OH⁻の 伸 縮 振 動 の 第 1 倍 音 1410nm で 、1950nm 付 近 の ピ ー ク は 、 H₂O の 結 合 音 1946nm で あ る と 思 わ れ る 。 ま た 、2400nm付 近 に は 、 ( 図 中 *4 参 照 )水 酸 化 ナ ト リ ウ ム OH⁻の 変 角 振 動 の 第 2 倍 音 2404nm の 弱 い 吸 光 ピ ー ク も 確 認 で き た 。 さ ら に 、2266nm 付 近 ( 図 中 *3参 照 ) に お け る ス ペ ク ト ル に 注 目 す る と 、 試 験 体 の 設 定 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 増 加 す る に つ れ 、 吸 光 度 が 高 く な る 傾 向 が 確 認 さ れ た 。 こ れ は 、2266nm 付 近 の ス ペ ク ト ル が 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 変 化 に 伴 い 観 測 さ れ る 独 立 ピ ー ク で あ る た め だ と 思 わ れ る 。

ま た 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 定 量 値 を 評 価 す る た め に 、 図 2.1-8~10に 、 普 通 セ メ ン ト 、 早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト の 種 類 別 に 分 け 、2206nm の ス ペ ク ト ル 値 を 基 準 と し 、そ れ ぞ れ の ス ペ ク ト ル を 重 ね て 示 し た 。こ の 結 果 、若 干 で は あ る が 、 2266nm 付 近 に お い て 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 差 に 伴 い 、 ピ ー ク 強 度 に 差 が 認 め ら れ た 。 そ の 傾 向 は セ メ ン ト の 種 類 に は 関 係 な い が 、 強 度 は 高 炉 、 普 通 、 早 強 セ メ ン ト の 順 に な っ て い る 。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

500 1000 1500 2000 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 P10 P11 P12 P13 P14

1

3

*2

4

(23)

図 2.1-8 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( ペ ー ス ト 普 通 セ メ ン ト W/C = 40%)

図 2.1-9 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( ペ ー ス ト 早 強 セ メ ン ト W/C = 40%)

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 4.5kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³ 塩化物イオン濃度 20kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 4.5kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³ 塩化物イオン濃度 20kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 4.5kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³ 塩化物イオン濃度 20kg/m³

(24)

近 赤 外 ス ペ ク ト ル の 解 析 法 と し て 、 ス ペ ク ト ル の わ ず か な 差 を 調 べ た り 、 重 な り 合 っ た バ ン ド を 解 析 す る 場 合 、 差 ス ペ ク ト ル と 2 次 微 分 ス ペ ク ト ル が よ く 用 い ら れ る 。 次 項 で 分 光 イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム に よ っ て 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と の 関 連 性 を 求 め る に あ た っ て は 、 分 解 能 の 関 係 上 、 2 次 微 分 値 を 計 算 す る こ と が で き な い た め 、 今 回 は 、 差 ス ペ ク ト ル を 用 い た 。

差 ス ペ ク ト ル の 計 算 は 、2206nm と 2300nm の 2 点 間 の 直 線 を 求 め 、 そ の 直 線 と 2266nmの ス ペ ク ト ル 強 度 の 差 分 値 を 求 め た 。( 図 2.1-11 参 照 )以 下 に そ の 数 式 を 示 す 。

( 式 2.1-3)

図 2.1-11 差 ス ペ ク ト ル 概 念 図

こ の 差 ス ペ ク ト ル ∆A2266 と 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 関 係 を 図 2.1-12 に 示 す 。ペ ー ス ト 中 の 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 多 い ほ ど 、 差 ス ペ ク ト ル が 大 き く な る こ と が 認 め ら れ 、 こ の 傾 向 は セ メ ン ト の 種 類 に 関 係 な く 確 認 さ れ た 。 し か し 、 同 じ 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 に お け る 差 ス ペ ク ト ル は 、 大 き い 順 に 高 炉 、 普 通 、 早 強 セ メ ン ト と な り 、 セ メ ン ト の 種 類 が 大 き く 影 響 し て い る こ と が 分 か る 。 こ の 原 因 は 、 現 状 の 試 験 の 範 囲 で は 明 確 で は な い が 、既 往 の 研 究 に お い て 以 下 の よ う に 報 告(2.1-8)さ れ て い る 。

ア ル ミ (C₃A) 量

低 熱 セ メ ン ト < 早 強 セ メ ン ト < 普 通 セ メ ン ト < 高 炉 セ メ ン ト < ア ル ミ ナ セ メ ン ト

2266nm の 吸 光 特 性

低 熱 セ メ ン ト < 早 強 セ メ ン ト < 普 通 セ メ ン ト < 高 炉 セ メ ン ト < ア ル ミ ナ セ メ ン ト

( )

 

 × −

∆ + −

=

∆ 2300 2206 2266 2206

2206 2266

2266 λ λ

λ A A A

A A

0.30 0.32 0.34 0.36 0.38 0.40 0.42

2100 2200 2300 2400

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

差スペクトル

2206nm 2266nm 2300nm

(25)

こ の 傾 向 は 、 ア ル ミ 量 が 多 い ほ ど 、2266nm に お け る 吸 光 特 性 が 大 き く な る こ と を 示 し て お り 、 今 回 の 実 験 結 果 で も 確 認 さ れ た 。 こ れ は 、2266nm に お け る 吸 光 特 性 は C3A に 依 存 し て い る と 考 え ら れ 、C3A 水 和 物 が Cl を 固 定 化 し 、2266nm に 新 た な 吸 光 ピ ー ク が 現 れ て い る こ と に よ る と 思 わ れ る 。以 上 の こ と よ り 、今 後 、 実 構 造 物 に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 定 量 的 に 評 価 す る に は 、 セ メ ン ト の 種 類 毎 の 補 正 が 必 要 で あ り 、 補 正 方 法 を 含 め 解 析 等 に よ る 検 討 が 必 要 で あ る 。

図 2.1-12 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 ( ペ ー ス ト )

0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0.012 0.014 0.016 0.018 0.020

P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 P10 P11 P12 P13 P14

差スペクトルΔA2266(nm)

普通 早強 高炉

普通

早強 高炉

W/C(%) 50 40 30 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 0 0 0 4.5 11 20 4.5 11 20 4.5 11 20 0 0 Cl(kg/m3)

W/ C(%) 50 40 30 40 40 40 40 0 40 40 40 40 40 4 0 Cl( kg/m3) 0 0 0 4.5 11 20 4.5 11 20 4.5 11 20 0 0

(26)

(b) モ ル タ ル

図 2.1-13に モ ル タ ル に お け る 塩 化 物 混 入 の 近 赤 外 ス ペ ク ト ル を 示 す 。詳 し い 配 合 に つ い て は 、 表 2.1-10を 参 照 の こ と 。

図 2.1-13 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( モ ル タ ル )

普 通 、 早 強 、 高 炉 セ メ ン ト の す べ て の 供 試 体 に お い て 、 ペ ー ス ト と 同 様 な ス ペ ク ト ル が 確 認 さ れ た 。ス ペ ク ト ル の 吸 光 ピ ー ク と し て は 、1400nm 付 近( 図 中 *1 参 照 )、1946nm( 図 中 *2参 照 )が 明 確 に 表 れ た 。2266nm 付 近( 図 中 *3参 照 ) に お け る ス ペ ク ト ル に 注 目 す る と 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 増 加 す る に つ れ 、 吸 光 度 が 高 く な る 傾 向 が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 ペ ー ス ト に 比 べ 、 早 強 、 普 通 、 高 炉 の 種 類 別 で の ス ペ ク ト ル に お け る 差 は 小 さ く な っ て い る 。

塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 定 量 値 に 評 価 す る た め に 、図 2.1-14~16 に 、普 通 セ メ ン ト 、 早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト の 種 類 別 に 分 け 、2206nm の ス ペ ク ト ル 値 を 基 準 と し 、重 ね 合 わ せ た ス ペ ク ト ル を 示 し た 。ペ ー ス ト 同 様 に 2266nm 付 近 の ス ペ ク ト ル は 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 低 い 場 合 、 吸 光 度 も 低 い と い う 傾 向 が 見 ら れ た 。 普 通 セ メ ン ト に お い て は 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 11kg/m3、20kg/m3の 間 に は ほ と ん ど 差 が 見 ら れ な い が 、 0kg/m3、4.5kg/m3、11kg/m3の 間 に は 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 に 伴 っ た ス ペ ク ト ル 値 の 差 が 捉 え ら れ た 。 こ の 傾 向 は 0kg/m3、11kg/m3の 2 種 類 の ケ ー ス で は あ る が 、 早 強 、 高 炉 セ メ ン ト に お い て も 確 認 さ れ て お り 、 モ ル タ ル に お い て も 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 を 表 し て い る と 考 え ら れ る 。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

500 1000 1500 2000 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

M1 M2 M3 M4 M5 M6 M7 M8 M9 M10 M11 M12

1

3

2

(27)

図 2.1-14 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( モ ル タ ル 普 通 セ メ ン ト W/C = 50%)

図 2.1-15 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( モ ル タ ル 早 強 セ メ ン ト W/C = 50%)

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 4.5kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³ 塩化物イオン濃度 20kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³

(28)

ペ ー ス ト と 同 様 に 式 2.1-3を 用 い 、 モ ル タ ル の 粉 砕 試 料 に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 を 求 め た 。図 2.1-17 に 結 果 を 示 す 。普 通 セ メ ン ト 、早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト の 種 類 の 違 い で 比 較 し た 場 合 、 セ メ ン ト ペ ー ス ト と 同 様 に 、 早 強 、 普 通 、 高 炉 セ メ ン ト の 順 で 吸 光 度 が よ り 高 く な る 傾 向 が 見 ら れ た 。 ま た 、 差 ス ペ ク ト ル 値 を 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 別 に 比 較 し た 場 合 、 普 通 セ メ ン ト に 比 べ 、 高 炉 セ メ ン ト の 方 が 変 化 の 割 合 が 大 き い 。 同 条 件 で 計 測 し た サ ン プ ル 数 は 違 う も の の 、 こ の 傾 向 も セ メ ン ト ペ ー ス ト で 確 認 さ れ た も の と 同 様 で あ る 。 差 ス ペ ク ト ル に つ い て セ メ ン ト ペ ー ス ト と 比 較 し た 場 合 、 同 じ 条 件 で あ れ ば 、 測 定 値 に 大 き な 差 は 見 ら れ な い 。

図 2.1-17 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 ( モ ル タ ル )

0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0.012 0.014 0.016 0.018 0.020

M1 M2 M3 M4 M5 M6 M7 M8 M9 M10 M11 M12

差スペクトルΔA2266(nm)

普通 早強 高炉

普通

普通 普通

W/C(%) 50 40 60 50 50 50 50 50 50 50 50 50 0 0 0 4.5 11 20 0 11 0 11 11 11 Cl(kg/mW/ C(%) 50 40 60 5 0 50 5 0 50 50 50 50 50 50 3)

Cl( kg/m3) 0 0 0 4 .5 11 2 0 0 11 0 11 11 11

(29)

(c) コ ン ク リ ー ト

図 2.1-18に コ ン ク リ ー ト に お け る 塩 化 物 混 入 の 近 赤 外 ス ペ ク ト ル を 示 す 。詳 し い 配 合 に つ い て は 、 表 2.1-11を 参 照 の こ と 。

図 2.1-18 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( コ ン ク リ ー ト )

普 通 、 早 強 、 高 炉 セ メ ン ト の す べ て の 供 試 体 に お い て 、 ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル 同 様 に 同 型 の ス ペ ク ト ル が 確 認 さ れ た 。ス ペ ク ト ル の 吸 光 ピ ー ク と し て は 、1410nm

( 図 中 *1参 照 )、1946nm( 図 中 *2参 照 )が 明 確 に 表 れ た 。2266nm( 図 中 *3 参 照 ) 付 近 に お け る ス ペ ク ト ル に 注 目 す る と 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 増 加 す る に つ れ 、 吸 光 度 が 高 く な る 傾 向 が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル と 比 べ 、 ス ペ ク ト ル の 差 は さ ら に 小 さ く 、 各 種 類 別 で の 違 い が 目 立 っ て い な い 。

図 2.1-19~21に 、普 通 セ メ ン ト 、早 強 セ メ ン ト 、高 炉 セ メ ン ト の 種 類 別 に 分 け 、 2206nm の ス ペ ク ト ル 値 を 基 準 と し 、 重 ね 合 わ せ た ス ペ ク ト ル を 示 し た 。 ペ ー ス ト 、モ ル タ ル と 同 様 に 、若 干 で は あ る が 2266nm 付 近 に 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 差 に 伴 っ て 、ピ ー ク 強 度 に 差 が 認 め ら れ る 。普 通 セ メ ン ト で は 2266nm 付 近 の 差 ス ペ ク ト ル 値 は 吸 光 度 の 低 い 順 か ら 、0kg/m3、4.5kg/m3、11kg/m3、20kg/m3と な り 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 低 い 場 合 に は 、 吸 光 度 も 低 い 傾 向 が 捉 え ら れ た 。 こ の 傾 向 は 0kg/m3、11kg/m3の 2 種 の 試 験 体 に よ る 比 較 で は あ る が 、 早 強 、 高 炉 の セ メ ン ト の 場 合 に も 認 め ら れ 、 セ メ ン ト の 種 類 に 関 わ ら ず 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 を 示 し て い る 。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

500 1000 1500 2000 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 C10 C11 C12

1

3

2

(30)

図 2.1-19 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( コ ン ク リ ー ト 普 通 セ メ ン ト W/C = 50%)

図 2.1-20 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( コ ン ク リ ー ト 早 強 セ メ ン ト W/C = 50%)

図 2.1-21 塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( コ ン ク リ ー ト 高 炉 セ メ ン ト W/C = 50%)

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 4.5kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³ 塩化物イオン濃度 20kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³

0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50

1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

波長(nm)

吸光度 : A=log(1/R)

塩化物イオン濃度 0kg/m³ 塩化物イオン濃度 11kg/m³

(31)

ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル と 同 様 に 式 2.1-3を 用 い 、 コ ン ク リ ー ト の 粉 砕 試 料 に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 を 求 め た 。図 2.1-22 に 結 果 を 示 す 。普 通 セ メ ン ト 、 早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト の 種 類 の 違 い で 比 較 し た 場 合 、 セ メ ン ト ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル 同 様 に 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 同 一 の 場 合 、 差 ス ペ ク ト ル は 大 き い 順 に 高 炉 、 普 通 、 早 強 セ メ ン ト と な る 傾 向 が 見 ら れ た 。

差 ス ペ ク ト ル の 大 き さ に つ い て 比 較 し た 場 合 、 特 に 高 炉 セ メ ン ト に お い て は 、 ペ ー ス ト 、 モ ル タ ル に 比 べ て 吸 光 度 が 低 い 現 象 が み ら れ た 。 モ ル タ ル で の 同 条 件 の 測 定 結 果 と 比 較 し 、 差 ス ペ ク ト ル が 30% ~60% 程 度 低 い 結 果 と な っ た 。

図 2.1-22 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係 ( コ ン ク リ ー ト )

0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0.012 0.014 0.016 0.018 0.020

C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 C10 C11 C12

差スペクトルΔ2266(nm)

普通 早強 高炉

普通

普通 普通

W/C(%) 50   40   60   50   50   50   50   50   50   50   50   50

0    0    0 4.5 11 20 0 11 0   11 11 11 Cl(kg/mW/ C(%) 50 40 6 0 50 50 5 0 50 50 50 5 0 50 50 3)

Cl( kg/m3) 0 0 0 4.5 11 2 0 0 11 0 0 11 11

差スペクトルΔA2266(nm)

(32)

2) 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 吸 光 度 の 関 係

横 軸 に JCI法 に よ っ て 測 定 し た 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 の 実 測 値 、 縦 軸 に 式 2.1-3 に よ っ て 求 め た 差 ス ペ ク ト ル を 設 定 し 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 を 求 め た 。

(a) ペ ー ス ト

図 2.1-23~25に ペ ー ス ト に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル と の 関 係 を 示 す 。

普 通 セ メ ン ト で は 、塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 間 に 相 関 関 係(R=0.98)

が 見 ら れ た 。 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 高 く な る に し た が い 、2266nm 付 近 の 差 ス ペ ク ト ル も 大 き く な る 関 係 を 捉 え た 。 ま た 、 早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト の 場 合 も 普 通 セ メ ン ト 以 上 に 高 い 相 関 関 係 が 見 ら れ た(R=0.99)。サ ン プ ル 数 が 少 な い た め 断 定 は で き な い が 、こ の こ と か ら も 2266nm の ス ペ ク ト ル 値 と 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と の 相 関 が 高 い こ と が 確 認 さ れ た 。

図 2.1-23 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 普 通 セ メ ン ト )

図 2.1-24 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 早 強 セ メ ン ト )

y = 0.0007x + 0.0005 R2 = 0.96

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度(kg/m³)

ΔA2266(nm)

y = 0.0005x + 6E-05 R2 = 0.99

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度(kg/m³)

差スペトルΔA2266(nm)

(33)

図 2.1-25 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 高 炉 セ メ ン ト )

y = 0.0008x + 0.0055 R2 = 0.99

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度(kg/m³)

トルΔA2266(nm)

(34)

(b) モ ル タ ル

図 2.1-26~28に モ ル タ ル に お け る 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル と の 関 係 を 示 す 。

普 通 セ メ ン ト で は 、 ペ ー ス ト で の 普 通 セ メ ン ト の 場 合 と 同 様 に 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 間 に 高 い 相 関 関 係 が 見 ら れ た (R=0.98) 。 こ の こ と か ら 、 モ ル タ ル に お い て も 、 差 ス ペ ク ト ル に よ っ て 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 を 定 量 的 に 評 価 す る こ と が 可 能 で あ る と 言 え る 。 早 強 セ メ ン ト 、 高 炉 セ メ ン ト は 、 同 じ 水 セ メ ン ト 比 の 対 象 供 試 体 が な い こ と か ら 、 そ れ ぞ れ 2 点 の 値 の み プ ロ ッ ト し て い る 。 こ の こ と か ら は 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル と の 関 係 性 は 捉 え ら れ て い な い が 、 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 が 増 す と 、差 ス ペ ク ト ル も 大 き く な る と い う 傾 向 は 認 め ら れ る 。

図 2.1-26 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 普 通 セ メ ン ト )

図 2.1-27 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 早 強 セ メ ン ト )

y = 0.0007x + 0.001 R2 = 0.96

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度 (kg/m³)

ΔA2266(nm)

y = 0.0008 x - 0.0001 R2 = 1.00

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度 (kg/m³)

差ストルΔA2266(nm)

(35)

図 2.1-28 塩 化 物 イ オ ン 濃 度 と 差 ス ペ ク ト ル の 関 係 ( 高 炉 セ メ ン ト )

y = 0.0011 x + 0.0027 R2 = 1.00

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

塩化物イオン濃度 (kg/m³)

差スペクトルΔA2266(nm)

表 2.1-4  ペーストの配合  単位量(kg/m³)  試料 No.  セメント  種類  水セメント比(%)  設定塩化物 イオン濃度  (kg/m³)  セメント  水  フロー (mm)  P1  普通  50 0.0         1224  612  300 以上  P2  普通  40 0.0         1396  558  260×250  P3  普通  30 0.0         1621  487  174×171  P4  普通  40 4.5         1396
表 2.1-5  モルタルの配合  単位量(kg/m³)  試料 No.  セメント種類  水セメント比 (%)  設定塩化物 イオン濃度  (kg/m³)  セメント  水  細骨材  骨材量  フロー (mm)  M1  普通  50 0.0       576  288  1362  0.52  192×196  M2  普通  40 0.0       656  262  1362  0.52  151×154  M3  普通  60 0.0       513  308  1362  0.52
表 2.1-6  コンクリートの配合  単位量(kg/m³)  試料 No.  セメント  種類  水セメント比(%)  設定塩化物 イオン濃度  (kg/m³)  セメント 水  細骨材  粗骨材  細骨材比  骨材量 スランプ (cm)  C1  普通  50 0.0    360 180 821 1034   0.45  0.696  4.3  C2  普通  40 0.0    320 192 821 1035   0.45  0.696  0.0  C3  普通  60 0.0    410 16
図 2.1-8  塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( ペ ー ス ト   普 通 セ メ ン ト   W/C = 40%) 図 2.1-9  塩 化 物 混 入 供 試 体 の ス ペ ク ト ル ( ペ ー ス ト   早 強 セ メ ン ト   W/C = 40%)0.150.200.250.300.350.400.450.5018001900200021002200230024002500波長(nm)吸光度 : A=log(1/R)塩化物イオン濃度 0kg/m³塩化物イオン濃度
+7

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