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(1)

こ の 事 業 は 、 競 輪 の 補 助 金 を 受 け て 実 施 し た も の で す 。 URL: http://ringring-keirin.jp/

電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発 電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発 電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発 電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発

報 報 報

報 告 告 告 告 書 書 書 書

平成 平成 平成

平成21 21 21年 21 年 年3 年 3 3 3月 月 月 月

財団法人 財団法人 財団法人 財団法人 ニューメディア開発協会 ニューメディア開発協会 ニューメディア開発協会 ニューメディア開発協会

(2)

わが国経済の安定成長への推進にあたり、情報・機械産業をめぐる経済的、

社会的諸条件は急速な変化を見せており、社会生活における環境、都市、防災、

住宅、福祉、教育等、直面する問題の解決を図るためには技術開発力の強化に 加えて、多様化、高度化する社会的ニーズに適応する情報・機械システムの研 究開発が必要であります。

このような社会情勢の変化に対応するため、財団法人ニューメディア開発協 会では、財団法人JKAから自転車等機械工業振興事業に関する補助金の交付 を受けて、ニューメディアを開発・普及する補助事業を実施しております。

本「電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発」は、ニューメ ディア情報システム開発事業の一環として、当協会が電子タグ活用観光事業コ ンソーシアム(イデアコラボレーションズ株式会社、株式会社日立製作所)に委 託し、実施した成果をまとめたもので、関係諸分野の皆様方にお役に立てれば 幸いであります。

平成21年3月

財団法人 ニューメディア開発協会

(3)

【目次】

第1章 調査研究の概要 ... 1

1.1 目的と背景 ... 1

1.2 実施体制 ... 1

1.3 実施期間 ... 2

1.4 実施内容 ... 2

第2章 電子タグと観光業界における利活用 ... 3

2.1 電子タグの仕組みと特徴 ... 3

2.2 観光業界における利活用 ... 5

第3章 サービスおよび事業モデルの考案 ... 7

3.1 考案の基軸 ... 7

3.2 サービスおよび事業モデルの考案 ... 7

3.2.1 「宿泊の魅力の向上」を基軸とした考案 ... 8

3.2.2 「観光コンテンツの充実」を基軸とした考案 ... 10

3.2.3 「移動の利便性向上」を基軸とした考案 ... 12

3.2.4 「観光案内及び観光情報の提供」を基軸とした考案 ... 15

第4章 省庁施策との適合性の評価 ... 18

4.1 省庁の施策 ... 18

4.2 適合性の評価 ... 19

4.3 評価の結果 ... 25

第5章 ヒアリングおよびアンケートによる評価 ... 27

5.1 ヒアリングによる評価 ... 27

5.1.1 ヒアリングの目的と実施先 ... 27

5.1.2 ヒアリングの結果と考察 ... 29

5.2 アンケートによる評価 ... 35

5.2.1 アンケートの目的と実施先 ... 35

5.2.2 アンケートの結果と考察 ... 35

5.3 ヒアリングおよびアンケートによる評価結果 ... 42

第6章 事業モデルの再検討および実現に関する考察 ... 44

6.1 事業モデルの再検討 ... 44

6.2 事業モデルの実現に関する考察 ... 46

6.2.1 交通業界における電子タグの導入 ... 46

6.2.2 動態履歴の活用 ... 46

6.2.3 個人情報の保護 ... 47

(4)

付録1 アンケート用紙 ... 49 付録2 観光圏整備法 ... 51 付録3 個人情報の保護に関する法律 ... 64

(5)

第1章 第1章 第1章

第1章 調査研究の概要 調査研究の概要 調査研究の概要 調査研究の概要

1 1

1 1. .. .1 1 1 1 目的と背景 目的と背景 目的と背景 目的と背景

平成 20 年度「電子タグを活用した地域産業の振興に関する調査・開発」(以 下、「本調査研究」と表記する)の目的は、観光業界における電子タグを活用 したサービス事業モデルを提示することである。

観光立国の実現を総合的かつ計画的に推進すべく、平成 20 年 10 月 1 日、

国土交通省に観光庁が設置された。観光庁は、地域消費の増加や新たな雇用 の創出などの経済効果は当然のことながら、活力に満ちた地域社会の実現を も目的とした活動を推進している。現在、観光業界は我が国の産業として不 可欠なものの 1 つに位置付けられている。

一方で昨今、人やモノを識別する媒体として電子タグが注目されている。

省庁や企業を中心として活用方法が模索されてきたが、近年では実用化に移 行する企業が様々な業界で徐々に出現し始めている。

そこで本調査研究では、観光地への集客力の向上、および、観光地の現地 企業(飲食施設や宿泊施設など)への購買行動の誘発を目的として、電子タ グを活用して観光業界におけるサービス事業を提示する。観光サービス事業 に対して 1 つの回答を提示することで、引いては観光地における地域経済振 興に貢献するものであると考える。

1 1

1 1. .. .2 2 2 2 実施体制 実施体制 実施体制 実施体制

本調査研究は下図の体制にて実施した。

イデア コラボレーショズ 株式会社 イデア コラボレーショズ

株式会社

株式会社 日立製作所

株式会社 日立製作所

電子タグ活用観光事業コンソーシアム

■サービス事業モデルの考案

■サービス事業モデル案の分析および評価  ・ヒアリング・アンケートの実施

■サービス事業モデルの再検討および提案

■サービス事業モデルの考案

■サービス事業モデル案の分析および評価  ・ヒアリング・アンケートの実施

■サービス事業モデルの再検討および提案

■サービス事業モデル案の分析および評価  ・分析・評価方法の検討

 ・分析・評価の実施

■サービス事業モデル案の分析および評価  ・分析・評価方法の検討

 ・分析・評価の実施

図図

図図 1111....111 1 調査研究の実施体制調査研究の実施体制調査研究の実施体制 調査研究の実施体制

(6)

1 1

1 1. .. .3 3 3 3 実施期間 実施期間 実施期間 実施期間

本調査研究は以下の期間において実施した。

・平成 20 年 7 月 1 日から平成 21 年 3 月 20 日まで

1 1

1 1. .. .4 4 4 4 実施内容 実施内容 実施内容 実施内容

本調査研究では以下の内容を実施した。

((

((1111)))サービス事業モデルの考案)サービス事業モデルの考案サービス事業モデルの考案 サービス事業モデルの考案

電子タグを活用したサービスおよび、サービスを実現する事業モデル 案を 4 種類考案した。(第 3 章)

((

((2222)))サービス事業モデルの評価)サービス事業モデルの評価サービス事業モデルの評価 サービス事業モデルの評価

(1)で考案したサービス 4 種類の事業モデル案に対して、省庁の施策 との適合性を評価し、2 種類の事業モデル案を絞り込んだ。(第 4 章)

さらに、上記の事業モデル案 2 種類に対して、ヒアリングおよびアン ケートの実施によりニーズを調査し、評価結果により 1 種類の事業モデ ル案を選定した。(第 5 章)

((

((3333)))サービス事業モデルの再検討および提示)サービス事業モデルの再検討および提示サービス事業モデルの再検討および提示 サービス事業モデルの再検討および提示

(2)で選定した 1 種類の事業モデル案を再検討し、実現性のある事業 モデルを提示した。その上で、事業モデルの実現における考察を実施し た。(第 6 章)

(7)

第2章 第2章 第2章

第2章 電子タグと観光業界における利活用 電子タグと観光業界における利活用 電子タグと観光業界における利活用 電子タグと観光業界における利活用

2 2

2 2. .. .1 1 1 1 電子タグの仕組みと特徴 電子タグの仕組みと特徴 電子タグの仕組みと特徴 電子タグの仕組みと特徴

電子タグとは、IC タグや RFID*1とも呼ばれ、無線技術を活用して人やモノを 識別する媒体である。下図に電子タグの仕組みを示す。

リーダライタ

①信号:「誰か居ますか?」

①信号:「誰か居ますか?」①信号:「誰か居ますか?」

①信号:「誰か居ますか?」

④「はい、

④「はい、

④「はい、

④「はい、IDIDID番号ID番号番号番号123412341234番です」1234番です」番です」番です」

電子タグ エネルギー供給

エネルギー供給エネルギー供給 エネルギー供給

②リーダライタからの

②リーダライタからの

②リーダライタからの

②リーダライタからの  エネルギーを使って作動  エネルギーを使って作動  エネルギーを使って作動  エネルギーを使って作動

③データを読み出し

③データを読み出し③データを読み出し

③データを読み出し 電波・電磁波

電波・電磁波電波・電磁波 電波・電磁波

アンテナ

ICチップ

アンテナ

図図

図図 2222....1111 電子タグの仕組み電子タグの仕組み電子タグの仕組み電子タグの仕組み

電子タグは IC チップのメモリ領域にビットデータを記憶することが可能で あり、リーダライタを用いてデータを読み書きすることができる。電子タグの 一般的な使用手順を以下に記述する。

1.電子タグを識別対象物(人やモノなど)に貼付する。

2.電子タグに識別するためのデータ(ID など)を格納する。

3.リーダライタで必要に応じて読取もしくは書込を実施し、識別対象物 のステータス(状態などの履歴)を管理する。

電子タグの特徴を以下に示す。

((

((1111)))非接触)非接触非接触 非接触

電子タグとリーダライタの間は電波や電磁波で通信される。通信距離 はリーダライタの出力や波長などにより異なるが、全て非接触であり、

最小で数センチメートル、最大で数メートル~数十メートルである。読 取が容易であることによる業務の効率化や、離れた場所からのデータ授 受を利用した新しいサービスの実現を見込める。

(8)

((

((2222)))大容量)大容量大容量 大容量

電子タグには通常数十~数百バイト程度のデータを格納できる。この 特徴により、識別対象物それぞれに異なる ID を付与することが可能で ある。

((

((3333)))書換え可能)書換え可能書換え可能 書換え可能

電子タグは RAM であるものが多く、リーダライタによるデータの追記 や書換えが可能であり、識別対象物に関するデータを電子タグ自体に記 録することができる。この特徴により、ネットワークやサーバを使用せ ずとも管理することが可能で、システム運用の効率化が見込める。

((

((4444)))透過性)透過性透過性 透過性

電子タグは、リーダライタとの間に遮蔽物が存在しても、遮蔽物が電 磁波を吸収・反射しない性質のものであれば、通信が可能である。この 特徴により、梱包の内容物に貼付された電子タグを読むなど、効率的な 読取を実現することができる。

((

((5555)))複数同時に識別)複数同時に識別複数同時に識別 複数同時に識別

リーダライタから発する電波・電磁波の読取範囲内に複数の電子タグ がある場合、同時に認識することが可能である。この特徴により、複数 の識別対象物に対して同時に処理(検品、棚卸など)をすることが可能 で、業務の効率化を見込める。

((

((6666)))環境・耐久性)環境・耐久性環境・耐久性 環境・耐久性

電子タグは電波や電磁波で通信するため、電子タグの表面が汚れなど で見えなくなった場合でも読取が可能である。また、光学式の媒体と異 なり焦点を合わせる必要がないため、振動がある環境下でも使用するこ とができる。この特徴により、耐久性の高い部材でコーティングすれば、

高温・高圧などの過酷な環境で長期の使用が可能である。

((

((7777)))高セキュリティ)高セキュリティ高セキュリティ 高セキュリティ

電子タグは生成やデータ書込みに専用機器(リーダライタ)が必要で あるため、電子タグ自体の複製や、記憶されたデータの改竄が困難であ る。この特徴により、セキュリティの高いシステム構築が見込め、また、

貼付対象物の偽造抑止に効果が見込める。

(9)

2 2

2 2. .. .2 2 2 2 観光業界における利活用 観光業界における利活用 観光業界における利活用 観光業界における利活用

電子タグは前項に挙げたような特長により活用が期待されており、省庁や企 業が主導となって利活用方法の研究を推進している。観光業界も例外ではなく、

電子タグのデータを活用した観光客へのサービス向上などを目的とした実証実 験が盛んに実施されている。下表は、(財)ニューメディア開発協会が平成 19 年度に実施した調査研究における報告書*2に記載された、観光業界における主 な電子タグ利活用の例である。

表表表

表 222.2...1111 観光業界における電子タグの利活用例観光業界における電子タグの利活用例観光業界における電子タグの利活用例観光業界における電子タグの利活用例

項番 利活用例 実施主体 目的 時期 場所 内容

1 RFID を用い た 観 光 客 動 態 調 査方法の開発

山口大学 新 し い 観 光 客 動 態 調 査 方 法 の開発研究

平成 18 年 1 月、

平成 18 年 9 月、

平成 19 年 10 月

山口県「山口大学」、

山口県萩市

観光客の動態 に関す るデータの収 集およ び分析

2 北九州 ICT フィ ールド実験

(財)九州ヒュー マンメディア報 道センター

デ ー タ 活 用 に よ る 商 店 街 活 性化

平成 18 年 10 月

平成 19 年 3 月

福岡県 JR 小倉駅周 辺の市街地

観光客の動態 に関す るデータの収 集およ び分析

3 石見銀 IC 小判 プロジェクト

㈱ワコムアイテ

観光客へのササ ービス向上

平成 18 年 11 月 島根県「石見銀山」 観光客に対する観光カ ガイドおよび地域通貨 機能提供

4 静 岡 思 い や り ナビ実証実験

静岡県 観 光 客 へ の サ ービス向上

平成 18 年 11 月 静岡県静岡市 観光客に対す る経路 案内および現 在地情 報の提供

5 東 京 ユ ビ キ タ ス計画・銀座

東京都 観 光 客 へ の サ ービス向上

平成 19 年 1 月

平成 19 年 3 月

東京都中央区銀座 買物客や観光 客に対 する経路案内 および 現在地情報の提供 6 ゆ き ナ ビ 青 森

プロジェクト

青森県 観 光 客 へ の サ ービス向上

平成 19 年 2 月 青森県青森市、

青森県弘前市

観光客に対す る経路 案内および現 在地情 報の提供

7 ユビキタス・ア ートツアー

東京ミッドタウ

観 光 客 へ の サ ービス向上

平成 19 年 6 月

東京都「東京ミッド タウン」

観光客に対す る施設 内アートの紹介

※項番 4~6 は国土交通省の自律移動支援プロジェクトであり、平成 19 年度はこの他に 5 件実施された

平成 20 年度も引き続き省庁や企業を中心として実用化を見据えた活用が検 討されている。中でも、国土交通省の自律移動支援プロジェクトに関しては、

プロジェクト全体の目的として「身体的状況、年齢、言語等を問わず、いつで も、どこでも、だれでも移動等に関する情報を入手することを可能」*3とする

*2 (財)ニューメディア開発協会

「IT 技術を活用した観光客の動態調査に関する調査・研究 報告書」

(10)

ことを明言しており、平成 16 年より現在までに国内各地で実証実験を実施して いる。実証実験の成果としては具体的な仕様書を公開しており、現段階で最も 実用化が近いと考えられるプロジェクトの 1 つである。なお、平成 20 年度も引 き続き 5 箇所*4で実証実験が実施されている。観光業界では、以上のように既 に実施・検討されているサービスを含め、観光業界における電子タグを活用し たサービスは無数に考えられる。

このような情勢の中で、官民挙げて観光立国の実現に取り組む体制を整える べく、平成 20 年 10 月 1 日、国土交通省に観光庁が設置された。観光庁は観光 立国の実現を、「21 世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な国家的課題」

として位置付けており、「観光立国を総合的かつ計画的に推進」することを宣言 している。

上記の観光庁は、国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを実現するための 基本施策として、観光圏整備法(平成 20 年 7 月、国土交通省により施行)を掲 げている。目的としては、「地域の幅広い産業の活性化や、交流人口の拡大によ る地域の発展を図る」*5ことである。法律の内容として、以下のように記載さ れている。

観光圏整備法では、観光地が連携した「観光圏」の形成を目指し、自治体が作 成する「観光圏整備計画」に沿って、民間など複数の事業主体が共同で、宿泊 サービスの向上や観光資源を活用したサービスの開発などといった「観光圏整 備事業」を行う場合、観光圏整備事業費補助金や旅行業法の特例、農山漁村活 性化プロジェクト交付金などの制度で地域の取り組みを支援します。*6

*4 東京都中央区銀座・岐阜県高山市・愛知県豊田市・兵庫県神戸市・奈良県奈良市の 5 箇所

*5 観光庁「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律について」

http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/seibi.html

*6 *5と同様

(11)

第3章 第3章 第3章

第3章 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案

3 3

3 3. .. .1 1 1 1 考案の基軸 考案の基軸 考案の基軸 考案の基軸

本調査研究の目的は観光サービス事業モデルの提示であるが、引いては、提 示した観光サービス事業による観光地活性化を見据えている。観光地活性化を 実現するためには、観光地における単一事業者の利益向上に留まらず、複数事 業者が連携することによる観光地全体の利益向上が必要である。前章に述べた、

観光庁の施策である観光圏整備法には、「観光業と他業種」「地域産業と自治体」

といった観光地における事業者連携の必要性が掲げられており*7、本調査研究 の意図と合致する。よって本調査研究では、電子タグを活用したサービスを考 案する基軸として、観光圏整備法を活用した。同法には、観光圏整備事業とし て以下(1)~(4)の通り 4 種類の事業内容が挙げられており、その中で観光 圏を整備するための具体的な事業の例が記述されている。

(1)宿泊の魅力の向上

(2)観光コンテンツの充実

(3)移動の利便性向上

(4)観光案内及び観光情報の提供

次節に、本調査研究で考案したサービスを 4 種類記述する。

3 3

3 3. .. .2 2 2 2 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案 サービスおよび事業モデルの考案

サービス考案に際しては以下の手順で実施した。

1.事業内容(1)~(4)における具体的事業内容の抽出

2.具体的事業内容に対する電子タグ活用可否の評価に基づいた、サービ ス考案基軸の設定

3.設定したサービス考案基軸に基づくサービスの考案 4.考案したサービスを実現する事業モデルの考案

なお、上記2の評価にあたり、「電子タグ活用で二次的に実現されると考えら れる事業内容」に関しては、サービス考案基軸から対象外とした。

(12)

3 3

3 3. .. .2 2 2. 2 .. .1 1 1 1 「宿泊の魅力の向上」を基軸とした考案 「宿泊の魅力の向上」を基軸とした考案 「宿泊の魅力の向上」を基軸とした考案 「宿泊の魅力の向上」を基軸とした考案

観光圏整備法において、「宿泊の魅力の向上」を実現する事業内容として具 体的に記述されているのは以下の通りであると考える。

①もてなしの向上

②泊食分離

③地産地消

④周遊の楽しみの確立

⑤観光圏内の情報拠点としての利便性向上

⑥観光資源へのアクセス拠点としての利便性向上

⑦地域密着型旅行商品の提供

⑧地域文化の展示

⑨体験・交流の場の整備

⑩外観の統一感を創出するための外壁整備

⑪個人・グループ客へ対応した客室整備

⑫地産食材の共同加工

⑬泊食分離を行うための食堂・厨房の整備

上記①~⑬の事業内容に関して電子タグ活用可否を評価した結果、本調査 研究では上記の⑤⑥をサービス考案の基軸に設定した。以下に対象外とした 事業内容とその理由を示す。

① :主に従業員に対するホスピタリティ向上教育により実現す るものであり、電子タグの活用による実現は不可能である と考える。

② :「⑤観光圏内の情報拠点としての利便性向上」の推進により 二次的に実現する内容である。観光圏内の情報としても特 に飲食施設に関するコンテンツを充実させ、宿泊施設外で の食事を誘発することにより実現される。

③ :「②泊食分離」の推進により二次的に実現する内容である。

また、飲食施設などの食事を提供する事業者の調達経路に 関する課題であり、観光客を対象とした電子タグの活用に よる直接解決は不可能であると考える。

④⑦ :観光地における良質なサービスの提供により二次的に実現 する内容であると考える。

⑧~⑬:観光地におけるハード面での整備を示しており、電子タグ の活用による実現は困難と考える。

(13)

次に、上記を踏まえて電子タグを活用したサービスを考案した。

「⑤観光圏内の情報拠点としての利便性向上」に対しては、宿泊施設にお いて電子タグを活用した情報提供サービスを実施し、観光客に周辺の施設を 紹介することが考えられる。「⑥観光資源へのアクセス拠点としての利便性向 上」を実現するサービスは様々考えられるが、本調査研究では「アクセス拠 点」を「観光の起点」として解釈する。宿泊施設を「観光の起点」として捉 えて電子タグのシステムを考える場合、チェックイン/チェックアウトのタ イミングで、観光客に対して電子タグの授受が可能という利点がある。また、

観光客全てに共通する行動に関するサービスが望ましいが、観光客が宿泊施 設を起点として観光地を周遊する際、必ず伴うのは購入行動(お土産の購入 や入館料の支払など)である。よって、観光地における購入行動の代金を、

宿泊施設で一括支払できるサービスを考案した。

以上により、「宿泊の魅力の向上」を基軸としたサービスは以下の通りとな った。(以降、「宿泊チャージサービス」と記す)

(1)ホテルや旅館等での宿泊時に、その観光地で購入した代金(お土産代や観 光施設の入館料等)を一括支払いできるサービス

①観光地の宿泊施設で  電子タグを借り、

 周辺施設情報を得る。

②観光地で何かを購入する  するたび、リーダライタ  に電子タグをかざす

③購入時全ての支払いを  電子タグを借りた宿泊  施設で一括精算する

お支払: ¥5,500 入館料

¥500 お土産

¥5,000

専用カード 使用可能施設リスト

図図

図図 3333....111 1 宿泊チャージサービスの概要宿泊チャージサービスの概要宿泊チャージサービスの概要 宿泊チャージサービスの概要

最後に、宿泊チャージサービスを実現する事業モデルを以下に記述する。

まずプレイヤーとしては、サービスを享受する「観光客」、観光の起点とな る「宿泊施設」、観光客が購入行動をする「観光地施設」が考えられる。プレ イヤー間における「お金の流れ」「モノ・情報の流れ」および各プレイヤーに おけるメリットは以下のようになる。

【サービスのポイント】

(a)観光客に対して周辺施設の周遊に役立つ情報を提供すること (b)周辺施設での購入代金を宿泊施設で一括支払できること

(14)

宿泊施設 宿泊施設宿泊施設

宿泊施設 観光地施設観光地施設観光地施設観光地施設 飲食施設

○×△土 産本店

○×△土 産本店

購買施設

観光客観光客 観光客観光客

商品・サービス購入料

観光客動線情報

宿泊サービス料 商品・サービス購入料

商品・サービス

宿泊サービス

お金の流れ モノ・情報の流れ

図図

図図 3333....2222 宿泊チャージサービスを実現する事業モデル宿泊チャージサービスを実現する事業モデル宿泊チャージサービスを実現する事業モデル宿泊チャージサービスを実現する事業モデル

表表表

表 3333....1111 宿泊チャージサービスにおけるプレイヤーのメリット宿泊チャージサービスにおけるプレイヤーのメリット宿泊チャージサービスにおけるプレイヤーのメリット宿泊チャージサービスにおけるプレイヤーのメリット

項 プレイヤー メリット

1 宿泊施設 ・宿泊施設としての魅力向上

・観光客動線情報の活用によるマーケティング効果 2 観光地施設 ・宿泊施設からの紹介による集客力向上

3 観光客 ・観光時の支払の効率化

3 3

3 3. .. .2 2 2. 2 .. .2 2 2 2 「観光コンテンツの充実」を基軸とした考案 「観光コンテンツの充実」を基軸とした考案 「観光コンテンツの充実」を基軸とした考案 「観光コンテンツの充実」を基軸とした考案

観光圏整備法において、「観光コンテンツの充実」を実現する事業内容とし て具体的に記述されているのは以下の通りであると考える。

①参加型観光メニューの充実

②地域ならではの食の楽しみの提供

③建築物のライトアップ

④早朝プログラムの提案

⑤観光資源の保全

⑥各資源に関する案内及び紹介を行うシステムの構築

⑦観光事業従事者の接遇の向上

上記①~⑦の事業内容に関して電子タグ活用可否を評価した結果、本調査 研究では上記の⑤をサービス考案の基軸に設定した。以下に対象外とした事 業内容とその理由を示す。

(15)

①~④:観光メニューそのものや、観光地のハード面の整備である ため、電子タグの活用による解決は不可能であると考える。

⑥ :電子タグの活用による実現は可能であるが、「(4)観光案内 及び観光情報の提供」の事業内容と共通するため、本調査 研究では後述の3.2.4項に集約して論述する。

⑦ :従業員のホスピタリティ教育により実現するものであるた め、電子タグの活用による実現は不可能であると考える。

次に、上記を踏まえて電子タグを活用したサービスを考案した。

「⑤観光資源の保全」に関して、現状、観光資源の管理者は、入館料の徴 収や省庁からの助成金により保全を図っている。このような中、注目されて いるのが「ナショナルトラスト運動」*8である。この運動における資金運用 の基軸が募金活動であるため、本調査研究においても電子タグを活用した募 金活動支援システムを考案した。

以上により、「観光コンテンツの充実」を基軸としたサービスは以下の通り となった。(以降、「募金サービス」と記す)

(2)観光地で購入したお土産の利益が、訪れた施設に募金配当されるサービス

①観光地でお土産(電子 タグ)を購入する

②観光地を周遊する際、

 設置されたリーダライタ  に電子タグをかざす

③お土産購入時の利益が  訪れた観光地の施設に  募金として配当される。

) ))))

) ))

) ))

)

ピッ!ピッ!ピッ!

電子タグ ピッ!

お土産

(ぬいぐるみ等)

内蔵

募金配当

¥100- ) ))))

)) ))))

)

ピッ!ピッ!ピッ!

ピッ! 募金配当

¥100-

図図

図図 3333....333 3 募金サービ募金サービ募金サービスの概要募金サービスの概要スの概要スの概要

本調査研究における募金サービスは通常の募金と同様の構想であるが、電 子タグによって観光客を識別できるため、観光客が訪れた場所に対する配当、

即ち観光客の意思を正確に反映した募金配当が可能となる。

*8 英国のボランティア団体「ナショナルトラスト」の活動を原型とする。保護するべき地域を設定して 土地や建造物を買い上げ、次世代に伝えていくために管理・保全していく活動を差す。本来は観光開発

【サービスのポイント】

(a)観光客による観光資源への募金活動を支援すること

(16)

募金サービスを実現する事業モデルを以下に記述する。

まずプレイヤーとしては、サービスを享受する「観光客」、観光客の募金の 対象となる「観光地施設(特に文化財施設)」が考えられる。また、観光客に 電子タグを販売し、募金の一時的なプール先となるプレイヤーが必要である が、文化財施設は自治体が管理している場合があるため、本調査研究では「自 治体(公営企業)」を想定する。プレイヤー間における「お金の流れ」「モノ・

情報の流れ」および各プレイヤーにおけるメリットは以下のようになる。

自治体(公営企業)

自治体(公営企業)自治体(公営企業)

自治体(公営企業)

観光地施設 観光地施設観光地施設 観光地施設

(特に文化財施設)

(特に文化財施設)

(特に文化財施設)

(特に文化財施設)

観光客観光客観光客 観光客 募金配当

観光客動線情報 電子タグ

電子タグ購入料

お金の流れ モノ・情報の流れ

図図

図図 3333....4444 募金サービスを実現する事業モデル募金サービスを実現する事業モデル募金サービスを実現する事業モデル 募金サービスを実現する事業モデル

表表

表表 3333....2222 募金サービスにおけるプレイヤーのメリット募金サービスにおけるプレイヤーのメリット募金サービスにおけるプレイヤーのメリット募金サービスにおけるプレイヤーのメリット

項 プレイヤー メリット

1 観光地施設 ・文化財維持費の獲得 2 自治体 ・管理する観光資源の保全

・観光客動線情報の活用による施策実施 3 観光客 ・ノベルティ(電子タグ)獲得

3 3

3 3. .. .2 2 2. 2 .. .3 3 3 3 「移動の利便性向上」を基軸とした考案 「移動の利便性向上」を基軸とした考案 「移動の利便性向上」を基軸とした考案 「移動の利便性向上」を基軸とした考案

観光圏整備法において、「移動の利便性向上」に関しては具体的な事業内容 が記述されておらず、単に「交通機関の利便性改善」といった記述に留まっ ている。同法の中で、観光圏へのアクセスおよび観光圏内の移動における使 用を想定されている交通機関は以下の通りであると考える。

①公共交通 :鉄道、バス、タクシー、旅客船、航空機、など

②非公共交通:レンタカー、自転車、徒歩、自家用車、など

(17)

上記分類①②を比較すると、以下 3 点の理由により、①公共交通の方が電 子タグの活用に適していると考えられる。

・観光の起点(駅、空港、停留所など)が明確であることから、観 光客に対する電子タグの授受を行いやすい。

・運賃の支払という場面で電子タグを活用しやすい。

・電子タグによる観光客の行動把握を活用すること(経路や時刻表 の改正など)ができる。

さらに、①公共交通うち、「観光地内の周遊」および「観光地間の移動」の 双方に適しているのはバスである。ゆえに、観光客に対してバスの利用を促 進させるようなサービス(特に運賃の支払に関連するサービス)を提案する。

以上をまとめると、「移動の利便性向上」を基軸としたサービスは以下の通 りとなる。(以降、「バス周遊サービス」と記す)

(3)観光地で訪れた観光施設の数に応じて、その観光地を走るバスで割引を受 けられたり、景品を手に入れたりできるサービス

①観光地でバスの乗車券

(電子タグ)を購入する

②観光地を周遊する際、

 設置されたリーダライタ  に電子タグをかざす

③かざした数に応じて、

 バスの割引を受けたり、

 景品をもらえたりする

乗車券

¥50 Off !

景品GET!

ピッ!

ピッ!

ピッ!

ピッ!

図図

図図 3333....555 5 バス周遊サービスの概要バス周遊サービスの概要バス周遊サービスの概要 バス周遊サービスの概要

バス業界においては、三大都市圏以外を中心として、IC カードを活用した 運賃決済システムの導入が進んでいる。しかし、その他の地域では磁気の切 符による運賃決済が今でも主流であり、電子タグを活用できる市場が存在す ると言える。

バス周遊サービスを実現する事業モデルを以下に記述する。

【サービスのポイント】

(a)バスにおいて観光客のメリットを創出し、利用を促進すること

(18)

まずプレイヤーとしては、サービスを享受する「観光客」、観光地でバスを 運行する「交通事業者」、観光客が周遊する「観光地施設」が考えられる。ま た、観光地におけるバス運行では、自治体による運行委託も想定されるため、

自治体(公営企業)もプレイヤーとして記述する。プレイヤー間における「お 金の流れ」「モノ・情報の流れ」および各プレイヤーにおけるメリットは以下 のようになる。

自治体(公営企業)

自治体(公営企業)

自治体(公営企業)

自治体(公営企業)

交通事業者 交通事業者交通事業者 交通事業者

観光客 観光客 観光客 観光客 観光地施設

観光地施設観光地施設 観光地施設 飲食施設

宿泊施設 観光施設

○×△土 産本店

○×△土 産本店

購買施設

観光客動線情報 運航代行

観光客動線情報 委託

バス運行 加盟施設情報 電子タグ 記念品

バス運賃(割引)

電子タグ購入料

お金の流れ モノ・情報の流れ

図図

図図 3333....6666 バス周遊サービスを実現する事業モデルバス周遊サービスを実現する事業モデルバス周遊サービスを実現する事業モデル バス周遊サービスを実現する事業モデル

表表

表表 3333....3333 バス周遊サービスのプレイヤーとメリットバス周遊サービスのプレイヤーとメリットバス周遊サービスのプレイヤーとメリットバス周遊サービスのプレイヤーとメリット

項 プレイヤー メリット

1 自治体 ・観光客動線情報の活用による施策実施 2 交通事業者 ・割引による交通事業者としての魅力向上

・観光客動線情報の活用によるバス経路の最適化 3 観光地施設 ・広告効果による集客力向上

4 観光客 ・乗車回数に応じた割引の利用

・乗車回数に応じた記念品の獲得

(19)

3 3

3 3. .. .2 2 2. 2 .. .4 4 4 4 「観光案内及び観光情報の提供」を基軸とした考案 「観光案内及び観光情報の提供」を基軸とした考案 「観光案内及び観光情報の提供」を基軸とした考案 「観光案内及び観光情報の提供」を基軸とした考案

観光圏整備法において、「観光案内及び観光情報の提供」を実現する事業内 容として具体的に記述されているのは以下の通りであると考える。

①観光旅客の旅行目的およびニーズを踏まえた提案型の案内

②観光圏内における情報の総合的かつ効果的な案内

③苦情の処理

④圏内の観光案内所同士の連携

上記①~④の事業内容に関して電子タグ活用可否を評価した結果、本調査 研究では上記の①②をサービス考案の基軸に設定した。以下に対象外とした 事業内容とその理由を示す。

③④ :圏内情報のデータベース化やネットワークの強化により実 現する内容であるため、電子タグの活用による実現は不可 能であると考える。

次に、上記を踏まえて電子タグを活用したサービスを考案した。

「①観光旅客の旅行目的およびニーズを踏まえた提案型の案内」は、電子 タグを活用して観光客を識別し、属性データに基づいた情報を提供すること により実現される。「②観光県内における情報の総合的かつ効果的な案内」に 関しては、観光客の旅行目的やニーズは人によって様々であり、観光客によ って欲しい情報や周遊する観光地施設が異なることを考慮しなくてはならな い。ただし、3.2.1項において前述したように、観光地の周遊には必ず購 入行動が伴う。ゆえに、観光地施設を周遊する際に有用な割引情報を提供す れば、多くの観光客のニーズを捉えることができるため、「総合的かつ効果的 な案内」の実現に寄与することが可能であると考える。

以上により、「観光案内及び観光情報の提供」を基軸としたサービスは以下 の通りとなった。(以降、「クーポンサービス」と記す)

(20)

(4)観光地で訪れた施設のリーダライタに電子タグをかざすことで、クーポンを 利用できるサービス

①旅行を申し込んだ際、

 情報誌と電子タグを  受け取る

②観光地を周遊する際、

 情報誌に記載された  施設を訪問する

③施設内のリーダライタに  電子タグをかざすことで  クーポンを利用できる

電子タグ

¥100- OFF !

情報紙 ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!

お土 お土 お土 お土

ピッ!

ピッ!

ピッ!

ピッ!

お土 お土 お土

お土

図図図

図 3333....7777 クーポンサービスの概要クーポンサービスの概要クーポンサービスの概要クーポンサービスの概要

クーポンサービスを実現する事業モデルを以下に記述する。

まずプレイヤーとしては、サービスを享受する「観光客」、割引情報を発信 する「観光地施設」が考えられる。また、観光客に電子タグを配布し、使用 可能施設の情報を伝達する事業者が必要であるが、観光客が観光地を周遊す る以前に電子タグを配布できること、観光客の属性データを収集しやすいこ とを考慮し、本調査研究では「旅行事業者」を想定した。

プレイヤー間における「お金の流れ」「モノ・情報の流れ」および各プレイ ヤーにおけるメリットは以下のようになる。

旅行事業者 旅行事業者 旅行事業者 旅行事業者

観光地施設 観光地施設 観光地施設 観光地施設 飲食施設

宿泊施設 観光施設

○×△土 産本店

○×△土 産本店

購買施設

観光客 観光客 観光客 観光客

広告料 サービス購入料

クーポン情報 観光客動線情報

サービス

クーポン情報・電子タグ 電子タグ購入料

お金の流れ モノ・情報の流れ

図図

図図 3333....8888 クーポンサービスを実現する事業モデルクーポンサービスを実現する事業モデルクーポンサービスを実現する事業モデル クーポンサービスを実現する事業モデル

【サービスのポイント】

(a)観光客の属性に基づいた情報を提供すること (b)観光地施設における割引情報を提供すること

(21)

表表

表表 3333....4444 クーポンサービスのプレイヤークーポンサービスのプレイヤークーポンサービスのプレイヤークーポンサービスのプレイヤーとメリットとメリットとメリットとメリット

項 プレイヤー メリット

1 旅行事業者 ・広告料による収入

・クーポンサービスによる観光地としての魅力向上

・観光客動線情報の活用によるマーケティング効果 3 観光地施設 ・広告効果による集客力向上

4 観光客 ・クーポンの利用

本調査研究では以降、本章に挙げた(1)~(4)のサービスや事業モデルに対し て評価を実施する。

(22)

第4章 第4章 第4章

第4章 省庁施策との適合性の評価 省庁施策との適合性の評価 省庁施策との適合性の評価 省庁施策との適合性の評価 4 4

4 4. .. .1 1 1 1 省庁の施策 省庁の施策 省庁の施策 省庁の施策

日本において、観光を管掌する政府機関は国土交通省である。国土交通省は、

平成 19 年 1 月 1 日に施行された観光立国推進基本法に基づき、国会に対して毎 年『観光白書』を提出している。平成 20 年度も当年版として Web 上に公開され ており、その中で『平成 19 年度観光の状況』*9と、それを踏まえた『平成 20 年度観光施策』*10が記述されている。ゆえに、『平成 20 年度観光施策』は、平 成 20 年度における日本の観光業界の基本施策として位置付けることができる。

『平成 20 年度観光施策』において推進されている施策を以下に示す。

表表

表表 4444....111 1 観光立国推進基本法の施策観光立国推進基本法の施策観光立国推進基本法の施策 観光立国推進基本法の施策

項 施策内容 施策番号

1.国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

1-1 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成 (ア)

1-2 観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成 (イ)

1-3 観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備 (ウ)

2.観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成

2-1 観光産業の国際競争力の強化 (エ)

2-2 観光の振興に寄与する人材の育成 (オ)

3.国際観光の新興

3-1 外国人観光旅客の来訪の促進 (カ)

3-2 国際相互交流の促進 (キ)

4.観光旅行の促進のための環境の整備

4-1 観光旅行の容易化及び円滑化 (ク)

4-2 観光旅行者の利便の増進 (ケ)

4-3 観光旅行の安全の確保 (コ)

4-4 新たな観光旅行の分野の開拓 (サ)

4-5 観光地における環境及び良好な景観の保全 (シ)

*9 国土交通省『平成19年度観光の状況』

<http://www.mlit.go.jp/hakusyo/kankou-hakusyo/h20/images/jyoukyou.pdf>

*10 国土交通省『平成20年度観光施策』

<http://www.mlit.go.jp/hakusyo/kankou-hakusyo/h20/images/sisaku.pdf>

(23)

本章では以降、前章で考案したサービスに対して、上記(ア)~(シ)の施策 に適合性を評価する。

4 4

4 4. .. .2 2 2 2 適合性の評価 適合性の評価 適合性の評価 適合性の評価

本節では、本調査研究において考案した以下のサービスに対して、前章の 省庁施策との適合性を評価し、2 種類のサービスに絞り込む。

(1)宿泊チャージサービス

(2)募金サービス

(3)バス周遊サービス

(4)クーポンサービス

以降、前節の表 4.1に記した国土交通省の施策(ア)~(シ)に対して、上 記(1)~(4)の適合性を評価する。評価にあたっては以下を基準とし、『平成 20 年度観光施策』において関連する記述を破線内に記述した上で評価を示し、

次いで記述に対して考察を述べる。

○:内容が具体的に例示されている

△:内容は具体的に例示されていないが、関連する内容である

-:全く関連しない内容である

(ア)(ア)

(ア)(ア)国際競争力の高い魅力ある観光地の形成国際競争力の高い魅力ある観光地の形成国際競争力の高い魅力ある観光地の形成国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … ○○ ○○ (2)募金サービス … ○○ ○○ (3)バス周遊サービス … ○○ ○○ (4)クーポンサービス … ○○ ○○

【評価内容】

前章に示したサービス(1)~(4)の考案にあたっては、上記観光 圏整備法に記載された事業内容を基軸として、それぞれに対して サービスを考案した。そのため、全てが施策の内容に適合すると 言える。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

観光圏整備事業を創設し、地域における創意工夫を生かした主 体的な取組を総合的かつ一体的に支援し、広域的な連携を推進

(24)

(イ)(イ)

(イ)(イ)観光資源の活用による地域の特性を活かした魅力ある観光観光資源の活用による地域の特性を活かした魅力ある観光観光資源の活用による地域の特性を活かした魅力ある観光観光資源の活用による地域の特性を活かした魅力ある観光 地の形成地の形成地の形成

地の形成

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … ○○ ○○ (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

文化財や文化遺産の積極的な保護を例として掲げ、観光資源の 積極的な保護に関する事業を推進していると判断できる。(2)募 金サービスはナショナルトラスト運動を視野に入れた募金を実 現し、観光資源の保護に繋がるため、施策の内容に適合すると言 える。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

文化財の保存・活用及び世界文化遺産の保護を図る。

(ウ)

(ウ)

(ウ)

(ウ)観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … ○○ ○○ (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

コミュニティバスを含む地域交通に関して、事業の活性化・再 生を目的とした事業を推進していると判断できる。(3)バス周遊 サービスでは観光地を走るバスでの割引や景品といった観光客 のメリットを出している。これによりバスを利用する観光客が増 加し、バス事業の活性化・再生に繋がると考える。ゆえに、施策 の内容に適合すると言える。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

鉄道・コミュニティバス・乗合タクシー・旅客船等の多様な事 業に取り組む地域の協議会に対し、パッケージで一括支援する 制度を創設し地域交通の活性化・再生を図る。

(25)

(エ)(エ)

(エ)(エ)観光産業の国際競争力の強化観光産業の国際競争力の強化観光産業の国際競争力の強化観光産業の国際競争力の強化

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … ○○ ○○ (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … △△ △△ (4)クーポンサービス … △△ △△

【評価内容】

客室稼働率の向上に関する事業を推進している。(1)宿泊チャ ージサービスの実現により、宿泊施設において観光圏内の情報拠 点・アクセス拠点としての利便性が向上する。ゆえに、宿泊施設 の集客力が高まり、客室稼働率が向上すると考える。よって、施 策の内容に適合すると言える。

また、(3)バス周遊サービス、(4)クーポンサービスに関しては、

国際競争力の強化に提言が可能であると考える。外国人観光客が 観光地を周遊するためには、観光バス以外は公共交通機関を使用 することが多い。ゆえに、バスの割引などを実現する(3)バス周 遊サービスは、外国人観光客にとって便利なサービスであると考 えられる。また、観光には購入行動が必ず伴うため、(4)クーポ ンサービスも外国人にとって魅力あるサービスとなりうる。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

客室稼働率の向上や業務の共同化・効率化に関する実証事業を 行い、観光産業の生産性向上や国際競争力の強化を図る。

(オ)

(オ)

(オ)

(オ)観光の振興に寄与する人材の育成観光の振興に寄与する人材の育成観光の振興に寄与する人材の育成観光の振興に寄与する人材の育成

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

サービス(1)~(4)において、人材の育成に寄与する要因はなく、

施策の内容に適合しているとは言えない。

(26)

(カ)(カ)

(カ)(カ)外国人観光旅客の来訪の促進外国人観光旅客の来訪の促進外国人観光旅客の来訪の促進外国人観光旅客の来訪の促進

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … ○○ ○○ (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … △△ △△ (4)クーポンサービス … △△ △△

【評価内容】

(1)宿泊チャージサービスは、IC カードの決済システムそのも のではないが、電子媒体を活用した決済の利便性増進に寄与する。

特に IC カードのシステムが普及していない観光地においては効 果があるため、施策内容に適合していると考える。

(3)バス周遊サービスに関しては、決済システムは直接関係し ないものの、マイカーや自転車などの交通手段が制限される外国 人観光客は特にターゲットとなるため、関連した項目であると考 える。

(4)クーポンサービスに関しても同様に、外国人観光客が主要 ターゲットとなりうるため、関連した項目であると考える。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

IC カードの共用化・相互利用化等旅行者の利便性増進のため の取組を推進する

(キ)

(キ)

(キ)

(キ)国際相互交流の促進国際相互交流の促進国際相互交流の促進国際相互交流の促進

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

サービス(1)~(4) において、国際相互交流の促進に寄与する 要因はなく、施策の内容に適合しているとは言えない。

(27)

(ク)(ク)

(ク)(ク)観観観観光光光旅行の容易化及び円滑化光旅行の容易化及び円滑化旅行の容易化及び円滑化 旅行の容易化及び円滑化

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

サービス(1)~(4)において、観光旅行の容易化及び円滑化に寄 与する要因はなく、施策の内容に適合しているとは言えない。

(ケ)(ケ)

(ケ)(ケ)観光旅行者の利便の増進観光旅行者の利便の増進観光旅行者の利便の増進観光旅行者の利便の増進

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … △△ △△ (2)募金サービス … △△ △△ (3)バス周遊サービス … △△ △△ (4)クーポンサービス … △△ △△

【評価内容】

サービス(1)~(4)において、具体的に示された事業内容は存在 しない。しかし、電子タグを活用した新しいサービスの享受によ り観光旅行者の利便の増進が図られるため、関連した項目である と考える。

(コ)(コ)

(コ)(コ)観光旅観光旅観光旅観光旅行の安全の確保行の安全の確保行の安全の確保 行の安全の確保

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

サービス(1)~(4)において、観光旅行の安全に寄与する要因は なく、施策の内容に適合しているとは言えない。

(28)

(サ)(サ)

(サ)(サ)新たな観光旅行の分野の開拓新たな観光旅行の分野の開拓新たな観光旅行の分野の開拓新たな観光旅行の分野の開拓

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … ○○ ○○ (2)募金サービス … -- -- (3)バス周遊サービス … ○○ ○○ (4)クーポンサービス … ○○ ○○

【評価内容】

(2)募金サービスに関しては、サービスの享受そのものが観光 目的となることは難しい。しかしサービス(1)(3)(4)に関しては、

サービスの享受そのものが観光目的となる可能性があり、観光業 界における新しい旅行形態となりうる。よって施策の内容に適合 していると考える。

【平成 20 年度観光施策における具体的観光施策】

エコツーリズム、産業観光等ニューツーリズムの推進を図る。

(シ)

(シ)

(シ)

(シ)観光地における環境及び良好な景観の保全観光地における環境及び良好な景観の保全観光地における環境及び良好な景観の保全観光地における環境及び良好な景観の保全

【評価結果】

(1)宿泊チャージサービス … -- -- (2)募金サービス … △△ △△ (3)バス周遊サービス … -- -- (4)クーポンサービス … -- --

【評価内容】

サービス(1)~(4)において、具体的に示された内容に合致する ものはなし。しかし(2)募金サービスに関しては、サービスの実 施により文化財など観光資源の保全に寄与できる、関連する項目 であると考える。

表 表表 表     333 3... .444 4      クーポンサービスのプレイヤークーポンサービスのプレイヤークーポンサービスのプレイヤー クーポンサービスのプレイヤーとメリットとメリットとメリット とメリット    項  プレイヤー  メリット  1  旅行事業者  ・広告料による収入  ・クーポンサービスによる観光地としての魅力向上  ・観光客動線情報の活用によるマーケティング効果  3  観光地施設  ・広告効果による集客力向上  4  観光客  ・クーポンの利用  本調査研究では以降、本章
図 図図 図     555 5... .777 7      サービスに対する抵抗感(年齢層別)サービスに対する抵抗感(年齢層別) サービスに対する抵抗感(年齢層別) サービスに対する抵抗感(年齢層別)   【考察】  ・ 「高年齢層」における電子タグなど電子媒体の使用は、他の年齢層 と比較して抵抗を感じる傾向にあると考えられる。ゆえに、サー ビス導入時は画面や文字を大きく見やすくするなど、 「高年齢層」 への使い勝手を考慮したハードウェアの選定やシステム設計を行 う必要がある。  ( (( (444 4
図 図図 図     555 5... .888 8      サービスの利用希望度(旅行頻度別)サービスの利用希望度(旅行頻度別) サービスの利用希望度(旅行頻度別) サービスの利用希望度(旅行頻度別)   【考察】  ・旅行の頻度が低い方は、宿泊をする機会が少ないために、宿泊施 設を基点として周遊する際に受けられるサービスの魅力を感じに くいと考えられる。よって、(A)宿泊チャージサービス実施の際は 旅行頻度が低い方にも受容されるように、サービス範囲を拡張し て、宿泊施設以外の旅行基点でも一括支払を行え

参照

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