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論文内容要旨 Prediction of dysphagia by perceptual evaluation focusing on wetness of the pre-swallow voice

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Prediction of dysphagia by perceptual evaluation focusing on wetness of the pre-swallow voice

(嚥下前の発話を用いた聴覚評価による嚥下障害の予測)

European Journal of Cancer Care(投稿中)

口腔リハビリテーション医学 大沼 光司

頭頸部腫瘍患者では高い頻度で嚥下障害が認められ、その診断方法とし て一般に嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)が適用される。し かし、VF では放射線被曝、VE では鼻腔からの内視鏡挿入に伴う機械的 な刺激があり、両検査とも被験者への侵襲を伴う。そのため、嚥下障害の 臨床で必須である繰り返しの検査施行が困難で、非侵襲的なスクリーニン

グ検査が VF、VE を補完する重要な役割を担っている。日本では嚥下障

害のスクリーニング検査として、反復唾液嚥下テスト、改訂水飲み試験、

頸部聴診法(CA)が広く用いられおり、そのうち CA のみが患者の摂食 中に適用可能である。CA は嚥下音と嚥下前後の呼気音を聴診して嚥下機 能を評価する方法である。一方、日常的な発話を聴診対象として CA によ る嚥下障害の判別精度を検討した報告はない。本研究の目的は、嚥下前の 発話から抽出した音声を聴診対象として、湿性度の聴覚的評価による嚥下 障害の診断精度を検討することである。

45 名の頭頸部腫瘍患者から記録した VF 検査日の日付の発話データか ら抽出したサンプルを聴覚評価の対象とした。なお、発話データは患者の 咽頭および喉頭部の吸引あるいは喀出を行わせずに記録した。VF では 3ml のゼリー状試料を用いた。VF 画像は歯科医師 2 名が Penetration Aspiration Scale を用いて評価した。サンプルの聴覚的評価は、湿性度ス ケールを 0~4 と設定し、それに基づき 16 名の評価者が各サンプルの湿 性度を聴覚的に評価した。評価は 2 週間の間隔で 2 度行い、再現性を検討 した。また、サンプルの湿性嗄声の有無と嚥下障害の有無との関連性を調 べた。さらに音響分析としてサンプルの Shimmer (音の大きさの揺らぎ)

や Jitter (音の高さの揺らぎ)を分析し、分析結果と嚥下障害との関連性・

聴覚評価との関連性を求めた。

VF 画像では、45 サンプル中、嚥下障害無しが 30 サンプル、嚥下障害

有りが 15 サンプルあった。聴覚的評価では、嚥下障害の感度は 69.8%、

(2)

特異度は 32.8%であった。評価者内信頼性は 0.82、評価者間信頼性は 1

回目が 0.90、2 回目は 0.91 であった。音響分析の結果では嚥下障害の感

度、 特異度は Shimmer では 73.3%、 50%であり Jitter では 66.7%、 70.0%

であった。聴覚的評価と音響分析の比較では、湿性嗄声有り群における

Jitter は湿性嗄声無し群と比較し有意に高かった。

今回行った日付という定型文の聴覚的評価による嚥下障害の予測は、日

常会話程の自由発話ではなく、検査方法や使用する文章など今後の検討課

題が存在する。しかし、発話による聴覚的評価は聴診器など機器を必要と

せず、様々な状況や場面でも評価が可能という利点がある。今後評価方法

を改善し確立する事で、嚥下障害のスクリーニング方法として有用なもの

になると考えられる。

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