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青年期女子の女性性受容 : 質問紙法とロールシャッ ハ法による検討

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Kyushu University Institutional Repository

青年期女子の女性性受容 : 質問紙法とロールシャッ ハ法による検討

鈴木, 慶子

九州大学大学院人間環境学府

高橋, 靖恵

九州大学大学院人間環境学研究院

https://doi.org/10.15017/15706

出版情報:九州大学心理学研究. 6, pp.281-293, 2005-03-31. 九州大学大学院人間環境学研究院 バージョン:

権利関係:

(2)

Kyushu University Psychological Research 2005, Vol,6, 281−293

青年期女子の女性性受容

一質問紙法とロールシャツ1ハ法による検討一

鈴木 慶子 九州大学大学院人間環境学府 高橋 靖恵 九州大学大学院人間環境学研究院

Aceeptance of femininity in adolescent females

An investigation by questionnaire and Rorschach method−

K:eiko Suzuki(Graduate schoo1{)f h man−environ〃3θη 鋤4娩1り欝加辮ル8器 ウ)

Yasue Takahashi(Facu14 of hu〃2an−environment studies,伽伽翻vθ君助・)

  The purpose of this study was to grasp how Inodem adolescent fヒmales accept fbmi血ty. S呵ects were 175 female students of junior college, nursing school, and university. First, subjects responded to a questionnaire about their acceptance of femininity. B y examining the combination of four aspects of fernininity acceptance, respon−

dents were divided into three groups:  high acceptance,   low negative acceptance,  and  low acceptance.

Second, the Rorschach method was employed to investigate qualitative characteristics of each group. The results were as follows: 1)In the high acceptance group, respondents mostly had a generally consistent positive image toward femininity and, when compared to the other groups, accepted stereotyped gender roles, 2)In the low negative acceptance group, respondents tended to have ambivalent feelings toward femininity and an unstable self image, but this  conflict was also considered a necessary process of identity establishment. 3)In the low acceptance group, respondents tended to have a high degree of intelligence. Many of/them displayed some anxiety in interper−

sonal relations/hips and negative feeling toward their fathers.

Keywords: Acceptance of Femininity, Adolescent female, Rorschach method, Questionnaire

問題と目的 1.現代女子青年の性同一性

 青年期の重要な発達課題のひとつとして,性同一性

(gender identity)の形成をあげることができる。性同一 性とは,「自分であること1の一側面として, 男性とし ての自己 女性としての自己 のありように対する自 己の確信度だといえよう。人は,2,3歳で自己の性別 を認知するようになり,5,6歳で一応の性同一性感覚 を確立すると言われる。しかし,思春期には第二次性徴 に伴う身体的側面の危機,青年期には社会的側面,すな わち性役割同一性獲得に伴う危機を経験し,幾度となく

自己の性と向き合うことになる。

 ところで,近年では男女平等の風潮が広がり,飛躍的 な女性の大学進学率の上昇,社会的地位向上につながっ た。そのため,従来の伝統的役割パターンである,男性 は社会に出て働き,女性は家庭を守るという画一的価値 観にはおさまらず,社会的地位達成という自己実現を目 指す女性も急増した。しかし,加茂・田村(1996)が

「現時点では, ステレオタイプな性役割分担が存在する 中での という限定つきのライフスタイルの主体的選択」

と表現したように,社会的地位達成には厳しさや闘争心

など男性性が求められると同時に,妻・母・女性として の温かさ,献身的態度,自己犠牲的態度などのステレオ タイプな女性性は依然として女性に求められ,制度的・

慣習的にも男女平等が十分に保障された社会であるとは 言いがたい。このように,日本における性同一性につい て下山(1998)は,青年期の女子は,生物学的性と心理 社会学的性,あるいは家庭的役割と職業的役割を統合し て性アイデンティティを確立するという困難な課題に直 面することになると述べている。青年期は将来のことを 考え,進路を選択し,それを実行していくという変化の 多い時期である。このとき,女子青年は「女性としてど う生きるか」,「人間としてどう生きるか」という課題に 突き当たり,葛藤を抱える者は多いのではないだろうか。

2、青年期女子の女性性受容

 性同一性の確立は,自己の性の受容,つまり女性であ れば女性性の受容が前提であると考えられるが,女性性 受容に焦点をあてた研究は多いとはいえない。また,生 物学的性と社会的性役割のどちらか一方に絞った研究は 重ねられてきているが,これらに比べ,両者を同時に扱っ

た女性性受容研究はまだ散見するのみである。

 鈴木・伊藤(2001)は質問紙法によって女性性受容を

(3)

測ることを試み,産む性としての女性の身体と役割を積 極的に引き受ける f積極的女性性受容」と,女性は男性

に比べ楽で得だという消極的な理由からの受容である

「消極的女性性受容」とに分けて検討した。加えて,大 学生の女子において,自尊感情と2種類の女性性受容の 関係を調査したところ,「積極的女性性受容」は自尊感 情を高めるのに対し,「消極的女性性受容」は自尊感情

を低くすることが分かった(鈴木・伊藤,2001)。しか も,この関係は中学生や高校生では見られないものであっ た。このことは,大学生になると,自立の欲求が高まり,

第二の性 としての社会的立場を甘受することへの抵 抗感の現れを反映していると考えられる。つまり,青年 期後期になると,女性は身体的な要素に加えて社会的な 性の認知もいっそう強く意識されてくると言える。

 従来,女性性受容研究では受容群一非受容群という分 類で二群を比較し,そのほぼ全ての結果において受容群 の方がポジティブに記述されている。しかし,上記のよ うに消極的な受容の仕方が自尊感情を低くするという結 果をふまえると,女性性受容を受容一隅受容という比較 だけではなく,受容ということについて,多面的に捉え ることも必要となるだろう。また,個人内でも受容でき る側面とあまり受容できない側面が同時に存在すること があると予測できる。

 そこで,本研究では女性性受容を鈴木(2001)による 女性性受容の定義と4つの側面を採用し,受容一非受容

という一次元ではなく,側面ごとの受容度の高低パター ンによって分類することを試み,現代の女子青年にどの ような傾向があるかを調査する。女性性受容の定義とは

「女性としての自己の身体を受容し,社会が女性に期待 する役割と自己概念を照合・吟味しながら,女性である 自己の生き方を考え,主体的に女性として生きていこう としている状態」であり,4つの側面とは,母性機能を 肯定する内容の「母性」という側面,初潮や体型などに 関する「身体的」側面,女性であることを理由に甘えや 依存を肯定する「消極的」側面,女性に生まれてよかっ

たという「中核的」側面である。

3.女性性受容モデルと親子関係

 女性性の受容には,同性・異性モデルとしての母親・

父親の存在が大きく関与していると言われるく池田19 84)。青木(1991)は女子中学生に面接調査を行い,女 性性受容群では両親との肯定的関係及び母親への同一視 が,非受容群では否定的関係および非同一視が見出され たと報告している。また,松本(1985)は女子大学生に 性同一性に関する質問紙調査を行い,「女性としての自

己」に葛藤を持つ群と葛藤の少ない群に分け,ロ・一・・ルシャッ

ハ法と面接法を行った。面接内容から,葛藤群では家庭 内の不安定さ,結婚への幻滅,f 男性的 母親への同一

視が見られ,性同一性に果たす家族の役割が大きいこと を示した。その他,葛藤群ではnegativeな女性像とposi−

tivcな異性像,劣等感,自己評価の低さが語られ,女子 青年の自我同一性形成において「女性としての自己」の 受け容れの問題が重要であり,身近なモデルとして両親 の存在が女性性の受容に大きく関わることが示唆された。

4.ロールシャッハ法と女性性受容研究

 ロールシャッハ法は,無意識的な自我機能に接近する のに有効な投映法の一種であり,『心理臨床の実践現場で クライアントの理解を深め,見立てを行うための心理検 査として活用されている。一般の被検者を対象にした研 究では,身体像,イメージカード,防衛等に関する基礎 的研究が多くなされている。

 と.ころで,従来青年期の同一性に関する研究は,質問 紙法や面接法など,被験者の自己報告による意識的な側 面を測定するものがほとんどである。これを指摘して平 井(1989)は,自我同一性は意識的な側面と自我の側面

(客観的な自我の強さ)の二側面から力動的・多面的に 捉えるべき概念であると述べている。これは,自我同一 性研究のみならず,他の研究においても同様のことが言 えるだろう。前述した松本(1984)による,女子青年の 性同一性に関する研究におけるロールシャッハ法につい ての報告では, 女性としての自己 に非受容的な群は 受容的な群に比べ,有意にA%が高く,明反応数は少な く,unpleasant feelingの表出が顕著であり,情緒的に不 安定であること,女性イメージが貧困であること,phal−

licな男性的表象反応が多く,人間反応の性別も男性と する傾向があることなど示された。この研究は約20年前 のものであり,社会における女性の在り方の目まぐるし い変化に伴い,再度女腔性受容という観点からロールシャッ ハ法を行うことも意味があると考える。また,本研究で は 女性としての自己 の受容という視点ではなく,

女性性 の受容が現代女子青年にどのようになされて いるか,また受容のパターンによってどのような違いが

あるのかという視点から検討する。特に,ロS・一・・ルシャッ

ハ法では,反応に現れる人物の性別やその反応に対する 感情表出のされ方,女性的または男性的な反応や表現,

イメージカード等に注目する。

5.本研究の目的

 本研究では,青年期女子の女性性受容に焦点をあて,

受容側面ごとの高低による,受容パターンを質問紙によっ て類型化し,現代の女子青年の女性性受容の特徴をとら えることを第一の目的とする。調査対象は母性的・女性 的職業を目指す短期大学幼児教育科に所属する学生,女 性が大半を占めるが男性的な要素も多分に必要である看 護士を目指す看護学校の学生,四年制国立大学に通う女

(4)

鈴木・高橋:青年期女子の女性性受容 283

子学生と,ある程度自己の女性性を意識した経験がある と思われる女子青年に設定した。年齢は青年期後期にあ たるユ8歳から30歳であった。

 また,青年期女子の女性性受容のあり方を多面的に,

また無意識という側面から接近する試みとして,投映法 であるロールシャッハ法(名大法)を用い,質的に検討 することを第二の目的とする。

第一研究 〜質問紙法による女性性受容の検討〜

1.方 法

1)調査対象二短期大学幼児教育科の学生90名,看護学 校生68名および四年制大学の学生17名の計175名。年齢 は18歳から30歳(平均年齢20.65歳)。

2)実施時期=2002年7月および9月。

3)調査内容:鈴木(2001)による女性性受容尺度20項 目の質問項目を中心に,池田(1984)●の研究を参考とし て筆者が項目を追加した暫定項目32項目。「育児は母親 の喜びである」,「女性は謝ればすぐ許されるので得であ る」,「女性の丸みのある体はあたたかみを感じる」,「女 性に生まれて良かった」などの項目を含む。評定は「全

くそう思う」〜「全くそう思わない」の5件法。

4)分析方法:女性性受容質問項目の因子分析後,クラ スター分析を行った。さらに因子ごとの合計点を算出し,

それを因子得点とし,クラスターごとの因子得点につい て分散分析を行った。

2.結果および考察

1)女性性受容尺度の因子分析

女性性受容尺度の32項目について因子分析を行った

     Table 1

女性性受容尺度の因子分析結果昌}

項  目

因子1因子2因子3因子4共通性

95211191128 QQQQQQQ

育児は母親の喜びである 将来ぜひ子どもを産みたい

母親は母乳を与えることができるので,親としての実感がより味わえる 子どもを産めるのは女性の喜びだ

結婚して家事ができるのは楽しみだ(楽しい)

女性は出産を体験することで,母親の実感を持つことができる 母親は子どもとスキンシップを多くとっているので分かり合える

.708

.656 一.017

.604

.587

.579

.554

.410

.142 .065    ,118

.109 一.021

.053 .191

.201

.030 ,Ol!

.336 一.065

. 089

.078

.275

.278 133 一.124

   ,269    .190

.533

.451

.453

.462

,409

.381

.321

QQQQQQQ 17 Q302523206

女性は謝ればすぐ許されるので得である

女性はいい仕事が期待されないので気が楽である 女性が人の上に立つことは好まれないので気が楽である

妻は外で働かなくても,夫の収入があれば生活できるので得である 女性はか弱いので男性が守ってくれる

女性は体力がないので力仕事を要求されず楽である 女性は甘えが許されるので有利である

一.040  .125  .1ユ4  .042  .232  .!14 一.095

.647 .223 . 180

.621 ,015 一,092

.608 一.006 一.119

.589

.581

.555

.528

.197 .008

.105 .056

,/

O78 一.036

.339 .194

.502

.410

,397

.388

.405

.328

.440

Q 16

Q3

Q 26

Q4

今度生まれてくるとしたら女がよい 女性に生まれて良かった

今は女なので,次生まれ変わるとしたら男でも構わない(*)

女性のほうがおしゃれの幅が広くて得である

 .055 .138  .118 .091 一.016 .084  .221 .118

.874 一.070

.857 .090

.700 一.090

.378 .222

.792

,764

.505

.255

Q7

Q 32

Q8

Q 22 Q 31

月経は女性の健康のバロメーターだ 女性らしい体の変化は受け入れがたい(*)

女性の丸みのある体はあたたかみを感じる 初潮を迎えたときはうれしかった

女性であれば月経があるのは当然だ

 .028 一,082 .004 一.069 一.089 .061  .245 .080 一.121

 .215 .039 .096

 .210 .091 一.013

.587

.451

.421

.418

.416

.352

.219

.259

.232

.226

因子負荷量の2乗和 累積寄与率(%)

2.782 2.713 2.456 1.532

12.094 23.888 34.568 41.227

a)(*)は反転項目

(5)

(重みづけのない最小2乗法)。固有値1以上を基準とし,

また因子の解釈可能性から4因子を最適解とし,エカマッ クス回転を行った。さらに,共通性の著しく低い項目を 削除し,因子負荷量が.35以上の項目をとりあげ,4因 子23項目を採用した。23項目の因子負荷量をTable 1に 示す。因子構造は先行研究とほぼ同じであったことから,

因子1は「母性」(7項目),因子2は「消極的受容」

(7項目),因子3は「中核的受容」(4項目),因子4は

「身体的受容」(5項目)とした。なお,23項目全体に対 しクロンバックのα係数を算出したところα=.8143で あった。各因子については,因子1はα=。80,因子2 はα=.79,因子3はα=.79,因子4はα=.60であった。

因子4はやや低い値であったが,その他の因子は十分に 満足できる信頼性が得られた。

2)女性性受容尺度のクラスター分析および分散分析  女性性受容尺度因子分析後の4つの下位尺度について それぞれ合計得点を算出し,因子得点とした。さらに,

因子得点を標準化したものを変量として,ユークリッド

距離の2乗をもとにしたクラスター分析(ウォード法)

を行った。人数の偏りを考慮し,3つのクラスターに分 類したところ,ag 一クラスターが95人置第ニクラスター が42人,第三クラスターが38人となった。次に,4つの 下位尺度それぞれの平均値を従属変数とし,クラスター を独立変数とし,一要因三水準の分散分析およびTukey のHSD検定による多重比較を行った。その結果全ての 下位尺度において有意差が見られた。クラスターごどの 各尺度得点についての平均値と標準偏差,クラスター間 の分散分析および多重比較の結果をTable 2に示す。ま た,クラスター分析に投入した変数についての各クラス ターの特徴を見るため,各変数について平均0,標準偏 差1の標準得点に変換した上で,クラスターごとの平均 値を求めた。このプロフィールをFig.1に示す。

 3つのクラスターのうち,ほぼすべての下位尺度にお いて因子得点の高い群を「高受容群」(95名〉,同様にほ ぼすべての下位尺度において因子得点の低い群を「低受 容群」(42名)とした。また,「母性」「身体的受容」が

         Table 2

クラスターごとの女性性受容尺度分散分析結果S)

高受容群  消極的受容低群 低受容群

F魚

群問比較

母 性

29. 6

(3.41)

28. 0

(3. 22)

23. 5

(4. 99)

36.35*** 低く幽く高

消極的受容

18. 7

(4. 12)

13.1

(3. 95)

16. 2

(4. 06) 28.28*** 難く低く高

中核的受容 15.9

(2. 08)

10. 9

(2. 49)

IL 8

(3. 6ユ1)

69.85*** 消,低く高

身体的受容 16,4

(2. 86)

17. 0

(2. 04)

12,2

(2. 33) 43.98*** 低く高,消

a)上段は平均値,下段()は標準偏差 ***P〈.001

O.600

O.400

O,200

O−OOO

一〇.200

一〇,400

一〇.600

一〇.800

一1.000

.L/

高受容群 消極的受容低群 島受容群

貝母性

圏消極的受容

団中核的受容

ロ身体的受容

Hg.1 各クラスターの女性性受容下位尺度プロフィール

(6)

鈴木・高橋:青年期女子の女性性受容 285

高く,「消極的受容」「中核的受容」が低い群が抽出され たのが特徴的であり,受容できる.面とそうでない面が同 時に存在する女子青年がいるだろうという筆者の予想は 支持された。この群は他の群よりも「消極的受容」が有 意に低いという特徴が見られたため,「消極的受容低群」

と命名した。このような受容の様相を示す女子青年は,

生得的な側面である女性としての身体や子どもを産み育 てるという母性は受容し肯定的に捉えているものの,社 会的役割として弱い立場の女性性や,男性への依存や甘 えを低く評価していることを表す。つまり, 仕事か家 庭か という二者択一の生き方ではなく, 仕事も家庭

も 両立させようとする,自立的な女性像,現代型の女 性像を象徴しているといえるのではないだろうか。

         第二研究

〜ロールシャッハ法による女性性受容の検討ん

1.方 法

1)調査対象:第一研究の被調査者から協力が得られた 16名(「高受容群」6名,「消極的受容低群」7名,「低 受容群」3名)。年齢は18歳〜28歳(平均年齢は21.68歳)。

2)調査内容:ロールシャッハ法(名古屋大学式技法)

       Table 3 1

高受容群のロールシャッハスコア(6名)

事例

A B c D E F

T/ach

T/c

Av Tot.Time

Tot., R

Card of Rej VI[・pt ・ X/ROA

W:D二d:Dd Sequence

Tur%

F%

F+%

R十%

P

W:M M:EM

M:2C

FC:CF十C

A%

H%

H+A:Hd+Ad Activity Revel Content Range HostiIity Anxiety

Bodi ly Preoccup.

To t. Unp l easant

Dependency Positive Feeinig Miscellaneous NeutraI

5

7. 4

6.2 7  34

27 0

37%

12:13:0:2

0rderly

22.2%

55.5%

80%

77. 7%

5

12:5 5:3 511.5 3:0

51.8%

18. 5%

13:6

a=5, i−1, p=2

12

22. 7%

22.7e1e 13. 6%

59%

13. 6%

27. 2%

o%

44.4%

6. 2 9. 2

7. 7

4  13

26

0

46. 1%

10:16:0:0

0rderly

23%

50%

84, 6%

84.6%

5 10:2 2:6 2:2 4:0

69. 2%

7. 6%

19:1

a=5, i=1, p=2

7

20%

o%

o%

20%

30%

40%

loors 69.2%

3. 2 7. 6

5.4

7  59

29

0

27. 6%

18:10:0: 1

0rderly

24. 1%

27, 6%

75%

58. 6%

4 18:4 4:5 4:7 3:4

31%

31%

11:9

a=9, i=3, p=1

15

21. 4%

30. 3%

6%

57, 3%

9%

30.3%

3%

24. 1%

23, 8 15.8

)9. 8

12  10

17 0

23, 5%

9:8:0:0

Rigid

11. 7%

17. 6%

66. 6%

58. 8%

3 9:8 8:4

8:L5

3:0

35. 2%

47%

13:1

a=2, i−5, p=5

10

10%

45%

10%

65%

15%

20%

o%

17.606

IL 3

30

20. 6 18  24

28 2(rv,W)

53. 5%

8:18:0:2

0rderly

46.4%

50%

64. 2%

71. 4%

5

8:2 2:8

2:L5

3:0

75%

17. 8 %

21:5

a=6, i=4, p−0

7

18. 1%

9%

18. 1%

45. 4%

90rs

45. 4%

io%

64. 2%

5.2 9.4 7.3 10 38

32

0

34. 4%

13:18:1:0

Rigid

18%

53, 1%

64.70ra 68, 7%

6 13:0 0:9 0:3 2:2

68. 7%

3.1%

21:1

a=6,i−4,p=1

8

23. 8%

28. 5%

4. 7%

57. 1%

4. 7%

33. 3%

4.7%

40. 6%

(7)

を筆者が個別に行った。通常尋ねる最も好きなカード

(以下MLC),最も嫌いなカード(以下MDC),父親

(FIC),母親(以下MIC),自己(以下SIC)のイメー ジカードに加え,男性(以下男性IC),女性(以下女性I C)のイメージを選択させた。

3)実施時期:2002年7月〜10月。

2,結果および考察

1)ロールシャッハ法による量的分析

Table 3−1〜3−3に,各群の被検者それぞれの主 なロールシャッハ・スコアおよび感情カテゴリーの割合

を示す。

 主なロールシャッハ・スコアの各群における平均値に ついて,クラスカル・ウォリスの検定および多重比較を 行ったところ,反応数,Fr, FVに有意差があり, Con−

tentに有意傾向がみられた。その他の変数については,

有意差は見られなかった。この結果をTable 4に示す。

紙面の都合上,有意差,有意傾向の見られた一部のスコ アを掲載する。反応数:,Contentにおいては低受容群が 高趣平群・消極的受容低群より有意に多い,または有意 に多い傾向があった。これは,松本(1985)の結果が,

非受容群において反応数が少なく,思考の柔軟性,生産

        Table 3−2

消極的受容低群のロールシャッハスコア(7名)

事例

G H 1 J K L.

M

T/ach

T/c

Av

Tot.Ti皿e Tot. R Card of Rej wn IX ・ X/R%

W:D; d :Dd

Sequence

Tur%

F%

F十%

R十%

P

VV:M

M:FM

M: 1£ C

FC:CF十C

A%

H%

H+A:Hd+Ad Activity Revel Content Range Hostility Anxiety

Bodily Preoccup.

Tot. Unp l easant

Dependency Positive Feeinig MisceIlaneous Neutra1

4.4

5. 6

5

6  23

38

0

36.8%

18.4 35. 6

27

11  1

22 0

40. 9%

25. 5 30. 6 28. 1 7  48

13

1(rv)

30. 7%

8:24:2:4 9:11:0:2 10:1:0:2

Orderly

21%

60. 5%

73. 9%

76.30rs

5 8:2 2:5 2:3 4:1

78.9%

7. 8%

15:18

Rigid

50%

77%

41. 1%

40. 9%

2

9:0 0:1

0:1 0:1

72. 7%

13. 6%

15:4

Rigid

30. 7%

o%

o%

46. 1%

2

10:0 0:8 0:3

4:!

69. 2%

o%

9:0

5 4.4 4 13.2

4.5 8.8

13 11  9 32

26 20

0      e

19.2% 30%

25:1:0:0 15:5:0:0

Rigid Orderly

38.4% O%

11.5% 40%

66.6% 87.5%

57.6% 85%

6      5

25:10 15:5 iO:10 5:3 10:4 5:2.5

6:1 3:1

57.6% 35%

42.3% 45%

22:4 13:3

5 10.6 8 12.8 6.5 IL7

14 6  5 57

31 13

0      0

22.5% 23%

16:14:1:0 ll:2:0:0

0rderly Rigid 12.9% 23%

45.1% 23%,

78.5% 66.6%

80.6% 61.5%

6      5

16:7 11:3 7:6 3:2

7:L5 3:1.5

3:0    1二1 61.2% 38.4%

41.9% 46.1%

22:9 11:0

a−1,i=2, p−4 a=1,i−O, p一一〇 a−O, i=8, p=O a=21, i=5,p−1 a−4, i−1. p−4 a−7, i=3,p−3 a−2, i−3,p=1

6 53.8%

23%

o%

76, 9%

7. 6%

15.3%

o%

68.4%

5

33. 3%

33. 3%

006 66.6%

o%

33.30k o%

86. 4%

4

/o%

87. 5%

o%

87. 5%

o%

12. 5%

o%

46. 1%

14

37. 7%

28.3010 0%

66%

9. 4%

22. 6%

1. 7%

7. 6%

12

12. 5%

25%

oy,

37. 5%

18. 7%

31. 2%

12. 5%

25%

6

30. 7%

26. 9%

o%

57. 6%

15. 3%

23%

3. 8%

41.9%

5

17. 6%

29,4%

5. 8%

52, 9%

11, 7%

23, 5%

11. 7%

15. 3%

(8)

鈴木・高橋;青年期女子の女性性受容 287

性,社会的意欲といった点での問題を示唆したものと異 なっていた.。本研究の被検者の低受容群は初発反応時間 も早く,反応数,Content共に多かった。特徴としてあ げられるのは,反応数に対してP反応が少ないことで あった。よって,低受容群の被験者は知的に高い被検者 であり,視野も広く,現実認知力も十分にあるが,その 思考は一般的,常識的なものでない独特の見方であると 予想される。これは,D, d, Ddの領域が多く出ている

ことからも支持されよう。次に,FV, Frにおいても低 受容群が他の2群より多かった。FVは内省力の指標で あり,自己と他の心理的距離に敏感で,問題を自己から

離して冷静にながめ,客観的に評価する能力を持ってい ることを示すものである。また,Fr.は愛情欲求,是認 や依存的接触を求める感情を示し,この指標の産出には かなり分化した繊細な感受性と内省力が必要であり,注 意深さや臆病さとも関連すると言われる。

 以上のように,先行研究では女性性受容度の低さと認 知の硬さやイメージの貧困さとの関連が指摘されたが,

本研究では必ずしもそうではなく,低受容群の被験者に おいて,他群に比べ生産性が高く,内省力,感受性が高 いことが示唆された。

2)イメージカード

       Table 3一一3

低受容群のロールシャッハスコア(3名)

事例

N o P

T/ach

T/c

Av

Tot.Time

Tot, R Card of Rej VM・pt ・ X/R%

W:・D: d :Dd

Sequence

Tur%

F%

F十%

R十%

P W:M

M:FM

M: E] C

FC:CF十C

A%

H%

H+A:Hd+Ad Activity Revel Content Range Hosti1ity Anxiety

Bodily Preoccup.

Tot. Unp l easant

Dependency Positive Feeinig Miscellaneous Neutra1

6.4

7, 4

6.9 13  13

42 0,

30. 9%

28二10:1:3

Loose

20.5%

ユ9%

100%

73.sors 2

28:6

6: !2

6:6 12:0

45. 2%

23.8%

25:4

a−12,i−5,p;4

15

30.3%

24.201e o%

54. 5%

9%

30.3%

6%

40.4%

7. 8

4..8 6. 3

10  33

40

0

350A

10:23:5:4

Loose

o%

550!0

50%

60%

2

10 :7

7:3

7=ユ

2:0

35%

37. 5%

16 : 13 a=3,i−4,p−3

10

0%

400rd 13. 3%

43. 3%

13. 3%

13.3%

20%

62%

9.6 1工.4

!0. 5

15  39

45

0

37. 7%

36:7:0:2

0rderly

46.6%

51. 1%

86.9%

88. 8Yo

5 36:7

7:3 7:5 8:1

44. 4%

24. 4%

28:3

a−7, i−1, p=4

19

31%

13. 706 0%

44. 8%

6.8%

41. 3%

6.8010 46.6%

(9)

      Table 4

ロールシャッハ・スコアのクラスカル・ウォリス検定 )

高受容群 消極的受容低群 低受容群

X2値

多重比較

R 26. 50

(5. 08)

23.28

(9. 19)

42. 33

(2. 51)

7. 48** 高,消く低

O. 50

(O. 83)

O. 28

(O. 48)

0ハV

∩︶︵︶9自∩U

7. 44** 高,消く低

rv 1.00

(O. 89)

ユ.OO

(O. 81)

4. 00

(1. 73)

5.99** 高,消く低

CONTENT 9. 83

(3. 18)

7.43

(3, 90)

14. 67

(4. 50)

5, 89* 消,高く低

a)各群上段は計数値,下段は標準偏差,**p〈.05,*p<.1

 質疑段階の後,MLC, MDC,男性IC,女性IC, FIC,

MIC, SICを選択してもらい,選択理由を述べてもらっ た。その結果をTable 5−1〜5−3に示す。全体的傾 向として,MLCはフルカラーカードが選ばれる傾向が 強く(16名四11名:IX=3名, X=8名〉, MDCはH,

IVカードが多かった(H=5名, W=6名)。また,男 性・女性イメージは,共に人間反応でだされた性別を根 拠に,男性はがっしりしていて濃い色,女性は線の細さ やくびれ,色の薄さや淡い色を持つカードが選ばれる傾 向にあった。

         Table 5−1

選ばれたイメージカードとその選択理由(高受容群)

MLC moc 男性IC 女性IC FIC MIC SIC

  X花みたい,

   色どりがき A   れい

陪⁝う感よ る

mあ

・がで∬

IV 男でしか  も大きいと

 ころ

IX 色づかい  力揉らかい,

 ソフト

llいい感じ

じゃない

粗 色の濃淡  にソフトな  ものを感じ

 る

1 素朴,い びつ,荒け

ずり

  皿・靱 女の    人,子ども B   のイメージ

IV・1 黒々  しててこわ

 い

X・田 虫が

 いっぱい。

動物がいる

皿・孤 人が 女の人の感  じがした

X大変そう,

色々な人と 接する社会  の感じ

皿 女の人,

優しい,温  かい感じ

靱 女の子っ

 ていうイメー

 ジから

  X いわさき    ちひろの絵    が好きだか    ら

々にら

生血か  ︐る Hいえ

・し見

1 シンプル

X  とぎ ぼしや

やてか 一 ︐

つに

なし Vより

たくましく,

1Vのかどがと れたような

X お花が好

 き,女の子う  て感じ

X理想今・

 IX 人から 分からない  と言われる

遊明一

︐ メ

回るイ

妖でい

 んるジ

D

VI死んだイ

 メージをもつ

 た

皿 男の人に 工 女の子の なし  みえる    イメージ

なし

孤 元気.で明

 るい

E

X・皿 色が

 いっぱい,

黒のバラン  ス

IV 何かに見 1  えそうで見  る  えない

顔に見え 珊 色の薄さ V 単純っぽ        い

皿 お母さん  力将きそう,

 シンプル

X 絵のタッ  チが私っぽ

 い

  D(雲,好き

   な夏のイメー

F   ジ

1血のイメー

 ジが嫌い,、

怖い

IV マンモス 象のイメー  ジから

皿 プードル  からかわい

い感じ

W どっしり

 していない,

常に動いて  いる

IV 男みたい  なイメージ,

 強い,しつ

 かり

孤 おそるお  そる歩きな

 がら歳をとつ

 てる

(10)

鈴木・高橋=青年期女子の女性性受容 289

      Table 5−2

選ばれたイメージカードとその選択理由(消極的受容低群)

MLC MDC 男性IC 女性・IC FIC MIC SIC

  X 色がきれ   い,くすん G

  でいない

皿 リボンが 皿 タキシー V皿 髪が長く V 小さい,唱 IV 強い感じ,

 嫌い     ド着てるか  ておだんご  動かない,  働き者

       ら     してる   じゃべらな

      い

V こじんま  り,じっと  してる,父  似

  V ぱっとみ H  えるから

X 人の顔が 普通の輪郭  じゃない

W カメレオ IV 女性は花 V ぱっと見  ンとか好き  を育てるの  えて好き  そう    が好き

IV花を育て ll人の顔が

 るのが好き  あるから

1

X カラフル,

 明るい

ll 人の生死 を想像させ  る

1 堂々,男 IX:淡い,優 IV 堂々とし の人にもそ  しい感じ   てない,か

うあってほ

しい

弱くもない

V 絵が真申  にある,存 在が家の中  心

粗 気分屋,

 いい時と悪  .い時がある

J

VII動きがあっ

 て生き生き

IX 寂しい,

 内にこもつ  ている感じ

皿 体の一部 X 鮮やかで W 強い,仕  から     春らしい,  事の緊迫感        躍動感,や

       わらかい

工 信じやす  く,自分も

巻き込まれ

 る

V 明確なも  のがないが  羽を広げた  ら飛べる   X 華やかな

  感じ,ブルー

K   が好き

]V 暗い感1じ,

魔物のイメー  ジ

IV 大柄な男 1 中心の丸  の人 珊   い感じが女  小さな男の  性っぽい  子が二人

H たれ目で  ちょっとふ ざけた感じ

なし しいて 言えば町,お 茶目な感じ

自れ違

のらが

当見分 本と自  分るう

  IX 楽しそう, II表情が暗 し  色があるの  い

  がいい

IV ごつごつ, 靱 髪型,楽 IX 明るい,

 他のより色  しそうに踊っ 楽しい  が黒い    ている

孤 楽しい,

 歌ったり踊っ  たり

︐に

所物く

るいい踊しが

 五目

  V ぱっとひ    らめいた,

M

   他のは曖昧

IV 虫は嫌い 1 堂々とし  だから    ている

近い

︐た手が

苦り  寄

びてろ くつこ

の踊と

腰︐る  れい

1皿一生懸命 働いている姿

IX道を探し

 ている感じ

         Table 5−3

選ばれたイメージカードとその選択理由(低受容群)

MLC MDC 男性IC 女性工C FIC M工C SIC

  X たくさん

  色が使って

N

   ある

皿 人の顔に 1 一番強そ 孤 形がかわ W 威圧感,

見える う,絵に力 がある

いい,色が  弱い所もあ 薄くて優し  る

い感じ

粗好きな色

 があり,落  ち着く

㎜ 先が分か

 らないけと㌧

 一人で渡っ  ている所   X 色がいつ

   ばい,楽し    そう

r1巨人が自

分を見下ろ  した感じ

くと濃ンがポ

色︐る  てあ

V

V皿色,バレ IX 優しそう  エの衣装の  な色だけど,

 ふわふわし  本当は逆ら  た感じ   えない

X 楽しそう 皿 踊ってい  なところ  る感じ

P

D(色がきれ

 い,ガラスっ

 ぽい

IV怪物みた

 い,目が怖

 い

IV 立ってい 皿 フイギュ  る姿が男,  アの衣装に  大きなイメー  見えた  ジ

1 父が理解

できない,

頭がないと  ころから

IV 男っぽく  てしっかり

1 自分自身 がよく分か  らない,こ れからも不 安

(11)

 各群の特徴を以下に述べる。高受容群において,ML.

d,女性IC, M【C, SIC(理想のSICを含む)が一致した

事例が2例,MLCと女性ICが一致した事例が1例,

MLC, M【C, SICが一致した事例が1例ずつあり,6名 中4名という高い確率で,女性的なものに対する一貫し たPositiv。な認知がされていた。このような女性へのポ ジティブイメージの一貫性は,他の群では,消極的受容

低群に1例;低受容群でMLCとMICのみの一致が1

例しか見られなかった。本研究の高受容群は,女性イメー ジに肯定的な一貫性があり,女性としての性役割や身体 に違和感や葛藤などをあまり伴うことなく,安定した女 性イメージを持っていると考えられる。

 消極的受容低群では,母親イメージが一般的に男性カー ドであるIVカードで「強い,働き者」1皿カードで「一 生懸命働いている姿」,Vカ■一一一ドで「家の中心の存在」

と表現され,男性的母親像がうかがわれた。他群の母親 イメージについては,高受容群では強いしっかり者のイ メージは一名のみで,その他は優しさやソフトなイメー ジから選択したものが多く,低受容群でも男っぽいと述 べたものが一名,その他は「落ち着く」「楽しそう」と いうものであった。このように男性的母親への同一視が

「消極的受容」の低さにつながったと考えられ,池田(19 84)の結果と同様に,本研究でも女性性受容における母 親の影響が大きいことが示唆された。また,消極的受容 低群のSICには「本当の自分と見られる自分が違う『

(IX)⊥「自分には調子のいいときと悪いときがある(VII)」

など自己の二面性について述べ不安感情を付与したカー ドを選択した者や,「道を探している感じ(IX)⊥「羽化 したての蝶,明確なものがない(V)」と自己の不明確 さ,不安定性を述べた者が多く,アイデンティティ確立 の只中にいるような印象を受けた。

 低受容野においては,MDCで「見下ろされる(IV)」,

「顔に見える(皿)」,「目がi易い(IV)」と対人不安を感 じさせる内容が多かった。また,2名が女性イメージカー ドにおいてバレエやフィギュアスケートの衣服反応

(Cg)と結び付けており,見られる性としての女性を強 く意識し,その見られる不安から質問紙における女性性 の低さ,特に身体的受容の低さとつながつたのではない かと推測される。母親イメージは,2名がPositiveな選 択理由を述べ,1名はMDCと同じカードながらも理由 はPositiveであったが,父親イメージにおいては3名と も威圧感や理解できない様子など不安感情を抱いていた。

確信的なことは言えないが,父親中心の家族関係に何ら かの疑問や葛藤を抱いていることが推察できる。

 以上から,①高受容群における,母親・女性・自己の 一貫したPositiveな認知,②消極的受容低群における,

男性的母親への同一視傾向と自己の不安定さ,③低受容 群における,女性である自分が 見られるfことへの不

安と父親への脅威感情が見いだされた。

3)事例検討

 質問紙に現れた受容の特徴をよく表していると思われ る事例を層群一例ずつ取り上げ,女性性受容のあり方を 個別に検討する。

①「高受容群」事例B−Positiveな女性イメージを持  ち,女性性の受容に葛藤の少ない事例一

 まず,形式分析からみられる特徴であるが,初発反応

時間は7.7秒と割合早く,反応数,F9。, F+%, R+%すべ

てにおいて平均的である。また,P反応5つのうち4つ がカードの第ユ反応としてだされており,加えてA%の 高さからもやや.ステレオタイプなものの見方をすること が予想され,全体反応19に対して部分反応が1つしかな いことから批判性も低いようである。感情カテゴリーは Positive Feeling(40%), Dependency(30%)と快感情

が多く,Anxiety,:Bodily Preoccupationが出されておらず,

不快感情の表出が少なく,やや依存的であると考えられ

る◎

 次に,女性性受容との関連から述べる。人間反応は,

皿カード(女の人),1肛カード(女の子)に見ており,

いずれも性別が女であることを言及している。皿カード では,女の人に見えた理由を「胸がある感じ」と抵抗な く答え,さらにD4領域を指し「赤で強調してるのか な。  こころ のような…ハートみたいな優しい感じ」

と述べ,女性へのPositiveな認知をうかがうことができ る。1肋一ドでは「子どもっていうか女の子ども。髪が 結んであって,遊んでいるのと…鏡に映った感じにも見

える(自己愛反応:Pnar)」とこちらもPositiveな感情 が付与されている。また,受動的態度,依存性を象徴す るとされるFlo反応がW,粗, IX, Xと立て続けに出さ れでいることは消極的受容の高さにつながっていると推 測される。感情カテゴリーのDsec(安定反応), Df(胎 児反応)が出されているが,これは,母親との結びつき の強さやまだ娘役割が大きく,一人の女性としてはまだ 自立できていない印象をうける。

 イメージカードからもこれまで述べたことを裏づける ことができる。まず,最も好きなカードとして皿,靱を 挙げ,「女の人,子どものイメージ」と理由を述べてい る。女性ICでは同様に「人が女の人って感じがしたか ら」と皿,珊を挙げ,やはり女性を肯定的に捉えている ことは明らかである。.さらにMICでは皿を挙げ,「女の 人の優しい,温かい感じ」,SICでは「女の子って感じ から」と町を選んでいる。一方,男性ICでは,「虫がいっ ぱい,動物がいる」と曖昧な理由でXカードを選び,続 けてFICでも「大変そう。社会でいろいろな人と接し ているから」と,Xカードを選択した。 Xカードでは競 争反応(Hcpt)が付与されており,競争の多い社会にで るのは男性という伝統的性役割観を持っているようであ

(12)

鈴木・高橋:青年期女子の女性性受容

291

る。以上のように,高受容群の事例Bは,伝統的性役 割モデルに近い両親を持ち,同性である母親を肯定的に 捉えていることが女性性受容の高さにつながっでいると 考えられる。また,その葛藤の少なさが,ロールシャッ ハ・スコアに表現されるややステレオタイプではあるが 十分に安定したパーソナリティを形成していると言える のではないだろうか。

②「消極的受容二二」事例J

      一性役割葛藤が大きい事例一

 始めに形式分析から特徴を述べると,初発反応時間は 4.5秒と早く,反応数は26と平均的ながらも,情緒的に 豊かで複雑な修飾を伴う事例である。また,反応数26個・

のうち25個がW領域で,しかもorg%が61.5%と要求 水準の高さや目標達成への意欲がうかがえる。M反応,

FM反応の多さと活動性の高さ,感情付与の豊富さから,

刺激により揺さぶられやすいことが予想されるが,

M=FMという点でなんとか衝動を統制する力を持ち合 わせていると考えられる。感情カテゴリーにおいては,

Neutra1が7.6%と顕著に低い。 Hostility, Anxiety, Positive

Feelingのバランスは悪くないが,特に被一加虐反応

(Hsm)が8個,陰うつ反応(Ag1)が7個と極端な攻撃 性と不安を内在させていることが危惧される。通常反応

されることの少ない性的混乱反応(Asex)が出され,

性的同一視に関する不安を抱えていることが推測される。

しかし,敵意や不安に支配されてしまっている訳ではな く,娯楽反応(Prec)や協力反応(Pcpt) などの快感情 も出され,自己コントロールの可能性も十分にあり,

Ambivalentな感情を持ちつつもそれを自分の力で統制で きるパーソナリティであると考えられる。

 次に,女性性受容との関連から述べる。人間反応は1,

1,皿,V工,孤, IX, Xに見ており,そのうち女性は工,

II(おばあさん),珊, X,男性は1,皿,町, D((お じいさん)と偏っておらず,IHカードでは初めに女性と 言い,途中で男性かもしれないと混乱した性的混乱反応

(Asex)がみられている。まず,1カードでは第3反応 で「人がいけにえを差し出し,周り.は踊っている」と述 べており,いけにえが女性で差し出している人が男性で ある。そのように見えたのは体型も関与しているが,

「(いけにえを)かかげるのは,男の人。女の人が苦しそ うなのに周りは楽しそうだから男」と理由づけている。

ここに,事例Jの性役割葛藤が感じられる。女性は男性 のために犠牲になる,また男性優位の性役割社会に対し て嘆き(陰うつ反応=Agl)と反発(二一加虐反応:Hsm)

を投映していると考えられるのではないだろうか。この ようなNegative感情は「消極的受容低群」の男性に対 する甘えや依存を否定的に捉える態度と一致していると 考えられる。さらに,事例JのMICは1カードであり,

「母の行動に巻き込まれるから,母が差し出している人

で私がいけにえ」と述べ,母親との関係が不安定であり,

飲み込まれる不安を抱えているようである。皿カード第 2反応では,自由反応段階で「女の人が石臼をひいてい るみたい…(中略)もしかしたら男かも…」と混乱した 反応がみられ,自由反応段階での内容が質疑中に変わっ ていくという,動揺をうまく調節できない場面もあった。

皿カードは男性ICであり,「体の形から反応したところ もある。.神聖な儀式みたい。嫌な感じはしない」と不安 を防衛するような理由づけを行い,理性で衝動を統制で きる力を感じることができる。続いてVIカードでは第2 反応として女性的な態度や特性を象徴すると言われる音 楽反応(Mu)を出し,それに「失敗して壊された」と 破壊的な敵意(Hsm>を付与している。第3反応では

「敵と戦うおじいさん」の姿を見て,さらに敵意感情 く直接敵意反応:HH)を出している。 VIカードは, FIC であり,父親の職業との関連や強さを理由に挙げている。

これまでの流れからは事例Jは女性性を否定,拒否して いるように感じるが,次の粗カードで流れが変わる。皿 カードでは第2反応で「スカートをはいた女の子が踊っ ている(娯楽反応:Prec)」と述べ,質疑では「楽しそ うだし,じっとしてられないって感じでうずうずしてる」

と表現している。第3反応でも「女の子がジャンプして いる…舞台用のふわふわな衣装で…楽しそう (Prec,装 飾反応:Pom)」と多くの快感情を表出している。さら にV皿カードはMLCであり,「女の人で動きがあって生 き生きしている」という理由を述べている。また,事例 Jの女性ICはXカードであり,これも「お花畑の中を 女の人二人が遊んでいる…(Pnar)」という反応で快感 情が付与されている。女性ICに選んだ理由としては

「いうどりが鮮やかで春って感じ,躍動感,やわらかい」

とPositiveにとらえている。このように,女性に対する 良いイメージや感情を抱く面もあり,それを表現できる 力もある。しかし,Xカードの反応の中で 女の子

(D5) は 悪い妖精(D1) に近づかれており,やはり 男性に対して,もしくは女性であることに対して潜在的 な脅威(脅威反応:Athr)を感じていることが予想され

る。

 以上から,事例Jは,男性優位の社会でそれに甘んじ て依存的,二二犠牲的に生きる社会的立場の女性性を否 定する面と,女性的なものへのあこがれや女性としての 自己愛を抱き,女性性を肯定する面との両方を持ってい る。このように,性に対する肯定と否定のAmbivalent な感情を抱え,現在の自己は不安定な状態である。これ を象徴するSICではVカードを選択し,「自分には明確 なものがなく,弱々しい。でも今からがんばろうとして いる。羽を広げたら飛べる」と述べている。まさに,現 在は葛藤状態であるが,これからアイデンティティを確 立する意欲が感じられ,またその能力も備えていると思

(13)

われる。

③「低受容群」事例P

   一対人不安感が強く要求水準の高い事例一  始めに形式分析について特徴を述べる。初発反応時間

は6.9秒と早く,反応数が42,Contentが15と共に多く,

知的水準が高いようである。また,F%が19%と非常に 低く,また反応数に対してP反応が2個と少ないこと から,主観的,個性的で内的情緒の豊かさがうかがえる。

しかしその反面,F+%=100%, FC:CF+C=12:0,

FC =7個と豊かな情緒を過剰に統制し,抑うつ的な 傾向があると考えられる。感情カテゴリーは特に偏りも なく,バランスは適度にとれている。また,カードの最 終反応に形態のあいまいな岩,枯れ葉といった反応や同 じ領域で微妙に内容を変えた反応を繰り返すことが多く,

要求水準の高さが感じられる。

 次に,女性性受容との関連から内容を検討する。人間 反応は10個と多く,そのうち4個は非現実人間反応

(H/)であり,また,FVとVFを合わせると7個だされ ていることもふまえると。対人的距離に敏感で不安を抱 えやすいパーソナリティであることが予想される。1カー ドでは,第2反応で「悪魔っぽい」,第3反応で「機械 的な…ロボットっぽい」と曖昧な表現で人間反応を出し,

llカードでは「人が手と手を合わせている」と快感情で 始めながらも,「足が切断されて赤が血のような感じ

(欠損反応:Hhad,問接敵意不安反応:Hh)」と不安や 敵意を含んだ修飾で統制を崩している。さらに皿カード ではP反応の人間反応ではなく,W領域で人の顔を見 ている。また,このカードはMDCであり,「人の顔に 見える。壁とか見ていたら人の顔に見えてくる」と理由 を述べ,対人不安感情を付与させているようである。V カードでは,受動的・女性的態度を表す植物反応(Bot)

をだすが,やはり「枯れ葉(Agl)」と抑うつ的な修飾に なっている。VIカードでは再度植物反応(Bot)や音楽 反応(Mu)をだし,「今までのより薄くて明るい感じが

します」と安心したような発言もされている。その後,

孤カード,Xカードに人間反応が出されているが,性別 には触れておらず,全てのH反応を通しても性別に言 及したものはなく,女性性の乏しい印象,または,防衛 的に女性であることに触れなかったことが推察される。

 イメージカードについては,先に述べたMDCは皿カー ドで墨入不安を抱いていることが考えられる。一方,

MLCはXカードで「色がたくさん使ってある」と述べ,

反応内容が 舞踏会 海の中,南の島 と快感情を豊 富に出していることから,明るいもの,華やかなものへ の好意や憧れを感じさせる。男性イメージカードは,1 カードを選択し「絵に力がある,貸そう」と述べ,一般 的な男性像を理由にあげているが,第1反応では くも に対し「(くもは)嫌い」と嫌悪反応(Adis)を付与

し,第2反応は 悪魔 と脅威反応(Athr),第3反応 では人の形をみながらも ロボットみたいな と非人間 化している。女性ICではVIIカーードを選択し,「形がかわ いらしい。色が薄くて優しい,明るさを感じる」と肯定 的な理由を述べている。では,なぜ質問紙において女性 性受容得点が低かったのか。それは,所々に現れた対人 不安に加え,男性への脅威感情,見られる性である 女 性としての自己に対する要求水準の高さから理解でき るのではないだろうか。また,事例NのHCはIVカー ドで「仁王立ちしている人に見えて威圧感がある」と付 加反応をだし,やや否定的な表現となっている。MIC はD(カードを選び,「好きな色が入っているから」と Positiveな理由を述べている。最後に, SICは皿カード で,不安定反応(Aba1)を付与した「川辺を落ちないよ

うに渡っている動物」という反応と,「先に何があるか 分からないけど一人で渡っている自分」とを重ね合わせ,

現在の不安な状況と,これから自分の力で生きていく意 志を持っていることを同時に感じさせる表現となってい

る。

総合考察

 本研究では,現代の女子青年の女性性受容の在り方を,

質問紙法とロールシャッハ法によって検討した◎

 まず,女性性受容を「母性」,「消極的受容」,「身体的 受容」,「中核的受容」と4つの側面からとらえた時,全 ての指標において高得点を示す『高受容群』,ほぼ全て の指標において低い得点を示す『低受容群』,そして

「母性」や「身体的受容」は得点が高いが「消極的受容」

が顕著に低い『消極的受容低群』という3つの群が抽出 された。この『消極的受容低群』は,女性としての自己 の身体を受容し,母性も十分に兼ね備えているが,同時 に依存や甘えを低く評価し,伝統的性役割観にとらわれ ず自己実現や自立を目指す 現代型 の女子青年である

と考えられる。

 次に,一群について考察する。まず,高受容群におい ては,ロールシャッハ法から,自己の性を受け容れ,母 親,女性,自己イメージに一貫した肯定感情を持つもの が多く,安定した親子関係やパーソナリティが感じられ た。一方で,ステレオタイプな反応の多さや,反応に関 する説明の足りなさなど,やや未熟で依存的な部分があ るようにも思われた。これは,高受容群が質問紙におい て,女性は楽で得だという伝統的性役割観を晶群に比べ 受容していることに関連していると思われる。高受容群 の女子青年は,同姓モデルである母親を受け入れ,社会 の望むステレオタイプな女性像を受動的に受け入れてい ることで葛藤から自分を守り,内的安定性を保っている のかもしれない。

参照

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