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線文字B土地文書にみえる「神の奴隷(te-o-jo-do-e-ro/do-e-ra)」

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(1)Title. 線文字B土地文書にみえる「神の奴隷(te-o-jo-do-e-ro/do-e-ra)」. Author(s). 山川, 廣司. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. B, 社会科学編, 45(1): 23-35. Issue Date. 1994-10. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4537. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部B) 第4 5巻 第1号. 平成6年1 0月. ‐ l f Hokka i lo do Un i journa i i i ty ofEducat l t ve r s on(Sec onIB)Vo .45 ‐ ,No. oc tober ,1994. 線文字B 土地文書にみえる 「神 の 奴 隷 (te‐o-jo‐ doモ ーro / do-e- a) r 」. 山. 川. 鷹. 司. 北海道教育大学釧路校西洋史研究室. は じめに 1. 「神の奴隷」 につ いての諸説 紹介. (『フラタ ーニティ』 創刊号). 2. 文書に見 られる 「神の奴隷」. (以下本稿). 3‐ 文書の検討 おわりに. はじめに ミュケナイ 時代末期のビュロス王国では, 王宮を中心に奴隷が存在していたことは線文字B粘土板文書から確認され る‐ (Aa- , Ab- , Ad- シリ ー ズ). 王宮では奴隷たちは職種あるいは出身地毎に分けて記録されていたが, その他 それほど大規模ではないが 地方に , , も奴隷は存在していた‐ 文書から抽出される彼らは, 社会階層の底辺を構成した身分の低い者であったことは明らかで ある‐ 以上から, 王室奴隷を中心にピュロス王国内に奴隷制が存在していたことが確認できる‐ しかし 「奴隷」 につい て は, 自 由と い っ て も, 隷 属 と い っ て も, 相 対 的 な 概 念 で あ り, 「奴 隷 ( l s ave)」 を 意 味 す る 古 典 古 代 の 語 も, ミ ュ ケナ. イ時代にあっては恐らく 「下僕 ( t ) s e ・ van 」 と理解する位の緩やかな概念で考えたほうがいいのではないかとする チ ャ 1 ドウィ ッ ク の 指 摘 )を こも ある よ う に, ま た 彼 ら の 政 治 的 権 利 と か 社 会 的 身 分 と か に つ い て も わ か ら な い の で あま り厳 ,. 密に定義することはできない. と ころ で do-e-ro/do‐e‐ ra と い う 語 桑 と の 関 連 で, ビュ ロ ス 文 書 の 中 で 大 き な 問題 の 一 つ で あ り, 未 だ に 学 者 の 間 で. 意見の一致をみていない 「神の奴隷」 をどのように考えるかの難問がある‐ 筆者は 『フラターニティ』 創刊号で在来の 諸説をまとめたが, 本稿ではそれに引き続き実際の線文字B粘土板文書 (En- ,Eo- ,EP- ,Eb‐シリーズ) の分析を通し k k i i て, 私有地 ( otona tmena) の 範 曝 お よ び 公 有 地 (kekemenakotona) の 範 曝 か ら の 借 地 (onato) 保 有 者 と して 記 録 されている一群の 「神の奴隷 (洗面oaa秋o‘ / Bogスα‘ )」 身 分 に つ い て 考 察 した い‐ 1. 「神の奴隷」 についての諸説紹介 『フラターニティ』 創刊号で既に述べたように 在来の解釈は大きく2つに分けられる 第一は 「神の奴隷 は奴隷 , 」 . )とする立 身分としてではなく, 共同体成員として, またある場合には栄誉ある地位の者とし 自由民の範噂に数える2 , }とする立場である 場で, 第二は 「神の奴隷」 は非自由民, 奴隷である3 - その中で, 後者の立場にある太田秀通氏の説に ついて再度みてみたい‐ 4 ) .太田氏の見解 は,「共同体」 と 「階級」 という視点から土地文書の分析を通して導きだされたものである. 氏は 「神 の奴隷」 の規定に先立って奴隷とは一体何であるかを定義し 発生史的にみれば 社会発展の-段階で敵対的群団ない , , し部族共同体での戦争の捕虜を生かしておいて, 奴隷として使うことから生じたとし 人間を奴隷化する過程は父祖伝 , 来の血縁的, 地縁的, 共同体的結合のなかで育まれた自己の生産手段から暴力的に切り離されるか このような生活と , 生産の基盤そのものが破砕されるかして, しかる後に他人の所有とされ 他人の生産手段と結合され これによ て主 , っ , 人のための生産の労働力としていくのであり, それ故, 奴隷とは人格ぐるみ他人の財産となった人間のことであり 自 , 己の生産条件から切り離され, 第三者たる個人または集団の所有物となり その結果自己自身の主体性を持ちえない人 , 間のことであり, 従って共同体なき隷属者で, 主人によって大体において 「物」 として所有される階級の人間であると 23.

(3) . 山 川. 鷹. 司. 定義しなけれ ばならないとし, そして自己の共同体を持っているか否かが隷属的存在という点では同 じである奴隷と ディ スポティ ズム下の臣民たる農民との本質的差異であるとしている. また 「神の奴隷」 の性格について, 私有地の範 1 )彼らは男女別々に記録され, 保有面積にも男女によ 噂であれ, 公有地の範鴫であれ, 何らかの借地保有者であるが,( る差はなく, 貸し主もさまざまであることから,「神の奴隷」 としての身分内平等が基本であったとし, 男女の平等は彼 らが家族結合たる自然発生的共同体をなしていたのではなく, 自己本来の所属 していた共同体から分離され, 個別人身 2 )彼らの大部分の保有地は年間1人さえ養う 的に神殿に付属させられた寄せ集めの人為的集団であったと解釈される‐( に足りないものであり, かれらの食料の不足分を補う何らかの労働報酬があったと想定し, 神殿領や祭司保有地の耕作 の代償としてその日暮らしを保証され, 彼らの保有地からあがる収穫のうち一定の貢納分を差し引いた残りは, 彼らの 属する神殿の倉庫に収納されたのではないかと推測し, もしそうなら彼らは神殿所有の労働用具を分与され, その手入 3 )そうであるなら彼らは決 れとともに自己の保有地の耕作に使うことが認められていたのではないかと仮定している‐( して共同体の名誉ある成員ではなく, また農業生産者ではあるが村落共同体の下級成員たる小農民ではなく, 彼らの階 級的本質は奴隷であり, 奴隷所有者は神殿であった, と推断している. 奴隷の定義は非常に明快で, 説得的であるが, それを 「神の奴隷」 に適用する後段の部分について は今少し検討する ことが必要であろう‐ 以下で具体的に文書をみていきたい. 2. 文書に見られる 「神の奴隷」 imena ko tona保 有 1)、 Ki t En609=Docs.114. 〈a〉. )A 4〇 pa-ki-ja-ni-ja, to-sa, da-ma-te , ヱ , VIR 14 to‐so‐de, te‐re‐ta, e‐ne‐e‐S1 ,. 、 .l .2. GRA2 v l. wa-na-ta-jo→o, ko-to-na, ki-ti-me-na, to-so-de, Pe一皿o,. ‐3 .4. (En シリ ー ズ). 。‐da‐a2, 。‐na‐te[‐re] , e‐ko‐si, wa‐na‐ta‐jo‐jo, ko‐to‐na,. .5 に. GRA V I. は, ,. - - -時 h ,伽 達‐蜘 ,一 使命- ,-. ‐6. i‐ni‐ja, te‐o‐jo, do‐e‐ra, o‐ la‐to, e‐ke, to‐so‐de, pe‐mo GRA T 2 v 4 1. .7. e一*65一to, te-o-jo, do-e-ro, o-na-to e-ke, to-so-de, pe一皿o GRA T 2. ‐8. si-ma, te‐o‐io, do‐e‐ra, o‐na‐to, e‐ke, to‐so‐de, pe‐mo. GRA T 1. ‐9 GR A2T3. l no a, to-so-de, pe一 1 l 1 la, ki-ti-me- ‐10 a-ma-ru-ta-o, ko-to- .11 0‐da‐a2 e‐ko i. ▲. a‐]ma‐ru‐ta‐o ko‐to‐na, o‐na‐te‐re. ‐ ‐k ‐ ‐ t ‐ ‐d .12 so‐u‐ro te‐o‐io do‐]e‐ro, o na to, e e, o so e, pe mo ‐13 e‐do‐mo‐ne‐u. GRA v 3. te-o‐]jo, do‐e‐ro, o‐na‐to, e‐ke, to-so‐de, pe‐mo GRA T I. ‐o‐jo do‐]e‐ro, o[‐na‐to .14 e‐sa‐ro te. ]e‐ke[ to‐so‐de. ‐ ‐k ‐] ‐ t ‐ ‐d ‐15 wa‐na‐ta‐jo te‐re‐ta o na to, e e, o so e, pe mo. ]pe‐mo. GRA v 3. GRA T I. RAT I ] ‐ki‐ja‐na, o‐na‐to, e‐ke, to‐so‐de, pe‐mo G ‐‐ .16 e‐ra-ta‐ra ,‐Je「e‐ja do e ra pa GRA T I V 3 一 -k ] - t - -d -- ‐17 po-So-re‐ja te-o-jo do e ra ola to, e e, o so e, pe 皿o ‐ ‐k ‐ ‐] t ‐ ‐d .18 i‐ie「e‐ja pa‐ki‐ia‐na o na to, e e, o so e, pe mo. GRA T 3. i Sphag i ane ) 地区での土地保有に関する文書は4枚あるが, そのうち上記史料はそれ En‐に 分 類 さ れ るPa‐k ‐ ja‐ne( s 5 ) らの前文をなしていると考えられている‐ 未だに諸説がある da‐ma‐te (damanes) 40の 記 載 の 後, ク テ ィ メ ナ 保 有者 である1 4名のテレスタイの数が明記され, 以下各々のテレスタイの保有地の広さとそこからの借地人の借地面積を列挙 して い る‐ ま と め る と 次 の よ う に な る.. 24.

(4) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( t io‐d )」 e- o- o‐e-r o/d o- e-ra. テ レスタイ 名. クティメナ地面積. 借. 地. 人 名. 王 の 武 器 作 り Atukhos 2 Warn豆taios. v. 神の女奴隷 ln ia. l. vl. (約0.04ha ). T 2 v 4 (約0.64ha). (約4.84娩) 出 し分 4ha .‐ ”榊 ハ 1 二二 十 3.44 1鯵 留分. 2 Amarunt豆s. T. 神 の 男 奴 隷 E‐*65‐to. v2. (約0.48ha). 神の女奴隷 Si ma. T1. (約0‐24加). 神 の 男 奴隷 So‐u‐ro. v3. (約0.12旭). 神 の男 奴 隷E‐do‐mo‐ne-u. T1. (約0.24ha). 神 の 男 奴 隷 E‐sa冊ro. v3. (約0‐12ha). テ レ ス タ イ のWarDataios. T1. (約0‐2鉱も). T1. (約0.24ha). 3. (約5‐52ha). 女祭司の女奴隷 出 し分 2ー“ 04態 … 二 二” ー‐ 3‐48 1隠 留分. E‐ra‐ta‐ra. 神 の 女 奴 隷 Psoleia. バ野‐ ネス地区の女祭司 ス. 〈b>. 借地面積. T 1 v 3 (約0‐36ha) T3. (約0‐72ha). En74=Docs‐115. テ レスタイ 名. クティメナ地面積. I Ru‐*83‐o. T. [5. 借. 地. 人 名. 王 の 布 晒 し職 人Pe‐ki-ta. T 1 (約0.24ha ). 神 の 女 奴 隷 Smila. T 1 (約0.24ha). 神 の 男 奴 隷 ThきSeus. T 4 (約0.96ha). 神の男奴隷. T 1 (約0.24ha). (約 3‐6ha). 出 し令 1 妬 触 = f“ ★‐vv… 1‐64 1 留分 3 a. Ma‐re‐ku‐na. 神 の 男 奴 隷 Hektar. v 3 (約0 .12旭). 神 の 女 奴 隷 Ma-*79. v 3 (約0 ‐12脳). 神 の 男 奴 隷 B‐*65冊to. v l (約0 .04ha). 神の女奴隷 E-pa‐sa‐ 1 la‐ti. I. Aithioquos. 借地面積. T. 5. v. (約3‐76ha). T 2 (約0‐48娩). 神 の 男 奴 隷 Ku‐*63‐so. T 1 (約0.24ha ). 神の男奴隷 Ta‐ra2‐to. T1 (約0 .24旭). 男 祭 司 Westreus. T 5 (約 1‐2ha). 4. 25.

(5) . 山 川. 賢. 司. En659=Docs‐116. 〈c〉. クティメナ地面積. テ レス タイ 名. 借地人名. T1. (約0‐24ha). 男 祭 司 Westreus. T1. (約0.24膿). ) 神の女奴隷 Thur 透tis6. T9. 6旭) (約2 .1. 神 の男 奴 隷 Ta‐ra2‐to. v3. (約0‐12ha). 神 の男 奴隷. 2. T. 3. ) (約5.52ha. Quでlequhont豆s. 借地面積. Ra‐su‐ro. 貸 出 し分 2‐76脚. 保留分. 1 2.76 a 1. ) I T 8 (約4‐32ha. 4 腺 分 o6 篇 よ 3‐ 1 a ‐681. Admaos. 神 の 男 奴 隷 Ta‐ra2‐to. T 2 v 4 (約0 .64脳). 神 の 男 奴 隷 Ta‐ra2‐to. T 1 v 3 (約0 .36脳). ) h I T 2 (約2 a ‐88 出 し分 0‐36ha ニ ム” 2‐52 1脇 留分. Ahiqqueus. IT 1 v 3 (約2‐76ha) 出 し分 0‐12始 ニ 廿r 2‐64 1脇 留分. Ra‐ku‐ro. 神 の男 奴 隷 1‐ra‐ta. v3. (約0‐12脳). T2. (約0‐48脳). 3 T 2 (約 7.68 ha) 神の男奴隷 Aktaios. 8脳 貸出し分 0 ‐4. 保留分. 〈d〉. 7.2 1鯵. En467=Docs.117. クティメナ地面積. 借地人名. 借地面積. Ti‐qa‐io. 2旭) 9 8 T 3 (約1 ‐9. 記載なし. 記載な し. Po‐te‐u. ) 2 T 4 (約5‐76ha. 記載な し. 記載なし. ) I T 1 (約2.64ha. 記載なし. 記載なし. テ レス タイ 名. Pi‐r トta‐wo. 26. Ka‐ra‐*56[‐so. (陶工).

(6) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( t jo‐do-e「o/do‐ ) e‐ o‐ e‐ ra 」 Kekemena k otona 保 有. 2). (EP シリ ー ズ). 第二のカテ ゴリーに分類されるEP‐シリーズは, 共同体 (ダーモス) 管理下にある公有地の貸出しに関する文書で , 6枚ある‐ 〈a〉. Ep212. ケケメナ地保有者. 借地人名 神の女奴隷 R e sk厩. T6. (約1‐44旭). 神 の 男 奴 隷 E‐ri‐ko冊wo. v3. (約0‐12ha). T1v3. (約0‐36ha). 1. (約 2‐4脳). 神 の 女 奴 隷 E-pa‐sa-na‐ti. T3. (約0‐72ha). 神 の 女 奴 隷 Murtilis. T1. (約0‐24娩). 神 の 男 奴 隷 Kalwand「os. v3. (約0.12旭). 神 の 男 奴 隷 K0‐sa‐ma‐to. T1. (約0‐24膨). T1v 3. (約0‐36ha). T2. (約0.48ha). 神 の 男 奴 隷 Hektar 神 の 女 奴 隷 Korinsia d 夏mo s. 借地面積. (共同体). 神 の 女 奴 隷 ldomeneia 神 の 男 奴 隷 Ra‐su‐ro. 〈b〉. Ep=Docs.131. 1行目で借地に出されない公有地IT1 (約2 h ) は恐らく共同体の直接管理下に入っている土地を示していると a ‐46 7 ) 思われる . 以下の借地関係は下表のようになる. ケケメナ地保有者. 借地人名. 借地面積. *. Aithioquos. I T 4 v 3 (約3‐48ha). *. Warn夏taios. * Admaos. **(T 5). (約 1‐2ha). T4. (約0‐96ha ). v3. (約0‐12ha). v3. (約0.12ha ). T4. (約0.96ha). (王 の) 武 器 作 り Atukhos Tantalos. Pi-ke‐re-u. *. Ra‐ku「o. ^ ソ・. *. Ke‐ra-u‐io. ^ ソ・. d 亘PQO S. 27.

(7) . 山 川. 賢. 司. ta 身 分 の者 で ko‐to‐no‐o‐ko (土地 保 有 者) で あ る こと がわ か る. e‐re- * は他文 書か らt して いる が, Eb369か ら T 5 と 補 う こ と が で きる‐ 欠 損 ここ で は **は 〈c>. Ep539. 借地面積. 借地人名. ケケメナ地保有者 ?. 神 の 女 奴 隷 Pi‐ro‐na. ?. ?. 神 の 女 奴 隷 E‐ri‐qi‐ia. ?. 神の男 奴隷. ?. d 蚕mo s. ?. ?. d 喜1 1 no s [ ] re‐ma‐ta. 1‐na. ?. 神 の 女 奴 隷 Po‐so‐re‐ja * 神 の 女 奴 隷 Po‐so‐re‐ia. 神 の 女 奴 隷 Te‐qa‐ia 女 祭 司 の 男 奴 隷 Me‐re‐u. カマ地保有に与り, 奉仕 義務を果している [?] T2. (約0.48ha). カマ地保有に与っている が, 奉仕義務を果 してい な い。]v 2 (約0‐08ha). 女 祭 司 の 男 奴 隷 Te‐te‐re‐u 「鍵 持 ち」 カ ル パ テ ィ ア の 男 奴隷. Pu‐[]‐da‐ka. Amphimさdさsの 男 奴 隷 B‐ni‐to‐Wo. d a mo s. 短phimさdさsの 男 奴 隷 To‐wa‐te‐[‐u. Amphimきdさsの 男 奴 隷 Wi‐dwo‐i‐jo. 男 祭 司 Westreus. AmPh 、i m a d き s. *. ) (約0‐12ha. T3v3. (約0 .84加). T1. (約0.24ha). T8. (約1.92ha). T2. (約0‐48娘). 2T3. ) (約6‐96ha. 公 有 地 の etoniio保 有 (約10‐32姻) 4T3. ) を負うカマ地からの借地を保有 - z e 同人物は5行目で借地貸与者の欠損していて不明であるが, 奉仕義務 (wo. して いる.. 28. v3.

(8) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( t io- do‐e‐ro/do‐←ra)」 e- o‐ 〈d〉. Ep613十1131=Docs‐148. 借地人名. ケケメナ地保有者. 借地面積. E‐da‐e‐u( 称 号 か 部 族 名 ? ). 2 つ のka‐ma保 有 の う ち1. のNe‐qe-u. つの奉仕義務を果たして し・る。. 1OT 1. (約 24‐24ha). ka‐ma保 有 者 と し て ケ ケ. [ Ko-i‐ro ]?. テ レス タ ー ス. S百kan. ナメ地を保有し, 奉仕義 務を果している。 [?] 2つに関して奉仕義務が あるが, それを果してい な い。 10 [ (約24十 旭). 料理人. ]re‐u. k - a ma保有者と して 奉 仕 義務を果している。 IT2. (約2‐88鰯). ka-ma保 有 者 と し て 奉 仕 犠牲 係の祭司. ]ke‐re‐u. 義務を果している。 1. (約 2.4ha). ka‐ma保 有 者 と し て 奉 仕 Sa‐sa‐Wo. 義務を果している。 IT5. 神の男奴隷 E u ru wU La. (約 3‐6ha). ka-ma保 有者 と し て 奉 仕. 義務を果している。 IT3 pa‐de‐we-u (称 号 か 部 族 名) の Pe‐re‐qo‐ta. (約3‐12脳). ka‐maを 保 有 し,Si‐ri‐jo のra‐ke(割 り 当 て 地) を 持 っ て い る。 1. ko‐to‐no‐o‐ko(土 地 保 有 者). P a--r a--k o. (約 2‐4ha). ka‐maを 保 有 す る.. の Pa‐ra-ko. 1. 神 の 女 奴 隷 Po‐so-re‐ja. T 1 v 3 (約0‐36ha). pa‐de‐we-uのmiktEsで あ る K0‐tu‐r02. (約 2‐4ha). ka-ma保 有 者 と し て 奉 仕. 義務を果している。 T5. (約 1‐2ha). potnia女神 に 属 す るWe‐ra‐jo. T2. (約0.48旭). 神 の 女 奴 隷 K0‐pi‐na. T2. (約0 8晦) .4. 神 の 女 奴 隷 Mi‐ra. T1. (約0.24旭) 29.

(9) . 山 川. 鷹 司. Ep704=Docs‐135. 〈e〉. ケケメナ地保有. 借地面積. 借地人名 qe‐ia‐me‐no(宗 教 上 の 役 職). (約6脳). 2 T5. の0‐pe‐to-re‐u. 神 の 女 奴 隷 Huamia. 女 祭 司 のke‐raを 保 有す る. T I V 3 (約0‐36ha). 女祭司. Eritha. ki「i‐te‐wi‐ia (宗 教 上 の 役. T4. (約0‐96膿). IT9. (約4‐56ba). 職にある女性の階層) d 喜1 1 no s 女 祭 司 Eritha. Erithaは神 のetoniio と主 張 し,d覆mosは 公 有 地 か らの. 借地の保有としている。 3 T 9 (約9 ‐36脚) 「鍵 持 ち」 Karpathia. 果すべき義務のある公有地 を保有し, その2つに対 し て義務を負っているが, 果 して い な い。. くf>. Ep705=Docs‐143. ケケメナ地保有. d三mO S. 30. [ ]. 借地人名. 借地面積. 神 の女 奴 隷 Ma-ra3‐Wa. ) T 2 (約0 h a .48. 神 の 男 奴 隷 Ka‐ta‐no. T 2 (約0 8脳) .4. 神 の 男 奴 隷 Du‐ni‐io. T1 (約0 ‐24鰯). 神 の男 奴 隷 E‐sa‐ro. v2. (約0 .08厩). 神 の 男 奴隷 Ka‐ra‐u‐du‐ro. T 2 (約0 8鰯) ‐4. 神 の 女 奴 隷 To‐ro‐ia. T1 (約0 .24腺).

(10) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( te- ) io‐do- o- e- ro/d o-e‐r a 」. 神 の男 奴 隷. 0‐re-a2. 神 の 男 奴 隷 Hekt6r. T 2 (約0 8脳) ‐4. 神 の 男 奴 隷 Pu‐ko‐wo. T 2 (約0.48ha ). 神 の 女 奴隷 Ta‐ra‐mi a. 3.. ) v 2 (約0.08ha. T IV [. (約0‐24十ha). 文書の検討. これ らの 文 書 は ピュ ロ ス 王 国 の 聖 域 が あ っ た P畔d i j anes ) で の 土 地 登 記 記 録 で ある が, こ こ は ピュ ロ ane 地 区 (Sphag. ス主要9地区の4番 目に挙げられる重要な地域で, 王国の宗教の中心地であった‐ 従って これは宗教に関わる特殊な , } 地 域 の記 録 で ある. ヴ ェ ソ トリ ス . チ ャ ドウィ ッ ク8 も 指 摘 して いる よ う に, こ の 特 殊 な 例 を も っ て 王 国 内 の 他 の 地 ,. 域に一般化することは危険である‐ ここでの土地保有者たちも女祭司, 男祭司 犠牲係の祭司 鍵持ち」qe - j -me ‐no, a , , k i i t - ‐ … j r e-wi a , またそれらの奴隷たちなど宗教関係者が多い. 恐らく彼らは宗教上の奉仕の故に公有地その他の土地保 有に与り得たのではないか‐ と ころ で彼 ら の土 地 保 有 形 態 は ko tona k i imena と ko t t onakekemena の 2 つ に 大 別 さ れ る‐ 更 に細 分 化す れ ば, 一 般. 的には私有地とみなされている ktoina k imena t , 土地保有に伴う奉仕義務が明示されていない, 多分奉仕義務が伴って いなかったと思われる e‐to-ni - j o, r a-ke, ke「a が あ り, 他 方 土 地 保 有 に 伴 う 奉 仕 義 務 が 明 示 さ れ て い る ka-ma 保 有 ,. 9 ) そ して damos が 所 有 主 体 で ある 公 有 地 =kto i na kekesmena が 図 式 化 さ れ る .. En- シリ ー ズ では, 前 文 に あた る En609 文 書 で14人 の テ レス タ イ と 記 さ れ て い る が 実 際 の 文 書 か ら は13名 しか 検 出 , o } でき な い‐ 14番 目 の テ レス タ ー ス に つ い て 太 田 氏 l は, E。444 の pa‐da- j e-u を 想 定 し, Eo444文 書 は En609, 20-26行. に対応し, En659 ‐Xと名付ける文書で , 1-6行に対応するのは何らかの事情で消失し, 未だ発見されていない仮にEo 1 )も年度途中で1名 あったと推測している. チャ ドウィック1 死亡したという可能性も考慮しながら, むしろ最終文書作 成時に1 番目が故意に削除さ 4 れたと考える方が事実の説明がつくとしている. 恐らく当初は14名のテレスタイが記載さ れていたと思われる. 彼らはk k i imenaを保有し, それを自己経営の分として自ら管理する他に 借地 (転借) に出し t . , ていた‐ そこでの借地人のなかに, 王の職人や祭司, 女祭司 鍵持ち 女祭司の奴隷 個人所有の奴隷と並んで問題の , , , 「神の男・女奴隷たち」 が列挙されている ‐ En609 ,3の テ レス タ ー ス, ワ ル ナ ー タイ オ ス は ク テ ィ メ ナ 地 を 借 地 人 に 貸 し出す 一 方 で, 自 ら も 同 じテ レス タ ース で あ っ た ア マリ ュ ソタ ース のク テ ィ メ ナ 地 を 借 地 して い る‐ そ の 他 Ep3013 で共 同 体 ダ ー モ ス か ら の 公 有 地 ケ ケメ ナ 地 を ,. 借地している. 文書に記されている借地関係を整理すれば , En609 Ep301. ク ティ メ ナ 地 保 有 2 Amaruntasか ら の 借 地. T. I. 公有地借地. T. 5. T. 6. vI. 借地人への貸し出し分 T. 5. v. 5. (約 1‐4旭) vl. (約6‐28ha). 自己経営の耕地保留分 2. v2. (約4‐88ha). となり, ワルナータイオスは私有地及び公有地からの保有地・借地合わせて約628 aの22%に当たる約1.4脇を4人の ‐ h 借地人に貸し出し, 残り4 8 8 娩を自己経営の分とし て管理していた 一文書 同 でのもうひと りのテレスタース であるア . ‐ マリ ュ ソタ ース は2 T 3 の ク テ ィ メ ナ 地 を 保 有 し I T 6を手許に 約3 0%に当たるT7を7人の借地人に貸し出して , , いる‐ 同 じよ う にEn74の テ レス タ ー ス, アイ テ ィ オ ク ォ ス は ク テ ィ メ ナ 地 I T 5 v 4 を 保 有 する 傍 ら E 301で 共 同 体 か ら , P 公有地I T4 v 3を借地し, 総計2T9v7 (約7 1 6 娩 ) の保有地のうち約 5 0 %に当たる I T5 (約36 h) を6人の借 .. ‐ a. 地 人 に貸 し出 して い た‐ Pi ‐ke‐re‐u も 2 T 6のクティメナ地保有の他 EP 1で共同体からの公有地 (面積不明) を借 , 30 31.

(11) . . 山 川. 鷹. 司. 地し, 3人の借地人にT 8 を 貸 し出 して い る. to‐no-o-ko (土 地 保 有 者) と して 約 En659 でも ク テ ィ メ ナ 地 保 有 者 ク ェ ー レー ク ォ ソタ ー ス は, EP613十1131で ko‐ 2Ahaのカ マ 地を 保 有 して い る‐ ま た ク テ ィ メ ナ 地 保 有 者 ア ドゥ マ オ ス はEP301で 共 同 体 か ら の 公 有 地 T 4を借地し, 計 2T 2 の うち T 2 v 4を借地人1人に貸し出し 残 りを 自 己 管 理 して い た‐ アイ ケ ウ ス も I T 2 の ク テ ィ メ ナ 地の 他,. 7 Ep30 1で共同体からの公有地T6を保有し, そのうち8%に当たるT1v3を貸 し出 し, 残りを自 己管理 している‐. 公有地から Ra‐ku‐r o も 同 様 の土 地 保 有 を して い る‐ この よ う に テ レス タイ は 私 的 土 地 = ク テ ィ メ ナ 地 の ほ か 共 同 体 の. の借地を合わせて耕作地を保有し, 自己経営以外に1~数名の借地人に貸 し出してし・た‐ クティメナ地保有者であるテ レスタイは, その役職や身分は不明瞭であるが, 一般的には王国の上層身分に属してい ta‐ra‐ko‐r o と い う 意 味 不 明 の 職種 た有力 者 たち で あ っ た と み ら れて い る‐ しか し En74 の Ru‐*83‐o は Eo276 でte.‐ i ta-wo ‐ ‐r が記 され, そ の 他 En659 の ア ク タイ オス は Eo269 で ka‐na‐pe‐u (布 晒 し職 人) で ある と, ま た En467 の Pi j o)」 と 記 さ れ て い る‐ そ れ ら が王 国 内 で他 に 比 して 重要 な e-r o‐ は Eo371 で 「王 の 陶 工 の (ke「a‐me‐wo wa‐na‐ka‐t. 職業であり, それ故職人たちのなかでも有力であったと言えるか どうかわからないが, 恐らく彼らは実際の職人という 2 1 ) よりは, それらの職業集団の長という象徴的地位にある者と推測される . 彼らは王への奉仕の代償として これらの± 地保有に与ったのではないだろうか‐ 少なくとも単なる職人ではないと言えよう‐ このように ピュロス王国での土地保有形態は, 私的土地保有地であるクティメナ地と共同体の公有地が混在し, 双方 より借地保有したテレスタイ がそれを自己経営分として管理する他, 借地人に転借 していた. それらの借地人には, 前 述のようにテ レスタイ や王の武器作 り, 布 晒 し職 人な どの 職 人, 男 祭 司, 女 祭 司, 宗 教 役 人 qe‐ja‐me【no や i i k te-wi ja, 「鍵 持 ち」 を は じめ, ポ トニ ヤ 女神 に 属 す る 者 と か 女 祭 司 の 男 奴 隷 や ア ソ ピメ ー デ ー ス の 男 奴 隷 な ど 幅 ‐ ‐ ‐r. 広い身分階層に及んでいる‐ そしてそれらと並んで 「神の男奴隷・女奴隷」 が列挙されていた‐En-,EP‐シリーズに記 1 3 ) 6名であるが, その個々の借地面積もv l (0.04態) か ら I T 3 (3.1 3名の計4 録された 「神の奴隷」 は, 男23名 .女2 ) と概して小規模であった‐ その分布は次の表のようになる‐ 2h a. v. l. ( 0‐04ha). v. 2. (0‐08ha). V. 3. v. 4. 0.12加) ( (0.16鰯). (0.24脳) T 1 v [(0‐24十α 娩). T. 1. 6鰯) T 1 v3 ( 0 .3 T. 2. (0.48ha). 借. 地. 数. 積. 面. 0‐64ha) T2v 4 ( (0‐72ha) T 3 T. 4. T. 5. ) (0.96ha (1‐2ha). T. 6. (1‐44旭). IT3. (2.4ha) (3‐12脇). 1. 不 明. 計. 借. 地. 数. h U ← ハ ′ ム ーム ー← .← ハ ^ / ム ー1 1. 積. 5 1 6 1 1 2 8 1 1 1. 面. 60. 借地数は総計60であるが, 1人で複数から借地している者もいる‐ 例え ば最高の借地面積を保有する. 「神の女奴隷」 コ. imena か ら T 5 (En74 u ‐ke‐r e‐u の k k i imena か らT 5 (En74 i t th ,24), ‐頗t リ シア ー は, Ai oq os の k ,18), Pi ‐. 共同体. 6 )は して い る. 同 様 に Mi -ra (En74 ,1 kekemena か ら1 (EP212 ,4/EP613 のk ,4) を 借 地 し, 計 2 (4.8鰯) を 保 有 . ) は計 T 3 ja (En609 i(En74 t ,12 ,45/EP613 計 T 2, E-pa-sa-na‐ ,17/EP539 ,5) は計 T 5, Po‐so‐re‐ ,13/Ep212 to (En74 ) は 計 T 5, E‐*65‐ , 十 α, ま た 「神 の男 奴 隷」 に つ い て も ヘ ク ト ー ル (En74 ,8 ,3/EP708 ,17/EP212 ,7 4 7 0 5 6 0 9 3/E ) E E ( ‐ 3 4 o n , P , 9/En607 ) は計 T 2 v l, Ta‐ra2‐to (En74 ,610 ,1 ) は 計 T 5 v , ‐sa r ,15/En659 ,7 して い る 地 か ら 借 方 地 双 ‐ ヴェ ソ は計 T 1 v 2, Ra-su‐r o (En659 ,10) は計 T 3を ク テ ィ メ ナ 地 ・ ケ ケメ ナ ,3/EP212 1 4 ) こよ れ ば, T I=o h aでは年間1/6人分を養うに過ぎない数値で, 彼らが家族を トリ ス . チ ャ ドウィ ッ ク の 算 定 を ‐24 構成していたなら, これだけで生計は立てられない. 前述のように奴隷制は, 王室を中心に展開していたが, 王室奴隷 以外にも例えば手工業者に所属する奴隷や地方の冶金師集団の中で彼らの補助労働としての奴隷の存在が確認される. 彼らは所有者名の属格で表されているが, ここでの 「神の奴隷たち」 は個人名 が明記された農業に携わる農業生産者た 32.

(12) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( ‐ te jo- do‐e‐ro/do‐e‐ra)」 o-. ちであり, 公有地・私有地から借地する小土地保有者であった‐ しかも彼らが言及されているのはスバ ギアーネス地区 関係の文書のみで, 他地域の文書にはみられない. この身分は宗教に関係したこの地区の特異性にかかわって存在した ものであり, そのような性格か ら彼らの土地保有も宗教との関わりから生ずるものと仮定できる またこの保有面積の ‐ 小規模さは, これで以て彼らの生計が営まれていたというより, スバ ギアーネス地区の重要な役割であっ た聖域の維持 のための奉仕と考えることができないであろうか‐ 恐らく彼らの生計は別途の耕 作により保障され ていたと推測され る.. 1 5 太田氏 )は, 彼らの保有面積の少量さから, 彼らの食料の不足分を補うに足りる何らかの労働報酬があったに違いな い と し, 男 祭 司 ウ ェ ス ト レウス が 共 同 体 か ら 借 地 して い る 2 T 3 (EP539 13) や 女 祭 司 エ リ タ が エ トニ ョ と 主 張 して い , る 3 T 9の自ら耕作した土地としては広すぎる保有地から. , それら神殿領や祭司保有地の耕作の代償として, その日暮 しを保証されていたのではないかと推測し, 保有地を耕作するための労働用農具についても 神殿所有の用具を分与さ , れ, その手入れとともに自己の保有地の耕作に使うことを認めれていたとし そのことから彼らは決してこの共同体の , 名誉ある成員ではなく, また農業生産者ではあるが村落共同体の下級成員たる小農民ではなく 自己の共同体から分離 , されて, 神殿のため生産の客観的諸条件の一つとされた隷属者 であり 彼らの階級的本質は奴隷であり 奴隷所有者は , , 神 殿 で あ っ た と して いる.. 確かに男祭司ウェストレウスや女祭司エリタ の保有地はずば抜けて広いが それを 「神の奴隷たち」 が耕作していた , か否かは文書の上からはわからない‐ もし 「神の奴隷」 が耕作に従事していたならぼ 借地人からの転借地ということ , になろう‐ しかし 「神の奴隷」 が借地しているのは テ レスタイのクティメナ地や共同体の公有地からであり 男祭司 , , や女祭司も 「神の奴隷」 と同じくそれらからの借地人であって 彼らに 「神の奴隷」 が隷属 しているとは 確認できな , い‐ 文書からは祭司と 「神の奴隷」 が支配・従属関係にあるとは言えない また彼らの生産手段も神殿に依存していた . か否かも分からない‐ 従って, 土地保有関係から 「神の奴隷」 を階級的本質から奴隷と規定することは早計ではないだ ろう か‐. 6 )は 「 さらに太田氏1 , 神の奴隷」 は男女ともに肩を並べて, 神殿共同体と思われる一種の共同体の中で, 差別なく生き ており, また彼らは男女別々に記録され, その保有面積にも男女による差がないことから 身分内平等が基本にあり , , そのことは彼らが家族の結合たる自然発生的共同体を成していたのではなく 本来自己の所属していた共同体から分離 , され, 個別人身的に神殿に付属させられた寄せ集めの人為的集団を成していたことを示すと解釈している 確かに彼ら ‐ は人為的に作られた農業生産者層である可能性は考えられる‐ しかし自己の所属していた共同体から分離されていたか 否かは不明である. このことも文書からは読み取れない. もし 「神の奴隷」 の階級的本質を奴隷とするなら, 他の文書では属格 ( ) で示され (ex gen . .Es 650 We‐da‐ne‐wo do-e冊ro 「ウェ ダネウスの男奴隷 ) 奴隷自身の名前が明記されないことの説 が 明 つかない. しかしここでは, 」, , Bp539 7.. 女 祭 司 の男 奴 隷. Me‐re‐u. 8‐. 女 祭 司 の男 奴隷. Te‐te冊re‐u. 9.. 鍵 持 ち カ ル パ ティ ア の 男 奴 隷. Pu‐[]‐da‐ka. ll‐. A‐pi-me÷deの 男 奴 隷. E-ni‐to‐wo. 12.. A‐pi-me‐deの 男 奴 隷. Wi‐dwo-トjo. Pa‐ki‐ja‐neの 女 祭 司 の 女 奴 隷. E‐ra‐ta‐ra. Bn609 16‐. と名前が明記されている‐ このことか らも 彼らは或いは下層民 であった可能性はあっても 奴隷であ たとは言えな , っ , い‐ 大胆に仮説するなら,「神の奴隷」 は聖域のため耕作する特殊な農民集団で 自らの保有地を耕作する以外に この , , 称号で神殿の保有地を耕作し, そこからの収穫物は聖域の収入物となり 聖域の管理・維持の必要に供された 彼らに , ‐ とって 「神の奴隷」 の称号は名誉なものであったろう‐ そしてその称号 は家族全体に与えられるというよ り その中の , 個人に付与され, 人為的に配分された結果, 男女間の同等性がみられるのであろう 各家族から寄せ集められた男女は ‐ 「神の奴隷」 の称号の下に人為的平等集団を構成した 従 て筆者は 彼らは奴隷で はなく, 一般の農民=共同体成員 ‐ っ , で あ っ た と 考 える. も し彼 ら が 奴 隷 で あ る とす る な ら テ レス タイ ワ ル ナ ー タイ オ ス (En60915 ), ス バ ギア ー ネ ス 地 , , 区の女祭司 (En60 918), 王 の 武 器 作 り A‐tu‐ko (En6095), 王 の 布 晒 し職 人 Pe‐ki -ta (En743 ,23), 男 祭 司 ウ ェ ス ト レウス (En7041 6 ), 女祭司エリタ (EP7 04 3 5 ) など王国内での上層身分を構成 していた有力者たちと並んで借地して. ,,. 33.

(13) . 山 川. 鷹. 司. l の r は, 彼らは神の儀式において何らかの重要性を持っていたは いることの意味について説明がつかない‐ ベネット, J ずであり, 奴隷ではなく, 恐らく社会階層 としては下級の者であれ, 礼遇された共同体成員であったと指摘している. ) を母と i jadoモーra -wi - 他方, An607 で Me‐ta-pa (ピ ュ ロ ス 主 要 9 地 区の 2 番 目) で, 奴 隷 を 父 と し, 神 の 奴 隷 (d. 「 する女3人が記録されている‐ 彼らは名前もなく, これは奴隷であったろう. しかし 神の奴隷」 は, 農業生産者と し て小土地保有に与り, 恐らく生産用具も所有して宗教関係の重要地区スバギアーネスのため農業生産に励んでいたので はないだろうか‐ そして借地面積の小さいことばそれ以外からの収入がありえたことを想定させるのは前述の通りであ る. 大きな違いは 「神の奴隷」 は名前を明記されているということである‐ おわりに , EP‐シリーズを取り 以上 ピュロス出土の粘土板文書のなかで 「神の奴隷」 が集中的に記録されている土地文書 En- 上げ, 彼らに関する記録を網羅的に抽出 し, 検討してきたが, 次のようにま とめることができる. 第1に,「神の奴隷」 の存在は ピュロス王国全体に認められるわけではなく, ピュロス主要9地区の1つであり, 宗教 活動の中心地となっていたスバギアーネス地区の土地保有に集中 しており, 王国の中心地 ピュロスに関係する文書では 彼らは全く確認できない. この地区での土地保有者は恐らく宗教との関わりで保有に与り得たのであり, そのような土 「 地からの借地人として 「神の奴隷」 は記録されているのであった. その意味で特殊な事例であり, それを以て 神の奴 隷」 の存在を王国全体に一般化することばできない‐ 第2に, 公有地=ケケメナ地の大部分は共同体 ダーモスの管理下にあったが, 一方私有地=クティメナ地と公有地に またがっての土地保有に与ったのはテレスタイと呼ばれる上層身分の人たちであった‐ そして彼らからの借地人の中に h ) や職人集団の長の役職にある者 (王の陶工, 布晒し職人) らがいた。 テ レスタイは地方 i k ( ) t s は土地保有者 ( okho o no の土地保有に関係していたが, 王宮管理の文書に記載されていることから, 王権によって土地保有を認められていたと 推測される‐ そして彼らはそれらの保有地を自己経営分と借地に出す分とにわけていたが, その比率は保有地の6%か ら96%まで個々人で異なり, 一定ではなかった. 第3に, スバギアーネス地区に特有のものであるかもしれないが, テレスタイの保有地の借地人 (転借人) として, im記さ ) 所有の奴隷と並んで 「神の s ex ‐Amph 祭司, 女祭司, 鍵持ちらの宗教関係者, 王の職人, さらに女祭司や個人 ( 奴隷」 が記録されていた‐「神の奴隷」 の中には複数の土地保有者から借地している者もいたが, 概してその借地面積は 小規模で, これだけの耕地では生計を成り立たせることば不可能 であった‐ 「 第4に, 一般に奴隷は, 所有主名の属格 で示され, 奴隷自身の名 前は記されないが, 神の奴隷」 はその称号とともに 自分の名前が明記されている点で奴隷とは異なっている. また彼らは農業に携わる農業生産者であり, 公有地・私有地 保有者の土地を転借する小土地保有者であった‐ 「 第5に, 彼らの保有地借地に関わる男女間の同等性は, 彼らは何らかの方法で人為的に寄せ集められ, 神の奴隷」 の ば神 称号の下で平等集団を構成 していたことを想定させる. 従ってこの組織は自然発生的に生じたものではなく, 例え ば 殿の維持・管理に必要なものを供するために人為的に作り出された農民=共同体成員であったと思われる. とすれ , 「神の奴隷」 は, あるいは共同体の下層をなす成員であったかもしれないが, 奴隷ではなかったと結論することができ よ う.. このように ピュロス王国では, 土地保有をめぐって込み入った借地関係を示 しているが, ここで扱った土地文書はス 「 バギアーネス地区という特殊な地域のものであり, 粘土板の数も限られていた. このような中での研究の困難さは 神 「 の奴隷」 の身分を規定するためには, あまりにも史料が少なすぎるということである. 神の奴隷」 が他地域にも存在し たかどうかも問題になるが, 現在のところ文書は発見されておらず, 今後発見される可能性も極めて少ないので, 現時 点での史料状況のなかではこれ以上の検討は困難 である‐ とはいえ 「神の奴隷」 の存在を ピュロス王国内で見出だすこ とば難しいにしても, ミュケナイ ・ギリシア以外の他地域において 「神の奴隷」 に類似する集団を比較史的視点から検 討することも必要になってくるが, それについては今後の課題としたい.. 34.

(14) . 線文字B土地文書にみえる 「神の奴隷 ( te‐ jo‐d )」 o- o‐e‐r o/d o- e‐r a. 〈註〉 1)J i dge UP, 1976, p‐78- ‐Chadwick,rたe Myceれαeqれ wo“〆, Cambr 「 2) 拙稿, 神の奴隷 ( t -o- j e ) について-その1-」『フラターニティ』 創刊号, 明大西洋史OB研究会 19 odo‐ e- r o/do-e- r a , 88年, 25一27頁‐ 3) 同掲論文,27-29頁. 4) 太田秀通,『東地中海世界-古代におけるオリエントとギリシア-』 岩波書店 1977年 4 , , 9一54頁‐ :同,「奴隷概念の再検討」『思 64L I977年, 9‐14頁‐ 想』 N o .. 5) 拙稿, 「ミュケナイ時代の家と社会 (その2) 993年,1‐ 18頁‐ 」 『史流』33号,1 6) En659 ta の ク テ ィ メ ナ 地 か らの 借 地 を 記 載 して い る が, こ こ で は Pe冊 e-qo- ,5 行 目 で は, テ レス タ ー ス Qe-r ta pe-qo- taか re-qo‐. らの借地であると特記している‐ pe t -qo- 2頁を参照のこと‐ aについては同掲論文,1 『 7) 太田秀通, ミケーネ社会崩壊期の研究-古典古代論序説-』 岩波書店 19 s , 68年,195頁 (以下 『ミケーネ』 と略記) ;Doc ‐ .,p 448‐ 8) Docs-, p‐443. 9) 太 田, 『ミ ケ ー ネ』, 206頁. 10 i ) H‐ ota,DAin the Pyl l t i f En609 - Pape to an Land-Tab t e sand Res ra ono r sf l i orthe 17th Ei rene-Confe t Be rence a r n ,11-15 Augり1986- 『国際関係学研究』 第5号 東京国際大学大学院国際関係研究科 1 9 2年,pp‐10 8一110 , , , 9 ‐. 11 ) Chadwi Zぬ p‐112‐ ck ,tん8 Myce刀α釦れ woγ 『ミ ケ ー ネ 12 f )c 太 田 1 7 7頁 』, ‐ , ‐ 1 3 ) M.Lejeune i l i f l t es Mycen Z ensre ≠oγ a saux Esc aves 9 s 59,p α 8,1 , Text , ″f ‐140では21名 を算定 している‐ ま た En74 ,6 では Ma→ re-ku-na は 男 性 (do-e- r o) と 記 さ れ て い る が, Eo276 で は女 性 (do冊e-r ) で記 さ れ て い る. a 14) Docs‐ , p‐237‐. 15 ) 太田秀通, 『東地中海世界』,54頁‐ 16 ) 同掲書,51-54頁‐ 17 ) E.L. Bennet tJ l de f Py l r so r os ‐ , The Landho , AノA60, 1956, pp‐ 130一132‐. なお本稿は平成4・5年度文部省科学研究費補助金 (総合研究A:課題番号04 301047 ) による研究成果 の一部 であ る‐. 35.

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