• 検索結果がありません。

論 文 小学校外国語活動における英語音声データベース構築が児童の興味 関心へ及ぼす効果 アハ ート 西村和貴 下村勉 抄録小学校の外国語活動においては, その学びを通して興味や関心を高めることは大切なことである 本研究では, 児童になじみの深いカタカナ英語に注目し, 英語音声データベース構築に焦点を

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "論 文 小学校外国語活動における英語音声データベース構築が児童の興味 関心へ及ぼす効果 アハ ート 西村和貴 下村勉 抄録小学校の外国語活動においては, その学びを通して興味や関心を高めることは大切なことである 本研究では, 児童になじみの深いカタカナ英語に注目し, 英語音声データベース構築に焦点を"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

小学校外国語活動における英語音声データベース 構築が児童の興味・関心へ及ぼす効果

西村和貴・下村勉

抄録

小学校の外国語活動においては,その学びを通して興味や関心を高めることは大切なことである。本研究では,児童になじみ の深いカタカナ英語に注目し,英語音声データベース構築に焦点をあて実践を行った。実践の結果,英語の発音への理解や興味 が有意に増したことが確認できた。また,コンピュータで自分の声を聞いて発音を向上させようとしたり,データベースを使い クラスメイトの英語に学ぼうとしたりする様子が見られた。

◎キーワード 小学校外国語活動,学習者参画型,音声データベース

The Effect of English Voice Database Construction on interests and concerns for Foreign Language Activities in Elementary Schools

Nishimura Kazuki and Shimomura Tsutomu Abstract

It is important for Foreign Language Activities in Elementary Schools to increase interests and concerns through learning.This study used computer and networks for elementary students’ focusing on voice database construction and practice with well-known English loanword cognates.From this study, we found that students’ understanding of English pronunciation and interest were significantly increased.

Additionally, we also found that students used their own recordings for self-evaluation, and to learn from others recordings by using the database.

Keywords:Foreign language activities in elementary schools, Leaner participation, Voice database

1

はじめに

平成

23

年の小学校学習指導要領改訂に伴い,小学校 では外国語活動が実施され,多くの学校では文部科学省 作成の補助教材「英語ノート」(平成

24

年度より「Hi,

friends!」が配布されている)を用い,歌やゲームを

中心とした英語活動(以下,外国語活動を含め「英語活 動」とする)を行っている。このような英語活動は,小 学校段階での英語の導入として,児童が親しみを持って 英語に触れることができ,多くの児童に歓迎されてい る[1]。しかし,小学校の英語活動において児童が

Can- do

評価を用いて自己評価したり,ポートフォリオを導 入したりして自己の学びを把握し,知的に学ぶ意欲を持 った自律した学習者へ向けた学習活動の重要性も指摘さ れている[2] [3]

英語の学習において自己の英語の音声をモニタするひ と つ の 方 法 と し て,日 本 で は,1960 年 代 よ り

LL

(Language Laboratory)など教育機器を利用する方法が 取られてきた。今日では,CALL(Computer Assisted

Language Learning)と呼ばれる ICT

を用いた方法が導

入されている。高等教育においてはネットワーク

CALL

を用い,Web上でシャドーイング(教師が発した外国 語の音声の後に学習者が発していく)を行い,学習者が 自己評価を行ったり,相互評価したりする実践が見られ るようになってきた[4]

近年,小学校においてもコンピュータなどの

ICT

機 器が導入され,Web上で画像やテキストを共有,交流 することで学習への関心や意欲を高めたり,児童が静止 画データベースシステムを用い,画像を共有し,自己評 価や相互評価を行ったりして興味や関心を高める実践は 多くみられる[5] [6]。しかし,小学校の英語活動におい て児童自らが音声をデータベースで共有し,それを活用 する実践は見られなかった。そこで,筆者らは,英語音 声 の 学 習 活 動 を 支 援 す る 道 具 と し て,下 村 ほ か

(2004)[7]が提案する学習者参画型データベース(学習 者自らが学習の成果をデータベースに情報発信して蓄積 し,その成果を交流して学習者全体の学習の質を向上し ようとする取り組み)に着目し,英語活動に活用する試 みを行ってきたが[8],そのデータベース構築が興味・

関心に及ぼす効果について検討するまでには至っていな い。

そこで,本研究では,小学校の英語活動において

ICT

連絡先:514-0815 三重県津市藤方1627 藤水小学校

Contact to:Fujimizu Elementary School 1627 Fujikata, Tsu, Mie, 514-0815

(2)

を用いた児童主体の協働的な英語活動を目標として英語 音声データベースを構築する活動を行い,その活動が児 童の興味・関心に及ぼす効果について検討することを目 的とする。

2

本実践に用いたデータベースの概要

2.1

実践で使用したデータベース

今回使用したデータベースはパール(Perl)で書かれ た

CGI(Common Gateway Interface)Data Cabinet

[9]

である。このプログラムは,JPEGや

GIF

などの画像ア ップロード用データベースであり,投稿者が付けた付加 情報(データの分類情報)と共に投稿した内容が,時系 列に蓄積されていく。画像が手軽に登録できる点,その 付加情報をもとに投稿内容が検索できる点,投稿内容に コメントできる点が特徴である。このプログラムを音声 や動画などの各種メディアを扱えるよう,筆者がカスタ マイズした。

2.2

実践で使用したデータベースの機能

トップ画面は,フレームにて左側に新着情報を,右側 に検索画面を表示できるように

2

画面にした(Fig. 1)。

トップ画面左フレームに新着投稿が提示されるので児童 は新しく登録された書き込みをすぐに確認できる。

検索結果はトップ画面右フレーム内に表示され,アイ コンをクリックするとメディアプレーヤーなどが開き,

音声などを聞くことができる。検索は,トップ画面右フ レームの検索画面上の下線文字をクリックする。チェッ

クボックスにチェックを入れて,複数項目を検索するこ とも可能である。また,キーワードを入力し,検索する こともできる。

登録は,録音したファイルと英文の日本語訳にプルダ ウンメニューから「むずかしさ(ふつう,ややむずかし い,やややさしい,むずかしい,やさしい)」,「ことば の種類(たべもの,もの,あいさつ,ようす,色)」,

「文の種類(すき・きらい,する・したい,たのむ・た ずねる,食べる・飲む,あいさつ,せつめい)」の検索 付加情報をつけて入力する。閲覧は,その付加情報に基 づいて検索をかける。これらのカテゴリー情報は,スク リプトを書き換えて変更したり増減させたりできる。

コメント入力は,投稿された音声を聞きながらコメン トを書き込む。投稿文に音声がリンクされているので,

クリックすれば何度でも聞くことができる(Fig. 2)。

3

実践の方法

3.1

実践の参加者

本実践は,2010年度に三重県内の小学校

2

校,6年生

104

名が参加し,6月(A小学校

33

名)と

12

月(B小 学 校

71

名)に 行 わ れ た。指 導 は,担 任 教 師 と

ALT

(Assistant Language Teacher以下「ALT」)であった。

3.2

実践の概要

英語を学び始めた児童が主体的な活動を行うには手が かりとなる先行知識が必要となる。本実践では,英語由 来のカタカナ英語(English loanword cognate)に着目 Fig. 1 データベース・トップ画面

(3)

した。カタカナ英語は,カタカナで表記される外来語の 中で英語を語源とする言葉で,英語と類似した意味や発 音で用いられ,高野(2011)の調査[9]からも児童に身 近であると考えられることから,これを用いることとし た。

児童がカタカナ英語を用い,学習者参画型のデータ ベースを活用する学習方法として,自分の音声と他者が 発する音声を比べる学習方法やカタカナ英語の音と英語 の音とを比べる学習方法[10]が考えられる。そこで本実 践においては,小学校外国語活動の時間を用い,学習指 導要領の「外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとと もに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに 気付くこと。」という内容において「英語と日本語の音 の違いに気付く」活動を学習目標として行う。

児童は,カタカナ英語をもとに,自分が発した英語を 自らコンピュータに録音してモニタし,その英語をネッ トワーク上のデータベースに登録する。その後,クラス メイトの英語をモニタして,自分の英語と比べたり,コ メントしたりしてデータベースを利用する主体的・協働 的な英語活動(Fig. 3)を試みる(全

4

時)。

1

時には,児童が先行知識であるカタカナ英語を想 起するため,カタカナ英語をワークシートに書く活動を 行った。次に児童は,カタカナ英語を使い英語を作成す る活動(英作文,以下「英文」と表記)を行った。

2

時に児童は,第

1

時で記入したワークシートを使 い,ALTとコミュニケーションを取り,英文をチェッ クし,録音した。ALTは,ワークシートに書いてある 文字を指さしたり,スペルを書いたりして英文を説明し た。児童は,ALTから教えてもらった発音や英文を自 分が聞こえる音で,カタカナ表記等でメモを取り録音し た。その後,コンピュータルームのラップトップコンピ ュータ(A小学校,B小学校共

20

台)からブラウザに アクセスし,サーバー上のデータベースに登録した。

3

時には,児童が録音した音声の共有を行った。児 童は,ブラウザからテータベースを利用して,自分の興 味のある言葉を検索,視聴し,コメントを書き込んだ。

4

時には,自分が書き込んだワークシートの確認,

自分の音声,自分へのコメントの確認を行った。

4

実践の結果と考察

音声データベースを使った英語活動の効果を検討する ため最初に,児童がどのようにデータベースを構築して いったのかを明らかにする。次に,児童にアンケートを 行い,本英語活動を評価する。これらから考察を行い,

英語音声データベースの構築が児童の興味や関心に及ぼ す効果についての検討を行う。

なお,児童に行うアンケートは,A小学校(以下A 校)の児童

33

名,B小学校(以下B校)の児童

71

名計

104

名に同じアンケートを行うのが望ましいが,事前・

事後で意識の変化を見たかった「楽しさ」「英語と日本 語の音の違いに気付くこと」以外は,児童の負担を考え 分散させた。最初に実践を行ったA校にはデータベース 入力に関するアンケートを行い,次に実践を行ったB校 には本実践に関する主体性や自分の英語の音声や他者の 英語の音声をモニタした感想に関するアンケートを行っ た。

4.1

児童が構築した音声データベースの概要確認 児童がカタカナ英語から英文を作成し,それをコンピ ュータで録音してからブラウザを使って登録した。その 過程で記入したワークシートを分析する。次に,データ ベース音声入力の難易度に関するアンケートやデータ ベースに書き込まれたコメントを確認し,児童がどのよ うにデータベースを利用したのか,その状況を確認す る。

Fig. 2 コメント画面

Fig. 3 実践の流れ(模式図)

(4)

4.1.1

データベースに登録された英文の確認

本研究で扱う英語にはカタカナ英語を用いた。104名 の児童は,データベース登録の過程において,カタカナ 英語を

1

人平均

54.9

語,全

5706

語書いたことが確認で きた。また,ワークシートにカタカナ英語を使った英文 を一人平均

3.75

文,全

379

文書いたことも確認できた。

そして,児童は,第

2

時(45分間)に延べ

120

文の音 声(A校

43

文,B校

77

文)をデータベースに登録して

いた。1人最少

1,最高 3,平均約 1.12

の音声が登録さ

れており,104名全員の児童の登録が確認できた。その 内訳は,英語ノート

1

の表現(I like〜など)が約

33%

(39文),英語ノート

2

の表現(I watch〜など)が約

38%(45

文),その他(36文)であった。実践時,A

校,B校の端末の数は

20

台と一人

1

台の環境ではなか った。コンピュータやタブレットの端末が一人

1

台の環 境であったなら,さらに登録があったものと考える。

4.1.2

データベースに登録に関する児童の感想

本実践における

ICT

の操作で難易度が高い活動は,

データベースへの音声の入力であると考え,最初に実践 を実施したA校

33

名に対して,音声入力の難易度につ いてのアンケートを実施した(6月)。「データベース

(パソコン画面)へ声を入力するのはやさしかったか」

4

段階(4:とてもはい,3:まあはい,2:あまりそ うでない,1:まったくそうでない)で行った。回答が あった

32

名の児童の平均は,3.56で「4:とてもはい」

「3:まあはい」と肯定の意見が

95%を超え良好であっ

た。

4.1.3

児童が交わしたコメントの分析

3

時に

104

名の児童は

1

人平均約

5.2

コメント,全

547

コメントを投稿した。コメントを

Table 1

のような 観点で分類した。観点が重複したコメント,例えば「声 がちょうどいい大きさで良いと思います!発音もバッチ リだと思います♪」などは,最初の言葉に着目し,「声 の大きさ」として分類した。その結果,発音に関するコ メントが最も多く約

42%(231

コメント)あった。ま た,発音という文字が入ったコメントは,全体の約

47%(255

コメント)あった。また,その中で「アット

セブン(at seven)の発音がよかったです」など,日本 語と英語の音の違いに言及したコメントは約

4%(22

コ メント)あった。次に多かったのは,「私も同じ考えで す。」など英文に対する励ましや共感のコメント約

18%

(98コメント)であった。また,「最高の文章ですね!」

など賞賛が約

13%(71

コメント)あった。励ましや共

感,賞賛を合計すると全体の約

31%(169

コメント)あ った。

このことから,本英語活動において,児童は,登録さ れた英文の発音に興味を持って聞いていたことが示唆さ れる。登録された英文の音声を話題に,励ましたり,共 感したりと,登録された英文に関心を持ってコメントが 投稿された。

4.2

児童による本英語活動の評価

児童に行ったアンケートを分析・考察する。はじめ に,本実践に「楽しさ」があったかを確認する。文部科 学省の学習指導要領,小学校外国語活動においては,

「外国語に慣れ親しませる活動」を行うことが求められ ている。それは,英語を初めて学ぶ児童が英語嫌いにな らないように配慮したものである。そのため,本英語活 動も「楽しさ」についての評価を行う。次に,本英語活 動における学習の目的は,児童がカタカナ英語を使った 英文を音声データベースに登録し,聞き合うことで「英 語と日本語の音の違いに気付くこと」であるので,その 評価を行う。

最後に,B小学校

71

名には本実践に関する主体性や 自分や他者の英語の音声をモニタした感想を質問する。

4.2.1

実践の事前・事後に行った児童アンケート結果

の分析と考察

「実践の楽しさ」,「本英語活動の目的」については,そ の意識の変化を確認するため,実践の事前(第

1

時の最 初)と事後(第

4

時の最後)に同じ項目でアンケートを 行った。回収した

103

名のアンケートを分析,考察す る。児童に行ったアンケートは評定尺度法で行い,等間 隔のスケール上に

4,3,2,1

と数字を記し,その上に

「とてもはい」「まあはい」「あまりそうでない」「まった くそうでない」と記した

4

件法で行い,対応のある

Wilcoxon

の符号付順位和検定(SPSS Ver.20)を用いた

(Table 2)。

Table 1 児童が行った相互交流のコメント分類

観点 コメントの例 コメント数

発音 最後のおっとぅーとゆうのとアニマルの発 音がよかった

231

共感 あたしたちも大好きだよっ♪ 98

賞賛 とても,感情がこもっている(>_<) 71 ていねい

聞き取りやすい

細かいところまでしっかり言えててすごい です。

70

すらすら・スムーズ とても長い文を,すらすら言えていて,す ごい(˜o˜)

31

リズム・強弱・間 声の強弱がしっかりできている 24 声の大きさ 声の大きさもいいし発音もいいですね 14

その他(雑談) 季節はずれじゃないですかあ 8

合計 547

(5)

「1.英語活動の授業は楽しい」の項目において,事前・

事後で有意差(Z=-2.85,p<.01)を示した。普段は,

歌やゲームなどの英語活動を行っている児童に対し,既 知の知識を活用して,ICTを使う,やや知的な英語学習 を実施したが,児童はその英語活動に対して楽しさを示 したといえる。また,実践後の児童の自由記述には,

「すごく楽しい」,「自分のデータにコメントがかえって くるとうれしい。」,「パソコンの録音などで,英語をで きたので,とても楽しかった。」などの記述があり,「た のしかった」の記述は

103

名中

35

名あった。

「2. 英語の発音と日本語の発音のちがいはわかるか」

と い う 質 問 に も 事 前・事 後 で 有 意 差(Z=

-3. 78,p

<.01)を示した。児童の自由記述には,「英語の発音は 日本語と違うので,難しかったけれどちがいが分かって よかったです。」とか「コンピュータを使うとみんなの をじっくりきくことができていいです。その人にコメン トするのはとてもたのしいです。友達がどんなことを言 っているのか,発音がどうなのかがわかるのでパソコン の授業は好きです。」などの記述があった。この結果は,

児童が英語だと考えているカタカナ英語を直接

ALT

に よってチェックしてもらえたこと,コンピュータやデー タベースを使うことで,自分の音声やクラスメイトの音 声をじっくり,何度でも聞くことができたことなどが考 えられる。

以上のことから,本実践において「英語活動が楽し い」と答える児童は有意に増加し,「英語と日本語の発 音の違いがわかった」と答えた児童も有意に増加したと いえる。

4.2.2

実践後の児童アンケート結果の分析と考察

B校

71

名の事後(12月)には,本実践における児童 の主体性,自分の音声をモニタしたこと,クラスメイト の発音をモニタしたことについて質問を行った(Fig.

4)。アンケートは,4.2.1

と同じ

4

件法で行った。

「この英語活動は,自分が「している」「やっている」

と感じることができたか」という質問には,肯定的な回

答(4と

3)が約 90%(平均 3.39)あった。データベー

スに登録した英文を自分で制作し,その英語を自分で録 音し,データベースに登録できたことが理由として考え られ,児童は,本実践に主体性を感じることができたよ うである。

「自分の声を聞くことは勉強になると思うか」との質問 には,肯定的な回答(4と

3)が約 75%(平均値 2.9)

であった。肯定的な回答の割合が相対的に低かった理由 として,児童は自分の声を聞き慣れておらず,自分の声 を聞くのにはやや抵抗があったものと思われる。実践後 の児童の記述にも,「自分の声をあまり聞きたくなかっ た。」と書かれているものが

2

件あったが,「自分の声を 入れたのはとても勉強になったと思う。発音など入れる ときに気をつけた。スピードなど難しかった。」とか

「コンピュータに自分の声をいれると,もっと上手に言 いたいという気持ちで上達する気がする。」など,自分 の声を聞いて勉強になったという記述が

71

名中

17

名あ り,はずかしいと言いながらも録音に意義を感じ,自分 の発音の改善に取り組もうとする記述が見られた。

「友達の声は英語の発音だったか」との質問には肯定的 な回答(4と

3)が約 95%(平均 3.21)であった。児童

は,データベースにコメントを書くため,何度もクラス メイトの発音を聞いている。結果,クラスメイトの発音 を聞き合って学んでいるといえる。児童が発する音は,

英語の音ということではネイティブの

ALT

から直接聞 いた音に比べ劣っており,日本語が干渉した音である が,本実践で児童が聞き合って学習した音は,共に学び 合って得られた音であり,それがこの時点における「発 達の最近接領域」の可能性がある。また,児童の自由記 述には「友達がどんな発音をしているかが聞けたのがよ かった。自分も楽しく英語の授業ができた。」など

103

名中

34

名の児童が,友達の発音が聞けてよかった旨の 記述があった。実践後の教師の感想にも「友だちの発音 Table 2 実践による児童の意識変化

事前 事後

項目 平均 SD 平均 SD Z

1.英 語 活 動 の 時 間

(授業)は楽しい 3.06 0.89 3.28 0.77 -2.85 **

2.英語の発音と日 本語の発音のちが

いはわかるか 3.24 0.82 3.54 0.56 -3.78 **

N=103 **p<.01

Fig. 4 児童による実践の感想

(6)

を聞くことにも意欲をもち,自分の発音に取り入れよう としていた。ほめる言葉もたくさん聞くことができた。」

とか「とにかく意欲が上がった。友達の発音を聞いて,

口に出してまねをする児童もいた。何度も練習して熱心 に行っていた。」などの感想があり,児童がデータベー スからクラスメイトの英語を取り入れ,自分の発音に生 かそうとする様子を見ることができた。

5

まとめ

小学校の英語活動に学習者参画型のデータベースを導 入し実践を行った。6年生の「英語と日本語の音の違い に気付く」活動に音声データベースを活用したところ,

参加した児童全員の音声がデータベースに登録されてい たことが確認できた。またクラスメイトの音声を聞き,

それを話題にコメントを残していたことも確認できた。

児童はこの活動に主体性と楽しさを感じ,この活動を通 じて英語の発音への理解を得ることができた。これらの 結果は,児童が歌やゲームなどの英語活動だけでなく,

児童がコンピュータを使い,自分の音声をネットワーク 上のデータベースへ登録したり,利用したりする音声 データベースを活用した協働的な英語活動にも興味や関 心を示すことを示している。また,実践の中で児童がコ ンピュータの録音機能を使い,自分の発音を修正しよう としたり,データベースを利用し,クラスメイトの英語 を取り入れようとしたりする様子を見ることができた。

これらのことは,小学校の英語活動においても音声デー タベースを使った学習活動により,自己の学習をモニタ したり,クラスメイトの学習をモニタしたりすることが できる可能性を示唆するものであり,学習者参画型デー タベースを用いた活動が今後,児童の自律学習に向けた 学びへの可能性を示唆するものであると考える。

参考文献

[1] 文部科学省,「英語教育改善のための調査研究事業に関する アンケート調査」結果について

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/

1299796.htm(2015.01.28閲覧)

[2] 長沼君主,「小学校英語活動における自律性を高めるCan- do評価の実践」,ARCLR,ARCLR REVIEW, No.5,2011,pp.

65-74.

[3] 北条礼子,松崎邦守「小学校外国語活動におけるポートフォ リオを活用した5年生児童の動機づけを高める授業の設計と その効果」,上越教育大学研究紀要,第33巻,2014,pp.

181-190.

[4] 熊井信弘,大野純子,「シャドーイング練習及びその相互評 価を可能とするオンラインシステムの構築と運用」,学習院 大学外国語教育研究センター,言語・文化・社会 第8号,

2010,pp.73-89.

[5] 竹中真希子,稲垣成哲,黒田秀子,大久保正彦,出口明子,

「ケータイとWeb共有システムを利用した生活科の学習支 援:家庭における児童の取材活動に関する保護者の評価」,

日本教育工学論文誌,29(Suppl.), 2005,pp.105-108 [6] 寺嶋活介,中川一史,「静止画像データベースシステムを用

いた授業実践の特徴,日本教育工学論文誌,32(3),2008,pp.

333-338.

[7] 下村勉,須曽野仁志,鷲尾敦,「総合的な学習と地域のまち づくりとの連携を推進する参画型Webページの開発とその 応用」,三重大学教育実践総合センター紀要,第24号,2004, pp.49-55.

[8] 西村和貴,下村勉,「小学校外国語活動におけるマルチメデ ィアデータベースを用いた能動的学習の試み」,日本教育工 学論文誌,35(Suppl.), 2011,pp.93-96.

[9] 見上巌,『KENTとつくる!ワンランク上のPerl/CG Iプログラミング』,ソシム,2007.

[10]高野繁男,『日本語になった西洋語』,大空社,2011.

[11]相澤一美,磯達夫,「小学校4年生教科書及び副読本に使用 されているカタカナ英語の分析」,小学校英語教育学会紀要,

11号,2008,pp.37-42.

2015. 2. 2受理 2015. 4.16掲載決定

著者略歴

西村和貴(にしむら かずき)

◎現在の所属:津市立藤水小学校

◎専門分野:小学校教育,教育工学 下村 勉(しもむら つとむ)

◎現在の所属:三重大学教育学部

◎専門分野:教育工学,情報教育

◎主な著書:教育情報工学シリーズ3概念形成と評価(共著)コロナ社

参照

関連したドキュメント

 さて,日本語として定着しつつある「ポスト真実」の原語は,英語の 'post- truth' である。この語が英語で市民権を得ることになったのは,2016年

1.基本理念

グローバル化がさらに加速する昨今、英語教育は大きな転換期を迎えています。2020 年度 より、小学校 3

文字を読むことに慣れていない小学校低学年 の学習者にとって,文字情報のみから物語世界

この 文書 はコンピューターによって 英語 から 自動的 に 翻訳 されているため、 言語 が 不明瞭 になる 可能性 があります。.. このドキュメントは、 元 のドキュメントに 比 べて

 高校生の英語力到達目標は、CEFR A2レベルの割合を全国で50%にするこ とである。これに対して、2018年でCEFR

スキルに国境がないIT系の職種にお いては、英語力のある人材とない人 材の差が大きいので、一定レベル以

本学級の児童は,89%の児童が「外国 語活動が好きだ」と回答しており,多く