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急性・慢性心不全診療ガイドライン (2017 年改訂版)

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現代医学 67 巻 2 号 令和 2 年 12 月(2020)

急性・慢性心不全診療ガイドライン

(2017 年改訂版)

中 川 喬 市

オピニオン

Kyoichi Nakagawa:医療法人喬順会中川内科

 今回,わが国の心不全ガイドラインが改訂された。

慢性心不全ガイドライン(2010 年)と急性心不全 GL

(2011 年)が一本化され,日本循環器学会と日本心不 全学会の合同で「急性・慢性心不全診療ガイドライン

(2017 年改訂版)」として公開された。文献を含めて 154 ページに及ぶ充実したものである。

 主な改訂点は,①心不全の定義を明確化すると共に,

一般向けにわかりやすい定義も新たに記載した。② 心不全とそのリスクの進展のステージと治療目標を 新たに記載した。③心不全を,左室駆出率(LVEF)が 低下した心不全(Heart Failure with reduced Ejection Fraction),LVEF が保たれた心不全(HF preserved EF),LVEF が 40~49 % の 心 不 全(HFmrEF〔mid- range〕)に 分 類 し て 記 載 し た。 さ ら に,HFpEF improved,HF with recovered EFについても記載した。

④心不全診断アルゴリズムを新たに作成した。⑤心 不全進展のステージをふまえ,心不全予防の項を新 たに設定した。⑥心不全治療アルゴリズムを新たに 作成した。⑦併存症の病態と治療に関する記載を充 実させた。⑧急性心不全の治療において,時間経過 と病態をふまえたフローチャートを新たに作成した。

⑨急性心不全における補助人工心臓治療のアルゴリ ズムを新たに作成した。⑩緩和ケアに関する記載を 充実させた。最後の章に,「今後期待される治療」とし て“新しい治療薬”を4種類紹介し,かつ,“経皮的僧

帽弁接合不全修復システム(MitraClip)” のような新技 術もこの章において紹介された。。

 「心不全とそのリスクの進展ステージ」については,

まずリスクステージを,リスク因子をもつが器質的疾 患のない患者:ステージ A,器質的疾患をもつが心不 全症候のない患者:ステージ B に分類し,次に,器 質的疾患をもち,心不全症候を有する患者:ステージ C,および,概ね 2 回以上の心不全での入院があり,

有効性の確立されたすべての治療法によって,NYHA 心 機 能 分 類〈New York Heart Association functional classification〉Ⅲ度より改善しない,治療抵抗性の患者:

ステージ D の 4 段階に分類して扱うこととした。

 「心不全の診断」では,自覚症状およびその他ルーチ ン諸検査を行い,次いで BNP(脳性ナトリウム利尿ペ プチド)または NT-proBNP 値の測定を行う。BNP:

35~40pg/mL あるいは NT-pgBNP:125pg/mL 以上 の場合は心エコー法を行う。本法による LVEF の値 により心不全を評価し,それが 40%未満のものを HFrEF,50%以上に保たれたものを HFpEF と定義す る。

 心不全進展ステージが A および B では,そのリス クの進展の予防を心がける。C では予後の改善と症状 の軽減を目標とする。D,特にその末期では症状の軽 減を目標とする。

 「心不全の治療」としては,ステージ C において,

HFrEF に対しては ACE,ARB,MRA などのレニン - アンジオテンシン - アルドステロン(RAA)系抑制薬お よびβ遮断薬が有効である。また,利尿薬,必要に応 94

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オピニオン:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017 年改訂版)

じてジギタリス,血管拡張薬を用いる。HFpEF に対 しては利尿薬を用い,同時に併存症に対する治療を行 う。HFmrEF に対しては個々の病態に応じて判断する。

ステージ D に対しては,治療薬の見直し,補助人工 心臓,心臓移植が最終手段となり,緩和ケアの状態に なる。利尿作用をもつ糖尿病薬 SGLT-2 阻害薬(2014 年発売)は,本ガイドラインの「心不全予防」の章にお いて,糖尿病・肥満合併症例に対する適応薬として取 り入れられた。

 なお,原因疾患が虚血性心疾患の場合は,主訴が労 作時息切れのみで典型的な胸痛を訴えないことが時に

みられ,その場合,BNP/NT-proBNP の上昇も認めず,

安静時心エコー法にも異常が認められないことがある ため,心筋虚血の病変の確認は冠動脈 CT 検査などに 頼らなければならない。終わりに,心不全による再入 院から患者を守るためには,外来診療における細心な 治療に加えて,多職種チームとの連携を適切に行い,

また患者の自己管理とその指導を行うことが肝要であ る。

利 益 相 反

 筆者は本論文について,開示すべき利益相反はありません。

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参照

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