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(1)

栃木県社会福祉士会 (国際医療福祉大学) 松永 千惠子

*「公益社団法人日本社会福祉士会

(2)

身体拘束・行動制限を

廃止するための取組

~川崎れいんぼうの例を参考に~

川崎市れいんぼうの概要

取り組みの契機

取り組みの経過

身体的拘束等廃止マニュアル

検討事例

今後の課題

(3)
(4)

川崎市れいんぼう川崎の概要 1

 施設の概要  所在地 川崎市宮前区東有馬5-8-10  設置者 川崎市  運営主体 社会福祉法人川崎市社会福祉事業団  運営開始 平成8年4月  実施事業  生活介護+施設入所支援(旧法療護) 定員60名  自立訓練事業(旧法身障デイサービス) 定員20名  短期入所 定員10名  在宅リハビリテーション事業(川崎市単独事業)

(5)

川崎市れいんぼう川崎の概要 2

運営方針

「リハビリテーション」の理念に基づく支援

 障害に応じた最適生活の獲得・維持  一人ひとりのライフスタイルに合わせて生活の質を高 め人間らしく生きていけるように支援

(6)
(7)

取り組みの契機

 人権擁護の観点を重視した支援  しかし身体拘束等の取り扱いについて不明確  研修会「障害者の権利擁護」への参加  「拘束禁止マニュアル」の事例  「身体拘束ゼロへの手引き」⇒車いすのベルト類も身体 拘束に当たる  リスクを最小限にとどめ身体拘束廃止等の姿勢を貫き通 す事の重要性  伝達研修にて他職員へも問題の共有化図る  接遇担当を中心に取り組みを開始

(8)

身体拘束禁止の対象となる行為

1. 徘徊しないように車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る 2. 転落しないようにベッドに体幹や四肢をひも等で縛る 3. 自分で降りられないように、ベッドを柵で囲む 4. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひも等で縛る 5. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないよう に手指の機能を制限するミトン型の手袋をつける。 6. 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないようにY字型拘束帯や腰 ベルト、車いすテーブルをつける 7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを防ぐようないすを使用する 8. 脱衣やおむつはずしを制限する為に、介護衣を着せる 9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る 10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる 11. 自分の意志で開けることのできない居室等に隔離する 平成13年3月 厚生労働省「身体拘束ゼロ作戦推進会議」発行『身体拘束ゼロへの手引き」

(9)

取り組みの経過

身体拘束廃止に向けての仕組み作り

身体拘束廃止マニュアルの完成と定着

(10)

H19年度の取り組み

「身体拘束廃止に向けて仕組み作り」①

 「身体拘束ゼロへの手引き」(厚労省)の11項目を基に利 用者ごとのチェックリスト作成  障害者施設特有の事情も考慮した検証  「QOLの向上目的なのか」「排除できるものがあるか」「安 全管理上やむを得ないのか」  「介護衣(介護つなぎ)」を外す取り組みの試行  おむついじりを理由に使用していたが、おむつのあて方の 工夫で外すことができた!  帳票や記録についても検討

(11)

H19年度の取り組み

「身体拘束廃止に向けて仕組み作り」②

 れいんぼう川崎独自のマニュアルの必要性を認識  先行施設のマニュアルを参考に素案作成  施設全体の会議にて検討  職員へ「身体拘束」についてのアンケート  日ごろ意識せずに行っていることでも身体拘束にあたること がある  意識改善への取り組み

(12)

H20年度の取り組み

「身体拘束等廃止マニュアルの完成と定着」①

 事業計画の重点項目に設定  身体拘束等について協議する場の必要性 施設全体で協議するために身体拘束等廃止委員会を立 ち上げる  マニュアル完成に向けて  月2回の会議(接遇担当・主任)  先行取り組み施設への訪問

(13)

H20年度の取り組み

「身体拘束等廃止マニュアルの完成と定着」②

 全利用者について支援方法を見直す 必要のない身体拘束等をやめることができた! 例)以前は不穏状態による体動激しく、車いすやベッドで転落 防止のため抑制帯使用 見直し時体動は減少。段階的に試行していき、結果継続して 外す事ができる  漫然と続けられていた身体拘束等をやめることができるのだ と意識できた  身体拘束等廃止マニュアルの完成

(14)

H21年度の取り組み

 短期入所者についても身体的拘束等廃止の取り組みを 開始する。  短期入所者1名、入所利用者6名に対し、9つの身体拘 束等を廃止した。

H22年度の取り組み

 権利擁護委員会を設置、身体的拘束等廃止委員会の検 討事項も権利擁護委員会で扱う。  施設入所者2名に対し、2つの身体拘束等を廃止した。

身体拘束等廃止マニュアルの運用」①

(15)

H23年度の取り組み

 全職員に対し、権利擁護に関するアンケートを実施  れいんぼう川崎権利擁護規程の策定

H24年度の取組

 川崎市れいんぼう川崎虐待対応要領の検討  入所利用者1名に対し、1つの身体的拘束等を廃止した

H25年度の取り組み

 川崎市れいんぼう川崎虐待対応の策定  所内研修 権利擁護について 開催

身体拘束等廃止マニュアルの運用」②

(16)
(17)

身体拘束等廃止マニュアル

 マニュアルの構成 1. 前文  取り組みの必要性や背景 2. 指針  取り組みに向けての基本的姿勢 3. 身体拘束の定義 4. 除外の定義 5. やむを得ず身体拘束を行う場合の手続き

(18)

3 身体拘束等の定義①

1.

「身体拘束」

① 胸・骨盤ベルト、Y字抑制帯、紐等で車いすに体幹 や手足等を固定すること ② 転落防止帯、紐等でベッドに体幹や手足等を固定 すること ③ 経管栄養・留置カテーテル・膀胱ろうへのチューブを 抜かないように、四肢を紐等で固定すること

(19)

3 身体拘束等の定義②

2. 「行動制限」 ① 居室等の出入り口をふさぎ、自由に出入りできないようにする こと ② 車いす等を遠ざけたりして自力で使用できないようにすること ③ 車いす等移動手段の使用を禁止すること ④ 本人の意思に反して車いすに座ってもらうこと ⑤ 本人の意思に反して施設敷地内、屋内等に戻ってもらうこと ⑥ 自分で降りられないような柵を使用すること ⑦ ミトン型手袋、車いすテーブルの使用により行動の自由を制限 すること ⑧ 脱衣やおむつ外しを制限する為に、介護衣(つなぎ服)を着せ ること ⑨ 過度の向精神薬等の使用により行動を制限すること

(20)

4 除外の定義

1 意思決定能力のある利用者が安全確保の為、自らの意思で 決定した場合 ① Y字型抑制帯や紐等で身体をベッドや車いすに固定すること を希望し、安全が保たれる場合 ② ベッドからの転落の防止や自力での起き上がり等のた めにベッド柵の使用を希望し、他に有効な方法がない場合 2 補装具等として認定されたものを使用した場合 ① 失われた身体機能を代償または補完するための補装具等を 使用する場合 ② 身体を固定し、保持することで身体のバランスが保たれ活動 範囲が広がり生活の質が向上する場合 3 屋外で移動する際に安全確保のためベルトを使用する場合 4 施設安全管理上の理由から制限した場合

(21)

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き①

1.

三原則の遵守

① 切迫性 ② 非代替性 ③ 一時性

ひとつでも欠ける場合には、身体

拘束等の実施は許されない

(22)

2.

判断

① 「権利擁護委員会」を毎月第4週に開催し、身体拘 束等の実施について協議する ② 「権利擁護委員会」ではカンファレンスで検証した結 果、身体的拘束等を行う必要性があると判断した利 用者について報告・協議する ③ 身体拘束等を必要と判断した場合は速やかに「身 体拘束等廃止臨時委員会」を開催し協議する。 ④ 休日、夜間および緊急を要する場合は複数の当日 出勤者にて協議・判断する。

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き②

(23)

⑤身体的拘束等を期間途中で終了する際は、身体的拘 束等廃止臨時委員会を開催し、必要ないと判断した 場合はその時点で終了し権利擁護委員会で報告す る。 ⑥身体的拘束等を期間途中で終了するために、試行期 間を設定する際は、複数の職員で期間を設定し、試 行の状況について権利擁護委員会に報告、必要ない と判断すれば⑤の手続きを行う。

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き③

(24)

3. 説明と同意 ① 身体拘束等の必要性があると判断した場合には「身体的拘束 等の実施説明書兼同意書」を作成し、本人に説明し、書面に て同意を得る ② 本人に意思決定能力がない場合は、家族・後見人に説明し、 書面にて同意を得る。 ③ 短期入所者に身体的拘束等を行う必要があると判断した場 合は、毎回利用時に本人に説明し、書面にて同意を得る。 ④ 短期入所者で本人に意思決定能力がない場合は、家族・後 見人に対し説明し、書面により同意を得る。 ⑤ 書面は2部作成し、1部は本人または家族・後見人、1部は施 設で保管する。

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き④

(25)

4. 記録と報告 本入所者及び自立訓練事業利用者 ① 実施する場合は、同意を得た「身体的拘束等の実施説明書兼同意書」を決 裁を受ける。 ② 実施した場合には次回カンファレンスにおいて「身体的拘束等の実施報告 書」で報告する ③ 実施した場合は、「身体的拘束等の実施記録」に記録する。記録を基に次 回カンファレンスで、終了または継続を協議する。 ④ 身体的拘束等廃止臨時委員会を開催した際は、「身体的拘束等廃止臨時 委員会会議録」に内容を記載、権利擁護委員会にて報告する。報告後決 裁を受ける。 ⑤ 「3 身体的拘束等の定義 (2)行動制限について⑤本人の意思に反して 施設敷地内、屋内に戻ってもらうこと」について、まれな利用者についてはヒ ヤリハットシートを実施記録として代替する。 ⑥ 本人等から記録の公開請求があった場合は、情報公開要綱に基づき公開 する。

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き④

(26)

5 やむを得ず身体拘束等を行う

場合の手続き⑤

短期入所者 ① 生命が危険な緊急時を除き、あらかじめ「実施説明書 兼同意書」にて同意を得た後、決裁を受ける。入所前 の権利擁護委員会にて協議し、退所後の委員会で報 告・協議する。 ② 実施した場合は、「実施記録」を記録し退所時口頭で 説明する。記録用紙は、退所後決裁を受け、 「実施説 明書兼同意書」のコピーとともに保管する。 ③ 身体的構想等廃止臨時委員会を開催した際は、「会議 録」に内容を記載し、決裁を受ける。 ④ 本人等から記録の公開の請求があった場合は情報公 開要綱に基づき公開する。

(27)

身体拘束廃止委員会の開催

H20年9月より月1回定期開催

検討内容

身体拘束実施に至る理由と状況の報告

3原則の確認

その判断が妥当であるかどうか

除外の定義に当たるかどうかの判断

身体拘束等を廃止していく方法があるかの検証

*H23年度からは権利擁護委員会にて検討

(28)
(29)

身体的拘束を廃止した事例

 脳外傷による高次脳機能障害  ベッドから車いすに単独移乗をした際に転倒を繰り返す ため、車いすをベッドから遠ざける身体的拘束等を実施  援助方法の見直しを行う  フットコールをベッドサイドに敷き、単独移乗しようとすると コールが鳴ることによって、すぐに職員が駆け付けること で転倒防止が可能となった。  車いすを遠ざけることなくベッド横に置き、身体的拘束を 廃止した

(30)

身体的拘束を必要とした事例

 脳外傷による四肢まひ・高次脳機能障害  安定した生活から不穏状況に  単独で車いすから立ち上がり転倒、車いすからの滑落、ベッド柵 を外し車いすへ単独移乗  以下の対応について検討  臥床中は車いすを眼の届かないところへ置く  ベッド柵を取れないようにひもで固定  車いす乗車時にはY字型抑制帯を使用  やむを得ない身体拘束と判断  「身体拘束等実施説明書兼同意書」にて同意を得る  引き続き身体拘束をなくしていける方法を検討

(31)

身体的拘束の除外とした事例

 事故による四肢体幹機能障害  入院中にはY字型抑制帯を利用し、入所前後も続けてい た  抑制帯で固定しないと大きな姿勢の崩れが見られるとい う医学的評価  代替案としてチルト式車いす適用は考えられるが、自走 が困難になる  現状では座位保持のためY字型抑制帯は必要と判断  除外の定義に当たると結論

(32)

身体的拘束を廃止できていない事例

 脳外傷及びアルコール性脳症の疑いによる四肢まひ・高 次脳機能障害  頭蓋骨固定プレートを入れているが露出したため入院。 感染リスク回避のため、頭蓋骨と共に除去している  術後の傷が気になり触ってしまうため、入院中から頭部 保護帽とミトン型手袋を装着し退院  高次脳機能障害のため、頭部を触り生命が危険にさらさ れることはご理解いただけない  頭部へのダメージによる生命への危険を排除するために は、ミトン型手袋の着用以外の方法が見つからない

(33)

身体的拘束等を廃止した内容について①

A 様 ・ベット臥床中は車いすを居室の外に置く ・ベット柵の紐固定  B 様 ・ベット柵の紐固定・Y字型抑制帯の使用 ・柵の隙間をバスマットで埋める  C 様 ・介護服の使用 D 様 ・ベット臥床中は車いすをベットから離す E 様 ・ベット臥床中は車いすをベットから離す F 様 ・ベット臥床中は車いすをベットから離す G 様 ・ベット臥床中は車いすをベットから離す

(34)

身体的拘束等を廃止した内容について②

H 様 ・股ベルトの使用 ・拘束帯の使用  ショートI様 ・Y字型抑制帯の使用 J 様 ・Y字型抑制帯の使用 K 様 ・ミトン型手袋の使用 L 様 ・ミトン型手袋の使用 M 様 ・ミトン型手袋の使用

(35)
(36)

今後の課題

 身体的拘束廃止とリスク管理は背中合わせだが、安全に 生活する上で、代替案が見つからないケースがある  私たちは利用者の権利擁護者であることを忘れない  「身体的拘束は利用者の権利侵害である」という強い意 志のもと、代替方法の検討と環境整備を行う  多職種による様々な方法の検討と実践の繰り返しを継続 し続けることが大切

参照

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