U.D.C58.036 要 約 キーワート・ 目 次 1.は じめに 2.屋上緑化 システム概要
1
は じめに 東京 の平均気温は過去42年 間で2.4℃ 上昇 していると '。 こ れは地球温暖化 の影響 も考 えられ るが、ヒー トアイラン ド現 象の影響が強い といわれている。ヒー トアイ ラン ド現象は、 都市の コンク リー ト化による蓄熟量増大や人工排熱増加等が 原 因であると言われてお り、その姑策 として、都市に緑地を 増や し、植物 の蒸散イ乍用 を利用 して温度上昇 を抑制すること が効果的 とされている。しか し、過密化す る都市の地上に緑 地 を設 けるのは困難であ り、建築物屋上に緑地を設 ける屋上 緑化 が注 目を集 め、多 くの屋上緑化システムが開発 されてい る。現在、開発 されている屋上緑化 システムの多 くは軽量 化・ ローメンテナ ンスを重視 しているため、植生の種類が限 られ、彩 りに欠ける傾 向がある。 当社 は、 ヒー トアイラン ド現象の対策 として屋上緑化 が 注 目される以前から環境共生技術の一手法 として数種類の緑 化 に取 り組んできた。中でもビオ トープ型屋上緑化は、水辺 の空間を取 り入れた屋上禄化で、彩 り豊かな翻 ヒが特徴であ る。 本報は ビオ トープ型屋上緑化における温熱特 性の実測 結果、植 生の育成状況 な らびに確認 された小動物 を検証 した ので報告す る。2
ビオ トー プ型屋上緑化の概要 ビオ トー プ型 屋上緑化は、水辺の景観 と生態系 を付加価 値 とした屋 上緑化である。メダカな ど水生小動物 が生息で きる池 を設置 し、池 の周 りに植 生 を配置 している (写真1 参照)。植 生部分への潅水 は、池か ら植 生へ 自然に給水 さ れ る工夫が してあ り、水や りの手 間が不要 である。この工 夫 に よ り池 か ら植 生へ常に水が給水 され るため、ミツハ ギ な ど湿地 を好む植物で も生育可能 であ り、多様な植物 が生 育 できるのが特色である。 東急建設技術研究所報No.27ビオ トープ型屋上緑化の熟特性 と生物状況
福田
淳
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可ヽ
楠
良雄
*中村
聡
士
力口
藤
信男
*キ 最近、都市部において熱帯夜の増カロなどヒー トアイラン ド現象 と考えられ る環境問題がクローズア ップ され ている。 この対策 として、都市部を緑化す ることによつて温度上昇を抑制す ることが有効であると言われてお り、緑化面積 を増 やす方法 として屋上緑化が注 目されている。筆者 らは独 自の屋上緑化 システムとして、多種多様な植生に対応 し、更に トンボな どの小動物も生息可能な ビオ トープ型屋上緑化の開発 を行つてお り、技術研究所屋上 (神奈川県相模原市)に
おいて実証実験を行つている。 本報は、技術研究所で約 1年 間計測 したビオ トープ型屋上緑化における熱特性の実測 と、植生生育ならびに小動物の 生息状況を検証 したものである。その結果、夏期において屋上緑化の上表面の最高温度は410℃、コンクリー ト表面は 531℃ であ り、緑Tヒ部の表面温度が大幅に低下 してお り、ヒー トアイラン ド現象の抑制に有効であることが確認できた。 また、 ミソハギなど湿性植物の生育が可能であることや、トンボな どの飛来が見 られ るなど生態系の一部 としても機能 していることがわかつた。 屋上緑化、 ビオ トープ、温熱特性、植生、水生小動物 4.植生お よび確認 された小動物 5.ま とめ 写真1
ビオ トープ型屋上緑化3
熱特性の実河3.1
実測概要 実測は当社技術研 究所 (神奈川県相模原 市)の
屋 上緑化 実験施設 にて行 つた。表1、 図 1に 屋 上緑化 実験施 設の概 要 を示す。実測項 目は 日射 量、気温、屋上緑化システ ムの 各部温度で、日射量はサーモパイル式、気温はサー ミス タ 式温度計、屋上緑化 システムの各温度 はT型熱 電対 で測 定 した。T型
熱電対 を設置 した箇所 を図1、 表2に示す。夏期 お よび冬期 の実測結果 の代表 日として平成12年8月 10日0:00∼
8月 12日 23:00、 平成13年2月 10日0:00∼
2月 12日23100の 実測結果 を示す。実測は1時 間間隔で行 いデー タ ロガーに記録 した。 ステム実験施設概要 バーミキュライト ″ ゴ r ロー バ ー*環
境研究室**建
築エンジエアリング部 ミンハギ ==4:5tl平 向 図 コンクリー ト部 コ ンク A―A'断面図 (ビオ トープ屠 卜緑化部) コンク リー ト ★ :温度実測箇所 断 面 図 B一げ断面図 (コンクリー ト部
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図l
屋 上緑化実験施設並び に温度測 定個所 ク リー ト表面 よ り低い温度 を示 した。日較差 は8月 11日に お いて、コンク リー ト表面が27.5℃ 、水面下150肛ullが10.0 ℃ 、土表面 下150mHlが 4.8℃ であった。 これ よ り、ビオ トープ型屋上緑化 を設置す ることで 日射 や外気温上昇な どの外気条件が建物最上階の熱環境 に与 え る影響 を低減 でき、熱負荷変動が小 さくなるため、省エネ ルギー効果 も期待 できる と考 え られ る。また、その低減効 果 は屋根 ス ラプ上が池 の場合 よ り植 生 のほ うが大 きい。こ 4・B□
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Ψ ′ ″ 命 く 選 ︶ 劇 妥 己 刊 コ Ш ︵ p ︶ 哩 賦 田 土) 副 2 ビオ トープ型屋 上緑化 植 ビオ トー プ型 屋上緑化 池部 150mm 150mm コンク リー ト コ 咽 コ コ ︵ p ︶ 蝿 嘔 田 コ 咽 罰 ︵ p ︶ 盤 増3.2
実測結 果3.2.1
夏期 図2に測定期 間 中の 日射量、気温 を示す。 日射 量は 8月 10日 、3月 11日 は晴天のため 日中で最大 3MJ/m2まで達 したが、8月 12日は曇天 のため最大で2M」/m2 ほ どであった。最 高気 温は 8月 10日 に 32.3℃ 、8月 11日 に 33.5℃ 、8月 12日 に 31.8℃ といずれ も30℃ を越 えてい る。 図3に緑化 していない部分 の コン ク リー ト表 面 (以下、 コンク リー ト表面 と記す)と 植生都の土表面(以下、土表 面 と記す)の
温度 の実測結果 を示す。 測定期 間 中、一 日の 日射量 が最 も多 かつた 8月 11日 の 最 高温度 は、コンク リー ト表面が 53.1℃ 、土表面が 41.0 ℃ であ り12.1℃ 土表面温度が低 く、再放射熱量の低減が 図 られ てい る。夜間は両者 とも表面温度 が下が り、最低表 面温度 は コンク リー ト表 面が 25.6℃ 、土表 面が 23.4℃ で あ り、土表面 が2.2℃低 く、外気温 とほぼ同程度 になって いる。これ らよ り、屋上緑化 を行 うことに よ り、外部熱環 境 の改善 がな され 、 ヒー トアイ ラン ド現象 の抑制 に有効 に作用す る と考 えられ る。 図4に コンク リー ト表 面、緑化部分 の コンク リー ト表面 として池部 の水面下150附田(以下、水面下150mm)、 植 生部 の上表面下 150HHl(以 下、土表面下150mm)の
温度変化を 示す。 各部 の最 高温度 は コンク リー ト表 面 が 53.1℃ 、水面下 150mmが37.9℃ 、土表面下150Hl“lが31.4℃ であ り、 ビオ トープ型屋 上緑化の土表面下150nJ口と水面下150mmが コン 凸′ユD tt B/ユ
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コン ク リー ト 表面 土表 面 土 表 面 下 150mm 註度 (℃) 36.6 28.5 28,7 53.1 41.0 31,4 23.4 26.6 25,G 4.8 27 5 17.6 10.0れ は池の場合は透過 日射 によつて、池底部 が暖 め られ るの に対 し、土表面下150111Hlでは土 に よつて 日射 が全て遮 られ ることや 、池の水量が少 ない ことによる と考 えられ る。 表3に8月 11日の各部温度の最高、最低、平均 、日較差 をま とめ る。
3.2.2
冬期 図5に気温 と水 平面 日射量を示す。 2月 10日 、11日 の最大 日射量 は晴天のため2M」/m2に 達 した が、2月 12日は曇天のため1.42MJ/m2ほ どでぁった。最 高気温は 2月 10日 、11日 が 10.5℃ 、2月 12日 が 6.6℃ で あった。 図6にコンク リー トと土の表面温度 を示す。 2月 11日の 日中最 高温度は コンク リー ト表 面が23.6℃ 、 土表面が 12.3℃ とコンク リー ト表面が土表面 よ り11.3℃ 高い。冬期 にお ける表面温度の上昇 は夏期 とは逆 に外部熱 葉境 の向上 につ なが る一方 で、相対湿度の低下が進 み、冬 期 にお け る都 市の乾燥化 が一層進 む と考 え られ る。 よつ て、屋上緑化は都市の相対湿度 を上昇 させ、乾燥化 を防 ぐ のに有効 である と考 え られ る。なお、夜間の最低温度 は コ ンク リー ト表面 が 1.9℃ 、土表面が 3.2℃ であ り、ほぼ同 程度 であつた。 図 7に コンク リー ト表面、水面 下150mm、 土表面下 150mm の温度変化 を示す。 2月11日にお ける夜間の最低温度は ヨンク リー ト表面が 3.3℃ 、土表面下15011Ⅲlが5,5℃ 、水面下 150mmが 6.4℃ で あつた。これ よ り、夜問の最低温度 は土表 面下15(lmmと 水 面下 150mmが コンク リー ト表面 よ り高 く、屋 上緑化 の設置 が夜間にお ける建物の温度低下抑制 に有効 であることを示 して いる。 また、2月 11日の 日較差は コンク リー ト表面が20。3℃ 、 土表面下 150mmが 5.6℃ 、水面下 150mmが 9.4℃ であ り、コ ンク リー ト表面は土表面下150mmの約4倍、水面下150臣lln の約2倍であつた。これ よ り、冬期 においても、屋上緑化 を行 うことによつて屋根 スラプの温度変化 が小 さくなるこ とか ら夜間のの温度 低下が小 さく、建物最 上階の暖房時立 ち上が り時の熱負荷低減 に も寄与す る と考 えられ る。 その効果 は屋上緑化の中でも、土表面下150mlllの 日較差 が水面下 150mmの 約半分であることか ら、スラブ上面が植 生部 のほ うが大きい。 表4に2月 11日 の各部温度の最 高、最低、平均、 日較差 をま とめ る。4植
生および確認 され た小動物 ビオ トープ型屋上譴 ヒに値栽 した植物 を表 5に 示す。植 栽 の設置lヶ月後 と1年後 の状況 を写真2、 31こ示す。 ミツハ ギ、サギゴケな どの湿lナL植 物や木本頚 であるム ク グは植 生 した年 と1年 後 に も花 を咲か した。これは本 シス テムでは水 が池 か ら十分 に供給 され るためであ り、本 シス テムが冊 陛′に物や木本類の生育 に も有効であることが確認 され た。D E′
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コンク リー ト 表面 土表 面 土表 面下 150mm 11.5 7.4 8.2 23.6123
11.1 3.3 4.6 55 7.7 5.6 20.3 9。4ム 表
5
ビオ トープ型屋上緑化植栽 ミツハ に示す。ビオ トープ型屋上緑化 では、意図 して池に放 した メダカ以外に様々な小動物が確認 された。これは池が種々 の小動物の生育環境 として有効であつたため、小動物が飛 来 してきた と推測 される。 飛来 したと考えられないヒメモノアラガイや ミミズに関 しては、植栽 した苗についていたものが成長 し、生存 して いると考えられ る。 メダカは産卵 を行い、メダカの世代交代が行われたのが 確認 された。 ヽ動物 、ク ロー′ミー、 り カ ゼ 草本類 ンスケ、キチジョウンウ、カヨン、ガマ、ヒメンル ンバ、 ヨ ブ ン 写真2
ビオ トープ型設置lヶ月後 写真3
ビオ トープ型設置 1年 後 ク ローバー は平成13年7月 の記録的な猛暑 とその直前 に行 つた刈 り込みの影響 によつて、池 か ら離れた個所のク ローバーが一時弱つたため、その時期 に地表 か らの灌水 を 行 つた。暑 さが少 し和 らいだ8月 末 にはクローバー の新芽 が現れ てお り、 これか らは順調 に生育す る と思われ る。 技術研 究Fノ〒の屋上緑化 において確認 された小動物 を表6 土 (上表 面、土 中) ア 池 (水面 、水 中) ン 5。 ま とめ ビオ トープ型屋上緑化の熱特性の実測 と植生並びに小動 物 の検証 を行 い下記 の 内容 がわかつた。 ① 夏期 において、屋上緑化の土表面温度は ヨンク リー ト 表面温度 よ り温度 が低 く、屋上緑化は ヒー トアイ ラン ド現象 の対策 として有効である と考 え られ る。 ②屋上緑化は外気が建物最上階に与える影響を低減す る ため、建物最上階の安定 した熟環境の形成に貢献する と考えられ る。 ③夏期 と冬期を通 じて、日中は水面下150Hullよ り上表面下 150mⅢ lのほ うが温度は低 く、夜間は同程度の温度 となる こ≧がわかった。 ④池 を設置す ることで多様な小動物が飛来 し、生息す る ことを確認 した。 ⑤本潅水システムを使用することで、 ミノハギなど湿地 性の植物を屋上で生育できることを確認 した。 今後 は潅水方法の改善や水量の安定化お よび屋上緑化 を 設置 した建築物 における最上階住戸の熱負荷低減効果 をシ ミュ レー シ ョンにて検討す る予定である。 トー ン ヨ モ フ 今考文献 l〕斎藤武雄 :都市温暖化の現状,日本構会学会誌,Vol.94,No 869,ppll-15,1991年 4月THE THER"fAL PROPERTY AND BIOLOGICAL CONDTION ON BIOTOPE ROOF GREEN
AFukudtt YOgusL S,Nakamutt N kato
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