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Academic year: 2021

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(1)

欧州経済回復の実態

Fujitsu Research Institute

Dr. Martin Schulz

[email protected]

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1

概要

欧州経済の回復ペースは速まっている

– ドイツ、スペインが主導

長期展望-再工業化

欧州経済危機 の副作用 –東部諸国の問題

– トルコ、ウクライナ

財政改革 – 付加価値税の影響

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE 1

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欧州の工業生産指数は回復傾向を示している

GDP成長率は依然として低いままではあるが、工業生産指数 (IP) と 購買

担当者景気指数(PMI) は回復しており、欧州全体の経済をゆっくりと牽引

している

GDP成長(YoY; 2003=100) 92 94 96 98 100 102 104 106 108 08 /0 3 08 /0 6 08 /0 9 08 /1 2 09 /0 3 09 /0 6 09 /0 9 09 /1 2 10 /0 3 10 /0 6 10 /0 9 10 /1 2 11 /0 3 11 /0 6 11 /0 9 11 /1 2 12 /0 3 12 /0 6 12 /0 9 12 /1 2 13 /0 3 13 /0 6 13 /0 9 13 /1 2 PO US GE FR UK JP EMU SP 0 5 10 15 20 25 UK GE EMU JP US 購買担当者景気指数: PMI (成長 2013.08-2014.02)

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-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 3

リスク: 日本、米国、スペインにおける景気と危機の比較

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

Source: Data from Bloomberg (2013).

% GD P Gap 米国 (2000-2014) 日本バブル (1985-1991) スペイン (2001-2013) % GD P Gap 日本金融危機 (1992-1997) 不良債権危機 (1998-2002) 2 0 0 0 2 0 0 2 2 0 0 4 2 0 0 6 2 0 0 8 2 0 1 0 2 0 1 2 2 0 1 4 2 0 1 6 2 0 1 8 1 9 8 4 1 9 8 6 1 9 8 8 1 9 9 0 1 9 9 2 1 9 9 4 1 9 9 6 1 9 9 8 2 0 0 0 2 0 0 2 GDPギャップ: 1990年代日本と 2000年代の米国、スペイン  日本: 好景気→ 大不況→ 高い財政支出→ 満足のいかない回復  米国: 好景気(バブル)→ 大不況→ 高い金融 及び財政支出→ 回復  スペイン: 長期好景気→ 超大不況→ 低公共支出→難しい構造改革 3

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90 140 190 240 290 340 1980/ 12 1982/ 02 1983/ 04 1984/ 06 1985/ 08 1986/ 10 1987/ 12 1989/ 02 1990/ 04 1991/ 06 1992/ 08 1993/ 10 1994/ 12 1996/ 02 1997/ 04 1998/ 06 1999/ 08 200 0/ 10 200 1/ 12 2003/ 02 2004/ 04 2005/ 06 2006/ 08 2007/ 10 2008/ 12 2010/ 02 2011/ 04 2012/ 06 2013/ 08 2014/ 10

2015年までに財市場回復の兆し

固定資本投資 (1980=100)

スペインの固定資本投資は回復の兆し

アメリカ スペイン 日本 ドイツ

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工業生産指数の引き上げには輸出主導型の成長が必要

輸出成長率 (%; 2012-2013) Source: BBVA (2013, 2014).  価格競争力の上昇により、スペインの輸出が増大する  投資が国内経済を牽引するはず  GDPと賃金増加はその後 に続く  ただし、持続的な成功のためには、スペインの“新しい”市場が必要 スペインの輸出&投資成長性 Export Investment 5

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北部と南部のバランスを取り戻すことが欧州経済回復の鍵

南部の成長のためには、構造改革とより高い競争力が必要

 スペインの実質的な通貨切り下げ(デフレ)と輸出拡大がヨーロッパ南部の復 調の道筋を示している

南部の経済を牽引するために北部の需要増大が必要

 ドイツの拡張的金融政策や財政政策は需要を拡大させ、設備投資を後押し

欧州危機から6年経過、経済回復の可能性は高い(循環的)

 国際競争力は強くなり、政策はさらに拡張的に

日本のような“不良債権”危機は起こりにくい

 南部では企業の倒産や不良債権の増加が予想されるものの、再び北部から 南部へと資金が流れ始め、南部の企業や“不良債権”の買収などの買収に向 かっている

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80 100 120 140 160 180 200 220 240 1989 1991 1994 1996 1999 2001 2004 2006 2009 2011 2014 US GE IR IT JP FR UK SP 7

コスト管理はしっかり行われている

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

Source: Bloomberg; OECD (2014).

単位労働コスト(1991=100)

米国 ドイツ アイルランド 日本 イタリア 7 スペイン UK

欧州物価動向 (GDPデフレーター)

80 85 90 95 100 105 110 115 08 /1 2 09 /0 8 10 /0 4 10 /1 2 11 /0 8 12 /0 4 12 /1 2 1 3 /0 8 14 /0 4 14 /1 2 15 /0 8 ドイツ アイルランド イタリア スペイン

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欧州の物価と生産力の動向は逆転している

 南部の労働コストは低下傾向にある中、企業リストラが生産性を上げている -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 EZ Ger many Ir ela nd Spa in Fra nce Italy NE Por tug al Fin lan d Taxes Profit Productivity Wages Deflator

インフレ変化の要因(GDPデフレーター)

1999-2008 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 EZ Ger many Ir ela nd Spa in Fr an ce It al y NE Por tug al Finland 2009-2013

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-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 19 95 19 95 19 96 19 97 19 97 19 98 19 99 19 99 20 00 20 01 20 01 20 02 20 03 20 03 20 04 20 05 20 05 20 06 20 07 20 07 20 08 20 09 20 09 20 10 20 11 20 11 20 12 20 13 20 13

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

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欧州の新しいバスワード:再工業化

スペイン

Source: Data from Bloomberg.

工業生産&GDP 成長率 (% yoy) -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 19 95 19 95 19 96 19 97 19 97 19 98 19 99 19 99 20 00 20 01 20 01 20 02 20 03 20 03 20 04 20 05 20 05 20 06 20 07 20 07 20 08 20 09 20 09 20 10 20 11 20 11 20 12 20 13 20 13 IP GDP  多くの欧州諸国とは異 なり、 ドイツの成長基盤 は、工業生産と輸出  多くの欧州諸国は、ドイ ツの成長モデルを真似 しようとしている  つまり、産業の強みや 輸出競争力の拡大に注 目 ドイツ

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持続的な輸出主導型の成長は可能か

遅れをとっていた地域の輸出  南部で遅れをとっていた諸国の輸出が増大し、北部の輸入が増えていることでもわかる ように、欧州はバランスを取り戻している  サービス輸出(旅行業、ビジネスサービス)や新たな地域(アジア、ラテンアメリカ)におけ る“輸出の多様性”が主な手段のひとつになっている  企業は特化を進めることや巨大なヨーロッパ市場での取引き拡大により利益を得ている 欧州諸国のリバランス(%; 2008-2013)

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Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

スペイン経済の回復

スペインは景気急落後、徐々に回復している。低水準ながら景気に対す

る楽観論が広がっている

 銀行は厳密な“ストレステスト”を行った。徐々に“新規”の信用供与が可能になり、投資 回復をサポートしている  安い人件費により、新規マーケットを開拓できる輸出が成長の原動力

2回の長期不動産バブルを経て、スペインは土木建築、イン

フラ基盤やビジネスサービスに強くなった

 スペインの製造業は、過去には国内需要に甘んじ、国内市場のみに目を向けていたが 、今は国際競争力に注目しなおしている  ラテンアメリカや中東とグローバルな比較優位に基づく“再工業化”  港湾、高速鉄道、自動車道路での技術やインフラ整備の輸出 • (例:パナマ運河)  ビジネスサービスは広がりをみせており、学生の急速な国際化が進んでいる 11

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0 50 100 150 200 250 2007.12 2008.12 2009.12 2010.12 2011.12 2012.12 2013.12 RollsRoyce (UK) Schneider (France) Hitachi (Japan) ABB (Swiss) Siemens Germany) GE (US)

欧州の多国籍企業成果2007-2014

大企業株価(米ドル; 2008.01=100)

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0 100 200 300 400 500 600 700 Germany Swiss France UK US EU Japan Italy CAGR: 16%

欧州の強い中堅企業成果 2002-2014

Source: Data from Bloomberg

中企業株価(米ドル; 2002.01=100)

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

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欧州危機の副作用- 東ヨーロッパ問題(トルコ、ウクライナ)

 欧州危機と内政問題により、東側の境界地域に対する戦略と方針が失われた  トルコはユーラシアにおける自らの役割を必死に模索している(中所得国の罠)  ウクライナは西部が親欧州、東部が親ロシアに分かれている  東ヨーロッパの成長のためには、ロシアと中東との友好関係が必要 ロシア影響圏 米国影響圏 欧州

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Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

欧州とロシアはエネルギーと貿易において依存関係にある

 ドイツではガスの40%、石油の35%がロシアからの輸入  ロシアのガス輸出70%がヨーロッパ向け  ドイツ-ロシア貿易 2005年~2013年: +40%  ドイツ輸出の5%がロシア向け、ロシア輸出の30%がドイツ向け ドイツの対ロシア輸出  第11位の貿易相手国  機械類 23%  自動車、部品 22%  電子機器 16%  化学品 14% ロシアの対ドイツ輸出  第3位の貿易相手国  全ガス輸出の24% 15

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50 60 70 80 90 100 110 120 2007/10 2008/10 2009/10 2010/10 2011/10 2012/10 2013/10 30 80 130 180 230 07 /0 9 08 /01 08 /05 08 /09 09 /01 09 /05 09 /09 10 /01 10 /05 10 /09 11 /01 11 /0 5 11 /09 12 /01 12 /05 12 /09 13 /01 13 /05 13 /09 ルーマ ニア ポーランド スロバキア

中欧

東欧

欧州危機の東部の成長拠点に対する危機影響の遅れ

 長期的な危機の経て、欧州は未来志向の戦略と将来市場に再び目を向ける必要がある と認識している  東部(ロシア、トルコ、イラン)と米国(FTA相手国)との外交が再び重要な議題になる  日本には、欧州、ロシア、トルコ、アラブ諸国、イラン(潜在的)とのパートナー関係の強化 とFTAの好機がある 為替USDレートが下落 経常収支成長が鈍化 Ruble Euro トルコLira トルコ ドイツ

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 2013年4月商業活動を展開している1000社の雇用効果  日本企業はドイツに84,000人の従業員がおり、強いプレゼンスと大きな製造規模がある  日本企業はビジネスサービスを強化して製造拠点を南部と東部にシフトすることにより、 巨大なヨーロッパ市場開拓に挑戦するための基盤をドイツに持っている ドイツでの投資件数 (企業活動 2008-12) ドイツにおける日本のプロジェクト (企業活動 2008-12)

日本企業は変わりなくドイツへの投資を継続している

17 Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

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ドイツにおける日本企業の最近の動向

M&A、技術提携、情報収集拠点新設を中心に展開

1)M&A展開: 海外企業による自国企業へのM&Aに抵抗小さい?

・ドイツ企業のリソースを取得してドイツ及び欧州市場へ

例:楽天、LIXILグループ

・生産拠点の確保

例:日本水産、森永乳業

・ドイツ企業の有する優れた技術の獲得

例:HOYA、安川電機

・インフラ事業展開

例:三菱商事(海底送電の事業権取得)

2)日独戦略アライアンス

・共同研究・技術開発・実証実験・コンサル提携など

例:トヨタ、TOTO、伊藤忠テクノロジーソリューションズ

3)新規事業のための情報収集拠点設立

・事務所設立

例:沖電気、日本ハム

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-100 0 100 200 300 400 500 0 50 100 150 200 250 300 2003/ 07 2004/ 01 2004/ 07 200 5/ 01 2005/ 07 2006/ 01 2006/ 07 2007/ 01 2007/ 07 2008/ 01 2008/ 07 2009/ 01 2009/ 07 2010/ 01 2010/ 07 2011/ 01 2011/ 07 201 2/ 01 2012/ 07 2013/ 01 19

低コスト・高コストパフォーマンスに需要がシフト

Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

Source: Data from Bloomberg (2013).

国別ヨーロッパへの輸出量(2003=100)

低コスト製品(中国)、原料・部品(米国)の輸入が増加

日本製品(機械・自動車)は厳しい市場競争に挑むことになる

米国 日本車 中国 日本 China US, Japan 19

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回復は高いポテンシャルを持った長期プロセスである

欧州の長期見通し

 内部の改革、つまり銀行同盟とサービス市場の統合(労働市場の再編を含む) は成長の鍵であるが、それは欧州全体のゆるやかな統合歩調に依存する  ドイツとスペインは積極的に前に進んでいるが、欧州全体の成長と再編のスピ ードは、二の足を踏んでいる“中間所得国”代表であるフランスやイタリア次第  ヨーロッパは輸出増で成長したいが、悪化した南部と東部諸国の関係の修復が 必要

欧州における日本の投資が再び拡大している

 日本の投資は景気の良いドイツでは拡大しているが、改革中の南部、東部ヨー ロッパでは進んでいない。  欧州諸国の改革にチャンスを求めることは、日本企業にとっての優先課題とな る:日本企業は再編に関しては豊かな経験を有しており、欧州全体の再編が進 む中、日本は優位な立場にある(例:日産ルノー、Lixil-Grohe)

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Copyright 2014 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

欧州経済の改革:付加価値税(VAT)

 イタリア、フランスでは社会保障費増加の影響を和らげるために、ドイツ、英国では法人 税率切り下げとバランスをとるため、消費税率が引き上げられている  グローバル化が急速に進むヨーロッパでは、法人税率の設定は高い競争力にさらされ、 VATが代替手段となっている 法人税率は減少 消費税率は上昇 21

Source: Baker & McKenzie (2013).

OECD イタリア ドイツ UK US フランス OECD ドイツ UK フランス

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付加価値税(VAT)の影響

付加価値税率上昇によるマイナスの影響はあまりなかった。企業は以下の方法

で価格の影響を吸収した。

 増税前の値上げ (需要を取り込むため)  増税後に値上げ (競合他社から市場シェアを奪うため)

ヨーロッパは高社会保障によるサポートが充実しているため、所得配分への影

響は小さかった

特に輸出企業は、社会保障費や所得税に比べて付加価値税を好む傾向にある

。なぜなら直接税ではなくVATであれば、税のより安い国への輸出を選択できる

低効率な高付加価値企業(例えば、高い人件費とサービスコストの百貨店)は、

強固なサプライチェーンを持つ高効率のメーカーやディスカウント店に比べて、よ

り高い価格設定と税率を強いられる

日本は、消費税増税の後、ヨーロッパと似たような状況になる可能性がある。つ

まり割引をする店ばかりが増え、(高額)サービスが減る

(24)

参照

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