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Vol.28 , No.1(1979)047大島 啓禎「『維摩経玄疏』をめぐる二、三の問題」

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Academic year: 2021

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(1)

﹃ 維 摩 経 玄 疏 ﹄ を め ぐ る 二、 三 の 問 題 ( 大 島)

二、

晋 王 広 の 要 請 に 応 じ て 智 顎 は 維 摩 経 の 注 釈 を 著 わ し、 そ の 玄 義 分 ・ 釈 文 を 三 回 に 亙 つ て 献 上 し た。 即 ち 第 一 回 は ﹁浄 名 玄 義 十 巻 ﹂ ( 前 玄 十 巻 ・ 十 巻 玄 義)、 第 二 回 は ﹁ 新 治 六 巻 ﹂ の 玄 義 と 文 句 八 巻、 第 三 回 は 智 顎 滅 後 に 現 行 の 玄 疏 六 巻 と 文 疏 二 十 五 巻 を 献 上 し た。 こ の 中 ﹁ 前 玄 十 巻 ﹂ は、 そ の 離 出 本 で あ る 大 本 ﹃ 三 観 義 ﹄ ﹃ 四 教 義 ﹄ に よ つ て 内 容 の 一 部 を 伺 う こ と が で き る。 と こ ろ で、 現 行 の ﹃ 維 摩 経 玄 疏 ﹄ は ﹁ 前 玄 十 巻 ﹂ を 再 々 治 し た も の で あ る が、 離 出 本 の 大 本 両 義 書 と 対 照 す る と ﹃ 玄 疏 ﹄ が 大 幅 な ﹁胴 削 ﹂ を 経 て 修 治 さ れ た こ と が わ か る。 全 体 の 量 を 比 較 し て も ﹃ 玄 疏 ﹄ の 三 観 解 釈 は 大 本 の 約 半 分、 四 教 分 別 は 実 に 大 本 の 四 分 の 一 強 に 棚 削 さ れ て い る。 確 か に 削 減 ・ 省 略 さ れ た 箇 所 は 多 い が、 単 に 全 体 を 削 つ た だ け で は な く、 現 存 す る 維 摩 経 玄 義 分 に は 少 し 複 雑 な 操 作 が 加 わ つ て い る よ う で あ る。 そ こ で、 ま ず こ の ﹁ 冊 削 ﹂ の 性 格 に つ い て 注 意 し て み よ う。 初 め に 取 り 上 げ る の は ﹃ 玄 疏 ﹄ 巻 2 ﹁ 三 観 解 釈 ﹂ の ﹁ 第 五 成 諸 乗 義 ﹂ に 於 け る ﹁ 不 思 議 十 法 成 観 行 即 ﹂ の 説 示 ( 大 正38, pp. 530-531b) で あ る。 ﹃ 三 観 義 ﹄ の こ れ に 対 応 す る べ き 箇 所 の 説 示 は 全 く 異 り 遙 に 詳 細 で あ る。 従 つ て ﹃ 玄 疏 ﹄ の 説 示 は ﹃ 三 観 義 ﹄ の 対 応 部 分 の 簡 略 化 で は な く、 実 は ﹃ 四 教 義 ﹄ 巻 11 ﹁ 円 教 明 位 ﹂ 中 に 説 か れ る 十 法 の 説 明 ( 大 正46, pp. 761c-762b) と ほ ぼ 同 文 で あ る。 つ ま り、 十 巻 玄 義 を 修 治 し た 際 に 十 法 の 重 説 を 避 け て、 本 来 は 四 教 義 中 に 含 ま れ た 説 示 を 三 観 解 釈 中 に 移 し、 簡 略 化 を 果 し た の で あ る。 こ の 例 は 六 巻 玄 疏 新 治 に 於 け る ﹁ 側 削 ﹂ の 一 性 格 と し て 注 意 す べ き も の で あ ろ う。 次 に、 現 行 の 大 本 両 義 書 よ り 見 て ﹃ 玄 疏 ﹄ す べ て が 棚 削 整 理 さ れ た と 言 え る か 検 討 し よ う。 そ れ は ﹃ 四 教 義 ﹄ 巻 3 の 第 三 大 段 ﹁ 四 門 入 理 ﹂ の 位 置 の 問 題 で あ る。 ﹃ 玄 疏 ﹄ 巻 3 の 四 教 分 別 章 で は こ の 一 段 を 全 く 欠 い て お り、 巻 6 の 弁 体 章 ﹁第 三 入 実 相 門 ( 明 四 門 入 体) ﹂ ( 大 正38, pp. 557a-558c) で 四 門 入 理 段 の 前 三 意 を ほ ぼ 同 文 の ま ま 説 い て い る。 そ れ で は 十 巻 玄 義 か ら 六 巻 玄 疏 に 修 治 し た 際 に、 四 教 義 中 に 含 ま れ て い た 四 門 入 理 段 を 弁 体 中 に 移 し た の か と 言 う と、 そ う で は な い よ う で あ る。 そ れ は 四 門 に 関 し て ﹃ 四 教 義 ﹄ 中 に 次 の 問 題 点 が 存 す る か ら で あ る。 (1) ﹃ 四 教 義 ﹄ に は 弁 体 章 に 所 説 を 譲 る 指 示 が ニ ケ 所 存 し、 い ず れ も 四 門 の 解 説 で あ る (大 正46, p. 732a. p. 747b)。 そ れ 以 前 の 四 門 入 理 段 で 四 門 を 詳 説 し て い な が ら、 改 め て 弁 体 中 に 説 明 を 譲 る の は 奇 異 で あ る。 し か も 玄 疏 六 巻 に 修 治 さ れ た 結 果、 弁 体 中 の 説 明 に ﹃ 四 教 義 ﹄ の 四 門 入 理 を 用 い て い る の で あ る か ら、 十 巻 玄 義 の 弁 体 に 説 く 四 門 と は 果 し て い か な る も の か 理 解 で き な い。 (2) こ の 四 門 入 理 段 の 第 四 明 約 十 法 成 四 門 義 に ﹁ 十 法 名 目 具 如 二 前 出 一﹂ (p. 731a) と あ る。 と こ ろ が ﹃ 四 教 義 ﹄ の 他 所 で は こ の 十 法 に 関 し て、 ﹁ 名 目 具 如 二並 型 二 観 中 弁 こ (p. 734a)、 ﹁ 名 字 如 二 払型 二 観 中 説 こ (p. 761c)、 ﹁ 如 二 革型 二 観 中 説 こ (p. 762c) と 言 う。 三 観 義 中 の 所 説 を 指 示 す る の は、 構 成 上 ﹃ 三 観 義 ﹄ が 先 行 す る か ら 当 然 で あ

(2)

-174-る。 し か し、 四 門 入 理 段 中 の ﹁ 具 如 二 前 出 こ は こ れ ら と 異 な り、 し か も ﹃ 四 教 義 ﹄ に 於 け る 十 法 の 初 出 で あ る に も か か わ ら ず ﹁ 三 観 ( 義) ﹂ の 名 を 挙 げ な い。 こ れ は い か に も 不 都 合 で あ ろ う。 (3) 前 項 と 同 じ 箇 所 を 結 ぶ 際、 ﹁ 若 偏 取 二 四 門 一執 謬 二戯 論 一不 レ 得 二 十 法 入 道 意 一者、 為 二邪 見 之 火 所 ワ 焼 也、 ⋮⋮是 事 前 於 二 四 教 中 一已 処 処 分 別 也。 ﹂ (p. 731b) と 言 う が、 こ の ﹁ 前 於 四 教 中 ﹂ は 十 巻 玄 義 に 於 け る 四 教 分 別、 即 ち 大 本 ﹃ 四 教 義 ﹄ を 指 す も の と し か 考 え ら れ な い。 因 に 四 門 に つ い て 偏 取 す る こ と を 戒 め る 箇 所 は、 第 四 大 段 ﹁ 明 判 位 不 同 ﹂ に 於 い て 四 教 各 位 を 説 く 冒 頭 に 繰 り 返 し 述 べ ら れ て い る

(p. 732a, p. 747b, p. 752a, p. 760a)。

凡 そ 一 章 の 中 に そ の 章 名 を 挙 げ て 説 を 譲 る な ど と い う こ と は あ り 得 ず、 し か も 以 後 の 所 説 を 指 し て ﹁ 前 於 二 四 教 中 一已 処 処 分 別 也 ﹂ と 言 う の は 矛 盾 で あ る。 以 上、 問 題 点 を 三 つ 挙 げ た が、 こ れ ら を 納 得 い く よ う に 説 明 す る に は、 こ の 四 門 入 理 段 が 本 来 は 十 巻 玄 義 の 四 教 分 別 中 に で は な く、 弁 体 中 に 説 か れ る べ き も の と し て 著 わ さ れ て い る と 考 え ざ る を 得 な い。 弁 体 中 の 所 説 と し て 著 わ さ れ た も の な ら ば、(1) で 四 門 に 関 し て 弁 体 を 指 示 し 説 明 を 譲 る こ と は 当 然 で あ り、(2) で 既 に 弁 体 章 以 前 に 十 法 が 繰 り 返 し 説 か れ る か ら ﹁ 如 前 出 ﹂ ・ で 不 都 合 な く、(3) で ﹁ 前 於 四 教 中 ﹂ と そ れ 以 前 の 四 教 分 別 段 を 指 示 す る こ と も あ り 得 る、 即 ち 三 つ の 問 題 点 の 説 明 も つ く の で あ る。 十 巻 玄 義 に 弁 体 章 ま で 備 つ て い た と 論 証 す る も の で は な い が、 こ こ で は ﹃ 四 教 義 ﹄ の 四 門 入 理 段 が、 玄 疏 六 巻 に 新 治 さ れ た 際 に 側 削 さ れ た り 弁 体 中 に 移 さ れ た り し た の で は な く、 本 来 か ら 弁 体 中 に 説 か れ る 予 定 で 著 わ さ れ て い る と 主 張 し、 ﹃ 四 教 義 ﹄ 離 出 の 際 に 第 三 大 段 と し て 加 え ら れ た の で あ ろ う と 推 測 す る。 そ し て こ の 点 も ﹃ 玄 疏 ﹄ の 欄 削 を 考 え る 上 で 注 意 す

る。

く、

た。

5

る。

は、

る。

中、

(

⋮⋮年)

本、

(

年)

る。

し、

訂、

(1740

年)

い。

か。

(

﹄)

秋、

二延

一改

る。

5

⋮⋮従

一方

二訂

(

三、

2

左)

る。

は、

5

い。

し、

い。

38

る。

(

続)

5

⋮⋮此

⇔ 認 頁 下 段 11 行 目 ﹁ 方 字 訓 一 字 或 二 訓 ⋮⋮﹂ -即 頁 上 段 18 行 目 ﹁ ⋮⋮故 三 塵 不 得 ﹂ ⇔ 認 頁 中 段 5 行 目 ﹁ 是 経 者 法 華 明 ⋮⋮﹂ -認 頁 下 段 11 行 目 ﹁ ⋮⋮四 明 約 観 心 即 是 善 語 ﹂ ⇔

18

⋮⋮﹂

﹃ 維 摩 経 玄 疏 ﹄ を め ぐ る 二、 三 の 問 題 ( 大 島)

参照

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