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大学教育改革と秋入学

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Academic year: 2021

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(1)

大学ガバナンスの課題

小林雅之 東京大学

大学総合教育研究センター

(2)

 現在の大学教育改革の動向  高等教育改革政策の展開  中教審と大学改革実行プラン  大学ポートレート(仮称)  学生支援政策  展望と課題 2

報告の内容

(3)

 規制から緩和へ  量から質的転換へ  マクロからミクロへ  グローバル化  学生・研究者の移動(インバウンドとアウトバウンド)  質保証の重要性  大学評価と大学ランキングの隆盛  学士課程教育  質保証  プログラム化  教学マネジメント  残された課題  ガバナンスと財務基盤の強化 3

過去20年の大学改革の動向の特徴

(4)

 18歳人口の減少  公財政支出の逼迫  大学進学率の上昇(マスからユニヴァーサルへ)  多様な学生層の入学  グローバル化の進展  進まない生涯学習  大学改革の20年 改革の進展の歩みの遅さ  変わらない大学?への批判  形式化の進行 4

大学改革の背景

(5)

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高等教育政策

 1948から1960年 規制  1961から1975年 規制緩和 届け出制  1976から1990年 規制 定員抑制  1991年から 規制緩和 大学設置基準の大綱化  近年 規制?マクロからミクロへ

(7)

 1998 大学審議会「21世紀」答申  2000 大学審議会「グローバル化」答申  2002 中教審「新しい時代の教養教育の在り方について」答 申  2002 中教審「大学の質の保証に係る新たなシステムの構 築について」答申  2005 中教審「我が国の高等教育の将来像」答申  2008 中教審「学士課程教育の構築に向けて」答申  2012 文部科学省「大学改革実行プラン」  2012 中教審「学士課程教育の質の転換に向けて」答申 7

高等教育改革政策の展開

(8)

 高等教育の機能別分化  全学的教学マネジメント  カリキュラムのプログラム化  ガバナンス改革  多くの改革の小道具  学士力  FD  シラバス・ティーチングポートフォリオ・学習ポートフォリオ  ナンバリング  単位の実質化  教育方法の改善(双方向授業、アクティブ・ラーニングなど)  授業外の学習時間(主体的な学習)の確保 8

中教審の大学改革政策

(9)

 1998年 大学審議会「21世紀の大学像と今後の改革方策について」  2004年国立大学法人化  2005年私立学校法改正  2012年3月経済同友会 「私立大学におけるガバナンス改革」  2012年6月文部科学省「大学改革実行プラン」  2012年8月中央教育審議会「質転換」答申  2013年自由民主党 「国家戦略本部 第6分科会(教育)」  2013年5月教育再生実行会議(第3次提言)  2013年6月骨太方針  2013年6月日本再興戦略  2013年6月第2次教育振興基本計画  2013年6月〜 第7期中央教育審議会大学分科会組織運営部会 9

大学ガバナンス改革の提言

(10)

 文部科学省教育改革プロジェクトチーム策定  遠山プラン(「大学(国立大学)の構造改革の方針」20 01年)に似た性格  中教審の審議とは別  2013年 第2次教育振興基本計画  これらは相互に関連しているが、別のもの 10

2012年6月

大学改革実行プラン

(11)

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(12)

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(13)

大学のガバナンス

 組織の統治  自発性  意思決定システム  大学のミッションを元に合意形成をはかる  様々なステークホルダーの存在  理事会、教員、学生、保護者、職員、納税者、産業界、地域社 会など  信託(トラスト)と公共性ー大学のミッション  組織をワークさせる(マネジメント)をワークさせる  リーダーシップ 13

(14)

アメリカの大学の

シェアード・ガバナンス

 理事会と執行部と教員、さらにそれらの中での役割と権限、 意思決定過程が明確。  (1)理事会 ガバナンス 長期的視野、マネジメントを支える  (2)執行部 マネジメント 短期的視野、日常的なルーティン ワーク  日本では大学経営にガバナンスとマネジメントが含まれ、区別 されていない(両角 2001)  (3)教員 教学面についてほぼ決定権、理事会から委任、 理事会承認など、形式は様々 14

(15)

ガバナンスとマネジメント

 ガバナンスは「(変化を)実行するための仕組みを作ること」、マネジメントは 「作られた仕組みの下で実行すること」とここでは定義する  「理事会の役割はガバナンスであり、ガバナンスとマネジメントは異なる世界である。ガ バナンスは以下の責務を指す。大学のミッションと目標を承認する、政策と手続きを承 認する、学長を任命、レビュー、支援する、プログラム,活動、資源を監督。マネジメント は、理事会の承認した政策と手続きの範囲内で、大学の効果的な運営、目標の達成、 資源の効果的な使用、教育、研究、サービスの最高水準の創造的支援を含んでいる」 (フランク・ローズ、前コーネル大学学長)  「理事会の理事あるいは理事会そのものが、例えば学長に対して誰を特定のポジショ ンのために雇うべきか雇うべきでないかということを提言した場合、これはマネジメント に入っていきます。理事会が人選にあたりこういった基準を満たして下さいというのは ガバナンスです」(リチャード・ウッド サザンメソジスト大学理事) 15

(16)

 ガバナンスとマネジメントが有効に機能するようなインフラ が整備されている。  意思決定システム  理事会を支えるインフラ  レビュー  戦略的計画  財務シミュレーション  IR(インスティチューショナル・リサーチ)  エンロールメント・マネジメント  ベンチマーキング など

ガバナンスとマネジメントを支える

仕組み・ツール

16

(17)

 制度や法の改正だけでは不十分(例 2004年の国立 大学法人化、2005年の私立学校法の改正)  サポート体制など実質的な改革が不可欠  国公私立大学さらには大学ごとに状況が異なることを 十分に考慮する必要がある  エビデンス・ベースの議論が重要  国内大学の調査及び海外大学の調査  大学情報の公開など、大学の説明責任と透明性の確 保が重要(大学が何をしているか、外からわかること) 17

日本の大学のガバナンス改革の方向

(18)

18

24 26

P17 (出典)文部科学省「大学改革実行プラン」2012年6月

(19)

 学生支援  主体的な学習のためには、編入学や転学・転部などの支 援、給付奨学金が重要  授業料の高騰のため、高等教育機会の均等が脅かされ、 給付奨学金が重要となる  限られた財源 所得連動型返済スキームの導入が必要  大学の財務基盤の強化  大学ガバナンスとの関連 〜長期的視野の必要性 19

残されたいくつかの課題

(20)

高等教育費負担の各国比較

(21)

公的負担(補助)の2つの形態

 機関補助  私学国庫助成、国立大学運営費交付金  競争的資金補助(COE、GP、私学助成(特別助成)など)  高等教育機関の設立(国公立、公設民営、その他設立の ための補助)  個人補助  奨学金、授業料減免、寮・食堂などの厚生施設 21

(22)

22

家計の教育費負担の軽減

 学費の無償・低授業料

 給付奨学金(grants, scholarships, busary)

 授業料減免

 貸与奨学金(student loans)

 貸与奨学金の返済猶予・免除

 補助(allowances) 子育て,成人学習など

(23)

授業料・奨学金問題を考える視座

奨学金=学生への経済的支援

目的=教育機会の均等

 教育費負担の軽減とりわけ経済的困難な層に対して  有為な人材の損失を防止

教育費負担の軽減=奨学金単独でなく授業料

や生活費の問題とセットにして考える必要

各国とも急速に授業料と奨学金をセットにした

改革を進めている

23

(24)

大学財務基盤の強化

24

(25)

25 人事給与システムの改革 日本の大学の相対的地盤沈下 多くの国立大学は、法人化後も公務員型の人事・給与システムを維持 人事給与システムの大改革の断行 ・年俸制の導入を促進や9月勤務制等の脱公務員型の人事給与システム 国内外の優秀な若手研究者・専門人材に安定的常勤ポストを提示、グローバル化やイノベーション 機能の抜本的強化を加速化 若い力や海外からの人材により「大学力」を強化するために・・・ ○ 才能ある学生が博士課程に進まない傾向が強ま り、研究活力がさらに弱体化する悪循環。 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 修士修了者数 博士入学者数 入学者割合 (修士修了者と博士入学生との関係) (出典:学校基本調査) ○ 基盤的経費は専任教員人件費に充当、競争的資金 により若手研究者は任期付ポストに就く傾向 ○ 優秀な若手研究者の常勤ポスト待ち長期化が顕著 (教員在籍状況) (出典:東京大学五神教授作成資料) 19 下村博文「人材力強化のための教育改革プラン」2013年4月教育改革実行会議資料

(26)

ある大学センターの事例

1999年

26 センター 長(専任) 部門A 助教授 (専任) 助手(専 任) 部門B 教授(併 任) 助手(専 任)

(27)

ある大学センターの事例

2012年

27 センター長(併 任) 部門A 教授(専任) 部門B 准教授(専任) 特任准教授 助教(専任)任期付き 特任研究員 特任研究員 特任研究員 部門C 特任教授 准教授(専任)任期付き 特任助教 特任研究員 特任研究員 特任研究員 特任研究員 特任研究員

(28)

28

政策的インプリケーション

 大学教育改革の必要性  全学の教学マネジメント  大学のガバナンスと財務基盤の強化  奨学金とローン回収スキームの改革  情報ギャップへの対応  財務基盤の強化 外部資金や寄付などの活用も求められる  教育費の公的負担の意味=教育の公共性→大学は公共性と社会的貢献を 高めること(大学のアカウンタビリティと情報公開、大学生に対しても大学教育 の公共性の認識を求めるべき「国立大学で税金で教育を受けたという意識が ある」東大生の半数しかない。東京大学「達成度調査」)  高等教育財政の包括的検討(機関補助と個人補助の組み合わせ、教育と研 究の費用負担など)の検討  高等教育の費用負担だけでなく、初中等教育やさらには医療・福祉・年金な どの負担問題と合わせた総合的な検討が必要。

(29)

参考文献

 小林雅之 2013年「大学の教育費負担 ー誰が教育を支えるのか」上山隆大他編『大学とコス ト ー誰がどう支えるのか』岩波書店。  小林雅之編 2012年『教育機会均等への挑戦』東信堂。  小林雅之 2010年「学費・奨学金政策への提言」 『大学マネジメント』 18-23頁。  小林雅之 2010年「学費と奨学金」 『IDE −現代の高等教育』 520, 18-23頁。  小林雅之 2010年「今後における学生への経済的支援のあり方 −諸外国と比較して-」 『大学 と学生』 第88号。  小林雅之 2009年 『大学進学の機会』 東京大学出版会。  小林雅之 2008年 『進学格差』 筑摩書房。 29

参照

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