理 学 療 法 学 第
24
巻 第6
号341〜 346
頁 (1997
毎)報 告
脚 伸
展
動作
と
膝
伸
展
動作
の
運
動 学 的分 析
*一
Closed
Kinetic
Chain
と
Open
Kinetic
Chain
の違
い市 橋 則 明
1)日
高 正 己
2)浦 野 由紀
子
3
)吉 田
正
樹
4)伊 藤 浩 充
5)森 永 敏 博
1)要 旨
Closed
Kinetic
Chain
(
CKC
)
と して の脚伸
展筋
力とOpen
Kinetic
Chain
(OKC
)とし ての
膝
伸 展筋
力の違いを明
らかにする た め に,健常成
人16 名
を対象
に,最大等尺性収縮
時
の各膝屈曲角度
に お け る筋力
,筋活動
量と筋力
の相
関関係
を調べ た。 その結
果, 筋
力はCKC
で は膝 屈 曲 角度45
度, 60
度で,
OK ご
で は60 度
,75 度
で最 大値
を とっ た。CKC
にお い て, 膝が伸
展す るに従
っ て ,内側広筋
と大
腿直筋
の筋
活動
は低下
するの に対し, 半 膜 様 筋 は徐
々 に増加
し た。OKC
とCKC
の筋力
の相関
は,膝
屈曲角度 75,90 度
で高
く, 15,30
度 において は,
有 意な相 関はみ ら れ な かっ た。 これ らの結 果によ り,
脚 伸 展 動 作 と膝 伸 展 動 作 に おいて, カー
角度特性
や筋活動
一
角度特性
など に違いが み ら れ ること が 明ら か と なっ た。キ
ー
ワー
ドOpen
kinetjc
chain,
Closed
kinetic
chain , 運 動 学 的 分 析は じ め に
Open
Kinetic
Chain (OKC )
と は, 連
動
する * KinesiolegicalAnaiysis of Static Leg Extcnsion and
’
Knee Extension
1) 京都大学医療技 術短期大学部 理学 療法学科
(〒 606
−
Ol京 都 府 京 都 市 左 京 区聖 護 院 川 原 町53)Noriaki Ichihashi
,
RPT.
Tσshihiro Morinaga,
RPTi Di.
vision of Physical Therapy
,
College of Medical Tech−
nOlOgy
,
KyOtO UniverSity 2) 神戸 大 学 医 学 部Masaml Hidaka
,
RPT : Faculty of HealLh Sciences,
Kobe University Schoo置of Medicine 3) 六 甲 病 院
Yukiko Urano
,
RPT :RDkko Hospital 4) 神 戸 大 学工学 部Masaki Yoshida
,
PhD :Department of Computer andSystems Engineering
,
Faculty of Engineering,
KobcUnivers 童ty
5)神戸 大 学医学 部附属 病 院
Hirornitsu Itoh
,
RPT :Department ef Physical Thera−
py
,
Kobe University Hospital(受 付Hl996 年5月13 口 〆受 理口 1997年7月5 凵)
関節
の うち遠位部
の 関節
が自由
に動
くこと がで きる場 合 の運 動 で あ り
,
Closed
Kinetic
Chain
(
CKC
) とは, 遠位部
の関節
の自由
な動
き が外
力 により制
限 (固 定 ) されて い る よ うな場 合の運 動 で あ る とSteindler
は定義
して い る1)。 ま た,Wang
ら2)はOKC
を 非 荷 重位,
CKC
を荷
重位
で の運動
と して説
明して い る。 貝体 的に は,
椅 坐 位 で膝を伸 展 するよ うな運 動 様 式 がOKC
であり,
ス クワ ッ ト動作
の よ う に足部
を床
に接触
して荷重
下で膝を伸 展 する よ うな運 動 様 式がCKC
である。 近 年, OKC
にお ける筋 力 増 強訓練
に加え て,CKC
に お ける筋 力 増 強 訓 練 が重 要 視 さ れて き た3)。
こ れ は,
下 肢の 日常動作
の ほ と ん ど が荷
重下
で行
わ れ るこ と か ら も当 然の こ とで あり,
複 数 の関 節 運 動が組み合わ さ れ た多 関 節 運 動で あるCKC
にお ける動 作 時の カー
角 度 特 性,筋活動一
角度特性
な どを明
らか に し,OKC
とCKC
の 違342 理学療 法学 第
24
巻第6
号 いを明 確にする こと は重 要である。 下 肢 筋 力 と して測 定される筋 力の代 表 的 な もの は,OKC
にお け る膝
関節伸
展筋力
であ り, カー
速 度 特 性,
カー
角 度 特 性,
筋 活 動一
角度特性
など の報告
は枚挙
にい と ま が ない。一
方
,OKC
に比 べCKC
における筋力
は, 筋
力 測定
で きる機
器が 少ない こ と もあっ て,
股・
膝・
足関節
が同時
に伸 展 する動作
で ある脚伸展筋力
を測定
し た もの は少
ない。 脚 伸 展 動 作を調べ た報 告としては,
膝 屈 曲角度
と筋
力との関係
に関
する報告
4−
6),脚伸
展動
作時
の筋活動
量,特
に二関節筋
の筋 活 動にっ い て分
析 した報 告
7−
10 ),脚
伸 展パ ワー
を測定
し た報
告
11)12)な ど が あ る。 脚 伸 展 動 作の カー
角 度 特 性に 関して は,
膝を伸
展して い くに従い,
力が増 加 す ると した もの 6)と伸 展付
近で は低 下 すると したも の4)5)が あり,
一
致して いない。 脚伸
展 動 作時
の 筋 活 動に関して は,
山下 ら が詳 細に報 告して い る が了冖
ゆ,膝関節角度
と筋放
電 量の関係
に関
する報
告は少ない4)5)。一
方,
脚 伸 展 筋 力と膝 伸 展 筋 力の相 関 関 係 を調 べ るこ とによ り,脚
伸 展 筋 力が どの程度膝
伸 展筋
力と関 係 して い る か が わ か る。 し か し,
脚 伸 展 動 作と膝 伸 展 動 作に よる筋 力の相 関 関 係 を 報 告 した もの は少
なく13)14),
さ らに膝 関節角度
別に等
尺性
筋 力の相 関 を比 較 した もの は,
み あ た らない。そ こで
本研究
では,CKC
と して の脚伸
展筋
力 とOKC
と して の膝 伸 展 筋 力の 違い を明ら か にす る た めに,
最 大 等 尺 性 収 縮 時の各 膝 屈 曲 角 度にお ける筋 力,
筋 活 動 量と筋 力の相 関 関 係 を 調べ た。
対象
と方 法対象
は,膝関
節に障害
の既往
のない健康成
人男
性 6 名, 女 性 10 名の 計 16 名 (平 均 年 齢は 24.
6 ±4.
7
歳 )と し た。 筋 力 測 定 機 器は,
CKC
で の脚 伸 展 筋 力の測 定 に,
竹 井 機 器 製 レ ッ グパ ワー
を, OKC
で の膝 伸 展筋力
の測 定に, 川崎
重工業社製
リ ハ メイ トを 用 いた。 測定肢位
はCKC
は長
坐位 (
膝
完 全伸
展時
, 股 関 節 屈 曲75
度・
足 関 節 底 屈20 度)
,OKC
は椅 坐 位 (股 関 節 屈 曲90
度・
足 関 節はフ リー)
と し,
体 幹 及 び股 関 節 を 十分 固
定 し た。特
に レ ッ グパ ワー
に附属
の固定
ベ ル トで は,殿部
の浮
き上が り を防止
するこ と がで きない た め,
股ベ ル トと体 幹 ベ ル トを取
りっ け しっ か り固定
し ,骨盤
での代償
を防
い だ。 ま た, 足 関 節は レ ッ グパ ワー
附 属の固 定ベ ル トで ペ ダル に固定
した。膝関節
の屈曲角度
は90
,75
,60
,45
,30
,15 度
と し,収縮様式
は等
尺性
収縮
と し た。 な お,
CKC
の筋 力 測 定において は 膝 関 節の屈 曲 角 度の変 化に伴い,股関節
と足関節
の屈曲角度
は変化
し,
90
度
膝 屈 曲 位で は股 関 節 屈 曲120
度,
足 関 節 背 屈25
度と な る。各膝関節屈曲角度
におい て片脚
に て(
右下肢)
,CKC
で は脚 伸 展 動 作 を,
OKC
で は膝 伸 展 動 作 を それぞ れ最
大努
力で3 秒間維持
させ, その時
の筋
力 と筋
電図
を 記録
し た。測定時
の手
の位
置は各機
器の握 り棒
を持た せ た。 また,
測 定 順 序はCKC
とOKC
は ラ ン ダム におこない,
膝 屈 曲角度
は90
,75
,60
,45
,30
,15
度
の 順序
で等
尺性
筋 力 測 定を 行っ た。筋 電 図 は
,
日本
電気
三栄製
マ ル チテ レ メー
タ 511 を用い て,内側広筋 (
VM )
,大
腿直筋 (
RF )
, 半 膜 様 筋 (SM
) の筋 放 電 量 を 測 定 した。 表 面 筋 電 図 を 双極誘導
する た め に銀 塩化
銀 電極 2 個
を 電極中
心間 隔20mm
で そ れ ぞ れの筋 腹に取 りっ け,
アー
ス電 極は,
耳 介に貼 り付 けた。 また, 電極
貼付 部
にお け る皮膚
の イ ン ピー
ダン スが10k
Ω以 下と なる ように皮 膚 を 処 理 し,
電 解ク リー
ム が皮 膚にな じ む まで15 分程度
の問隔
をおいた後
に筋
電 図の 測 定 を行
っ た。
計
測し た筋
力と筋 電 図は,
AD
変
換して,
パ ソ コ ン (NEC
9801VM
)に入 力 し,
筋 電 波 形は全 波 整 流と平滑 化処
理 して, 整流 平滑 化筋 電
図 (RFEMG ) を求めた。VM
と RF のRFEMG
は,
OKC
で の膝 関 節 屈 曲90
度における最 大 膝 伸 展 動 作 時のRFEMG
で 除 して 正 規 化 し,
%RFEMG
を 求め,
各 筋の筋 活 動 量の指標
と し たQ同様
にSM
のRFEMG
は,OKC
での 膝 関節
屈 曲90
度
に お け る最 大 膝 屈曲動
作 時のRFEMG
を100
% と して正 規 化 した。脚 伸 展 動 作と膝伸展動作の 運動学 的分析 343 表
1
膝屈 曲角度と筋力の関係 膝屈曲角度 15 30 45 60 75 90 CKC 筋 力 (kg) 118.
2
±47.
6 139.
6
士61 .
2
1了3.
7
±72.
4 177.
3
±58.
4 140.
1±50.
O
lO6.
4±26.
20KC
筋力 (kgm
)6,
3
±L4
9 .
6
±1,
9
12.
4
±2.
7
15.
0
±3.
1
16.
2
±3,
9
14.
3
±4.
6
表2
0KC
にお け る膝屈曲角度と %RFEMG
の関係 (%) 膝 屈 曲 角 度15
30 45 60 75 90 FMRV 67.
8± 14.
5 71.
2±20.
8 64.
6± 21.
9 64.
1 ± 17.
269.
9:ヒ189 6Ll ± 21.
176.
0
± 13.
6
87.
6
ニヒ11.
9
64.
5±15.
582.
5
± 13.
2
00001
1 表
3
CKC
にお ける膝 屈 曲 角 度 と%RFEMG の関 係 (% ) 膝 屈 曲 角度 15 30 45 60 75 90 FMM RVS 13.
3±11.
2 13.
7± 9.
8 25.
7:ヒ15.
7 28.
0±17.
6 38,
8±24.
3 30、
7土23.
3 28.
4±27。
9 49.
5:ヒ32.
2 24,
9±23.
5 37.
8:辷25.
5 54,
9±2L8 80,
9±24,
7 77.
2±31.
4 100.
6±31.
1 122.
6:ヒ29.
4 19.
2ニヒ16.
8 14、
8± 8.
4 17、
3± 9.
8 結 果 表 4 CKC と OKC における筋 力の根 関 係 数CKC
とOKC
にお ける膝 屈曲角度
と筋
力の関係
を表 1
に示
し た。CKC
にお ける脚 伸 展 筋 力は,
膝 屈 曲 角 度45
,
60
度
で最大値
を示
し た。一
方
,OKC
にお け る膝 伸 展 筋 力は,60
,75
度で最 大 値 を示
し た。OKC ,
CKC
共に さらに膝 を 伸 展 する に従い筋
力は低下
し た。膝屈曲角度 15 度
にお け るOKC
筋 力は,
最大筋力
に比べ39
% と大
き な低
下 を 示 したの に対し,
CKC
筋 力は最 大の67
% で あ り,
CKC
の方
が筋
力低下
が少
なか っ た。OKC
にお ける膝 屈 曲 角 度 と筋 活 動 量の関 係を表
2
に示
し た。OKC
にお ける膝
伸 展 動 作 時のVM
と RF の %RFEMG
は,膝
が伸
展す る に 従っ て両 者と もほぼ同様
に低下
し,両筋
に大
き な 違い は み られな か っ た。一
方,
CKC
にお け る膝 屈曲角度
と筋活
動の関係
は,表 3
に示
し た よ う にVM
とRF
は,
膝が伸
展す るに從
っ て著
し く低下
し,VM
はRF
よりもすべ て の角度
におい て大
き な値
を 示 した。 また,CKC
に お けるSM
の%RFEMG
は,膝
伸筋
とは 逆に膝
が伸
展 す る に従
っ て増加
し,膝
屈 曲角度 15
度で は, SM
が伸 筋よ りも大
き な筋活動
を示
し た。 膝屈曲角 度15
30
45
60 75 90 r 0.
33
0 .
45
0,
52
0 .
51
0.
85
0.
82
*半
串
*
*
*
*
p< 0.
05,
* * p<0.
0正.
各 屈 曲 角 度における
OKC
とCK
¢
の 筋 力の相関 (
ピ ア ソ ンの相関係数
) を表4
に示 した。相
関係数
は,90
度
で は r=
0
.
82
と高
い有
意な相
関を 示し た が, 膝伸
展 する に従
い低下
し,15 度
と30
度
で は有
意 な相関関係
は み られなかっ た。
考
察OKC
で あ る膝伸展動作
は,膝関節
のみの伸展
動
作であり, その出
力は膝 関節
ま わ りの伸
展 トル ク(
kgm )
と して表される。一
方,
CKC
である 脚 伸 展 動 作は,
股 伸 展・
膝 伸 展・
足 底 屈の複 合 動作
で あ り, その出力
は足底部
に か か る重量(
kg )
と して表
さ れ る。OKC
とCKC
の筋カ
ー
角度特
性を比 較 すると,OKC
で は,75
度 付 近で最大値
を と り膝 を 伸 展 するに した がっ て筋 力は低 下 した が, CKC
で は,45
,60 度
で最 大値
をと り膝 伸 展 位で は低
下し た。脚
伸 展 動 作 と膝
の 角 度の 関 係 を344 理学療 法学 第
24
巻第6
号 調べ た報 告と して は,
船 渡4)は, 等
尺性収縮
では, 膝の 角 度が伸 展 するに従い筋
力は増加
し,30
度
で ピー
ク を と り さ らに伸
展 する と低 下 する と し,
Eloranta5
) も同 様に,
膝 屈 曲 角 度30
度で最 大 と な り,
さ らに伸 展 すると低下
する と して い る。一
方
,吉村
ら 6)は ,片脚伸
展 筋 力は15
度が最 大で 伸 展 する ほど筋 力は増 加 するとして い る。我
々の結
果は,伸展付近
で筋力
が低
下 する とい う点で, 船渡,Eloranta
と同 様で あっ た が最大値
を示
し た 角 度は,
彼 らより も屈 曲 位であっ た。
これは,
体幹
・
骨
盤の固定
に よ る影響
と考
え ら れ,
固定
が 十 分でない と骨 盤の代 償が入 り,
ピー
ク角 度が伸 展側
に移行
するの で はないか と考え た。 我々 の研 究で は, レ ッ グパ ワー
附
属の 固定
ベ ル トだ けで な く,股
ベ ル ト と体
幹ベ ル トを追 加し,
十分
な固定
を行
っ てい る。 ま た,吉村
らとの違い は,測定機
器の違いや測 定肢位 (
吉村
ら は背臥位)
,
脚 伸 展 する方向
の違いな どに よ るものか も しれない。CKC
動
作に よ る出力
は,股関節伸
展 トル クに よっ て脚 伸 展 方 向に発 揮で きる力と膝 伸 展トル ク に よっ て脚伸展方向
に発揮
できる力
を合
わ せ た も のが脚 伸 展 力と して理論的
には発揮
さ れ る。 しか し,
山 下 らは この よ う な運動系
全体
の出
力 は,
個
々 の 関 節 出 力の力 学 的和と は な らず,
弱い方の 関節 出力
に よっ て制約
さ れ ること を報告
して い る8)。本
研究
に お け るCKC
で の膝
屈曲角度
と筋放
電 量の関 係では,
膝を伸 展 するに従
い膝 伸 展の筋 放 電 量は低
下し,
屈 筋は逆に増 加 した。 これ らは,Eloranta5
)の報告
と一
致 した。
ま た,
船 渡4) は,
等 速 性の脚伸
展動 作
とEMG
の 関係
を調べ,
RF
は,
屈 曲 位で働 き,SM
は,
伸 展 位で働 くと して お り,収縮様式
は違 う もの の 同 様の結 果 を報告
し て い る。CKC
とOKC
の大
き な違
い は二関節筋
の働
き である。 すな わ ち,CKC
で は大
腿直筋
は股
関節
において は拮 抗 筋 膝 関 節におい て は働 筋 と して働
き,
ハ ムス トリン グス は,
逆に股 関 節で は働 筋,
膝 関節
で は拮抗筋
と して働
く。膝
伸 展 動 作では,
大 腿 直 筋は膝 伸 展と ともに短 縮 して張 力を失
うが,脚伸展動作
では, 同時
に股伸
展が おこ り,起
始 部 は伸張
されるた あ筋
長は保たれ,
張 力の低 下を お さ え る こと がで きる。一
方,
ハ ム ス トリン グに お いて は股 伸 展に よ り,筋
は短縮
する が膝伸展
に よ り筋
は伸
張さ れ大
腿 直 筋と同じ現 象が起こ る。…
方で は,
短縮
性 収縮
を行
い, もう一一
方
で は伸張性
収縮
を行
うことによっ て等
尺 性 収 縮の ような収 縮 様 式 をとるとさ れて い る3)。 こ の よ うな二関節筋
の働
きは,膝伸展位
における筋力
の低下
がOKC
に比較
しCKC
におい て小
さい理中
の1
つ であろ う。OKC
とCKC
の筋活動
を 比較
する と,OKC
で はVM
とRF
が ほ と ん ど同じ値
であっ たの に対 し,CKC
で は単 関 節 筋であるVM
が二関 節 筋で あるRF
よ り も大
きな筋活動
を示 した。 こ の こ と はCKC
での 運動
で は股 関節
膝 関節共
に伸 展 方 向 に力を入れ る た め,
二 関 節 筋で あ り,
膝 伸 展 だけ で な く股関節屈曲
にも作
用 する大
腿直筋
の活 動が,
抑制
さ れ た た め と考え ら れ る。
二 関 節 筋の作 用 を 調べ た もの と して はOKC
に お け る報告
15”
18)とCKC
に おける報告
7−
10)が あ る。 山 下ら 8) は, 二関 節 運 動 全 体の出 力は,
作 用 線の方 向が変 化 し,
制 約 する関 節が交 代 する と相
拮抗
する 二関節筋
の活
動 様 式が逆転
し,変化
する と して い る。 すな わ ち,制約関節
の動作
に協
同的
に働
く一
関節筋
の活動
が 最 も大 き く,
制 約 関 節の動 作に拮 抗 的に働 く, 旨
い換
え れ ば非制約
関節
の動作
に協 同 的に働 く二関 節 筋の 活 動が最 も小 さいとして い る。 また,
ド肢 の 二 関 節筋
に お いて,最大
で脚伸展動作
を して い るに も関
わ らず, 運動方向
によっ ては5
% し か働
い て いない例があっ た とする報 告 も あ り7>,
相 拮 抗 する 二 関 節 筋が主 導 的 役 割と拮 抗 的 役 割 を 同時
に果
たす運動
を行
っ た場合
, 二関節筋
の活動
は いず れ も減少
す る と して い る。 こ のよ うに,多
関 節 運 動は力 学 的に単 関 節 運 動の 単な る物理的 組み 合わせ で はな く, さ らに神 経 生理学 的に も単 関 節 運 動の神 経 支 配 様 式 をそ のま ま適 用 して も説 明で きないと されて い る8)。本
研究
の結果
を山 下の い う制約関節
か ら考
え る と, 膝 関 節の 屈 曲 角 度が大きい 時は膝 関 節が制 約脚仲展動作と膝伸展動 作の運動学 的分析
345
関 節 とな り,
伸 展 して い くに従
っ て制約
関節
が股 関節
に近づい て い くと考
えられる。 これは屈 曲 角 度が大 きい ときはVM
が働
き,
SM
が ほ と ん ど活動
して いないに もか か わ らず 伸 展 近 くで はRF
が低 下 し,SM
の活 動が増
加す る今
回の結果
を裏
付
け ている。 ま た,
足 が 地 而に固 定された立 位で の ハ ム ス ト リン グス は膝 0 〜 60 度
屈 曲 位で 伸 展筋
と して作
用 する と さ れてお り19),膝 60 度
まで の範 囲で はハ ム ス トリン グス の レバー
アー
ム は股関
節で膝よ り大 きいため,
ハ ム ス トリン グス の収 縮によっ て股 関節
は伸
展 する。 この ためCKC
動
作時
に は90 度
で はハ ム ス ト リン グス は ほ と ん ど 働かず,伸
展 するに従
っ て筋活動
が高
ま るのであ ろ う。OKC
とCKC
の 筋 力の 相 関 関 係を調べ た過 去 の報告
と して船渡
13〕は,等
尺性膝
伸 展 筋 力 と脚伸
展パ ワー
との相 関 係 数 を求め,
O
.
35
〜
0
.
50
で あ っ た と報告
し ている。 ま た, 300
° /sec の等
速 性 膝 仲 展 筋 力と1.
0
m /sec で の脚伸展筋力
の関係
を調べ,
脚 伸 展 力は必 ず し も膝 伸 展 筋 力か ら説 明 で きな い と して い る。 さ ら に, 川島
ら 14) は,CKC
とOKC
の筋力
を測定
し,膝屈 伸筋 力
の ど の速度
域が ス クワ ッ ト筋 力と相 関が高いか を調べ た結 果,
OKC
の低
速域
の筋
力はス クワ ッ ト筋
力 と相 関せず,
高 速域
の筋
力は有意
な相 関を示し た と報告
して いる。 我々 は, OKC
におけ る膝 伸 展 筋 力が どの程度 CKC
に お け る脚伸
展筋
力と関係
して い る のか を明確
にするた めに,
今まで報告
の ない等
尺 性 筋 力に お いてOKC
とCKC
の 筋 力の 相 関 係数
を膝 屈曲角度
別に求
めた。 その結果
,大
きな屈 曲 角 度 (75, 90
度 )で はOKC
とCKC
の筋力
の相
関は高
い値
を示
し,脚伸
展 力 と膝
伸 展 力 は関 係が深い とい え る。 これは, 筋 活 動の面か ら みて も膝
伸筋
に高い筋 活 動 がみ られて い ること か ら も裏付
け られ る。 こ の こ と は大きな屈曲角
度に お け る膝
の伸
展筋
力は,椅子
か らの立 ち.
ヒが り な どの大
き な屈曲角度
で のCKC
筋力
と関係
して い るといえるQ一
方,
軽 度 屈 曲 位 (15,
30
度 )で のOKC
とCKC
の筋 力に有 意な相 関 関 係が な く,
膝伸
展の筋
活 動が低 く,
屈 筋が高か っ たとい うこ と は,脚伸
展動作時
の最終域付近
では大
腿 四 頭筋
だけでな くハ ム ス トリン グが関 わっ て い るこ と が考
え られ た。 本 研 究は,
健 常 者の膝 周 囲 筋のみ を 対 象 と した もの では あ る が,脚伸
展動作
には,大
腿四頭筋
だ けで な くハ ム ス トリン グスの働 きが重 要で あるこ と が示
唆された。今後
さ らにカー
速 度 特 性や股・
足関
節 周 囲 筋の 筋 活 動にっ い て も検 討 する必 要が あ る。文
献
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<Abstract>
Kinesiological
Analysis
ofStatie
Leg
Extension
andKnee
Extension
Noriaki
ICHIHASHI,
RPT,
Toshihiro
MORINAGA,
RPT
Division
ofPhysical
The,mpy,
College
ofMigdical
71echnology,
K],oto
Ubeiversity
Masami
HIDAKA,
RPT
liZicudy
of
ffealth
Sciences,
Kobe
Uitiversity
School
of
Medicine
Yukiko
URANO,
RPT
Rokleo
UbsPitat
Masaki
YOSHIDA,
PhD
DePartment
of
Computer
andSystems
Engineen'ng
decutty
of
Engineering
Kbbe
Uitivefsiby
Hiromitsu
ITOH,
RPT
Department
of
PhysicaZ
ThempM
Kobe
Uitiversity
llbspital
This
studyinvestigated
the
force-angle
relationship andEMG-angle
relationshipin
staticleg
extensjon andknee
extension, and examinedthe
correlationbetween
these
movements.A
total
of16
healthy
volunteers,6
males and10
females,
with a mean age of24.6
years,
participated
in
this
study.Static
muscle strength was meas-uredduring
maximalleg
extension andknee
extension atknee
flexion
angles of150,
3oe,
4sO,
6oO,
750,
900
(OO
=:fully extendedleg).
By
bipolar
recording using surfaceelectrodes, rectified
filtered
electromyography(RFEMG)
in
the
vastus medialis, rectusfernoris
and semimembranosus was obtainedduring
each movement.All
RFEMG
data
were normalizedto
a percentage ofthe
RFEMG
voltage producedduring
maximalisometric
contraction at aknee
flexion
angle of90",
As
a result,the
torque
curvedemonstrated
a maximal peak value atknee
flexion
angles of450-600
in
staticleg
extensionIn
staticleg
extension, maxirnalpeak
activity ofthe
knee
ex-tensor was