加齢による敏捷性機能の変化過程

原 　 　著

加 齢

に よ る

敏捷 性 機 能

の

変化

過

程

　　　　　

Ten

　

Step

　

Test

を

用

い

て

＊

一

宮 本 謙

三

D＃

井 上 佳 和

1）

岡 部 孝 生

⊥）

竹 林

秀

晃

1〕

宅

間

　

豊

1）

森 岡

　

周

2）

滝

本 幸 治

U

宮 本 祥 子

1 ）

八

木 文 雄

3

） 要

旨

　

運

動 機 能

は

加 齢

と共 に 低 下 す る が

，

敏 捷 性

機

能の変

化

過

程

は 十

分 明

ら かにさ れてい

な

い。

我

々は

身 体

の

敏

捷 性 を 全 身 を 用い た 動 作 速 度に運

動

反 応や運

動

の

切 り換

え が 内 包さ れた

も

の と

定 義

し

，

Berg

　

Batance

Scale

を

参

考

に し た

高齢 者 向

けの

簡便 な敏 捷 性

テス

ト 「

TeIl

　

Step

　

Test

_（

TST

_）

_{」 を考 案}

_し

_た

。 そ し て

，

そ

め

信 頼 性 と妥

当性

を

検 討

し た ヒで

，

加 齢

に

伴 う敏 捷 性 機 能

の

変 化 過 程 を明 ら

か に した

。

対 象

は

地 域 居 住

の

健 康

成 人

828

名

（

男性

266

名

，

女 性

562

名 ）

で

あ

る

。

高 齢 者 健 診

や

基

本 健

診

， 高

齢

者の運 動 教 室 な どの

参

加 者

を

巾 心

に

協力

を

得

た。

測 定 方 法

の

信 頼 性

の

分 析

に は

TST

を

2

回 測

定

し，

級 内

相 関 係 数 を 求 め た

、

、

妥

当性

の

検 証

には

「

床 か ら

の

立 ち上

が

り時 間」 と

の

単 相 関

，

お よ び 下 肢

筋 力

や 立

位

バ ラン ス

_機

能

との

_偏

相 関

を

分 析

した

。

加 齢 過程

の

分 析

は

直 線

回 帰

式

か ら

3

次 曲

線

回 帰 式 までの 同

帰

式へ の適 合 性

（

決

定 係 数 ）

か ら

判 断 し

た。

そ

の

結 呆

，

TST

は

敏 捷 性

のテス トバ ッテ リ

ー

と し て 十 分 な

信

頼 性 と

妥

当 性 が

得

ら れ た

。

ま た

，

敏 捷 性 機 能

の

加 齢 的 変 化

の

特 黴

と しては

，

50

歳

以

降

に

急 激

に

低

卜

．

す る 傾

向

が 認 め ら れ た

。

加 齢 過 程 は

3

次

回

帰 曲線

へ の

適 合性

が

も

っ と

も良 好

であっ た が

．

高

齢

層 で は

・

定

の

機 能 水 準

を

維 持

してい る

者

を

対 象

と

し

た ため フロ _ア

ー

_{効 果 を生}

_{じ ている と}

_{考 え}

_{ら れ} ， 本 来 は

2

次 回 帰 曲 線の よ

う

な

加

速 度 的 な

低

卜

．

を

示

す もの と

推 察 さ

れ

た

tt

今 後

は

高齢 者 を対

象

に し た

簡便

な

敏

捷

性

テ ス ト と して

，

　

TST

を

活 川

で きるもの と

考

え ら れる

。

キ

ー

ワ

ー

ド

　

敏 捷 性

，

テン ス テ ッ _{プ テ}ス ト

，

加 齢 変 化 は じ め に

　 高 齢 者

の

身体 機 能

の

維 持 を

目

的

に して

，

高齢 者

健

診

や

運 動 教 室 な

ど

様

々な

取 り組

み が 展 開 さ れ てい る1）2）

。

こ

う した取 り組

み に

お

いて は，

高 齢者

の

体 力 を

評

価す

る た ＊

　

Evaluating　Aging

．

RelaLed　Chaiiges　ill　Agi］ity

　

Uslng　a 　Ton　Stcp 　 Test

−

1：1 _{上 佐リ}

ハ

_{ビ リ テ}

ー

ショ ン カ レッ ジ　理 学療法学科

　 〔〒 781

−

5453 高 知県 香南 市香 我 美IU山北2833：1

　 Kenzo 　Miyamoto

「

RPT

，

　MEd

，

　Hidealci　Takeb｝iyashi

，

　RPT

，

　MS

．

　 Koji　 Takimo 匸

〔

，

、

　RPT

、

　 YQshikazuInc〕ue

，

　RPT

、

　MEd

、

　 Yutaka

　 Takilma

，

　RPT

、

　MS

，

　Shoko　Mi_｝

・

a［rloto

．

　RPT

，

　Taka〔｝Okabe

，

　RPT

，

　 MEd ； Dupurtment　Qf　PhysicaE　Therapy

、

　TosaRehabllit乏互tion

　

C

〔

｝

ilege2

） 畿 央 大 学 健 康 科 学 部　理 学 療 法 学科

　 Shu　Morioka

．

　RPT

，

　Pl1D： Dep｝1r ［rnent 　of　Physical　Thcrapy

、

　 Facutzy　of 　HeaLth　and 　ScieIlce

、

　Kio　UrLivcrsity 3：1 _{高知 大 学 医 学 部 認 知 行 動 神 経科学 教 室}

　 Fumie　Yagi

、

　PhD：DeparLmen1　〔，f　Cegnitive　and 　BehavieraL

　 Neuroscience

，

　Kochi　Medical　Sch〔xol ＃

　 E

．

mail：ptrc

．

k

・

lrliyanユoto（a_）Losnreha

、

_au

．

jp

　 （受 付目　200ア年 1 月 26日 ／受 踝H　2007年12月8口〕 めの 簡 便 な 測 定 方 法 が 求 め ら れてい る

。一

般に

，

体 力 測

定

は 運 動

機

能 を 構 成

す

る 幾つかの運

動

要

素

ご と に

評 価

バ ッ テ リ

ー

を 用 意 し

，

基

準

値 と 比 較 する ことで

体

力

年 齢

が 評 価 さ れ る

。

これ まで 高 齢 者の 体 力 測 定 項 目では 筋 力 や バ ランス

，

柔 軟 性

とい っ た 運

動 要 素

が 重

要視

さ れ る

傾 向

に あ り

，

運 動 教 室で の アプロ

ー

チにおいて も筋 力の

維

持

・

増 強

，

バ ラン ス

_機

能の維 持

，

柔

軟 性

の

獲 得

とい っ た 点 に 焦 点 が あて ら れて い る

。

身 体 動 作

の

敏 捷 性

に

関

して は

，

維

持 すべ き 運 動 要

素

と して の重 要 性 は 認 識 さ れてい る もの の

，

測 定 項 目 か ら除 外 さ れ や す く

，

具 体 的 な 運 動

指 導

に も反

映

さ れ ること が 少 ない よ

う

に 思 え る

。

その

背

量 に は

，

体 力 低 下の スク リ

ー

ニ ン グ 機 能 と して筋 力 要 素 やバ ラ ン ス要

素

の有 用 性 が 確 認 さ れてい るこ と も あ る が

，

敏

捷 性 機 能

の

簡 便

な 測

定 方法

が

確

立 さ れてい ない こ と

，

ま た その 評

価

基

準

と な る

敏

捷 性の加 齢 変 化 が 明

確

に 示 さ れてい ない こ と も 大 き な 要 因 と 考 え ら れ る

。

　

高 齢 者の 運 動 機 能 を 測 定 す るテス トバ ッテ リ

ー

に は

，

運

動 機 能

に

含

ま れる

幾

つ _かの

要 素

を

個 別

に

測 定 す

るもの

と

，

種

々 の

要 素

の

複 合 的 運 動 機 能 を 測 定 す

る

も

のが

あ

る。

運 動 要 素

ご との

測 定 法

に は

握 力 検 査

や

Hand

−

Held

Dynamometer

に よ る

筋 力 測 定

，

バ _ラン ス

要 素

の

測 定

に

は

片 脚 立 ち 時

間 や

Functionat

　

Reach

　

Test

（

FRT

）

，

そ して柔 軟 性 要 素 に は 長 坐 前 屈テス トな ど が 川い ら れてい

る

。一

方

，

複 合 的 運 動 機 能の 測

定 方 法

と し て は

lem

歩

行

や

Timed

　

Up

_＆

Go

　

Test

_（

TUG

_）

_{な ど が}

_{代 表 的}

_{で あ}

る

。

これ らの テス ト法の有 用 性 はテス トバ ッテ リ

ー

と し て の

信 頼 性

や

妥 当性

の ほ か

，

簡 便 性

の

_{観 点}

が

不 可欠

であ

り

，

測

定

に

際

しては

機

器の

有

無 や

時

問 的 制

約

な ど が

考

慮 さ れ た

う

えで

測 定 項

目が 選

択

さ れてい る

。

　 敏 捷 性

に

関

しては

，

壮 年 期 ま

で は

「

反 復 横 跳

び

」

の

動

作 速 度

，

高齢 者

で は

「

棒 反 応

テ ス ト

」

や

「

光

一

運 動 反 応

時

間

」

など運

動

反

応 時

間 を

敏 捷 性

の

指 標

と し て測

定 す

る

方法

がこれ

ま

で

採 用

さ れ て

きた

3）。 し か し，

敏 捷 性

の

定

義 と

して

1

分

なコ ンセ ンサス は

得

ら れていない

も

の の

，

生 理 学 的 には運 動 開 始の

素

早 さ，運 動 切 り

換 え

の

素

早 さ

，

そ し て

筋

の

短

縮

速 度

の

3

要 因 が

含

ま れ る と 解

釈

さ れ てい る

’

1）5）

。

その た め

運 動

反

応 時 間

の

測 定 だ

け で は

的 確

に

敏

捷 性 を 反 映 し ている と は 言い難 く， ま た 測

定 機

器 を 必 要 と す るこ と か ら も， これ らの測

定 法

は

広

く

普

及 す る に 至 っ てい ない

。

簡 便

性 を 重 視 し た

敏 捷

性テ ス トを

開

発

す

る

う

えでは

，

筋 短 縮 速 度

の

影 響

や

運 動 反 応 性

を

含

み

，

かつ 切 り換 えの

素 早

さ を 反11央 してい _る

_{動 作 課}

_{題 が 望 ま し}い

。

そ して局 所の課 題では な く全

身

の動 作スピ

ー

ドを 測

定

す る 課 題 が 適

．

切 と

考

え ら れ る

。

さ ら に

，

高齢 者

の運

動 機

能 を 運 動 要

素

ご と に 測

定

す る た め に は

，

確

立 し たバ _{ッテ リ}

ー

_の

_{存 在 す}

_る

_{筋 力 要 素}

_{やバ ラ ン ス}

_{要 素 と}

_の

_相

_{関 が}

_{極 力 低}

い こ と_， す な わ ち

筋 力

やバラ ン ス と異 な る 要

素

と し ての

敏 捷 性 を

測

定 す

るこ とが

重 要

で あ る

。

この よ

う

な 運

動

課 題 を 備

．

え た

簡 便

な 測

定 方法

の

確

立 が

，

高

齢

者

の運 動

機

能 を 的

確

に

評

価

す

るこ と につ な が る もの と

言

え る

。

　

ま た，

敏 捷 性 機 能

の評

fllll

判

定 基 準

を

確

立 す る た め に は， その

加 齢 変 化

を

確

認

す

る 必

要

が あ る

。

加 齢

に

伴 う

運

動 機

能の変 化 過 程は_， 筋 力 やバ ラ ン ス機 能 を 中 心 にこれ まで

数 多 く報 告

さ れ てい る が6

−

12〕

，

個

々 の 運

動

要

素

に は

変

化 過 程

の

特 徴

が

認

め

ら

れ る

。

筋 力

につ いて は

握 力 を指 標

と した

場 合

に は比

較

的

維 持

され る の に

対

し， 下 岐

筋 力

は 早

く

か ら

低

下 し てい

く

こ

と

が 明 ら か に さ れ てい る13〕14〕tt

また

，

バ ラン ス

機 能

につ いて は

片 脚 立 ち時

間

を指 標

に し た

場 合

， 比 較 的

早

い

時

期 か ら

低

下 傾

向

が 現 れ てい る 15〕

_。

し か し

，

敏 捷 性 機 能

の

加 齢変 化

は

高齢 者

に 対 す る

適

切 な

測 定方 法

が

確 立

さ れ てい ない こ

と もあ り

，

これ まで十 分 な

検 討

が な され てい ない

。

　 本研 究

の

目的

は

，

身体

の

敏 捷 性 機 能 を測 定 す

る

簡 便

な

方法

を

確

立

し

た

う え

で

，

敏 捷 性

の

加 齢 変 化 過 程 を明

らか に

す

る こ とで

あ

る

、

，

敏 捷 性

の

測 定 方 法

とし て は

Berg

Balance

　

Scalel6

）_の

一

_部

_{と して応}

_用

_{さ れて}い る立

位

ス テ

ッ プ

を改 変 し

Ten

　

Step

　

Test

（

TST

）

と

命 名 し

た 上で

，

その

信 頼 性

と

妥 当 性 を検

証 した。 さら に

TST

と

年 齢

と の関

係 性

を

検 討 す

る ことで

敏 捷性 機 能

の

加 齢 変化

を

明

ら か に し た

。

対

象

　

地 域 に

居

．

住

し

，

身

辺

動 作

の

_自

立 してい る

20

歳

〜

99

歳 の成 人

828

名 （男 性

266

名

，

女 性

562

名 〉 を 対

象

と し た

／

t

内 訳

は

20

歳 代

89

名

（

男 性

46

名

，

女 性

43

名

）

，

30

歳

代

76

名

（

男 性

32

名

，

女 性

44

名 ）

，

40

歳

代

73

名 （

男

性

30

名

，

女

性

43

名

）

，

50

歳

代

78

名 （

男 性

30

名

，

女

性

48

名

）

，

60

歳 代

llO

名

（

男 性

36

名

，

女 性

74

名 ）

，

70

歳 代

213

名

（

男 性

51

名

，

女 性

162

名 ）

，

80

歳 代

169

名

（

男 性

34

名

，

女 性

135

名 ）

，

9

 

歳 代

20

名

（

男 性

7

名

，

女 性

ユ

3

名

）で

あ

る。

脳 卒 中

や

認 知 症 な ど測 定

に

支 障 とな

る

疾 病

お よ

び

障 害 を有

してい る

場 合

は

測 定 対 象

か ら

除外

し た

。

　

これ らの対

象

者

は

自治 体

の

高

齢

者

健

診

およ び

基 本 健 診

参 加 者

や 地 域のサ

ー

クル

活 動 参 加 者

，

青壮 年 層

で は

白治

体 職 員

，

医 療 従 事 者

，

企 業 従 業 員

，

教 職 員

，

学 生 な ど

が 中 心となっ てい る

。

高

齢

層では 地 域

在 住

の

自

立

生 活

を 営 ん でい る 者 が 対

象

と なっ てい ること か ら，

介 護 度

の

高

い

在

宅 高

齢 者

や入 院

・

入

所

中の

高

齢 者 が 除

外

さ れてい る

点

に

留 意 す

る 必

要

が

あ

る。 全て の

対 象 者

に

研 究

の

趣 旨

を

説

明 し， 測

定

の同 意 を

得

た

。

方

法

1，TST

の測

定 方 法

　

TST

は

両

ド

肢

の 反

復

ステ ップ

を基 本 と

し た

も

ので

あ

る

（

図

1

）

。

Berg

　

Balance

　

Scale

で は， この ステップ動

5illi

）

輜

籀

纈

簾翻

蠹

・ 靉 韈 韈

鑼

〜

爨 鑿鍵爨 鑿

＿

爨鍵鑠

　 　 　 　蠶癰靈韃靉馨蓼韈 韈　響轢鑿韈鬱鏤　 鑿鍵

　　

（

A ）

　　　　　　 （

B

）

　　　　　　

（

C

）

　　　　　 （

D

）

　 　 　 図1TST の測 定 方 法 10Cm 高の台の側 面に足先が触れ る ように立 ち （A）

，一

側 下肢 を台上 に 踵 ま で 上げる （

B

）

，

そして ドす （

C

）

，

次に反 対 側を ヒげる 〔D）

，

そ して下ろす （A）

，

2同 目以降は足 先を台に触 れ る 必要は ない

．一

側の

．

ヒげ 下ろ し を 1回と し

，

連 続10回の 所 妛 時問を 測 定する

．

作 を

バ _ラン ス

機 能

の

反 映

とし て

扱

っ てい る が

，

静 的

なバ ラン ステス トと は 異 な りス ピ

ー

ドや 切 り

換 え動 作

が

要 求

さ れ てい るこ とか ら

，

敏

捷 性 機 能 を よ り反 映 し た テス ト バ ッテ リ

ー

と

考

え る

方

が 適 切 で あ る

。

　

測

定 方 法

は

，10cm

高

の ステッ プ

台

の

前

に 立 ち

，

検

査 者の 「始 め 」の指 示 と 同 時に

一

側 下 肢 を 台 上に上 げ 下 す

，

：

続

い て

反 対 側

下

肢

を 上

げ

ド

す

。一

側の上

げ

下 ろ し を

1

回

と し

，

交

互に

連 続

ユ

0

回 行

い

，

要

し た

時 間

をス トッ プウ t ッ チ で

測 定 記 録 す

る

（

O

．

1

秒 単 位 ）

。

対 象 者

に は 「

_始

め の

合 図

で

片 方

の

脚 を台

に

載

せ

，

素 早 く降

ろ

す

。 こ

れ を左

右 交

互に

出来

るだ

け速 く繰 り返

し

，

終

亅

’

の

含 図 が あ

る

ま

で

10

秒 程 続 け

て

く

ださい ：

］

との

内 容

を

教 示

し

，

検 査 者

が

演 示

し た

後

に

一

度 練 習

させ るc

動 作

に

慣

れ ること が

必

要 な

た め

，

練 習

は

必 ず 行

わ せる

。

実 際

の

測 定

は

2

回

行

い

所 要 時

間の

短

い

方 を採

用

す

る

。

こ の

方法

は_，

時

間 あた り のス テップ 回

数

で は な

く

10

回の ス テップ

所

要

時

問 に

置

き

換 え

ている た め

，

　

・

人の

検 査 者

で測

定

す ること が口_丁能 であ る

。

　 注

意

点

と しては

，

第

1

に

開 始 肢位

を

統

一

す

る た め

測 定

開

始

時

には 両 足 先 を

台

の

前

面に

触

れ さ せてお

く

こと

。

た だ し

，

開 始後

お よ び

終 了 時

には

足 先

を

触

れ

さ

せる必

要

は ない

。

ま た

，

左

_右

い

_ず

れの

側

か ら

開始

して も差 し

支

え な い

、

_第

2

には

，

　

・

側 足

部

を

台

上に

接

地 させ る

際

，

前足 部

だ

け

を

接 地

させ るこ と が

あ

るた め

，

踵 部 を含

む

足 底 全 体

を 確 実

に

接 地 さ

せる こ と。

第

3

には

，

ス テッ プの

同数

は

検 査 者

が カ ウ ン トし

，

対 象者 を

ステッ プ課 題 に

集 中

させ るこ

と

。

対 象 者

が カ ウン ト

す

る と

10

回 で

終

了 し よ

う

と

す

る ため

最 終

回 に

減 速

して し

ま う

こ と が あ る

。

これ らの

注 意 点 も事 前

に

説 明 す

る。

踵

の

挙

上 が

十分

で

な

い

場 合

や

台

上に

登

っ て

しま

っ た

場 合 な

ど

，

条件

か

ら逸脱

した

際

に は

再 度 測 定 す

る。 バ ラ ン スを

崩

し

そ うな対 象者

は

介 助

し て差 し

攴

え ない が

，

そ の

旨記 載

し

参 考 値

に

留

め る こと

（

今 回

の

分 析 対 象

か ら は

除外 し

た

）

。

な お

，

転 倒 事 故 を 防

ぐ

た め

検 査 者

は

常

に

傍

らに

位 置 し

，

ス テッ プ

台

は

滑 り止

め

等

を

施

し た

うえ

で

壁 面

に

沿

っ て

設 置

し

安 定

させ て お

く

こ と

が 望 ま し

い。

2

。

測 定項

目

　

828

名

の

対 象 者 全 員

に

対

し

TST

を

2

回 同

一

検 査 者

が

実

施

し た。

TST

の

信 頼 性

と

妥 当性 を検 証 す

るため

，

対 象

者

の

う ち 高 齢 者健 診 受 診 者

ユ

45

名 （

平 均 年 齢

78

．

4

±

5

．

7

歳 ）

につ い て

，

健 診 項 目

に

あ

る

「

TUG

」

，

　

Iland

　

He1d

Dynamometer

に よ る

「

膝

90

度

で の

等 尺 性 伸 展 筋 力 」

，

「

開 眼 片 脚

立

ち保 持 時 問 」

の

結 果 を

，

そ れ

ぞ

れ

複 合 的 運

動 機 能

，

下

肢 筋 力

，

バ _ラン ス

機 能

の

指 標 と

して 比

較 検 討

に

用

い た。

ま

た

，

敏 捷 性

の

外 的 基 準

と して

「

床

か らの 立 ち上 が り 時 間

」

を

採

用 し

，

運

動

教

室 参 加 者 全

49

名 （

平

均 年 齢

68．

3

±

20

．

1

_{歳 ）}

_につ い て

TST

と

共

に

測 定

した 。

敏 捷 性

の

適 切

な

外 的

基

準

が

存 在

し ない

中

，

姿 勢

の

変 化

が

あ り全 身

の

動 作

ス ピ

ー

ドが

要求 さ れ

る

俊 敏 性 課 題

と

し

て

「

床

か らの 立 ちトが り時 間

」

を

採

川 した

も

の で

あ

る

。

運

動

の切

り

換

え

要

素

は な

く敏 捷 性

とは

言

いがたいが，

動 作

スピ

ー

ドを 反

映

す るこ と か ら

参 考 基 準 と

し て

位 置

づ け た

。

な お

，

立 ち ヒが りパ タ

ー

ンは 指 示 せ ず

，

上 肢 を 体 側 に し た

背 臥 位

か ら

静

止 立

位 〔

向

き は 自 由

）

ま での時 間 を

1

回 測 定

した

。

そ して

TST

の

1

週

間後

の

再

テ ス トは

，

教

職 員

お よび

学

牛

20

名 （

平均 年 齢

29

．

3

±

7

．

7

歳

_）

を

_{対 象}

に

し

て

実 施 し

た。

3

．

分析 方法

　

TST

の

信 頼 性 を検 証す

る

た

め

，828

名

につ い て

同

一

検

査 者

に よ る

2

回の

測 定 値

の

級 内 相 関 係 数

（

lntra

−

class

Correlation

　

C

（エefficients ：

ICC

（

1

，

2

）） を算 出

した

。

そ

し て，

H

問

変 動 を検 討 す

る た め

教 職 員

・

学 生

20

名 を 対

象

に し た

1

週 問

後

の再テス トを

実施

し

，

同 じ

く

ICC

（

1

，

2

） を

求

め た

。

　

基

準 関連 妥

’

11

性

の

判 断

に は

「

床

か らの立 ち 上 が

り時 間」

との

単 相 関

を

算

出 し た

。

さ らに

，

複 合 的 運 動

機

能の指 標 と

さ

れる

TUG

と

TST

の

関 連

を

確 認 す

るた め

，

高 齢 者 健

診 受 診 者

145

名

を

対 象

に して

両 者

の

単 相 関

を

求

め た

。

ま た

，

高 齢 者

の運

動 機 能

の

測 定項

凵 と して

位 揖

づ ける には

，

筋 力

やバ _ランスと は

異 な

る

機 能

を

反 映 す

るこ と が 望 ま し い と

考 え

ら れる こと か ら

，

高 齢 者 健 診

の

受 診 者

145

名

を

対 象

に

膝 伸

展

筋 力 （

体 重 比

に正

規 化 ）

，

開 眼

片 脚

立

ち 保

持 時

間，

TST

の

3

項

目 につ いての

偏 相 関 を求

め

項 囗間

の

独

立

性 を検 証

し た。

　 次

に

，

加 齢 過 程

の

検 討

に

先

立 ち

TST

の

男 女

差の

有 無

を 検 証

し た。

対 象 者 全 員 を

20

歳 代

（

20

−

29

歳 ）

か ら

90

歳 代

（

90

歳

一

99

歳 ）

まで の

10

歳

ご との

男 女

に グル

ー

プ

化

し

，

TST

の

平 均 所 要 時 間

につ い て

年 代

ご との

男

女 差 を

Student

’

s　t

−

test

_（

non

−

_paired

）

を

用

いて

確 認

し た

。

　 そ し

て

加 齢 過 程

の

検 討

では

，

加 齢 変 化

を

右 下

が

り

の

機

能低

下

過 程

とし て

解 釈

し や

す

い よ

う

に

，

TST

所

要

時 間

を

ステッ

プ速 度

に

換 算 した う え

で

，

そ

の

変 化 過 程 を直 線

回

帰 式

，

2

次

同

帰 曲線

，

3

次 回 帰 曲 線

に

適 合

さ せ た

際

の

決 定係 数

を

求

め た、

ま

た

，

機 能 低

下が

著

し

く

なる

一

ド

降年

齢 を 求

め るため

，

各 年 齢

を

境 界

に し た

2

群 （

境 界 年 齢 未

満 群

と 以 上

群 ）

に

対

し そ れ ぞ れの

直 線 回 帰 式

を

算

出 し

，

2

つ の

直 線

のな

す 角 度

が

最

も

大

き

く

なる

年 齢

を 下

降

年

齢

と

し

て 小 し た。

さ

らに

，

20

歳 代

の ス テ ッ プ 速

度

を

100

％

と して

標 準 化

し た

加 齢 曲線

を

図 式化

し た

。

結 果

1

．

TST

の

信 頼 性

と

妥 当性

　

TST

の

2

同の

測 定 値

につ _い て

，

信 頼 性

の

指 標

と なる

ICC

（

1

，

2

）は

0

．

96

（

p

〈

0

、

Ol

）

と

十 分

な

信 頼 性

が

得

ら れ

表1　下肢 筋 力およ びバ _{ラン ス機 能との独 立 性 〔偏 相 関 ）}

　 　 　 　

（11

＝

　

145

＞

step 速 度 　（sec ） 2

．

5 TST 　 　膝 伸 展 筋 力 　 開 眼 片脚立ち 時 間 　 TST 　　 　　 　 1

，

00

膝伸 展筋 カ 　 　

ー

0

．

36

＊

片 脚 立 ち 時 聞

　

一

〇

．

37

　“

1

．

000

．

09 1

．

00 2 1

．

5 ＊ _{P ＜}

0

．

Ol

た。

1

週 間

後

の冉テ ス トにおい て

も

ICC

（

1

，

2

）

は

O

．

86

を

示

した （

_p

＜

0

．

0

⊥

）

。

基 準

関

連 妥 当性

につ い て は， 動 作 の

俊 敏 性

の

指 標

と し た

「

床

か らの立 ち 上 が り時 間 」 との

単 相

関 はr

＝O．

68

〔

p

＜

0．

Ol

）

，

複 合 的 運 動 機 能の指 標 と さ れ る

TUG

との

_単

相

関

はr

＝

0

．

74

（

p＜

O

．

O

ユ

）

で

あ

っ た

、

，

さ ら に

，Hand

　

Held

　

Dynamometer

_{に よ る}

_{膝 伸展 筋 力}

_な

ら び に 開 眼 片 脚 立 ち 保 持 時 間 との

偏 相 関

は r

＝−

O

．

36

お よ びr

＝−

0

．

37

を

示

し た

（

p

＜

0

．

Ol

） （

表

1

）

。

2

．

TST

の測 定 結 果 と性 差

　

TST

の

_{年 代 別}

お よ び

男 女 別 平 均 値

と

標 準 偏 差

は

表

2

の通

り

であっ た

、

各 年 代

で の

男 女 差

は

僅

かに

男性

の

所 要

時 間

が

短

い

_{傾 向}

に

あ

るが

，

60

歳 代

で は

逆 転

して い た

、

t

20

歳代

か ら

90

歳 代

の

各 年 代

の

男 女 差 を検 証

し た

結

果 か ら は

，

どの

年 代 お

い て

も有 意 な男 女 差

は

認

め ら れ な かっ た 〔

p

＞

0

．

05

）

。

3

．

敏 捷 性 機 能

の

加 齢 的変 化

　

TST

所 要 時 間

をス テ ッ プ 速

度

に

換 算

し た

う え

で

，

男

女

全

体

の

加 齢 的 変化

を

回 帰 式

に

適 合 さ

せた

結 果

，

直線

回

帰

の決

定 係 数

0

．

537

，

2

次 曲線 回 帰

O

．

598

，

3

次 曲 線

回

帰

O

、

605

が

得

ら れ

，

3

次

曲線

へ の

適 合 性

が

最 も高

い

結

果 と なっ た

（

p

＜

O

．

Ol

） （

図

2

）

。

　

さ らに

，

敏 捷 性 機 能

の

下 降 年 齢 を明 ら

か に

す

る た め

，

各 年齢

ご とに二

_{分 割}

さ れた

群

の回

帰 直線

のな

す角 度

を三

角 関数 （

ATAN

）

を用

い て

求

め

た 結 果

，

52

歳 を分 割 年

齢

に し た

場 合

が

最 も急 峻 な 角 度

を

示 し

た

。

す な わ ち

，

敏

捷 性 は

50

歳 以

降

に急 激に

低

下

す

るとい

う特 徴

が 明らか と なっ た

〔

図

3

）

，

，

1 O

、

5 010 　　 　20　　　30　　　40　　 　50　 　　60　 　　70　　 　80　　　90　 　100 step

_．

速 度 〔sec） 2

．

5 2 1

．

5 1 図

2

　 敏 捷性の加 齢的変化 … 　 　 010 　 　　20 　 　　30 　 　　40 　　　50 　　　60 　 　　70 　 　　80 　　　90　　　100 図3 敏 捷 「生の下 降年 齢 年 齢 年 齢

　

20

歳 代

の平

均

ス テ ップ 速 度 を

IOO

％ と して標

準

化 し

た 変 化 過 程

は 図

4

に 示

す

通 りで

，

80

歳

代 以 降 は

20

歳

代

よ りほ ぼ半 減 し てい る

、

、

ま た

，

標 準 偏

差 は

加 齢

と と も に

拡 大

傾

向

に あ る が 必 ず し も

明

らかで は ない

_（

_図

4

_）

，

、

考

察

　

ステ ップ 動 作 を

敏 捷 性 評 価

の運

動 課

題 と して

用

い る

試

み は

，

「

Rapid

　

Step

　

Test

」

_{や 「}

Four



Square

　

Step

　

Tcst

_」

と して これ ま で に も

報 告

さ れてい るL7

−

21）

。

しか し

，

こ れ らのテス トも

動 作

の選 択 判 断 や 煩

雑

さ を

伴

う な ど

幾

つ 表2 年代 別のTST 平均 値 単位 ：秒 （mean ±

SD

） 20歳代 30歳 代 40歳 代

50

歳 代

60

歳代 70歳 代 80歳代 90歳代 　 男 〔ll

−

266） 　 女 〔n

＝

562） 　全体 （n

＝

828）

5

．

62

±

0

．

67

　 （

・

1

．

6

） 5

．

82± 0

．

50 　 （43） 5

，

72±0

．

60 　 〔89）

5

．

62

±

0

、

74

　 （

32

〕 5

．

81 ± 0

．

67 　 （44） 5

．

73 ± （工

．

71 　 （76）

5

．

68

± 〔〕

．

66

　 〔3〔〕）

6

．

00

±

0

．

80

　 （

43

）

5

、

87

±

0

．

75

　 （

73

）

5

．

84

士

0

．

77

　 （30）

6

．

12

±

0

．

92

　 （48）

6

．

Ol

±

0

．

87

　 （

78

）

6

，

7Q

±

0

、

95

　 〔36〕 6

．

68ナ 1

．

⊥0

　 〔

74）

6

，

68

±　1

．

05

　 〔

llO

）

8

．

7王　± 2

、

02 　 （51） 920 ± 2

．

14

　 （

162） 9

．

08 ± 2

．

⊥2 　 （

213

〕 9

．

88± 2

．

55 　 （34｝ lO

．

47± 2

．

91 　

q35

） 10

．

36± 2

．

84 　 （169｝ 王

0

，

24± 281 　 〔7） ll

，

95

±

3

，

58

　 （13） 11

．

35± 3

、

36 　 （20｝ 全て の年代におい て男

．

女問の有意差 を 認 め ない 〔p＞0

．

05

｝

．

120

100 80

60

40 20 0 ％ 2〔｝歳 代 3D 歳 代　

・

1〔〕歳 代　50歳 代 6D歳 イ弋　7D歳 代 　SO歳 代90歳 代 図4　20歳 代 を10〔〕％ と した敏 捷 性の年 代別 加 齢 変 化 かの

問

題 を

有

してい _る

。

_{ま た}

，

_{高齢 者}

の

持 久 力 評価

に

活

用 さ れて いる

「

坐

位

ス テ ッ プテ ス ト

」

22）は

，

安

全

性

に

優

れ

敏 捷 性 評 価

に

も ト分 応 用

で

き

る が

，

カウン ト

す

る

た

めの

測 定 機 器 を必 要

と

し

てい る

点

で

広 く普 及 す

る に

至

っ て い

な

い。

TST

の

最 大

の

特 徴

は測

定

の

簡 便

さと

安 全

性 に

あ り

，一

定

の

信 頼 性 と 妥当 性 を担 保

で き れ ば

広

く

受

け

人 れ られ

る

も

の と

考 え ら

れ る

。

　

TST

は

級 内 相

関の

高

さ からも テス ト法 とし ての ト分

な信 頼 性 を有

し て お

り

，

動 作 速 度

を 反

映

す る 「

床

か らの h

’

n

ち ヒ

が

り時 間」

と

も

．

・

定

の

相

関 関

係

（

r

＝

O

．

68

）

に あ る

。

外

的

某

準

妥

当 性の

_{指 標}

と し た

「

床

か らの 立 ち ヒが

り

時

間

」

は，

TST

に 比べ体 型 や 動

作

パ タ

ー

ンの

相

違

，

体

幹 筋 筋力

な ど

敏 捷

性 要

素

以

外

の

影響

を 受 けや

す

い た め23）

，

相 関

の

_{程 度}

と して は

十 分

と

考

え ら れる。

ま

た

，

複 合 的 な

運

動 機 能

を

反 映 す

る

TUG

との

関 連

につ い ては

，

単 相 関

が

0

，

74

を示

し

「

床

か らの立 ち 上 が

り

時

間 」

よ り も

高

い 相 関 を 示 して いる

，

、

これ は

TUG

に

含

ま れ る 歩

行

とい

_う

ド

肢 交

lt

：運

動

が

TST

の立 位ステップ と類 似 して いる た め と

考 え

ら れ るtt し か し

，

　

TST

は

筋 力

やバ ラ ン ス との

偏

相

関

が

低

い こ とか ら

，TST

に

複 合 的 機 能

が 反

映

さ れ てい るの で は な く

，TUG

に 敏

捷 性

が 比

較 的 良 く反

映 さ れてい る と

解 釈

すべ きであろ

う

。

TUG

は あ

く

まで

複 合

的

機

能の

_{指 標}

で あ

り

，TST

は 反

復

ス ピ

ー

ドに

焦 点

を

あ

て た

敏

捷 性

機

能の反 映 と

考

え ら れ る

。

ま た

，

TST

と

筋

力

要

素

やバ ラ ン ス要

素

との偏 相 関の

低

さ は

，

これ らに

影

響 さ れ ない 運 動 要

素

を 測

定

してい るこ と を

示

して い る

。

その要

素

が

敏 捷

性 要

素

で あ る と言

う直

接 的

根

拠 と は な ら ないが

，

TST

の

動 作

課 題 に は 動 作 速 度

，

運 動 反 応 時 間

，

運

動

切

り換

え な ど

敏

捷 性

を 反 映

す

る

幾

つ かの 運

動

が

内 包

さ れ て お り， 内 容 妥 当 性の観 点 か ら は 敏 捷

性 機

能の反 映 と みて開 題 は ない と思 わ れ る

。

これ ら測

定

方法

と して の

検 証 結 果

に

加

え

，

高 齢者

に

対 す

る

動 作 課 題

の

安

全

性

お よ び

難 易

度 を 勘

案 す

る と

，TST

は

高 齢 者

の

敏 捷 性 機 能

を

簡

便 に 測

定

する極 めて適 切 な 方

法

と 言 え よ

う

。

　

介 護 予 防 を 日的 とす る

高 齢者

の運

動 教

室

等

で は

，

筋 力

とバ _ラン ス

機 能

に

焦 点

が

あ

て ら れる傾

向

に あるが， 運 動

機 能

に

影 響

を 及 ぼ す 要 因 を

筋 力

，

バ ラン ス

，

敏 捷

性 とい う

3

つ の 枠 組 み で 評 価 す ること で

，

よ り 的 確 な 機 能 評 価 がfi］

’

能 に な る もの と思 わ れ る24）貅

，

　

次

に

，

敏 捷 性

の

加 齢

的

変 化 過 稈

の

特徴

で あ る が

，

様

々 な 運 動 機 能 は 青 年 期 以 降 に おいて加 齢 と 共 に 退 行 的 変 化 を

示

す

．

しか し

，

個

々 の 運

動 要 素

に よ

り

その

_{加 齢 変 化 過}

程

に

特 徴

が

認

め られ る

。

下 肢筋 力

の

変 化 過 程

に

関

しては

，

10

歳

代 後 半

か ら

20

歳

代

をピ

ー

ク に

徐

々 に

低

ド傾

向

を

示

す

、、

筋 横 断 面積

に

関 し

て

も

20

歳 代

よ

り直線 的 な減 少 を

示

している 26）。 ま た

，

バ ラ ン ス

機 能

は

片 脚

立 ち を

指 標

に した

場 合

，

50

歳 代

以

降 直 線 的

に

低

下し

始

め ると

す

る

報 告 が 多

い 10　12）　27）。 さ

ら

に

，

運 動 持 久 力

につ い て は

20

歳 代

よ

り

ほ ぼ

直 線 的 な 低 ドを示 し

，

70

歳 代

に は

半 減 す

る ことが

報 告

され てい る9

’

　

〕

　

28）

。

　

これ に

対

し，

敏 捷 性

の

変 化 過 程

に

言

及 した

詳 細

な

報 告

は な

く

，

筋 力

やバ ラ ン ス

機 能 と

比

較

して どの よ

う

な 特 徴 を 有 し てい るのか 明

確

で は ない

。

TST

を

指 標

．

と し た

今

回の結

果

か ら は

，

敏 捷 性 機

能 は

男

女

共

に

50

歳 頃 まで は 比 較 的

良好

な

水 準

で

維

持 され

，

そ れ 以 降 急

激

に低 下 して く る とい

_{う特 徴}

を

有

してい る

。

今

回

示

さ れ た

加 齢 変 化 過

程 は

3

次 曲 線へ _の適 合 を 示 し てい る が

，

この点 は

高 齢 者

の対

．

象

サンプルが

身

辺 自立 し た 地 域 居

住

高

齢 者

に限 定 し てい ること を

考 慮

せ ね ば な ら ないc ステ ップ

速 度

の

_{低 下}

が

70

歳

以

降緩

や か に な る とい

う変 化

は

，一

定

の

機 能 水

準

以

下

の

高齢 者

が

排 除

さ れ た ため に生 じたフロ ア

ー

効 果

と

考 え ら

れ

，

本 来

の

加 齢 変 化

は

70

歳 以 降 も加 速 度 的

に

低 ドし

，

2

次 曲 線

の

変 化 過 程 を 示 す も

の と

推 察

さ れる。 そ

う

し た

敏 捷 性

の

変 化 過 程

は

，

直 線 的 低 ド傾 向

を

示 す 筋

力

の

変化 過 程

よ

り も

バ ラン ス

_{機 能}

の

変 化 過 程

に

類 似

して いる よ

う

に も 見

受

け ら れ る

、

な お

，

敏 捷 性機 能

が

低 下 す

る生 理 学 的 背 景につ い ては 明

確

で は ないが

，

これ まで に

報 告

さ れて い る

加 齢

に

伴 う神 経 支 配

比の

_増

大

，

60

歳

以

降

の

神 経 伝 導 速 度

の

低 下

，

「

「筋 線 維

の

選 択 的 萎 縮 な

ど と

符 合

してお

り

，

こ

う

し た

変 化

が 少 なか ら

ず 影 響

し てい る

も

の と

推 察

さ れる 29　1，　30）u

　 最 後

に

，

敏 捷 性

の

男 女

差 につ _い て は

TST

の

年代

ご と の

検 定

では 全て の

年 代

で

有 意

差 を

認

め てい ない

。一

方

，

南

ら22）は

足 部

のステ ッ ピン グ

課 題

で

男 女

差 を

認

め

，

手

の タッ ピン グ

課

題 に おい ては

認

めてい ない

。

ま た

，

木 村

ら31、 は

60

歳 以 ヒを 対

象

と し た 坐 位ステ ッ _プテス トで

男 女

差 を

認

めてい

_な

い

。

一

_般

に

下 肢 筋 力

やバ ラ ン ス

_{機 能}

，

持 久 力

につ い ては

男

女 差 が

報 告

さ れてお

り

，

敏

捷 性

を 測

定 す

る

動作 課

題に こ

う

し た

他

の

要 素

が

含

ま れる

場

合には

影響

を

受 け

や

す

い

_も

の と

思

わ れる、 い

ず

れに しろ

敏 捷 性

機 能

は

男 女

差 が

あ

っ た と して も

僅

か な もの で

，

TST

で は

男

女

同様

の

評価

基

準値

の適 用 が 可

能

と

考

え ら れる

。

　

以

E ，

敏 捷 ［

生

機 能

の

_新

しい

_{測 定 方 法}

と して

TST

を

提

案

し

，

加 齢

に

伴 う変 化 過 程

につ い て

考察

し たが

，

高 齢 者

へ の

運 動 介 人

の

有 効 性 が 論 議 され

てい る

中

，

よ

り的 確

な

運 動 機 能 評 価 が 求

め

ら れ

てい る。

TST

を用

い

た 敏 捷 性

評

価

とその

標 準 値

がよ り詳 細 な 高 齢 者の運 動 機 能 評 価 を 可

能

に し，

筋 力

とバ ラン ス

機 能

に

加 え

，

敏 捷性

機

能

に も

焦 点 をあ

てた

多 様

な 運

動 指 導

の展

開

に

役

立つ もの と 思 わ れ る

。

文 　 　献

1

）

久 野 譜也 ：

_介

_{護 予 防}に お け る 運動と地 域 シス テム_{構 築}の_視

　　

点

，

体 育の科学 54：852

−

857

，

2004

．

2

）

宮 本 謙 三

，

竹 林 秀 晃

，

他 ：介 護予防 を 目 的 と し た 運動教 室

　　

の展 開

．

理学

療

法 学 32：384

−

388

．

2005

．

3） 東 京都立 大学 体 力 標 準 値 研 究 会 （編） ：新

・

日本人の体 力 　 　 標 準値

．

不 眛 堂 出 版

，

東京

，

2000

_，

4〕西 野 仁 雄

，

柳 原 　 大 ：運 動の神 経 科 学

．

NAP

，

東 京

，

　 　2000

，

pp211

−

220

，

5） 村 永 信 吾

，

伊 能 幸 雄 ：高齢 者の敏 捷 性と理 学 療 法

．

理 学療 　 　 法 16：

725

−

730

，

　

1

．

999

，

6）Rosemary 　CI

，

　Nancy 　LL

，

　et　al

．

：Normal　

Values

　Qf　Balance

　 　Tests　in　Women Aged　20

−

80

．

　

J

Am Gerialr　Soc　52：

　 　1367

・

．

1372

，

2004

．

7） 衣 笠 隆

，

長 崎 浩

・

他 ：男 性 を対 象にした運 動 能 力の加

　　

齢 変化の研 究

．

体 力 科 学

43

：

343

−

351

，

1994

．

8） 平 野裕

一，

野口秋 実

・

他 ：加 齢に伴 う脚 仲 展パ ワ

ー

値 とそ 　 　の評価

．

体 力科 学

43

：

113

．

120

、

199

．

　

4

，

9

） 古 名 丈人

，

伊 東 　元

・

他 ：ステッ プ テスト を 用い た 持 久 性

　　

能 力の加 齢 変化の研 究

，

冂老医誌

31

：

45

−

51

，

1994

，

10

）

Duncan

　

PW

，

　

Winer

　

DK

．

　et α

1

、

：

Functional

　reach ：anew

　 　clinical　measure 　of　

balancc

，

　

J

　

Gcrontol

　

45

：

M192

−

197

，

1990

．

11

） 橋 詰 　 謙 ：立 位 保 持 能 力の加 齢 変 化

，

H

老 医 誌 23

，

85

−

92

，

　 　1986

．

12

）

Bohannon

　

RW

．

　

Larkin

　

PA

，

　etα

1

．

：

Decrease

　

in

　timed　

bal

−

　 　ance　tcs_しscores 　w［tlユ aging

．

　Phys　

Ther

　

64

：

1067

−

1070

，

　 　

1984

．

13）立　正 伸

，

牛 山潤

一・

他 ：膝 関 節 伸 展トル クお よび脚 伸 展

　　

パ _ワ

ー

_{にお ける年 齢 差 および性 差}

．

_{体 力 科 学}

52

_：

133

−

140

，

　 　

2003

．

14） 丁

・

田益 生 ：下肢 筋 力の経年 変化 　用手 力 量 計に よ る 測定

一．

　 　リハ 医 学

24

：

85

−

91

，

1987

．

15）森 岡 　周

，

宮本 謙三

・

他 ：年 代別 に み た立 位 姿 勢バ ラン ス 　 　 能 力 と 足 底二 点 識 別 覚の変 化 過 程

．

PT

ジャ

ー

ナ ル 39： 　 　

919

−

926

，

2005

．

16

）

Berg

　

KO

，

　

MakT

　

BE

，

　et α

1

．

：

Clinical

　and ［aboratory 　mea

一

　 　 sures　Qf　postural　ba］ance 　ln　arl 　 elderly 　populalion

．

　Arch

　 　Phys　Med 　RehabiL　73：1073

−

1080

，

1992

、

17）Medell　

JL

．

　Alexander　NB： Aclinicat　measure 　of　maxi

−

　 　mal　and　rapid　stepping 　in　older　worIlen

．

　

J

　Ger〔mtol 　A

　 　Biol　

SCi

　

Med

　

Sci

　

55

：

M429

−

M433

，

2000

．

18）Cho　BL

．

　Scarpace　D

，

　et 　al

．

：Tcst　Qf　stepping 　as　

lndica

−

　 　tor　of　mobility

，

　

balance

，

　and　

fall

　risk　

ill

　

balance

・

irrlpaired

　 　oLder　adults

．

　

J

　

Am

　

Geriatr

　

Soc

　

52

：

ll68

−

ll73

，

2004

．

］

9

）

H

川

K

，

Bernhardt

　

J，

　et

　

al

．

：

Anew

　test　of　

dynamic

　stand

−

　 　

ing

　

balance

　

for

　str（）

ke

　patients；

Reliability

，

　validity　and

　 　cQmparison 　with 　

healthy

　elderly

．

　

Physiother



Can

　

48

：

　 　

257

−

262

，

1996

．

20）

Dite

　W

，

　

Temple

　

VA

；

Aciinical

　test　of　stepping 　and

　 　change 　of　

direction

　to　

identify

　rnultiple　

fa

］

ling

　older　adu ［t

．

　 　

Arch

　

Phys

　

Med

　

Rehabil

　

83

：

1566

−

1571

．

2002

，

21

）

Lord

　

SR

，

　

Fitzpatrick

　RC二

Ch

〔〕

ice

　stepping 　reaction 　tilne：

　　

a



colnposite



measure



of



falts



risk



in



older



_people

．



J

　 　

Gerontol

　

A

　

Biol

　

Sci

　

Med

　

Sci

　56：

M627

−

M632

，

2001

．

22） 南　雅 樹

，

出村 慎

一・

他 ：健 常 高齢 者に お け る体 力 要 素 聞 　 　の関連 性 ：_{性 差 及}び年 代 差

，

体 力 科 学 50：571

−

582

，

2001

．

23） 對 馬 　 均：起 き上 が り動 作の メカニ ズム

．

理 学 療 法 20：

　 　1017

−

1027

，

20〔｝3

．

24）Liu

−

Arrlbrose　T

，

　Khan　KM

，

　et α1： Resistance　and 　agitity

　　

training 　reduce 　faU　risk 　in　women 　aged 　75　to　85　wit

．

h

　 　low　b〔〕ne 　 mass ：a6

．

m 〔〕nth 　randomized

．

　controlled 　triai

．

　 　

JAm

　Geriatr　Soc52：657

−

665

，

2004

．

25）Rikli　RE

，

　Edwards 　DJ；Effects　of　a　three

−

_year　cxer じisc

　 　program 　on 　 motor 　function　and 　cogniti ＞e 　_processing

　 　speed 　

ill

　older　women

．

　

Res

　

Quart

　

Exerc

　

Sport

　

62

：

61

−．

67

，

　 　

1991

．

26

）

Short

　

KR

，

　

Vittor

ユe　

JL．

　et α

1

、

：

Changes

　

in

　Inyosin 　

heavy

　 　chain　mRNA 　and　protein　expression 　

ln

　

human

　skeletal

　 　muscle 　with　age　and　endurance 　exercise 　training

，

　

J

　

AppL

　 　Physiol　

99

：

95

−

102

，

2005

，

27）Balogum 　

JA，

　Akinde 且e 　KA

、

　et 　al

．

：Age

・

re且ated 　chang 〔：s

　　

in

　l）alance 　_pcrformance

，

　

Disabil

　

Rehabil

　

l6

：

58

−

62

，

1994

．

28）李 　 美 淑

，

松 浦 義 行

・

他：中 高 年 男性の体 力 年 齢の評 価

．

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59

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68

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1993

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29） 石 原 昭 彦：骨 格 筋の萎 縮に伴 う脊 髄 運 動ニ ュ

ー

ロ ン の変 化

．

　 　 医学のあゆ み

193

：

629

−

630

，

2000

．

30

）

AUmann

　

BL

，

　

Rice

　

CL

：

Neuromuscu

⊥ar　

fatigue

　and　aging ：

　 　central 　and 　peripheral　facLors

，

　Muscle　Ncrvc　25：

785

−

796

，

　 　

20G2

．

31） 木 村み さか

，

平川和 文

・

他 ：体 力診 断バ ッテ リ

ー

か らみた

　 　 高 齢 者の体 力 測 定 値の分 布 および年 齢 との関 連

．

体 力 科 学

<Abstract>

Evaluating

Aging-Related

Changes

in

Agility

-Using

a

Ten

Step

Kenzo

MIYAMOTO,

RPT,

MEd,

Hideaki

TAKEBAYASHI,

RPT,

MS,

Koji

TAKIMOTO,

RPT,

Yoshikazu

INOUE,

RPT,

MEd,

Yutaka

TAKUMA,

RPT,

MS,

Shoko

MIYAMOTO,

RPT,

Takao

OKABE,

RPT,

MEd

Department

of

Ph),sical

Therup},,

7bsa

Rehabilitation

Collage

Shu

MORIOKA,

RPT,

PhD

Dopartment

of

Ph),sical

Theropor,

Fk]culty

of

Hbalth

and

Science,

Kio

U}ziversdy

Fumio

YAGL

PhD

Departrrient

of

Cognitive

and

Behavioral

Neuroscience,

Kochi

Medical

School

Aging-retated

changes

in

mozor

function

have

been

studied using various

indicators,

but

there

is

no report which clearly shows aging-related changes

in

agility,

Using

a new "Ten

Step

Test

(TST)",

we were able to

isolate

and analyze agility.

Agility

is

speed, reaction

time

and

the

ability

to

change motion when using the whole

body.

Eight

hundred

twenty-eight community-dwetling and

independent

adults

{266

males,

562

femates}

were evaluated using our

TST.

The

cllnicattesL was

analyzed app]ying

intra-class

correlation

for

confidence, and compared with

floor-standing

time

for

vatidity.

We

compared the results with

different

regression

formulas.

Through

these

methods of

analysis, the

TST

displayed

strong confidence

(ICC

=:

O.96)

_{and adequate validity}

(r

=

O.86).

"ie

_also

found

that

aging-related changes arc similar

between

men and women.

Agility

adapted mere

to

a

quadratic curve than a

Iiner

curve and a cubic curve, and

it

has

a

tendency

to

decline

after age